箱船航海日誌 2001年05月
日々雑感、出来事などを思いつきに任せて綴っていこう
雨大好き
なのは僕ではない。庭の紫陽花である。今月は下旬になって雨が多く、梅雨みたいだと思っていたら、紫陽花はよく知っていて早速花を咲かせている。 紫陽花の水に対する伝送特性(?)は凄い。立ち上がり、立ち下り最高。草木の中で一番分かり易いのではないかな。 雨が降らないとたちまちヘナヘナ、まったく元気がなくなってしまう。花の色は褪せてしまい、見ているだけで気の毒なほどである。見かねて水をやると見る見るうちに行き渡り、全体に生気が漲ってくるのである。まるで動きが目に見えるような感じ。超ハイスピードでトランジェント極大である。 これから暫くは紫陽花が一番喜ぶ季節である。梅雨の到来。雨と湿気が多いのには辟易するが、本格的な夏を予告しているようで、そんなに嫌いではない。少なくとも冬の雪に比べれば。 湿気が多く気温が上がってくると、いろんなムシが出始める。この間も、愚息が寝る前のトイレに行った時、玄関灯の下にコクワガタがいたと言って騒いでいた。クワガタならまあ良い。困るのはムカデ君である。 家が古いからか、あるいは土壌が赤土だからか、この家にはやたらとムカデが多いのである。冬の間はどこかでじっとしているのだろう、それがこの時期いっせいに活動開始するのである。 畳んだ洗濯物の間、天井の隙間、重ねた座布団の間、バスタオルの間、カメムシ君と同様、暖かく湿ったスキマが大好き、それが困るのだ。ズボンを穿いたら何だかゴソゴソする。何かいるなと思って確かめると、10cm超の大物が張り付いていて、ギャッと叫んで放り投げる、なんてことが何度もあった。 コイツに噛まれると、さあ大変。痛いのなんのってそりゃあもう。筋肉注射の特大版を10回まとめて打たれたくらい、痛い。ハチより痛い。人によってはショックで死んでしまうんじゃないかな。たちまち真っ赤に腫れあがり、痛みは2〜3日続く。そのあと今度は猛烈に痒くなる。痒いが掻いてはイケナイ。噛み口が膿んで治りが遅くなるからである。 ムカデ君、ルックスはメカニックでかっこいい(あるいはキボチワルイ)と思うのだが、できればお出ましにならないでいただきたいのである。 雨は普く生き物を潤す。紫陽花も人間もムカデも、共に生きているのはよく理解しているのだが。 |
江戸っ子
長岡先生からいただいたものは、有形無形数限りなくある。有形の物の中で、特に多いのはCDである。 先生はとても義理堅いところがあった。こちらとしては、先生に使っていただけるだけで涙が出るほど嬉しいばかりなのに、ピンコードや、コンセントや、SPユニットや、あるいはヘンなCDなどを差し上げると、必ずお返しをくださった。さすが、義理人情に厚い下町の江戸っ子? 上の画像はそんな風にして、初めていただいたCDソフトである。パーカッション・アート・カルテット/IMPULSE(独THOROFON CTH2063)。日付を見ると、’91年3月9日になっている。このときは確か、山形県の地酒「樽平」をお送りしたのではなかったかな。オーディオアイテムじゃなかったな。 小包封筒で、書簡とともに郵送してくださったのである。その時の僕の喜び様は推して知るべし。長岡先生からCDをもらった! しかも手紙付き! なんということだろう。 手紙には「樽平」の感想と、最後にこうあった。 「いつももらってばかりで悪いので、CDを同封します。これは余ったものなので気にしないでください。長岡鉄男」 ブッキラボウだが優しく暖かい手紙である。あの時は、本当に嬉しかった。 このCD、10年経った今でも僕の愛聴盤である。録音は素晴らしい。数あるパーカッション録音の中でも、これはベスト10に入るだろう。特に音場感が凄い。楽器の位置、大きさ、演奏者の気配などがありありと見える三次元音場である。システムによって差がはっきりと出るので、テストCDとしても使えるのである。 このほかにも10枚近くいただいたが、今となっては以前にも増して大切なCDになった。 僕の宝物、である。 |
報恩謝徳
一番悲しかった日から1年が経った。先生が入院されていることを炭山さんから聞き及んだのは、確か昨年の5月26日だった。「重篤な肺炎」と聞いたとき、非常に厭な予感がしたのをはっきりと覚えている。先生が呼吸器系に爆弾を抱えていらっしゃるのを知っていたからである。 その三日後、29日の夕方。ちょうど晩ゴハンを食べ始めたところだった。午後7時少し前だったか。一つの電話がかかる。相手は「ミューズの方舟」関西支部の事務局をお世話になっているH氏だった。その瞬間、すべてを悟った。「あ、先生が亡くなったな...」。 H氏は沈んだ声で、 「長岡先生が今日、亡くなりました。午後4時過ぎだったそうです...」 そう言って彼は絶句した。僕も多くは喋れず、 「そうですか。お知らせくださってありがとうございます」 と短く応えて電話を切った。 葬儀に参列できるかどうか、この時点ではわからなかった(結局参列できなかった)ので、ともかくお悔やみの電報を差し上げようと思い電文を考え始めた。 「長岡先生、永い間本当にありがとうございました。先生から頂いたものは計り知れず大きく、今僕たちが失ったものはまたあまりにも大きすぎます....」 ここまで書いたところで、突然巨大な悲しみが、心のずっと奥のほうからやってきた。その悲しみは、寂しさ、悔しさ、申し訳なさ、懐かしさ、口惜しさ、そのほか諸々の感情が渾然一体となった、これまでに感じたことのない深いものだった。 1年経った今も、その悲しみは癒えないまま、膠質化して僕の心に蟠っている。時とともに、激しい悲しみから深く静かな悲しみへと変化しているのは実感できるが、これからもずっと心にあり続けるのは間違いない。消え去ることのない、深い痛みとして。 だがしかし、悲しみで心をふやかしてしまっては先生に申し訳が立たない。ご逝去を後ろ向きに捉えては、先生とて本意ではないだろう。 これから先は、この1年にも増して、前向きで「自作派オーディオ」していきたいと、思うのである。大恩ある、長岡先生に報いるためにも。 今日の画像は炭山さんからご提供いただいたものです。炭山さん、ありがとうございました。 |
春雷
