箱船航海日誌 2010年11月

日々雑感、出来事などを思いつきに任せて綴っていこう

過去の日誌コンテンツ

’10/11/30 (火)

大きな収穫


 ヘッドアンプC-17につながるSAEC CX-5006(A)である。プリアンプへの出力端子には、自作6N銅単線ケーブルがつながっている。これに使ってあるWBT製ピンプラグに比べ、プラスチックモールドのプラグはなんと見劣りすることか。ケーブル本体も、頼りないほど細く見えてしまう。

 昨日から幾枚かのADを試聴した。何を聴いても大変よろしい。音が明るく楽しいのが、ヒジョーによい。とても幸せな気持ちになれる音である。見てくれは頼りなくとも、音は抜群。ケーブルは見かけによらない、のだ。

 もう一点、このケーブルには優秀な部分がある。SNが、非常に良いのである。極めて静か。バックグラウンドノイズが明らかに低減され、楽音がくっきりと鮮明に浮かび上がる。無理にコントラストを強めたような不自然さはまったくない。本質的に優れているのだろう。

 何故こうなるのか、まったくわかりません。これがSAECの言う「出力コードそのものの存在を無視出来る迄検討され」た結果なのか。

 お恥ずかしい話、過去に僕はこのケーブルを使っているのだ。YAMAHA GT-2000LにWE-407/GTを載せた豪勢なADプレーヤーで、である。今を去ること二十数年前。その時はこんなに良いケーブルだと、感じなかった、のは、いろんな意味で今以上に修行が足りていなかった所為か。もったいないことである。

 今回の実験は、得るものが大きかった。

’10/11/29 (月)

交換


 ようやくフォノケーブルの交換が完了した。アーム周りを触るのは、粗忽者の僕にはどうにも気遣いなのである。

 ルックスはZonotoneの勝ちである。古びているうえ樹脂モールドピンプラグのSAEC CX-5006(A)は、イマイチ風采が上がらない。

 しかし、である。音はSAECの圧勝だ。有体に言って、全ての点でZonotoneに優っている。音が明るく力があり、シャープで繊細、切れが良く情報量が圧倒的に多い。音場はぐんと広くなり、立体感抜群。抑圧された印象が皆無で、自由奔放に鳴りまくる感じは実に痛快である。僅か細身な感じがあったり、多少の暴れがあったりはするけれども、活きの良さ、音の力に吹き飛ばされ、まったく気にならない。

 僕は驚いてしまいました。これは良いフォノケーブルだ。少なくとも僕の好みにはぴったりである。実質4,000円程度で買った30年前の太古ケーブルが、3万円の最新型ケーブルに圧勝する。だからオーディオは面白いのである。

 だからと言ってZonotoneはダメだ、ということにはならない。リスナー、環境が違えばまったく逆の結果になることもあるだろう。拙オーディオ環境においてはSAECに分があった、だけのお話である。

 今後はCX-5006(B)も試聴すべし、だが、しばらくは(A)でいいかな。

’10/11/28 (日)

交換できず


 ADプレーヤー2号のアーム裏側は、このようにせせこましいことになっている。ので、フォノケーブルを交換しようとすると、一旦アームをベースから抜かなければならない。これがヒジョーに億劫なのである。

 プレーヤーを眺めながら、メンドクサイなあ、などと懈怠なことを考えていたら、今日は終日極めて多忙な日になってしまった。夜中になっても交換できず仕舞い。今日はもうダメだな。

 明日こそは。

’10/11/27 (土)

発進手間取り


 クドいようだが、今日も5ピンプラグの写真である。新たにMサイズの歯間ブラシを買い込み、もう一発クリーニングをぶちかましたあとの接写拡大画像である。本当に内側まできれいになっているかどうか、調べたかったのだ。

 の、わりにはイマイチ不鮮明な画である。だが、端子穴側面が銀色に光っていることを、どうにかお分かりいただけるだろうか。シロウト作業でこの程度までイケれば、まずまずではないかと、思う。

