箱船航海日誌 2004年06月

日々雑感、出来事などを思いつきに任せて綴っていこう

過去の日誌コンテンツ

’04/06/30 (水)

ウルトラサウンド


 さて、昨日の続きである。

 僕がM85氏宅を訪問した折、同席してくださったAE86さんが持参されたのがこのレコードだった。その時が見るのも聴くのも初めてだったわけだ。A級掲載のものとではジャケットがまったく違うので、僕には正体不明の怪しげなレコードにしか見えなかった。「コレ、なんちゅうレコードデスカ?」などと、ボケた応対をしてしまうのである。今思えば赤面の至りなのだ。

 聴いてみてビックリ。すごく良い演奏、すごく良い音である。M85さんの超ハイトランジェントシステムであればこそ、も忘れ、オイラも欲しいっ、と忽ちクレクレタコラに変身した。ものの、値段と入手難であることを聞いてまたビックリ。そーゆーレコードだったのかと、我が身の無知を恥じること頻りであった。

 それから2年。縁が熟したのか、ようやく手に入れることができた。ヴァージンシールを破るのが何だか勿体無いような気もしたが、破らないと聴けないのである。ジャケット、盤ともにピッカピカである。解説書はピンピン、シリアルナンバーも鮮やか。なんて嬉しいンでしょ。

 聴いてみる。ああ、何という良い音であることか。全域に渡ってハイトランジェント、かったるさはまったく無い。音が輝いている。一点の曇りもないクリスタルグラスのような音。繊細でしかも豪快、超高分解能でありながら無機質な印象はなく冷たさ皆無。中〜低域の厚みはタダゴトではない。ウルトラオーケストラサウンド。オーディオ好きなら、この音を聴かずして何とする。

 盤質も極めて優秀である。サーフェイスノイズレベルは極少、しかも揺らぎがまったくないのである。こんなに静かな盤は滅多とあるものではない。並外れたSNの良さでDレンジ極大。信号を細大漏らさずすべて拾い上げられる感じだ。さすがUHQR。能書きは伊達じゃない。

 まったくに素晴らしいレコードである。こういうモノが出てくるから、ソフト収集ヤメラレマセン。

 これからもバコバコ買うぞっ。

’04/06/29 (火)

間が良い


 画策成功に喜んでいるところへ、注文してあったADが届いた。なんて間がいいんでしょ。そのうちの1枚を紹介したい。

 「レスピーギ/ローマの祭、ローマの松/マゼール指揮、クリーブランドSO」(米MOBILE FIDELITY SOUND LAB MFQR 1-507)である。外盤A級セレクション第三集250番に取り上げられているので、ご存知方も多いと思う。

 A級で紹介されているほう(MFSL 1-507)は、DECCAオリジナルマスターテープからハーフスピードカッティング、スーパーヴィニールを使って日本ビクターでプレスしたもの。こちら(MFQR 1-507)は、更なるクオリティアップを狙ったUHQR盤である。発売は1982年。

 解説には「UHQR盤は通常盤に比較して歪みが低域で12dB以上、中域高調波歪み10dB以上、高域高調波歪み6dB以上の改善がある。クロストークは300Hzで9dB、1kHzで12dB、10kHzで6dB改善され、汚れが少なく定位のよい再生が可能である。盤の重量は200g、形状はフラットで表面は滑らか、極めて高品位なレコードである」と謳ってある。

 確かに重く厚く硬い盤である。RTIのHQ180盤とも質感が違う。さらに硬くて滑らかな感じ。見た目の形状は、正に"まっ平ら"だ。反りはまったく無い。看板に偽りなし、である。

 ウヤウヤしく頑丈な箱入り、開けるとさらに厚手のジャケットとインナージャケット入り、その上スポンジシート2枚で保護されている。ご丁寧なことである。5,000枚の限定盤、手書きのシリアルナンバー付きである。1249番だった。

 純然たる中古盤だが、ありがたいことに未開封盤である。イワユル「Factory sealed in immaculate condition」というヤツだ。22年前のレコード、さすがにヴァージンシールは茶色く変色しているけれど、ジャケット、中身はまったくの新品。超美品である。ヒネ素麺よろしく盤も練れているかも知れない。

 MO-FIのUHQR盤はどこで買っても安くはない。100$以上は当たり前、中には400〜500$というものもある。1,000$、なんてのもあるのかしらん。状態と内容からすれば、今回のものは決して高くないと思う。

 と、分かったようなことを書いているが、恥ずかしながら最近までこういうものの存在を、僕は知らなかったのだ。初めて知ったのは2年前、M85氏宅を訪問した時である。

’04/06/28 (月)

画策成功


 アーム下部デッドスペースの脱脂綿充填完了の図。開口部は、僅か大きめに切リ出した10mm厚コルク板を嵌め込んでフタをする。以上で今回のロックリング換装作業は終了である。随分引っぱったもんだ。シツレイ致しました。

 カートリッジはEminent、ゼロバランスから針圧をかけ直し、インサイドフォースキャンセラーも調整して再生準備完了。早速幾枚かレコードを聴いてみる。

 この音の違いは、本当にロックリングを換装しただけに因るものなのだろうか。予想を上回る向上である。音が出た瞬間、最も強く感じたのは低域の違いだ。パワフル、エネルギッシュ。曖昧さがなくなり音程明確。非常に締まりが良くソリッドな低域になった。これまでの音が、実はまだまだだったことを思い知らされるのである。

 低域にフヤけが少なくなれば、中高域は自ずから透明度が上がる。透明度が上がれば見通しが良くなり、音場感も向上。超高域に切れ、繊細感が出て、如何にも"アナログ"の音。CDに大きく差をつける。うーむ。アナログやめられまへんな。

