箱船航海日誌 2014年06月

日々雑感、出来事などを思いつきに任せて綴っていこう

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’14/06/30 (月)

憧れるのみ


 現用のADプレーヤーに具しているフォノモーターは、3台すべてダイレクト・ドライブ(以下DD)である。個人的にDDが好き、だからでもあるわけだが、最初ッから狙ってそうなったのではない。やっているうちにこうなっちゃった、というほうが正確である。

 現在の主流はベルト・ドライブ(以下BD)である。それを毛嫌いしているわけでもなんでもない。その昔、MICRO精機が作っていた雄機、SX-8000IIシステムは心からの憧れであった。正確にはBDではなく糸ドライブ(SDと呼ぶべきか?)であったが、糸もベルトの仲間であろう。当時、置き台まで含むフルセットが185万円。いつかきっと買ってやるぞと心密かにしているうち、装置のみならずメーカーまでが消えてしまった。

 数年前、TechDASなるメーカーから「Air Force One」という、モノスゴイADプレーヤーが発売されたのは、ご存知の方も多いと思う。発売当時650万円(現在は680万円)。噂に聞けば、設計にかつてのMICRO精機のエンジニアさんが関わっているという。どことなく愛嬌を感じさせるデザインだが、全身これ金属の塊、本体重量79Kgの、恐るべきアナログプレーヤーだ。ここまでやれば、DDだろうがBDだろうが良いものは良いと思えてしまうのである。

 一目見て「欲しいっ!」と思った。そんなもん無理に決まってます。清水の舞台から100万回飛び降りたってダメである。分不相応極まりなし。憧れるべき装置があるのは幸せなことだと、遠い目で眺めるばかりであった。

 そこへ出てきたのが上の写真「Air Force Two」である。「One」に同じくBDプレーヤー、基本的な設計思想を受け継ぎながらシャシーの構造に工夫を加え、大幅にコストダウンしたニューモデルである。本体重量45Kg。別に電源・ポンプユニット(10Kg ディスク吸着、プラッタ・エアベアリング用)が付く。

 大幅コストダウン。御幾らですか。330万円です。ぷしゅ〜。けれども、ちょっと良い車を買うと考えれば、絶対に不可能でもないような気もする。では「ちょっと良い車」を買えるのか。買えません。なんだ、やっぱりダメじゃん。

 このような製品が存在することに、感謝しておきましょう。

’14/06/29 (日)

大丈夫だった


 恐々レコパックもどき製作に試用してみた半自作「万能調光器」である。結果は大変グッド。電圧調整ツマミが午前1時(工作名人が刻んでくれた目盛で『6』)の位置で、スライダック60V出力とほぼ同等の回転数が得られた。目盛は正確であると言える。

 ミキサーも5分間以上の連続運転ができ、何ら問題なくレコパックもどき500ccを作ることができた。この条件では、調光器、ミキサーとも異常な温度上昇は見られない。まずは安全に作業できたわけである。スライダックに比べてうんと軽くコンパクト、しかも安価な装置でこの結果ならば、大いに満足できるのだった。

 電子工作の知識・経験が豊富な人ならば大推奨、安全簡単に作れるだろう。僕程度のレベル(回路図はゼンゼン読めないがハンダ付けくらいはできる)ならば、教えてくれる先生が必要だ。ハンダ付けもしたことがない、できない、先生もいない、という人は、残念ながらお止しになるのが安全かと思う。僕のバヤイ、ありがたくも工作名人の懇切丁寧な指導があったればこそ、できたわけである。

 僕はレコパックもどきのヘビーユーザーである。できるだけ簡単に、しかも大量に作りたいと考え、だからこそミキサーだ回転コントローラーだと大騒ぎする。ライトユーザーならそんな必要はないわけで、手作業攪拌でもまったく問題ないのである。ただ、手でマゼマゼした時の苦しさを知った上で一度でもキカイを使うと、もう戻れないのは確かではあります。

 数少ないレコパックもどきファンの、福音となりましょうや。

’14/06/28 (土)

大丈夫か


 「万能調光器」の製作が終わった。アンプなどを自作される方からすれば、朝飯前よりもさらに容易い工作だろうと思う。しかし、エレキ音痴の僕にとっては「半完成キット」でもドキドキものなのだ。ハンダの仕上がりなんか全然美しくないし、配線はグルグルしているし、とても見られたものではない。ああ、恥ずかしい。

