箱船航海日誌 2003年02月

日々雑感、出来事などを思いつきに任せて綴っていこう

過去の日誌コンテンツ

’03/02/28 (金)

階段45


 22日の日誌に書いたレコードが届いた。大きな、でも少し安っぽい箱にLED ZEPPELIN I〜IVと、「天国への階段」1曲だけを片面45回転カッティングしたテストプレスボーナス盤が入っている。5枚全て200g盤なので、流石に重い。

 上の写真は階段45のセンターレーベルである。まさにテストプレスであって、レーベル名はどこにも無くRTI(Record Technology Inc.)の名前、プレスされた日付らしきものと曲名がスタンプされているのみ。2000年11月10日となっているから、このセットのためにプレスされたものではないのだろう。ジャケットはただの黒い袋だし、実に殺風景なのである。

 この音が凄い。この曲を含んだ「IV」の180g復刻盤を聴いた時も驚いたが、今回はさらなる驚きである。厚みと切れが凄く、非常に見通しが良い。これまでに聴いた45回転盤と同様歪み感は極少、透明感最高である。ロックにありがちな埃っぽさは皆無といって良い。スコーンと抜けるスネアの音が痛快至極。スッキリしているけれど濃厚な音、というイメージか。ともかく、ロックもマジメに作ればこうなること、実はマスターテープの音は極めて優秀だったこと、を改めて思い知らされるのである。

 AE86さんが掲示板にメッセージ下さっている通り、どことなく冷めた演奏に聴こえなくもない。埃っぽさがなくなった分、必死の形相でゴリゴリ演奏しているという雰囲気が殺がれてしまったか。リアルハードツェッペリンマニアがこれを聴いたら「ロック魂が抜かれてる!」と言って暴れる、かもしれない。渋谷陽一氏には是非とも聴いてもらい、感想を聞きたいところである。

 I〜IVの200g盤は、今のところ「II」と「IV」を聴いたのみ。これもまた優秀である。従来の180g盤に比べ、音の厚みでは明らかに上回っている。切れと立ち上がりの良さでは僅かに180g盤優位か。一長一短、というよりはどちらも素晴らしいと言うべきである。

 ちょっと高いセット、ではあるが、僕としては大満足である。次のセット発売がヒジョーに楽しみになってきた。

 これでオワリじゃ、ないよねえ。

’03/02/27 (木)

108号


 21日に発売されたオーディオ・アクセサリー誌108号の特別付録、チャンネル・クラシックスレーベル(以下C・C)のスーパーサンプラー盤である。17トラック73分00秒収録。

 C・Cはオランダのレーベルである。僕が初めて出会ったのは'92年の春だから、既に11年経っているわけだ。当時このレーベルはどうしたことか安売りされることが多く、随分まとめ買いしたものである。

 その頃から音は非常に良く、長岡先生も数タイトル取り上げていらっしゃった。最近も非常に元気なようで、SACDタイトルを数多く出している。この付録はレギュラーCDでのサンプラーである。まったく同内容のSACDも出ているそうだ。

 付録CDとはいえ中身は正しくC・Cレーベルの音。一言で言ってしまえば、これは非常に優れたCDである。17曲、どこから聴いてもすべて優秀録音である。艶と深み、切れと柔らかさが見事な次元でバランスしている。音場感も極めて広く、先ずは言うことの無い録音である。以前のC・Cサウンドと比較しても、遥かに良くなっている。

 特にトラック15のヴィオラ・ダ・ガンバは必聴に値する。色気、切れ、透明感、艶、瑞々しさは最高である。いや、素晴らしい。

 この優秀なCDが付いて、1,400円は非常に安いと思う。僕は音元出版のマワシモノではありませんが、皆さん是非買って聴いてください。

 幸せな気持ちになれること、間違いなしです。

’03/02/26 (水)

旨味


 「生臭いからイヤダ」などと我侭なことをゆって、僕は青い魚を食べない。味そのものは大変おいしいと思う。それは全く否定しない。だが、食べた後の生臭さ(多分あれはDHA、ドコサヘキサエン酸の臭いなのだろう)がどーしてもニガテである。

 てなことを言うクセに、僕はクサイ食べ物が好きである。関西人が嫌うという納豆なんか大好物だし、ウォッシュタイプチーズ、ブルーチーズなどはホントにおいしいと感じる。琵琶湖名物鮒寿司も大好きだが、今や高級品になってしまって滅多に食べられなくなった。生臭いのはダメだが、醗酵臭は大丈夫という、変な奴なのである。

 その類の中で、前々から一度食べてみたかったのが「魚醤」である。昔は妙な食べ物の代表格だったが、今では随分とメジャーになった感じ。御存知、魚(イワシ)の塩漬けを醗酵させて作る、魚醤油である。

 エスニック料理ブームで有名になったとは言え、僕はこれまで一度も試したことがなかった。ひょっとすると知らず知らずのうちに食していたかもしれない。「これが魚醤だっ!」と食べるのは今回が初めてである。

 ともかく買ってきたのは「ヌクナム」(ニョクマムとも)「ナンプラー」の二つ。どちらもイワシ魚醤である。前者はベトナムで、後者はタイで使われている。調べてみるとどちらも製法はほぼ同じで、製造国によって呼び分けているらしい。

 先ずはヌクナムの封を切って匂いから確かめる。うむ、聞いていた通り特長のある匂いだ。キンギョの餌みたいな、蛹粉みたいな、ドライキャットフードみたいな、ちょっとクサヤの干物みたいな、要するに一般的に言うと「クサイ」のである。足の裏みたいな、と言ったら好きな人が怒るかな。

 ところが味わってみてビックリ。なんという深い旨みだろうか。全身これ旨みの塊である。とにかく「旨い」のである。いろいろ試してみた結果、火を通せば臭いはほとんど消え、旨みのみが際立つことが分かった。野菜炒め、スパゲティソース、ラーメンスープ等にはベストマッチング。うどんダシ、おでん、味噌汁などにはホンの少量。入れ過ぎるとヒドイことになりそうだ。やり過ぎが良くないのはオーディオも同じである。隠し味程度に使えば味の深さがぐんと増す。これは凄い。

