箱船航海日誌 2007年04月

日々雑感、出来事などを思いつきに任せて綴っていこう

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’07/04/30 (月)

高域補強


 3発パラで鳴らした時の干渉は、やはり少なくはないようである。高域の伸びが顕著なES-Rを以ってしても、中域と同等のレベルを保てるのは5kHzまで。6kHzで約7dB落ち、そのままのレベルで16kHzまで伸びて、20kHzでさらに7dB落ちる。

 ESに比べると16〜20kHzのレベルは明らかに高く、ハイエンドの伸びが目立つ。けれども、中域に対してのレベルは低いわけだから、聴感上ではかなりのハイ落ちになってしまうのは否めないのである。トゥイーター無しでは音にならない。

 尤も、トゥイーター使用を前提とすれば、ある程度低いところからハイが落ちるのは好都合とも言える。ESは5kHzから落ち始め、T-300Aにつなぐには非常にグワイが良かった。ES-Rは6kHzから、この程度の差ならCの定数に変更無しでつながるンじゃないか。と、この辺僕はとてもいい加減である。

 ともかくはやってみるべし。T-300AのCを2.33μFのまま、ES-Rに対して逆相でつなぐ。何のことはない。あっさりきれいにつながってしまった。12kHzまでフラット、16kHzで5dB落ち。こうなればJA-0506IIもこれまで通りの定数、1.0μFでつながるはず。これまた逆相で、すんなりつながったのである。

 位置関係の調整は必要だった。バッフルからホーン前端まで+12.5mmの位置だったT-300Aは、7mm前進して+19.5mm、JA-0506IIは逆に28mm後退してバッフル面イチ。これでF特上20kHzまでフラットである。

 F特フラットなら音も良い、とは限らないのである。昨日も書いた通りES-Rの音色は、今のところややクールに聴こえ、T-300A+JA-0506IIの厚くエネルギッシュな高域とは少々違和感が無いでもなく、もう少しクールでシャープな傾向のコンデンサーに銘柄変更してみるのも、面白いかもしれない。今後の推移を見て行きたいと思う。

 改めて感じたのは、T-300AとJA-0506IIの優秀さだった。

’07/04/29 (日)

換装2週間


 FE208ES-R(以下ES-R)に換装してから2週間経った。その間はちょうど上手いグワイ(?)に寝込んでいたわけで、まともに音を聴いていないのだった。ただ、CDリピート中小音量でほとんど鳴らしっぱなしにはしていたから、それなりにエージングは進んでいるはずだ。僕がぶっ倒れている間も、スピーカーはがんばっていたのである。

 久しぶりにある程度音量を上げて聴いてみた。体調万全ではないから、いささか危なっかしいイムプレッションであることをお断りしておいて。

 初鳴きに比べて音の険が取れ、さらにスムーズになっている。不自由な印象がなくなったと言ってもよい。高域に感じたピーク感も、さほど気にならなくなった。言うに言われぬニュアンス、例えば艶だとか瑞々しさだとか、そういうものは未だ出し切れていないようだ。

 ES-Rの特長は、曖昧さの無さである。音に無駄がなく、出すべき音だけを正確に出していると聴いた。ある意味、ゴマカシの利かないユニットとも言える。音色をFE208ES(以下ES)と比べると、やや寒色系に振れている印象である。ただし、冷たく無機質な音とは違う。解像度は全域に渡って大きく向上(特に低域に顕著)しているし、大パワー入力時の崩れが非常に少ない。小音量再生でもボケることがなく、Dレンジの広さを実感せざるを得ない。

 5年間バカスカ鳴らし倒し、エージングが行き届いたESとの比較では、今のところ微妙なニュアンス表現、音場感などの点でESの勝ち。過渡特性の良さではES-Rの勝ち。音色については各々好みがあるから何とも言えず。僕の好みからすると少々線が細く感じられ、もう少し厚みが欲しい気もするが、その辺りは今後に期待したい。5年使用と2週間使用、安易な同列比較はできない。

 ユニット2週間、エンクロージャー4ヶ月。スーパーネッシーMkIIは、まだまだ「できたて」の範疇を越えないスピーカーシステムである。

 日々の変化を、楽しみたいと思う。

’07/04/28 (土)