 最後にパーツの極性、誤配線の有無などをもう一度チェックし、ACプラグをコンセントに挿す。ハラハラした。いきなり火を噴いたりバクハツしたりせんだろうか。どこかでショートでもしていて、ケース触ったら感電、なんていうことになりゃせんだろうか。馬鹿みたいだが、本人は大マジメなのである。

 OKだった。赤いLEDインジケーターも正常に点灯している。異常な発熱や臭いもないし、ケース触ってもビリビリしない。ああ、ヨカッタ。

 さて、これにミキサーをつなぎ、きちんと回転を制御できて初めて本当の「完成」と言えるわけだ。何しろ僕のやることである。最後まで、安心はできないのだ。

 大丈夫かなー。

’14/06/27 (金)

バチ当り


 秋月電子「万能調光器キット」である。実はこれ、工作名人の友達から、ずいぶん前にいただいたものなのだ。懇切丁寧な製作手順、パーツ解説、それに加えてキットには含まれない加工済みアルミケースまでをセットにしてある。あとは基盤にパーツをハンダ付けし、配線すればでき上がり。いわば「半完成キット」なのだった。

 そんなものをもらっていながら、今まで作れずにいたわけだ。バチ当りも甚だしい。ゴメンナサイゴメンナサイと半泣きになりながら、パーツのハンダ付けだけを終わったところ。久しぶりに細かい作業をやって、老眼が思いの外進んでいることを自覚する。手元見えません。さっさと工作しておかないから、こーゆーことになるのだ。やっぱりバチが当っているではないか。

 WROMさんのご投稿によれば、市販の安価なコントローラーでは、180W程度のミキサーでも回転を安全に制御するのは難しいようだ。この調光器キットなら10Aまでの容量があるし、100V電源を0〜100%まで可変できるのである。

 但し、無事に完成できれば、のお話だが。

’14/06/26 (木)

ハードルはスライダック


 レコパックもどきの製作に具するミキサーには「余分な機能はないほうがよい」と書いた。攪拌さえできれば事足りる、という意味ともう一点。友達からのアドバイスにより、気づかされたことがある。重要な注意点である。

 高級(高価)なミキサーの中には、多機能を制御するためのヤヤコシイ電子回路が搭載されている可能性がある。スライダックで電圧を落として運転したバヤイ、その電子回路が機能しなくなりまったく回転しなくなるかもしれないわけだ。したがって、基本構成はスイッチとモーターだけ、のようなミキサー(つまり、ローコストミキサー)が最適なのである。

 さて、シンプルで安いミキサーは入手できたとして、一般的に困るのはスライダックではないかと思う。僕は幸いにも友達からのいただきものを使えているけれども、正規に買うとこれがなかなか高価なのだ。写真は10Aタイプである。新品なら16,000円以上。消費電力180WのTM840を制御するだけなら3A〜5Aタイプでイケるが、いずれも10,000円以上になってしまう。

 ミキサー3,000円、スライダック10,000円以上。このようなコストをかけてでも自作するほどの価値が、レコパックもどきにあるのか。僕個人としては「ある」と思うけれども、そのあたりの考え方は人それぞれだろう。少しでもコストを抑え、しかも安全性を確保した上で同等のパフォーマンスが実現できるなら、それに越したことはない。そんな手立てがあるのだろうか。

 あると言えばある。ないと言えば、ない。何だか曖昧だな。

’14/06/25 (水)

名案ミキサー


 レコパックもどきを自作するに最もメンドウな作業は、攪拌である。実験を始めた頃は手作業でマゼマゼしていたけれども、これはなかなかホネが折れて弱った。その後、工作名人の友達からアドバイスを得、ドリルとハンドミキサーのビーター(改)で攪拌機をデッチ上げ、飛躍的に作業効率が高まったのは以前書いた通り。

 今年の春頃、親しい友達から「ミキサーっちゅうのは使えんだろうか」と、提案があった。なるほど確かに使えそうだ。正に「攪拌機」である。そこで早速近所の電器屋さんへ行き、最もシンプルで安いものを買い込んで実験してみたのだった。