 火を通しても使いすぎると臭いが気になるし、少量でもイヤダという人はいるだろう。僕とはマッチング最高である。いいもんみっけた。だが、皆さんにも是非お薦めします、とは言えない。

 なぜなら、くずてつ家中でこれを喜んで食べるのは、僕一人なのだから。

’03/02/25 (火)

これ何だ


 昨日に続き、今日も道具ネタである。

 親しい友達が「近い将来必要になるだろうから」と親切に自作してくれたこの物体。さてこれは一体何のための道具でしょうか。ムカシ「人気者で行こう!」というしょーもない番組に出てきた「脛ギロチン」に似ているけれど、もちろんそうではないのである。

 2本の円柱をまたぐ梁様の上面部分には、なにやらわけありそうな黒いものが貼ってある。どうやら上下にスライド可能、任意のところで固定できるようなふうにも見える。要するに何かを載せる、或いは支えるための道具であるらしい。

 と、ここまで書けば凡その察しはつこうというもの。うむ、確かに「近い将来必要になる」、かな。何だか思わせぶりなことで申しわけないのだが、後日、使用に具する状態をご報告したいと思う。こういう道具が必要になるモノとは一体?

 友達には深々の感謝を申し上げねばならない。お心遣い、ありがとうございます。

’03/02/24 (月)

道具マニア


 こりゃ便利、なのである。友達からもらった卓上自在バイス。全体が重くガッチリ出来ていて、少々の重量物でもビクともしない。角度位置は自由自在である。そりゃそーだ、なんてったって「自在バイス」だもんね。

 リリース、ロックはレバーひとつで可能、動きは極めてスムースである。クランプ部分にはゴムが貼ってありキズがつきにくくなっている。さすがプロ向き、非常にすぐれたバイスである。

 さて、プロでも何でもない僕がこんなものを貰ってしまい、何か使い道があるのだろうか。これが大アリ。ケーブルを作るとき、ハンダ付けするとき、小さいものをDHKするとき、その他諸々、これを使えば両手がフリーになり実にらくちん。足で押さえたり口にくわえたり、アクロバット的作業から解放されるのである。

 こういう道具があると、使わなくても心が豊かになるから不思議である。そーゆーのを何と呼ぶか知ってるかな?

 「道具マニア」と言うんだよ。

’03/02/23 (日)

なんでもオンチ


 ずっと以前から気になっていた。「スピーカー達」のページにシステム紹介の表が食い込んでいることが、である。それならさっさと修正すればよいものを、今まで放置していたのは単なる僕の不精怠慢である。

 ようやく分割整理イタシマシタ。システム表だけを「SYSTEMS」ページに独立させ、セルに色をつけ愛想を良くしたつもり。内容は現状とかなり相違ができていたのでそれも修正。少しはスマートになったかという程度の変更である。

 スマートなレイアウトに必要な能力。それは絵心であると思う。所謂色彩感覚であったり、良い写真を撮れる感性であったり、すべて絵心と言って良いだろう。これに長けた人のHPは見ていて気持ちが良い。

 では僕にその絵心があるかと言えば、残念ながら無いのである。僕に人物像を描かせたら、全部ハリガネ人形みたいになってしまうほど、ド下手クソ。いやもうこれは自慢じゃないがホントにそうなのである。画が上手い人は字も上手い。字も下手なことからも、僕の絵心の無さがバレようというものだ。

 そんな輩が作っているHP、仕上がりは自ずから想像できる。ご覧の通りである。どうかその辺りは笑い飛ばしていただいて、今後ともよろしくご閲覧のほどをお願いしたいのである。

 方向オンチ、運転感覚オンチ、PCオンチに描画オンチ。僕がオンチでないものって、あるのかしらん?

’03/02/22 (土)

例によって


 随分と待ったのである。「LED ZEPPELIN/BOX SET VOL.I 」(CLASSIC RECORDS RTH-3000)である。LED ZEPPELIN I〜IVの限定ボックスセット。いずれも200g盤プレス仕様。さらに「天国への階段」1曲だけを45回転片面カッティングしたテストプレス200g盤が1枚ついて、24,000円。これが出ると聞いた時から、僕はもう欲しくて欲しくてシンボウできませんでした。

 このタイトルの紹介文。「このボックスセットが今後再プレスされる予定は無い。あっという間に売り切れることが予想されるので、できるだけ早く注文しなさい。後で泣きを見ても知らないよ」と、如何にもふるっているのである。タダでさえ欲しいのに、こんなことを書かれた日にゃどーやっても買わないと気が済まなくなるのである。レコード屋のインボーにまんまとはまってますな。

 待った、と言うもまだ手許にはない。注文してあったショップから「今日送ったから」とメールが来ただけである。明後日くらいには届くだろう。本当なら着いてからネタにすべきところ、ガマンできなくなって先走ってしまうのである。

 上に挙げた写真は、多分外箱になるのだろう。中にはオリジナルジャケットそのままのI〜IVが入っているはず。II〜IVはすでに180g盤を持っている。目新しいのはIだけ、ということになるわけだが、180gと200gの違いも興味深い。それに何と言ってもボーナスであるところの45回転盤「天国への階段」は、絶対に聴きたい(ひょっとすると持っていたいだけ?)レコードなのである。

 「VOL.1」と銘打つからには「2」「3」と続けてリリースする予定と見るのが自然である。次はV、フィジカルグラフィティ、プレゼンスの3タイトル4枚組みになるのかな。ボーナス盤ははどーなるんだろう。「カシミール」「アキレス最後の闘い」あたりが選曲されるとうれしいケド。

 このシリーズ、全部揃えてやるぞ。

’03/02/21 (金)

音に良くカラダに悪い


 6日の日誌に載せた、友達謹製IRD-55。せっかくの好意を無駄にしては失礼千万である。遅まきながら取り付け作業を開始した。二分割タイプのIRだから、ユニット配線を外さず取り付け可能である。それなればD-55を立てたままでやってしまうか、と思ったが、良く考えたら。

