箱船航海日誌 2012年11月

日々雑感、出来事などを思いつきに任せて綴っていこう

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’12/11/25 (日)

晩秋の憂鬱


 15日に載せた小学校のイチョウも、ウチの庭の桜も、この10日間ほどですっかり冬枯れになってしまった。山の木々にはまだ葉が付いているけれども、ご覧の通り紅葉も見頃を過ぎた感じである。全山冬枯れ状態になるのも、もう時間の問題だ。

 今日は久しぶりの大快晴で、夕方まで雲一つない絶好天であった。一冬ずっとこんなグワイならどんなに良いだろうと、思うがそーは行かない。明日は季節に似合わぬヌルい雨が降るという。そのあとは当地方のお約束、強い冬型気圧配置が待っているのだ。

 冬を無事に越せるのだろうかと、毎年思うこの季節。

’12/11/24 (土)

反転


 「MVSICA IVCVNDA」(スペインHISPAVOX HHS10-459)である。仏ERATO「L'EUROPE JOYEUSE(陽気なヨーロッパ)」(STU 71098)の原盤として名の知れたレコードだが、実はちょっと妙な点が、あるのだった。

 ERATO盤から見て、左右のチャンネルが反転しているのである。HISPAVOX盤を原盤とするならば、正しくはERATO盤が反転している、と言うべきかもしれない。尤も、このことは僕の大発見でも何でもなくて、マニアの間では既知の事実である。

 僕は同内容のレコードを、HISPAVOX、Melodia、ERATO、ERATO Fiori Musicali、4つのレーベルバージョンを持っている。これらをすべて聴いてみると、前二者はLRが揃っていて、後二者は反転している。つまり、ERATOがリリースしたものは逆になっているわけだ。

 ナンデこーなったか、一介のエンドユーザーには知る由もない。加えて、どちらが正しいのかも、不明である。さらに言えば、仮令オリジナルマスターテープを聴けたとしても、録音現場における楽器の左右配置が正しく録音されたかどうか、今となっては分らないのである。ともかく、いつかどこかで誰かがRLを逆に接続した、ということだけは、分る。意図してか、或いはせずしてか。

 このような例は殊更に珍しいことではなくて、他にも同様のレコードを幾つか持っている。どちらかと言えばにロックに多いようだ。ADからCD化された時に逆となったものもある。

 わからんことはわからんまま放置するが吉。ただ、同内容で左右が反転していると、聴いていて違和感があるのは確かである。できれば揃えておいて欲しかったなあ。

 いい加減してます。

’12/11/19 (月)

二匹目のドジョウ


 英PRO-ARTE盤「TANGOS !」の優秀さに味を占め、得意のスケベな行動に出る。外盤A級セレクション第2集143番「SERENATA / I SALONISITI SPIELEN SALON MUSIK」(独harmonia mundi 1C 067 1999951)の、PRO-ARTE盤である。

 「SERENATA / I SALONISTI PLAY MUSIC OF THE GRAND SALON」(英PRO-ARTE PAD-133)。これもまたレーベル違い同内容のレコードである。ジャケットのイラストはまったく違うけれども、アールヌーボー調のデザインであることは共通している。

 「TANGOS !」と同じショップで見つけていて、最初は2枚とも買おうとした。しかしハズレだったらクヤシイ。ので、ともかく1枚だけにしておいて、それが当りだったらもう1枚と、セコいことを考えていたのである。

 結果的にはそれが良かった。というのも、ショップのニュー・カスタマー・サービスで、2回目の注文に限り大幅な割引が利いたのである。元々安いレコードだけに、ほとんど送料のみで買えてしまった。得しちゃったなあ。

 二匹目のドジョウ、獲得なるか。

’12/11/18 (日)

大当り


 ようやくにしてレコパックもどきを作れて、PRO-ARTEレーベル「TANGOS !」の試聴ができた。こうして独HM盤(左)と並べてみれば、やはり中央のイラストはまったく同じものである。しかし全体のデザインには、それぞれのお国柄が出ているようでもある。

 まずは独HM盤から聴いた。すばらしく良い音である。透明感抜群、極めて鮮明。歪み感極少。特にバンドネオンがいい。小うるさい理屈抜きに思わず「エエ音やなー、オーディオファンならこーゆーのを聴かんと遺憾」と呟いてしまうのだった。

 そこでPRO-ARTE盤である。これがまた素晴らしい。独盤に比べてカッティングレベルが高い。カッティング幅の広さは、その所為だったのだ。S/Nの点でかなり有利、実際にも明らかに独盤より静かである。音そのものはさらに透明、加えて力感に勝っている。細かな音の再現性が高く、音場感も一段と良い。

 純粋に音だけで選ぶならば、PRO-ARTE盤だと、僕は思う。しかし長岡ファンとしては、やはり紹介盤が欲しくなるのが人情。要するに、両方持っておくのがシアワセ、なのである。

