箱船航海日誌 2001年06月

日々雑感、出来事などを思いつきに任せて綴っていこう

過去の日誌コンテンツ

’01/06/30 (土)

調べはアマリリス


 春先に奇特な方からアマリリスの球根をいただいた。某有名種苗メーカーの一流品、球根は異様にでかくて重かった。さぞ立派な花が咲くだろうと楽しみにしていたら、予想を上回る迫力である。

 一輪一輪がとにかくデカい。直径が20cm以上あるのだ。二本の太い軸が根元から出ていて、それぞれに三輪ずつ、計六輪の巨大な花が咲き誇る。

 当たり前のことだが、実物は画像で見るよりずっと鮮やかで、目に焼きつくような色である。少しでもリアルにお伝えできないかと多少調整してこの程度。曇り空での撮影だったこともあるみたい。ちょっと残念。

 チョイチョイと肥やしをやった程度なのでもちろん大きなことは言えないにしても、花つくりを趣味にする人の気持ちが、ちょっと分かったように思う。当初の目的は「綺麗な花を咲かせる」ことにあるはずだ。だが、そうするための「手段」、つまり土の調合、植える時期、肥やしの選択、水のやり方、などがいつの間にか目的化する。結果を楽しむのはもちろん、その到達過程をこそ、楽しむ、と。

 「手段の目的化」。これぞ正に趣味の本質である。数ある趣味全てに共通することだろう。オーディオもその例に漏れない。

 オーディオ機器とは本来、「音楽」あるいは「音」を聞くための「手段」である。乱暴な言い方をすれば、音が出れば何でも良いのである。趣味になるとそうはいかない。細かいことにウルサイわけだ。悩むことをも楽しんでしまう。それによってもたらされた結果も、もちろん楽しむ。マヌケなしくじりもあるが、それもまた面白いのである。

 翻って自分のオーディオを顧みるとき、僕はこのアマリリスのような大輪の花を咲かせ切っているのだろうか。

 肥やしもやりすぎると枯れちゃうよ、と。

’01/06/29 (金)

フィトンチッドの香りさえ


 この人の生録にかける情熱は、とどまるところを知らないようである。快進撃を続ける生録の帝王、SY-99さんの新譜CD-Rが届いた。

 「八ヶ岳高原/夜明けの出来事」である。録音の素晴らしさは、今さら言うまでもないのである。前作「ヤビツ峠」を上回る透明感と生々しい音場には、もう言葉もない。フィトンチッドの香りさえ漂ってくるようなリアルさ、全く以って畏れ入りました。

 本作には前作になかったキツツキのドラミングが見事に収録されている。他にカッコウ、ホトトギス、キジバトなどの声も聴くことができる。森のエコーを伴って遥か彼方から聞こえてくるカッコウの声。何かしら哀愁を帯びたようなキジバトの呟き歌。どれも全て異様なまでに生々しい。

 一体どうやったらこんな録音が出来るのだろうと思わずにはいられないのである。もちろんハード選択の妙もあるだろう、だがしかし、詰まるところはSY-99さんのセンスと勘に因って為し得た優秀録音である。

 生録はほとんどの場合一発勝負である。録り直しは利かない。限られた時間の中で最適のロケーション、マイク、セッティング、録音レベルを決めなければならない。それらを実現するには豊かな感性と経験則による鋭い勘が必要である。更には「何」を「どのように」録るかという目的意識。これが明確でないと、面白くも何ともない録音になってしまうのである。

 SY-99さん一連のCD-Rは、これらの条件を満たした時素晴らしい録音が出来るという一つの証明でもある。

 「ヤビツ峠」に続き、本作を是非とも一聴されるようお薦めしたいのである。

’01/06/28 (木)

バリバリ


 とても重宝している「無水エタノール(アルコール)」である。500mlで税込み1,522円、オーディオ用アクセサリーとしてはハイCPと言えるだろう。

 用途はいろいろ、端子のクリーニング、ピカールで磨いたあとの脱脂、ADジャケットのカビ防止、滅多にやらないが汚れのひどい中古CDのクリーニングにも使える。はみ出したり手に付いたりしてベタベタするエポキシ接着剤も、これで拭き取れば綺麗になる。さらには自分の手のクリーニングも出来る。

 僕はオーディオ機器を触る前には必ず手を洗うようにしている。手の脂がベタベタくっつくのが厭なのである。特に、ゴハンを食べた後は危ない。脂以外に、本当の油、塩、ショウユ、砂糖などをうっかり付けてしまう恐れがあるからである。

 手洗い専用の液体石鹸で洗うのだが、時に忘れることがある。その時はこの無水アルコールで拭くのである。但し、原液そのままで拭いては遺憾。皮脂が取れすぎて肌がバリバリになってしまうからだ。凡そ70%くらいに薄めて使ったほうが無難。これでもあまり使いすぎると良くないと思う。

 潔癖症か、なんて少し不安だったりもするが、決してそうではないのである。使っていれば汚れるのは当たり前、要するにちゃんと掃除すれば良いわけだ。それができないから、出来るだけ汚さないようにしているだけのことだな、結局。言ってみれば、洗濯するのが面倒なので着替えは最低限にする、というのと同じかな。ちょっとチャウか。

 おかげで僕の手は、いつも皮脂不足でガサガサである。過ぎたるは及ばざるが如し、程度を知らない人間は困るのである。自分の手よりオーディオのほうが大切。本末転倒、アンバランスがマニアの証明なら、僕はやっぱりマニアである。

 あんまり付き合いたくないね。

’01/06/27 (水)

生気無いです


 仕事関係で京都市内へ出かけた。帰り道、久しぶりに大型電気店「J」へ寄ることにする。何か日誌のネタにならんかなあと。

 地下一階、地上五階建ての大型店である。B1がオーディオと音楽、映画ソフトのフロアになっている。尤も、いつもその階にしか行かないのだが。

 先ずはオーディオコーナーを覗いてみた。残念ながら、お寒い状況である。客は僕を含めて2人だけ、平日の午後とは言え、あまりにも寂しい。2〜3年前まではもう少し活気があったのに。一応自作派向けにフォステクスのユニットが置いてあったし、カウンターがガラスのショウケースになっていて、アクセサリーやカートリッジなどが綺麗に並べてあった。ちょうど秋葉原のキムラ無線のように。

 それらが全て削除(?)されている。個人的には見るべきものが全くなかった。如何にも生気がない。やはりオーディオ業界は著しい不況なのだと、思いを新たにしたのであった。こんなことでは「しまっちゃうおじさん」にしまっちゃわれるのである。

 ネタになるようなものもないので、ソフトのコーナーへショバ変え、CDを見る。マイナー盤は全くない。これは場違いとDVDに目を移し、4タイトル買うことにした。上の画像はその内の1枚、「プライヴェイト・ライアン」である。

 既にLDで見ているが、実家の母に「これ面白いやろ。チョーダイね」とふんだくられてしまったので、DVDで買い直したのである。DVDはまだ見ていないが、画や音に係わらず映画作品として非常に気に入っている。

 この映画のポイントが、実は「ライアン」という姓にあることは周知の事実なのだろうか? 「シンドラーのリスト」と同じく、如何にもスピルバーグらしい視点で製作された素晴らしい作品だと思う。

 DVD売り場はそれなりに活気があったが、それでも他のフロア(特にPCフロア)に比べて客はぐんと少ない。以前どこかで「京都は日本一のオーディオ不毛地帯である」という話を聞いたことがある。ホントにそーゆーことがあるのかな?

