箱船航海日誌 2013年04月

日々雑感、出来事などを思いつきに任せて綴っていこう

過去の日誌コンテンツ

’13/04/30 (火)

及第点


 外-真鍮バージョンの防錆塗装が最も上手くできたから、その写真をご覧に入れる。最良レベルでこれくらいである。ベスト状態にはまだ遠い感じだが、どうにか及第点には達したか。少なくとも、塗膜のムラは避けられたように思う。

 同じラッカースプレーと言っても、銘柄によって粘度、乾燥時間に随分な違いがあるようだ。アマチュアがこのようなことにやるバヤイには、粘度が低めで乾燥時間の長いもののほうが使いやすい。今回使ったスプレーは、粘度がやや高めで乾燥時間も短め。塗料滴の広がりが鈍く、しかも吹いたシリからどんどん乾くものだからゴマカシが利かず、塗膜の平滑性が悪くなるのである。

 タレを嫌って粘度を上げ、乾燥時間を短くしてあるのだろう。最近のスプレー塗料の主流である。なかなか上手く行かないものです。本当に満足したいのならば、コンプレッサーとエアブラシを仕入れ、塗料粘度、噴霧量、滴のグワイを細かく調整し、細心の注意を払って塗装すべきなのだろう。防塵室も要るかな。

 趣味じゃなくなっちゃいます。

’13/04/29 (月)

わずかばかりの改善


 電動ドリルをスタンドに逆付けし、ロクロ代わりにしようという魂胆である。但し、このままでいきなりブン回しては遺憾。エラいことになってしまうのである。できるだけゆっくり、止まらず一様に回転していて欲しいわけだ。

 そのようにするに強力な味方がいる。スライダックである。調整範囲の最低回転(たぶん毎分16回転くらいか)にしておき、できるだけ距離を取ってクリアラッカースプレーで塗装する。これで全面一発塗装、しかも一様な塗膜形成を狙える。はず。

 ところが、そーは上手く行かないのである。遠すぎてマダラになったり、近すぎて泡だらけになったり、吹き付けすぎて底面にタレが出たり。そのたびにトルエンで洗い流し、一からやり直し。写真の純銅バージョンは、ようやく4回目にしてOKとした。これまでよりはややマシ、という程度である。

 尤も、わずかであっても改善できたのであれば、急造ロクロも悪くなかったわけである。何事も慣れが必要。あとの2個はもう少し上手にでき、たらいいな。

 早くやんないと、また錆びちゃうよ。

’13/04/28 (日)

いささか難物


 外-純銅バージョンスタビライザーも再研磨を完了した。ご覧の通りである。天面の切削痕は、比較的上手く消せたと思う。仔細に点検すれば完璧とは言えないのだが、アマチュアレベルならこれくらいで良しとしよう。鏡像にもそれなりに透明感が出ているし。

 さて、このあとはいささか難物の、防錆塗装である。これまでに幾度かやっているわけだが、どれもこれも満足するには程遠い出来であった。平均点数にして30点、良くできたもので40点。いずれ赤点レベルである。

 今回はない智慧を絞り、塗装方法にちょっとばかり工夫をしてみた。根本的解決にはならないだろうけれども、塗料の均等な塗布といった点では、わずかでも改善が見られる、かもしれない。

 上手く行けば良いンだがなあ。

’13/04/27 (土)

魔の手


 何年もホッタラカシにしていたクセに、ちょっと上手く行くと調子に乗る。馬鹿でスケベなのだ、僕は。現用の外-純銅、内-真鍮バージョンスタビライザーにも、研磨の手を出してしまいました。

 防錆塗装に速乾性アクリルラッカーを使っていて、再研磨するためにはまずそれを剥さねばならない。アクリル塗膜は強靭である。トルエンに30分くらい漬けてみたがビクともしない。たぶん1時間でもダメだろうと思う。

 ここは奥の手、塗膜剥離剤を使う。ほんの5分でゆで卵の薄皮みたいにペロッと剥がれた。快感。だが、実はあまり使いたくないのである。金属面を腐食することがあるからだ。今回は用心して水洗い可能のタイプを使った所為か、問題は起きなかった。

 再研磨そのものは、わりと楽であった。天面の切削痕を消すのに少し時間がかかったくらい。写真は新たに購入したダイヤモンドペースト#15000で、天面に仕上研磨をかけているところである。楽とは言ってもここまで4時間、両の二の腕には乳酸が貯留し始め、右手人差し指の先っちょはシビれています。ハァハァ。

 もう1個、プレーヤー2号機に使っているスタビライザーまで、魔の手は伸びるか。

’13/04/26 (金)

ケツに火が付きました


 もう一つ、磨いておきたいADスタビライザーとは、写真のタイプである。プレーヤー1号機で永く常用している外-純銅、内-真鍮スタビライザーの、リバースバージョンだ。これはまさに実験機であって、作ってもらったのは2個だけ。もう1個は、これを発案してくれた親しい友達のところにある。

 先日、この友達からWE-506/30について、とてもありがたいアドヴァイスがあった。添付された写真の中に偶然写り込んでいたこのスタビライザーを見て、僕はガクゼンとしたのである。手持ちのものを遥かに上回る美しさ。エラいこっちゃ。僕はなんていい加減に扱っていたのだろうかと、大反省したのだった。

 ケツに火が付きました。トルエンで中途半端な防錆塗膜を溶かし、ピカールとダイヤモンドペーストでヒッシのパッチに磨き倒した結果が、上の写真である。例によって鏡面は天面だけ。しかし、研磨前とは雲泥の差である。ああ、きれいになってヨカッタ。友達のおかげさまである。

 今度はちゃんと性根を入れて、防錆塗装せねば。

’13/04/25 (木)

