箱船航海日誌 2012年07月

日々雑感、出来事などを思いつきに任せて綴っていこう

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’12/07/31 (火)

恰も白夜


 九州、中国、近畿南部は台風の影響を受け、ずいぶんな悪天候と聞く。再々の大きな災害にならぬことを、ただ祈るばかりである。

 当地はと言うと、17日の出梅以来雨らしい雨は降っていない。29日の午後4時ごろ、10分間程度の夕立があったくらい。連日35℃を超える超晴天続きで、そこらじゅうカラカラである。僕としては、大喜びなのだケレドモ。

 今夜もたいへん好いお天気で、ブキミなまでの月夜である。写真は午後11時過ぎの前庭である。恰も白夜のような光景だ。

 暑い真夏も、暦の上では残りあと7日間になってしまった。

’12/07/30 (月)

時には奏功


 国内では、どこで買っても高価な仏ASTREEレーベルのレコード、外盤A級セレクション入りしているタイトルともなれば、尚更である。海外オークションにおいては国内ほどの値ではないにしろ、やはりどちらかと言えば高価なほうになる。

 先日、そのオークションを徘徊していて、異例に低いスタート価格のまま、まったく入札されない同レーベルのタイトルを発見した。国内では滅多に見ない、A級盤である。引く手数多、入札盛大、と考えるのが自然だが、何故だろう。

 説明文を読んで納得した。「サイド2にヒビが入っています」。なるほど、入札されない原因は、これだ。如何にASTREEと言えども、ヒビの入ったレコードにお金を出すわけはない。だって、聴けませんもの。

 と考えるのはフツーの人。僕は馬鹿でスケベだから、こーゆーものだと余計に欲しくなるのだった。どんなヒビか見てみたい、もしかしたら問題ないンじゃないか、そうだったら儲けものだ、などと不埒なことを考えるわけである。

 上の写真がその実体である。説明文で「ヒビ」とされたものは、レコード最外周の溝にあった。正確にはヒビではなく、溝が1cmほど異状に凹んでいるだけで、裏面(サイド1)へは貫通していない。その様子からすると、エンドユーザーの扱い不備が原因とは考え難い感じである。おそらくはプレスミスではないかと思う。

 実質まったく問題なし。この点を除けば、基本的にきれいな盤である。レコパックもどきは必須だが、再生に支障はないだろう。

 馬鹿スケベも、時には功を奏するのである。

’12/07/29 (日)

長期実験 II


 レコパックもどき実施後、乾燥膜を剥さず1年間保管し、盤と膜の経時変化を見たのは、2010年5月11日であった。今回はその続き、3年間保管バージョンである。パックを実施したのは2009年5月初旬だから、3年3ヶ月経っている勘定になる。

 結果は、グッドである。剥離時のトラブルはなく、膜は極めて健全である。もちろん盤面も、目視、実際の再生ともまったく問題なし。かなり状態の良くないレコードだったが、傷はともかく汚れはほとんど除去できている。

 前回の実験で「たぶん2〜3年保管も大丈夫だろう」と報告したのがウソではなかったわけで、ちょっと安心した。ヨカッタヨカッタ。

 だからと言って僕は、レコパックもどきでのクリーニングを、積極的にはお薦めしない。アルコールの使用にいささかでも疑問、或いは危惧を持つ、乾燥(待ち)時間が長すぎると感じる、残留物の疑いを僅かでも持つ、静電気の発生を極端に嫌う、例えばそういった方々は、およしになったほうが無難だと思う。

 これまでにも書いたことがあるように、どうやらレコードクリーニングというやつは、一つの儀式なのだ。僕のバヤイなら「中古盤を聴く前にはレコパックもどきを実施する」ことが儀式化されているわけだ。儀式とは「定め・作法」だから、それから逸脱することは許されない。なんだか茶道みたいだな。

 十人いれば十通りの儀式あり。ナンギだが、面白い。

’12/07/28 (土)

小規模ながら


 午後8時、村の夏祭で花火が上がった。大きな川や湖沼のない当村では消防法上、尺玉のような大物の打ち上げは不可能だが、それでもなかなかにきれいであった。南北を山で挟まれた地形の所為か、破裂音にエコーがついて雰囲気抜群である。

