箱船航海日誌 2012年09月

日々雑感、出来事などを思いつきに任せて綴っていこう

過去の日誌コンテンツ

’12/09/30 (日)

きっかり4年


 ヤママユガが、箱船にまたやってきた。前回は2008年9月30日だったから、まるで約束したかのように、きっかり4年ぶりである。言うまでもなく別個体だが、何だかとても不思議な感じ。

 2008年モノよりやや大きめで、色目は赤みを帯びている。図鑑やweb上の画像をみる限り、黄土色っぽいものが一般的なようだ。幼虫はブナ科の樹の葉を広く食べるというから、食嗜好や地域によって成虫の色目に相違が出るのかもしれない。

 ♂か♀かは触覚の形状で見分けがつくという。♂の触覚は木の葉のように幅が広く、とても立派である。♀のそれは幅が狭く筆の穂先のような形をしている。写真の個体は触覚を折りたたんでいて分りにくいが、ちょっと覗かせてもらったら♀だった。

 当地ではかなり珍しい蛾である。滅多にお目にかかれない。しかし、ところによってはとんでもない大発生を見るという。ウチは1匹だけだから風流なものだケド、こんなのがウジャウジャ飛び回っていたら、さぞキボチ悪いだろうな。ちょっと見てみたいような気も、する。

 次に会えるのは、また4年後になるのだろうか。

’12/09/29 (土)

幻のTVCM


 拙webページを閲覧くださっている方から、大変貴重で珍しく、しかも面白い動画をいただいた。上の写真はその冒頭部分である。

 大成建設のプレキャスト・コンクリート住宅「パルコン」、そのTVCMである。「長岡先生が出演されたパルコンのCMがある」と、風の噂に仄聞したことはあった。しかし確かなことは何も分らず、況してや実際の映像など見たこともなかった。そんなもん、ホンマにあるのんかいな、と。

 あったのである。これはビックリ。お送りいただいた方によると、1980年頃のものではないか、ということであった。「長岡鉄男のスーパーAV」を紐解けば、先生がパルコンで越谷に一戸建てを建設されたのは1972年の後半であるらしい。その直後の写真が同著書15項に載っている。それに比べてCM中の先生はやや歳を重ねていらっしゃるようだし、システムにも進化が見られる。したがって、1980年頃の映像という見立ては、ほぼ間違いないと思う。

 システムに向って座る先生の後姿で始まり、続いて正面顔のアップ。ちょっと照れくさそうだ。そこで先生一言。

 「音はねえ、ちょっとした、爆発のエネルギーに匹敵するぐらいの、エネルギーを出すんですね」「丈夫な部屋が好きなんですね」

 さらに、激しくモーションするスピーカーユニットとサンワのスペアナのアップが入り、再びキャメラが先生にぐーんと寄って、Rchスピーカー右の切り株(!)の上に置かれたバラの花びら一片がハラリと落ちる。

 外へ出て庭の池を眺める先生のロング。あろうことか、ハダシに黒鼻緒のゲタ履きである。錦鯉がアップになってナレーション。

 「オーディオの世界に生きる男が選んだ、コンクリート住宅・パルコン。大成建設です」

 以上でCMは終わる。全編30秒のCMである。

 誠にシツレイながら、僕はゲラゲラ大笑いしてしまいました。「丈夫な部屋が好きなんですね」って先生、そのまんまじゃないですか。おそらく全国版のCMに出演する「オーディオの世界に生きる男」が、素足ゲタ履きっちゅうのはどーゆーことですか。面白いなァもう、先生は。

 もう一つ、ヒジョーに気になったのはBGMである。琴と打楽器の現代曲で、おそらく先生推奨盤の中の何かだろうと推測される。思い当たるフシがないではないから、ちょっと探してみたい。もし、このCMをご覧になったことがあり、しかもBGMの正体をご存知の方があれば、是非ともご教示願いたいのである。

 たった30秒間のCMだが、詰まっている情報量は圧倒的である。さすが長岡先生。僕は大いに楽しませていただきました。

 damoさん、本当にありがとうございました。

’12/09/28 (金)

得しました


 クリーニングを完了した「CHARLES MOUTON / PIECES DE LUTH / HOPKINSON SMITH」(仏ASTREE AS52)を聴く。

 致命的ではなさそうに見えた傷の影響。これは予想通りであった。ほとんど問題にならない。A面の1曲目にチリチリしたノイズが目立つ程度で、後は概ねグッドである。ショップの自己評価は「G」だったが、これなら実質「VG+」くらいで通ると思う。

 ただ、わずかのキズもノイズも絶対に許せない、という人はいるわけで。そういった価値観からすれば、キズだらけノイズだらけの最低最悪レコード、という評価にもなり得るだろう。尤も、そのような人はハナっから中古盤なんか買わんか。

 録音は最高。実に良い音だ。音場感、音像、定位も自然でリアル。そこに演奏者がいてリュートを弾いている、という音である。そーゆーものをそーゆーふうに録音しているのだから当り前、だが、これがなかなか難しい。痩せぎすにならず厚みと艶、それに脂っこさがあり、まさにASTREEの独擅場である。お見事。