 ともかく、このままではイケナイ。「しまっちゃわれ」ないように頑張って欲しいと、そう言ってもこりゃちょっと無理かな。

’01/06/26 (火)

PC一周年


 PC導入からちょうど一年が経った。いや、実に速く過ぎ去ってしまった感じである。疾風怒濤、光陰矢の如し、時人を待たず。

 いろんなホームページを見たいがためにPCを導入した、という側面があったのは確かだが、やはり本当の目的はHPを作って公開するというものであった。数多くの人に支えられながら、それも実現できた。おまけにアップ以来9ヶ月足らずで40,000を超えるアクセスをいただき、本当におかげさまと言う他にはないのである。

 これからも宜しくお願い致します。

 まだまだ操作や使いこなしにおいては初心者のまま、「晩ゴハン後半泣き状態」は変わらない。しかし、PC導入は大正解だった。

 おそらくこれから先もPCを趣味にすることはないだろう。僕の自家用車は実用車でしかないのであって、決して趣味の対象にはなり得ないように、僕にとってのPCはオーディオをより楽しくする一つの道具に過ぎないのである。その意味で、この一年PCは大きな恩恵をもたらしてくれた。

 後はもう少しでいいから、上手く使いこなせるようにならねば遺憾。何時までも半泣きでは情けないのである。日誌ファイルの移動だけに丸一日を費やしているのだから、状況は悲しい。

 やっぱり勉強しないとね。

’01/06/25 (月)

スシ食いねえ


 カミさんの両親がやってきた。親父さんは酒が好きなくせにヨソの家に泊まるのが嫌いな人で、いつも帰りが心配で仕方ない。72歳になるこの頑固オヤジ、まだまだ自分で車を運転するのである。

 昨日は着いた時間がすでに夕方だったにもかかわらず、来るなり「さ、帰ろか」と座りもせずその辺をウロウロしている。何しに来たんや、アンタは。

 どうせそんな事だろうと予想していたから、前もってカミさんと「オヤジの好物で釣って、無理やり泊まらせちまおう」と相談していたのである。オヤジの好物、それは「スシ」である。

 スシと言えばこちらは日本海側、隣の宮津市にはとっても美味しい寿司屋があるのだ。そこへ一家を成して繰り込むことに決定。「凄く旨い寿司屋があるんですよ。そこでチョイとつまみながら一杯やりませんか?」のコトバに、さすがのオヤジも、折れた。

 お袋さん、カミさんと愚息達はお座敷へ、オヤジと僕はカウンター席に座りお好みで握ってもらうことにする。こういう形でスシを食べるのは、僕も1年ぶりくらいである。こんなことしょっちゅうやってたら、エライことになるのである。

 いや〜、実に旨かった。僕はどちらかと言えば魚が苦手だが、この店のネタは格が違う。モノが良い上に新鮮である。ただ新鮮なだけではなく、おそらく一番良い頃合で客に出しているのだろう、非常に味が濃く、しかもクドくない。シャリのグワイも最高、回転寿司との格の違いを見せつけられた感じである。

 さて、オヤジ殿は旨いスシ、目板鰈のから揚げ、鯵の刺身などを肴に熱燗を三合呑み、お袋さんに「アンタ、呑み過ぎ!」と叱られながら、いたく上機嫌であった。ヨカッタ、ヨカッタ。

 スシもオヤジのもてなしもオーディオも、鮮度と頃合が大切、ってか?

’01/06/24 (日)

やっぱり要るかな


 拙ホームページが入っているフォルダをFDにコピーしたら、6枚にもなってしまった。当たり前である。現在サイトの大きさは約7.2MBあるわけだから、それくらいになるわけだ。めんどくさかった、と言うより良く分からなかったので、例によってブルドーザー式コピーである。ファイルの種類分けもせず、なんもかんもゴチャ混ぜに入っている。こりゃ後で困るぞ、と。

 プロバイダに置けるサイト容量は10MBが上限、有料でも良いから増設できればいいのだが、僕が契約しているプロバイダはそれができないと言う。だから、最大10MBまでのフォルダになるわけだ。大したことのない容量である。だが、FDにコピーすれば8枚くらいになるわけで、これではチョイと使いにくいのではないか?

 やっぱり要るかなあ、CD-RWドライブかMOドライブ。近くの電気屋さんはMOドライブを盛んに薦める。個人的にはCD-RWドライブで充分だと思う。要するに、PCのことを良く分かっていないのだ、僕は。

 明日でPC導入からちょうど一年、当時多くの人から「PCなんて一年経てば朝飯前ですよ」などと言われた。とんでもない話である。一年経ってなお「朝飯前」どころか、晩ゴハンが終わってもまだヒーヒーゆって半泣き状態という感じである。PCのこと、な〜んにも解ってません。

 ホームページビルダーが使えて、メールの遣り取りができ、ネットを見られればそれでOKかな、なんてPCに関しては極めて消極的なことを考えたりもする一方、もっと使いこなさねば勿体無いとも思う。

 ともかくもっと快適に、しかも安全にHP運営するためにもCD-RWドライブ、買おうかな。って、既に今ここに書いてあること自体、とんでもなく見当外れだったりして。カッコわるぅ〜。

’01/06/23 (土)

結実


 5月27日の日誌に書いた柿の花、あれから約一ヶ月、ずいぶん実が大きくなった。今、直径2pくらいである。既に落ちてしまった実も沢山ある。写真の柿も、どこまで保つか危ないものである。

 5月に花の写真を撮ったときは、如何にも新緑の季節で葉の色が輝くような緑色だった。6月も下旬になり、夏至を過ぎてしまうと濃い緑の夏色に変わってゆく。

 夏至の前後一ヶ月くらいが、日の長さを実感できる季節だろうか。その中でも特に今ごろが一番だろう。朝は午前4時になれば東の空が白々としてくるし、夜は午後8時頃まで西の空に残光を見ることができる。

 この季節、何となくワクワクしたような気分になるのは何故だろう。別に普段と変わらない毎日、だが、何か良いことがありそうな、なんだか得したような気持ち。梅雨空は鬱陶しいが、日の長さは一年中続けばいいのに。

 そう言えば僕がスピーカー工作してきたのは、決まってこの時期である。ステレオ誌の工作特集もこの季節。冬の寒い時期にカナヅチで指叩いたら、スゴク痛いもんな。

 ’97年にスーパーネッシー、38pサブウーファー、リヤカノンLの現用フルセットを作って以来、まともな工作はしていない。もう4年も経ってしまった。ヒラタキクイムシに喰われたことだし、そろそろまたやるか?

 スーパーネッシーII。

’01/06/22 (金)

こんなの出ました


 部屋の整理を怠け続けたせいで、もう細かいものがゴチャゴチャである。もともと整理整頓はヒジョーに苦手で、僕の整理法は場所を移動するだけ。言ってみればブルドーザー式である。ガシャガシャッと押し遣るだけだから、全然整理になっていないのである。空間認識能力ゼロ。そう言えば右と左を瞬時に判別できないなど、悲惨なくらい方向オンチである。空間認識できない=整理できない=方向オンチ、全部繋がっていると、このあいだTVでやってたなあ。嗚呼、情けなや。

 とは言うのものの何時までも放置するわけにも行かず、ちょっとブルドーザーになってみたわけだ。そしたらこんな物が出てきた。上の画像である。

 マクセルの電動式カートリッジスタイラスクリーナーSC-441である。買ったのは、多分15〜6年前、もちろん今は売っていないだろう。あまり使った覚えがないのである。

 使い方は簡単で、
  1. 右に見えるツマミを回し、右奥のブラシ部分をちょうど良い高さに調節する。
  2. ブラシ部分の中央に針を置いて
  3. 「PUSH」表示のある銀色のボタンを押せば
  4. ブラシ部分が振動し、クリーニング完了。
 と言うわけである。クリーニング液も付属しているが、これは当時でも怖くて使えなかった。液なしでも効果は抜群で、使用前使用後をルーペで確認するとその差歴然であった。

 但し。ブキミなのである。要するに針先を振動させるわけで、そりゃ言ってみれば振動するのはカートリッジのオツトメなのだが、なんだか怖かったのである。針先がぶっ飛びそうで。確か取説には「約125Hz位で振動します」と書いてあったはずだ。「アンプのボリュームは絶対絞るか、あるいはOFFせよ」とも。どうです、ブキミでしょ。

 ひょっとするとカートリッジの強制エージングに使えるカモ知れない。でも僕はゼッタイいやなので、このアクセサリーは「箱船博物館」(そんなもんあるんか?)入りですな。

 何方かやってみます?