 小規模ながらも、花火の生音は、やっぱりヨイわ。

’12/07/27 (金)

朽縄


 午後11時過ぎ、箱船を出たところで波打った黒っぽい紐が落ちているのを見る。なんだこりゃ、と思ってよーく見たら、40cmほどのヘビであった。色は茶褐色、薄い縦縞にくっきりとした横斑紋がついている。胴回りは細めである。

 一瞬、マムシかと怯んだが、すぐに違うと気がついた。マムシはもっと太短く、色も赤っぽくさらに鮮やかだ。シマヘビの幼体である。上の写真の通り、このヘビの幼体はマムシによく似ている。一説によると、敵から身を守るための擬態とも言うが、詳しくはよくわかっていないそうだ。

 ひさしぶりにヘビと出会えて、とてもうれしかった。僕はヘビが大好きである。ドアの開く音に驚いたのか、身をこわばらせてじっといている。あたりの様子を覗いつつ、ゆっくり動き始めたところで、ちょっと触らせてもらった。ヘビの表面はスベスベツルツルで、気持ちヨイのである。

 思えば、何故ヘビは嫌われることが多いのだろうか。脚がないのが遺憾のかな。僕としては、やたらゴチャゴチャ脚のある奴の方がよほどキボチ悪いのだが。チロチロ出し入れされる二股の舌、瞼のない目、クネクネした歩き(?)方、そういったことも不気味さを感じさせる要素なのかもしれない。

 キリスト教では「サタンの化身」とされているし、仏教ではブッダの修行を妨げた悪者と描かれたりもするし、どうも良いイメージがない。

 新約聖書マタイ伝第10章16節では「蛇のように聡く、鳩のように素直でありなさい」と、珍しく賢明さの象徴になっている。しかしこれにしても、しばしばサタンの攻撃を受けたキリストが、その悪賢さを思い知らされた末の、比喩とされる。ヤッパリ、悪役なのだ。

 だからよけいに好きなのかな。僕はアマノジャクだから。

’12/07/26 (木)

Ti + Ti


 きれいになったレコードは、引き続きお借りしているAT-OC9/III LTDで聴いている。ハード&シャープ、ハイスピードで鮮明、という印象は、変わらない。ヒジョーに良い音である。

 折角の機会だから、シェルをAT-Ti15ANVに換えて試聴してみた。ベースからシェル(ヘッドケース)まで、純チタンの組み合わせである。

 個人的には期待感の大きいカップリング、だったのだが、これはちょっと困ったな、という感じの音になってしまった。音の乾きが強調されるのである。瑞々しさと厚みが、殺がれる印象だ。

 決して悪い音ではないと思う。瞬発力はあるし、馬力もある。かなりドライな音ではあっても、耳障りなクセはない。10年前の僕なら、こちらを採ったかもしれないと、思わせるような音である。しばらく聴いて、もう一度PH-L1000に戻してみる。やはり今の僕には、こちらのほうが耳に馴染むのだった。必ずしもチタンで揃えるのがよい結果を出すとは、限らないようだ。

 念のため申し添えておく。この結果は、箱船の装置で聴いた僕の主観である。一介のエンドユーザーの、単なる感想、とお読みいただきたい。

 尤も、こうだからこそ、AD再生は面白いのである。

’12/07/25 (水)

16面完了


 今夜、8枚16面のレコパックもどき実施を完了した。写真は最後の1面にパック液を展開しているところ。こんな感じで、夜な夜なヒッシにクリーニングしているわけであります。

 一段落してボトルを調べると、20cc程度の残量あり。約430ccを消費して、1面あたりの使用量は26.875cc。一昨日の日誌で30cc/面と書いたが、平均するとそれよりは少なく済んだようである。盤によっては、30cc以上使ったものもあると思う。

 今回クリーニングした8枚のレコードは、いずれも比較的きれい、或いはタチの悪い汚れが少なくて大助かり。既に4枚8面を試聴したが、パック1回で何ら問題なく聴くことができた。未聴の4枚も、おそらく大丈夫だろう。