 キズモノバーゲンでこんなものを掴むと、馬鹿でスケベな僕としては2匹目3匹目のドジョウを狙わずに居られないのである。

 こんなことやってるから、痛い目にも遭うわけです。

’12/09/27 (木)

AS52


 仏ASTREEの激安盤を発見、思わず買ってしまいました。ちょっと気の利いたカフェで飲むコーヒー1杯分にも足りないほどの安さである。

 「CHARLES MOUTON / PIECES DE LUTH / HOPKINSON SMITH」(AS52)。(P)1980。これまで持っていなかったタイトルである。仏ASTREE、ホプキンソン・スミスのリュート独奏、となれば、録音にはまず間違いなかろう。という、極めて楽観的な予測の上で買ってみたわけだ。

 安いには安いだけの理由がある。まず、ジャケットにはご覧の通り、少なからざる日焼けが見える。マダラになってます。尤も、これは音に関係しないから、良しとしよう。問題は盤である。商品説明には「傷、サーフェイス・ノイズとも非常に多い」とあった。要するに、キズモノ大処分、みたいなお話なのである。

 届いた盤を実際に検分すると、説明に違わず傷が多い。ただ、目視する限りにおいては、致命的なものはなさそうに見える。きちんとクリーニングして聴けば、ノイズはかなり低減されるのではないか。そーなれば、超ハイCPである。これまた希望的観測なのだけれども。

 まずは、レコパックもどきでクリーニング。

’12/09/26 (水)

秋です


 昨日から今日にかけては、恒例お彼岸の出張オツトメであった。今年は例年よりも走行距離が長く、トリップメーターは600kmを超えていた。春に横浜を往復した時のちょうど半分くらいだけれども、やっぱり疲れました。

 これでお彼岸の行事は終了、境内の土手では彼岸花が咲いている。朝晩の気温は20℃を下回るようになって、いよいよホンマモンの秋が来たようだ。

 寒くなって、寂しい。

’12/09/25 (火)

聴けば大当り


 「ウィーンの居酒屋ダンス」(墺ALPHA MUSIC 198 706)を聴いた。結論から言えば、このレコードは大当りであった。

 (C)(P)1987だから、1986〜1987年頃の録音だと思う。今年1月26日の日誌に載せた「ORIGINAL - ORIGINELL」(同 198 704)と同系統の音で、さらに切れがよく鮮明。特に2丁のヴァイオリンは、極めて鋭く切れ込んで痛快至極、相当に強烈な音だが歪み感はない。

 704よりもわずかにライブな感じで、短いながらもホールエコーが聴き取れ、各楽器の位置関係も明確に出る。録音についての記述がなく、確かなことは分らないけれども、704よりは広めのスタジオで録音されたような感じ。或いは、マイクセッティングが違うのかもしれない。

 上記の如く鋭く鮮明、しかしうるさくならないヴァイオリンを、クラリネット、アコーディオン、ギターが脇から盛り立てる。これらがまた何とも良い味をカモシ出すのである。特にギターがいい。陰日向となって、ヴァイオリンをなお一層ひきたてている。

 音も然ることながら、曲が素晴らしい。親しみやすく、暖かみと懐かしさが一杯の曲ばかりだ。初めて聴くはずなのに、何故か懐かしい。僕はシュランメル音楽の大ファンになってしまいました。

 ALPHA MUSICからリリースされた他の2タイトル(198 701と198 705)、何としても聴きたいレコードである。A級盤だから、というよりは、純粋に好きな音楽として。

 検索は、難しいだろうなァ。

’12/09/24 (月)

カスっているが当らない


 11日の話題に具した正体不明のレコード、「PHILHARMONIA SCHRAMMELN / Wiener Heurigentanze」が23日午前中、届いた。送料は17ユーロと少しばかり高めだったが、本体はその1/3くらいだったから、まあよしとしよう。

 「ある種の期待」は、半分当り半分ハズレ、のような結果であった。リリースレーベルはA級盤第103番のレコードと同じ、墺ALPHA MUSICであった。この点についてはハズしていないわけだ。レコード番号は198 706、A級盤(198 701)とは5番違いである。肝心のところでは、カスっているが当らない。いつものパターンである。ただ、当らずと言えども遠からず、の感もある。

 写真はジャケット裏表紙である。同レーベルがリリースしたPHILHARMONIA SCHRAMMELNのレコードが3枚紹介されている。左に白く(ホンモノは黄色)みえるのが198 701、中央が198 704、右が198 705、となっている。

 これはとても貴重な資料になり得る。PHILHARMONIA SCHRAMMELNのレコードがALPHA MUSICから、少なくとも4タイトルリリースされていたことが判明しただけでも、僕にとっては大進歩なのだ。このような巡り合わせで、198 701も発見できればなあ。

 して、この「居酒屋ダンス」の録音は、どんなものだろうか。

’12/09/23 (日)

構造色


 当地では滅多に出会えない虫、ヤマトタマムシである。21日の午後、草刈作業中に草むらで見つけた。数は非常に少ないようだが、まったくいないわけでもなく、何年かに一度はこうして勇姿を見ることができる。

 それにしても見事な色と光沢である。死んだあとも褪色せず、だからこそ外翅が装飾に使われたりもする。しかし、何故に死後も色が褪せないのだろうか。大概は死んだら変色するのだが。