 しかし。ロックリングを替えただけで、何故こんなに変わるのか。よく分からない。リングの強度向上、キャップスクリューによる強固な締め付け。よってアームとアームボードとの一体化が進み、支点力点作用点が明確化された結果か。「動くべき部分はより動きやすく、動かざるべき部分はより動きにくく」という一つの理想に、僅かながらも近づけたのかもしれない。

 と、ドシロウトがウネウネ理屈を並べてみても、それは屁のツッパリにもならんのである。ここは結果を素直に喜びましょう。大成功である。萬歳萬歳萬々歳。

 これで先月末の画策のうち、二つが成功裡に結実した。残り....ええと、あと幾つあるんだっけな。

 順次報告して行きたいと思う。

’04/06/27 (日)

空間処理


 前回はいつのことだったか、忘れてしまうほど久しぶりにアームボードを外した。僕のプレーヤーキャビネットは、基本的に長岡設計そのままである。違うのは材と板厚だけ。だからアームボード下部構造もご覧の通り、オリジナルに同様である。

 積層する板は厚く構造が同じ、ということは、アーム下部にできる空間容積が、必要以上に大きくなるわけだ。もちろん、工作の段階で工夫をすればオリジナルと同程度の容積、あるいはそれ以下に抑えることもできる。しかしそれはヒジョーにメンド臭いのである。ルーターを使って板に溝を切ったりしなければ遺憾。そーゆー細かい芸当、僕には無理です。

 ちゅうわけで、アームの下にはポッカリと大きく、暗渠のような空間ができてしまっている。実はこれが、音に悪さをするのである。

 行き止まりの洞窟、みたいなこの空間で音が共鳴し、ハウリングマージンを著しく下げてしまうのである。それに気が付いたのは少しでもマージンを稼ごうと、いろいろ対策している最中だった。

 最初はモーター下部の空間だけに目が行っていた。同じ理由でオリジナル設計よりも間隙が広くなっているのである。ここの処理については長岡先生も「ウレタンフォームか何かを挟めば悪影響を避けられる」と言及されている。

 ウレタンは長期の使用で劣化してポロポロになる。ので、僕は脱脂綿を固く詰め込んでいるわけだが、そうであってみれば、アーム下だって同じ対策をしたほうが良いのではないか。モーター下よりも、音への影響、ハウリングへの影響は大きいはずである。

 そこで実際に対策。アームコードを繋ぎ、ボードをキチンと載せた後、キャビネット背面に空いている穴から脱脂綿をギュウギュウ詰め込む。詰める前にある程度脱脂綿を穴の形に合わせてフォーミングしておくのがコツである。アームコードを傷めては遺憾。やんわり充填するよりも固く詰めたほうが良いようだ。

 この対策は意外なほど効果が高い。ハウリングマージンがぐんと上がり、音の鮮明さがうんと良くなるのである。やっぱり余計な空間、デッドスペースは、無いほうが良いンだな。もちろん、脱脂綿が最高というわけではなく、他にもっと良いものもあると思う。

 アナログプレーヤー周りは、ことほど左様に繊細微妙である。重ければ、丈夫であれば良いと、力で押すばかりの対策では追い切れない。硬軟自在、融通無碍の対策が必要。ヤワラカ頭で行きましょう。そこがまた、楽しいところでもあるわけだが。

 然るに砲金ロックリング、その効果や如何に。

’04/06/26 (土)

しっかり締めて


 ロックリングの厚みが増したことで、従来使ってきた締めネジでは長さが足りなくなった。これまでは30mmのSUS製M4ナベネジで締めてあったわけだが、僅かに先っぽがネジ穴にかかるくらい。無理をすればネジ山を潰してしまうのである。そんなことになっては大変だ。

 そこで僕のネジコレクション(僕はネジが好きである)をかき回し、良い加減のネジを捜す。M5、M6のネジは山ほどある。スピーカーユニット取り付けにしばしば使うからである。ところがM4になるとほとんど見当たらない。あっても短すぎたり長すぎたり。ヒッシになって箱をかき回し、どうやらよさそうなものを見つけた。

 SUS製40mmM4キャップスクリューである。スーパースワンの真鍮サブバッフルとインナーリングを締め付けに使った余りネジらしい。いやあ、何でも取っておくべきですなあ。こんなことゆってるからいつまで経っても部屋が片付かないわけだが。

 これは上手く行った。そりゃそーだ、4mm厚リングに30mmネジで適合していたわけだから、10mm厚に40mmなら4mmの余裕ができる勘定になる。受けるネジ穴の深さに問題はない。

 ご覧の通り、ピッタリである。キャップスクリューはしっかり締めることができてキモチ良い。調子に乗ってぎゅうぎゅう締めたりしては、イケナイ。過ぎたるは及ばざるが如し。適当なところでOKである。

 端子のクリーニングもできたし、本体の埃払いもできた。あとは実装して聴くだけだ。うむ、ヒジョーに楽しみなのである。

’04/06/25 (金)

ルックスだけで大満足


 業務上の公的行事がメジロ押しで困っている。幹事役はともかく忙しい。日誌を書くヒマもないなんて、こんなことがあってよいものか。と、これは言いわけに過ぎない。申しわけございません。

 さて、ドーナツ型パーツである。このものの使い道は、写真の通り。EPA-100MkII専用ロックリングであったわけだ。純正品はたぶんSUS製(クロムメッキがかけてあるのでよく分からない)、外径φ80mm、内径φ41mm、4mm厚で130g。今回作ってもらったものは、外径、内径そのままに厚みを10mmとし、材も砲金に変更。340gになった。厚さは2.5倍、重さは約2.6倍である。