ほぼ復調

 永らくのお休みをいただきました。

 不調発生から2週間、ようやく復調の兆しが見えてきたようである。未だ軽い眩暈感は残っているけれど、これくらいならまあ大丈夫だろうと、今日から日誌を再開することにした。

 休載の間、たくさんの方からお励ましやお見舞いのお便りをいただいた。個々にご返信すべきところ、略儀ながらこの場を借りて御礼申し上げたい。皆さん、心暖まるお言葉、本当にありがとうございました。

 不調の原因は、不明である。身体機能的にはどこにも問題はなく、結局ストレスと疲れから来るものだろうという。納得できるようなできないような診断だが、まあ仕方ないのである。要するに、若くはないよと、いうことなのだろう。

 今後とも、よろしくお願い申し上げます。

’07/04/20 (金)

暫し、休載

 日曜日(15日)の午後から、ひどい頭痛と眩暈、ハキケに発熱、体の痛みと、とんでもない不グワイに見舞われてすっかり参っている。6日目になる今日もやはり絶不調で、キーボードを打つのも苦しいような状況である。

 こんな状態ではどうにもイケナイ。支離滅裂な駄文で皆さんの御目を汚しても遺憾、ので、復調するまで日誌を休載いたします。申しわけございませんが、何卒ご理解のほどを。

 昨年はこんなこと、一度もなかったのになあ。

’07/04/15 (日)

換装24時間


 昨年12月以来、4ヶ月ぶりのご登場。我が盟友、徳さん憲さんスーパーネッシーMkIIと格闘しながらカメラ目線の図、である。

 ユニットを外したついでに、内外リングの増し締めをしている最中である。片ch24本のボルトナット締め付けはなかなかシンドくて、僕はLchだけやって完全に息切れ。途中から選手交代、Rchは二人にオネガイしたのである

 4ヶ月の間に、全てのネジが1回転近く回せるほどに緩んでいた。正確には、ネジが緩んだのではなくてエンクロージャーの材が縮んだと言うべきか。よくあることである。製作者の山越さんも「しばらく経ったら増し締めしてください」とおっしゃっていたし、今回のユニット交換は良い機会だったのである。

 さて、鳴らし始めから1日経ったFE208ES-Rである。レンジが広く派手な音の入ったCDにリピートかけて24時間、さすがにカドが取れて随分とスムーズになったようだ。中高域にあったツッパリ感がなくなったし、低域も硬さがほぐれてきた。やはり立ち上がりの良さ(反応の速さと言ってもよい)が目立つ。

 低域は40Hzまで中域と同等のレベルで伸びていて、明らかにESを上回っている。加えて中高域の能率がやや下がった(と言っても充分高能率)せいで、聴感上でも低域の豊かさ力強さが印象的である。スーパーネッシーMkIIに載せた状態では、フラットよりわずかにローブースト傾向のF特になる。

 ES使用時、中域にあったディップは少し狭く浅くなった。よい傾向である。聴感上ではまったく問題なし。女性ボーカルのリアルさが、やや増したようだ。

 ハイは6kHzで7dB落ち、この落ち方は3パラの相互干渉によるものか。そこから上はほとんどレベルダウンせずに20kHzまでしっかりと伸びている。ESに比べて16kHzで6〜7dB、20kHzでは10dB以上レベルが高い。f0〜23kHzの再生帯域は伊達ではない。

 エージング完了には程遠い現状、ちょっと気になるのは高域に独特のキャラクターが感じられることだ。帯域にして3〜5kHzあたり、ややピーキーな部分がある。3パラによる音の滲みか、しかしESにはなかったことだから、やはりユニットのキャラクターか。今後の変化を見て行きたい。将来的にはESを越えるパフォーマンスを示すことは間違いないと思う。

 しばらくは、エージングに専一である。

’07/04/14 (土)

換装完了


 12月の搬出搬入時にも大変なご苦労をかけた、徳さん憲さんのチカラをまたまたお借りし、FE208ES→FE208ES-Rへの換装完了。お二人のおかげさまで、エンクロージャーを立てたまま、何らの問題も事故もなく、無事作業を終えることができた。

 ご両人のバックアップがあってこそ、無事に終わったのである。実際やってみて思った。僕一人では絶対に不可能である。ご多忙中にもかかわらずのご加担、本当にありがとうございました。

