タイトル | : A級盤の思い出 |
投稿日 | : 2011/07/09(Sat) 07:54 |
投稿者 | : アルミ缶 |
ご無沙汰しております。
出遅れの反応ですみません。
7/6付の日記を読み、若いころの記憶が蘇りました。
個人的に思い出深い長岡先生の紹介盤は、
カール・ニールセン/交響曲第2番、組曲「アラジン」(BIS CD247)です。
先生は「外盤ジャーナル」で、もちろんLPでのご紹介でしたけれどね。
CD初期でまだ盤がバカ高かったころにたまたま見切りワゴンで見つけ
(それでも¥2,800くらいだったように覚えています)、
これは珍しいものを見つけたとニコニコしながら購入して帰り、
自宅プレーヤーに載せて愕然。
埃っぽい音場の中に茫洋と焦点の定まらないオケが存在し、
どこが聴きどころやら全く分からないのです。
確か先生も「BISとしてはベストではない」と書かれていましたが、
それでも雑誌に掲載された盤です。
自分の耳がおかしいのか、機器のセッティングが悪いのかと
あれやこれやと試して何度も聴き直したもののギブアップ、
「こんなもんのどこがいいんだろう」と放り出してしまいました。
当時は高校生のころから使っていた
兄のお下がりのシステムコンポで聴いていたんですが、
その後、装置をどんどん更新し、スピーカーも小口径BHを自作して、
まあそれなりに盤の持ち味を引き出すことができるようになってきたころ、
ふと気まぐれでかつて放り出したニールセンをかけてみたら、驚きました。
クールに澄み切った広大なホールトーンの海の彼方から極小の音像で
オケ楽員が一人ひとり見えるような解像度を聴かせるではないですか。
大ホールの2階席最前列で聴くような、鮮烈で豊かなサウンドです。
思えば、当時聴いていた装置が致命的に情報量不足だったんですね。
そのシスコンを買った時、オマケでつけてくれた
カラヤンのベートーヴェンなんかはそこそこうまく鳴らしていましたから、
そういうソフトに向けた音作りだったというべきか。
世に「高音質ソフト」と喧伝されている音源を聴いてピンとこなくても、
その盤は捨てずに取っておいた方がいいよ、
と特に若い人たちへ伝えたいと思います。
オーディオを長く続けていくと、ある日突然
その盤が宝物になる日がくるかもしれませんからね。
……もっとも、
わが家には長岡先生の「A級外盤」は数えるほどしかないんですが (^^;)