 度重なるユニット交換(FE-206S→208S→6N208S→208SS→208ES)の所為で、配線が短くなっていることに気が付いた。ユニットを充分に引き出すことができないので、立てたままでは危険極まりないのである。やっぱり寝かせないと遺憾。

 んじゃ、やるか。と倒しかけてまたまた気が付いたのが、ホーン開口下部に仕込んだビニール袋詰め粒状鉛である。約40kg分入っている。手前で入れておきながら忘れていた。これを取り除いてからでないと動かせないのである。

 開口に頭を突っ込み鉛を出し始めてすぐにわかった。この作業、片手間程度で始めて1、2時間で終わるような類のものではないのである。そう言えば208ES換装の時もそうだったっけ。丸一日、あるいはそれ以上時間を取り、腰を据えて取り組むべきだ。要するに、思いの外シンドイ作業なのである。

 なかなかまとまった時間が取れないのが苦しいところである。ともかく鉛は全部取り出せたので、あとは一気呵成に行きたいところなのだが。

 重量付加はSPにとって極めて重要なファクターである。しかしながら後先考えず無闇に重くすると、こういう時に困る。音には良くても体には悪いのである。

 過ぎたるは及ばざるが如し。

’03/02/20 (木)

アンチ寝不足

 ハッと気がついたら真夜中だった。晩ゴハンの後、血糖値が上がったところで眠くなり、コタツ(まだ冬なんだな)にもぐり込んだまでは覚えている。

 年々夜のこらえ性が無くなっていくような気がする。カクンッと意識が切れるのである。困ったことだ。ものの本によると、慢性的な寝不足は若年性ハルツハイマー症候群を惹起するリスクが高いという。実際に中壮年での発症が増えている。特に早い発症例では30代後半ということもあるそうだから、油断できないのである。

 40歳を過ぎれば脳細胞の代謝は望めない。毎日数万個(数十万個?)が死滅してゆくばかりである。であってみれば、脳にとって寝不足にあるのは悪影響のみちゅうことである。

 と、問題提起を装ったふうな言い訳をしておいて、今夜は引き続き気合を入れて寝る、のである。皆さん、早く寝ましょうね。

 1961年生まれの方、沢山いらっしゃったですよねえ。

’03/02/19 (水)

マニアは困るね


 イラクでは喜納昌吉さんが頑張っている。だからというわけでもないが、今日は奄美大島からのCDを1枚。

 「マリカミズキ/ソングフルーツ」(日JABARA JAB-19)である。このデュオ(先日ケミストリーのことをこう書いたら『デュオではなくユニットだ』というメールをもらった。何が違うのかな?)についての予備知識は全く無い。よって横帯からの抜粋。

 「MARICAMIZKI〜奄美大島北部、笠利(カサン)出身のルーツ系シンガー、MARICAとMIZKIを中心に結成されたユニット。笠利地方に伝わるシマ唄、八月唄を『遊び場』にしてジャンルを超えたさまざまな人間が交流、それを通して奄美シマ唄の可能性を探る音楽十字路的プロジェクト」だそうだ。やっぱりここでも「ユニット」と表記してある。デュオじゃダメなんだね。

 2001年10月27日〜28日、奄美大島笠利町で録音。音からするとデッド気味なスタジオ録音か。二人のシマ唄にウクレレ、ギター、パーカッション、鼓(ちぢん)、ドラムなどがバックをつける。基本的にはアコースティック楽器ばかりである。

 音は極めてデッドで、音場感も無くはないがかなり殺風景な音場である。全体的にドライで生硬く、ボーカルは力があるもののややキツイ。カリカリしているような印象。声を張ったときも、何かしら頭を抑え込まれたような感じがある。ウクレレ、ギターはパチンとはじけるがやはり乾いた音で、瑞々しさ、艶、繊細感が不足気味。

 などと書くと悪いことばかりのようだが、そうでもない。鮮度は悪くないし音に力もある。昨日のCDに比べりゃ遥かに良い録音である。それにデッドだから悪い、というわけではない。要するにOCORAレーベル現地録音のデッドさなどとは異質であるというだけ。ここは貫禄の差、というべきか。

 そもそもが録音で聴くようなCDではない。オーディオマニアはすぐに「録音云々〜」などと言い出すから困ったものである。

 とは言うものの、ちょっと惜しい録音ではある。

’03/02/18 (火)

非推奨盤


 突然ですが、僕はFOREIGNERの大ファンです。

 ご存知だろうか、FOREIGNER(フォリナー)。1977年、元スプーキー・トゥースのミック・ジョーンズと元ブラック・シープのルー・グラム、更に元キング・クリムゾンのイアン・マクドナルドらが中心になって結成したロックバンドである。ファーストアルバムの「新たなる旅立ち」はそれなりにセールスを上げたので、同世代のロックファンなら旧知のバンドだろうと思う。

 一週間ほど前、近所のCDショップをブラブラ歩いていて上のCDを見つけた。彼らのCDは全部持っているはず、だが、これは初めて見る。と思って価格を見たら、何と780円。しかも「LIVE IN DALLAS,TEXAS 1982」というタイトル。こりゃ海賊盤か?

 ではなさそう。正規盤である。こういう超廉価盤ライブCDは他にもある。レーベルは違うがCCRやQUEEN、YESなども持っている。フォリナーにもあったんだ。

 1982年というと、フォリナーの最盛期である。最も人気が高かった頃だと思う。実際聴いてみても凄い盛り上がり方である。オーディエンスが狂喜乱舞している様子がよくわかる。僕は1980年1月の来日公演を大阪厚生年金会館で見ていて、その時を思い出させるような演奏に、ちょっと感激してしまった。

 しかし、である。

 このCDの音は、はっきり言って最低である。海賊盤と間違えそうになっただけあって音も海賊盤並み、否、ピュア海賊盤(?)でももう少し音の良いものがあるだろう。これではあんまりだ。どこがどうと評価できないほどの、ある意味壮絶録音である。

 そうは言っても、23年前の懐かしいコンサートを追体験させてくれ、それで780円なら文句は言えない。どころか、どちらかと言えば僕は喜んでいる。僕もフォリナーも若かったなァ。