 彼らの体色は、色素によって発色しているのではなく、構造色という仕組みで色を発しているという。光の波長、或いはそれ以下の微細構造による発色現象で、CDやDVDの信号面、シャボン玉などが虹色に見えるのは、身近な例の一つである。

 CDが虹色に輝く仕組みは、おそらくよく知られていることだと思う。ディジタルデータを記録したピットの極微細なデコボコが、恰も回折格子のような効果をなし、あの色に見えるわけだ。

 タマムシのバヤイはちょっと違っている。極薄の膜を幾重にも重ねたような構造による光の干渉、これを「多層膜による干渉」というそうだ。タマムシの体は、キチン質(カニやエビの甲羅と同質)の極薄膜が何層にも重なってできた外骨格に包まれている。その結果、このような金属光沢色となるのだ。それ自体に色素があるわけではないから、死後も層構造が破壊されない限り色褪せないと、まあこんなグワイなのである。

 複眼の目と飛翔用の内翅以外、脚から触覚の先っちょまですべて金属光沢の鎧に被われている。徹底しているのである。掌に載せて空に翳したら、羽を開いて飛び去っていった。

 今度はいつ会えるかな。

’12/09/22 (土)

ゴージャス・サウンド


 今日は116年ぶりの9月22日秋分の日である。秋分=彼岸中日である。それが1日前へずれる、ということは、お彼岸の入りと出も1日ずつ前へずれるわけだ。どうもいつもと勝手が違う。ちゃんとリズムキープしてドラムを叩いていたつもりが、知らん間に1拍ずれていた、みたいな感じ。

 それはともかくとして、ヴェルレの最新録音CDである。ちょっと豪華な装丁の2枚組である。曲、演奏者、楽器について詳しく解説された14ページのブックレット付き。7ページ目にヴェルレさんの近影が載っている。さすがにお歳を取られました。1942年2月27日の生まれでいらっしゃるから、御歳70になられるわけだ。

 しかしこのCDでの演奏は、昔と少しも変わらずパワフルでエネルギッシュである。さらに円熟味が加わり、録音とは別の意味で切れと厚みを感じさせる素晴らしいものである。

 録音も凄い。市川氏が「豊麗で極めて微細、かつ繊細」と評されている、その通りの音である。しかも厚みと深みがあり、美しい響きとあいまって実にゴージャスなサウンドである。僕としてはASTREEよりもharmonia mundiに近い音、という印象を受けた。脂っこさよりも美しさと艶を大切にした感じの録音である。

 このCDは、極めて優秀である。滅多に聴けない素晴らしいクラブサンの録音だ。ASTREEの旧録音も大好きだが、新録音にも一聴して惹き付けられてしまった。特薦盤です。って、今さら僕が言うまでもないのである。

 このクォリティを保ったまま、全集録音へ発展して欲しい。

’12/09/21 (金)

ヴェルレのクープラン最新録音


 古い旧いアナログシングルレコードを続けざまに紹介したので、今日は最新CDを話題にしたい。

 「Blandine Verlet / Francois Couperin」(仏APARTE AP036)。僕が独自に見つけたのならばエラいもんだが、残念ながらそんな甲斐性はないのである。AUDIO BASIC誌最新号(第64号)の「高音質ディスク聴きまくり」で市川二朗氏が紹介されているのを読み、これは聴かねばならんと思った次第。

 APARTEというレーベル、僕は不勉強でまったくの不知である。仏harmonia mundiがディストリビュートしているようだ。2011年11月12日〜16日、ベルギーのa l'Eglise Saint Remi de Franc Waretで録音。(C)(P)2012。CD2枚組である。

 CD1は第7組曲(8曲)、第8組曲(10曲)が収録されて60分31秒。CD2に第25組曲(5曲)、第26組曲(5曲)、第27組曲(4曲)が収録されて56分01秒。使用楽器はFrederick HaasのコレクションによるHenri Hemsch 1751年製オリジナルクラブサンである。但し、市川氏の記事にある通り、現代の技術により修復されている。

 ヴェルレのクープラン・クラブサン曲集といえば、何と言っても仏ASTREEが1976年から1980年にかけて録音した組曲全集(AS21〜AS33)である。それに照らせば今回の録音内容は、CD1がAS26に、CD2がAS33に相当する。

 市川氏の評によれば、ASTREEの旧録音を上回る素晴らしい音だという。期待せずには居られないのである。何しろ、ヴェルレの最新録音なのだ。

 試聴が楽しみである。

’12/09/20 (木)

Goodbye to love


 「DRUM RECORD」つながりで、ふるーいシングルレコードをもう1枚。カーペンターズ「愛にさよならを」。1972年6月19日リリース、原題は「Goodbye to love」。

 リードボーカルのカレン・カーペンターはドラマーとしても有名で、実際に演奏を聴いたことがあるけれど、凄く上手い。ちょっと叩けます、どころではなくて、おそらくプロドラマーとしても充分食えるだけの腕を持った人なのである。