5月はよく雷が鳴る月である。昨年は5月16日に箱船の2階から録音している。今日も夕方から、南の空で電光が瞬いている。 それほどの大物ではなく、録音は見送った。電光に照らし出される夜景画像だけでも日誌に挙げたいと思い一時間くらいデジカメを構えて頑張ってみたが、瞬きを捉えるのは殆ど不可能である。 考えてみれば当たり前である。出会い頭で一枚くらい撮れないかと思ったのはまったくの見当外れだった。撮れたのは、まっくろけで意味不明の画像ばかり。アホである。普通のカメラでバルブ撮影すれば、ひょっとすると上手く行くかな? というわけで今日の画像は完全に企画倒れ、昨年録音した雷のマスターテープ画像でお茶を濁してしまうのであった。乞御容赦失敬。 雷の録音は、昨年5月と8月にトライしたものが、とりあえず聴ける程度には録れている。理想的には雨無しのドライサンダーがベストである。ところがそう上手くはいかない。 どちらも土砂降り、雨音がかなりうるさい。5月の録音はどちらかといえば「遠雷」であって、音場感は非常に良いが迫力に欠ける。8月のほうは相当派手に鳴りまくり、2回くらい強烈な落雷音が入っている。だが、録音レベルの設定が適切でなく、少々サチっている。強烈な音のわりにスカッと伸びきらない。ピークが潰れているのである。自然相手の生録、特に雷と来た日にゃレベル設定が非常に難しい。 何だか知らないがこの地方は、これから8月いっぱいまで雷がよく発生するので、また録音の機会はあるはずだ。昨年5〜6回やってみて殆ど全部失敗、そのおかげで何となくレベル設定の感じが解ってきたような気はする。 今年こそ、満足な「雷」が録音できれば良いのだが。そう言えば昨年は、うちの避雷針に落雷があり、電話とファクシミリがぶっ壊れたのだった。あの時の音は、凄かったな。 まったく予告無しの一撃だったから、もちろん録音なんか出来なかったケド。 |
秋の準備
箱船脇の柿の木に、花が咲いた。薄い緑色で大きさは1cmくらい、まったく目立たない。遠目には咲いていることに殆ど気が付かないほどである。4枚の花弁奥、僅かに見えているふくらみが秋になって実になるところである。 柿はに成り年とそうでない年が交互にあり、昨年はよく成ったので今年は成らない年のはず。しかし、花の数は毎年そんなには変わらない。成らない年は実が直径3cmくらいになったところで次々に落ちてしまうのである。おそらく今年はそうなるだろう。 近所にあるイチョウの木も、すでに銀杏の実を付けている。ついこの間まで、寒い寒い、雪がイヤダと文句を言ってたら、木々は今から次の秋に向けて準備を始めている。何だかアパレル業界みたいである。 実りの秋だからかどうか知らないが、オーディオ業界も新製品が出るのは「秋」と決まっているようだ。昔からそうなのかしらん。今年の新製品はどんなものが出てくるのだろう。成り年か、成らない年か。 数年前から待っている新製品が一つある。DENONのパワーアンプPOA-X、である。POA-3000RGの後継機と目されるこのアンプ、随分前から参考出品されているのにもかかわらず、未だに本番製品が出ない。「もう出ない」という有力な情報もあるが、僕としては一縷の望みを捨て切らずに待ちたい気持ちである。 成る前に落ちないよう、是非日の目を見せてやりたいアンプだが、日本コロムビア関係のニュースを見ると、ちょっと無理なような気もする。 コヤシやらないとだめかな。 |
初めまして、さようなら
という感じの慌しいご来訪。てんてんさんである。東北からの遠来、お仕事の都合とは言え、何だか申し訳ないのである。午前11時過ぎに箱船到着、16時の特急で和歌山県東部へ向けて出発というハードスケジュール、昼食を挟んで実質4時間程度の試聴である。ウ〜ム、きついなあ。僕なら即死である。 これほどの強行軍を押してでもこんな辺鄙な田舎まで足を伸ばしてくださるのだから、それなりの音を用意して待たねばならない、のは重々承知しているわけだが、結局スのまま聴いていただくしかないのである。 音の良し悪しは置くとして、CD、AD、スーパースワンESIIなど、短い時間でそれなりに充実した試聴ができたとは思う。僕得意の大音量で聴いていただけたのも、良かったようである。 午後からはRaioさんも合流、若いお友達と二人で見える。このご友人は22歳、ADを見るのも触るのも聴くのも生まれて初めてだという。そりゃあそうかもしれない。’79年生まれ、CDが出たのは’82年、彼が3歳の時である。僕のほうが逆にカルチャーショックを受けてしまった。 皆さんお泊りではなかったのでかなり忙しい試聴だったが、例によって楽しい時間でありました。 てんてんさん、次回は泊まれるような予定でゆっくりおいでください。Raioさん、Nさん、わりと近いので、またお気軽にどうぞ。 皆さん、どうもありがとうございました。 |
スカタンだと思ったが
ECM-23F3用には穴径が小さく使えないと思った風防だったが、RP-3800Eにピッタリあてはまってしまった。まるで誂えたみたいである。こういうのってどう表現するのだろうか。ヒョウタンから駒? 怪我の功名? 測定用だけあって、レンジが広くフラット、クセもなく非常に良い音で録音できる無指向性マイクである。価格は1本12,000円と格安で、とりあえず生録してみるには手頃である。ただし、あくまでも測定用であって、録音用ではない。音圧の高い音源にはまったく歯が立たず、あっという間にマイククリップしてしまうのである。 もうずっと前、一度だけ自分が叩くドラムをこのマイクで録音してみたことがある。これはヒドイことになってしまった。バスドラムの一撃でグシャッとクリップ、まったく音にならない。これで花火なんか録った日にゃあどうなろうかが容易に想像できるというものである。 友人が弾くマーチンD-28というフォークギターを、このマイクで録音してみたこともある。これは大成功だった。23F3を買ってから、ほとんど出番がないRP-3800Eだが、音源をうまく選べば良い音が録音できるはずである。「方舟のガムラン」もこのマイクではなかったかな? 無指向性マイクはセッティングが難しい。ヘボがやると定位の悪い朦朧とした音になる。だが、名手がキッチリセットした時は素晴らしいパフォーマンスを見せるのである。 ま、僕などは23F3でさえオーバークオリティ気味なので、あまり欲張らず使いこなしていくということになるのだろう。と言いながら、23F3の後継機であるところの23F5が少々気になるのだった。 その前に、良い音源を捜せっての。 |