 このCD、フォリナーファン以外には、絶対薦められません。

’03/02/17 (月)

ヴェロニカ


 春が近づいたなら、この花を載せないと気が済まないのである。イヌフグリ。ゴマノハグサ科クワガタソウ属。正しくはヨーロッパからの帰化植物「オオイヌノフグリ」(学名Veronica persica)らしい。日本古来種のイヌフグリ(学名Veronica caninotesticulata)はもっと花が小さく色も淡いもので、最近ではほとんど見かけられなくなったそうだ。タンポポと同じく、外来種に駆逐されつつある。

 タネの形がイヌのフグリに似ているから「イヌフグリ」。すげえ命名である。オオイヌノフグリのタネはちっとも似ていない。無理矢理そう思って見れば見えないことも無い、という程度である。

 では、古来種のタネは? いろいろ調べてみると、これはホントにそっくりである。にしてもわざわざ「フグリ」と名付けなくても良いような気はする。花からの連想ではなくタネから、というのはヒネリが利いていると言えなくもないのだが。

 学名の頭に付いている「ヴェロニカ」とは。十字架を背負ってゴルゴダの丘に登るキリストの汗を拭いたと言われる聖女の名前である。寒い冬の終わりを告げ、人々に安堵をもたらす姿から連想しての命名だろうか。日本人とは異なった宗教観が見えて興味深いのである。

 天気予報では今日も好天、先月に比べると晴れる日が多くなってきた。立春を2週間も過ぎれば、さすがに春めいてくるのである。

’03/02/16 (日)

春は楽し


 ここのところ生硬(ちゅうかマニアックちゅうかオタッキーちゅうか)な話題が続き、今日はちょっと一休み。非常に天気が好く暖かかったので、久しぶりに庭を歩いてみたら。

 先月末ややまとまった積雪を見たが強烈な冬型も2日間で緩み、その雪もすっかり消えてしまった。昨年のこの時期は60cm超の大雪に困っていたことを思えば、今年は本当に少雪である。カメムシ予告2002大的中。ノス○ラ○ムスなんかぶっ飛んじまえ。ムシのほうがよっぽどスゴイぞ。

 その所為かどうか、庭のクロッカス(またしてはサフランと間違いそうになる)が最早咲いてしまった。一昨年は3月4日、昨年は3月2日だった。だんだん早くなっているわけだ。そのうち1月中に咲いてしまうんじゃないか。いつもなら黄色のほうから咲き始めるのに、どういうわけか今年はご覧の紫色が先である。何だかよくわかりません。

 この先、寒の戻りは必ずあるだろう。3月の大雪だって充分あり得る。しかし、一日千秋の思いで春を待つ僕としては、クロッカスの開花がとても嬉しい。春は確実に近づいているのである。

 裏庭にはご存知イヌフグリも土手一杯に咲いている。フキノトウ(Sさん、お味は如何でした?)は既にほとんどが「花」になってしまった。あとはツクシが出、タンポポが咲き、そして桜が咲けば、それはもう春爛漫である。

 ああ、春は楽しいねえ。

’03/02/15 (土)

変えてどーする


 ご覧の通り、SWドライブサンスイB-2302はラックからはみ出ている。P-700はどうやら収まっている。が、このセッティングをベストとは思えない、のは前々から。P-700の放熱が良くないのである。

 HMA-9500IIほど熱くはならない。外径寸法が二周り以上大きく、ラックギリギリなせいで熱がこもり易いのだった。それならばさっさとラックから出し、床直置きにすればよい。その通りである。そうしたほうがアンプの寿命にも音にもぐんと良いはず。だったら何故やらない?

 要するにメンドクサイのである。アンプを動かすとSPケーブルの長さを変えなければ遺憾ところが出てくるし、P-700だけ動かしてオワリ、にはならない。ラック後部にある機器を全部動かすようなことになるだろう。考えただけで億劫になるのである。

 だが、もし、件のWACGシリーズケーブルを導入するとなれば、億劫がってばかりも居られなくなるかもしれない。機器間の距離をできるだけ短くし、無駄のないセッティングが必須である。何故か。音のため、というなら立派。実は少しでも出費を抑えるため、という目論見のほうが大きいのである。もし買うなら、10cmでも短いほうがありがたいのである。

 って、ホントに導入するんだろうか。イヤイヤ、言うだけならタダ、である。そー簡単には行きやせんぜ、ダンナ。

’03/02/14 (金)

BB


 BBと草木も靡く、ワリには当地でのサービスは遅々として始まらず。周辺自治体ではとっくの昔に始まっていたというのに。

 業を煮やした地元電気店若手店主さん達の行政、NTTへの直談判、利用希望者取りまとめ等、多大な尽力があってようやくADSL開通まで漕ぎ付けたのである。昨年秋の段階では「当該エリアでのADSL化は予定にございません」という状況だったことを考えると、その力に深々の敬意を払いたいと思うのである。特に地元タウン紙上で「このままでは我が町○田川は陸の情報孤島と化す!」と語ったY氏、大変お疲れ様でした。どーゆーわけだか野○川はいつも置いて行かれますねえ。

 NTTの工事は拍子抜けするほどスムースに終わった。あとは設定が問題、だったが、上記Y氏の力強いサポートのおかげでそれも無事完了。今日の更新もこうして滞りなく実行できている。極めて快適なネット環境が実現できたわけだ。

 流離いの旅人さんからスピードテストサイトをご教示いただき、嬉しくなって早速測定してみた。結果は写真の如くである。1.5M契約で1M以上の速度が出ていれば、まずまず満足すべきなのだろう。実際にも恐ろしく速くなっている。

 8M帯の円内に入っているにもかかわらず「お宅は山の向こうでケーブルが長い。実際には8Mは無理。1.5Mにしなさい」と、NTTから親切なんだか無礼なんだか分からない連絡があった時には少し落胆した。んが、速度の向上をこれほど如実に見せ付けられればもうOKである。感覚的には10倍、あるいはそれ以上のスピードアップを実感している。