 100%中古盤とは言え、きれいなほうがいいに決まっている。ヨカッタヨカッタ。

’12/07/24 (火)

アリのように


 今回作ったレコパックもどきは、何となくクリーニング能力が優れているような気がしている。剥離したあとの盤面の艶が、いつもより深く見えるのである。組成も製作手順も、これまでとまったく同じ。何も変えてはいない。何故だろう。

 一つ考えられるのは、製作時期の違いである。前回作ったのは1月、寒さが最も厳しい頃だった。気温や材料の温度が全体的な混ざりグワイに影響し、パック液に何らかの変化を生じさせるのかもしれない。まったくのシロウト考えだが。

 本当のところはともかくとして、やはりレコパックもどきを作るには、夏が良いことだけは確かなようだ。来るべき冬に備え、今のうちにたくさん作っておくのが吉。キリギリスではなく、アリのように。

 しかし僕は、キリギリス人間なのだ。困った困った。

’12/07/23 (月)

1面30cc


 さあクリーニングだと、意気込んでレコードラックをかき回したら、待機盤は8枚だった。なんなんだー。難々だ。知らん間に溜まっていたンだな。

 いずれも純然たる中古盤、汚れはさほどひどくはないものの、レコパックもどきなしでは再生できない。ともかくは、実行である。

 現在16面中10面完了。あっという間にボトル2/3、450ccのうち300ccを消費してしまった。1面あたり30cc使っている勘定である。

 NAGAOKAオリジナルレコパックの取説には「1ボトル(480cc)で約30回(面)のパックが可能」とある。1面あたり16ccの計算である。僕が1面に使う量の約半分。何故にこれほどの差があるのか。

 取説に間違いはないし、もちろんレコパックもどきでも16ccでクリーニングは可能である。但し、16cc分が盤面上で均等に展開塗布されれば、の条件付だ。実際の盤にはソリがあり、均等一様の塗布は事実上不可能になる。薄いところと厚いところができてしまうわけだ。

 レコパックでのクリーニングで最も多いトラブルは、剥離時の膜切れ、膜残りである。数回使ってレコパックに愛想を尽かす最大の理由でもあるようだ。実は僕も、一時はレコパックを見限っていたことがある。使えねえ奴、と。この主な原因になるのが、16cc/面という推奨使用量なのである。盤の山の部分、塗膜が薄くなったところで、膜切れするわけである。

 現実的な解決方法は一つ。塗膜を厚くする、つまり、1面あたりの使用量を増やすことだ。アプリケーター(純正)にあるガイドラインを超えてパック液を注ぎ、1周30秒〜40秒程度の速度で塗布する。推奨の速度が10秒/周程度だから、かなりゆっくりである。

 こうすることで、剥離時膜切れトラブルはほぼ100%解消できる。だが、消費量が倍になるのは大きなデメリット。オリジナルレコパックを使っていた時代は、実にツラいものがあった。殊に、製品がディスコンとなった後には。

 僕にとってのレコパックもどきは、救世主のようなものなのである。

’12/07/22 (日)

夏に限る


 クリーニング待機中のレコードをもう一度ちゃんと確認したら、5枚ではなくて7枚だった。こら遺憾。ズルズルと半永久的に放置してしまうパターンに、陥りかけている。

 斯様な危機感の下、今日は夕方からパック液作りに専一。ボトルにして5本分、2,250ccを生産した。わりと手際よく作業できたと思う。4年間の慣れもあるけれども、それより季節が夏であることが、作業効率を高くしているのだ。

 作業の過程で、道具類を頻繁に水で洗浄する。そのバヤイ、冬は水が冷たくてヒジョーに辛いのである。箱船には給湯設備がないのだ。夏ならばラクチン。どんどん洗ってどんどん進められるのである。箱船でのパック液作りは、夏に限ります。

 では、クリーニングに取りかかろう。

’12/07/21 (土)