 予備のアームで勘合グワイを試してみると、やはり少々緩いようである。接触不良を起こすほどではないけれども、僕としてはいささか頼りなく感じる。ので、樹脂モールド部と金属端子部のスキマに先端を平たく削ったツマヨウジを押し込み、端子をカシメてみる。僅かながらも、改善できたようだ。

 僕にできることはこの辺りまでだ。やり過ぎて壊してしまっても仕方ないのである。これでようやく実際の試聴に入れそう。随分と手間取ってしまった。

 クリーニングも趣味のうち。

’10/11/26 (金)

イロイロあります


 今回は狙いの的を外さなかったようで、歯間ブラシはなかなかグワイが良かった。やはり端子は奥までかなり汚れていて、1本目のブラシはマックロケ。何故こんなふうに汚れるのか、よくわかりません。1穴あたり2本、計10本使ってクリーニング完了。1パック15本入りで238円だから、安いものである。

 最小通過径0.8mmφを使ってみて、もう少し大きなサイズでも良いような感じもある。SSの上、Sが1.0mmφ、その上のMが1.2mmφ。より効果的なクリーニングを狙うなら、サイズMあたりが適しているかもしれない。試してみよう。

 写真はプラグの現状である。気になることが一つ。ジャックピンと噛み合うべき端子一つ一つが、やや広がり気味のように見える。経年でこうなったのだろう。挿したときの勘合が、甘いのでははないか。もしそうであるならば、何らかの対策が必要だ。

 中古品には、イロイロあるわけです。

’10/11/25 (木)

難物プラグ対策


 トーンアーム用5ピンプラグをお使いの、或いはお使いになったことがある方なら、この接続端子が如何にクリーニングしにくいものか、よくご承知だろうと思う。

 金属端子部分は穴の奥に引っ込んでいて、しかも穴径が小さい。綿棒はもちろん入らないし、ツマヨウジも先っちょがちょっと入るだけ。無理して太いものを押し込んだら、割が入れてある接続子が広がり勘合が甘くなってしまう。どうにも難物なのである。

 5ピンジャック相手に抜き差しを何度も繰り返し、互いにクリーニングする、という荒技もないではないけれども、個人的には避けたい方法である。僕がやったらどちらか、或いは両方とも壊してしまいそうだ。

 どーやればピンとの接合部分(穴の奥)まできれいで安全なクリーニングができるのか。ない智慧を絞っていろいろ考えた。ツマヨウジを細く削り、脱脂綿を巻き付け極細綿棒を自作する。ツマヨウジの代わりにエレキギターの弦を使う。どちらもイマイチである。脱脂綿が脱落し穴の中に残りそうだ。テクニカのクリーニングスティック、AT604を細く削って使う。途中で折れてプラグを使用不能にしそう。

 うんうん唸っているうち、これならイケるかと思い当たったのが、上の写真である。歯間ブラシだ。昨今の歯周病予防ブームのおかげで、太いもの細いもの、高級品から普及品まで、圧倒的多数の種類が揃っている。しかもどこでも簡単に買えるのである。

 写真のものはサイズSS、最小通過径0.8mmφというタイプである。これに少量のアルコールを染ませ、エントツ掃除よろしくピン接合部分まできれいにしようという魂胆である。

 少なくとも自作よりは安全だと、思うのだが。

’10/11/24 (水)

まずはおそうじ


 まずはTYPE A を試したい、その前に、ピンプラグのクリーニングからである。プラグ本体は、今や高級品にはあまり見られなくなった樹脂モールドタイプだが、接点金属部分はロジウムメッキされている。本来なら銀色に輝いているはず、のところ、全身青黒く変色している。

 汚れか錆か、はたまたメッキそのものが劣化しているのか。考え込んでいても仕方ないから、ここはともかく得意技、アズマ工業の「おそうじ消しゴム」(メラミンスポンジ)+アルコールでクリーニングに挑む。