 Y氏に「8M、12Mが実現するのは何時だろう?」と尋ねたら、「何をおっしゃるか。次は光ですよ、光。絶対入ってきますから」と力強く答えてくれた。そう言えば隣の加○町には既に入っていると聞いたな。

 光ファイバー通信でも野田○は遅れを取るのであった。なんでやねん。

’03/02/13 (木)

貫徹正攻法


 このケーブルは何故こんなに音が良いのか。そりゃそーゆーふうに作ってあるからだ、といえば話はそれまで、である。シロウトの詮索が何の役にも立たず、屁のツッパリにもならないのは良く承知しているつもり。ではあっても、オーディオマニアを以って任ずるなら、興味が湧いて当然とも言えるわけである。

 ジャケット(被覆)には耳慣れない新素材をふんだんに使ってある。タングステンシート然り、PIEZONシート然りである。線材は銅/銀合金φ2.6単線、これも一般的とは言えないだろう。これらは奇を衒ったものではなく、どこまでもオーソドックス、正攻法を狙った結果決定されたものであるに違いない。

 要は「「線材は電気の通りが良く経年劣化の少ないもの、被覆は振動に強いもの」という、単純明快なロジックを徹底的に追い込んだらこうなった、とシロウトは推測するのである。もちろん実際にはこんなに簡単ではなく、僕には到底知る由もないようなノウハウが投入されているのだろう。

 死屍累々。製品の向こう側には数多くのプロトタイプが骸と化しているはず。でなければこんな音を実現するのは不可能だと思う。

 正攻法に徹することの重要さと、同時にその力が如何に強大であるかを、今回の試聴で思い知ったわけである。小手先の対策でお茶を濁すのはモウヤメタ。

 では、何が正攻法で何が小手先対策なのか。それを正確に判断できなければ、今回の体験も全く無意味となるのである。

 僕にとってはそれがイチバンの問題だね。


 〜閑話休題〜

 2月13日午前中、回線をADSL化する工事を予定しています。工事そのものには何の問題もありませんが、その後の設定でつまづきそうな気がしています。状況によっては明日の更新ができなくなることも考えられますので、その点どうか御了解ください。

 よろしくお願い致します。

’03/02/12 (水)

夢か現か


 全ての試聴予定を終え、友達ケーブルを撤収するの圖。些か寂しい気分でもあるが、僕がまっことこの音を望むのならば、さっさと買えば良いのである。話は極めて単純明快である。

 撤去後の音は、当然のことながらいつもの箱船サウンドである。最高ではないにしろ、現状この音を自分のものとして聴いてきたわけだから、特に不味い音ではない、と思う。だが。

 一旦あの音を聴いてしまった今、何やら気の抜けたような音に感じることも否めない事実である。もし、他のシステムでこの試聴をしていたら、これほど複雑な気持ちにはならなかっただろう。もっと冷静に、事実を客観視できたはずだ。自分が毎日聴いているシステムであの音が出るという現実を突きつけられた日にゃ、冷静でなど居られるわけは無いのである。ヤッパリ悪魔だ。

 試聴時間は延べ10時間程度と、決して短かくはない。と言うより、非常に長い時間聴けたというべきだ。にもかかわらず、僕はひばおぼっていばす。あの時間は夢だったのではないかと。あまりの超常的音体験に、現実感が薄れているのである。

 一昨日、昨日と書いたイムプレッション、これらでどれほどのことがお伝えできたか、己の表現力、語彙の貧弱さを嘆くこと頻りである。100%お分かりいただくには実際に試聴されるより他に無い。そのためにも、マジメに導入を考える、のではあるわけだが。話がここに及ぶと急に歯切れが悪くなるのである。

 魂売ってもケーブル買えない。蓋し名言である。

’03/02/11 (火)

生音を超えた生音


 いよいよ本命登場。P-700につながるWAGC302である。その威容は只事ではない。1mペアの総重量は約4kgに達する。下手につなげばピンジャックを壊してしまう可能性大。その点はFOSTEXのサイトにもちゃんと注意書きしてある。

 太く重く硬い。取り回しは困難、だが、ケーブルにバネ性が少なく一旦形を決めるとビョンビョンしないので、思ったよりは扱い易い感じである。つなぐ前に充分フォーミングすべし。急角度曲げは絶対不可。ケーブルか機器のどちらかかが壊れる。音にも良くないと思う。

 C-280V→P-700間に302、C-AX10→B-2032間に202、C-280V→C-AX10間に102と、トリオフル稼働で試聴する。総額801,000円。キゼツしそうである。

 さてさてこれらケーブル使用時の音、どう表現すべきか。昨日書いた202のイムプレッションを遥かに超えるパフォーマンスを見せるのである。一度302を聴いてしまうと202の音はフツーの音に聴こえてくるのである。

 キボチ悪くなるほど音と音場の実在感が濃くなる。ホントに不気味なのである。どうしてもそこに人が居て、音楽を演奏しているとしか思えない。目を瞑ると尚更に気色ワルイのである。あまりにも生々し過ぎる音だ。これはもうスピーカーで再生されている音ではない。こうなると、帯域云々などという評価は全く無意味。ただひたすら音が実在するのみである。

 それに加えてオーディオ再生でしか実現することの出来ない馬力感、ソリッド感があるものだから、聴き手は完全に圧倒されて茫然自失、目の眩むような体験をすることになる。箱船システムが優れているとかいないとかは別にして、こんな音は今までに聴いたことがない。生音を超えた生音、とでも言うより他に表現の仕様が無いのである。

 アナログ、ディジタルの分け隔てなく何を聴いても凄まじい。中でも「FLAMENCO FEVER」(M&K REALTIME RT-107)は、筆舌に尽くし難いのである。全帯域が一気にぶっ飛んでくる。一瞬の遅れも無く、あっと思ったときには強烈な衝撃波を体全体に食らっている感じ。濃密な音の嵐に翻弄されるのである。だがしかし荒々しい感じは皆無。極めてスムースでストレスのない音である。全てが生音そのもの、でありながら生を超えているという、オーディオの常識を完全に無視したような現象が起こるのだった。