’01/06/21 (木)

まずはこれから


 ようやく出た、と言う感じのDVD宮崎アニメである。って、これが初めてですよねえ? この頃あまり雑誌を読まなくなって、この辺極めていい加減なのである。今日のタイトルも含めて、間違っていたらゴメンナサイ。

 「魔女の宅急便」(ブエナ・ビスタHE VWDZ-8008)である。片面二層ディスク本編約102分、これとは別に片面二層ディスク約117分の特典ディスクが付いて税込み4,935円はお買い得? 本編の音声は1が日本語DD(ドルビーデジタル)2ch、2が英語DD2chである。内容についてはもう説明の要もない。LD時代の本作品と比べてどうだろうか。早速視聴してみよう。

 色が非常に濃厚である。他の作品に比べてLDではやや薄味に感じられたが、DVDでは極めてカラフル、背景の細かい描き込みとの相乗効果で立体感がぐんと増した印象である。完全に大画面向き。反面やや重たい感じが無いとは言えない。水彩画風のLD、油絵風のDVDと言えば分かるだろうか。暗いシーンと明るいシーンのDレンジが広くなっているように見える。個人的にカラフルで明るい画は大好きだが、一般的にはどうなのだろう。

 インターレース、プログレッシヴ両方見たが、どちらかといえばプログレの方に分があるように感じた。今話題の良くできたHTPCで見ると、どんなふうになるのか、非常に興味深いところである。例えば、AE86さんの映像再生環境などで見てみたいと思ったのである。

 音声もレンジが広く、サラウンドは大変自然に拡がる。雨音が凄く生々しい。超低域が出るべきところではしっかりと出てくる。効果音は全体的に優秀。残念なのはセリフである。やたらとカッティングレベルが高く、キンキンしてけたたましい。音場を全く無視し、どのシーンでも耳元でがんがんわめいている感じだ。効果音が120インチスクリーンにマッチする音量までボリュームを上げると、セリフはとんでもないデカさになり聴いていられない。画と効果音は大画面、大音量向き、セリフだけ小画面、小音量向きとアンバランス、ここが惜しいところである。DVDになってのことではなく、LDでもそうだったからこれは仕方ないだろう。

 全体としては優秀なソフトだと思う。誰が見ても充分楽しめるし、セリフの問題も、そこそこの音量で綺麗な画を見ていれば、そんなには気にならない。

 今後のDVD版宮崎アニメのリリースにも期待しよう。「ナウシカ」「ラピュタ」は音声がモノーラルだったから、ステレオDDにして出して貰えんだろうか。特に「ラピュタ」はとても好きな映画なのである。

’01/06/20 (水)

全方位サラウンド


 SY-99さんの新録音「道端の春〜ヤビツ峠」(YO-00019[2])である。詳しい内容についてはSY-99さんのHPをご覧いただきたい。ここでは一SY-99ファンとしての僕が、聴かせていただいた感想を書いてみたいと思う。

 一聴して感じるのは、その尋常ならざる鮮度の高さである。異様に透明感が高いのである。S/Nの良さ、Dレンジの広さ、そういう静特性では語れないような恐るべき生々しさが、このCD-Rにはある。山の匂いや空気の温度感、朝霧の冷たさまでもがはっきりと感じられるような、まさに「生」そのものと言って良い音と音場である。

 音場は、どこまでも深く、高く、そして広い。スピーカーマトリクスとの相性最高、前後上下左右、渺々として広大無辺の360度全方位サラウンド音場が出現する。野鳥達の音像は実物大に小さく、部屋中に点々と散りばめられる。あるものは近くの木の上で、あるものは遠くの谷で、後ろの木で、右の低い枝で、あるいは枝から枝へ飛び移りながら鳴く野鳥の姿がありありと再現されるのである。

 決して派手なCD-Rではないが、これはサウンドマニア必携盤。もちろんサウンドマニアでなくとも、充分楽しめる、と言うよりは癒されるCD-Rだと思う。なにせ部屋の中にヤビツ峠の音と空気がそのまま再現されるのである。ウソじゃないですよ、ホントに凄いんだから。

 SY-99さん、またやってくれました。こうなると、今後益々期待しちゃうなあ。

 ありがとうございました。

’01/06/19 (火)

オーディオ用ではないのだから


 カミさんの商売道具にはオーディオ的好奇心をくすぐられるものが多く、上の写真もそのうちの一つである。ステンレス製携帯式消毒用脱脂綿入れ。正式名称はカミさんも知らないと言っている。大丈夫かいな。

 見てくれのわりには重く、120gある。初めて持ったときから欲しくて欲しくて、出入りの業者さんに無理を言って1個譲ってもらった。こんなの買って何するつもり?

 アルコールを含浸させた脱脂綿を入れて携帯するわけである。アルコールの揮発を防ぐため、フタが内外二重になっている。ここが大切なわけだ。

 端子やコードをクリーニングする時、僕はキムワイプやベンコットにアルコールを染ませて使っているが、瓶からアルコールがドバッと出たりして、わりと面倒で無駄が多いと常々思っていた。ウェットティッシュのように、いつでもサッと取り出して使えるようにできないだろうか。

 左はXLOが出している「THE PERFECT CONNECTION」というウェットティッシュタイプのクリーナーである。クリーニング効果の高い特殊なリキッドを含浸させた20cm×13cmのティッシュペーパー(と言うよりは昔の駅弁についてきた紙製"お手拭”のような質感)が1枚入って、一袋220円。ちょっと高い感じである。

 それよりも、この特殊リキッドってやつがわりとクセもので、やや油っぽく残留物がありそうでコワイのである。樹脂を傷めることは
ありませんと言う。だが何となく気になる。臭いもきつく、どうも僕好みではないのである。

 そこで上記のステンレスケースである。これにベンコットを詰め、無水アルコールをぶっかけておく。パチンパチンと二重蓋を閉め、いつでも上質のクリーニングコットンを取り出せる、というわけだ。この目論見をカミさんに話したら、

 「あ、それアカンよ。蓋の閉まりが甘いから綿が乾いてしまうねん。時々アルコールを注ぎ足しや」

 ナルホド。そういうことでしたか。当然オーディオ用ではないわけだから、仕方ないな。揮発したアルコールを注ぎ足すのも確かに一策だが、それも何だか芸がない。自作派としてはもう一捻りしたいのである。

 内蓋とケース本体が接するところに、何かパッキンになるようなものを貼るのはどうだろうか。薄いゴムか樹脂テープのようなもの。これで気密性が上がればほぼイケるんじゃあないか。

 こんなことをやっていると、何が目的なのかだんだん分からなくなってくるのである。だが、折角気に入って買ったものである。意地でも使ってやるぞ。

’01/06/18 (月)

DFリングは進化する


 絶好調である。装着当初はやや生硬い感じが無きにしも非ずだったが、それもだんだん落ち着きぐんとスムースさが増したようである。キャップスクリューも捻じ切れよとばかりにぎゅうぎゅう締め付けたので、バッフルとDFリングにかかるストレスは相当強いはず、それがほぐれてきたと見るべきか。