 結果は写真にご覧のとおり。Rch(赤)がおそうじ前、Lch(白)がおそうじ後である。たいへんきれいになったと思う。正しく「銀色」だ。メッキもさほどには傷んでいないように見える。表面を被っていた青黒いものの正体は、何だったのだろう。

 あとはRchも掃除して、残る難物はアーム側につながる5ピンプラグである。

’10/11/23 (火)

最新×太古


 フォノケーブルが2種、どちらも極めて古いものである。写真右はSAEC CX-5006 TYPE A、左は同CX-5006 TYPE B。おそらくは30年以上前の製品だと思う。

 Aはかなり使い込まれた中古品で、程度は中の下くらい。ピンプラグのロジウムメッキには劣化が見られる。アースコードのYラグはちょん切られているし、ケーブルシースも古びた感じ。Bは元箱入り完全未使用品である。プラグも本体もピカピカだ。2本セットで8,250円。ほとんどBの値段で、Aはオマケなのではないかな。

 当時SAECは「ハイ・インピーダンスMC向きのA、ロー・インピーダンスMC向きのB」という使い分けを推奨していた。取説はなかなか奮っていて「出力コードそのものの存在を無視出来る迄検討されております」とある。どちらかというと守備範囲が広いAのほうが、一般的だったようだ。WE-407/GTに付属されていたフォノケーブルも、Aであった。

 これらのケーブルが本当に取説どおりのものかどうか、僕にはまったくわからない。Zonotoneのフォノケーブルにイマイチ満足していない現状、ちょっと実験してみようというわけである。あまりに古すぎてお話にならないかもしれないけれども、これも一つの話題として。

 最新×太古の勝負は、どーなるでしょうか。

’10/11/22 (月)

PARNASSUS 絶好調


 8月に優秀なシェルリード線、9月にはこれまた優れたヘッドアンプC-17と、両者の力強いバックアップを得て、今PARNASSUS D.C.tは絶好調である。1年前の鳴らし始めに比べれば、驚くほど充実した音でLPを再生している。

 それは大変喜ばしいことである。しかし僕は馬鹿でスケベだから、使い方次第でさらに良くならないだろうか、などと強欲なことを考えるわけだ。仕様がないのである。

 尤も、音が良くなったのはリード線+ヘッドアンプ効果のおかげ、だけではないと思う。僕が入手する以前、このカートリッジは短くない期間休眠状態にあったと聞いているから、1年間でのエージング効果も無視できないはず。かなり古い製品だが、未だそういうことが、あるのだ。

 但し、ご老体であることに間違いはなく、おそらくピークは過ぎているだろう。あまり無理させず、現状維持で楽しむのが吉、か。

 音色としては、若返っているのだけれども。

’10/11/21 (日)

17周年


 17日は箱船創立記念日であった。17回忌、いや間違えた、17周年である。さすがにかなり年季が入ってきて、特に昨年からの1年間はエアコンや電話やサッシやと、メンテナンスに出費が嵩んだ。これはもう致し方のないことなのだ。

 ただ、ありがたいことに、建物そのもの(要するにコンクリートの箱)にはまったく問題がない。8年前に屋根の防水塗装をし直したくらいで、あとはほとんどメンテナンスフリーである。鉄筋コンクリート造といえども、古くなると箍が緩んで遮音特性が劣化する、とも仄聞するが、今のところそれも大丈夫なようだ。

 17年。長いようで、過ぎてしまえば夢の如しである。

’10/11/20 (土)

のど飴


 初冬恒例、しっかり風邪をひいてしまいました。ピークは今週初めくらいに越えて、ほぼ治りかかっている。何とか寝込まずに済んだけれども、オツトメで声を出すのがヒジョーにつらかった。

 今も少々咳が残っていて、どうしたものかと思案していたら、愚妻が「のど飴がいいんじゃない」という。ナルホド。早速某演歌歌手がCMしているヤツを買い込み、試してみたらば大正解。咳の頻度がぐんと低くなった。下手に鎮咳剤を服用するよりずっと良い感じである。