 恐ろしいケーブルである。この音は一度聴いたら耳に焼き付いて離れない。ハイファイとは高忠実度ということであってみれば、このケーブルは正にハイファイ、否、それ以上のものである。ある意味悪魔のような存在とも言える。麻薬的ではなく悪魔的。聴けてシアワセだったと思うと同時に、後悔と嫉妬が入り混じる、極めて複雑な思いが残るのだった。

 超多忙の中、稀有の機会を作ってくれた友達には深々の感謝を申し上げねばならない。本当にありがとうございました。

 音だけで言うなら絶対買い、である。うう〜む、悪魔に魂を売るか、くずてつ。

’03/02/10 (月)

その正体は


 既にお分かりのことだろう。そう、FOSTEXからの新製品ラインケーブル、WAGC102、202、302のモデルトリオである。友達の厚意により、三ついっぺんに試聴できるという願ってもない好機に恵まれた。仕様などの詳細はFOSTEX JAPANのHPまでどうぞ。

 3モデルそれぞれ1mペアを1セットずつ持参してくれた。今回は純然たる試聴、できるだけ総合的に判断できるところに使いたい。ちゅうわけで、先ずは中を取ってモデル202(上の写真のもの)をC-280V→P-700間に使い、試聴開始である。

 音が出たその瞬間、あっ、と絶句する。恐ろしいくらいの変わり様である。全帯域のクオリティを2段も3段も一足飛びに上げたような、もの凄い変化。文字通り激変である。正確には「音が出た瞬間」というよりその前段階、ソフトのバックグラウンドノイズが出た時すでにただごとではない変化があることを察知できる、くらいに音が良くなるのである。

 これはもう好みがどーのこーのというレベルの話ではない。好き嫌いもクソも無いのである。どの帯域がどうなってこの帯域はこうなる、などというレベルでもない。とにかく「良い音」なのである。どーやったってそうとしか表現の仕様がない。

 友達がいることも忘れ、阿呆の如くクチを開いて茫然自失。後ろから声をかけられハッと我に返る。「凄いでショ? でもね、302はもっとスゴイのよ」。ナニをゆーねん。これよりもっと凄い?

 そう、ホンモノの驚天動地茫然自失地獄極楽七転八倒は、この後だったのである。

’03/02/09 (日)

脅威的


 驚異的であり、しかも脅威的である。

 その正体は明日以降のお楽しみ。イヤイヤ、もの凄くカラダに悪いものを聴いてしまいました。然る筋からは「聴かなきゃ遺憾が、聴いたら後悔するぞ」と言われていた、その通りになったのである。

 うう〜む。

’03/02/08 (土)

DHKジグ


 GMホーンと組になる0506II用GMイコライザープラグにくっついている白い棒。実はコレ、プラグをより楽にDHKするためのジグなのである。10mmΦ×44mmジュラコン丸棒の一端にプラグをネジ込めるようになっている。そうしておいてこの棒をドリルチャックで掴んで回転させ、DHKの効率を上げようという狙いである。

 もちろんこんなモノは何処にも売ってないわけだ。いつもGMホーンやら何やらで手間ばかりかけている友達が、わざわざ作ってくれたものである。

 ドリルをプラグの研磨に使うやり方は、以前から実行していた。当時このような道具は無かったから、プラグのネジ部分をそぉっと掴み、それでもわずかに掴み痕が残るのが気になって仕方なかったのだった。今後はこのジグのお陰さまで、安心して作業できるのである。

 以前何かの本で「優れた職人は、注文された加工に適したジグから全て自作する。良いジグを考案できるかどうか、それが仕事の良し悪しを左右する」というような記述を読んだことがある。正にその通りだと思う。僕はバカだから、こんなにグワイの良いジグなんかまったく考えつかなかった。せいぜい「ドリルで掴んで回せば早い」くらいのことまでである。流石はプロ。一味も二味も違うのである。

 早速ちょっと試してみた。これはヒジョーにグワイがよろしい。磨いているうちにネジ込んだプラグが緩んでどっかへぶっ飛んで行かないか、とか、はたまたネジ込まれ過ぎて取れなくならないか、などと思うのはシロウトの浅墓さである。そーゆー問題はまったく無い。プラグを磨くのは結構な苦行だったが、これで随分とらくちんになるのである。ありがとうございました。

 ところでDHK完了したGM-Cuホーンの試聴はどうなった? まだゼンゼンできておらないのでございます。

 申しわけございません。

’03/02/07 (金)

ZEONEX効果


 このCDを話題にしたのはもう2年も前のことになる。'01年1月11日の日誌上である。「KEVIN GIBBS & FRIENDS / A PIANO FOR ALL SEASON」(米 CLARITY RECORDINGS CCD-1004)。2年も経ってからまたぞろ取り上げるとは、くずてつボケたか?

 ボケていることに異論はないが、前回を忘れたわけではない。ふと思い立ち、久しぶりに聴いてみたのである。DP-85で聴くのはこれが初めてだ。

 前回にも書いた通り、非常に良い音である。が、DP-85では更に本領発揮、CDでこのハイの伸びは他では絶対に聴けない。恐るべき美しさである。録音の良さも然ることながら、これに使われている新素材「ZEONEX」の効果も無視できないはず。

 「ZEONEX」とは何ぞや。

 日本ゼオン社が独自技術で開発(世界初)したシクロオレフィンポリマー(COP)というプラスチックの仲間である。ZEONEX(ゼオネックス)は商品名。1991年から商業生産されているというから、本当に新素材なのである。

 元々が光学材料を目的として開発されているだけに、特長は如何にもCD向きである。高い透明性、熱安定性、吸水率が小さく吸湿変形が極少、低不純物、低水蒸気透過性、低比重、優れた耐薬品性、低誘電率、など。良いことばかりである。そりゃそーだ。だって、光学ピックアップレンズや三管式PJのプラスチックレンズは、このZEONEXで出来てるんだから。

 では、全てのCDをこれで作れば良い、と思うのは素人考えなのだろうな。そうするにはイロイロ難しいのだろうと思う。

 僕が持っているZEONEX CDはこの1枚だけだが、他にもあるのかな?