 このリングの基材である砲金は、寺院の釣鐘に極めて近いものである。その証拠に、嘗て旧帝国日本軍は太平洋戦争末期、全国の寺院に釣鐘の供出を強制し、再鋳して砲身や銃弾に利用しようとしたのだった。実際にそうなったかどうかは誰も知らない。

 前にも書いたことがあるが、鐘は継続的に撞くことによって練り上げられ、よりスムースでしかも到達力のある音へと変化して行く。新しい鐘は聴感上の歪みが多く、近くで聴くとけたたましいのに遠くまで音が届かないという、実にもどかしい音で鳴るのである。

 おそらくこのDFリングも同様の経過を辿るはずだと推測する。大口径の砲金パイプから生み出されるDFリング、加工時のストレスも無いとは言えないだろう。それが徐々にほぐれ、ユニットの振動によって練り上げられた時、この優れたアイテムは本当の実力を発揮するのである。

 DFリングは進化する。

 一年後、否、三年、四年後が実に楽しみになるのである。気の長い話だが、だからこそ、オーディオは面白いのだった。

’01/06/17 (日)

ブラックアウト


 ハッと気がついたらPCの前で居眠りブッこいてました。ここのところ遊びとPCとオーディオ(全部遊びやないかいっ)が忙しく、そろそろ睡眠不足がたまってきているようである。ブラックアウトしてしまいました。

 僕は夜に向って元気が出てくる典型的な夜型人間だが、真人間であれば元来夜は寝ることになっているようで、時にはその真人間に戻ることも必要らしいのである。

 一日の中で一番落ち着ける時間、それは人々が寝静まった深夜なのである。来客もなく、電話もかからず、家内の雑事に悩まされることもない。コトの途中でチャチャの入らない、極めて大切な時間である。

 ADを聴きたい、CDも聴きたい、映画も見たい、システムの気になるところを手直しもしたい、約束事も果たしたい、ぼんやりと考えごともしたい、ネットも見たい、ページ更新もしたい、本も読みたい、全部やろうとするととても時間が足りないのである。だから寝てしまうのが惜しいわけだ。

 といっても、時々は早く寝ることも大切なことなのだろうな。どうも今日は枕が恋しい。ということで、何時もにも増して下らん日誌を書いて、今夜は久しぶりに早く寝ることにしよう。

 如何にも私小説的日誌で、申し訳ないことです。

’01/06/16 (土)

今度は重いぞ


 「竹」で有名なピエール・エステヴさんの新譜「METAL」(仏shooting-star)である。相変わらず数字や記号でのCDナンバーはなく、「CD-METAL」ということらしい。キング・インターナショナル扱いということで、MYUタカサキさんのお世話になった。ありがとうございました。1枚7,000円と割高な感じだが、それにはちゃんとした訳がある。

 それは前回の「竹」同様、ケースにこだわったからであろう。「竹」では木製の本体に、竹を縦半分に割って貼り付けたケースだった。今回はなんと、「METAL」ということで分厚い金属板を裏表に貼り付けたケースである。上の画像でお解りいただけるだろうか?

 金属板は厚さ約3mm、磁石にくっつかないので鉄ではない。丸ごと量ってみると、重量は680gもある。アルミにしては重くないかな? 普通のCDがケース込み1枚100〜120gだから、6枚〜7枚分の重さにもなるわけだ。金属板の表面は、錆びないようにメッキしてあるようにも見える。いずれにしても手の込んだケースであることに異論はないだろう。CD本体2,000円、ケース5,000円という感じ。

 タイトルが「METAL」だけあって、解説書を見るとガムラン、サムピアノ、ドブロギター、スティールドラム、僕の商売道具であるところのリン、金属製の木魚(金属なら金魚か?)、カウベル、ギロ、スパナ(?)、など多くの金属楽器が紹介されている。竹尽くしの「竹」、金物尽くしの「METAL」という趣向である。

 ざっと聴いた感じでは、なかなか面白いと思った。前作ほど東洋趣味ではないが、やはり一種の懐かしさを感じさせるのはエステヴさんのお人柄か。音だけを聴くと、透明感、繊細感、音場感、歪み感の少なさなどの点で「竹」に一歩譲る。「METAL」を謳うのならば、もう一息踏み込んだ切れが欲しいところである。

 もちろん決してケチをつけるつもりは毛頭ない。むしろ入手できたことを大いに喜んでいる。これだけ妙なCD、7,000円は全く惜しくないのである。

 「竹」「METAL」と来て、次回作は「木」にするのか「ガラス」にするのか。エステヴさん、やってくれますね〜。次も楽しみにしています。

’01/06/15 (金)

CAD


 スーパーネッシー用ステンレス製インナーリングの図面である。友人がCADで書いてくれたものである。実寸で書かれているものを小さくして取り込んだので、寸法が見えない。形状をご承知願えればと挙げてみた。

 CADを使えばこんな図面を書くのは造作もないことだと、友人は言う。CAD=Computar aideddesin(コンピューターによる支援設計)という意味なのだそうだ。ぜんぜん知らなかった。お恥ずかしい。さらに恥を曝せば、「キャド」と読むことさえつい最近まで知らなかったのである。「しーえーでー」ではなかったのね。そう言えばISDNを「いすどん」と読んで失笑を買ったこともあったな。

 こんなふうだから、ましてや僕などに使いこなせるわけもなく、CADというコトバを聞いただけで恐れをなしてしまうのである。だが、この図面を見ていると、こんなのがスイスイ書ければどんなに良いだろうと、実に羨ましい思いでいっぱいになるのであった。

 わが身を顧みれば、未だに方眼紙と定規コンパスの世界である。自分が解ればそれで良い、と言ってしまえばそれまでである。しかし乍ら図面というもの、他の人に物の形状や構造を正確に伝えるのがその大きな存在価値であってみれば、自己満足的方眼紙上図面では、如何にも悲しいのである。

 CADを使いパソコン上で図面を書けば、保存も簡単、メールに添付するのも自由自在、プリントアウトしてFAXするも良し、コピー機にかけても鮮明である。良いことばっかり。ここは友人にレクチャーをお願いして、何とか使えるようになりたいものである。

 ってさぁ、オフィス2000でさえマトモに使えない奴が、何を生意気なこと言ってるんでしょう。

’01/06/14 (木)

SYSTEM READY


 今日(6/13)のお客様は北関東からよなたんさん、北陸からいわしゃじんさんのお二人である。どちらもご近所様とは言えない。ご遠方のお越しである。ありがとうございます。

 ギリギリでDFリングの装着も間に合い、初の音出しはとてもにぎやかになった。さあ、どんな音が出るのだろうか。

 聴いたのは、よなたんさんからのリクエストもあり、AD中心である。

 結果は予想を遥かに上回る大成功。文句なしである。先ず感じたのは、音量が上がったように聴こえること。立ち上がりが良くなったのか、ロスが減ったのか、同じボリューム位置で、明らかに音量が大きくなっている。低域が締まり、全体的に響きが綺麗になり、透明感が著しく改善された。以前からずっと気になっていた、中高域の濁りが見事に消え失せてしまった。シンバルやトライアングルなど、金属打楽器はより粒子が細かくなり、繊細感抜群。はっきり言って、ここでこんな音が出たことは、これまで一度もない。

 音場感も広く、高く、深く出るようになる。「音像は小さく、音場は大きく」という一つの理想形に近づいたと思う。これまでにリングを使ったシステムを幾度か聴いているが、やはり同じ傾向の音である。AE86さん、げんきまじんさん、本家方舟、それぞれのヒミツを知ってしまった感じである。この音を一度聴いてしまうと、もう元には戻せない。