 ユニットがES-Rに替わったところのスーパーネッシーMkIIのルックスは、上の写真にご覧の通りである。随分と印象が違うのである。今のところはまだ違和感が強い。しかしそれもしばらくのことで、1ヶ月もすれば慣れてしまうのではないか。少なくとも不格好ではないと、僕は感じているが如何でしょうか。

 さて、問題は、音である。まずはトゥイーターもSWも加えない状態、スーパーネッシーMkII単体で聴いてみた。

 まず耳に印象的なのは、立ち上がりの良い中高域である。トランジェントが非常に良く、音離れと抜けに優れていて痛快。低域は力があり押し出しが良い。但し、ESに比べて圧倒的、というまでには行かない。ハイは切れが良くしかも繊細。だが、思ったほど伸びない感じだ。おそらくは3パラによる相互干渉で、1発で見るF特よりも早めに落ちているのだろう。

 トゥイーターは絶対必要である。低域に力がある、と言っても超低域では明らかにレベルダウンしているから、SWももちろん必要。箱船のオーディオ環境では、ESもES-Rも使いこなしに関してはさほどの差異はないと感じた。

 現状、まだ2時間も聴いていない。能力の片鱗を見せてはいるものの、まだまだエージング不足丸出しの砂を噛んだような音である。片ch3発ということで、生硬さが余計に目立つ感じ。208ES Ver.1は、特にエージングに時間のかかるユニットだったが、ES-Rはそれに輪をかけて経時による変化が大きそうなヤツである。まだまだこれから、だ。

 ともかくは一晩鳴らしっぱなしにして明日、じっくり聴いてみたい。

’07/04/13 (金)

キメラ


 盛りを過ぎて散り始める頃の桜は、どういうわけか花の色が濃くなるのである。何故だか、僕は知らない。果実が熟すると色が出るのと同じ理屈なのかしらん。

 ソメイヨシノは、人間の手によって花を楽しむために品種改良された、言わばキメラ(ギリシャ神話に出てくる架空の動物。ライオンの頭、羊の胴、竜の尾を持つ)植物である。元々は自然界に存在しないわけだ。こんなに沢山の花を咲かせながらも、ほとんど実を結ぶことなく散って行くだけである。ごくわずか、サクランボ(のようなもの)ができることもあるけれど、石のように硬く熟することなはない。青いまま落実するだけである。我が子孫を残すことのできない樹なのだ。

 病気には決して強くないし、切れば腐りが入ってすぐに枯れてしまう。桜族の中では特例的に寿命が短い。何ともヒヨワい植物なのである。しかしその一方で、昔々切り倒した桜の切株から、若い樹が育ち始めていたりもする。桜も切株更新するンだなあ。

 ヒヨワとは言え、生命力は侮れない。

’07/04/12 (木)

映える


 今年もダメかと思っていた風景が、やっと見られて僕はとてもうれしい。澄んだ青空と満開の桜、である。

 気圧配置による風向きの加減かどうか、黄砂はまったく問題なし。陽の光に花の色も綺麗に出て、いやあ、桜はやっぱりこうでなくっちゃあイケナイ。暖かい春の風にふわふわ揺れる桜を見ていると、なんとも言えず幸せな気持ちになるのだった。秋の落ち葉掃きは手間だけれど、庭に桜があってヨカッタヨカッタ。

 昨日あたりを盛りにして、既に散り始めている。近くに雨でも降れば、あっという間に終わってしまうだろう。その儚さ潔さが、これまた日本人好みなのである。

 一年中で最も素敵な季節が、始まる。

’07/04/11 (水)

揃ったけれど


 10日午前中、2個のFE208ES-Rが無事到着した。これで6本全部が揃ったわけである。早速に交換、と行きたかったところだが、今日は本業のほうが異様に忙しく、実は憲さんに助っ人を頼んだのは、そちらのほうをやっつける為が主眼だったのだ。

 本山から山の如くに送り付けられた配布物の仕分け作業、朝から始めて午後になっても終わらない。そりゃそーだ、1万部をゆうに越えるものを、2人でワケワケするのだから。考えてみれば当然なのである。終わった時には、2人とも次の業務ギリギリの時間になってしまっていた。