’03/02/06 (木)

IRD-55


 スター・ウォーズシリーズに出てくるドロイドみたいな型番である。いつも金属加工モノでお世話になっている友達から、またもや嬉しいものが届いた。型番と形状からお分かりいただけるだろうか、それはD-55用インナーリング、なのである。

 SUS製、10mm厚×20mm幅。半円弧型1個あたり510g、片chセットで1,020gということになる。穿ってあるの八つの穴は単なる貫通穴で、タップは立てられていない。M5キャップスクリューとナットで裏から締め付ける形になる。この点は今まで通りである。サイズはIR208に近く、構造はIR168に近い。完成品のD-55に使おうとすると、バッフル表側からは入れられないので、二分割タイプになるのは致しかた無しである。

 分割点の隙間が広いのは、バッフル裏上下の補強桟を逃げるためである。IR168は分割点を真鍮板で繋ぎ補強してあるが、その手は使えない。D-55の構造上、これは止むを得ないのである。それでもこれの有る無しで、DFリング取り付け強度に雲泥の差が出ることは自明の理だ。

 これを作ってくれた友達は、如何にも心遣い細やかなのであって、僕は彼に改まって注文したわけではないのである。にもかかわらず「いずれは必要になるだろうから作ってみた。是非使ってくれ」と、これは全面的に彼の厚意に依るものである。

 更に「今回の物は習作に近いものである。不グワイがあれば言ってくれ。いつでも直すから」とも言ってくれている。なんともはや、僕にはもう言葉が無いのである。ただひたすらに御礼を申し上げるばかり。これで充分過ぎるほどでございます。本当にありがとうございます。

 IRの効果は、あたかも三年殺しの如くである。取り付け直後はさほどの変化を感じないことが多い。多少音の輪郭が鮮明になったかな、くらいである。却って生硬くなったように感じることさえある。ところが後数ヶ月経ったある日、随分音が良くなっていることに気が付くのである。IRは表から見えないので、それによる改善なのかどうか俄かには分からないわけだ。そしてハッと気が付くのダ。「これはIRの効果なのだな」と。時間をかけてゆっくりと効果を表わすIRなのである。

 取り付けはこれからである。これが付けば、SWを除く箱船のスピーカシステム(Sスワン、Sネッシー、リヤカノンL、D-55)がアダプタリング(そのうち三つはDFリング)+IR付きということになる。状況は理想的、だが、ここから本当にクオリティの高い音を引き出せるかどうかはヘボくずてつの腕次第である。どんなに優れたアイテムも、使い手次第で玉にも石にもなるのだった。

 後日、「D-55ESを聴く」ページで報告したいと思う。

’03/02/05 (水)

音のカタログ


 一昨日からCDばかり聴いていると、今度はADを聴きたくなるのだった。やはりADでないと聴けない音が、在るのである。

 今日のADソフトは上の写真。「SUPER SAMPLER / One exciting cut from each of our 11 RealTime Direct-to-Disc albums」(米 M&K REALTIME RECORDS)である。(C)(P)1978。要するにM&KD2Dのオムニバス盤、ベスト盤である。恥かしながら、僕はつい最近までこんなレコードがあることさえ知らなかった。これも海外通販の恩恵である。

 レコード番号でRT-101、102、105、106、107、110、111、112、113、114、822の11タイトルから1曲ずつ収録されている。元ネタは全てD2Dである。D2D音源でオムニバスが組めるわけはない。当然テープ音源である。「このサンプラーはD2D収録時の超高忠実度バックアップテープ音源を使用、それをD2Dと同じ機材でカッティングしたレコードである」とクレジットしてある。

 A-2にオルガン金さん(RT-114)、A-3にフラメンコ(同107)、A-6に銀さん(同113)、B-3にはホット・スティックス(同106)が入っている。もちろん1曲ずつ(部分抜粋もあり)である。どの曲もオリジナルD2Dに比べてカッティングレベルはかなり抑えてある。全体をわりと低いレベルで揃えてある感じだ。安全を見てあるのかもしれない。

 一聴してテーププロセスを経た音であると見抜けるほど悪くはないと思う。一般的に言えば充分優秀な音である。ただし、元ネタを聴いて知っていると、この音もフツーの音に聴こえてしまうのは否めない事実である。

 パルシブな音源ではかなりの差が出てしまう。オルガンではさほど感じられなかった音の鈍りがA-3、B-3では歴然と判別できるのである。特にA-3のカスタネットには驚いた。同じテイクとは思えないほど音が違うのである。D2D完勝。威力はやはり凄い。「超高忠実度」ではとても追いつけないのである。

 だからこのレコードは価値がないのか。否、である。僕にとっては極めて大切な1枚だ。M&Kの主要タイトルを一度に聴けるレコードなんて他には何処にも無いのだから。

 しかし、失敗録音の音は、ヒドイです。それでもレコードにしてしまうあたりは、流石と言うべきか。

’03/02/04 (火)

ワルノリ


 調子に乗って電源ケーブルまで純銀単線に換えてしまうのである。こうなると実験というよりはタダのワルノリである。

 予想通り、否、それ以上のクセが乗る。音の彫りが浅くなり、画に喩えれば白飛びしたような印象になってしまった。威勢は良いが中身は薄い、まるでヤクザ映画に出てくる端役のチンピラみたいな音、とは言葉が過ぎるかな。DP-85をしてこの音。電源ケーブルの影響大なることを、今さらのように思い知るわけである。

 聴き様によっては独特の味がある、或いはこれが好きだという人もいるかもしれない、と言えなくもないが、個人的にはちょっといただけない。たぶん大多数の人が「これは遺憾」と聴くだろう。

 いずれにしてもライン、電源ケーブルによって随分音が変ることはよくわかった。こんなことは僕が言わずとも既に常識である。ではどんなケーブルが良いのかとなると、話は俄かに難しくなるのだった。