聴けば芍薬
鳴らせば牡丹、佇む姿は百合の花、なんてスピーカーがあるのかどうか、庭の芍薬が咲き始めた。昨日今日は一日中雨、まとまって降るのは久しぶりである。この雨で、硬かった蕾が一遍にほどけだしたようである。 雨が降って喜ぶのは花や樹だけではなくて、カエルたちも嬉しいらしい。先日箱船の入り口前に姿を見せたモリアオガエル、今年はあまり鳴かないなと思っていたら、どうも水不足だったようだ。今日は午前中から例の「貝殻を擦り合わせた」ような声で、派手に鳴いている。陸棲のカエルとは言えそこはやはり両生類、水が少ないと元気が出ないんだろうな。 裏庭に立って聴いていると、実に面白い。音場(?)から推察するに、メス一匹を中心にして、半径10mくらいの範囲にオスが5〜6匹散らばっている感じである。まず一匹のオスが「ケケケケッ」と鳴き始める。すると別のところにいるオスが「ケケケケケケッ」と呼応する。また別のオスが少し大きな声で「ケケケケケケケケッ」とやり返す。だんだん声が重なって来たところへメスがひときわ大きな声で「クココココ、グヮグヮグヮグヮ」と鳴くと、いったん静かになる。これが1〜2分の周期で繰り返されるのである。 オスはメスに選んでもらう為に、ヒッシでいい声を聴かそうと努力する。メスは一通り聴いてから「グヮグヮ」と返事するだけ、オスの努力は涙ぐましい。そうやって「より強い遺伝子」だけが受け継がれていくのだろう。 この様子を箱船2階の窓から録音してみた。本当は裏庭の茂みにマイクを置いて録るのがベターだが、雨降りでちょっと無理である。傘をさすとポツポツ音がやかましい。音圧はさほど高くないのでいつものソニーECM-23F3ではなく、テクニクスRP-3800E(無指向性)を使ってみる。 雨だれ音が少し気になるが、カエルの声とともに鳥の歌も綺麗に録音できた。マトリクス再生すると360度サラウンドする。2chで聴いても充分広い音場である。ごく自然な音だが、こればっかり1時間聴くと飽きるかな。いわゆるα波ソフト? 花やカエルが喜んだ雨だが、僕も生録の機会に恵まれて喜んでいる。 |
僕の立処
20日から今日(22日)まで、僕本来の仕事上濃い時間を過ごした。三日連続ハードメニュー仏事。こんなことは滅多になく、あらためて自分が因って立つところを再確認出来たようで嬉しかった。 写真はそのワンシーン。中央で五体投地の拝をしているのが今日の法要の導師である。今日の僕の役割は「維那(イノウ)」である。なんのこっちゃワカラン? そうでしょうねぇ、業界用語ですから。要するに「お経を始める人」である。 OCORAレーベル、日本7「声明」を聴かれたことのある方なら、何となく分かっていただけるかも知れない。大勢でお経や声明を詠む時でも、いきなり全員で始めるのではなく、まずソリストが詠み始め、それに皆が合わせていくという形になるのだが、その「ソリスト」の役割が「維那」というわけである。 残念ながら我が宗旨では「声明」を詠読することがないし、今日は自分が「ソリスト」なので録音しようという気が起きなかった。だが、中には素晴らしい声で朗々と読経する人もいる。響きの良い本堂を有するお寺もある。 何時かはOCORAの向こうを張って、仏事を丸ごと収録できればと思っているのだが、なかなか良い条件が揃わない。 現用のDATデッキ、パイオニアD-C88を買った当初、嬉しくて一度だけ自分の読経を録ってみたことがある。録音技術の不味さもあった(それ以前に声がワルイ?)のだろう、如何にも変な音になってしまって、それきり録っていない。 実際には、録音がヘボなのか、声が悪いのか、僕のシステムが“低忠実度再生”しているせいなのか、或いは逆に忠実なのか、よく分からない。たぶん全部かな。 久留米の法要では尺八の生演奏があり、これは素晴らしかった。事前に知っていたなら、DATデッキ担いで行ったのに。 |
南行き
20日早朝から福岡の久留米市へ出かける。修行時代の若い後輩が、新しく住職に就任するその儀式に参列するためである。「晋山式(しんさんしき)」という。 新大阪まで車で行き、新幹線で博多へ、博多から鹿児島本線で久留米へ、という行程になる。約7時間半ほどかかりそうである。元来ひどい出不精だが、一生一度の「晋山式」に呼ばれておいて、欠席するわけには行かない。明後日晋山する彼だって10年前、僕の晋山式には来てくれたのだから。 それにしても思うのは、この「箱船」まで無理を押して来てくれる仲間たちのことである。大阪、兵庫、京都はもちろんのこと、沖縄、九州、中国、四国、北陸、関東、今月末には東北からも来てくださるという。久留米までの7時間など物の数ではないのである。 ありがたすぎて言葉が無い。これも全て、先生が取り持ってくださったご縁のおかげである。 久留米からの帰宅は21日の深夜になりますので、明日、明後日の「航海日誌」は更新を休み、23日から再開します。どうぞ宜しくお願い致します。 |
4年
1997年5月17〜18日。「第一回オーディオ諸国漫遊記」。もし、今も長岡先生がご存命であったならばこんな気持ちには、きっとならないはずだ。あれから四年経ったと同時に、一番悲しかった日からもうすぐ一年がやってくる。 一番楽しかった思い出と、一番悲しかった思い出が、同じ時期に重なっている。これも先生の粋なはからいか。 先生との思い出は山のようにあるはずなのに、いつも決まって言葉が出てこない。書こうとすればするほど、何も書けないのである。何故だか分からない。頭の中には、一杯詰まっているのだが。 これからも僕はずっと、年中で最も好きな季節がやってくるたび、長岡先生のことを思い出すのだろう。 |
サウンドマニア向き「黄金」