 明日、明後日は僕も憲さんも業務で手一杯である。ユニット交換は13日までオアズケ。いえ、決してもったいぶっているわけではございません。今すぐにでも聴きたいのは山々なのだが、そこはオトナの事情が、あるのだった。本業をオロソカにはできません。

 早く鳴らしてみたいなあ。

’07/04/10 (火)

注意して


 3ペア目のFE208ES-Rは、10日中に届く運びとなった。受け入れ準備を始めねば遺憾と、4本揃って記念撮影、したのは良いができそこないのモノクロ写真みたいになってしまった。この振動板、色を正しく再現するのが難しいのである。

 できればその日のうちに換装したいところだが、たぶん僕1人での作業は難しいと思う。スーパーネッシーMkIIを、寝かさずに立てたままユニット交換しようと考えているからだ。

 旧スーパーネッシーまでは、どうやら1人で寝かせることができる重量だったけれども、トゥイーターを外しても200kg近い重さのMkIIに至ってはどうもいけない。寝かせるには最低3人、安全を考えれば4人くらいの人手が必要になる。と、これは搬入時に感じたことである。

 非常に大掛かりになってしまうわけで、お手伝いをお願いするにもそう簡単ではない。立てたままのユニット交換なら、2人いれば可能だろうと踏んで、いつもの盟友憲さんに助っ人を依頼してある。憲さん、またまたお世話になります。

 ES、ES-Rとも、コーンをぶち破らないよう、細心の注意を払わねば。

’07/04/09 (月)

捨て去れない


 昨日は参ってしまった。終日接続障害である。朝、メールチェックしようとして気がつき、業務を終えて夕方再チェックするもNG。そのまま深夜までまったくつながらず、もちろんFTPもダメだから日誌更新もできない。もういいやとフテ寝したら、今朝になって回復していた。

 原因は、不明である。僕が使っているADSLモデムは、時々ヘソを曲げることで有名な、某国策企業ブランドのものだが、今回はその所為でもないような感じだった。ルーターも健全なふうだったし、要するにプロバイダ側の不グワイだったのかもしれない。これも「仕様」だから仕様がないと、ワケのワカラン理屈で納得しよう。

 ネットも携帯電話と同じで、最初から無ければ無いで不都合ないものだが、一旦持ってしまってから環境が破壊されると、不安で仕方なくなるものである。一種の中毒状態みたいなものか。

 お釈迦様はおっしゃった。「持てば持つほど苦は増える。なのに人の欲望は尽きない。苦を得ないには、一切を捨て去ることだ」。真理である。

 本来無一物。言うは易し、行うは難し。

’07/04/08 (日)

満開2007


 ES-Rだ6発だと、独りで勝手に盛り上がっていたら、桜はすっかり満開である。開花は3月内ギリギリの31日だったが、その後ひどく冷え込んだ所為で、満開までに1週間以上かかってしまった。4日には雪が降ったくらいなのだから。

 6日あたりから寒さは和らいだ。しかし天候そのものはイマイチ冴えないのである。7日も薄曇と黄砂の影響で、何だかパッとしない空模様、写真に撮ってもあまり面白くないのであった。今年も青空に映える桜は望めそうにない。いささか残念である。

 そうは言っても、やはり桜は良いものだ。アメリカのワシントンでも日本から贈られた桜が満開で、花見客がドッと押し寄せているという。洋の東西を問わず、みんな桜が好きなのだ。きれいだもんなあ。

 大勢の人が見に来るのは結構だが、最近は枝を折って持ち帰ろうとする人が多く、管理者が苦慮しているとも聞いた。桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿。桜は腐朽菌に弱く、徒に切ったり折ったりすると、あっという間に枯れてしまうのである。だからこそ「トップジンMペースト」なるものが必要になるわけだ。

 公衆道徳の荒廃も、洋の東西を問わず、か。

’07/04/07 (土)

ユニットカバー


 FE208ES-Rを開梱して最初に目に付いたのは、PET製ユニットカバー(と呼べばいいのかな)だった。これまでにはなかったものである。何故に今回は特にカバーが付属しているのか。

