箱船航海日誌 2013年06月

日々雑感、出来事などを思いつきに任せて綴っていこう

過去の日誌コンテンツ

’13/06/30 (日)

名を捨てて


 「VERDI / REQUIEM / Solti / CHICAGO SO」(独RCA RL 02476-1〜2)。2枚組である。(P)1977。外盤A級セレクション第2集183番に取り上げられているレコードである。もう何年も前に入手済みのものだが、先日在独ショップで激安盤を発見。こうなると僕はパブロフの犬並みである。説明文もろくに読まず買ってしまった。

 あとになって考えた。安いにはそれなりの理由があるはずなのだ。頭を冷やして確認したら「werden nur mit Beiheft und LPs geliefert, da die Boxen nicht mehr vorhanden sind.」(箱はありません。解説書とLPのみです)と、ちゃんと断ってあった。ヤッパリ。

 届いたものは写真の通りである。正しく、解説ブックレットとレコードだけ。箱はありません。残念だが、仕方ないのである。しっかり説明文を読まなかった僕が悪いのだ。けれども救いもある。盤の状態が非常に良いのである。汚れ、ビニール焼け皆無。埃、ほとんどなし。限りなく新盤に近い感じだ。まあ、これなら吉。

 名を捨てて実を取る。と言うと、ちょっと格好良すぎだな。

’13/06/28 (金)

情報の宝庫


 27日は、ずいぶんご無沙汰していた友達が久しぶりに遊びに来てくれた。現用スピーカー、スーパーネッシーMkIIの搬入を手伝ってもらって以来だから、6年半ぶりである。

 超ベテランオーディオファンの彼は、いつも僕が大喜びするオミヤゲを持って来てくれる。貴重なLPレコードであったり装置であったりアクセサリーであったりするわけだが、今回は「本」である。

 別冊FMfan、一揃え。これは嬉しい。僕は第50号(1986年夏号)からしか持っていない。このオーディオ誌は、古くなっても貴重な情報の宝庫なのである。外盤ジャーナル、クリニック、フルテスト。実際、昨日から読み漁っている。うーむ、オモシロイ。

 特にクリニックには、色んな意味で凄い人が登場していたりして、思わず笑ってしまいました。中でも〇〇号(特に名を秘す。写真左)。今この訪問記事をご自分でお読みになったら、どのように感じられるのだろうか。やはりハズカシイのかしら。尤も、若いときはみんなこんなものなのだろうな。僕も人のことは言えません。

 オーディオに生気が漲っていた1970年代〜80年代。あの頃は、ヨカッタ。

’13/06/26 (水)

一撃となるか


 昨日載せたレコードは、外盤A級セレクション第1集86番に独オリジナル盤が取り上げられている。現状、入手が難しい盤としても有名(かな?)だ。

 その第1集が、近日再版されるという。拙掲示板にいただいたMYUタカサキさんのご投稿にあるとおり。初版発行は1984年7月16日だから、ほぼ30年ぶりの再版(復刊と言ったほうが正確か)になるわけだ。

 僕がこの本を買ったのは1988年2月である。発行から約4年後。その頃にはすでに第2集も出ていて(1985年10月15日初版)、2冊一緒に買った。第3集は1989年6月16日初版、これは出るのを待ち構えるようにしてリアルタイムで買っている。

 改めて考えれば、3冊ともCDが世に出て、しかも主たるオーディオソースとして地位が固まりつつある頃の出版なのである。AD全盛時代の本ではないわけだ。それが10,000部以上も売れたというから、まったくに驚くのである。オーディオ系単行本としては破格のベストセラーというべきだ。

 第1集の巻頭言にはこうある。

 「オーディオ界の流れはデジタルから更にはAVへと向いつつあり、アナログの外盤も今のうちに紹介し、必要なものは今のうちにコレクションしておかないと永久に入手不可能になるのではないかと思っている」

 それから30年。ADは死なず、また消え去ってもいない。ゴミだカスだと扱われた時代(ちょうど第3集が出た頃)を経て、今また価値を取り戻しているとも言える。そういった流れもあっての、第1集復刊なのだろう。この動きが、低迷する今のオーディオ界に再起の一撃を与えることができれば。

 一人でも多く「真実のアナログサウンド」を聴いて欲しいと、心から願う。

’13/06/25 (火)

US DECCAプレス


 このレコードは、以前ヒジョーに悔しいことになってしまい、どーしても欲しかったものである。「JOHN SEBASTIAN / A Harmonica Recital」(米DGG DGS 712015)。先日、海外ショップでようやっと発見できた。モノスゴイ値段になるのかと思いきや、わりと常識的な価格であった。

 2012年に入手したもの(DGM 12015 / モノフォニック)のステレオバージョンである。独オリジナルステレオ盤(独DGG SLPM136 024)は既に入手済み、だったらもう要らんではないか。とゆーのはフツーの人であって、僕は馬鹿でスケベである。米プレスDGGステレオ盤などというものが存在するのならば、どうやっても聴いてみたくなるわけだ。

 レーベルはDGGだが、プレスは「US DECCA」となっている。元を糺せば英国の大メジャー「DECCA」と同じ会社だが、第二次世界大戦中のゴチャゴチャで別会社となり、戦後の英DECCAがアメリカでのレーベル名を「LONDON」とせざるを得なくした張本人である。正確なプレス年は不詳だが、おそらくこのレコードも英DECCAとは直接的な関係はないと思う。どうもヤヤコシイのである。

 独オリジナル盤は、昔のDGGに見られる厚く重くフラットな盤で、実測194gもあった。US DECCA盤はどんなグワイだろうか。実は現在未着で、本当の正体は不明なのである。普通に考えれば、オリジナルを上回ることはない、はずなのだが。