 誰でも知っている名曲「Yesterday Once More」は、彼女が叩いている。ただ、カーペンターズが発表した曲すべてから見ると、カレンさんがドラムを担当した曲はさほど多くはなくて、ほとんどがスタジオ・ミュージシャンによるものだ。

 「愛にさよならを」で叩いているのは、ロン・タットである。「DRUM RECORD」B面の演奏者だ。この人もまた知る人ぞ知るスタジオ・ドラマーで、特に歌伴(歌モノ伴奏)は超一流と評されている。それだけに、表には名前が出ない。したがって「知る人ぞ知る」っちゅうことに、なるわけである。

 僕がこの曲を初めて聴いたのは、たぶん小学生の頃だと思う。当時はドラマーに関心を持たずにいたけれども、今改めて両方の演奏を聴くと、なかなかに面白いのである。ロン・タットさん、実はヤッパリ、凄いのである。

 能ある鷹は爪を隠す。

’12/09/19 (水)

What is life


 突然ですが、この曲をご存知でしょうか。ジョージ・ハリソン「美しき人生」(原題 What is life)。1971年2月に発表されたシングルEPである。

 その時僕は小学3年生、初めて買ってもらったラジカセ(のハシリ。もちろんモノフォニックである)でFMを聴いていて出会った曲である。と言ってもたまたまではなかったと思う。この曲の一つ前のシングル曲「My sweet lord」が大好きで、おそらくそれ繋がりで行き当たった、というような記憶がある。

 すごくいい曲。明るく、どこか懐かしく、如何にも70年代サウンドである。プロデューサーはジョージさん自身とフィル・スペクター。当時は知らなかったけれども今改めて聴けば、これはもうまさしく「フィル・スペクター・サウンド」である。

 まともな小遣いももらえない9歳のガキに、当時500円もするシングルレコードを買えるはずもなく、FMからカセットテープに録音し、擦り切れるほど聴いた。あのテープ、どうしたでせうね。思えばこの1970-71年あたりが、僕のオーディオ原初体験になっているらしい。してみれば、オーディオ歴は40年以上ということに、なるわけで。ああ、What is life。

 この曲でドラムを叩いているのは、ジム・ケルトナーである。パーマネントなグループに属さない、超一流のスタジオ・ドラマーである。この名、どこかでも聞いたことがありませんか。

 D2Dの雄、米Sheffield Lab「THE SHEFFIELD DRUM RECORD」(LAB 14)のA面を叩いているドラマーである。

 どこか、つながっているンだなあ。

’12/09/18 (火)

事故防止効果


 先月25日に載せたカートリッジ監視用凹面鏡、大変グワイ良く使っている。思っていた以上にメリットは大きく、しかも副次的効果もあることがわかった。

 写真は高輝度白色LEDに照らされたカートリッジ底面(こちらが上面?)である。凹面鏡に映った拡大鏡像も然ることながら、このように実像を直視したバヤイにも、カンチレバーとスタイラスの状態が鮮明に確認できる。

 何を君は当り前のことを言っとるんだ、とおっしゃるムキもございましょうが、実際にはこれがヒジョーにありがたいのである。使ってみればすぐにわかる、使わないとわからない。これまた当り前か。

 再生し終わったあと、実像鏡像両方でスタイラスを確認する。僕のバヤイ、汚れの多少に関らず必ず密集型ブラシでドライクリーニングするわけだが、その時にも手元が明るくて作業が楽である。ブラシと針先の距離感が掴みやすく、不慮の事故も起こりにくくなると思う。何しろ僕はマヌケなのだ。

 このツール、一度使えば二度と手放せません。

’12/09/17 (月)

不気味な兆候


 今日は昨日にも増して南からの熱風が強く、まるで強制乾燥機の中で炙られているような暑さであった。台風はずいぶん遠くにあるのに。沖縄から九州方面にお住まいの方は、さぞお大変だったろうとお察しするのである。どうかお大事に。

 あまりに暑いから、今日の写真は涼しげなヤツを。しかしこれじゃ涼しいというよりも寒い写真である。今年の2月4日に撮ったものだ。今の季節からは想像もつかないようなことに、なっているわけである。

 先日、母屋の軒下にお腹の大きなカマキリ♀を見た。ブキミな兆候である。彼女が高所へ産卵する年の冬は、大雪になる可能性が高いのだ。何年か前にも同じようなことがあって、その冬はやはり積雪が半端ではなく大いに困ったのである。

 今冬も、写真のようなグワイになるのだろーか。イヤだなあ。

’12/09/16 (日)

レアな秋分


 大きな台風が南から暖かい(というよりは、熱い)空気を巻き上げ、当地は典型的なフェーン現象が起きている。暑い暑い。本日の最高気温は34℃。真夏並み、ではあるけれども、暑さの質は違う。僕の好きな「真夏の暑さ」ではないのである。

 日脚はすっかり短くなった。午後6時過ぎで、写真のような風景である。そりゃそうだ、秋分まで1週間を切ったのだから。

 2012年の秋分の日は、9月22日である。カレンダーを見て、23日の間違いではないのかと訝しく思われた方も多いだろう。僕もそうだった。1896年(明治29年)以来116年ぶりのことだそうで、この秋分は極めてレアな日なのである。1979年には9月24日だったというが、僕は高校3年生、まったく覚えていない。いい加減してます。