キャビネット完成


 山越木工房さんから、キャビネット完成の知らせが届いた。写真のようなグワイである。なんか、凄い迫力だな。寸法としては1号機とほとんど変らないはずだが、こちらのほうがうんと重厚に見える。おそらく、ドシロウトと超一流プロの腕の差であろう。比べるのも失敬、っちゅうお話である。

 到着は30日である。こちらとしてはそれからが大変だ。早速にも受け入れ準備を始めねばならない。まずは設置場所までの安全な搬入通路を確保することから。フォノモーターの掃除やらアップリケやら、スタビライザーの再研磨やらで、箱船1階は今エラいことになっているのである。

 さあ、いよいよだ。

’13/04/24 (水)

DP底をつく


 ダイヤモンドペーストでの仕上研磨完了の図。昨日の写真とほとんど変らないように見えて実は、細かな傷が減り、鏡像の透明度は上がっているのである。但し、上面だけだケド。

 この研磨で、ついに仕上研磨用のダイヤモンドペーストが底をついてしまった。2002年6月22日に買ったものだから、実に11年間使えたことになる。たった5gでこれほど長持ちするのだから、エラいもんである。研磨剤としては高価だが、超ハイCPというべきだろう。尤も、アマチュアレベルでのお話だ。

 これとは別にもう1個、ADプレーヤー3号機が完成するまでに磨いておきたいスタビライザーがある。一度は磨いてあるものの、仕上げがヒジョーに甘くずっと気になっているのだ。防錆塗装も不充分で、サビが点々と浮き始めている。

 ダイヤモンドペースト#15000、絶対必要。

’13/04/23 (火)

改めてもう一度


 磨いたはよかったけれど、きちんと防錆塗装せず何年間も放置してあった純銅スタビライザーを、もう一度研磨し直した。再研磨前の表面は年季の入った十円玉みたいであって、どうなることかと思ったけれど、まずまずご覧の通りである。ヨカッタヨカッタ。

 とてもきれいに見えて実は、例によって写真マジックである。上面にはまだ微細な傷がたくさん残っていて、鏡面と呼ぶにはもう一息。側面は切削痕が顕である。これを消すのはホネが折れるから、ここまでで終了とする。息切れしたわけです。

 上面はもう少し、ダイヤモンドペースト研磨してさらにきれいな鏡面にしたいところである。それができたら今度はちゃんと防錆塗装し、ADプレーヤー3号機で使いたい。このスタビライザーには、多くの思い出があるのだ。

 1999年12月に作ってもらった、オリジナル(と言ってもMICRO ST-10のデッドコピーだが)スタビライザー1号である。第一ロットは3個作り、上のものはそのうちの1個。あとの2個は親しい友達へ1個、長岡先生へ1個、それぞれお分けしたと記憶する。

 長岡先生から感想の電話とFAXをいただいたのが2000年の1月15日。それが先生の肉声を聞いた最後になってしまった。今も鮮明に憶えている。

 「すごく綺麗だね。お宝ですよ。音も良いンだけど、ちょっと銅の鳴きが乗る感じだね。この鳴き、何とか取れないかな」

 それから13年以上が過ぎた。改めてもう一度、使ってみよう。

’13/04/22 (月)

目標値100kg


 積み上げた重石を取り、熨斗鉛のグワイを見る。ホンの少しスキマが減ったような感じはするものの、軽く叩いて点検してみると、まだジンジン響く部分があるのだった。密着していないのである。

 それも当然で、重石をかけてたった4日である。そんな程度ではまだまだ。ただ、時々点検しては軽く叩き、また重石をかけるのも無意味ではないと思う。全パーツが揃うにはもうしばらくかかりそうだから、その間を利用してじっくりやってみたい。

 鉛板の目方を量ってみた。いい加減な体重計での実測で、1枚あたり12.5kg。2枚で25kg程度である。御影石板が24.5kgだから、両者でほぼ50kgくらいになる勘定だ。実際、写真の状態で持ち上げようとすると、腰にキケンな感じである。20年前ならイケたかもしれないけれど、現状50を超えたおっさんにはヒジョーに苦しい。ヤメておくのが吉。

 この上に100%バーチ製のキャビネット、フォノモーター、アームボード、アームが載る。全部ひっくるめてどれくらいの重量になるのだろうか。目標としては、100kg以上を狙っているのだが、さて。目標値に達しないバヤイには、デッドスペースに粒状鉛でも詰め込むかな。

 やりすぎて動かせなくなったら、噴飯モノです。

’13/04/21 (日)

桜も困る寒暖差


 八重桜が満開である。18日の午後には咲き切っていたから、昨年よりも8日〜10日くらい早いわけだ。

 この春の寒暖差は、例年になく大きい。先日は最高気温が27.8℃まで上がり、終日半袖で過ごせた。と思ったら、昨日今日は9℃止まり。一気に夏から冬へ大転落である。東北から北の地方では、満開の桜に雪が積ったという。滅多に見られない光景である。

 いいこともある。花が長持ちするのである。ただならぬ暖気に勢いを得て一気に咲いたあと、キューッと寒くなるものだから、散ろうにも散れずにいる。桜も身の処しかたに困っている感じだ。

 皆さん、お風邪など、お召しにならぬよう。

’13/04/20 (土)

あってヨカッタ

 十数年ぶりのADプレーヤー作りを、大いに楽しんでいる。もちろん、僕はプロではないから、優秀なものが出来上がるのかどうかなどは、ゼンゼンわからんわけである。大袈裟なことやって大失敗、の可能性もある。ナニ、それでもまったく構わないのだ。