作らねば


 主原料を仕入れたはいいけれど、実際に作るのを怠けている。現状パック液切れである。さっさと作らねば、クリーニング必要のレコードが溜まり始めているのだ。

 これも航海日誌と同じで、ある一定数を超えるとパックする気力が失せるのである。現在5枚がクリーニング待機中、この辺りが一つの境目になる。10枚も溜まったら、もうダメだ。

 明日は、ゼッタイ作るぞ。

’12/07/20 (金)

4年ぶりに


 レコパックもどきの主原料であるところの、フエキ アトフィスグルーである。1箱に650mlパック3個入り(品番 AGS65)で、1,260円。1パックあたり420円である。3箱(9パック)仕入れて3,780円。アスクルで買えば送料無料である。昨日の夜に注文したら、今日の夕方届いた。ホントに明日来る。

 2008年に3箱まとめ買いしたものの残量が少なくなり、4年ぶりに追加購入したのである。同時期に友達から1箱もらっていて、それが2パック分残っている。都合10パック分で4年間持ったわけだ。

 その間、何枚分のレコードをパックしたのか。剥離膜はすべて捨てずに保管(?)してあるから、数えれば分るがメンドクサイのでやらない。いずれにしても恐ろしい数になるだろう。ずいぶん長持ちしたものだと思う。ハイCPである。

 事務用品としての糊の主流は、固形スティックタイプであるらしい。リップクリームみたいなやつである。もし将来、完全にそちらへシフトしてしまいPVA糊が絶滅したら、レコパックもどきも共に絶滅せざるを得なくなる。こらエラいこっちゃ。

 余計な心配はせんでヨロシイ。その前に、己が絶滅するだろうから。

’12/07/19 (木)

山の蝉だからこそ


 アブラゼミに次いで登場したのは、ヒグラシである。今朝方、裏山から1〜2匹の声が頼りなく響いたと思ったら、夕方にはすっかり合唱になっている。時を同じくして一気に羽化したのか、徐々に増えて誰かが鳴き始めるのを待っていたのか。

 どちらかと言えば山の蝉で、大概は遠くからエコーを伴い、独特の憂いを持った声で聴こえてくることが多い。当地でもそのとおりである。だが、何を間違ったか突然庭の樹で鳴くことがある。至近距離で聴くこの蝉の声は、憂いも幽玄さもクソもない、たいへんにケタタマシイものである。ハードでシャープで切れが良く、しかも極めて高能率大音量。

 上の写真はヒグラシ♂、つまり、鳴くほうである。♀は鳴かない、と言うより、鳴けない。ご覧の通り、オナカの部分が光に透けている。ここが超高効率の共鳴室になっているわけだ。他の蝉に比べても、明らかに容量が大きい。

 幽けき声で鳴く蝉として、文学や俳句などに詠み込まれることが多い。しかしもしこの蝉が、アブラゼミやクマゼミの如く人間の生活圏内に棲む種であったならば、そうはならなかったかもしれない。ケタタマシイ声で鳴く暑苦しい蝉、として。

 尤も、彼らにとってそんなことは、どーでもいいのである。

’12/07/18 (水)

真夏の声


 今日は一昨日以上に暑い日になった。隣りの宮津市では、36.9℃の最高気温を記録したという。ちょっと風邪をひいた時の体温、みたいだ。村内では熱中症でぶっ倒れる人が出て、キューキュー車で運ばれた。皆さんも、お気をつけられて。熱中症を甘く見ていると、とんでもないことになりますよ。

 夕方、今年初めてアブラゼミの声を聴いた。ニイニイゼミは1週間ほど前から鳴き始めていたが、やはり関西の夏は、アブラゼミである。あのジリジリと暑苦しい声が、夏をさらに夏らしくしてくれるわけです。

 関東では、ミンミンゼミが鳴き始めているのだろうか。

’12/07/17 (火)

出梅


 ついに日付の補正を断念しました。以前にもまったく同じことを書いたことがある。汗顔の至り、お恥ずかしい限りである。これで2012年の日誌休載は47日となり、過去最多であった2008年の48日に迫る勢いである。エラいこっちゃ。どうかご容赦を。