 TESCOM TM840。消費電力180W / 回転数10,000rpm。税込2,890円。いちばん安かったからこれにしただけで、どんなメーカー・モデルでも問題ないと思う。但し、余分な機能はないほうがよい。さらに、アルコールを使うことを考えれば、ミキサーボトルはガラス製のものがベターだろう。

 AC100V電源直結(つまり、フツーの使い方)では、パック液の粘度が高い所為でモーター過負荷となってプロテクションが働き、すぐにオートストップして使いものにならない。スライダックで60Vまで落としたら、連続運転が可能になった。回転数もちょうど好い加減である。

 まずは総量500ccで作ってみる。快適である。材料をすべて放り込んで一発攪拌、というわけには行かないけれども、ともかく作業がラクチンである。製作時間大幅短縮、これは一度使ったらヤメラレマセン。大成功である。

 大いに気をよくしてこのミキサーの最大量、総量1,000cc製作も試してみたが、これはNGだった。粘度に比してモーターのパワーが不足しているらしく、液の上層部まで対流が及ばず攪拌不充分。完全に上下二層に分離してしまった。慌てて上からドリル攪拌機を突っ込んで事無きを得たようなグワイ。

 しかしながらミキサーは名案であった。あまり楽してできるものだから、うれしくなってどんどん作り、現在のレコパックもどき備蓄量は8,000cc(500ccボトル16本分)に達している。残量を気にせずばんばん使えるのである。提案してくれた友達には、大感謝。

 実際の使用にあたって一点注意書きしておく。使ったあとはミキサーボトルにぬるま湯を注ぎ運転し、あらかたのパック液を落とす。然るのち、しつこいくらいに流水で洗浄する。特に回転刃周りが重要である。これが不充分だと、次回使用時に回転軸が固着し、無理に運転させるとモーター焼損のおそれがある。火災にもなりかねない。ここは厳に用心しておきたいところだ。

 パック液、元は糊(接着剤)なのである。

’14/06/24 (火)

開けられずのレコード


 「EIN STRAUSSFEST」(米TELARC DG-10098)。中古盤の入手が容易で、しかも安価なTELARCレーベルにあって、特例的に稀少で高価なタイトルである。但し、2008年にユニバーサルから復刻された180g盤はこの限りに非ず。

 オリジナル盤は2011年に入手している。状態は概ね良好だが、ちょっとノイズが多い。そのあともう1枚、激安盤を見つけて大喜びで買ったところが、ジャケット・盤ともひどい傷だらけでNG。安いものにはウラがあるわけだ。

 何とかもう少しでも状態の良いものがないかと、探し続けること幾星霜。盤の条件としてはこれ以上望めない、未開封盤が手に入った。ヴァージンシールに貼ってある金色のステッカーに「Suggested List Price: $12.98」と書いてある。今もその価格で買えれば有頂天だが、そうは行かない。幾倍ものプレミアが付いているのだ。

 とは言え未開封ともなればそれも当然で、あっただけでも(僕にとっては)大発見である。うれしいうれしい。しかし困ったこともある。

 惜しくて、開けられないのだ。

’14/06/23 (月)

その場しのぎの結果


 稼動し始めて1年を過ぎたADプレーヤー3号機である。まずまず好調にレコードを再生している。けれども、問題がまったくないかと言えば、そうでもないのだった。

 アームボードに具した純銅板の表面が酸化し、くすんできた。早い話が、錆び始めているのである。現状、緑青を吹いたりはしていないからまだいいけれども、このままにしておけばやがては年季の入った十円玉みたいな色になるだろう。長期的には何らかの対策を打たねばならない。磨き直して防錆塗装。それくらいしか思いつかないわけだが。

 もう一点。アームリフターの取り付け位置、特に高さのグワイが悪い。現状、現用のHELIKONに特化した高さで固定したようなセッティングになっている。このまま他のカートリッジにつけ替えたバヤイ、高すぎるか低すぎるかのどちらかになってしまうだろう。高さの調整範囲が極少状態なのである。何とかせんと遺憾、と思いながら、そのままになっている。

 今は早く聴きたい、多少の不グワイはあとで考えりゃいいや。と、当初の設置に焦った結果なのである。平たく言えば「その場しのぎ」。我ながら、馬鹿である。

 アームボードがサビサビになる前に、手を打つべし。

’14/06/22 (日)

