タイトル | : Re: アルコール |
投稿日 | : 2008/06/15(Sun) 00:11 |
投稿者 | : slag |
> 変性アルコールはエタノールに約1%のメタノールを加える事で飲めない
> (飲んだら危険)としてあり、税法上の不利をさけるための手段として
> 定着しています。
変性アルコールはエタノールに添加物を加え、飲料不適とすることで酒税が免除されるというのは、おっちゃんさんの申される通りですが、エタノール+1%メタノールだけが変性アルコールであるかのような記載は誤解を招くと思います。変性アルコールとしてエタノールに添加されるものには、メタノール他に、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール等があり、さらに用途によってはアセトン、メチルエチルケトンなどを添加したものもあります。添加濃度も一定ではなく、メタノールが10%を超えるものもあります。変性アルコールは医療用、化粧品用、電子産業用、機械自動車工業用等、広範囲に使われ、それぞれの用途に合った添加物が加えられます。化粧品用途には最初から香料を添加したものまであります。
従って、変性アルコールを入手してレコパックもどきに採用するに当たっては、添加物の成分が明記されていることが必要で、LP盤にダメージを与えるような添加物が含まれていないことを確認することが必須となります。特にアセトン、メチルエチルケトンは確実に塩ビ樹脂を溶かしますから、レコパックもどきの溶剤には絶対に使えません。
船長の1連の日誌をお読みいただければ、ご理解いただけると思うのですが、レコパックもどきを紹介し、それを元に皆様が追試実験される場合、誤用、誤飲等から不幸にして事故が起きたとしたら申し訳が立たないという船長の心配が行間から読み取ることが出来ます。それ故、メタノールのように危険性の高い薬剤の使用は控えて欲しいとお願いしているのではないでしょうか。飲まなければ大丈夫と言われますが、高濃度メタノール蒸気の吸い込みによる失明の事故例が報告されています。
ここで、私事を書くのは気が引けるのですが、40年以上に亘り研究所に勤務し、ほとんどの有機溶媒、劇毒物、有毒ガス、X線等を扱ってきました。
この間、有機溶媒、劇毒物の取り扱い法を間違えて引火、爆発などの事故を見てまいりました。毎年、個別に安全講習を実施し、受講完了者のみがこれらを扱うことができますが、それでも事故はゼロにはなりません。商売上、これら危険物の扱い方は、人様よりは知っている連中であっても、神様ではありませんから、事故は起こりうるのです。
繰り返しますが、当サイトを御覧になる方々すべてが、おっちゃんさんのように“ホルムアルデヒドの還元性云々”と言った高度の化学知識を有する方ばかりではありません。 レコパックもどきの溶剤としてメタノール以外の選択肢がないのなら仕方がないかもしれませんが、多少コストはあがったとしても、少しでも事故の可能性の低いもので追試実験をしていただきたいと船長は願っているものと思います。コスト低減作戦と言っても、闇雲に安ければ良いと考えているのではないのです。