 14日の土曜日から、猛暑が続いている。特に昨日、宮津市の最高気温は34.9℃だったと聞いた。日差しは強烈、吹く風は熱風、纏わりつくような暑さである。こりゃもう梅雨明けでよろしいんじゃないでしょーかと、思っていたら今日の午前中、気象台から発表があった。

 7月17日の出梅は、昨年より9日遅く、一昨年と同日になった。2012年の真夏は、今日から8月6日までの21日間、ということになるわけだ。ちょっと短いけれども、年中で最も好きな季節が、やってきた。うれしいなあ。

 と、同時にこの季節、僕は少々繁忙になるのだな。

’12/07/06 (金)

変身


 素晴らしい音だがやや寒色系、と感じたAT-OC9/III LTDの第一印象であった。さらにレコードを聴いて行くうち、寒色系と言うより少しばかりドライ、音が乾いていると表現したほうが正確なような気がしてきた。

 念のために書いておきたい。これはワルクチではありません。LYRA HELIKONの使い始めなども、同様の印象を持ったのを憶えている。つまり、エージング、或いはウォーミングアップによって解消する可能性が高いのである。

 そこで、振動系のストレッチになりそうなレコードを幾枚か再生したあと、ドライと感じたタイトルを再度試聴する。

 あっと驚くタメゴロー(古すぎて誰も知らん)。見事に瑞々しい音へ変化しているのだった。これは存外に大きな違いである。変わるだろうと予測していながら驚いた。中域の厚みも増し、ドンシャリ感は消え失せる。特に女性ボーカルの伸びが素晴らしい。美しくしかもパワフルである。思わず「いい音だー」と独り呟いてしまった。

 オリジナルOC9/IIIよりはハード&シャープであることは確か、その点では好みが分れるのではないかと思う。オマエはどっちが良いのだ、と問われると。うーむ。両者とも極めて魅力的な音、というほか、ありません。

 試聴の願いが叶えば、次は欲しくなる。毎度毎度のパターンである。

’12/07/05 (木)

明るく豪快


 28.30gという総重量に、いささか心配したEPA-100MkIIとの組合せである。まずは問題なくバランスして一安心。カウンターウエイトはやや後方に位置するけれども、もう少しの余裕あり。再生に支障はないだろう。

 ルックスはご覧の通りである。オリジナルOC9/IIIよりも精悍で品があると見るか、そっけないと見るか。個人的には、なかなか格好良いと思う。

 一聴、オリジナルとはかなり音が違う。中域〜高域は明るく切れがよい。実に鮮明で解像度も高く、一音一音が軽やかに飛び出してくるような印象である。と言って軽佻浮薄な音ではなく、実在感も充分。ソフトによっては明るく出過ぎる感は否めないものの、非常に魅力的な音である。

 低域は豪快の一言に尽きる。オリジナルがトレーニングを積み、下半身を筋肉の鎧で固めた、みたいな音である。ソリッドで締りがよく、それでいて深みと厚みがある。音程明確、ボケたりふやけたりする感じは皆無だ。

 微小信号への応答性も優秀なようで、広く高く深く、透明感抜群の音場を再現する。ただ、ちょっと透明過ぎる感もあって、温かみに欠けて聴こえることもあり。

 明るい中高域に豪快な低域、ということで、聴き手によってはドンシャリ系と判断されるバヤイもありそうだ。ニュートラル、オーソドックス、色付けの少なさ、という点では、オリジナルに分があるように感じた。どちらかと言えば、寒色系の音になると思う。

 ファースト・インプレッションとしては、こんなところである。試聴機とは言えエージング効果も期待できるだろうし、時間の許す限りじっくりと聴いてみたい。

 極めて優秀なカートリッジであることは、間違いないのである。

’12/07/04 (水)

実装完了


 AT-OC9/III LTD、PH-L1000に実装完了。記念に兄弟機と並べて撮影しておいた。

 リード線はMy SonicのMR-1Rh、取り付けビスはSUSキャップスクリュー18mm、ナットは工作名人謹製表面窒化純チタンナットである。この状態での総重量は28.30gと、かなりのヘビー級である。メリットでもあり、デメリットでもあり。