またまた「指環」の話題で恐縮です。先日手に入った独DECCA盤「ラインの黄金」を国内盤と聴き比べてみた。写真左が独盤、右が日盤である。 ジャケットデザインは基本的に同じ、印刷のせいか色目がちょっと違って見える。独盤青丸の下、左右に見えるマークは、このレコードに与えられた「賞」のマークである。「A級外セレ」に紹介された長岡先生手持ちのものは、これがシール貼りの初期盤、というのは「リング研究家」ぷあさんからの情報。僕のは少し新しいものらしく、ジャケットとともに印刷されている。 どうもここのところ行事が多く、詳しく聴くほどの時間が取れない。今のところホンのサワリだけの比較試聴である。だが、違いは明白であった。 すぐに気が付いたのはSNの差。独盤のほうが明らかに静かである。盤のせいか、マスターテープの違いか、日盤はややノイズが目立つのである。厚み、力感、重量感、リアルさ、切れ、音場、全ての点で独盤が上回る。日盤は全体的に薄味で、音場も見通しがイマイチ、立体感がやや希薄で平板な表現になる。特に冒頭のコントラバスで差が大きい。独盤には太い弦の振動が目に見えるようなリアルさがあるが、日盤ではそこがもう一息。ちょっとシラけて鳴っているように聴こえる。 日盤も決して悪くはない。だが一度独盤を聴いてしまうと、もう戻れない。英DECCAオリジナル盤を含め、最もオーディオ(サウンド)マニア向きの「黄金」はコレか。 このタイトルの聴きどころである「ヴァルハラの入城」、「ドンナーの一撃」などはまだ聴けていない。部分聴きはあんまりしたくないので、なんとかまとまった時間を作り全編を通して聴きたいと思っている。3枚組6面、約3時間。これができそうで出来ないのである。 すべて聴けた後、スペアナ写真とともに「音の形」ページでキチンと報告したい。 |
ダクトがデカイと
こんなこともできるわけだ。って、別にどうでもいいことですケド。つまりその、サブウーファーのバスレフダクトからデジカメを突っ込んで、手探りでシャッターを押したらこうなったというだけの写真である。 使っているユニットJBL E-145、これを使っている自作派はあんまり多くないと思うので、背面写真を見ていただくのも面白いかと。基本的にはベースアンプやSR向きのユニットなので、Hi-Fiオーディオにはイマイチというのが一般的な見方だろう。それはとっても正しいと思う。フツーの人はこんなものを使ってはイケナイのである。 ユニットへ行っている線は5.5スクエアキャブタイヤケーブルである。ターミナルにトリテックの最大型(型番忘れた)を使っているのでこういうこともできるが、こんなに太い内部配線もお薦めはできない。下手をすると破壊である。ユニット側のターミナルは流石に38cm、ギリギリだがちゃんと入った。ただ、カタログ上で見た時には金属製のしっかりしたものだったのに、入荷した現物はモールド製ワンタッチの安物が付いていてガッカリした。一応ハンダ付けもできるようになっているので、そのうちやり直すかな。と言いながら4年経ってしまった。 こうして裏側を公開してしまうと、ユニットにな〜んにも対策してないのがバレバレ。偉そうなことを言っても、こんなもんです、くずてつなんか。 自分でバラしてりゃ世話ないのである。 |
置くべきだ
11日の日誌にトゥイーター置き台のことを書いたら、いちかわにろうさんから写真付きのメールを頂いた。それが上の画像。いちかわさん謹製オリジナル「鉛製トゥイータースタビライザー」(僕の勝手な命名ダス)である。製作方法はいちかわさんのメールから転載したい。その方が正確である。 『ツィーター台ですがうちではこんなの使ってます。10mm厚ぐらいの平鉛板にタイコおもりをエポで貼り付けています。タイコは木鋸で半分に切ってその角で4点支持する感じです。これを4個作ってツィーターの上下にセットしています。当たり前ですが安定はいいです。円筒を安定させるには理屈も合っています。』 ナルホド、こういう方法があったわけだ。これならガッチリと固定でき、しかもガタは皆無、総鉛製で重量もあって鳴きは少ない。何よりもハイCP、自作派いちかわさんの面目躍如と言ったところである。 これを見ていて思ったのだが、僕がやっている方法でも、重ねているインゴットをエポキシで全部接着してしまったらどうなるだろうか。下にも鉛板を敷いて。上手くやらないとガタガタになってしまうだろうな。いちかわさん方式とは違い質量が大きいので、接着することで静止摩擦効果が無くなり却って鳴きやすくなるかも知れん。ガタ皆無でピッタリと重ねられ、しかも接着はされていない、という状況を実現できれば一番である。ムリだな。接着するメリットが上回りそうだ。 いちかわさん方式、この発想は凄いと思う。お見事。 トゥイーター置き台に悩んでいらっしゃる皆さん、これを雛型にして、更に良いものをヒネリ出しませんか? 今日の写真は2枚ともいちかわさんからご提供いただきました。ありがとうございました。 |
亜種
「指環」第四夜、ってオペラではない。友人に東京で見つけてもらった独DECCA盤「ニーベルングの指環」フルセットが届いた。ジャケット、盤とも非常に綺麗、極上美品と言って良いと思う。友人には本当に感謝である。どうもありがとう。 これで僕手持ちの「指環」フルセットは三つになった。もういいかな。と思って箱船の客室を見たら、「リング研究家」ぷあさんから、オリジナルフルセットなるものがあるという書き込みが。「指環」全ての録音が完了したのは1965年11月、その後初めて発売されたフルセットである。聞くところによると、装丁も内容も素晴らしいものだそうだ。う〜む、入手は困難、しかも高価になるだろうが、トドメのフルセットとして、手に入らないかなあ。 このタイトルは同内容で亜種(?)が多く、しかもそれぞれに音が違いハンパなことでは追い切れないと、ぷあさんはおっしゃる。「リング研究家」をしてそう言わしめるほどだから、僕なんかはあんまり深入りしない方が安全なような気もする。ま、「黄金」に関しては英DECCAオリジナル盤、英DECCA再プレス盤、独DECCA盤、米LONDON盤、日キング盤の5種類があるわけだし、おおかた満足だな。 作曲者も言っている。 「そんなにサワグナー」 |
つい手が出ました
もう一発「指環」がらみのお話をば。上の写真は単品で買った、同じくショルティの「ワルキューレ」である。ギラギラした銀色の背景にオレンジ色の大きな丸印、非常にアクセントの強いジャケットである。購入年月を見ると、’89年4月29日になっている。12年前、もちろん新盤である。何処かのレコード屋さんで見つけ、「オヲッ」と思って買ったのだろうと思う。 DMM(ダイレクト・メタル・マスター)盤である。A級外セレ第一巻109ページ最後の行には、先生が注意書きをしておられる。「黄金」についての記述だが、「ワルキューレ」も同じことだろう。 やってしまったのである。つい手が出てしまった。この頃はまだ事情が良く呑み込めていなくて、衝動的に買ってしまったのだろうなあ。 詳しくは書けないがこれを聴いてみると、このジャケットのような音がする。分かる人には分かると思う。アイヤ〜、これは残念でした。だが、音の好みは千差万別であって、これが好きだという人がいても、それは至極当然のことだと思う。僕のシステムには合わないというだけの話である。 今になってみれば、これはこれであっても良いかと思っている。しかし、当時はこれを見るたび、心が軋んだものである。音が好みでなかったことよりも、本命を見事にハズしたのがヒジョーに悔しかったのである。 その反動かな、「指環」をボコボコ買うのは。 |