 これだから、僕は冬が嫌いなのだ。

’10/11/19 (金)

冬支度


 歳時記のように毎年話題にする、近隣小学校のイチョウである。今年も見事に黄葉し、秋の終りを告げている。特に今日は大快晴で、燦々と降り注ぐ陽の光に照らされ、とても綺麗であった。

 5月の開花からちょうど半年、樹は今年の活動を了し、間もなく長い冬の休眠に入ろうとしている。庭の桜はすっかり葉を落し切り、冬支度は万全。その根元に、産卵を終えて力尽きたカマキリ♀の亡骸を見た。

 静かで寒い冬が、やってくる。

’10/11/18 (木)

未だ、本領発揮ならず


 聴き始めから1週間が経った、友達謹製PCOCC-Aシェルリード線である。CDのようにリピートかけて鳴らしっぱなしの強制エージング、とは行かないのがADのよいところ。僅かの時間でも、毎日聴くようにしている。

 やはりエージング効果はあるわけだ。生硬さはかなりほぐれ、全域に渡って解像度が上がり見通しが良くなった。特に低域において向上が顕著で、力強さに加え彫りの深さとしなやかさが出てくる。大変好ましい変化である。

 ただ、未だ中域にはややピーキーな感じが残っている。音が尖ってキツい印象である。浸透力、馬力は充分あるから、あとはもう少し暖かさと艶が出てくれば、と思う。尤も、それは時間の問題とも言えるわけで、おそらく(と言うより、必ず)音はまだまだ変わるはずだ。もちろん、良い方向へ。

 本領発揮までは、もう一息。

’10/11/17 (水)

痛快


 トレシーMFグラブでPH-L1000をキレイキレイする、の図である。この手袋、絶対にお薦めです。ムチャクチャ綺麗になるのだ。そんなには汚れていないはずの個体なのだが、キュキュッと拭くだけで、文字通り一皮剥けてピッカピカである。いやあ、痛快痛快。

 してみると、永い間使ったミクロスター手袋は、随分と劣化していたのである。洗濯直後でも、これほどのクリーニング効果はなかった。今回で完全にお役御免だな。

 甲側がナイロンメッシュになっているのは大正解である。通気性抜群で、長時間はめたままでもまったくムレない。いつもさらさらしていて快適だ。脱ぐときもスルッと抜けて、着脱に手間取らないのもありがたい。

 ヒラヒラの手袋一双に1,575円。高いか安いかは、人それぞれだと思う。僕にとっては、決して高くない買い物だった。スペアも買っておいたし、もう死ぬまでこれで行けるのではないか。

 ヨカッタヨカッタ。

’10/11/16 (火)

MFグラブ


 オーディオ機器を掃除、或いは研磨したあと、素手で触ると自分の皮脂によって再び汚してしまうことがある。それを防ぐため、テイジンの超極細繊維クロス、ミクロスター製の手袋を使っている。いつ買ったか憶えていないほど古いものである。何度も何度も洗濯し、近頃さすがにくたびれてきた。

 新しく買い直せばよいのである。ところが、同じものが見つからない。メガネクリーナークロスやクリーンルーム用のクロスはあるようだ。手袋は、ヤメちゃったのかな。僕の検索が甘いのかもしれない。

 超極細繊維で織られたクロスを作っているのはテイジンだけでなく、他にもある。例えば、東レの「トレシー」、KBセーレンの「サヴィーナミニマックス」(開発はカネボウ合繊)などがわりと有名だ。

 クリーンルーム用品を扱っているショップで探すと、トレシーの手袋が見つかった。上の写真がそれである。商品名「トレシー MFグラブ」という。掌側が水色のトレシー、甲側は通気性を考えてかナイロンメッシュになっている。サイズはS〜LL。1袋ワンペア入りで税込1,575円。Mを選んだが、手が小さい僕でもちょっとキツ目だ。通常はL、或いはLLを選ぶのが無難だろう。