 たった1日違いで、感じ方はずいぶん変るものです。

’12/09/15 (土)

今年の百日紅


 今年のサルスベリは咲き始めが遅く、満開になったのはお盆をすっかり過ぎてからであった。その所為か、間もなくお彼岸が来ようかという今になってもヒジョーに元気で、鮮やかな花を付けたままである。

 百日紅の名の通り、お盆の終わり8月16日から100日間花が続いたとすれば、11月23日になってしまう。こうなるともう夏の名残どころか、秋も通り越して冬の初めなのである。まさかそんなことはないだろう。

 しかしあまりに元気で鮮やかなものだから、毎日眺めては何時まで咲いているンだろうか、ここは一丁記録をとっておいてやろうと考えている。花が完全になくなるのは何時か。最後のひとひらが樹から落ちるとき、ワタシは。

 どこかで聞いたような話だな。

’12/09/14 (金)

単純が最良


 Sound Guardの処理前処理後で、音質はどう変るか。ある程度録音が良く、しかも手持ちが複数あるタイトルの中から、比較的状態の良くない盤を実験台に比較試聴してみた。

 何十年ぶりのSound Guard使用で、作業の段取りが悪く少々まごついてしまった。幸い中身はクサっていなかったらしく、ベルベットクリーナーで磨いたあとはツルツルのピカピカ、例によって静電気はまったく起きない。処理後すぐに再生しても問題ないらしいけれども、何となく気色悪い。乾燥時間のつもりで、丸一日経ってから試聴した。

 結果は、あまり芳しくありません。確かに静かで、S/Nは向上する。しかし、音のカドが落ちてしまってピークが丸まり、伸びがなくなる。バックグラウンドノイズが減っているにもかかわらず、どこか透明感に欠けるような印象である。まさにベールを掛けたような音。もどかしいのである。

 激しく劣化した、とまでは言えないものの、何もしないほうが良いことだけは確かなようである。音溝とスタイラスの間に余分な膜があるというデメリットが、静電気完全フリーのメリットを上回ってしまった感じである。

 言うまでもないことだが、この結果には何処でも通用するような一般性は、ない。あくまでも箱船の装置と試聴環境においてはこうなった、というだけのものである。ともかくもウチのバヤイ、レコパックとZEROSTAT以外は何もやらんのが一番、っちゅうことになるようだ。

 単純明快が最良。

’12/09/13 (木)

静電気完全遮断


 昔々そのムカシ、audio-technicaから発売されていたレコード保護剤である。「Sound Guard」という。「静電気を強力にシャットアウト。画期的なレコード乾性被膜剤」と説明されている。

 1986年頃だったか、僕はこれを頻用していた時期がある。使い方は簡単で、きれいにクリーニングしておいた盤面にスプレーし、ベルベットクリーナーでクルクルッと磨くだけ。一般的なスプレー剤のようにベタベタせず、あっという間に乾いてしまう。

 処理後の効果、それはもう絶大なること圧倒的である。静電気除去、この点に関しては真実本当に完璧だ。静電気完全フリー、パチパチもプチプチもまったく起きなくなる。持続性も半永久的で、26年前に一度だけ処理した盤が、今も同じ状態に保たれている。

 盤に発生する静電気を忌み嫌うムキには、間違いなく史上最高の保護剤である。が、残念ながら今は手に入らない。と、思ったら、海外では現行商品として流通していることを発見。環境面への配慮からか、スプレー式ではなくリキッドタイプに変っている。同一物かどうか保証はないものの、商品ロゴマークはまったく同じだから、おおよそ間違いはないだろう。

 但し。静電気完全フリー=音が良い、という式は、単純には成り立たない、ような気は、する。これを塗布したあとの盤は、ツルツルのスベスベ、滑りがメチャクチャに良くなるのである。これは良いことか悪いことか。実際、処理後の音は、静かで透明だが力感が後退するような印象も、ないではない。

 現在ではまったく使っていない。写真のブツも26年前から未開封、箱はくたびれているけれども新品のままである。適当な盤で、もう一度確かなところを実験してみようか知らん。

 中身クサってたりして。

’12/09/12 (水)

玉か石か

 「PHILHARMONIA SCHRAMMELN」というグループのレコードは、僕が知る限りALPHA MUSICを含めて4つのレーベルからリリースされている、詳しく調べて行けば、他にもまだあると思う。

 いずれもオーストリアのマイナーレーベルである。シュランメル音楽がオーストリアのトラディショナル(少なくともジャンル分けではそうなっている)であってみれば、これも当然のことなのかもしれない。

 昨日話題にしたレコードのリリース元が、それらレーベルのどれかに当っているのかどうか、今のところまったく不明である。もし、ALPHA MUSICなら、ちょっと面白いンだが。ただ、ジャケットの佇まいからすると、いささか違うような気もする。

 タイトルの「Wiener Heurigentanze」を直訳すると「ウィーンの居酒屋ダンス」となって、何やらずいぶんと楽しそうな雰囲気をカモシ出している。シュランメル音楽の元祖、ヨハン・シュランメル、ヨーゼフ・シュランメル兄弟が主に活躍した場はウィーンの居酒屋であったそうだから、その意味では正統派レコードとも言えるわけだ。