 インナーリングを使わない状況でこのパフォーマンス、もし、裏表リングにすれば更に良くなることは間違いなしである。これは作ってもらわなければなるまい。

 早速友人に依頼することにした。材はステンレス、厚さ10mm、形状は二枚目バッフルに合わせて内側を歯車形に切り抜く。最大外径Φ238mm、最小内径Φ186mm、最大内径Φ210mm。取り付け穴にタップは立てず、Φ5.5mmの貫通穴を開け、キャップスクリューとナットで締め付ける方法を採る。

 二分割にするかどうか迷ったが、強度を保つため分割せずリング状で作ってもらうことにした。とんぼさんが掲示板にメッセージ下さったように、リングに紐をつけて落とし込み、バッフル開口から引き上げようと言う魂胆である。

 インナーリングの有無にかかわらず、DFリングの効果は極めて絶大である。単純に音が良くなったということではなく、これは次元が違う感じだ。ものごと全て一長一短、デメリットもあるはずなのだが、メリットがそれを大きく上回っているらしく、今日一日聴いた限りではまったくデメリットを感じることはなかった。

 とんぼさん、おかげさまで今日はより良い音を聴いていただくことができました。全く以って感謝感激であります。ありがとうございました。

 よなたんさん、いわしゃじんさん、遠いところを御出でくださって、ありがとうございました。とても楽しかったです。時間がなく、今日聴けなかったADは次回の楽しみに取っておきましょう。また是非お出かけください。

 いつも思うこと。仲間はイイ。

’01/06/13 (水)

喰われた


 更新が朝になってしまった。言い訳をさせてくだせえ。

 左chにもDFリングを取り付けるべく、スーパーネッシーを倒してみて、あっとビックリ。側板の最下部に、小さな穴が点々と開いている。一番下から30mmくらいまでは穴だらけである。

 ヤラレタ。ヒラタキクイムシだ。このまま放置すれば、遂には側板がホウカイするだろう。ほうかい。馬鹿みたいにシャレているバヤイではないのである。これは対策を打たねばならない。

 リング装着作業も中断できないし、また厄介なムシに取り憑かれたものである。昔、長岡先生はパテに殺虫剤を練り込んで穴を埋め撃退に成功したと、どこかに書いておられた。ともかく殺虫剤は必須だろうから、ホームセンターへ行ってみよう。

 あるんですね、ヒラタキクイムシ用のヤツが。噴射部分が細いパイプに交換できるようになっている。これで直接穴に噴射できるわけだ。お買い上げ。パテに練り込むのは止めて、噴射したあと、瞬間接着剤を流し込んでおくことにしよう。染み込ませることで、喰われた板の強度を上げようという魂胆だが、上手く行くかどうか。そのあと、エポキシパテでスキマと穴を埋めれば、大体イケるかな。

 喰われているのはネッシーの左chだけなので、ヒラタキクイムシが部屋に取り憑いているわけではないらしい。おそらく、工作に使った板そのものに最初から入っていたのだろう。

 そう言えば、小さな穴が最初から開いていたような気がする。まあ仕方ない。事後処理のほうが大切である。殺虫剤で、上手く駆逐できれば良いのだが。

 というようなことをやっているうちに時間は真夜中、それからDFリング取り付け再開、どうやら両方とも完了である。時計を見ると午前3時、今日は10時頃から来客なので、グチャグチャの部屋を片付けなければならない。遂に夜の内の更新ができなかった、というわけ。

 トゥイーターの調整もマトモに出来ないまま、初めて御出でになるお客様を迎える。仕方ないね、どうも。

 キクイムシだって、生きているんだもんなあ。

’01/06/12 (火)

反響にビックリ


 連日のリングネタで恐縮である。ここのところかかりっきりになっているので、どうしてもこうなってしまうのである。

 今日(昨日だな)、残りの2本も磨き終わり、アクリルラッカーで防錆できた。写真奥に写っているのは研磨に使った使用済み「ベンコット(ケバ立ちのない特殊コットンガーゼ)」の山である。真っ黒けだ。

 はじめはセーム皮でやっていたのだが、だんだん白いところがなくなり、替わりにベンコットを使ってみたらこれが上手く行くのである。次々と綺麗な状態のもので磨けるのは非常にグワイが良い。ただし、かなりの枚数を使ってしまうことになった。

 8日の日誌からDFリングについて書き始めて、それ以降の反響にはちょっと驚いている。リングに対する関心の高さを思い知ったのであった。

 DFリングをじっくり観察して、一つ気が付いたことがある。この材質、ひょっとしてタダの真鍮ではないのではないか。一般的な真鍮よりやや赤みを帯びていて、深みのある色合いである。ピカールで磨くと、何となく真鍮より硬度が高いように思われる。表面には、何やら結晶が浮き出して見える部分もある。

 この材、昔どこかで見たことがあるなあ。現在では手元になくなってしまったが、○○○の○○製○○ッ○がそうだったのである。もし、DFリングがこれと同じ材だとしたら、これはもう超ウルトラハイCPのリングということになる。

 さあ、今日(6/12)中には、何が何でもすべての作業を終わらなければならないのである。あとは左chのみになった。

 また「寝っしー」だな。

’01/06/11 (月)

いかつい


 長手のネジも無事に入手でき、どうやら片ch取り付け完了。途中、ワッシャ―や道具の段取りが悪くバタバタしたが、結果的には上手く付いたと思う。DFリングが上下に2本並んだスーパーネッシーは、なにやら筋肉質でいかつい風貌になった。アクリルラッカーで防錆したリングの美しさに比べ、箱の汚さが際立ってちょっとアンバランス。緑の植毛シートも何だか野暮ですな。

 DFリング+ユニット=13.22kgを支えているのは、5mmキャップスクリューとバッフルに埋め込まれた鬼目ナットである。はっきり言って鬼目ナットでは、この先支えきれなくなる恐れありだ。仮に爪付きナットであったとしても、バッフルを点で締め付ける形になるので、その部分で板のコンプライアンスが上がってしまい、遂には耐え切れなくなるだろう。点ではなく、面で締め付けたいところである。

 ユニットとDFリングが如何に強固に一体化されていたとしても、DFリングの取り付けが甘いようでは何の意味も無いのである。「徒に重くしたユニットをいい加減に取り付けただけ」である。こんな事をやっていては、製作者であるところのとんぼさんに申し訳が立たない。

 改善策としては、AE86さん方式が極めて有効である。僕もスーパースワンの真鍮サブバッフルでやっているところの、インナーリング方式である。バッフル裏にタップを立てた厚手のネジ受けリングを仕込む方法。

 リング状では前から入らないので、スーパースワンに同じく、二分割方式半月型リングということになるだろう。とりあえず現状のまま使っていくが、DFリングの能力を全開にするため近い将来改善する予定である。

 なんてカッコつけちゃって、自分で作れるわけでもないのに。僕にできることと言えば、ガキの落書きみたいなポンチ絵を書いて、然るべき技術をお持ちの方へ頭を垂れてお願いするばかりである。

 いくらエラそうなことをぶちあげてみても、いつも何方かにオタスケいただいているのだった。如何にもありがたいことである。

’01/06/10 (日)

おまわりさんというよりは


 上下のリングがバッティングしないかどうか、ともかく仮止めしてみる。さすがとんぼさん、バッチリである。上下が接する部分には1mmの逃げを採ってもらうようにお願いしたのだが、それも正確に決まっている。元々僕の工作精度が極めていい加減なので、余分な手間をおかけしてしまった。