 早速シェル・カートリッジの掃除に使ってみた。たいへんグワイがよろしい。ワイピングクロスを手に纏っているわけだから、皮脂汚れの防止だけにとどまらず、このまま汚れを拭き取ることもできる。使ってみればすぐに分ることだが、ものすごく便利なのである。

 性能はミクロスターにまったく劣らない。ただ、布としての質感はかなり違う。ミクロスターは厚みがありしなやかで目方は重め。トレシーは薄手でややカシャカシャしていて目方は軽め。繊維の違いか織り方の違いか。たぶん後者ではないかと思う。

 確かな後継手袋が見つかって、僕は大喜びしている。

’10/11/15 (月)

発送


 発送荷姿はこのようなグワイである。別段どうと言うことはない。送り先である技術者氏から「箱に『WE-506/30』と大きく書いておいてください」と指定があったから、そのようにしておいた。おそらくはメンテ依頼の荷物を仕分けし易くするためだろう。ついでに「精密音響機器」「この面が上」「逆積厳禁」「天地無用」と、クドいほど書き付けておいた。

 現存するSAEC製品の、ユーザーほとんどがこの方一人を頼りにしている。それが偽らざる現状である。かなりのご高齢にもかかわらず、超多忙であろうことは想像に難くないのだ。

 依頼の電話で、ちょっと興味深いことを聞いた。「ナイフエッジ台座に錆が出ていますか」と問われる。「ハイ、かなり目立ちます」と応えると、「あのパーツはスチール(鉄)製で、3層メッキがかけてありますが、メッキ層の経年劣化で錆が出ることがあります。あまり酷いようならメッキを剥して研磨し直し、再メッキ処理します。それなりに費用と納期がかかりますが、大丈夫ですか」と。

 あの部分は鉄製だったのか。初めて知った。メンテ内容については二つ返事である。「まったく大丈夫です。是非お願いします」と言うと、「そうですか、じゃあ他の悪くなったパーツも全部取っ換えちゃいますから」と、明るい声で依頼を受けてくださった。

 他にもアームに関する技術的なお話を伺うことができて、何とも気さくで親切な方なのである。たぶん、誰が電話しても同じような応対をされるのだろうと思う。そりゃあ忙しくもなるわ。

 もう先方へ到着しているだろう。メンテナンス完了が、ヒジョーに楽しみである。

’10/11/14 (日)

梱包


 このアームを送るとなれば、それなりの梱包をしなければならない。新品ならば付属しているべき輸送用サポート部固定金具、それに元箱が揃っていれば何も心配することはないのだが、残念ながら何にもありません。

 何とか工夫するしかないわけだ。苦肉の策として、写真のようになった。垂直回転は、ナイフエッジ台座とアームパイプ支持部のスキマ(クモの亡骸が出てきたところ)に幾つかのスポンジ小片を挟み固定する。水平回転は、台座とインサイドフォースキャンセラーのポール支持部とのスキマに、同じくスポンジを挟んで固定した。

 これでも完全に固定することはできない。極めて不充分である。けれども、シロウト作業ではガチガチに固めないほうがよいとも言える。却って不グワイを生じさせるおそれもあるのだ。現状でも、衝撃を緩和する、くらいの役には立つと思う。

 このようにしておいて、大き目の箱に入れ周囲を大量の緩衝材で充填する。仮想的にはアームが宙に浮いたような状態で梱包したいわけである。実際にそうできたかどうか、少々怪しくもあるわけだが、まあ、おおかた大丈夫だろう。

 元箱の大切さありがたさを、痛感させられるのである。

’10/11/13 (土)

