箱船航海日誌 2013年12月

日々雑感、出来事などを思いつきに任せて綴っていこう

過去の日誌コンテンツ

’13/12/21 (土)

大当り


 ケーブル交換でずいぶん音が変り、面白くなってしまって聴き倒し、日誌更新が滞りました。健全にオーディオしているわけである。

 HX-10000 → C-280V間にAC-5000Si SILVERを使う。これは大当りであった。目が醒めるような切れ味、立ち上がりの速さが出てきて痛快至極である。情報量も極めて多い。ケーブル1組の交換でこれほど音の変化を感じたのは久しぶりである。ちょっと驚いてしまった。

 低域の弱さも改善された。まだホンの少し軟らかい感じが残っているけれども、これはおそらくHX-10000のキャラクターだろうと思う。カスタムメイドPEQ、C-280VのPEQ、どちらとも違う音を出すHX-10000もまた、存在価値があるわけだ。

 これまでの中では現状がベターだが、ベストではないのだろうと思う。もっと音の良いケーブルは、間違いなくあるはずだ。しかし、それをどーやって見つければよいのか。片っ端から買って聴く。現実的には不可能である。

 ケーブル選びは難しい。と、いつもと同じ結論に行き着くのであった。

’13/12/10 (火)

6N銀で揃えてみる


 やはりTSW-5000SILVERの音はいい。明るくエネルギッシュで、切れが良く馬力もある。しかも非常に繊細でしなやか、僕にとってはベストに近いアームケーブルである。

 ただ、持ち味を十全に発揮させているかといえば、もう一息の感もある。音の伸びがわずかに足りず、ちょっと詰まったような印象。何故だかわからない。AT6209Jが介在しているから、だったとしても、これがなきゃつなげないのだから仕方がない。

 そこで一案、HX-10000からC-280Vへのケーブルを交換してみることにした。現状のortofon SILVER REFERENCEを、同じくortofon AC-5000Si SILVERへ。どちらも芯線は純銀だが、前者は4N銀線、後者はストレスフリー6N銀線で、かなり音が違う。どちらのほうが優れているかは、何とも言えない。僕としては、後者のほうが好きである。

 交換してみた理由は、好きだということ以外にもう一つある。TSW-5000SILVERとAC-5000Si SILVER(名前長いなあ、もう)は、基本的に同じ芯線を使っているということ。断面積と構造には違いがあるけれども、素材はストレスフリー6N銀で共通している。そーゆーもので入口出口を揃えたならば、どんな音になるのか知りたかったわけだ。

 両者とも発売以来18年にもなんなんとする、古いケーブルである。そんなので大丈夫なのか。ナニ、HX-10000はそれ以上に古いし、WE-506/30に至っては35年も前の太古アームなのだ。

 おおかた、大丈夫だろう。

’13/12/09 (月)

ノイズレベルを下げるには


 ADプレーヤー3号機(右上)からHX-10000(左下)へのアームケーブル取り回しは、こんな様子である。写真が小さくて分り辛いのは、ご勘弁ください。

 できるだけ他のケーブル、特に電源ケーブルとは交差させたくないのだが、機器のレイアウト上、止むを得ない部分がある。レコードを再生しない状態でボリュームを上げ、ハムノイズが最も低くなる取り回し方を探ったらこうなった。もちろんベストではなく、あくまでもベターである。

 ハムノイズは、アームケーブルの取り回し方のほか、アースコードのつなぎ方、接点のグワイなどでもレベルがコロコロ変るものである。バヤイによってはつながないほうが良かったりもする。さらに、ノイズは減ったが音は悪くなった、なんてケースもあり、実にナンギなヤツなのである。

 ああでもない、こうでもないと、ケーブル相手に奮闘していたら、あっという間に真夜中になってしまった。これから聴いたら、きっと居眠りして音の違いなんかゼンゼン分らんに決まっている。

 なかなかマトモに聴けません。

’13/12/08 (日)

6209J → 5000SILVER


 AT6209JにTSW-5000SILVER(R)をつないでみたところである。6209Jは太短く、しかもケーブルが硬めにできていて、そこへ大型アルミ製の分岐ケースがくっついているものだから、どうにも落ち着きが悪い。さらに、5000SILVERの重いピンプラグがつながると、やたらとブラブラして如何にもグワイが悪そうに見える。

 そこで、分岐ケースにfoQ.シートの小片を貼り付け、ラックとの間にタングステンシートを挟み、上からTAOCの鋳鉄インシュレーター4個で押さえ込んだ。これが音に良いかどうかは、ゼンゼンわかりません。宙空でブラブラしているよりはマシだろう、くらいである。

 さて、これで多少は音に気合が入るかな?