 思えば、この時代にADプレーヤー工作を楽しめるのも、優秀なフォノモーターとアームが手持ちにあればこそ。仮に新品を一から揃えようと思っても、現状の市場には姿が見えない。殊、単体フォノモーターに至っては内外製品ともに皆無である。

 トーンアームのほうは、ちらほらとならあるようだが、いずれも食指が動かない製品ばかりである。どう見ても思い違って設計されたとしか考えられないモノ、アームにとって極めて大切な基本要素を完全にハズしているようなモノが、多い。どんな魔法がかけられているのか知らないが、指先でチョイとつつけば簡単に動いてしまうようなセッティングしかできない(むしろそれを推奨しているフシもある)アームで、本質的に優れた音が聴けるはずもない。

 しまった。ワルクチを書いては遺憾な。ともかく、いつ使うかワカランけれども用意だけはしておこうと、無理をしてでも買っておいてヨカッタ。今さらながらに思うのだった。

 最早、一般性もくそもないわけだが。

’13/04/19 (金)

スタビライザー2種


 WE-506/30用のアームスタビライザー2種である。右はφ62×60mm、クロム銅製。正確な重量を量っておくのを忘れて、たぶん800g以上あると思う。左はちょっと小ぶりでφ60×45mm、真鍮製で550g。

 アームスタビライザーなるもの、基本的には重いほうが有利だと思う。ただ、今回のバヤイ、アームボード自体にかなりの目方があるから、ガッチリ取り付けできさえすれば、このパーツでの数百グラム差は九牛の一毛となる、ような気もする。

 あとは材による音の違い、である。真鍮とクロム銅。決定的とは言えずとも、ある程度のサウンドコントロールはできるはず。こう言ったことも、アナログ再生が楽しくなる一つの要素なのである。

 アームボードの下に隠れ、普段はまったく目に付かないパーツだけれども、個人的にはクロム銅を先に使いたくなるのだった。

 ヤッパリ銅色っちゅうのは、魅力的です。

’13/04/18 (木)

拷問か


 御影石の上には、450×300×8mmの鉛板を2枚、横方向に並べて載せる。この点は長岡式ADプレーヤーの原設計通りである。

 オーダーメイド鉛板と言えば、かの有名なTGメタルである。前回お世話になったのは1号機を作った時だから、かれこれ17年前になる。それでもちゃんと僕の名を覚えていてくれて、ちょっと感激してしまった。

 鉛は比重が大きく(11.36 / 20℃)体積のわりに重量を稼げるし、軟らかく鳴き難いところもメリットになる。ただ、軟らかいだけに歪みやすく、精度が出にくいのが泣き所。頑丈な木箱にスキマなく詰め込んだ状態で送ってくれたけれども、やはりまっ平らというわけには行かず歪みが出ていた。御影石に置いてみると、ぴったり密着しないのである。

 このようなバヤイ、踏んづけて矯正する手もあるけれど、これは凡その対策に過ぎない。大きな歪みには効果的であっても、小さな歪みにはほとんど効かない。ワウは熨せてもフラッターは熨せないわけだ。

 軽く踏んでワウを熨したあと、フラッターが出ている部分を探し出し、当木してプラスチック金槌でコツコツ叩く。なかなか歪みが取れないからと言って、死に物狂いのチカラでバコバコぶん殴ってはイケナイ。鉛板は簡単にヘコんでしまうのだ。表面の平面性を害したら本末転倒、叩きグワイを加減しながら気長にコツコツ(正に!)やるのが吉。

 こうしてほぼ密着した、ように見えて実はまだまだである。仔細に点検すれば、スキマだらけに違いないのだ。あとは重石をかけて時間に任せる。箱船に転がっている重そうなものをかき集め、只今熨斗鉛製造中の図。これでもまだ重石が足りんかな。

 江戸時代のゴウモンみたい。

’13/04/17 (水)

土台は決まった


 ADプレーヤー3号機を構成する主要パーツは、フォノモーター、アーム、キャビネット本体、アームボード、鉛板、御影石、以上6点である。モーターとアーム以外の4点は、それぞれ個別に製作依頼してあり、これまでに出来上がっているのは鉛板だけであった。

 今日になって、最下段にあって全体を支える御影石の板が仕上がってきた。600×450×30mm、実測重量24.5kgの、黒御影石である。

 御影石板は、オーディオ用としての既製品がいくつか存在する。上記と同寸法、同素材のものもあるのだ。それを買えば話が早い。実は1号機に使っているのがそれである。概ねヨロシイのだけれども、ちょっとばかり注文をつけたい部分も、あったのである。

 市販品は、6面すべてがきれいに研磨された鏡面仕上げである。ルックス最高、とても美しい。しかし、ツルツル過ぎてスリップが多いのである。おそらく、装置を全面接触で設置することを、想定していないのではないかと思う。加えて、平面性がイマイチ。面が微妙に波打っているのである。

 さらにもう一点。片面の稜線(4本)が深く面取りされている。「R」と言ってよいくらいの大きさである。Rのついた面を上にしても下にしても、なんとなく不安定に見えるわけだ。バチッと決まった感がなく、キボチ悪いのである。

 それらの点を改善すべく、今回は村内にあって昔から付き合いの深い石材店に製作を依頼した。磨きをかけるのは周囲4面のみ、上下面はスリガラス程度の仕上に止める。稜線の面取りは欠けを防ぐ程度に小さくする。600mm、450mmの寸法は厳守、厚みは±1mm程度の誤差OK、但し平面度、平行度は可能な限り高くする。ついでに、市販品より安くする。勝手なことばっかりゆってます。