 ADプレーヤー1号、EPA-100MkIIでは、ちょっとばかり苦しいかもしれない。ともかくは試してみるけれども、結果が芳しくないようだったらばADプレーヤー2号、WE-407/23で試聴する。いずれにしても、当面はオリジナルとの傾向の違いが分ればグッドである。

 どのようなグワイでしょうか。

’12/07/03 (火)

ご厚意大感謝


 先月24日の日誌を読んでくれた友達から、とても嬉しい便りがあった。「今、audio-technicaからAT-OC9/III LTDを借りている、メーカーには又貸しの許可も取ってあるから、聴かないか」と。

 願ってもないことである。友達とaudio-technicaさんのご厚意には大感謝、ありがとうございます。とゆーわけで、僕の手元には「今最も聴いてみたいカートリッジ」が、あります。

 オーディオ誌やweb上の写真とは多少趣を異にし、実物のベース色目は青味がかった銀色である。チタンそのままの色か、多少なりとも染色してあるのかは、わからない。漆黒+金色のオリジナルよりもスマートで精悍な感じ。どことなくチタンの凄み、みたいなものが感じられる。

 実測重量10.55g。ほぼ諸元通りである。掌に載せてみると、オリジナルより重いことがはっきりと分る。カートリッジ自重で+2.5gの重量増は、決して小さいとは言えないのだ。

 オリジナル、LTD、両者の針先を20倍ルーペと実体顕微鏡で拡大視してみるも、僕の目では違いが分らなかった。接着剤の量にわずかな差があるようだが、おそらくバラつきの範囲だろうと思う。カンチレバーについても同様。スタイラスから振動系については、変更がないように見えた。これも諸元どおりである。

 現状、オリジナルに組み合わせているシェルは、PH-L1000である。LTDもまずは同じシェルで試聴しようと思う。AT-Ti15ANVとのカップリングは実に興味深いのだが、発音一番はできるだけ正確に音の違いを見たいからである。

 ヒジョーに、楽しみだ。

’12/07/02 (月)

ちょっと重め


 5月28日の日誌で話題にした、アメジスト念珠が出来上がった。今回はエラく時間がかかってしまったわけだが、それには理由がある。

 念珠パーツ屋さんから送られてきた珠のうちに欠けたものがあったり、穴が小さくて紐が通り難かったりのトラブルがあり、その対策に手間取ってしまったというわけ。結果的にはご覧のとおり、ちゃんとした念珠に完成したから、何の文句もない。ヨカッタヨカッタ。

 アメジストは、翡翠やローズクォーツよりも比重が大きいようで、同じサイズの珠を使ったそれらの念珠よりもやや重い仕上りとなった。個人的には重めのほうが好きだが、人によっては敬遠されることもあるだろう。また、重い念珠は紐の傷みが早く来る、というデメリットもある。

 その辺りのマニュアル付きで、プレゼントせねば。

’12/07/01 (日)

蛇蝎より嫌い

 ようやく航海日誌も7月になりました。何をやってるンだか。もうしばらくの間、日付ズレをご容赦ください。

 先日、箱船に入ってきた珍客のお話を書いたら、今度はゲジゲジよりもイヤな奴が、階段室に出現したのである。日誌読んでるのか。

 古の名に曰く「御器カブリ」である。たぶん、箱船に出るのは初めてではないかと思う。どこから入ったのか、まさか住人ではあるまいな。

 身近にいるムシの類では、最もニガテな部類に入る奴だ。「蛇蝎の如く嫌う」というが、僕は蛇蝎よりも嫌いである。あのカサカサした動き、長い触角、ゴシャゴシャした感じの脚、妙に艶のあるぺったんこの体。何から何まで、キボチ悪い。ので、今日の写真は自粛。

 できれば放置したいがそうも行かない。夜中に顔の上を歩かれたりした日にゃ、僕は死にます。ハチ撃退用に用意してあった「激噴射10m」とか言う殺虫スプレーで、「君に恨みはないけれど」と呟きながら駆除した。

 後の処理が、またキボチ悪い。