 ロックリングをこういうものに作り替えたい、とは、もう随分前から友達の一人と話し続けていたことである。純正品が特に強度不足だとは思わないけれど、もっと頑丈で、もっと重いものにしたらどうなるのか。是非ともやってみたいことの一つだね、と。それが漸く実現したのである。

 実は、EPA-100MkII初期型のロックリングは、なんとも情けなくなるようなものだったのである。外径は小さく、しかも薄かった。何だかヒラヒラしてたな。あれはたぶん軟鉄のプレス品だったんぢゃなかろうか。取り付けネジを強く締めると、ヒン曲がってしまうようなものだったのダ。

 これじゃあんまりだと、確か長岡先生辺り(だったかどうか、定かではない。違っていたらゴメンナサイ)からメーカーへアドバイスがあり、後期型から上記4mm厚の頑丈なタイプへ予告無しの変更があったのである。

 これはヒン曲がったりせず、ヒジョーに硬く丈夫である。ヒラヒラしてない。強度は充分だろう。それをまたぞろ厚く重く、しかも砲金に変えてしまうわけで、これに何か意味があるのだろうか。それは音を聴いてのお楽しみ。たぶん、僕にとっては好ましい方向への変化が、あるはずだ。とりあえず、装着した状態のルックスは上の写真の如く、ソリッドな迫力満点である。

 これだけで、僕は大満足。

’04/06/23 (水)

友達に、感謝


 ちゃんと使ってみてから日誌のネタにしようと思っていながら、どうにもヒマがなくて作業出来ないで居る。ナゾのドーナツ型パーツである。ワカル人にはナゾでも何でもないわけだが。

 写真左が元々のパーツ、それを基本に作ってもらったのが右のパーツ。要するにそーゆーことなのである。ここで多くを語っちゃうと、またぞろネタに困ることになるので、今日のところはこの辺で。いえ、引っぱって気を持たせるつもりはまったくないのでゴザイマス。

 北と南の遠くに住む友達に、心から感謝したい。

’04/06/22 (火)

砲金板でした


 怪しいパーツの正体は、単なる砲金板でした。気を持たせたわりには、フツーなのである。W270×D150mm、10mm厚で実測重量3,620g。結構な重さである。

 現用のSUSトゥイーター敷き板に替わるものとして作ってもらった。SUSのほうに重大な問題があるわけではない。それでもディーテイルにこだわって細かく見ると、大満足というわけでもないのだった。

 奥行きはピッタリだが横幅が僅かに大きい。第一バッフル幅の両端に5mmほどずつはみ出ているのである。気になる。厚みが15mmである。やや厚すぎ、気になる。材がSUSである。これもいささか気になる。ちゅうわけで、幅を揃え、厚みを10mmに減らし、材を砲金として、新たに切り出してもらったわけである。

 さてこれをSUS板と置き換えて、良い結果が出るかどうかは、保証の限りに非ず。良くなりそうな気がする、だけである。科学的根拠。明確な予測。そんなモンはない。はっきり分かるのは「音は変わる」ということ。これだけは確かである。僕にとって良い方向なのか、そうでないのか、それはやってみなければ分からない。それこそ、金属的な音に、なってしまうかもしれないのである。

 ナニ、駄目なら次へ進めばイイのだ。なにもこれが最後の一手ではない。やりようはナンボでもある。もしかしたら、駄目でもそのまま使っちゃうかな。少なくとも、ルックス的には砲金のほうが好きだし。ムチャクチャいい加減である。

 写真奥に見える円形の物体。これについては後日、実際の使用状況とともに報告したい。

’04/06/21 (月)

怪しい


 金属的な響きを、益々助長するような怪しいパーツが届いた。もちろん、リクエストによって作ってもらったものである。叩けばチーンと鳴る。イヤ、決してお仏壇のリンではありません。

 詳しい正体は、また明日。

’04/06/20 (日)

DF三年


 とんぼさん謹製DFリングを使い始めて3年経った。今や完全にシステムの一部となり、絶対に外せないパーツの一つである。当初は多少のツッパリ感、僅かギラギラした感じがあったものの、それも時と共に消え失せ、現状何の違和感もない。デメリットが消え、メリットだけが残った感じ。よく言われる「金属的な響き」も皆無である。

 実際には盛大に鳴いているのだろうし、源信号に無関係な音波を放射しているに違いないのである。だからと言ってそれを何かでダンプしようとは、全く思わない。大体が完璧なダンプなどできっこないのだ。数gにも満たないナントカチップを貼れば鳴きが止まる? そんなアンタ、物理法則をぶっ飛ばすようなことを言ってはイケナイ。相手は重量2,720g(20cmタイプ)に達する砲金リングである。蓄積されるエネルギーは半端ではないのだ。

 「金属的な響き」。この言葉が音を評価する上で使われるとき、否定的な意味合いを持つことが多いようだ。余程金属的な音がお嫌いなご様子で。金属はよく鳴く、だから駄目だ、鳴きをコントロールしないと駄目だ、そうしたら音が良くなるのだ。

 確かにそうかもしれない。でも、僕はやらない。否、やらないと言っては遺憾か。時の力の任せるのである。な〜んにもしないでほったらかす。ただでっかい音で鳴らし続けるだけ。メカニズムはワカランけれど、それだけで音は落ちついて行く。金属だって、枯れるのである。但し、ヒジョーに時間のかかる作業には、なる。気の短いヒトには向かないかな。

 リングを使ってみたが金属臭くてイヤダとおっしゃるムキには、しばらくガマンされることをお薦めしたい。永い間には、きっと使い始めとは違う結果が得られるはずだ。このことはリングに限らず、すべてのパーツについて言えることである。「その時を待つ」ことも、必要なのである。