 ナントカの一つ覚え、6N単線ケーブルがベスト、なのかどうかもわからない。電源ケーブルについては3.5sqビニルキャブタイヤ、更に上の5.5sq辺りも効果がありそうに思える。銀だの6N銅だのとカッコをつけず、シンプルで原始的、ガサツなものに意外な効果があったりするから面白い。純度、値段が高ければよい、と言うほど単純ではないのである。

 しかし中には超高価で超効果を見せるケーブルが存在するのは確かなことらしい。先日から少しく話題になっている某社の某高級ケーブルは、数少ないそういうものの一つだと聞く。是非とも試聴してみたいと思う、わけだが買ってしまうほどの勇気は無し。げにまっことケーブル選択はムツカシイのである。

 ちゅうわけで電源ケーブルはともかく原状(付属の物)復帰させ、今後は僕が調達できる範囲で試して行きたいと思う。C-AX10には5.5sq2芯ビニルキャブタイヤで好結果を得ているから、今度はその辺りから試してみるか。

 88万円のプレーヤーに140円/mのケーブル。ミスマッチングで、良いじゃアリマセンか。

’03/02/03 (月)

些か銀色


 導入以来、あまりケーブルにこだわらず使ってきたDP-85。使い始めからセッカチに対策するのを意識的に手控えていたのである。いきなりイケイケドンドンでやってしまうと何が何だか分からなくなると思ったからである。

 昨年9月の導入から約5ヶ月、未だ充分とはいえないまでも、かなりのところまでエージングが進んできたようである。そこでケーブルの交換、と思ったが、良く考えてみれば手持ちの駒は少ない。

 候補の一つ、オルトフォン6NXはC-280V=C-AX10間に使っている。自作6N単線ケーブルは使い切っているし、アナログ周りから回そうにも長さが足りない。出力ピンジャックの位置関係で、GT-CD1の時よりも長いケーブルが要るのである。他のケーブルも同様である。なんだ、これじゃダメじゃんか。

 一つだけ使えるケーブルがあった。映像信号に使っていた銀単線ケーブルである。今ではシトさんの青、白ケーブルに押し出され、部屋の隅でアクビをしている。これなら1.5mあるので充分である。

 映像用と言っても構造は自作ケーブルと全く同じ、線材が違うだけである。75Ωもクソもないのである。どーもスビバセン。

 1.6mmΦ純銀単線仕様。6N銀、なら凄いけれど、残念ながら一般的な4N銀である。大阪日本橋の「テクニカルサンヨー」(自作アンプ派ならよくご存知だろう)で入手可能。これより太く、しかも純度の高い銀単線なら「静岡オーディオラボ」というお店に問い合わせられたし。僕は使ったことが無いが、クオリティはこちらのほうが上だと聞いたことはある。但し、高価になるかもしれない。

 以前(GT-CD1時代)にも一度実験してみたことがあるこの4N銀単線自作ケーブル、当時は高域にクセが付き、結果はあまり芳しくなかった。さてさてDP-85にはどうだろうか。

 まあまあである。これまで使ってきたものに比べると情報量、分解能等の点では向上が認められる。だが、やはり中〜高域にはクセが乗る感じ。何となく音が「銀色」なのである。先入観だけではないようだ。単線のメリットか、低域には馬力がつき筋肉質に締まって音程明瞭、痛快な音である。さりながら6N銅単線に比較すると、やや腰高な印象があるのは否めない。

 前回の実験時ほど強いクセは感じなかった。少なくとも厭な音ではない。ので、しばらくこのまま使ってみることにしよう。接続時のフォーミングが不可欠の硬く重いケーブルである。機械的なストレスがほぐれる程度のエージングは必要だろうと思われる。

 それでダメなら長手の6N銅単線ケーブルを自作しなきゃ遺憾かな。

’03/02/02 (日)

睡魔

 ここ1週間ほど、睡眠時間4時間足らずという状態が続いている。仕事が多い、というよりそれを高効率にこなせない、ワタクシの能力の問題である。

 流石に体力的にはキビシク、今夜は「死を予感させるような恐ろしい睡魔」に襲われている。動くのを止めると瞬間的にブラックアウトするのである。

 ちゅうわけで今日の日誌はこれにて失礼し、オイラは寝ます。モウダメダ。

’03/02/01 (土)

手を出せば火が出る


 「1月は去ぬ、2月は逃げる...」と書きかけて昨年2月1日の日誌を見たら、同じことを書いていた。進歩がないのである。ついこの間新年のご挨拶を書いたと思ったら、もう早2月。昨年の今ごろはAE86式PEQの完成を心待ちにしていたのである。時はあっという間に過ぎ去ってゆく。

 そのPEQは益々絶好調である。艶、切れ、深み、情報量、トランジェントなど、全ての点で大幅に向上したと思う。昨年11月14日に「進化するPEQ」と題して書いた時以上に良くなっているのである。全く以って末恐ろしいアンプである。無常迅速、時人を待たず。しかし時は確かにその足跡を遺している。エージングという形で。

 ご本家「自作派ホームシアター」で現在使用に具されているPEQは、カスタムヘッドアンプ内蔵10トランス仕様という超怪物である。狂気の解像度と猛烈な超低域の押し出しを見せるという。その弟分みたいなアンプを使っている僕としては、是非とも兄貴分を聴かせていただかねばならない。などと、ヒジョーに手前勝手なことを言うのである。

 AE86さんの言によると、僕現用のものをヴァージョンアップするアイディアはいろいろあるのだそうな。大変嬉しいことである。現状まだまだ音が良くなりそうな気配なので当分の間は使いこなしに専一とし、機が熟せば施工をお願いしたいと思う。これまた極めてワガママなのである。

 電気回路に関する知識が僕に少しでもあれば、レクチャーの下に自分で実行することもできるのだが、悲しいかな知識ゼロ(ひょっとするとマイナス)である。これだけは自信がある。そんなこと自慢してどーする。生兵法怪我の元、下手に手を出せば火を出すのである。そんなコトをしてはイケナイ。

 何から何までオンブにダッコ、如何にも情けなく大変申しわけない状況である。こんなヤカラですが、今後ともよろしくお願い致します、AE86さん。