 石なら石で大笑い、玉なら玉で大喜び。

’12/09/11 (火)

正体不明、だが


 なかなか見つからないA級盤第103番、「Philharmonia Schrammeln Concert」(墺ALPHA MUSIC 198 701)を探しているうち、上のようなレコードに行き当たった。

 「PHILHARMONIA SCHRAMMELN / Wiener Heurigentanze」。たぶん103番と同じ演奏者、ではないだろうかということが分っている、否、そのように推測される、イヤ、その疑いが強い、だけで、あとは何にも分っていない。レーベルも、(C)(P)も、もちろん録音がどうかということも、すべて不明である。

 売り手さんはオーストリアのショップである。レコード専門店ではない様子で、町の小さな雑貨屋さん、みたいな感じだ。カタログには「発送はオーストリアとドイツのみ、国際便非対応」」とある。

 フツーならここで諦めるのだが、何故か僕は気になって仕方がない。モノは試しである。「どーしてもこのレコードが欲しい、日本へも発送してくれまいか」とメールしたら「日本への送料は高額で、17ユーロもかかる。それを考慮して対応しないことにしたが、あなたが了解してくれるのなら送ってあげるよ」と、とても親切な返信があった。

 17ユーロの送料、確かに安いとは言えない。けれども店によってはもっと高額なバヤイもある。僕としてはまったく文句なし、注文を確定させて入手できることになった。

 ある種の期待を持っているわけだが、さて、正体や如何に。

’12/09/10 (月)

さらに深刻


 マトリクス再生に具しているリヤカノンLのFE-168ESである。このユニットの後継機を考えた時、事態はFE208ES-Rよりもさらに深刻である。なにしろ、2001年の発売以来11年間、16cmフルレンジユニットの限定モデルはリリースされていないのだ。

 2007年春にFE208ES-Rがリリースされたあと、個人的にはその16cm版を待っていたのだが、兄弟機として同年冬に出てきた限定ユニットは、13cmユニットのFE138ES-Rだった。

 おそらく今後も、16cm限定ユニットは出てこないだろうと思う。僕としては大いに困るわけだが、こればかりは仕様がないのである。幸いにも11年経ってなお極めて健全、問題なく使えている。さりながらやがては、何らかの対策を考えねばならない時が来るのである。

 エンクロージャーはユニット以上に古く、しかも板の裁断から自分でやったヘタクソな自作である。FE-168ESに不グワイが起きた時には、箱から何からすべて一新、ちゅうことになるのだろう。

 できるのかな。

’12/09/09 (日)

締め直し

 2012年の航海日誌は、年間休載回数ワースト記録を更新してしまった。不名誉なことである。ナンデこんなに書けなくなっちゃったンだろうか。

 一つには、以前よりも多忙になっていることがある。宗門、地域、公的な役どころが増え、それに追われて夜になるとグッタリしてしまう。

 もう一つは、昨日の話題ではないけれども、僕自身の老化、である。昨年後半あたりから、本当に夜の踏ん張りが利かなくなっている。午前零時を過ぎると、生命のキケンを感じるような恐ろしい眠気がやってくるのだ。ムカシはこんなんじゃなかったケドなあ。50台は働き盛りなんて、誰がゆった。

 尤も、理由はどうあれ、そんなことはくだらん言いわけにしかならんわけである。繁忙、老化にかこつけて、早い話が怠けているのだ。

 書くを楽しむ、の気持ちも新たに、フンドシの紐を締め直そう。

’12/09/08 (土)

次はあるか


 現用フルレンジユニット、FE208ES-Rを使い始めて、もう早5年半になろうとしている。すっかりこなれて今や絶好調である。これまでで最もよい音で鳴っていると思う。もちろん、当社(箱船)比でのお話だから悪しからず。

 「アンチエージング」なる言葉に見えるとおり、エージングとは老化と同義である。今のところは「脂が乗り切った時期」という印象のほうが強いけれども、具に点検したれば、わずかではあるものの老化の色も見え始めている。

 最もわかり易いのは、コーンの色目である。新品の頃は青黒く光って見えていたものが、やや黄色みを帯びたように変化している。箱船では直射日光は常時完全に遮断されているし、照明も白熱球だから、蛍光管に比べて紫外線は少ない。日焼けによる変色とは考え難く、経年による自然変化なのだろう。

 現状、他の部分に老化劣化は見られない。スピーカーユニットにとって致命的とも言えるウレタンエッジの変形風化も皆無で、新品時と変らぬ形状と柔軟性を保っている。

 とは言え、決して若いユニットではないわけで、やがては老化が目立ち寿命を迎えるのである。その時、これに代る優れたユニットが、この世に存在するのだろうか。圧倒的な物量と高い技術が投入された限定ユニットだけに、余計な心配をしてしまうのである。

 僕の寿命のほうが早ければ、まったく問題ないのだな。

’12/09/07 (金)

原因を潰せ

 今年は自動車運転免許の更新年で、先日所轄警察署へ講習を受けに出かけてきた。過去5年間に1度だけシートベルト着用義務違反でひっかかり、残念ながらゴールドならず。前回と同じく、青色5年免許である。