 どちらも比較的容易に見つけることができるし、価格も常識的である。サウンドマニアはもちろん、音楽ファン(特にタンゴファン)も大いに楽しめるレコードだと思う。

 個人的には「ジェラシー」が入ってないのが、残念。

’12/11/17 (土)

これは聴きます


 上のタイトルも、ECMレーベル設立40周年記念限定盤のうちの1枚として、HMVのカタログにあるLPレコードである。「Werner Pirchner / EU」(独ECM 1314/15 829 463-1)。2枚組。(P)1986。写真は1990年1月、昨日のレコードと一緒に買ったものである。

 このレコードの内容も、ちょっと不思議な音楽だ。ジャズのような、クラシックのような、現代音楽のような。だが、メレディス・モンクよりもずっとちゃんとした(失敬!)音楽である。そもそもタイトルからしてよーわからん。「EU」って、正確にはどう読むンだろう。単純に「イー・ユー」か、ドイツのレコードだから「エー・ウー」か、はたまた「エウ」か。

 個人的には大好きで、比較的よく聴いている。モンクさんのとは大違い。特にDISC 2のB面「KLEINE MESSE UM "C" FUR DEN LIEBEN GOTT」と「SOLO SONATA FOR BASS-VIBES」がいい。

 前者は神々しいオルガン曲で、音色、響きとも実に美しい。後者は珍しいバス・ヴァイブ(低音方向へ音域を拡大した鉄琴?)曲である。こちらはクラシックというよりも、ジャズに近い感じ。音には独特の深みと静謐感があり、心の底に染み入るような曲だ。

 限定盤の音は、どんなものか。

’12/11/16 (金)

聴かないクセに


 メレディス・モンクの音楽、これをどのように表現すればよいのだろうか。アヴァンギャルドでもあり、フリージャズのようでもあり、タダの叫び声でもあり、はたまた独り善がりの呟き、とも言える。一般的な水準からしてかなり如何物食いの僕ですら、ドン引きするような曲(と言ってよいのかどうか)も多い。

 しかし録音は素晴らしい。だからこうして持っている。「Meredith Monk / DO YOU BE」(独ECM 1336 831 782-1)。(P)1987。買ったのは1990年1月だから、当時としては新譜に近いタイトルだったわけだ。この頃のECMは、新譜をAD / CDで並売していたのである。

 もう20年以上経つわけで、しかしその間何度聴いただろうか。おそらく1回か2回、どう考えても5回は聴いていないと思う。どうにもバチが当りそうなお話なのだ。

 それほど聴かないレコードを、HMV ONLINEで発見。もちろんピカピカの新盤である。ナンデ今ごろこれの新盤が、しかもHMVにあるのだ。不思議に思い商品説明をよく読んでみれば、「ECM 40th ANNIVERSARY EDITION ( Limited )」とある。

 ECMレーベルの設立は1969年だから、2008年か2009年の発売ではないかと思う。僕は今日までゼンゼン知りませんでした。Limited、つまり限定盤っちゅうことなのだろう。カタログ上では購入可能になっているけれども、ほんとにまだ買えるのかな。

 興味本意で注文してしまった。聴かないクセに。

’12/11/15 (木)

冬の始まり


 14日はとても寒い日になった。マトモに冬型気圧配置である。予報通り午後からは荒れ模様になり、北風ぴゅーぴゅー雷鳴って雹も降った。秋が終わり冬が始まったのである。

 小学校のイチョウは今年もご覧の通り、美しく黄葉している。まだホンの少し緑色が残っていて、グラデーションがとてもきれいだ。お天気が良くないのは残念、晴れていればもっと輝くンだケドなあ。

 これからの4ヶ月間、こんな天候が続くのである。

’12/11/14 (水)

困りました


 友達が持ってきたパッケージソフトをもう1枚。「BLUESY MAYA in Hi-Fi」(日 寺島レコード TYLP-1029)。(P)2012の新譜LPレコードである。

 ジャズ業界では夙に有名、オーディオ業界でもヒジョーに有名な寺島靖国氏がプロデュースする「寺島レコード」からのタイトルである。録音にはオーディオ評論家の林正儀氏が深く関っていて、音にはかなりこだわった録音のようだ。

 女性ボーカル、特にジャズとなると、僕にとっては大変ニガテなジャンルである。ほとんど聴きません。従って、このミュージシャンについては何も知らない。これを持ってきた友達は、愛聴盤の9割方が女性ウタモノという、良く言えば筋の通った、悪く言えば極めて偏った嗜好を持っている。

 盤そのものは、ごく普通のものである。よくある180g盤でも200g盤でもない。おそらくここにも深い考えがあってのことだろうと思う。必ずしも重量盤有利とは、言えないのだ。