黄金四つ、指環は二つ
今日も「指環」のお話。写真は僕手持ちのAD「指環」と「黄金」である。写真左上はキングレコードから発売された国内盤フルセット、箱船の客室にいちかわさんが書き込んでくださった「RING-1」である。本編19枚にハイライト3枚が付いて22枚組。豪華なケース入り。中古で17,800円とバカ安だった。その右は英DECCA再発盤フルセットである。いちおうイギリスプレス(らしい)だが、かなり新しいプレスのようである。19枚組。これも分厚いケースに入っている。僕が一番最初に手に入れた外盤がこれである。 音が細身でどうも気に入らないので、せめて「黄金」だけでもいいものが欲しいと、次に買ったのが写真左下、米LONDONブルーバック盤「ラインの黄金」。これが「ブルーバック」と呼ばれるのはケースの裏が青いから。そのままである。これはなかなか音が良かった。そもそも「LONDON」は、英DECCAがアメリカで使っていたレーベル名で、基本的には英DECCAと同等品である。何でもアメリカで既に別の会社が「DECCA」の名称を登録していたせいで、仕方なく「LONDON」にしたとか。 同等品とはいえ、ここまでくるとやっぱり英DECCA盤が欲しくなる。それで入手したのが右下、英DECCAオリジナル盤「ラインの黄金」である。所謂「ラ−ジデッカ」と呼ばれるものだ。オリジナル盤と言っても初版ではない。そんなものは高くてとても買えない。僕の好みでは、この盤がいちばん好きである。 フルセットを2セット、黄金を単品で二つ、これで「黄金四つに指環二つ」ということになるわけだ。そんなに沢山買ってどーする? いやいや、僕なんかまだまだ、友人にはフルセットを七つ八つ、黄金だけなら10セット以上持っているというオッソロシイ御仁がいる。 このタイトル、事ほど左様にプレス時期、国、スタンパー、盤質、マスターのロットなどで音が全く違うのである。実際この四つの黄金も、それぞれ音が違うのだ。これは良くてあれはダメと、一概には決められないのが面白いところではあるが。 未だ手に入らないのが先生推奨の独DECCA盤の黄金。「A級外セレ」のアレだ。この盤は低域の厚みが特に凄く、どうしても揃えておきたい盤である。ずっと捜しつづけているのだが、なかなか手に入らない。 と思っていたら、今日の昼頃東京の友人から電話があった。「例の独DECCA盤フルセットを見つけたが買うか」というのである。そんなもん一も二もない。当然「即買い」である。友人に検盤してもらったところ、キズもなくセンターホール周りの探り傷もない美品だという。オマケにフルセット19枚組で20,000円と格安、これを見逃す馬鹿はいないだろう。 やっと手に入れることができた。知らせてくれた友人には大感謝である。なんて嬉しいんでしょう。これで「黄金五つに指環三つ」になったなあ。でも、不思議なのは、昨日「指環」のことを書いたら、今日独DECCA盤が見つかったこと。 何かあるのかな? |
限定だったかな?
先日M85さんが見えた折、’58年9月録音ショルティ/ウィーン・フィル「ラインの黄金」を、英DECCA盤(ラージデッカ)、米LONDON盤(ブルーバック)で聴き比べた。長岡先生が「A級外セレ」で紹介されているドイツDECCA盤を、残念ながら僕は持っていない。しかし、よりオリジナル初版に近いモノを持っているわけだから、良しとしよう。オリジナル盤必ずしもベストとも言えないが。 ごく大雑把に言ってしまうと、英DECCA盤がややハードで鮮明、米LONDON盤は少し甘いが音に深みがある、ということで、それぞれに良さがあった。僕の好みはどちらかと言えば英DECCA盤かな。いずれにしても今から40年以上も前の録音とは思えない。先日のRCAリヴィングステレオ復刻盤と言い、ある種の思いを抱かざるを得ないのである。 上の写真は’97年にリマスターCDとして発売された、ショルティ/ウィーン・フィル「ニーベルングの指環」(DECCA 455 555-2)である。「ラインの黄金」(’58年9月、10月録音)「ワルキューレ」(’65年11月)「ジークフリート」(’62年5月、10月)「神々の黄昏」(’64年5月〜11月)フルセットCD14枚組、豪華な化粧ボックス入りである。蓋を開けると一話一話がさらにボックスに入り、分厚い解説書がついている。これで14,990円は馬鹿安である。一話毎に分売もされたと思う。セットで買う方がぐんと安かった。セット物が限定だったっけ? 全部限定だったか? 忘れてしまった。 M85さんがお帰りになった後、久しぶりにこのCDも聴いてみた。これがなかなかのスグレモノである。最新のマスタリング技術を駆使して、録音当時のマスタークオリティを最大限引き出したと解説にあるが、大変大きな成果を上げているようだ。SNでは完全にADを上回っている。そのせいか音場の見通しが良い。超低域も良く伸びて、足音や気配が良く聴き取れる。空間を切り裂くような切れ、スピード感はもう一息という感じだが、CDとしては極めて優秀である。 このタイトルは特に有名な録音なので、捜せばまだADも手に入ると思うが、もしこのCDがまだ買えるのならば、これはお薦めである。 何月号だったか忘れた(捜すのだが見つからない。間違っていたらご指摘ください)が、長岡先生が’97年レコ芸「レコードえんま帳」で評価されていたと思う。推奨しておられたことだけは覚えているのに、肝心の詳しい内容については忘却してしまった。 何だかエエカゲンですね。ゴメンナサイ。 |
置くべきか、置かざるべきか