 おそらくは、マグネシウムセンターキャップを保護するためだと思われる。従来のFEシリーズとは違いセンターキャップはボイスコイル直結で、いわゆるメカニカル2ウェイになっている。単なるセンターキャップに非ず。純マグネシウムドームトゥイーターと言ってもよいわけだ。これがツブれたらさあ大変。これまで以上に初期特性を保証できなくなる。転ばぬ先の杖、というわけで、カバー付属と相成った、のではないかと、勝手な想像をするのである。

 外して眺めて考えた。このカバー、タダの梱包材と打ち捨ててしまうには少々勿体無いものである。チョイと工夫すれば、立派な道具として使えそうだ。

 塗装するか、或いは小奇麗な化粧シートを貼るかして、ふだんあまり使わないシステムのユニットカバーにする。たとえばウチなら、2階のD-55ESユニットに最適である。埃が積もるのを防げるし、紫外線によるコーンの焼け(2階の照明は蛍光灯である)も、ある程度軽減できるはず。スーパーネッシーMkIIに付けたES-Rは、しばらくの間毎日バカバカ鳴らすだろうから、カバーをかけているヒマはないのである。

 来週半ばには、残りの2本が届きそうだ。入手困難の中、友達の大いなる配慮には、心から感謝せねばならぬ。ご厚意、ありがとうございました。

 昨年12月のスーパーネッシーMkII乗船に続き、如何にも楽しみなことである。

’07/04/06 (金)

ディーテイル 3


 振動板と共に、従来のFEから大きな変更があったのは磁気回路である。これまではフェライト系だったものが、アルニコマグネットに変った。シリーズ初である。しかも驚きの外磁型、φ118mm×H48mm、3.1kgという巨大なものが奢られている。超高級低域ドライバーなどを見慣れている人には何と言うこともないのだろうけれど、そーゆーものに縁のない僕としては驚くほかないのである。こんなにでっかいアルニコマグネットなんか見たことない。

 アルニコとはAl-Ni-Co、アルミ・ニッケル・コバルトの合金(少量の鉄、銅やチタンが含まれることもあり)である。バックプレート側から見えるマグネットの断面は、銀白色に美しく輝いている。アルニコマグネットが純然たる金属であることを知るのだった。金属材料が著しい高騰を見せる昨今、このマグネットだけでいくらするンだろうなどと、下世話なことを考えてしまうのである。

 アルニコはフェライトよりも歪みが少なく、きれいな音が出ると言われる。今回の採用もその辺りを狙ってのことだろう。だが、高価でしかも加工が難しく、特に今回のような巨大外磁型ともなると、一般的にはとても使い切れない。振動系も含めての匙加減はさぞ困難であったことと思われる。FOSTEX技術陣の苦労が偲ばれるのである。

 スーパーネッシーMkIIを全ES-Rできれば、トゥイーターからフルレンジまでが、すべてアルニコマグネットで揃うことになる。加えて将来、SWユニットをW400A-HRに換えることができたならば、なお素晴らしい。それがどうした、という話でもあるわけだが。

 容易ならざることながら、夢は捨てずに持ち続けたい。

’07/04/05 (木)

ディーテイル 2


 振動板を支持、かつモーションをコントロールしユニットの音質に極めて重大な影響を及ぼすパーツ。ダンパーである。今回の208ES-Rには、従来にはなかったUDRタンジェンシャルダンパーが採用されている。ご覧のとおり、メビウスの環を連想させるフシギな形状である。

 ダンパー形状の良し悪しには諸説あり。最も一般的なものは波型に成型したコルゲーションダンパーである。微小信号への応答性に優れるものとしては、スパイダーダンパー(形状が蜘蛛の巣を連想させるからか)や、蝶ダンパーなどもあるが、採用例は多くないようだ。小振幅から大振幅までリニアな応答性を持たせるには、二律背反を解決しなければならない。容易ならざることなのである。

 UDRタンジェンシャルダンパーは、一つの回答例なのだろう。取説にも、優れた応答性を持つ、と説明されている。ただ、最初にこれが採用された10cmユニットFE108ESIIを使ってみた印象からすると、エージングには時間がかかるようである。

 低歪みで透明感に優れた中高域、充実した低域と、既に高い評価を得る208ES-Rだが、本領を発揮するのはまだまだこれからのことだと思う。箱船では、振動系を大パワーでバコバコ振らせて、速やかなる覚醒を促したいところである。