 「注文が多いねえ。何に使うンですか。あっ、オーディオか!」と、昔サブウーファーに載せる石を頼んだことがあるから、分かりが早くて助かるのである。

 結果、出来上がってきたのが上の写真。注文通りである。設置面はスリガラスよりやや滑らかだが、鉛板を置いてみるとちょうど好い加減のひっかかりグワイである。スリップ感は皆無だ。寸法ピッタリ、平面性も高い。市販品より安く、という条件も(おそらく無理矢理)クリア、僕としては大喜びである。

 これで、土台は決まった。

’13/04/16 (火)

ナンデこーなるの


 中(太)古SP-10MkIIIの、アップリケで傷隠しした対角側、右下カドの様子である。ご丁寧に、ここにも深い傷があります。どのようなグワイでこーなったのだろう。何かのハズミで硬いものをぶつけたか、最悪のバヤイ、キャビネットへの着け外しの際にでも落っことしたか。考えたくもない状況だが、可能性は否めない。

 装置を酷使するのは、大変結構なことだと思う。僕もそのクチである。折角の優秀な装置を、使いもしないでほっぽらかすよりずっといい。しかし、酷使することと乱暴に扱うこととは、まったく別ではないか。

 僕のオーディオはある意味進化が止まっていて、その分中古品と接する機会が多い。その多くが、大変乱暴、或いは粗雑な扱いを受けたと思われる装置やレコードなのである。仮に傷が少なかったとしても、猛烈に汚れているのが常である。埃は言うに及ばず、ヤニだか油だかでコテコテ、錆が浮いてボロボロ、時にはゴキブリやクモの屍骸が出てくることもある。友達から聞いた話では、ネズミのミイラが入っていたこともあるそうだ。

 装置を擬人化し「かわいそう」などと語るのは好みではない。しかし、丁寧に扱われていないと見える装置から、良い音が再生されている例を、僕はあまり知らない。一聴耳を奪われるような音を鳴らしている装置は、大概きれいである。もちろん、小奇麗なだけで音はちっとも良くない、っちゅうバヤイもあるわけだが。何事にも例外はあるのだ。

 さて、この傷である。また、隠しちゃうかな。

’13/04/15 (月)

ホルダー原案


 リフトホルダーの図面を書いてみた。いや、正確にはweb上にある図面ソフトが書いてくれた、というべきだ。僕は雛形を見ながら各部に数値を入れただけ。自前のソフトとは違って制限は多いものの、僕如きレベルには充分なものである。

 この図面もまた本番製品には程遠いものだ。しかし、形状認識能力に著しく劣る僕としては、ともかくも目に見える形に起こしてみないと先へ進めないのである。実際、図面を見て初めて気が付いたグワイの悪さは多い。上は、作図6回目にして成ったものである。

 この設計では、板の厚さ5mm、材はアルミである。アーム支柱が通る穴(左側)はφ26、リフター用の穴はφ16。割を入れ水平方向からネジで締める構造だ。

 理想的にはもう少し薄くしたいところ、だが、過ぎるとネジ穴を開けるのが難しくなるだろう。肉厚が最も小さくなる部分での強度も大いに問題で、やはり加工が困難になると思う。仮令できたとしても、加工費が嵩んで1枚数万円、なんちゅうことになったら本末転倒である。

 まあ、いろいろ考えるだけならタダだし、ない智慧を絞っているうちにグッドアイディアが飛んで出る、かもしれない。僕のオツムじゃ期待薄だケド。

 とまれ、楽しんでいるわけです。

’13/04/14 (日)

リフター付けたい


 WE-506/30にアームリフターが付いていないことは、先日も書いた通り。なくても困らない、のは上げるも下げるも自由自在のアナログ達人であって、僕は残念ながらその域には遠く及ばない。ないと困るのである。

 針を降ろすほうは普段からリフターを使わずにやっているから、たぶん大丈夫。問題は上げるほうだ。これ、とてもヘタクソである。アームが内周部にあると、手の支点が決められずフルえてしまう。針先を横っちょに飛ばし、エラいことになりそうなのである。まあ、これも訓練の仕様でやがては慣れるンだろうけれども、それまでにレコードやカートリッジを幾つ壊すか。そう思うと、やはりリフターに頼りたくなるのだ。

 さりとてEV-506なるものは、あまりにも高価で手が出ない。ならば作ってしまえ。っちゅうわけで、頭の中にあるものを、とりあえずダンボール紙で形にしてみた。リフターそのものは、大昔に買ってあったものをバラし、むりやり押し込んである。現状不格好だが、様子見ということでご容赦を。

 このようなホルダーを、金属板で作れれば何とかなりそうな感じだ。もちろん、アームとリフターの高さ関係はよく考えねばならない。加えて、金属板の厚みとアーム高さ調整範囲との関係も無視できない。可能な限り薄く作れれば、と言って薄すぎるとヘナヘナでダメだし。

 ホルダーとリフターユニット、アーム本体との固定方法はどーする。穴に割りを入れ、水平方向からネジで締めるか。厚み分を超えない穴を側面に開けタップを切り、イモネジで固定するか。いずれにしても薄く作りたいこととは相反する。簡単なようでなかなか難物なのである。

 プレーヤーが完成してから、もう一度熟考したほうが良さそうだな。

’13/04/13 (土)

♂ vs ♂


 2011年から巣をかけ始めたイソヒヨドリ、今年も約束したかのようにやってきた。何だか嬉しい。

 今年はちょっと珍しい光景を見ることができた。♂2羽が飛来し、1羽の♀をめぐって母屋の屋根で求愛合戦をやっている。写真はその最中である。♂同士が1.5m〜2mくらいの距離でにらみ合い、はげしく囀りながら羽毛を逆立て、互いを排除しようとする。体をより大きく見せた方の勝ち、なンだろうな。