 DFリング3年。向後さらに時間が経てば、使っていることさえ忘れ去ってしまうに違いないのである。

 十牛図で云うところの、「人牛倶忘」であります。

’04/06/19 (土)

大感謝

 客室を再開し、早くもたくさんのメッセージを頂いた。ありがとうございます。僕はとてもうれしいです。

 webサイトを運営する者として、掲示板は必要不可欠のもののように思われる。こちらから情報(益無益は別)を発信するのみではなく、ご覧になる方々からの情報も得たいからである。サイト本編戯言よりも、掲示板のほうが面白かったりするわけだ。シャレにもなっとらんな。一方向ではなく双方向。何だかBS-Hiみたいなこと、ゆってますが。

 デメリットもあることは承知している。ネットでは何が起こるかわからない。しかし道具は使いよう。管理人は極めて不肖だけれども、皆さんからの智慧と力を拝借しながら、改めて有益な情報を積んで行きたいと、思うのである。どうかよろしくお願い致します。

 「一より始め十を知り、十より還る元のその一」。

’04/06/18 (水)

客室再開

 「過去ログファイルの復旧は非常に困難であると思われる」。これがサーバー運営会社からの返答である。やはりそうだろう。「原因詳細は不明。只今調査中」だそうだ。きわめて不本意だが、今となってはどうしようもない。バックアップを取っておくのを懈怠したオノレの不注意である。会社からも「今後は定期的にバックアップを行いなさい」」と注意を喚起されてしまった。ハイ、よくわかりました。

 これまでに多くのメッセージを書き込んでくださった方々には、お詫びのし様もない。誠に申しわけございませんでした。貴重な情報、示唆に富む内容がたくさんあっただけに、僕としても極めて残念、慙愧に堪えないのである。

 復旧不可能と判明したならば、これ以上閉鎖を続ける要はなくなった。今日から「箱船の客室」を再開する。大変ご迷惑をおかけしたが、どうかご寛恕の上今後もよろしくご愛顧いただけることを、伏してお願い申し上げたいのである。

 私儀、いささか反省中です。

’04/06/17 (木)

蛍の季節


 気がつけば、今年も早蛍の季節である。近くの川では昨年以上に数を増やして飛んでいるという。ウチの裏庭でも、僅かながら増えているようだ。西の空にまだ明るさが残る午後8時頃から、チラホラと飛び始めている。

 そのうちの一匹に箱船までお出でいただき、記念写真を1枚。歩き回ってなかなかちゃんと撮れない。一瞬眤としたところを撮ってはみたけれど、ご覧の通りピンボケである。御容赦ください。

 写真の個体は♀である。体長25mmほど。ゲンジボタルのなかでも大きいほうだろうと思う。パートナーをみつけ交尾し卵を産めば、彼女の命は終わりである。ほんの7日間ほど。

 これを短いと感じるのは、人間様の傲慢である。

’04/06/16 (水)

将来的には果物


 トマトである。いい加減な家庭菜園のワリには、よくできました。フルーツトマトという種類で、フツーのやつよりも甘いそうだ。こんなのがあるなんて、恥かしながら僕はまったく知らなかった。「フルーツトマト」でググってみたら、出るわ出るわ。どうやら今のトレンドらしい。

 糖度8〜10、或いはそれ以上のものをフルーツトマトと呼ぶそうだ。特に甘いものになると糖度12〜14くらいあるという。こりゃあ甘い。蜜柑など柑橘類で10、スイカは11、りんごや苺が12〜15、メロンでも13である。これからすると糖度14のトマトなんちゅうものは、メチャクチャに甘いということになる。正に"フルーツ"だ。

 トマトは一般的に野菜である。だからわざわざ「フルーツ」と冠するわけだ。だったら上に挙げた中で、スイカ、メロンは野菜かフルーツか。これは人類発祥以来最大のナゾである。

 どちらもウリの仲間である。キュウリや冬瓜やカボチャとはかなり近しいご親戚さんだ。分類学的に見れば、間違いなく野菜だな。でも「フルーツスイカ」とか「フルーツメロン」とは言わない。つまり、ゴハンのおかずになるものは野菜、おやつ(デザート)になるものは果物、なのだろうか。いや待て。スイカも小さいうちに採って粕漬けにしたヤツがあるぞ。あれならおかずになる。このバヤイ野菜か。

 甘い作物を指して果物、というのならば、サトウキビはどうだ。生でカジっても甘い。サトウカエデの表皮もガジガジすると甘い。でも果物とは言わない。当然である。果実ではないし、砂糖の原材料だからである。スイカもメロンも「甘い果実」である。正しく果物。イヤ、あれはやっぱり野菜だろう。

 八百屋さんで売るものは野菜、青果店で売るものは果物。と言ってもメロン、スイカはどっちでも買える、ような気がする。う〜ん、境界線ははっきりしないのである。どーでもええか。

 トマトは今のところ純然たる野菜扱いである。今後は、わからない。さらに甘さが上がり、ぶどう並みの糖度17を超えるようになれば、果物にヘンシンするかも知れないのである。そうなれば、トマトをベースにした野菜ジュースは名称変更しなくては遺憾。老舗「V8」は「V7+F1」となる。

 わけわからんな。

’04/06/15 (火)

客室一旦閉鎖

 運営会社への問い合わせに対する返事はまだ返ってこない。客室は寂れたままである。何だか悲しいのである。今日中になんらかの動きがなければ、もう一度連絡してみようと思う。

 会社ではパニックが起こっているのかもしれない。トラブルに見舞われたのが僕一人とは考え難いからである。あちこちから「どーなっとるんじゃ!」という怒りのメールが届きまくり、対応にヒッシだという可能性もある。