 個人的にはニガテながら、友達のリクエストにより試聴した。あくまでも僕の好みにおいてのこととお断りして言う。あまりピンと来ませんでした。一聴して、レンジが狭く感じられる。中域はわりとしっかりしているけれども、ローハイの伸びが足りない。マルチマイク録音であって、しかもセッティングが音源の直近であるらしく、力はあるが少々キツい。特にシンバルは壮絶で、耳の真横で鳴っているように聴こえる。

 友達は「おまえのシステムは音がキツイ」と言った。確かにその通り。ただ、ウチの装置だからそうなるのか、そーゆー録音なのかは、意見の分かれるところではないかと、僕は思うが友達は「装置と使い方の所為だ」と言う。俺のシステムではこうはならん、もっとしなやかだし音場感も出る、というわけだ。

 この辺りのことを深く追求し始めると明日の朝になってしまうし、ヘタすれば掴み合いの喧嘩になる可能性もある。ので、「だからオーディオは面白いのだ」などとアホほど陳腐なことをゆってその場を収めておいた。おっさんの対応である。別の言い方をすれば、もうメンドクサイのだ。

 はっきり言って、僕はダメです、このレコード。

’12/11/13 (火)

CGCD


 どことなくタダモノではないような雰囲気をカモシ出している、CDである。「Dvorak / FROM THE NEW WORLD / VACLAV NEUMANN / CZECH PHILHARMONIC ORCHESTRA」(日MMP MMPG-10002)。なんとこのCD、1枚50,000円です。

 残念ながら僕のものではありません。久しぶりに遊びに来た友達が持ってきたものである。オーディオマニアの間で話題(なのだろうと思う)の、クリスタルガラスCDなのだ。

 一般的なCDのディスク基材であるポリカーボネートを、光学用クリスタルガラスに置き換えたCDである。流石に信号(ピット)面までガラス、というわけには行かず、ガラス基材表面に液体紫外線硬化樹脂を塗布(正確には『注入』)し、スタンパーからピットを転写している。この辺りの詳しいノウハウは、企業秘密だそうだ。反射金属膜は、純金である。

 持ってみると非常に重い。正確な目方を量るのを忘れたが、優に通常CDの3倍、或いはそれ以上ありそうだった。優秀な光学特性、極少の経年劣化、液体紫外線硬化樹脂による高精度なピット形成、などのファクターで超高音質を実現するCD、ということだが、この目方だけでもかなり有利なンじゃないか。などと、下品なことを考えてしまった。この盤重量の所為で、プレーヤーによってはローディングに支障が出るバヤイもあるという。

 音源は日本コロムビアのMS/20ビット・ディジタル録音である。とてもよい音だった。が、クリスタルガラスCDだから良いのか、元々の録音が良いからなのか、イマイチ分らない。難癖を付けるつもりは毛頭ないけれども、違いを正しく知るには、基材以外の条件をすべて同じくしたものを比較試聴しないと遺憾のではないかと、思う。現実的には不可能である。

 クリスタルガラスCDは現在、30タイトル程度のリリースがあるようだ。その中には、フツーのCDを持っているものあるから、是非とも聴いてみたい。とは思えども。

 なにしろ1枚50,000円だからなあ。

’12/11/12 (月)

TANGOS !


 先月21日の話題に具したレコードである。届いて既に久しいけれども、未だ聴けていない。

 「TANGOS ! / I SALONISTI / MUSIC OF THE GRAND SALON 」(英PRO-ARTE PAD-190)。やはり外盤A級セレクション第2集144番「TANGOS ARGENTINOS」と同一内容であった。プロデューサー、レコーディングエンジニアの名前、録音場所、日時も一致している。

 ジャケット裏のクレジットに「Released by Arrangement with Deutsche Harmonia Mundi」とあるから、独HM盤を原盤と見るべきか。同時発売だったら、どーなるのかな。

 プレスは両者とも独TELDEC(TELEFUNKEN-DECCA)、DMMである。但し、同じ版ではない。英盤のほうがカッティングに余裕を持たせてある。単純に考えれば米盤有利、となるわけだが、それだけで音が決まるものでもないから、何とも言えないのである。

 早く聴きたいと思えど、只今レコパック切れ。さっさと作らねば。

’12/11/11 (日)

波に乗れない

 18日間のご無沙汰でございました。多忙であったり、その疲れが出て風邪を惹いたり、イロイロあっての休載でありました。今年はどうも波に乗り切れないのである。

 そうしているうちに、季節はいよいよ冬である。雪こそ降ってはいないものの、空モヨウは完全に冬型だ。キツネのお嫁さんが隊列成して通ります。憂鬱、だが、これも季節感があってよい、のかな。

 聴きたいレコードが、少々溜まり気味。