 面白いからしばらく観察する。このあと、2羽ともさらに膨れ上がりボールのようになりながらギリギリまで接近、取っ組み合い突付き合いの大喧嘩になる、かと思ったら、さに非ず。膨れたり羽を拡げたり、踊りのような動きを見せつけ合ったり、付かず離れず。合戦とは言え、実に平和的である。

 そんなことが小1時間、最後は左に見える♂が屋根から飛び去っていった。彼は遺伝子継承レースに、敗北したのである。残念。勝ったほうも負けたほうも、実に涙ぐましい努力をしているのだ。これくらいのことをやらんと、良き伴侶は得られない。ニンゲンの婚活も、同じなのではないか。草食系男子、なんてゆってるバヤイではないのだ。

 この間♀は写真の右フレーム外、鬼瓦の先っちょにとまって高みの見物。落ち着いたものである。どっちでもいいケド、大きくて強いほうよ、私が好きなのは。彼女には、より強くより大きい後継者を遺さねばならない、本能的義務があるのだ。めでたくペアリング成ったツガイは今、せっせと巣作り中である。もうすぐ卵も生まれるのであろう。

 男がヘナヘナしていたのでは、遺憾のだ。

’13/04/12 (金)

割れた引磬


 我が業務用の道具である。引磬(いんきん)と言います。野外(墓前など)で読経するバヤイに使う、いわゆる「チーン」ってヤツだ。名前に「引」の字が見えるとおり、本来は法要などに於いて僧侶に参堂の時刻を知らせたり、引率したりするためのものである。

 カップ状の本体は、真鍮の鋳物でできている。サイズは各種あり、直径で3cm〜15cm程度まで。もっと小さなもの大きなものもあるかもしれない。僕の常用は約10cm、これくらいが最も一般的だろうと思う。写真のものは柄がウルシ塗りに座ブトンが2枚重ね、かなり上等なタイプである。ギョーカイでは「極上品」などと言ったりします。

 先日、永い間使ってきた愛用の引磬が、法要の最中に突然鳴らなくなった。叩いても「チーン」と尾を引かず、「キンッ」とダンプされたような音しか出ない。法要的には、ヒジョーに困るのであった。

 見た目には全く問題ないのに、どーしたことか。何のことはない、割れたのである。外観にはまったく問題ないように見えて、内部でヒビ割れているのだ。何年使ったか、随分ぶっ叩いてきたから、おそらくは金属疲労による自然破壊だと思う。

 アームボードの銅板と真鍮板、重ねれば本当に鳴きが抑えられるのか。そのヒントが、割れた引磬にあるような気がする。完全一体化しているときには「チーン」とよく鳴り、目に見えないヒビが入った途端、忽ち鳴らなくなる。極めて微細なスキマが互いをダンプしている、のではないかな。

 今回の30mm厚アームボード。銅板1枚もの、或いは真鍮1枚ものにするよりは、同種金属でも厚みを変えた2枚を重ねて使う。さらに徹底し、種類も変えて重ねる。もし引磬でこんなことやったら、ゼンゼン鳴らない困ったヤツが出来てしまいそうな気がするするンだが。

 よく鳴るようにするのも、その逆も、なかなかにムツカシイのである。

’13/04/11 (木)

65点


 ADプレーヤー1号機にも、フェルトをアップリケしてみたの図。こちらには特段に傷があるわけではないのだが、実働しているプレーヤーではどんなグワイになるのか確かめたかったのである。ヘンなふうになったら剥せばよい、と。

 こうしてみると、さほど不格好でもないように見える。少なくとも僕の目には。円形のセーム革をテキトーに敷いているよりは、スマートではないかな。欲目かもしれないが。

 とは言え色目はやっぱりビミョーである。どうも緑色は遺憾。臙脂色、或いは沈んだ茶色系統などのほうが、厚みと深みが出るような気がする。無難なのは黒だが、個人的には面白味がなくて好きになれない。

 スタビライザーの置き心地は、大変ケッコウである。セーム革よりもスリップが少なく、転げ落ちそうな危機感がないのである。傷も付きにくそうだ。実用的には成功、かな。

 65点。

’13/04/10 (水)

桜散る春の日


 4日の満開からほぼ1週間、桜が散り始めている。先日、ヒジョーに激しい春の嵐が吹き荒れたわりには、よく持ったほうだと思う。気温がそんなに高くなかったからかな。

 花が舞い散る樹の下に立っていると、何とも言いようのない気持ちになるのだった。ああ、僕はこの国に生まれてよかった。毎年々々、ごく身近に斯くも美しく懐かしい風景を見ることができるのだ。

 心から慈しまねばと、思う春の日。

’13/04/09 (火)

加工のグワイ


 20mm厚銅板に施す加工を示した図面である。「図面」とはおこがましい。製図の正しい書式もまとも知らないドシロウトが、方眼紙を使って書いたいい加減なもの。「このようなグワイ」とだけ、お分かりいただければ幸いである。

 重ね合わせる順序は、銅板が上、真鍮板が下になる。確固たる根拠があってそう決めた、のではない。銅の色が好きだから。いつも見えているのは、銅板であって欲しいのだ。

 右側にある大きいほうの穴(φ42)は、WE-506/30のアームベースが取り付くところ。その左側の穴(φ10)には、アームレストベースが付く。本体とは別仕立てになっているのである。アームリフターは付属していないから、欲しいなら何とかしなきゃ遺憾。

 まったくの余談だが、かつてこのアームにはオプションパーツとして、アームエレベーターユニットが用意されていた。ご存知の方もいらっしゃるだろう。「EV-506」という。発売当時の定価は確か、20,000円ではなかったかな。これが時々オークションに出て、モノスゴイ値になるのだ。ヘタするとアーム本体より高価である。僕は持っていないけれども、とてもじゃないが手が出ない。持っていれば、転がせますぜ。