 どこかの馬鹿がバグだらけのCGIを動かそうとし、同じサーバー内にある他ユーザーのプログラムをぶっ壊した、ということも考えられると、友達から聞いた。う〜む、魑魅魍魎の世界である。だとしたら会社自身も被害者と言えるわけだ。あまり尻を叩いては遺憾、という気もする。

 状況が判明するまでの間、メニューから客室へのリンクを切り、一旦閉鎖したいと思う。過去の記事が復旧するにせよ、しないにせよ、正常に使えるようになった時点で再開する。たいへんご迷惑をおかけし、申しわけございません。よろしくお願い致します。

 掲示板が寂れる。これは実に悲しいものである。

’04/06/14 (月)

ブライヤー


 ネタ切れである。ので、箱船にある「アヤシイもの」を紹介してお茶を濁すのである。ゴメンナサイ。

 写真は、以前から時々背景に使ってきた板である。長径25cmくらい、小さな切株輪切りのようなものだ。正体は、ブライヤー。パイプ、ステッキの持ち手に使われる、硬く木目の美しい木材である。その昔、DENONのプリアンプPRA-2000RGのボリュームノブには、これの短い円筒が嵌め込んであった。

 Briar。ギリシャ、コルシカ、サルディニアなど、地中海沿岸に自生するツツジ科シャクナゲの仲間の根瘤をさして言う。地中にできるコブである。フランス語では「ブリュイエール」という。俗に「バラの根瘤」とも言われるようだが、これは誤りだそうだ。「briar」が「野ばら」を指す単語と同じ綴り、発音であることから混同されたらしい。

 極めて雨が少なく痩せた荒地に自生するため、大きくなるには非常な時間がかかる。だからこそ非常に硬く、複雑微妙な木目を持つ木材に育つわけだ。たまたま肥沃な土地に育ってしまったブライヤーは、軟弱で木目が粗く商品にはならない。苦労人が喜ばれるのである。

 特に苦労して育ち、殊更に美しい木目を持つに至ったブライヤーは「プラトウ」と呼ばれ、最高級品として特別扱いになる。随分高価だと聞く。写真のものは、東急ハンズで投売り状態だった。たぶん良い部分を木取りしたあとの端材だろう。ひびがあったり穴が開いたりしている。

 端材といっても、ブライヤーの質感を楽しむには充分である。極めて硬質で、少々のことでは傷も付かない。木目は複雑怪奇、見ているだけで楽しくなる。何に使うでもなく、置いてあるだけで僕は満足なのである。

 是を見た友達が「ま〜たアヤシイもん買うてからに」と言うので「んじゃ、チミは要らんの?」と訊ねたら「欲しい」と言った。

 アンタもアヤシイな。

’04/06/13 (日)

モンパチとは何者


 客室は未だ復旧せず。もしかしたら過去の記事は復旧叶わず、また一からのスタートになるかもしれない。ともかく現在調査中なので、もうしばらくお待ちいただきたいのである。御迷惑をおかけし、誠に申しわけございません。


 先日久しぶりに近所の楽器屋さんを訪ねた。そうしたらば、店内でフェンダー・テレキャスターをガシガシかき鳴らしている小僧がいる。歳の頃は20歳前後、上手くはないけれど勢いだけはある。どこかで聴いたことがあるようなフレーズも弾く。

 「それってなんちゅう曲だっけ?」と訊ねると「モンパチの『小さな恋のうた』ですっ」と力強く答えた。「モンパチ。ナニソレ」「モンゴル800ってゆーグループの曲です。愛称モンパチ」「ははあ、なるほど」。彼は今月1日、KBSホールへ聴きに行ったそうだ。

 「モンパチ」とは全く知らなかったが、この曲は知っている。たぶんラジオか有線で聴いたのだろう。訊けばインディーズ系レーベルからCDが出ているという。ちょっと気になったので、帰りにCDショップへ寄り、早速買ってきた。

 正しいグループ名は「MONGOL800」。「もんごるはっぴゃく」と読むのが正しいのかどうかも知らない。沖縄出身のグループである。棚にあったのは2タイトル。「MESSAGE」(日HIGH WAVE HICC-1201)と「百々」(同 HICC-1801)である。前者は(P)(C)2001、後者が(P)(C)2004、最新CDか。

 一通り聴いてみた。ギター、ベース、ドラムのトリオ、シンプルでストレートなロックを演る。極めて威勢が良く、どこまでも走って行っちゃうような感じだ。う〜む、こりゃ若くないとできないな。

 録音で聴くようなモノではないと思いながら、一応の評を述べれば。

 「百々」は全体的に歪みが多くて聴きづらい。「MESSAGE」のほうが優れているようである。中高域に歪みが少なく、うるさくなりにくい。低域には力があり押し出しが良い。かなりボリュームを上げても聴ける。上の写真の通りギリギリいっぱいのカッティングレベルである。100、125Hzはスケールアウトしてしまっている。一見レンジが広く見える、のはレベルが高い所為であって、−30dBしてみればそうでもないことが分かる。Dレンジ極小、音場感は当然の如く望めない。

 さりながらエネルギーバランスとしては低域に寄っていて、カスカス録音の多いこの手の音楽としてはよくできていると思う。トラックによって音に多少の差があり、トラック1と10の低域が特に力強い。ドラムはヒッシの演奏、このバスドラムをシングルペダルで踏んでいるならたいしたもんだ。音の感じからすると、ツインペダルを使っているようなふうでもある。

 優秀録音盤、ではないと思う。が、圧倒的大音量で眤と聴いていると、言うに言われぬ気持ちにさせられるグループである。明るさと憂いと優しさが同居したような曲風には、独特の魅力がある。出身が為せる業か。

 2枚まとめて全曲聴いたら、さすがにグッタリした。おっさんはこの勢いについて行けず、取り残されるのである。

 1年分くらい、聴きました。

’04/06/12 (土)