トゥイーター置き台について、掲示板に書き込みをいただいた。仰るとおり、ホーントゥイーターの置き方については色々と悩むところだ。最適と思われる置き台が、なかなかないのである。FT-90HGにも、T-500Aにも置き台は付属しているが共にイマイチ。もちろんF社にしたってあれをベストとしているとは思えない。あくまでも“フロク”であろう。 ともかくは円筒形でコロコロ転がるトゥイーターをがっちりと固定したい。ちょっと突付けばすぐに動いてしまうようでは困るのである。となれば、やはりここは長岡式で行くのがいちばん手っ取り早いか。鉛板で固定する、あのやりかた。 長岡先生は、普通の2.5kgインゴットを半分に切り、それを両側に3枚真っ直ぐに重ねて、左右から挟みつける方法で固定されていた。トゥイーターの下にも鉛板を敷いておられたはずだ。 僕もこの方法を真似していたが、普通のインゴットを重ねるとガタが出やすく、これを補正するのに四苦八苦するのである。重ねてはどつきまわし、どつきまわしては重ねること数十回、これでも完璧を期することはできない。 どうすれば上手く行くのかと考えていたところへTGメタルから「高精度鉛インゴット」が発売された。これを使えばガタの呪いから解放されそうである。早速買い込んで試してみる。 そのままでは長すぎて使えないので、半分に切らなければならない。この作業がチョイと煩わしい。ジグソーに軟材用の歯をつけて、焦らずちょっとずつゆっくりと切っていく。慌てると歯に鉛が粘りつき、一瞬にして折れてしまう。折れるだけなら良いが、折れた歯が飛び散り、大怪我をする危険もあるのだ。 そうやって切った鉛を、トゥイーターの円弧に合わせて重ねたのが上の写真、スーパーネッシーの状況である。左右に4枚ずつ、トゥイーター下の鉛板は敷いていない。ただし、薄い純毛フェルトを挟んである。この辺りのちょっとした対策で高域の質感をコントロールできるので、あとは好みだと思う。 左右から挟むだけでは心許ないと、粒状鉛をビニール袋に入れ上からも押さえ込む。これでほぼがっちり固定することが可能である。スーパースワンでも、この方法が応用できるだろう。 これでもミクロの目で見れば、ガタガタなのだろうと思う。更に徹底するとしたら、鉛でブロックを鋳造し、そこに嵌め込んでしまうとか、コンデンサースタビライザーの拡大版を作り強固に挟みつけて一体化、それを天板に置くとかいろいろ方法はある。何だか大掛かりになってしまいますね。 天板から転がり落ちてしまってはお話にならないが、そうでなければテキトウなところで見切るのが良いのかもしれない。 |
階段を降りて左
先日親戚に仏事があり、その粗供養に「アズ・ユー・ライク」というシステムのものを貰った。ウヤウヤしいケースに入ったカタログから自分の好きなものを選び、返信葉書で注文すれば後日希望した品物が送られてくるという仕組みである。賓客に贈る粗供養や記念品には皆頭を痛めるらしく、これなら施主のお仕着せでなく贈られた側が自由に選べるということで、それなりに好評なようである。 カタログには結構なものが記載されていた。品数も多い。色々と迷った挙句、写真の「ポールタイプコートハンガー」に決めた。 現品が届き箱を開けてみると、これがなかなかの物である。総天然木、いちばん太いところでΦ70mmある。コートだけでなく、少々重いバッグなどを掛けても充分耐えられそうだ。良いものをもらったと、早速箱船の備品になった。 これに決めた理由は、もちろん来客があった時のため、それともう一つ。そう、本家「方舟」にも常備されていたからである。なぜか極めて印象が深いのである。入り口の階段を降りてすぐ左に、コートハンガーがあった。冬場など、地べたに上着を置こうとすると先生は 「あ、上着はね、そこに掛けるところがあるから」 と気遣ってくださったものである。記憶が鮮明なのは、寒い時期にお邪魔することが多かったからかも知れない。 こんなものまでマネしてみても、別段どうと言うことはないのである。オーディオには全く無関係、馬鹿な話だ。だが、これを置いてからというもの、何となく心が豊かになったような気がするのは何故だろう。僕が直接使う物でもないにも係わらず、とても気に入っている。 箱船乗船の際には、是非使ってください。 |
5.5、8、14
2芯ビニルキャブタイヤケーブル、上から5.5、8、14スクエアである。外径はそれぞれΦ14.5mm、Φ17mm、Φ20mmとなる。現在5,5スクエアは使っていない。スーパーネッシーに8、サブウーファーには14をパラ(都合28スクエア)でつないでいる。 ケーブルに関しての話は「箱船のアクセサリー」ページに載せようかとも思ったが、ケーブルを「アクセサリー」と呼ぶのはどうも抵抗があるので、ここで戯言を述べることにした。 「無くても音は出るがあれば面白い」モノをアクセサリーと呼ぶのであってみれば、ケーブルはアクセサリーではないのである。将来的にはどうなるか分からないが、今のところ無くては音が出ない。そう考えるとラインコードもアクセサリーではないな。でも1m100万円のコードはアクセサリーか? 写真はフジ電線(株)の製品である。特にこのメーカーにこだわっているわけではなく、これしか買えないのである。キャブタイヤケーブルの音については皆さん良く良くご存知、今さらここで語る必要もない。ただし、14スクエアなんて言う馬鹿みたいに太いタイプは、あまり一般的ではないと思うが、如何だろうか。 「太すぎてダメなんじゃないの?」「ただ太きゃ良いってものでもないだろうに」。僕もそう思っていた。5.5スクエアから8に変える時も同様。だが、これはホントに「やってみなければわからな」かった。トゥイーターもいっしょくたに8でつないでしまってはいけなかったが、そこを上手くやれば、太さによるメリットが出てくるのである。 そこでワルノリして、サブウーファーを8スクエアパラから14スクエアパラに変更してみたわけだ。当初は何だかボーボー言ってゲンナリしたが、我慢して使っているうちにだんだん良くなってきた。現在変更から2年ほど経ったが、別段デメリットは感じなくなった。音についての不満はないが、この太さと硬さには、やはりちょっと困っている。 サブウーファーを使用、低域にエネルギーを付けたい、押し出しを改善したいなど思ってらっしゃる方があれば、試す価値はあると思う。電気工事店で買えば300円/mくらいだし。ただし、この太さ、硬さ、見てくれのガサツさに耐えられるかどうか。中小音量ではデメリットだけが出てしまうかも知れない。かてて加えて端末処理の面倒さ、これは言うに及ばない。 まともに考えると、やっぱりあんまりお薦めできないか。って、使う人なんかいねえよ。 どうもスミマセン。 |