 この管内で最も多い事故は、車対車の追突事故だそうである。全体の40%を占めるというから、これはもう圧倒的に多いわけだ。このことについて講習担当官は「余裕のある車間距離を保ち、前をよく見て運転せよ」と事務的に言う。お説ご尤も、である。

 しかしそれは、対症療法でしかないのではないかと、僕は思う。何故にこの管内では追突事故が多いのか、事故調査によって得られた原因を広く世に知らしめ、事故の元凶を減らそうとするほうが先であろう、と。

 高齢者ドライバーの比率が高い所為か、それとも単なるアホが多いのか、方向指示機を出さずに右左折する運転者が、ヒジョーに多い。或いは、曲がるギリギリになってブレーキを踏み、そのあと指示機を出し、しかもノロノロと右左折する。狭い車間に無理矢理割り込み、しっかりと加速しない。そのクセ、割り込まれそうになると意識的に加速する。都市部でこんな運転したら、撃ち殺されますよ。

 「安全車間保持、前方注視」などと当り前のことを言う前に、そーゆーことはゼッタイするなと、強く指導して欲しい。それができるのはケーサツだけだろうし、そのための講習だろうに。追突事故の多さは、上記のような運転者の多さと決して無関係ではないはずだ。

 1時間足らずの講習では、事務的にならざるを得ないのだろうケレドモ。

’12/09/06 (木)

シンキロウ?


 先日、久しぶりに関東方面から親しい友達の来訪があった。中国地方への出張のついで、ということであったが、「ついで」とするにはあまりにも遠回りで強行軍。それでもわざわざ来てくれるのだから、僕としては大々歓迎である。実に楽しい時間を過ごせた。友達とは、本当にありがたいのである。

 限られた時間の中で、たくさんのレコードを聴いた。友達のリクエストに応じ、どんどんレコードをかけ換える。ホストとしては、とてもラクチンなお客様である。ご希望が明確でないお客様が、最もツライのだ。

 写真はそのうちの1枚、「J.S. BACH / THE 3VIOLIN CONCERTOS BWV 1041-43 / ARTHUR GRUMIAUX / HERMAN KREBBERS / LES SOLISTES ROMANDS-ARPAD GERECZ」(蘭PHILIPS 9500 614)である。レーベルはウルトラメジャー、作曲家・曲・演奏者とも超有名どころ、さらに外盤A級セレクション第2集181番に選ばれてもいるから、お持ちの方は多いだろうと思う。

 これをリクエストされてラックを探すのだが、あるはずの場所に、ない。またもや行方不明のレコード出来である。結局友達の滞在中には発見できず、たいへん申しわけないことになってしまった。

 そのあとずっと探し続けるも、どーしても見つからない。ちょっと待て、ホンマは持っていなかったのか。イヤ、それはあり得ない。購入年月日が記録してあるし、何よりも確実に聴いた憶えがある。ないはずはないのだ。しかし、発見できない。もしかして僕はシンキロウでも見ていたのだろうか。

 などと奇妙な気持ちになり始めた頃、とんでもないところから出てきたのである。ラック最下段、今は昔のLD(レーザーディスク)群の間に、挟まっていた。僕は何を思ってこんなところに入れたンだろう。自分のしたことながら、さっぱりワケがワカラン。特別な意味があったのかな。ともかくも、あってヨカッタヨカッタ。

 これで次回は、聴いてもらえるのである。なーにやってンだか。

’12/09/05 (水)

お子様レベル


 レコードの話題ばかりが続くこと、どうかご容赦のほどを。なにしろ、現状僕のオーディオは「レコードを掃除して聴く」ことしかしていないから、自然こーゆーことになるわけです。尤も、それこそがオーディオの本道だという説も、ある。

 写真は、仏CALLIOPEレーベルからリリースされた、アンドレ・ナヴァラ演奏のバッハ無伴奏チェロ組曲、の単売盤である。写真左端から1、2、3、4として紹介する。

 1と2が第1番、第2番収録のCAL 1641、3が第3番、第4番のCAL 1642、4が第5番、第6番のCAL 1643である。白、臙脂、赤、エビ茶色、色とりどりのジャケットカラー。これで終わりかと思いきや、さらに加えて緑や紫もあるというから恐ろしい。

 しかも、中身の盤にもそれぞれ違いがある。レーベルマークのデザインが違っていたり、カッティングに差異があったり、プレスが別物であったり。もちろん音も違うわけで、こうなってくるともう何が何だかさっぱりワカランのである。大概にしておくのが吉、か。

 そう言いながら頭の片隅では、ヴァージョン違いを全部集めたい、などと無謀なことを考えてもいるのである。レコード屋の陰謀に、ずっぽりはまっているのだ。ナントカカード集めに血の道を上げ、「レアカード、ゲーット!」とか言って喜んでいるガキども、いや失敬、お子様達を、僕は笑えない。

 ちっとも成長していないのである。

’12/09/04 (火)

今は昔のお話


 Nicholas McGeganとPhilharmonia Baroque Orcheatraつながりで、レコードをもう1枚紹介したい。

 「Vivaldi / FLUTE CONCERTOS」(米harmonia mundi HMC 5193)。フルートはJanet See。(P)1988。1987年3月、昨日話題にしたレコードと同じくサンフランシスコのローンマウンテン・カレッジ・チャペルでの録音である。