 そんなことはどーでもヨロシイ。

 銅板の周囲にある6個の小穴。これは下に重ねる真鍮板をネジ止めするためのものだ。銅板にはφ8のバカ穴、真鍮板の側にM6のタップを立てる。

 2枚の板をネジで固定するが良いか、固定せず重ねるだけが良いか。これは何とも言えない。とりあえずネジ固定できるような準備さえしておけば、容易に両者を試せるのである。2枚をネジ止めして設置、あとでネジだけ取り去ってしまえばよいのだから。さらに、ネジの本数や締めグワイを変える、などで音をコントロールできる、かも知れない。

 と、いうのは僕の希望的観測。これだけの厚さになれば、銅+真鍮であろうが固定しようがしまいが鳴きが治まらず、とんでもなくクセの強い音になってしまう可能性は高い。ヤッパリ鉛にしておけばよかった、と。

 ナニ、失敗したって命に別状はない。ともかく僕は、やってみたいのである。

’13/04/08 (月)

浅墓


 写真は450×187×20mmのタフピッチ銅板である。アームボードに具するべく、材料屋さんに注文してあったものが届いた。

 銅の比重は常温(20℃)で8.96だから、このサイズなら計算値で15079.68g、約15kgになるわけだ。体重計で量ってみたら、やっぱり15kgだった。あたりまえなんだな。持ち運んでみれば数字で見る以上に重く、設置には苦労するだろうと、嬉しいような怖いような。

 しかも、これ1枚では済まないのだ。さらに同サイズ10mm厚真鍮板を重ねる予定。計30mm厚、モーターが付く板との段差がきれいに埋まり、加えて異種金属の併せ技で鳴きを抑えようという狙い。計画はたいへんケッコウだが、真鍮板の重量は計算値で約7.1kg。ボードだけで22kgになる勘定。扱いに困ること必定である。

 この重さになるとキャビネットへ設置する際、板の姿なりでは極めて危険である。指を挟んで血豆を作るか、悪くすればもっと大きなケガをするかもしれない。それどころか、まったく設置できず途方に暮れる可能性もあるのだ。こらエラいこっちゃ。

 自分で考えておいて、今さらのように気付くンだから仕様がないのである。深い思慮なしに勢いだけで突っ走ると、斯様な有様になるのだ。これを一般的に「浅墓」という。何か対策を考えねば遺憾。

 さあ、どうしようか知らん。

’13/04/07 (日)

家庭科の時間


 傷の上には粘着シート付きのフェルトを貼ってやった。このルックスを良しとするかどうかは、大いにイケンの分かれるところだろう。いささかビミョーであると、やった本人も思っている。特に、色が良くないような気がする。残念ながら、手持ちにこの色しかなかったのだ。少なくとも傷だらけ丸出しよりは、いい。かな。

 出来てしまえば何でもないこと、のように見えて、実は結構手間がかかっている。採寸してフェルトに書き付け、切り抜いて貼り付ければ出来上がり、っちゅうわけには行かなかった。採寸そのものが難しいのである。特に、プラッタがはまる部分のR寸法。これを正確に測り採るのは至難の業だ。

 こーゆーバヤイは、最も原始的な方法がよい。現物合せである。と言っても、大まかにフェルトを貼っておいて余分を切り取る方法は、新たに傷を付けてしまうおそれがあるからNG。できれば形状をきっちり決めてから貼りたいのである。

 トレーシングペーパーで貼りたい部分の形を写し取り、それを元にボール紙で型紙を作る。型紙に沿ってフェルトを切り抜き、貼り付ける。少々面倒だったけれども、思っていたよりは上手くできたと思う。

 作業しながら、何だか懐かしい気持ちになった。これと似たことを大昔、小学生時代の家庭科授業でやったような。あれ、なんて言ったかな。型紙でフェルトを切り抜き生地に縫い付ける。ええとですねえ。

 思い出した。アップリケだ。何が役に立つか、わかりません。

’13/04/06 (土)

勿体無いなあ


 ADプレーヤー3号機に使おうとしているSP-10MkIIIは、純然たる中古品である。元箱は言うに及ばず、付属品類も一切ない。センターロックナットの専用レンチ、プラッタ着脱専用ハンドルすらなく、まさに本体のみ。ある意味潔いのである。

 前オーナーさんは「専用着脱工具がないから、プラッタを装着したままでしか送れない」と、恐ろしいことを言う。ちょっと工夫をすれば専用工具がなくても外せますよと、言いそうになってすぐに思い直した。ヘタに手を出してセンタースピンドルがヒン曲がったら一巻の終り。その可能性は極めて高いのである。

 さりながら、10kg以上あるプラッタが着いたまま送られるのは、同様の理由でどうしても避けたい。輸送時には外さねばならんことに、なっているのだ。プラッタ重量2.6kgのSP-10MkIIですら、そうなっている。さあどーするか。

 これはもう直接引き取りに行くしかない。そう決心し、手持ちにある専用工具を携え、自分でプラッタを外し車に積んで持って帰ってきた。発送元が関西圏だったのは幸い。しかし、知らされていた送料よりもずいぶんと高くついてしまった。まあ、キケンを顧ず強引に送ってもらってグワイが悪くなることを思えば、吉とすべし。

 幸い動作には問題がなく、暴走もせずちゃんと動いている。ブレーキにスリップが少ないのは立派なものである。但し、メンテナンス履歴はないと聞いているから、どこまで持つかは保証の限りに非ず。このモデルの弱点である電源ユニットは、いつぶっ壊れるかワカラン。もちろんそれも承知の上。格安だったから仕方ないのである。