変えなきゃ
左9mH、右12mH、今はなき三栄無線製オリエントコア入り銅箔コイルCS-100である。ブチルゴムでTGメタルの鉛板にくっつけてある。9mH5,030g、12mH4,260g。9mHのほうが重いのは鉛板のバラツキのせいである。写真で見ても9mHの鉛板の方が厚いのをお分かりいただけると思う。本体だけの重量は測るのを忘れました。 現用のコイルは同じくCS-100/6mHである。現在のサブウーファーに変更した当初から、ずっと6mHでつないできたわけだが、ここにきてそろそろ変更の必要アリかと感じている。 6mHではインダクタンスが少々小さいと承知の上で使ってきた。ウーファーのエージングを少しでも早く進めたかったし、聴感上の問題も少なかったからである。もちろん、変更してみようと考えなかったわけではない。気になりながらもメンド臭くてほったらかし、これもサブウーファー用に14スクエアキャブタイヤなどという馬鹿げた太さのケーブルを使っているからである。 サブウーファーのエージングがかなり進み、サスペンションも柔らかくなってきた今、ソフトによっては低域のカブリ、中高域とのスピード感の差が目立ち始めている。インダクタンスを少し増やしても良いかもしれない。 Lを大きくするということは、信号がより長い銅箔を通過するわけで、その分のロスを見込まなければならない。スピード感の改善を目指したはずが、逆効果となるおそれがある。フルレンジとのオーバーラップが減ることで中高域の透明感は改善される反面、低域の“怒涛の寄り身”的クソ力が殺がれる可能性もある。コイルの変更だけで現在の問題が一発解消するなどと、もちろん思ってはいないが、やってみる価値は充分あるはずだ。 ゴチャゴチャゆーとらんでさっさとやってみれば良いのである。これが「やってみないでもわかる」ほど僕のデータベースは多くないのである。何を躊躇しているのか。何のことは無い、14スクエアキャブタイヤケーブルの端末処理がイヤなだけである。なんじゃそら。4年前からちっとも進化しとらんじゃないか。しょーもないやっちゃなあ。 「ワタシはこれでコイルの変更ヤメました」って、主客転倒もいいところである。 |
連休一過
大忙しの連休終了。御出でくださった方々は僕以上に大忙しの大お疲れ、いやいや、本当にありがとうございました。AKAIさん、げんきまじんさん、とんぼさん、M85さん、本当に楽しい時間をいただいて、僕はとっても喜んでおります。マトモなおもてなしもできず忸怩たる思いですが、またお会いできることを心からお待ちしています。 今回はアナログに始まりアナログに終わったOFF会であった。これほど集中的にADを聴いたのは、たぶん初めてだろうと思う。一人ではとても不可能なことである。ともに喜び、楽しみ、語り合える仲間があったればこその集中試聴、自分のシステムでありながら新たな発見があり、驚いたり恥ずかしかったり、Dレンジの広いことであった。 M85さんの感覚の鋭敏さ、的確な表現、音楽に関する深い知識と愛情にはまったく脱帽、僕など足許にも及ばない。重い荷物になるのも顧みず沢山のADを持参してくださり、次々と聴かせていただいた。どれも垂涎のタイトルである。さすがADの鉄人。 特に出色は上の画像に挙げたAD。ライナー/シカゴシンフォニー「シェヘラザード」(RCAリヴィング・ステレオ復刻盤)である。これは今回聴いたAD中、M&Kのオルガンと双璧をなしてナンバーワン。圧倒的である。どこまで拾い上げても拾いきれないほどの情報量、これ以上は無いと思われる弦の繊細感、低域の猛烈なエネルギー、渺渺として広大無辺な音場、全域に渡っての圧倒的なトランジェント、どこをとっても文句のつけようがない。これが40年以上前の録音である。何をか言わんや。 CDも素晴らしい。昨今のDVDは感激深い。だが、アナログ・ディスクの素晴らしさ、これは筆舌に尽くし難い。まだまだ道は中途である。 |
鉄人来たる
この連休はご来客が多く、何と今日はご遠方、アナログの鉄人M85さんご来訪。もの凄い勢いで試聴、さすが“鉄人”である 今晩は半徹夜の試聴になりそうである。それにしても、よくぞこんなイナカまで強行軍で御出でくださったものだ。 思いっきり聴いていただこう、って、僕としては戦々恐々なのだが。と言うわけで、今日の日誌はここまで。でも、M85さんって、本当に“スキ”だよなぁ。 |
ADスタビ 4
ADスタビライザー4が出来上がってきた。仕上がりは前作に同じく非常に美しいものである。送られて来たものは削り出し生成りなので、少々酸化し始めているし、切削オイルも付着している。これを無水アルコールで綺麗に拭き取り、ピカールで研磨してクリアラッカーをかけ防錆するのは僕の仕事である。 先日のスーパースワン用真鍮バッフルと同じように、スプレー式ラッカーをシンナーで薄めて筆で塗るわけだが、できるだけムラにならないようにチョイと工夫をする。リタイヤしているADプレーヤーをロクロ代わりにするのである。かなり乱暴なやり方だが、これのおかげできれいに仕上げることができるのである。 このスタビライザーの試聴結果については「箱船のアクセサリー」に載せたので、上の画像をクリックし、そちらをご参照願いたい。 これを聴いたことで多くのことが分かってきた。当然のことだがそれは氷山の一角であって、決して全てではないのである。僕一人にできることなど、多寡が知れている。この結果を元に、もっと良い物を作られる方がいらっしゃれば、是非ご一報くださることをお願いしたいのである。 |
今年も来てくれた