オーバーホールへ


 中古で入手したSAEC WE-506/30は、可能な限りの掃除を終えた。届いた当初の汚れ方は尋常ではなく、クリーニングマニアの僕をして一瞬怯むほどであった。

 埃、錆は当然である。それらに加え、ダブルナイフエッジ台座とアーム本体のスキマにはクモの巣が密に張っている。綿棒とメラミンスポンジ棒で絡め取ったら、一緒にクモの屍骸が出てきてびっくりした。どうも先般からダニやクモやと、やたらムシに縁があるのだ。劣悪な環境下に、長い間打ち遣られていたのだろう。気の毒なことである。

 上の写真では、それなりに美しくなった、ように見える。夜目遠目マジックだ。実際にはまだまだ不充分である。サポート部周辺には取り切れない錆が黒いシミのように残っているし、樹脂部品の傷み・経年劣化は激しい。加えて、このアームの心臓部であるダブルナイフエッジにも、僅かながらガタが出ていることが判明した。

 というわけで、オーバーホールに出し、然るべきようメンテナンスしてもらうことに決定。今すぐ使うわけではないけれども、不グワイを抱えたままにしておくのは忍びない。ありがたいことに、文字通り「完璧」な修理調整をしてくださる技術者氏が、今も存在するのである。

 先方へ連絡を取り、現況を伝えると「すぐに送れ」ということであった。

’10/11/12 (金)

まだまだこれから


 やっと試聴できた、友達謹製シェルリード線である。まずは、先日ART2000×5の試聴時に、最も良いと感じたモデルから。PCOCC-A 0.48sqを芯線とし、高品位ハンダ プラチナゴールドニッカスで仕上げたものである。

 やはりヒジョーに良い音である。ART2000と組み合わせたバヤイと同様、ワイドレンジ、パワフル。音の押し出しが凄い。AT-OC9/IIIの男性的なところが、より引き立つ印象である。もちろんチカラだけの音ではなく、繊細でしなやかで、情報量が多く響きがきれいだ。

 ただ、ちょっと生硬い感じはある。たぶんエージング不足なのだろう。リード線としては例外的に太く、しかも硬い。それをループ型にフォーミングしているから、線材にかかる機械的ストレスは大きいはず。それがほぐれてくれば、さらに向上すること間違いなし。まだまだこれからなのだ。

 時間をかけ、試聴を続けたい。

’10/11/11 (木)

無事完了


 9日夜に開いた重要会議とは、春から夏にかけて施工した工事の、建設委員会である。工事の完成報告、完成状況検分、会計報告など。議事は順調円満に進み、この会議の終了を以って委員会を解散した。工期中は委員長を初めとし、委員各氏には一方ならぬご尽力を賜ったのである。心から御礼申し上げねばならない。ありがとうございました。

 工事は5月13日に始まり、7月31日に完了した。僕がとりわけ心配したのは、工事中の事故である。どんなに些細なものであっても、関わる人々にコトがあってはならないのだ。殊に工期後半は酷暑の中での作業になり、熱中症を憂慮せねばならなかった。

 幸いにして、事故も工程上の不グワイも皆無であった。今後、僕が住職を務める間にこれほどの大きな工事はないだろう。だからこそ、なおのこと無事を嬉しく思うのである。

 工事に関わってくださった、全ての方々の、おかげさまである。

’10/11/10 (水)

明日は、聴ける


 昨夜、重要な会議が無事に終わり、慌しさに一段落をつけることができた。お寺役員方々のおかげさまである。ありがとうございました。

 写真は、3日の日誌で「来週は、何としてでも聴きたい」と書いた、友達謹製シェルリード線を実装完了したAT-OC9/IIIである。ようやくここまで辿り着けた感じだ。但し、今のところ実装しただけ。まだ聴けていないのである。明日は比較的落ちついた日になりそうだから、たぶん聴ける、はず。

 何だかアヤシイなあ。

’10/11/09 (火)

ありがたい「自作」


 黒松を引き立てるべく、また護るべく、景石の仮置きが完了した。全部で4個。このあと、位置を微調整し裾を土で覆い、苔を植え込んで完成となる。苔は裏庭に売るほどある。グワイの良さそうなところを剥がして移植すればよいのだ。