 外観にはいささか問題あり。アルミ製トップパネルは傷だらけである。特に目立つのは写真の部分、左上隅である。ご覧の通り、同心円状の深い傷が無数に付き、表面がザラザラになっている。何に由来するものかは、見た瞬間すぐにわかった。

 スタビライザーによるものである。僕も普段はここに置いているから、よーく分るのだ。保護シートの類も敷かず、しかもハンドリングが乱暴だったのだろう。かなりの勢いで「ゴスッ」と置かないと、ここまで深い傷は付かないはずだ。スタビライザーのほうも傷んだのではないかな。音には関係ない、とは言え、個人的にはちょっと勿体無いと思うし、何より不本意である。ハレものに触るが如くせよ、とまでは言わないけれど、もう少し丁寧に扱ってもヨイんじゃなかろうか。

 僕は傷つきを嫌ってセーム革の敷物を使い、スタビライザーを置いている。今後はこの個体でもそのようにすればよい。うむ。何だかイマイチ芸がないな。ちょっとだけ工夫してみよう。

 付いた傷は、隠してしまえ、と。

’13/04/05 (金)

次世代へ向けて


 今日は歳時記で。

 今年は全国的に桜の開花が早く、庭の桜も3月30日に咲き始めた。昨年に比べて12日も早い開花である。日誌を書き始めてからは2番目(1番目は2004年の3月29日)の早さで、今日(4日)になって満開を迎えた。

 ただ、樹の衰弱は年々進み、ご覧の通り花付きはかなりまばらである。歳のわりにはよくがんばっているものの、有体に言えば枯死寸前、といった感じだ。

 春の花が間近で見られなくなるのは、如何にも寂しい。何らかの対策を立てねばならん、というわけで、今年から次世代の樹を植えることにした。その筋に詳しい人から助言を求めながら、今度はソメイヨシノよりも寿命の永い枝垂桜を植樹しようと考えている。

 その樹が大きくなる頃には、僕はもういないだろうけれども。

’13/04/04 (木)

汎用性


 ADプレーヤー3号機の話題に戻します。

 今回のプレーヤーに載せる予定のアームは、SAEC WE-506/30である。イヤ、そのアームを使うために新しくプレーヤーを作る、と言ったほうが正確かな。メンテナンスから帰ってきてちょうど2年、ようやくにして働く場を用意できるわけだ。ウシの歩みである。

 写真はキャビネットを構成する、上から2枚目の板の図面である。この板の左2/3部分の上にもう一枚、30mm厚の板が付き、その上にモーターが乗っかる形。30mmの段差がついた右3/1部分に、予定では30mm厚のアームボードが乗っかるわけだ。右側の不規則な形の切り抜きは、アームボード下側への出っ張りがはまり込む部分である。

 特定のアーム1本にのみ対応させるのならば、取り付け位置は一点に絞られる。モーターの位置が決まれば、アーム有効長によって自動的に決まってしまうわけだ。したがって、切抜きの形は円形、少し余裕を見るなら長円形でもよい。実際、長岡先生のオリジナル設計ではそうなっている。

 設計を始めた段階では、使用アームをWE-506/30に限定して対応させるつもりでいた。しかし、である。将来、別のアームを使いたくなったとしたら。そーゆーことは絶対にない、とは言えないのだ。キャビネット完成後に切り抜きの形を変える(拡げる)のは、極めて困難である。ならば最初から汎用性を持たせておこうと、上のようなグワイになったわけである。

 対象としたアームはWE-506/30、WE-407/23、EPA-100MkIIの3機種である。ベースの形状や取り付け方法にもよるが、有効長が221mm〜286mmの範囲に入るアームなら、他にも適合するものがあると思う。EPA-100やSME3009、3012シリーズもイケる、かもしれない。持ってないケド。アームボードの交換のみで、複数のアームに対応させようという狙いである。

 汎用性が高まるメリットと引き換えに、デメリットも発生する。アームボード下のデッドスペース(空洞)容積が大きくなってしまうのである。致命的欠陥、にはならないものの、あまり良いことでもない。構造上、現用1号機にもこの空洞はあって、吸音材を詰めて対策している。これだけで随分音が変るのである。3号機にも同様の、或いはさらに徹底した対策を打つ必要が出てくるだろう。

 まずまず、すべては出来上がってからの、お楽しみ。

’13/04/03 (水)

レーベル違いながらも


 ソフトの話題に偏っている、と言いながら、ちょっと嬉しいレコードが手に入ったからその話題を。

 いくら探しても見つからない、とボヤいていたA級盤タイトルが一つ、ようやく入手できたのである。「Philharmonia schrammeln Concert」。第2集103番収録。海外オークションでの落札履歴や、ショップでの販売実績などでは、かなりの値になっているタイトルだったから、発見した時にはかなり構えたけれども、実際にはわりと常識的な値段で買えた。3,000円くらい。まずまず吉。

 但し、長岡先生紹介盤とは、レーベル違いである。ジャケットの色、デザインはほぼ同じで、パッと見にはほとんど見分けがつかない。よーく見ると紹介盤にはない文字表記があったり、曲目記述の改行が違っていたりする。

 紹介盤は、オーストリアALPHA MUSIC 198 701。この盤は同じオーストリアで盤で「Das Osterreichische Credit - Institut 120 457」となっている。寡聞にして不知、初めて聞くレーベル名である。ジャケットにも盤にも、どこにも「ALPHA MUSIC」の表記は見当たらない。センターレーベルの色はご覧の通り黄色で、これもALPHA MUSICのレコードに共通するデザインとはまったく違う。

 ゲートフォールド(見開き)ジャケットである。内側にはシュランメルン音楽の来歴、演奏者などについての詳しい解説が書いてあるけれども、オーストリアドイツ語(上部ドイツ語の方言)記述だからぜんぜんワカラン。録音データについては不明。演奏者、曲目、曲順などは、紹介盤と同一である、らしい。