まだ寝ぼけてるかな


 33年前の発売になるLMC-1、音云々以前に正常動作するかどうかが心配ではあったが、それは杞憂に終った。1.5gの適正針圧でちゃんと鳴っている。ダンパーのヘタり、スタイラスの異常も感じられない。至ってマットウである。

 シェルにはSAEC ULS-3Xを、リード線にはオーディオ・テクニカのAT6101(赤紫被膜の旧バージョン)を使った。この組み合わせが最適かどうかは、わからない。何となく良さそうに感じただけである。アームはSAEC WE-407/23、フォノモーターSP-10MkII。ヘッドアンプC-17(100Ω受け)からC-280Vのフォノイコライザーへ入力して試聴した。

 一聴して特徴のある音である。ハイはよく伸びて、しかし壮絶に切れるという感じは少なく、かなりまろやかな印象。情報量は多い。中域はやや引っ込み気味で、あまり張り出さない。ちょっと元気がない感じだ。低域は柔かく少し影が薄い。自重の軽さに起因するのか、重量感不足である。音場感はなかなか良いけれども、縦横無尽に拡がるふうではなく、奥行きの再現を重視するタイプと感じた。

 と、以上は大編成オーケストラを聴いた印象。これがロック、ポップスになるとガラリと表情を変える。高域のスピード感が増し、中域はぐんと張り出してくる。低域にはわずかに弱さが残るものの、筋肉質でソリッドに飛び出すさまは、なかなか痛快である。バスドラムにもドスが利いている。なぜこうなるのか、ゼンゼンわかりません。

 では、このカートリッジはロック、ポップス向きなのか。そうではないと思う。現状のシェル、アームのマッチングに問題がありそうだ。シェル、アームとも少々重かったような気もする。あとは、エージング。ずいぶん永い間休眠状態だったそうだから、本格的に目覚めるまでには時間がかかるだろう。現状、まだ寝ぼけてるかな。

 しばらくの間、使ってみようと思う。

’14/06/21 (土)

LMC-1


 今日は夏至です。日が長くて、嬉しい嬉しい。

 先日、旧い友達から写真のカートリッジをもらった。さほど有名ではないと思うけれど、ベテランマニアさんなら記憶に残っているのではないだろうか。

 LUXMAN LMC-1である。1981年発売の古いカートリッジだが、保存が完璧に近かった所為で状態は極めて良く、使用時間は極少で新品同様。ルックスもピカピカである。カンチレバーは無色透明で一見ガラス棒のようだが、0.3mmφサファイア丸棒である。わずかにテーパーがついているようにも見える。スタイラスは0.12mm角ダイヤ、セミラインコンタクト針。

 当時のほかのモデルに比べてかなり小型で、自重は実測4.98gと軽量級である。現在僕が常用するeminentやHELIKONの1/2程度しかない。手持ちカートリッジの中では最軽量である。しかし造りはたいへんガッチリしていて、振動系を収めてあるケースはSPZという防振亜鉛合金製で、フニャフニャした感じはまったくない。SPZの部分がシェルに接触するようになっている。接触面積が5mm×17.2mmと、前後方向がいささか狭いのは気になるところ、だが、これも音作りのうちなのだろう。

 適正針圧1.5g(1.3g〜1.7g)、出力電圧0.1mV。ローマスハイコンタイプのMC、ということになる。発売当時の定価は54,000円、高級カートリッジの部類である。1981年といえば、僕はヒマがあっても金はないビンボー大学生、54,000円のカートリッジなんかチキューが砕け散っても買えなかった。

 DAD(ディジタル・オーディオ・ディスク 後のCD)の発売も間近、コンシューマー向けディジタルオーディオの黎明期に発売されたLUXMANのカートリッジは、どんな音がするのだろうか。

 試聴が楽しみなのである。

’14/06/20 (金)

夏の訪問者


 梅雨はまだまだ明けないけれど、季節は確実に夏へ向っているらしい。夜、窓のガラスにご覧のモノが貼り付いている。光に誘われてやってきた虫を狙う、ヤモリさんである。

 毎年この時期になると、必ず同じ窓にやってくるのである。おそらく同じ個体ではないと思うけれども、彼らにとっては都合の良い食事場所なのだろう。しばらく観察していると、周りにたくさんいる細かい羽虫には目もくれず、体長1cmくらいのヨコバイばかりを狙って食べている。食べ甲斐があるのだろうな。