アマガエルよりかなり大型、脚に水かきは無い。背中はやや褐色、全体に扁平な体つき。そう、モリアオガエルである。昨年初めて箱船裏の小さな水路脇に、特徴的な泡の卵胞を産みつけたこのカエル、今年もまたやってきてくれた。これはとっても嬉しいことである。 この航海日誌を書き始めてからずっと、今年もモリアオガエルが来てくれたら是非ともその姿をアップしたいと思い続けていただけに、何だかとても不思議な縁を感じるのである。昨年は卵の周辺を探し倒してやっと見つけるにとどまったものが、今年は箱船の玄関ドアを開けたところにちょこんと座っていたのである。まるで僕の気持ちを見透かしたように。彼(写真のカエルは“彼女”ではナイ)もHPに登場したかったのかなあ。でもそのわりにはピョコタンピョコタン逃げ回って困ったが。 モリアオガエルの鳴き声はとても特徴的で、知っている人が聴けば一発でそれと分かるものである。アマガエルやトノサマガエルのように連続的な鳴きかたではなく、所謂「ケロケロケロケロ...」とは聴こえない。さて、どう例えればよいか....赤貝の貝殻をご存知だろうか? 貝殻の筋が粗く、一本一本の溝が深いヤツ。あれを背中合わせ(溝と溝を合わせる)にし、力一杯押し付けそのまま前後にずらす。想像してみて欲しい。たぶん硬く乾いた「カカカカカッ」という音が出るだろう。そういう音である。もう少し正確に表記するとしたら「ク・カカカカカ」「コココココ...コッ」と言う感じになるだろうか。非常に硬く鋭く角の立った鳴き声である。 貝殻を擦り合わせるといえば、グレゴリオ・パニアグア/アトリウム・ムジケが「タランチュール〜タランテル」(仏ハルモニア・ムンディ HM379)で「サンジャックの貝」ってのを楽器に使っていたな。赤貝とは違うか。 これからしばらく、メスの奪い合いで鳴き声合戦がにぎやかになる。また生録してCD-Rにするか? |
マジンゴー・まじん号
昨夜はAKAIさんと午前2時過ぎまでガンガン視聴し、今朝起きてみたら玄関先に真っ赤な車が一台。「まじん号」である。慌てて箱船へ駆け込むと、既にAKAIさんと仲良く並んでご視聴中。嘗て知ったるくずてつの箱船、船長は気楽なものである。 ここから大視聴大会の始まりである。何を見たか聴いたかイチイチ覚えてはいないが、基本的にはアナログ・ディスク中心。お二人ともかなりの大音量でも平然としている。こりゃ大物だわ。 AKAIさんはとても爽やかな好青年、何を聴かせても「いや〜、すごいッスね〜」「このシステム、いいですよ〜」と反応がハイスピード、こちらも聴かせ甲斐がある。打楽器系、ラッパ系のソフトがお好みの御様子、特に、終わり近くになって「アメリカ金管五重奏団」(米DELOS D/DMS3003)をかけた時の反応は凄かった。昨日からガンガン鳴らしつづけているMC-L1000が目覚めたせいもあって、凄まじい切れ込みと輝きを見せるこのソフトに大喜び、危険なアナログワールドにどっぷりハマってしまった感じである。 まじんさんにリクエストしておいた「パワー・アンド・ザ・グローリーVol.2」(米M&KREALTIME RT-113)、これは本当に素晴らしかった。これまで色々なオルガンの録音を聴いてきたが、どれも皆何かが違うと満足できないでいた。だが、このオルガンは格が違う。次元が違う。これまでのもどかしい思いが一発解消、僕が捜し求めていたオルガンの音は、ここにあった。これは何が何でも手に入れなければなるまい。 視聴充分、話も沢山、実りの多いAKAIさん、まじんさんのご来訪であった。オーディオに対する考え方など、僕自身気持ちを新たにすることができ、楽しくも充実した二日間を過ごしたのである。 AKAIさん、ご遠方をこのイナカまで御出でくださって、本当にありがとうございました。今回の視聴が何かの役に立つならば、それは僕にとって最大の喜びです。是非また御出でください。 まじんさん、いつもフットワーク軽くお付き合いいただいて、ありがとうございます。オルガンには完全にノックアウトされました。 お二人と再会を約して固く握手し、見送ったのは午後11時近かった。 |
友来る
AKAIさん来たる。東京から遥々、京都でタンゴディスカバリー1号に乗り継ぎ6時間半、ようこそ御出でくださった。 というわけで、今夜は視聴に忙しく、更新はここまで。またあらためてご報告いたします。明日はげんきまじんさんが朝から合流、どうなることやら。 あっ、そういえば4日にはとんぼさんが見えるんだった。御来訪の多いゴールデンウィーク、オツトメはどうなる? |
東京で買ったもの
左オーディオクラフトのSPケーブル、QLXシリーズ、中「不思議の国の長岡鉄男」、その上に乗っているのはオーディオクラフトのシェルリード線CW-Rh1とマグライトの球、右は生録マイク用の風防である。 SPケーブルはスワンの内部配線用、トゥイーター用に買った。これには思い出がある。QLXシリーズのケーブル3種、方舟でのテストに参加したのである。もう2年以上も前になるだろうか。買ったものはその中でいちばん細い4芯タイプだが、試聴の評価が高かったものである。確か、ダイナミックテストに掲載されたはず。2.6mと、何だか中途半端な長さ、これはハンパモノだからである。800円/mが2.6mで1,450円。約30%OFFだ。 シェルリード線は少し前からL1000に使っているが、非常に音が良く気に入ってしまったので追加購入。他のカートリッジにも使ってみようというわけである。なかなかこだわりのあるもので、シェル側とカートリッジ側でリードチップのサイズを変えてある。シェル側のほうが小さいわけだ。更にロジウムメッキがかけてあり、信頼性は高い。アナログファンにはお薦め、って、実は僕も信頼できる筋から教えてもらったのである。 「不思議の国の長岡鉄男」、地元では何処の書店にもなく、ネットで買おうかと思っていたがキムラ無線にあったので買っておいた。先生に差し上げたADスタビライザーとテーブルタップの写真が載っていて、ちょっと嬉しかった。 マグライトの球。本体はこっちでも売っているのに交換球はないという、マヌケな状況に業を煮やしていたので、見つかって喜んでいる。全くイナカってえのはどーしてこういうことをするかな〜。 パンスト+茶漉しの自作風防では、強風下まったく役に立たない。マイクとその周辺機器専門店に強力そうなヤツがあり、衝動買い。帰ってから僕のECM-23F3に合わせてみたら、風防に開いている穴が小さかった。無理やり押し込めば入らないこともないが、これではイケナイのではないか。まったくこういうアホだから困るのである。 どれも東京でしか買えないもの、と言うわけではないのだが、実際にジツブツを見て買うのと、通販で買うのとでは、実は大きな差があるのだ。「いつでも通販で買えるもの」より「今ここにあるブツ」なのである。目で見て、手で触り、確かめて買えるシアワセ。 地方では、なかなか叶わない。 |