 未だ石を置いただけ、の状態だから、尤らしいことは言えない。けれども、なかなか格好良くなったと、思う。なにしろ、檀家さんの手による「自作」なのだ。僕にとっては、それが何より嬉しくありがたいのである。

 残りの景石の処遇、工事親方の頭には、ちゃんと絵図が描かれてあるようだ。

’10/11/08 (月)

松、安泰


 庭に1本だけ残った黒松である。最も多いときは6本(黒松3、赤松3)の松があって、それなりの境内景観をカモシ出していたのだが、残念ながら5本が害虫と病気で枯死してしまった。

 最後の1本、ということで、何とか枯らせまいと手入れしてもらっている。ところが、参道ギリギリに生えている所為で、しばしば車に接触され、枝を折られることがある。つい先日も、どこかの業者の車が激しく枝を折り、そのまま何も言わずに逃げやがった。訴えるぞ。

 というわけで、今回は周りに景石を飾り付け、景観の向上と車除けの、文字通り一石二鳥を狙う。松の枝は折れるが、石なら折れず動かない。

 今度からは、当てたアンタが負けます。

’10/11/07 (日)

景石移動


 前庭改造工事は順調に進んでいる。今日は景石の大移動である。これはさすがにシロウト人力では歯が立たず、石のプロへ依頼しての作業になった。

 最も大きなものは、おそらく1tを軽く超える。ひょとしたら2tくらいあるかもしれない。こんなもんが吊り上げられるのかと、考えるのはドシロウトなのだった。

 まずは荷台に小さ目の石を3個ほど積んで重石とし、クレーン車の車体を安定させる。その後、大石に手際良くチェーンを掛け回し、まったく危なげなく吊り上げ、指定した松の脇まで移動させてしまった。

 全部で9個の景石を、3時間足らずで移動完了。大変な作業になるだろうと構えていたら、余裕を持って午前中に終了した。

 さすがプロの業は、一味も二味も、違う。

’10/11/06 (土)

栗の木受難


 山のクマさんによって枝をポキポキに折られた、本堂裏の栗の木である。ちゅうことは、登った跡があるはずだ。幹を検分してみれば、写真のとおりである。しっかり爪跡が残っていた。

 栗は柿よりも表面が硬い(材としては柿のほうが硬い)から、鉤爪のグリップがよく効いたそうで、滑り分が少ない。爪の間隔からして、一昨年柿に登ったヤツと同じくらいの大きさか。村の元マタギ曰く「二十五貫(93.75kg)超の大物」であるらしい。

 こんなヤツとは間違っても出くわしたくないのである。幸い、栗もすっかり終わってしまったから、今秋再び出てくることはないと思う。

 同じところへ何度も出てくると、射殺されちゃうよ。

’10/11/05 (金)

庭改造工事


 只今、境内前庭の大改造工事実施中。スペースをより有効に使い、機能的かつ景観の良い庭に生まれ変わる予定である。

 工事と言っても今回は、業者、職人さんは一切入らない。総代さん、役員さん、オマケで住職も加担し、工程全て身内で仕上げてしまおうという計画である。お寺にとって、これほどありがたく、しかも嬉しいことはない。ありがとうございます。

 今日は筆頭総代さんと一緒に、縁石の掘り上げをやった。地べたに埋まっている時には何とも思わなかったが、いざ掘ってみると相当な数である。明日は腰痛が起きるかな。

 完成が、とても楽しみである。

’10/11/04 (木)

青空とカメムシ予告


 先月末からずっと鬱々天気が続いていたけれども、ようやく抜けの良い秋(というには寒いけれども)の空が見られて大喜びである。やっぱり、晴れているほうがよいに決まっている。青空は、何時の季節に見ても、いいものだなあ。心が癒される。