 ウチには何故かこのヤモリさんがやたらと多い。玄関灯の周りなんかには5〜6匹も集まっていたりして、ハチュー類が好きな僕でもちょっとキボチ悪いくらいだ。愚妻は時々首筋にペタッと落ちてこられて「ふんぎゃー」と叫んでいる。ムカデよりマシだと思ってがまんしなさい。

 漢字では「守宮」或いは「家守」と表記するが如く、古来縁起の良い生き物として好まれる傾向にある。子供の頃、祖母から「これがおる家は悪いことが起きへんのやで」と聞かされた覚えもある。一方で、最近では民家に侵入する不快生物としてひどく嫌う人が多いとも。僕は、なかなかキュートで好きだケドなあ。

 東京都では2010年にレッドリスト入りしたという。環境省のリストには入っていないそうだから、日本全体で見ればまだまだたくさんいるのだろう。まあしかし、何とはなしに弱々しく儚げな生き物ではあるし、悪いことは何もしない、どころか、人間にとって好ましくないムシを食べてくれるわけだから、暖かい目で見守ってやりたいと思うのである。

 居心地が良いのなら、ナンボでも棲んでください。

’14/06/19 (木)

正真紹介盤


 最後の1枚が手に入らないA級盤ではあるけれども、レーベル違いだった盤の正真紹介盤が、最近発見できて喜んでいる。

 第2集103番収録の「Philharmonia Schrammeln Concert」である。先に入手できていたのは写真右の盤。今回発見したものは左の盤。見た目、ほとんど同じである。関心のない人が見れば「なんや、おんなじやんか」で終わってしまいそうだ。

 しかしA級盤シーカーからすると、エラい違いなのである。左は正しく紹介盤の、オーストリア ALPHA MUSICレーベル盤なのだ。ないンです、これが。探しても探しても見つからず、ホンマにこの世に存在するのかと、馬鹿な疑いを持ってしまうほど、ないのである。見つけたときは一瞬我が目を疑いました。

 両者内容はまったく同じである。テイク違いもない。プレスには違いがあり、右はオーストリアプレスで、盤がやや薄く軟らかい。左はスイスプレス、厚く重い盤になっている。プレス・盤が違えば音にも差異が出るのはLPレコードの常、厚みと豊かさで右、切れと透明感で左、という印象である。もちろん、どちらも極めて優秀だ。

 レーベル違いのワンピースが埋まり、これで名実共に残り1タイトルとなったわけだ。第3集268番「HYMNE A LA FORET(森の賛歌)」(ベルギー PAVANE ADW 7147)である。なかなか入手が難しい盤のようだけれど、ここで諦めるわけには行かない。これまでの299タイトルだって、偏執的に探し続けて見つけてきたのだから。

 PAVANE求めて三千里。

’14/06/18 (水)

半年を経て

 箱船航海日誌を書くのは、なんとなんと6ヶ月ぶりである。大変々々永らくのご無沙汰でございました。皆さんお元気でいらっしゃいましたでしょうか。

 斯くも永くのお休みをしてしまった理由。特にないのである。強いて言えば、ただ書けなくなってしまった、ということくらい。原因もよく分らない。スランプ、などとはおこがましい。大作家ではないのである。ともかくも、半年間休んでみれば、また書けるような気がしてきて、ここに更新を再開するのであった。元の毎日更新ペースに戻れるかどうか、それはちょっと危ないような気もする。いい加減でゴメンナサイ。

 休んでいた間、殊更にヘコんでいたわけでも何でもなくて、極めて健全にオーディオを楽しんでいたのである。特別なことはない。ひたすらレコードを買い、試聴し、喜んだりガッカリしたりしていただけ。A級盤収集の進捗度は休み始める前と変らず299/300、あと1タイトルが未入手のままである。

 ハードにもまったく変更なし。しかし、書くのを休んでいた分聴く時間が増え、出てくる音には好ましい変化が見られる。やはり継続して聴くことは大切なのだ。ただ、装置には経年による劣化が出始めていることも否めない。プリアンプなんかもう、23年使って修理すら不可能な状況になろうとしているのだ。

 古い装置を使い続けるのもおくゆかしくてケッコウなのだけれども、それも程度というものがある。段階的に新しくせんと遺憾時期にきているのだろうとも、思うのである。遅すぎたかな。

 とまれ、日誌更新再開であります。