客室がヘン

 「箱船の客室」の調子がおかしい。それは昨日の午前中、いただいたメッセージに返信を書き込もうとし、上手く接続できない状況から始まった。そのうち、接続は可能になったが、今度はこれまでにいただいた記事が全く表示されなくなってしまった。どーしたことだ。

 レンタルサーバー運営元に問い合わせてみた。確かに接続障害が起こっていたそうだが、今は復旧していると言う。アクセスしてみる。やっぱり投稿記事が表示されない。厭な予感。ぜ〜んぶ消えちゃったのかなあ〜。

 現在調査中である。全てぶっ飛んでしまったなら、僕はいささかショックである。バックアップは。何だかダメなような気がするのだが、こういうバヤイどーなんでしょうか。問題が起きると、カラッキシわけがわからなくのは、未だに初心者丸出しでお恥ずかしいのである。

 やはり過去ログ、作っておくべきだったなあ....。

’04/06/11 (金)

なるなる


 ニガウリはまだ生らない。ようやく花が咲き始めたくらいである。梅雨が明けてからかな。ネッタイ的作物だし。

 キウリはヒジョーに元気である。バカバカ花が咲いてバカバカ実が生る。一昨日3本、昨日2本、今日また2本は収穫できそうだ。結実を待つ者は他にもいて、さっさともいでおかないとソヤツらにカジられるのである。

 ダンゴムシ、カメムシの仲間(主に緑色のヤツである)、ナメクジ、などがそれである。ダンゴムシはその風貌に似合わず素早い。あっという間に寄ってきて実をカジる。カメムシは針みたいな口をプスッと突き刺して果汁を吸う。写真右のキウリの先っちょには、ナメクジがくっついている。コイツもカジる。皆、ヒッシなのである。

 これがキボチ悪ければ駆除は簡単。農薬を使えば一発解消である。1uにも満たないような家庭菜園で、そこまでやるか。やらないのである。多少カジり痕があっても、ヒン曲がっていても、商品じゃないンだからちっとも構わない。洗って食えば問題なし。農薬のほうがよほどキボチ悪いのである。

 出来たキウリは、塩をかけて丸齧りしても美味い。ヌカ漬もいけるし、醤油と酢にラー油を加えて漬け込んでもよい。なんてったって、鮮度抜群なのだから。うまいぞっ。

 当分の間買う必要がなさそうだ。

’04/06/10 (木)

CDと同い年


 「動かないかもしれないけど、よかったらあげる」と、親しい友達から譲り受けたものである。これを見て「あっ、懐かしい」と思ったそこのアナタ。僕と同世代ですな。

 カタログ上で見たことはあっても、実物を見るのは初めてである。オーディオ・テクニカAT-727。と言うよりも愛称で呼んだほうが通りが良いだろう。「サウンド・バーガー」である。1982年発売、ちゅうことはCDと同い年なのである。当時の定価28,000円。写真のものはシルバー、他に赤と黄色があった。何時頃まで販売されていたのか、判然としない。少なくとも1986年のカタログには載っている。

 電源は単二乾電池3本、ACアダプターも付いている。33/45回転に対応、30cmLPもちゃんと再生できる。カートリッジ付属。型番はATN-103とある。テクニカ得意のVM型である。アームは針圧固定ダイナミック・バランス型。ポータブルとは言えレコードをかけながらの持ち運びはNGである。基本的には据え置いて使うもの。多少の傾きには、大らかだと思う。

 フォノイコライザー内蔵、ラインアウト端子(RCAピンジャック)1組とヘッドホン出力端子2組を装備する。もちろんステレオである。外形寸法D290×W99×H65mm、電池を含む実測重量1,250g。「ポータブル・ディスク・プレーヤー」ということだが、作りがしっかりしているだけにちょっと重い。デザインは秀逸だと思う。

 積年の埃を払って電池を入れる。パワースイッチを押せば、オヲ。ターンテーブルはちゃんと回るぢゃないか。コリャ面白い。早速聴いてみよう、と思ったら何やらカートリッジの様子がおかしい。スタイラスチップが異様に小さいのである。な〜んだかアヤシイな〜。20倍ルーペで調べる。....はうっ、なんということだ。

 チップが、無い。根元から折れて、無くなってゐる。これは遺憾。聴けないのである。さて、どーするか。

 実はもう1台、完不動品を貰っている。モーターが死んでいるようだ。上手いグワイにこっちのカートリッジは生きている。これと差し替えれば良いのである。と、ここまで書いてネット検索したら、現在も交換針を買えることが判明。さすがである。

 ハイファイとは世界が違うわけだが、僕はこういうモノがとても好きだ。楽しいじゃありませんか。どんな音が出るんだろう。

 友達には、感謝感謝。ありがとうございます。

’04/06/09 (水)

御利益倍増


 お客様を招くという、左手(正しくは左前足)を挙げた金マネキネコ。何だかオーディオマニアが喜びそうなモノの上に載っている。10mm厚10cm角のコーリアン板でオーディオリプラスのOPT-1をサンドイッチした置き台である。固定、接着はしていない。挟んで置いてあるだけ。何か意味があるのか。

 何の意味もない。両者ともこれまでWAGCを支えるのに使っていたワケだが、別のものに替えてリタイヤ。行き場を失い、シャレでこーゆーことをやってみただけ。極めてクダラン話なのである。

 ひょっとするとこういう使い方も、何処かで役に立つ、かもしれない。ミニスピーカーの置き台とか、高ささえ合えばトゥイーター置き台とか。それにしてももう一組、要るな。

 コーリアンもOPT-1(石英ガラス製である)も、非常に硬い素材である。インシュレーター(絶縁物、絶縁体、隔離するもの)とは言い難い。こんなに硬くては振動を「絶縁」することなど、できないのである。これらを使って音が変ったなら(実際変わる)、それは振動の伝わり方が変わるからだろう。