 このレコードもちょっと変っている。ジャケット右上のレーベルマークは「harmonia mundi U.S.A」、製作スタッフも全員アメリカ人、ジャケット印刷とリリースはフランス、プレスはドイツ・テルデック(DMM)。米仏独ごちゃ混ぜハイブリッドなのである。harmonia mundiは多国籍企業だと聞いたことがあるが、なるほどこーゆーことかと、納得するのである。

 録音は、すばらしい。少し音が近い(オンマイク?)感じはあるけれども、やはりアメリカらしい明るさと抜けの良さがある。フルートはコロコロとよく弾んでとてもチャーミング。時に優しく時に鋭く、実に表情豊かな音として捉えられている。聴いていると幸せな気持ちになる。ジャケットもいい。

 何時買ったのかと調べてみたら、1988年9月13日だった。中古盤ではなく、純然たる当時の新譜として買っているのである。ジャケット裏にはCDとカセットミュージックテープ(!)の番号も併記されている。おそらく、同一タイトルがLP、CD、カセット、3種のメディアでリリースされていた、最晩年のものだと思う。

 今は昔のお話でした。

’12/09/03 (月)

水上の音楽


 レーベル表記は仏harmonia mundi、実体はジャケット印刷から録音、マスタリング、プレスに至るまで純アメリカ製、という、ちょっと変ったレコードである。

 「HANDEL / WATER MUSICK / Philharmonia Baroque Orchestra / Nicholas McGegan」(仏harmonia mundi HMU 7010)。(P)1988。1987年9月、1988年3月、サンフランシスコのローンマウンテン・カレッジ・チャペルで録音。マスタリング・エンジニアは彼の有名な、ダグ・サックスである。

 入手したのはずいぶん前で、メモには1999年6月21日とある。中古盤扱いの未開封新盤だったが、価格はごく常識的なものではなかったかと記憶する。最近、web上で「滅多に出ない稀少盤」として紹介されているのを発見、へえそうなのかと、改めて聴いてみたくなったわけである。

 ヘンデルの「水上の音楽」と言えば、コレギウム・アウレウムの'72年盤(独harmoniamundi HM 20 341)が優秀録音だが、上のレコードもまた、素晴らしい録音である。

 明るく温かく、独特の開放感のある音。独盤に比べると、やや色温度が低い感じの音だが、極めて鮮明で繊細、曇りやボケはまったくない。場の空気感がありありと再現され、実にリアルである。フランスでもドイツでもない、如何にも「アメリカ」と言った雰囲気が感じられるのは不思議である。一聴に値する録音だと思う。

 ADの入手は難しいが、CDはAmazonジャパンでも買えるようである。

’12/09/02 (日)

レコード屋の陰謀


 先ずは先月31日の写真をご覧いただきたい。3枚のAPPROCHEレーベルADのうち、左端に見えるAP002だけジャケットデザインが違う。

 このレーベルのデザインは、基本的には全タイトル統一されている。白地に単色の四角形を重ね合わせたツートーンカラー縞模様ジャケットである。実際、AP003、004、005、009はそうなっているし、以前web上で見た006、007も同様であった。

 手持ちのAP002は、モノクロの絵がついたBOX仕様である。レコードが3〜4枚は余裕で入りそうな立派な箱に、スポンジで底上げ(良く言えば保護)して1枚だけ入っている。少し調べてみると、このタイトルにも共通デザイン版があり、そちらが通常バージョンであるらしい。BOX仕様はその豪華版(或いは限定版)だと思われる。

 全タイトルにBOX仕様があるのかどうか、そこまでの調べはついていない。ただ、少なくともAP004(軍楽隊)に豪華版が存在することは確かである。以前、海外オークションで発見し、ジャケットが違うことに逡巡しているうちカッ攫われたという、クヤシイ経験があるのだ。中身はどちらもまったく同じ盤なのだが。

 どうもこの、CALLIOPE・APPROCHEというレーベルは、同じタイトルをガワだけ変えてリエディション、或いは限定版として幾度もリリースするのが特に好きなようで。リリースの順序や経緯をリアルタイムで知っていればまだしも、何十年も経ってから集めようとする僕のような者には、ヒジョーにややこしくて困るのである。

 マニアの蒐集欲を突いた、レコード屋の陰謀です。

’12/09/01 (土)

未練がましく


 9月になった途端、先月にはあり得なかったような鬱陶しい天候になってしまった。ドンヨリ曇った空から中途半端な雨が降り、暑いんだか寒いんだかわからんような気温。思わず空を見上げ「ああ、ニガテだなあ」と呟いてしまうのである。

 12月生れで暑さに弱い愚妻は「やっと夏が終わった」と喜んでいる。その横で僕は、「一番素敵な季節が終わってしまった」と、シクシク泣いているのである。僕だってできることなら秋や冬を好きになりたいと思うけれども、今日のような天気を見ていると、やっぱりダメなんだなこれが。

 あともう少しの間、未練がましく夏のシッポに取り縋っておこう。