 これで問題なく装着できることは分かった。一つ問題が。用意したネジの長さが足りないのである。どこをどう読み違えたのか、必要なものより10mm短いキャップスクリューを買ってしまった。

 アホですな。どうして僕はこんなのなんだろう。全く以って厭になるのである。ともかく早く長いものを注文しておこう。何とかなれば良いのだが。

 リングが2つ並んだルックスは、ばっかすさんおっしゃるとおり「外も目ン玉つながり」である。だが、じっと見ていると「おまわりさん」というよりは、別の漫画キャラクターを連想させる。え〜と、アレ何だったっけな、水木しげるの妖怪モノに出てきたヤツ。う〜んとね、ホラ、あれですよ。

 あっ、思い出した。

 井戸仙人だ。

’01/06/09 (土)

寝っしー


 ヒッシである。DF(どらどんふらいではナイ。DragonFlyデアル)リングの取り付け作業。磨きと取り付けの下準備を同時進行でやっている。

 ネッシーはすでに寝っしーになっている。こうして横たえてみると、その長さを改めて思い知ることになるのである。正に首長竜のイメージ。

 こうなってしまったからには何が何でも13日までに作業を完了しなければならない。そうでないとご遠方からのお客様に音を聴いていただけないことになるのだ。そんなことになっては大変なので、今晩はこれから一心腐乱...否、一心不乱に作業しよう。

 追い込まれないとグズグズするナマケモノには、毎度のことながら往生するのである。その意味でも、ご来客はありがたいのであった。

’01/06/08 (金)

DF RING


 RINGと言っても、今日は「指環」のハナシではないのである。208ES用アダプターリングである。

 現用のスーパーネッシーは、ご存知の通り片chに208ESを縦配置で2本使っている。抜き穴の中心間隔が240mm、上下ユニットのフレーム間は10mmである。これではフォステクスのP208は使えないのである。リングエッジがバッティングしてしまうわけだ。

 現状リングなしでも特に問題ないので、いつかはオリジナルで何か考えるか、くらいのいい加減な思いでいたのだが、先日スーパースワンに真鍮サブバッフルを付けた時、考えが変わった。これでこんなに音が良くなるのならば、ここはスーパーネッシーにも着けねばなるまい、と。

 さりとてこんなものが僕に作れるわけも無く、と言ってP208はやはり使えない。またぞろヘタクソなポンチ絵を書いて、友人(ADスタビの彼)に依頼するしかない、などと思っていたところへ強力な助っ人登場。そう、ご存知リングの帝王(プロレスではナイ)とんぼさんである。

 5月の連休にこちらへいらっしゃった折、わざわざサンプルのリングをご持参いただいたのだった。初期バージョンに各種改良が加えられたそのリングは、素晴らしい出来だった。だが、そのままの形ではやはり取り付け不可能である。

 「素晴らしいリングですけれど、うちの状態では付きませんね」と僕。

するととんぼさん、涼しい顔で

 「ああ大丈夫。上下のリングが接する部分をカットすれば良いわけです」
 
 「え、そんな手間なこと、していただけるんですか?」
 
 「ハイ、やりますよ。そう思ってサンプルをお持ちしたんです」

 なんてありがたいお言葉! 渡りに船と、両ch分4本をお願いした。いかにもとんぼさんの手を煩わせてしまったが、そのリングが昨日(6/7)届いたのである。

 サイズは外径Φ250mm、内径Φ185mm、リングの幅32.5mm、厚さ15mm、重量2,720g。スーパーネッシー用に下端(上端)が直線にカットされている。仕上げは大変良く、堂々たる風格がある。P208にいささかの見劣りもしない。これは素晴らしい。

 しかしながら1本2,720gは凄い。片chにリング2本、ユニット2本、バッフルに付く総重量は26.44kgに達する。これで20cmフルレンジ2本。重量級38cmウーファー×2並みである。

 こうなったからには早く取り付けて聴いてみたいと思うが、作業はそんなに簡単ではないのである。まず、これをピカールでこしこしこしこし磨き、アルコールで拭き、クリヤーラッカーで防錆、トゥイーターを下ろしたスーパーネッシーを横倒しに寝かせ、ユニットを外し、配線を外し、鬼目ナットを再度補強し、リングを取り付け、配線を再度ハンダ付け、ユニットを取り付け、ネッシーをドッコイショと立て、トゥイーターを載せ、ガタを取り、スピーカーコードを繋いで、やっと音出し、という手順である。

 13日にちょっと来客の予定なので、それまでに何とかやってしまいたいが、さあて、でっきるかなでっきるかな。う〜む、早く聴きたい。

 ところで今日のタイトル、僕はこのリングを「とんぼ=DragonFly」ということで、勝手に「DF RING」と命名してしまうのである。

 とんぼさん、とんでもないお手数をおかけしました。本当にありがとうございました。

’01/06/07 (木)

弗素樹脂テープ


 「テフロン」の呼称はデュポン社の登録商標だそうで、他の会社の商品には使えないのである。だが一般的には、全部まとめて「テフロン」テープと呼んでいる。化学調味料すべて「味の素」、携帯ステレオカセットプレーヤーすべてウォークマンと言うが如し(喩えが古くて恐縮!)。一言にテフロンテープと言ってもメーカーによって違いがあり、それぞれに個性をもっている。

 写真左上から時計回りに1、2、3、4、とすると、1は住友3Mスコッチの「テフロンテープ#5490」(ありゃ。テフロンって書いてあるね。いいのかな?)。0.09mm厚×50mm幅×2.65m巻で2,880円と非常に高い。2は同じメーカー、25mm幅の物。厚み、巻長は同じである。型番忘れました。値段は50mm物の半額くらいだったと思う。3は中興化成工業の「チュ―コーフローASF-110」テープである。0.08mm×13mm×10mで1,400円。4は日東電工の「ニトフロンNo.903UL」テープ。0.08mm×13mm×10m、1,400円。

 各社この他にも、幅、厚み違い、あるいはガラス繊維基材入りのテフロンテープなどを用意しているようだが、僕の手持ちは上記4種類である。

 CPからすると、どうも1、2は高価なように思う。3、4より0.01mm厚いわけだが、それでもちょっとローCPかな。3と4は数字の上では全く同じもの、のようだ。僕も使ってみるまではそう思っていた。ところがこの二つ、質感も使い勝手も全く違うのである。

 数字の上での厚みは同じはずなのに、どういうわけか3のほうが厚く感じられるのだ。感触も3はビニールテープ風、4はメンディングテープ風と、随分違う。3は乳白色、4は灰褐色。同じ弗素樹脂、同じ規格でどうしてこんなに違うのか。

 3と4は6N単線コードの工作に使ったのだが、3は引っ張ってもほとんど伸びず、非常に使い辛かった。この工作には不向きである。伸びないといえば1、2も同様である。気持ちよくフン伸びて、きつく締め付けるのにグワイが良いのは専ら4である。金子英男先生の工作では3を使われることが多いようだが。

 1はやや厚く、幅も広いのでHMA-9500IIのヒートシンクをダンプするのに使っている。一度長岡先生にお薦めしたところ、「高いよ」の一言で終わってしまった。どうもすびばせん。先生は最後まで布ガムテープだった。音だけで言えば1のほうが良いが、CPでは完敗。値段の差ほど音の差はない、と思う。後は精神衛生上、ルックスの問題である。2もヒートシンク周辺に使ったような気がするが、あんまり覚えてない。

 熱に強く(約300℃まで融けない)、腐食に強く、絶縁特性が良く、低摩擦係数で、自己潤滑性があるというテフロンテープ。これはメーカーに係わらず共通した特長である。しかしそれぞれに個性があり、使い分けが必要になるようだ。