 試しにこれを、床が共振し易い部屋や軟弱なラックの上でADプレーヤーの脚に使ってみれば、インシュレーターでないことがすぐに分かる。ハウリングの嵐である。ムカシムカシ、とあるアクセサリーの「有害な共振を強力に遮断します!」という甘言にまんまと乗せられ、その憂き目に遭ったのは、恥かしながらこのワタクシでございます。

 適材適所。ハード系を使うべきところ、ソフト系を使うべきところ。よく見極めて使い分けないと、改善のつもりが改悪になってしまう。音が変ったことのみに満足し、本質を見失いそうになることは多々ある。他人事ではない。僕自身に振り向けられるべき戒めである。

 さて、この置き台のお値段。総額20,000円超(!)ナリ。豪奢な台の上にあって御利益倍増か、金マネキネコ。

’04/06/08 (火)

慌しい一日

 身内にケガ人が出、ネコが病気をし、オツトメがたくさんあり、ついでに会合もあり。昨日はなんだか忙しい日だった。幸いは、いずれも大事に至らずともかくは小康を得られたことである。これも仏天のご加護か。ありがたし。しかし、シンドイ一日だった。

 来週になれば、来月になれば、と時間に余裕ができるのを楽しみにしながら、ちっともそうならない。たぶん、今年は年中こういう状況が続くのだろう。来年になれば。ホンマかいな。

 ともかく、何事にも誠意を尽して、がんばりましょう。

’04/06/07 (月)

8ヶ月


 トゥイーターハイパスコンデンサーにジェンセン銅箔オイル1000V耐圧を使い始めてから8ヶ月が経った。当初「繊細感の630V、力感の1000V」という印象だと書いた。ある程度使い込んだ630Vと、封を切ってすぐの1000Vとの比較だったから「今後に期待したい」とも書いたわけである。

 うれしいことに今、期待通りの変化を見せるのである。力感、ソリッド感抜群のまま、繊細感と艶が出てきた。T-300A、JA-0506IIとの相性も抜群、輪郭鮮明、高解像度でいてしかも強調感のない、ヒジョーに良い音になったと思う。こうなれば1000Vの圧勝と言えるだろう。

 1000Vのデメリット、それは外形寸法である。とにかくデカい。はっきり言って大き過ぎると思う。共鳴管断面積を1.4倍してあるスーパーネッシーだから、トゥイーターを載せるスペースに余裕があるわけだ。これがオリジナルネッシーII、あるいはネッシーIIIだと少々厳しいと思う。ネットワークBOXを別に用意する必要が出てくるかもしれない。

 他のスピーカー、例えばスーパースワンのヘッドに載せて使うのには苦しい。モアなら大丈夫だろう。スーパーレアだとどうだか分からない。

 しかし、よく考えれば1000Vモノをこんなにゴチャゴチャパラって使う変人は、たぶん僕くらいしかいないだろうから、余計な心配は要らない。8ヶ月のエージングで確かに音は良くなった。と同時にクロス付近での滲み、歪みも気になり始め、トータルの容量に再考の余地が出てきたのは確かな事実である。両トゥイーターとも2個パラくらいに整理できればと思う。

 あと4ヶ月、1年経ったところくらいで再調整してみたい。

’04/06/06 (日)

上客、ではないだろう


 以前から随分とお世話になっている中古レコードショップから、久しぶりに連絡があった。「ご希望に添えそうなレコードが4タイトルほど入りました」と。内容を訊いてみれば、3タイトルは既に手持ちにあり、1タイトルは未入手のものである。単価はそれほど高くはない。選ぶのがメンド臭かったのとスペアが欲しかったのとで、全部送ってもらった。

 レコード探しをしている友達の一人も、目ざとくこのショップを見つけた。連絡してみたところがこう言われたそうだ。「その手のレコードは、K都のJ職さんが全部お買い上げになりますからねえ....」と。あとになって「これって、くずてつさんのことじゃ、ないんですか?」と問い詰められ「ハイ、それはワタクシでございます」。申しわけないのである。しかし、ヒトコト言いわけをさせていただければ。

 決して「全部」買っているわけではないのんである。複数あるものは避けているし、好みでないものは買わない。元々DECCAやRCAのヴィンテージ物を中心に扱うお店だから、僕が特に欲しがるようなケッタイなレコードは、あまり得手ではない。そんなにどんどん入荷するものでもないのである。

 マスターにしてみれば「よーわからんケッタイなレコード」ばかりを入荷させる妙な客、ということになるのだろう。「ラインの黄金」のDECCAオリジナルセットを買った時は「こんなのも聴くんですか」と言われた。完全に「あっち側のヒト」と思われているのである。

 とは言え、こういうお店と縁が保てているのは幸いである。店にとっては上客なのか、下衆な客なのか。

 たぶん、後者かな。

’04/06/05 (土)

出かけます

 今日はこれから早出でちょっとした業務関係の催しに参加する。80名ほどを引き連れ、バス2台を仕立てての出張りである。これも僕の大切な仕事だ。

 日帰り行程、加えて会場は遠くないので、さほど大袈裟なことではない。のだが、統括責任者としては、やはり不測の事態を心配するのである。参加者はほとんどが女性、しかも平均年齢は高い。何事もなく無事に帰れることを願うのである。

 というわけで、今から行ってきます。

’04/06/04 (金)