’13/12/07 (土)

分岐ケーブル


 ADプレーヤー3号機のフォノケーブルは、現状Nanotec Systems PH-2S/1.2である。Zonotoneから交換したのは夏だったから、もう早半年にもなろうとしている。

 取り立てて大きな不満はない。けれども、取り立てて大きく満足しているわけでもない。反応が速く切れが良いのは大変結構、しかし泣き所は低域である。やや弱い。重量感が足りないというか、中身が詰まっていないと言うか、生命の危険を感じるような恐ろしい低音が、出ない。通常は、そんなの出なくていいンだケドね。

 他にもいろいろ実験したい、と、上のようなものを買ってみました。audio-technica AT6209J/0.3。アーム出力端子を5PINからRCAピンジャックへ変換する、それ専用のアームケーブルである。「J」は、ジャンクションの意味かな。これがあれば、WE-506/30にも両端RCAピン仕様のケーブルが使える。例えば1号機(EPA-100MkII)に使っているortofon TSW-5000SILVER(R)なども試せるわけだ。

 もちろん、余分な接点が増える、短い(約30cm)とは言え6209のキャラクターを無視できない、CPが下がる、不格好、などのデメリットはある。一般的には歓迎され難い、ある意味中途半端な製品なのだろうけれども、さればこそ使ってみたかったのである。ずっと前から気になって気になって。

 思惑通り、有効な策となるや否や。

’13/12/06 (金)

忘却は禅の要訣なり


 「Alleluias et Offertoires DES GAULES / IEGOR REZNIKOFF」(仏harmonia mundi HM 1044)。1979年12月録音。(P)1980。

 このレコードはいわゆるA級盤ではないけれども、「続・長岡鉄男のレコード漫談」(緑本)の第3話「真説宗教音楽」で紹介されている。グレゴリオ聖歌の原型と考えられている「ガリア聖歌」のレコードである。浅学不勉強にて、詳しいことはワカリマセン。記事の最後に「極めて特殊なレコードではあるが、録音は特A級である」とあり、A級に選ばれなかったA級盤の一つなのだ。

 先日、海外ショップで見かけ「おお、これは珍しい」(事実、滅多に見ない)と、思わず買ってしまった。その直後に「アレ?」と、何だか違和感が。これ、ひょっとして持ってたんじゃないか。ラックを調べてガクゼンとした。ちゃんとあったのだ。

 1999年3月10日に買っている。おおよそ15年前である。しかも、しっかり聴いているのである。にもかかわらず、すっかり忘れて重複してしまったわけだ。なーにやってンだか。「どっかで見たジャケットだ」と思ったら、オノレのラックの中でだった。アホか。

 まあ、2枚持ってても良いんだケド。

’13/12/05 (木)

意外に丈夫でした


 緑茶あぶらとり紙製レコパックもどき剥離紙(名前長い)は、ご覧のとおり無事役目を為した。かけておいた保険も使うことなく。

 見た目よりも丈夫にできているようである。かなり強く引っぱってみたが、ちぎれなかった。これなら充分使えそう、もう1冊買っておいたほうも切り刻んでしまおう。役立たずのゴミにならなくて、ヨカッタヨカッタ。

 思えば、「よーじやのあぶらとり紙」や「緑茶あぶらとり紙」でなくとも、フツーのあぶらとり紙で充分役に立つのだろう。そのほうが入手しやすいし、うんとハイCPなはずだ。但し、最近ではプラスチックフィルム製のもの、薄紙の表面に油分を吸収するパウダーを塗布したもの(インクジェットプリンタ用の紙、みたいなもの、かな?)などもあるらしく、そういったタイプは不向きかもしれない。

 また実験してみようかしら。

’13/12/04 (水)

性質の悪い汚れには


 上の写真がどういった状態を表しているのか、説明なしではお分かりいただけないだろうと思う。

 レコパックもどきを塗布し、15分くらい経過したレコード盤面の一部分を拡大視した写真である。他の部分はまったく乾いていないのに、この一点だけがクレーターのように凹み、既に乾き始めている。直径は4〜5mm程度と、とても小さい。

 中心をよーく観察すると、黒く小さいプツンとしたモノが見え、その周囲がうっすらと虹色に変色している。実はこれ、盤面にくっついている油脂性粒子なのである。パック液に浸かることで油成分が溶け出し、その周囲のパック液をはじいてしまう。結果、このような状況になるわけだ。

 致命的な問題、とは言えない。ただ、このまま全面乾燥させて剥離するとクレーター部分だけが上手く剥がれず、膜が盤面に残ってしまうことがある。問題の粒子も除去できない。パック液がはじかれた分だけ、膜が極端に薄くなっているからである。

 対策。塗布後15分〜20分くらい経ったところで盤面を検分し、このような凹みを発見したら、その部分だけにパック液を2〜3滴垂らす。多くはこれでOKになる。しばらくしてまだはじかれるなら、さらに2〜3滴。それでもダメなバヤイは、こーゆーことをやるのであります。