 ついこの間まで紅い花をつけていた百日紅は、いまやすっかり黄葉してしまった。桜は葉のほとんどを落し、冬芽を付けて来春への備えを終わろうとしている。

 来るべき冬、長期予報では厳冬大雪ということだが、本当だろうか。と、疑う理由は、カメムシである。この秋は、ほとんど姿を見ない。昨年よりもずっと少ないようだ。雪量予測的中率ではキショウチョウを上回るカメムシ予告、さて、どーなるでしょうか。

 個人的にはもちろん、暖冬少雪を願うのである。

’10/11/03 (水)

聴け


 先々月、ART2000で5種類のシェルリード線を試聴するという、貴重な機会を与えてくれた友達から、3種のリード線が届いた。

 件の試聴で、僕の好みによって選択順位第1位としたリード線を、さらに改良グレードアップしたバージョンである。

 今回はリード線のみだから、手持ちのカートリッジを使っての試聴になる。前回の流れからすれば、同じART2000を使うのが自然、ということに、なる。わけだが、そこは得意のスケベ根性を丸出しにして、AT-OC9/IIIで聴いてみたいと考えている。

 と、考えているばかりで、ここのところ何だか慌しく、ちっとも試聴へ進めないでいる。聴くならバタバタせずにじっくりと、腰を据えて音と向い合いたい。そのようにできるタイミングを計っているうち、どんどん日は過ぎて行くのだった。友達に対しては、大変失礼なことになっているわけで、何とも申しわけないのである。

 来週は、何としてでも聴きたい。

’10/11/02 (火)

剥離紙


 NAGAOKA オリジナルレコパックには、乾燥膜を剥がしやすくするための「剥離紙」が付いている。膜が乾く前にレコードの端っこに載せておき、乾燥後はこれをとっかかりにして剥がすわけである。

 レコパックもどきを中心に使うようになってからも、余っていたオリジナル剥離紙を流用していたのだが、さすがに残数が少なくなってきた。代用品を考えねばならない。

 大げさに考える要はまったくない。簡単にちぎれずとっかかりになりさえすれば何でもよいわけである。その辺にちらかっているメモ用紙の切れ端でも、或いは剥離した乾燥膜を適当な大きさに切って使ってもよい。そのバヤイ、再生パック液を作る折に取り除く手間が省けて便利である。

 僕は懈怠で不精で馬鹿でスケベだから、切り出す面倒のない付箋を使っている。文房具屋さんで買うと高いから100均の安物である。これはなかなかグワイが良い。何時パック実施したかのメモも書き込めるし。

 実につまらんことではあるが、何だか嬉しいのだった。

’10/11/01 (月)

恥ずかしいお話


 11月は、恥さらしな話題から。

 ベテランアナログファンの方なら、とっくの昔におわかりのことであったろうと思う。先日から勿体をつけていたオーディオ機器とは、ご覧のとおりである。SAECのロングタイプアーム、WE-506/30でした。

 引っ張っていたのにはそれなりの理由がある。あまり状態が良くない個体だったものだから、まず掃除し、然るべき様にメンテナンスを実施し、その後セッティングを終え実際に使える状態になってから話題にしようと考えていたのである。

 その目論見は、見事土台からホウカイしてしまいました。アームベースに工夫すれば、現用プレーヤー2台のどちらかで使えるだろう。と、極めていい加減に見積もっていたが、実はまったくダメダメなのである。

 有効長286mm。こんなに長いアームは、現用プレーヤーのどちらにも装着不可能なのだ。どうやってもアームボードからベースがはみ出てしまう。それに気づいたのが昨日、という、何ともお恥ずかしい話なのである。アホ丸出し。

 アームボードはもちろん、モーターキャビネットの設計から考え直さねば遺憾。ちゅうことは、ひょっとしたら3台目のADプレーヤーとして新規設置する必要があるのではないか。アームだけチョイと付け替えて、などと気楽に思っていたら、何だかエラいことになりそうなグワイである。

 WE-506/30の再登場は、何時のことになるのやら。