朝焼けオーディオ


 夜明けの風景を載せるのは、久しぶりだ。今朝午前5時、東の空に現れた朝焼けである。

 僕のバイオリズムはヒジョーに単純だそうで、日照の短い冬の間は気分もユーウツ、早起きできにくい。毎年夏至が近づくこの時期になると、日没と同時に眠くなり、日の出と同時に目が覚める。きっと僕の前世はヘビかトカゲだったに違いない。そう言えば爬虫類、大好きだしな。

 今年の夏至は、6月21日である。一年のうちで日の出が最も早く、日没が最も遅い日。太陽が最も高い位置に昇る日。夏至点を通過する日。僕はこの日の前後1ヶ月間くらいがいちばん好きな季節である。

 日が暮れたら眠り、日が昇ったら目覚める。如何にも健康的である。ニンゲン、こうでなきゃ遺憾。と、思えども、オーディオやってると、どーも逆手を行きそうになって困る。人類は何時立ったか、と言えば「朝立った」(!)という説があるくらいだ。朝は大切なのである。

 夜明けとともに聴くオーディオ。素晴らしいやおまへんか。

’04/06/03 (木)

これからできます


 何を思ったか、愚息と愚妻が突然家庭菜園を作り始めた。ナス、キュウリ、トマトと、もう一つ。写真に見えるニガウリ、いわゆるゴーヤである。愚息2号のリクエストらしい。「ゴーヤが熟れると、真黄色になって先っちょが割れて反り返り、中から真赤な種が出てきて面白いぞ」と言ったのが気に入ったそうだ。別に食べたいわけではないのんである。

 ムカシ、僕がまだ西宮のお寺にいた頃。師匠がゴーヤ好きだったので毎年作った。非常に生命力の強い作物であって、そんなに苦労しないでもどんどん育つ。どんどん育てばどんどん実がなる。老師大喜び、「お前さん達も、どんどん食べろよ」と言ってくれるのはありがたかった。しかしこの野菜、ナンボでも食べられるようなものでもないように思われる。

 美味いが苦い。特に自作のバヤイ、日照の関係からか苦味が強くなるようだ。オマケに青臭い。ビタミンCが多く体には良いそうだが、毎日毎日ゴーヤチャンプルー(ゴーヤと豆腐の炒め物、肉卵抜き)メニューに閉口し、仕舞いには「門前で売ってしまえ」という話も出たほどだった。

 さて、ウチのゴーヤ、閉口するほどに収穫があるのだろうか。20cmほどの苗から、1m超に伸びてはいる。なんとなくヒヨワな感じがするけれど。実がなればそれなりに楽しい。なり過ぎると、毎日ゴーヤ責めである。たぶんそんなには出来ないだろうな。

 いささか楽しみに、しているのである。

’04/06/02 (水)

よくできました


 最近買ったCDである。「Dave Grusin/Discovered Again! Plus」(米LIM XR002)。シェフィールドのD2Dを、Xrcd24化してリリースしているシリーズの1枚である。

 一作目はジェームズ・ニュートン、二作目はトラック・レコード&ドラム・レコード、今日のタイトルはシリーズ三作目になる。四作目も既に出ている。アマンダ・マクブルームの盤である。原盤は、シェフィールドLAB-5。これは以前にも日誌に載せている。AD再発盤(トレジャリー・シリーズST-500。これはD2Dに非ず)もあるので、これで3種類目になるわけだ。

 もとが出来の良いD2Dなだけに、如何にXrcd24とは言え比較試聴は苦しい。と思ったら、これがなかなか。D2D→Xrcd24化も三作目になってかなり手馴れてきた感じで、思いの外グワイが良い。ハイ(特にハイハット)にややクセ、というかアクセントが感じられる点、やや硬さがある点以外は、ヒジョーによくできていると思う。再発盤ST-500には負けていない。

 Xrcd24特典として、トラック2、3、5、6(ADではA-2、A-3、B-1、B-2)の別テイク、計4曲のボーナストラックが付いている。タイトルにくっついている「Plus」の意はこれにあるわけだ。

 同時期に録音されたものなので、違和感は全くない。どころか、これも優秀である。特にトラック2「Keep Your Eye On The Sparrow」は面白い。LAB-5、ST-500、XR002のトラック9、それぞれ違ったテイクが収録(ST-500のA-2とXR002のトラック2は同テイク)されているのである。1曲を三度楽しめます。XR002-9での演奏が、最ものびのびしているように聴こえる。

 CDフォーマットでも、リキを入れればここまでのパフォーマンスが実現できるのである。今後の展開に期待したい。と同時に、同じくらい、或いはそれ以上に力を込め、SACD化すればどんなものかと、思ってしまったのも事実である。

 是非、がんばってほしいものである。

’04/06/01 (火)

初夏が来れば思い出す


 6月である。庭の柿の木もすっかり新緑、というには既に遅い感じ。先月29日には九州地方の梅雨入りが発表されたくらいだから、季節はもう初夏である。近畿地方の梅雨入りはまだのようだが、先月は5月に珍しく雨が多かった。写真の柿の葉も、終日降り続いた雨で緑がなお映えるようだ。

 5月29日と言えば、それはとても大切な日だ。長岡先生のご命日なのである。もう4年、まだ4年。早いような、そうでないような、フシギな気持ちである。もしご存命であれば、と考えることは、昨今却って多くなったようにも感じられる。言うてみても詮無いことではあるのだが。

 箱船にお出でいただいてからだと既に7年が経つ。その時のアドヴァイスによって実現した箱船現スピーカーシステムは、今になってようやくまともな音を出し始めている。考え様によっては、これらも遺産の一つと言えなくもない。「あなたには20cm1発じゃ、足りないね」。この言葉がなければ、僕は今も悶々としていたに違いないのだから。

 僕にとってそれは、「わすれられないおくりもの」なのである。