 でも、ナンデ4種類も持ってるの? イヤ、「テフロン」と聞いただけで何だか知らんが買っちゃうんです。

 フライパンも買うか? 貼り付かず、音離れが良いってか。

’01/06/06 (水)

ご老体


 写真はLDプレーヤーMDP-999のLD読み取り用光ピックアップブロックである。前回交換したのは’96年10月29日となっているから、既に4年半以上経ったわけだ。これはその時、交換した古いピックアップをもらっておいたもの。一般的には不燃ゴミだが、記念に残してある。重量は200gあり、ずしりと重い。

 最近、またMDPの調子が非常に悪いのである。ディスクチャッキングが上手く行かないのか、どうしてもTOCを読まない。何とか読めても、今度は再生できない。何かが擦れているような異音が出て、映像がグチャグチャである。音声にもひどいノイズが出てしまって、これでは全くダメである。また修理に出さねばなるまい。

 前回は上記の如くピックアップと、各種ベルトを交換して18,000円ほどかかった。今回はどうだろうか。ひょっとしてパーツが無かったりして。何せ発売が10年以上前のご老体LDプレーヤーだから。

 何を今さらLD? ご尤も、僕もそう思う。映像はDVD圧勝、問題にならない。但し、音声についてはまだLDが勝ることが多いのである。

 例えば、古い映画になるが「ロボコップ3」。LD、DVDの音声(共に2chで)のF特をスペアナで見てみると、カッティングレベル、帯域分布は見事に一致、良くぞここまで揃えたものだと驚くほどである。

 だが、聴感上はLD圧勝。低域のクソ力、伸び、馬力、中域の透明感、高域の切れと厚みなど、すべての点で多くのDVD音声を遥かに凌ぐのである。もちろん最近ではDVDの音声もかなり良くなり、4月10日の日誌に書いた「英雄の条件」など、最高のLD音声と肩を並べるものもある。こういうDVDソフトが他にも沢山あるだろうことは、想像に難くない。

 LDプレーヤーが昔のように映像機器の主流になることは、今後もうないだろう。だが、やはりLDは捨てられないのである。特にMDP-999はモノとしての凄みがあるし、ヤケクソで無理やり重くしたようなところが好きなので、いつでも使える状態にしておきたいと、これは僕の勝手なこだわりである。

 ともかくさっさと修理に出そう。まだやってくれるかなぁ。それが心配だ。

’01/06/05 (火)

猛毒です


 先日の日曜日、久しぶりに海へ行ってきた。車で30分、網野町の琴引浜という海岸である。この浜の砂は所謂「鳴き砂」であって、摺り足で歩くと「キュッキュッ」と音がする。「琴引」の名はここから来ているわけだ。

 砂の成分に石英が多く含まれ、粒の大きさが均一(0.5mm程度?)という条件を満たして初めて「鳴き砂」になるという。さらに環境条件も大切である。油分を含むと、たちまち鳴かなくなるのだ。特に、海水浴客が使うサンオイルや浜辺での飲食には非常に弱いのである。

 十年ほど前、丹後半島沖でタンカーが座礁し、大量の重油が流出するという事故があった。このとき琴引浜の鳴き砂は、致命的な打撃を受けたのだった。周辺の住民総出でこれ浄化に努め、海の自浄能力もあって今はどうやら復活したようである。だが、年々鳴き難くなってきているらしい。

 さて、愚息達は久しぶりの海に大喜び。水に入って泳ぐにはまだちょっと早い。そこで、岩場を見つけて磯採集と決め込んだ。

 潮溜まりが点々とする岩場には、いろんな生き物達が沢山いて、大人でも充分楽しい。ヤドカリ、カニ、イソギンチャク、貝、ウニ、アメフラシ、ウミウシ、フナムシ、小さな魚、子供にとっては宝の山である。

 なんぞ珍しいモンはおらんかいなと目を皿のようにして探していると、浅瀬をわりと大きな魚がバシャバシャ音を立てて逃げて行く。オオッ、あれはクサフグではないか。15cmはあるから、ほぼ成魚だろう。

 袋小路に追い込んで、家から持ってきた網でシャバッとすくう。「捕ったぁ〜!」。喜んでいるのは愚息よりオヤジのほうである。その証拠写真が上の画像。

 「クサフグ」。体長15cm〜20cm、小型のフグである。海釣りがお好きな方なら「餌取り名人(魚?)」として良くご存知だろう。小さいが立派なフグなので、当然有毒魚である。クサフグの毒性は極めて強力、内臓はもちろん、肉、皮に至るまでテトロドトキシンを含んでいる。神経毒である。意識は清澄なまま、息ができなくなり遂にはチッソク死する、恐ろしい毒である。食ってみる? イケナイ。そんなことをしてはイケナイ。しかし驚いた事に、この魚を食べる食習慣を持つ地方があると聞く。いったいどうやって食うんだ。ピリッとして旨い? んなバカな。絶対に食べちゃいけませんぜ。

 こんな浅瀬に何故いるんだろうと思ったら、このフグには面白い習性があって、初夏の大潮数日前、波打ち際の浅瀬に大群で押し寄せ、グチャグチャのトーンクラスター状態で産卵するのだそうだ。海水が白く変色するほどの迫力であると。どうもその予備軍か、あるいは乗り遅れたマヌケなヤツからしい。

 愚息がスケッチしたいというので暫くバケツに入れておき、帰るときに逃がしてやった。深みへすーっと泳いでいく姿は、バケツの中で膨れているよりずっと美しい。

 「やはり野に置けレンゲ草」か。

’01/06/04 (月)

綺麗にしないとね


 今や後継モデルJP-701さえ生産終了してしまったJP-501である。701の販売期間は何だか短かったような気がする。501は余りにもロングセラーだったから余計にそう感じるのかもしれない。

 写真の501を買ったのは、もう15〜6年前である。それからずっと使い続けているわけだが、経年劣化はあまり感じない。もちろん、新品と比べればその差歴然なのだろうけれども。

 表面がツルツルになることもなく、ゴムが風邪をひいた感じもない。但し、永く使っているとホコリだらけになってしまうのである。このシート、異常に埃が付き易く取りにくいのである。そうなると当然グリップ力は低下、少なからず音に影響が出るだろう。ディスクが傷付く恐れもある。ここは掃除しなければなるまい。

 ニチャッとした感触のブチルゴム系シート(だからこそレコードのグリップが良い)なので、ホコリが付くと容易に取れないのである。ブロワーなど、ほとんど役に立たない。静電気式のハタキもダメ。却って汚してしまうのが関の山。セロテープなどの弱粘着性テープはわりと使えるが、めんどくさいしシートに傷をつけ易い。ちょっと爪を立てたらたちまち白い筋がクッキリと残って非常に気になるのだ。

 そこで僕が使うJP-501お掃除アイテムは、NAGAOKAの「Rolling152」である。これはもともとLPをクリーニングするためのアクセサリーだ。黄色いソフトゴムのローラーにホコリをくっつけてしまうというものである。

 買った当初(これも20年近く前だな)はちゃんと正規の使い方をしていた、つまりこれでLPをクリーニングしていたのだが、何となく盤面を傷めそうでイヤになり投げてしまった。それから暫くは完全にお蔵入り状態だったのである。

 ある日、ハタと気が付いて「あのローラーでJP-501を掃除したら良いんじゃないか」とやってみたらこれが大当たり。何でクリーニングするより綺麗になる。シートに傷も付かない。ローラーが汚れたら水で洗えば粘着力復活。スペアのローラーも売っているので半永久的に使えるのである。JP-501、701ユーザーにはお薦め。