 おそらくはALPHA MUSIC盤とおなじマスターからのプレス、だと思う。ただ、ALPHA MUSICの盤はスイスプレスであるのが常だが、この盤はオーストリアプレスである。その点だけでも音に違いが出ると考えるのが自然であろう。

 とは言え、この盤の音も極めて優秀である。これまでに入手したALPHA MUSICからリリースされているシュランメルン音楽のレコード(198 704、198 706)よりもずっといい。前2タイトルは、確かに切れが良く鮮明、透明感の高い音であったけれども、それに加えて独特の艶と輝き、さらに厚みがある。さすがA級盤、一味違う感じだ。

 こうなったらなおのこと、ALPHA MUSIC盤を探さずばなるまい。

’13/04/02 (火)

取り付け法に一工夫


 上の写真は、SP-10MkIIIの裏側である。キャビネットに取り付けるためのネジ穴が五つある。通常はこのような状態の上にキャビを裏返しに乗せ、底面からネジで固定し取付を完了するわけだ。

 新品セットにはM5×45mm、M5×65mmがそれぞれ5本ずつ付属している。約40mm〜60mm厚程度のキャビならこの付属ネジで対応できることになるわけだ。それ以上の厚みになると、オーバーした厚み分だけネジ穴にザグリを入れるか、或いは長手のネジを自分で用意するかのどちらかになる。

 今回のキャビの厚みは165mm、付属のネジでは到底対応できない。深いザグリを入れれば使えるけれども、ネジの頭が穴の奥に引っ込んでしまい、実にグワイが悪いのである。昔ムカシ、このような使い方をしたことがあって、ネジを締めるにも緩めるにも往生した経験があるのだ。

 使い勝手を考えれば、長手のネジを用意するのがベターである。底板1枚分(27mm)だけはザグっておかないとネジ頭が出っ張ってグワイが悪い。とすると、ネジ込み分を見て最低でも150mm程度の長手ネジが必要。そんなに長いM5ネジがあるのか知らん。

 ヒッシで探せばたぶんあるのだろうと思う。ないかな。しかし、仮令長さが適合したとして、通常のネジ(ボルト)を使う限りにおいては、モーターを裏返しキャビを乗せ、また裏返してセッティングする、という作業から解放されない。できれば避けたい作業なのである。バーチ100%合板製165mm厚キャビが、50過ぎのおっさんにヒョイヒョイ持ち上げられるほど軽いとは、とても思えないからだ。

 そこで一工夫。「全長指定全ネジ」なるものを探し出してきた。両端にネジを切った金属棒である。直径、全長、ネジ切り分の長さを指定して注文できるという、実に便利なパーツだ。写真はこれをネジ込んでみたところ。根元はナットで固定してある。

 こうしておいて、突き出た全ネジをキャビ上面から穴に挿し込み、キャビを裏返すことなく底面から締め込もうという狙いである。底面からの締め込みはブラインドタッチになる。通常のナットでは困難な作業になるだろうと踏み、蝶ナットと長ナット(20mm長)の両方を用意した。蝶ナットでは固定に不安が残るかもしれない。死に物狂いのチカラで締めねば安心できない、のならば、長ナットをメガネレンチで締めればよいのだ。

 などと、自分に都合よくシミュレーションしている。しかし、こればかりは実際にやってみないと何とも言えないのである。ナニ、しくじったならばまた考えればよい。

 それもまた、楽しみの一つなのだ。

’13/04/01 (月)

再々スタート


 長い人生のうちにはいろんなことがあるもので、このひとつきの出来事にはまったくヘコんでしまった。実は現在もヘコみ中、とも言えるわけだが、さりとてずっとそのままでいることもできないのである。

 ここは一つ永年の課題でもあったwebサイト移動を実行し、気分も新たに再出発しようと思う。当面は、ごく親しい方にだけ新しいURLをお知らせし、広く公開しない形で進めて行きたい。身内の楽屋落ち、には決してしたくないのだけれども、まあ、いろいろあるわけです。

 さて、オーディオである。ここ2年間ほどは、専らA級盤集めに血の道を上げてきた。ハードに大きな変更がなかった所為もあるわけで、しかし日誌の話題に偏りが大きかったとも言える。そこで、今回の再スタートにあたっては、まずハード新調の話題から始めたい。

 写真は往年の名機、Technics SP-10MkIIIである。言わずと知れた超強力DDフォノモーターだ。ADプレーヤー1号に使っているものとは別のスペア機である。これを使い、やるぞやるぞと言いながらちっとも進まなかったADプレーヤー3号機の製作を開始する。

 基本的には1号機と同様、stereo誌1987年9月号に発表された長岡式最終型発展形で行く。1号機のキャビネットは、28mm厚メイプル集成材6枚重ねで総厚168mm。ベニヤ合板に比べれば豪華な材である。今回は、おそらく最後のプレーヤーになるだろうということで、もうちょっと贅沢をする。僕が厚く信頼して止まない山越木工房さんで、100%バーチ合板を積層したキャビを作ってもらおうというわけである。

 積層枚数は同じく6枚、だが、下から5枚目までは27mm厚、一番上の板(モーターユニットが乗っかる板)だけ30mm厚。27×5=135mm+30mmで、総厚165mmになる。1枚目と2枚目の板に30mmの段差を取り、そこにアームボードを置く形になるわけだ。

 長岡式オリジナルではアームボードに鉛を使ってある。これはヒジョーによく考えられていて、音も良い。けれどもデメリットもある。寸法精度、平面精度が良くないのである。この点を改善すべく、今回はちょっと工夫をしてみたい。

 この話題、しばらく続きます。