 到着が楽しみである。

’13/06/21 (金)

雨中苔を眺める


 今年はエラく早くに入梅したと思ったら、その後はひどい日照り続きであった。いつになったら雨が降るのか、このままじゃ水源の小さい当村は深刻な水不足になっちゃうよ。

 と心配していたら、ここ4日間は大雨続きである。これまでのテンカイからすれば慈雨とも言えるわけだが、今度は降りすぎが心配になってきた。どうも昨今は、ちょうど好い加減というやつが難しいようで。これじゃまるで乾季と雨季だ。

 この天候に、苔庭のスギゴケは大喜び。この間までは葉をぴったりと閉じ、カピカピに乾燥して真ッ茶色だったものが、ご覧の通りの様子である。目にも鮮やかな緑色。なかなかに良い景色だ。眺めていると気持ちが安らぎます。

 今日は夏至である。

’13/06/17 (月)

溢れるレコード


 レコードラックの空きスペースがいよいよ少なくなってきて、このままでは収まり切らないレコードが溢れるのも時間の問題である。何とかせねば。

 ラックの数を増やすのが、最も正しい方法である。当り前なんだな。けれどもその前に、最下段左から五つのラック(約300〜350枚分)を占領しているLDの整理が、最優先課題である。今や視聴機会はほとんど皆無、「ただそこにあるだけ」状態になっているのだ。もったいないとは思えども、なにしろLDですから。

 段ボール箱に入れて蔵へ移動させる(正にお蔵入り)か、或いは欲しい人があればあげちゃってもいいンだが、今どきLDなんぞ誰も要らんわな。

 整理方法はともかく、スペースが空いた後はレコードの並べ替えを実施せねばならんとも考えている。総数の1/4くらいは、並びが支離滅裂になっているのである。こんなだから箱船では、行方不明レコードがしばしば出るのだ。

 僕のバヤイ、「いつかやる」は「いつまでもやらない」と同義である。これまでずっとそうだった、からこそムチャクチャな並びになってしまったわけだ。今回はそれを反省し、既に行動を起している。日がな一日かかりっきりにもなれないから、作業は遅々として進まない。けれども、できるだけ早くケリをつけ、スッキリさせたいと思う。

 ラックの増設は、それからだ。

’13/06/11 (火)

裏テスト盤


 システムに某かの変更、或いは新調があったバヤイ、新しい音を確認するためにテスト音源を使う。オーディオファンならそれぞれに「こーゆー時はコレ」という音源をお持ちだろう。

 上のレコードは、最近僕がよく使うテスト音源である。「TAKANAKA / 高中正義」(日 Kitty Records MKF 1010)。(P)はたぶん1977年、僕が買ったのは1979年5月だから、34年も前の古い古いレコードである。ジャケットの角っこがめくれていたりして、さすがに年季を感じさせる。

 念のために申し上げておきますが、このレコードは優秀録音でも何でもありません。どちらかと言えばダメダメの部類に入ると思う。ローハイともレンジは狭く、特に低域不足がひどい。曲によってはウーファーが鳴っていない3ウェイみたいな音になる。歪みはわりと少ないけれども、だからどうということもない。声は人工的で、如何にもデンキボーカル。ボロクソです。斯様に、オーディオ的にはほとんど見るべきところないもの、なのだが。

 ところが不思議なことに、装置の違いを実に明確に出すのである。あるカートリッジでは壊れたラヂオのような音になるかと思えば、別のカートリッジでは驚くほど瑞々しい音で聴けたりもする。もちろん、悪いは悪いなりに。アームやキャビネットの違い、セッティングの差異にも敏感である。

 元々が優れた録音ではないから、これが上手く鳴ればOK、とは一概に言えない。使い方を誤るととんでもないことになる可能性もあるわけで、しかし個人的には大変重宝している。いわば、逆手を行くテスト音源である。

 高中さんが今も必ずLIVEで演奏する「READY TO FLY」はこのレコードに入っているし、当時大人気だったグラビア・アイドルのアグネス・ラム(古い!)をモチーフにした「SWEET AGNES」は、実にいい曲である。

 そういった意味では、名盤です。

’13/06/10 (月)

やってみてわかったこと


 6月に入ってからの10日間は、何だか知らんがとても慌しかった。予定ではもう少し余裕を持って過ごせるはずだったンだが。

 そんなグワイであっても、1日1枚はレコードを聴けているのだから、ありがたいと言わねばならない。その代わりにweb更新はご覧の有様である。全てのことを上手く運べるほど、僕は要領が良くないし若くもないのである。

 写真はADプレーヤー3号機の現状である。これまでセッティングしてあったラックよりも、かなり前へ出っ張っている。フロアコンセントを逃げるための、苦肉の策である。寸法にして165mm、お世辞にもスマートなセッティングとは言えない。不格好なだけでなく、きっと使い勝手も悪いだろうと予測していたのだが、案に相違してそうでもないのである。

 アーム右側のスペースが広くなり、操作がヒジョーに楽である。調整もしやすくて、特にアーム水平の確認はほとんどストレスなく行える。怪我の功名、何でも実際にやってみないとわからないものだと思った。

 プレーヤー手前にあるのは、初期設置用の「馬」として使ったドラム椅子である。何故か今もそのまま居座っている。椅子だけに居座る。何を言ってるンでしょーか。

 レコードのかけ外しや針先クリーニングする時、これに座ると実にグワイがヨロシイ。腰が安定して手元がブレず、事故のキケンを低減できる。無段階で高さを調整できるのも大きなメリットである。「ドラム椅子」ではなくて「オーディオ椅子」としてもう一脚買おうかと思うほどだ。そんなに高価ではないから、アナログファンの皆さんには是非ともお薦めしたい。

 して、3号機はますます好調である。