 油性汚れは、どうにも始末が悪いのである。

’13/12/03 (火)

テスト中


 これくらい接写すれば、細かく轢いた茶葉を漉き込んであることがお分かりいただけると思う。小さく見えるツブツブが茶葉のカケラ、というわけだ。

 レコパック剥離紙として、只今テスト中。パック液の沁み込みグワイは上々、けれどもやっぱり強度が足りないような雰囲気をカモシ出している。ちぎれて剥離に手間取るのもイヤだから、隣によーじやのあぶらとり紙を置いて保険をかけてある。

 強度不足はともかくとして、他に問題はないのだろうか。茶葉のエキスがパック液中へ溶け出し、レコードに悪さをする、とか。緑茶に多く含まれるカテキンには抗菌効果もあるというから、カビたレコードなら好影響がある、とも言える。かな。最早オカルトである。

 そんなことはどーでもヨロシイ。ちゃんと剥せるかどうか、だ。

’13/12/02 (月)

緑茶入り剥離紙


 伊藤久右衛門の「緑茶あぶらとり紙」で、レコパックもどきの剥離紙もどきを作っている。折角の特別なあぶらとり紙を、何ということに使うのだ。これでは緑茶もへったくれもないではないか。しかし考えようによっては、極めてハイCPな使い方、とも言えるのである。

 通常はご婦人方(とは限らない)が、主にご尊顔のアブラを取るのにお使いになるわけで、そのバヤイ、1回につき本品1枚を消費されるのであろう。チョイチョイと使ってゴミ箱へポイッ。

 それに比べて僕の用途は慎ましい。87mm×90mmの本品1枚から27枚の剥離紙を取り、それを1回のパックで1枚しか消費しないのだ。どーです、ハイCPでしょう。緑茶入りの効果は、あまり意味がないかな。

 問題は、ほんとうに剥離紙としての用を為すのか、である。現状グワイよく使っている「よーじやのあぶらとり紙」に比較するとやや薄く、頼りない感じなのが気になる。パック液の沁み込みは速いだろうけれども、剥離時に強度不足でちぎれてしまうかもしれない。

 そうなったら、ハイCPもクソもない。特別なあぶらとり紙を無意味に切り刻み、何の用途にも使えないゴミにしてしまっただけ、っちゅうことになるわけだ。鬼畜の所業である。

 大丈夫かしらん。

’13/12/01 (日)

19世紀のワルツ


 「Vienne Danses 1850 / ensemble BELLA MUSICA de Vienne / direction MICHAEL DITTRICH」(仏harmonia mundi HM 1013)である。1978年8月録音。(P)1979。録音場所についての記載はない。響きがとても良く、曲中に超低域ノイズ(車の走行音?)が入っているところからして、スタジオではないような気がする。

 これを初めて聴いたのはとても古く、1988年8月頃である。神戸か大阪のレコードショップで「仏HM最新CD! 優秀録音盤!」というキャッチコピーに惹かれて買った。1978年録音のアナログ音源が、1988年になって初CD化されていたのである。当時はアナログ受難の時代でした。

 CDではあったけれども、実際ヒジョーに良い音であった。まだ手持ちソフトに優秀録音盤が少なかった所為もあり、大変よく聴いた。その頃の装置はどんなだったろうか。CDプレーヤーはSONY CDP-553ESD、プリがONKYO Integra P-308、パワーは同じくM-508、スピーカーは自作D-70、ではなかったかと記憶する。さすがにすべてリタイヤしています。ただ、トゥイーターYAMAHA JA-0506IIだけは、今もメインに使っているな。丈夫で長持ち。

 最近になって安いアナログレコードを見つけ、懐かしくなって買ってみたわけである。やっぱりすごく良い音。良い音楽。CDも久しぶりに聴いたが、アナログの勝ちである。オリジナルの貫禄だ。

 表題のとおり、19世紀中ごろのウィーンの円舞曲集である。ヨハン・シュトラウス(2世も)の曲も入っていて、馴染み深い旋律がどんどん出てくる。B-3「Linzer Tanz」(作曲者不詳)ではラデツキー行進曲の旋律が聴こえる。解説によると、古くからウィーンに伝わるメロディーだそうで、それをシュトラウスさんが使ったもの、とある。知らんかったなあ。

 内容はシュランメルン音楽ともかぶっていて、大いに楽しめるものである。これを聴いて不愉快になる人は、極めて少ないと思う。派手さはないけれども、如何にも良いレコードだ。CDは今も買えるようだし、アナログレコードも中古店で、比較的容易に見つかると聞く。

 超高品位BGMとしても、お薦めです。