 シートそのものを水洗いするという話もあるが、僕は未だ嘗てやったことがない。傷だらけになりそうで怖いのである。

 Rolling152、たしか秋葉原のキムラ無線で今でも手に入るはずである。そんなに高くなかったはずだが。

 あっ、しまった、このネタ「箱船のアクセサリー」用に取っとくんだった。もう遅いって。

’01/06/03 (日)

朝摘み苺


 愚息と仲良しの近所のおばさんは、畑を作るのが大好きである。これまでにも数々の野菜を作り、しかも大量に作るものだから、その度うちへどっさりと届けてくれた。趣味だか仕事だか。

 去年の秋からは苺の栽培に挑戦、当然大量に作った(耕作面積がハンパじゃないのである)ものだから、愚息の大好物ということもあり、連日早朝から朝摘み苺を届けてくれる。

 おばさんの講釈(一度やって来ると1時間はレクチャーして帰る)によれば、苺は朝早くに摘まないとイケナイらしいのである。特に雨の日は、実が水に浸かるとたちまち腐ってしまうそうで、暗いうちから世話しに行くという。

 そうやっておばさんが一生懸命手を掛けたこの苺、市販目的ではないから大きさはバラバラ、形も不揃い、熟し加減もまちまちである。しかし、味は絶品中の絶品。砂糖やミルクはまったく無用。却って味を損ねてしまう。甘さとすっぱさが絶妙にバランスし、何よりも香りが素晴らしい。お日様とかすかな土の匂いがする。これぞ本物、正しい苺の味である。

 やはり鮮度が命なのだろう。苺は特に傷み易い果物である。おばさん畑からうちまで歩いて5分という、伝送経路の短さがモノを言っている。ストレートアンドダイレクト。超ハイスルーレートである。

 写真に撮った後、バカ息子たちによってあっという間にお皿は綺麗になった。感想を聞いてみると「やっぱりおばさんの苺は美味しい。もっとないのん?」。もうこれで終りだバカヤロウ。

 本当に今年の苺収穫はほぼ終り、次には既にスイカとメロン(たぶんマスクメロンではないと思う)が育ち始めているそうである。

 どの世界にも「自作派」はいるもんだ。そう言えば長岡先生のトマトも美味しそうだった。一度は食べてみたかったなぁ。

’01/06/02 (土)

COME TASTE THE SOUND


 カミさんがよく利用する通販先「フェリシモ」のカタログを見ていたら、「毎月赤ワインを一本ずつお届けする、赤ワインクラブ」というキャッチが目に入った。月2,000円で毎回種類の違う赤ワインを送ってくるというサービスである。

 僕はどちらかといえば下戸に近く、殆どアルコール類は飲まない、と言うよりも飲めない、のである。仕事の都合上、週末はお付き合いで飲むことはあっても、家ではまったくと言っていいほど飲まない。

 決して慎んで飲まないのではなく、飲みたくないから飲まないだけだ。飲んだ後、ヒジョーにシンドイのである。体がだるくなり、フツーでも無気力なヤツがさらに無気力になる。つまり、動けなくなるのである。フニャフニャである。アルコールが体に合わないのだな。

 んじゃ、ナンデ赤ワイン? つまりその、オイシイお酒を少しだけ飲むのは、好きなのである。月に1〜2度、1回に一合もあれば充分すぎるほど。例えば精米歩合40%、醸造用アルコール無添加の純米地酒、しかも酒米は山田錦に限る、とか、飲めもしないくせにウルサイことを言うわけだ。

 かなり前になるが、高知の知り合いから「司牡丹」という銘柄の純米大吟醸をもらったことがある。ウヤウヤしい瓶に入ったこのお酒、正に「美酒」とはこういう酒の事を言うのだろう、最高の逸品だった。

 ワインは純米酒とともに味覚的に美味しいと感じるアルコール飲料なのである。4月から毎月1本送って来るようになった。一昨日その3本目、6月分が届いた。すぐに冷蔵庫へ仕舞いこみ、昨日開けて飲んでみたわけだ。

 通人は、常温で飲むのが一番だと言うが、僕はキンキンに冷やしたほうが好き(この辺ドシロウト丸出し)なのである。沢山は飲まないので特に肴は必要としない。普通にゴハンを食べながら、グラスに1杯程度飲むだけ。カミさんはチョイと気を利かせて生ハムサラダを具してくれた。

 4月のワインは、やや薄味で物足りない感じ、5月のはとっても美味しかった。味に力があり、しかも重くならず、後味はスカッと抜けが良い。甘味、渋み、酸味のバランスが絶妙で、鮮度の高い香りが花を添える、という良いワインだった。これで2,000円なら安いと思った。

 さて、6月のこのワインや如何に。5月に比べると、やや力不足。味に厚みが足りない。4月ほどではないが、ちょっと水臭い感じ。しかし、これまでの中ではいちばんスピード感はあるようで、脂っこい食べ物にはこれが最も相性が良さそうに思った。相手次第で格上げ可能か。

 何だかオーディオ機器の評価みたいだな。尤も、音も酒も好みは千差万別、定量的に良い悪いとは決め付けられないことが多い。似ていると言えば確かにそうである。

 箱船の音を酒に喩えて言うならば、どんな感じになるだろうか。

 「超辛口でありながら決して淡麗ではない。鈍重になる寸前で踏みとどまったような独特の重さがある。後味は非常にクセがあり、好みははっきり分かれそう。純米のはずだがどことなく醸造用アルコールを添加したような人工的なニオイも感じさせる。お世辞にも上品な味わいとは言えない。杜氏のウデはまだまだ。ただし、これでなきゃイカン!と言う人もいるかもしれない。はっきり言って、少数派向け、変人向けの酒である....」

 こんな酒、飲みますか?

’01/06/01 (金)

構え


 てぐすねひいて、雷を待つの図。マイクはRP-3800Eが付いているので、これはECM-23F3に換えなければならないが。

 昨日も天気が悪く、一日雨。夕方から更に雲行きが怪しくなり、遠雷が聴こえる。こっちまでやってくるかと急いで準備をしたが、そのままフェイド・アウトしていった。残念。

 雷の録音に苦労した話といえば、テラーク盤「グローフェ/グランド・キャニオン」(P1987 CD-80086)を思い出す。

 満足できる「ドライ・サンダー(雨なし雷)」を録音するために5年間かけたという。だが最後は結局運任せ。スタッフの一人、ブルース・リークが車で移動中、突然グワイ良さそうな雷が鳴り始めた。たまたま運良くバッテリー式ポータブル・デジタル・レコーダーとマイクを積んでいた彼は、交通量の多い国道から脇道へ入り、首尾よくドライ・サンダーの録音に成功したというわけである。

 オケの録音はまあまあ、超優秀までにはもう一息。だが、このCDは雷を聴くだけのために買っても損はない。トラック10が雷無しの第五楽章、12に雷入りの第五楽章「豪雨」が収録されている。凄い音である。超低域まで猛烈ハイレベル・カッティング、ボリュームに注意しないと、スピーカーをぶっ壊す可能性大である。ちょっと惜しいのは、雷に高さが出にくいこと。何故だか分からない。

 「CAUTION! DIGITAL THUNDERSTORM」の注意書きは伊達ではない。クライマックスでの雷鳴は、巨大なナパーム弾が大爆発したような(聴いたことないケド)凄まじい音で鳴り渡る。実音量までボリュームを上げたくなるが、そんなことをやったらスピーカー様御昇天。サウンドマニア必聴盤である。

 当地では強烈なドライ・サンダーなど望むべくもないので、同じようなものを録るのは不可能である。しかし、ひょっとすると録りようによっては鮮度の点で上回ることができるかもしれない。

 相手は自然の営みである。やっぱり車にレコーダー積んどかんと遺憾かな。