 ユニットが変ってもやり方は変らない。ヤバンなのだ。

’07/04/04 (水)

ディーテイル 1


 実物を手にし、改めてディーテイルを眺めてみる。振動板、フレームとも、基本的には同一形状なので、これまでのFEと見比べても違和感はない。けれどもやはり、コーンの色が変ったことでの印象の差異は大きいのである。悪く言えば無愛想、良く言えば実に精悍なルックスである。

 web上の写真などでは、やや青みがかった灰色、のように見えたその色。明るい場所で陽にかざしてみると、実にフシギである。コーンを構成する繊維(と言って適当かどうか)に混ざって、メタリックブルーに輝く粒子が点々と見える。それをお伝えしたくて上の写真を撮ったのだが、イマイチ上手く行っていないようだ。

 これは一体ナンダ。超高弾性カーボンファイバーかバイオセルロースか。僕に分かるわけはないのである。しかし、タダモノでないことだけは想像に難くない。開発段階では、相当な苦労の連続だったと聞くこの新しい振動板から、箱船ではどんな音が飛び出すのか。

 期待は、極めて大きい。

’07/04/03 (火)

到着


 「FE208ES-R到着」のニュースがチラホラと聞かれる中、今日、ウチにも無事届いた。例によってウソツキでいい加減、当初2本だけ注文するなどと言いながら、在庫にわずかの余裕があると聞いた途端、条件反射的に2本追加してしまったのだった。

 それでもスーパーネッシーMkII全てのユニットをES-R化するには2本足りないわけである。ここまで来たら毒を喰わば皿までである。6本揃えたい。どーするのか。実は、友達の厚意により何とかなりそうな気配なのである。結局は2本ではガマンできなかったわけだ。どうしようもないワタシがここにいる。

 6本揃った時点で一気に換装したい。仄聞するところによると、ESとは随分差異が大きいようだ。トゥイーター、SWの設定は、一からやり直しになるだろう。慌しいことである。

 それもまた、楽しみの一つなのだ。

’07/04/02 (月)

両輪


 今夜の行事で年度始めの業務に一つの区切りがついた。曲がりなりにも代表役員を務めている身としては、まさにやれやれという思いである。これも偏に関係者皆さんのおかげさま。感謝せねばならない。

 というわけで、久しぶりにゆっくりした気持ちでADを聴いた。先々月、故障から復帰したC-17は絶好調である。音に生気と張りがあり、聴いていると元気が出てくる。やはり趣味とはこうでなくっちゃあイケナイ。さればこそ、明日からの業務にも意欲がわいてくるというものだ。

 業務と趣味、この二つは持ちつ持たれつの関係であるらしい。業務に意欲的でない時は、オーディオしてもちっとも楽しくない。本来やるべきことを放擲し、オーディオに逃げ込んではいけないのである。ま、当たり前のことなのだが。

 しっかり働いてゆっくりオーディオする。これで身も心も健康である。

’07/04/01 (日)

さらに一歩


 4月である。今日の東海地方、特に静岡県の清水市では、気温が30℃を越えたと聞いた。4月初めの真夏日は、極めて珍しいのではないかな。当地も決して寒い日ではなかったけれど、特に暑い日でもなかった。黄砂がひどく、ようやく咲きかけた桜の色もパッとしない。今年も「桜に青空」の風景は、望めないのかしらん。

 今月は新しい20cmフルレンジユニット、FE208ES-Rに取り組んで専一になりそうである。当初、取り寄せを依頼した近所の電気屋さんに少々トラブルが発生し、結局大阪日本橋にあるオーディオショップ(と言ってもK口やJ新などの大手ではない)での入手になった。早ければ今週半ばには届くと思う。

 乗船から4ヵ月にも満たないスーパーネッシーMkIIのユニットを、早速にも変更するのは、躊躇しないでもない。しかし、箱船は「何時までも実験レベルを脱却できない」のであってみれば、一所に止まって安穏としていては遺憾。

 新しいエンクロージャーで一歩を踏み出したのならば、ユニットも新しくして更なる一歩を踏み出すのだと、いうことにしておこう。

 踏み出した先は、どうなるンだろうか。