箱船航海日誌 2011年12月

日々雑感、出来事などを思いつきに任せて綴っていこう

過去の日誌コンテンツ

’11/12/31 (土)

回顧と御礼


 2011年も、あと2時間ほどで終わる。恒例に因って今年をふりかえり、ご閲覧くださった皆様方への御礼を申し上げたいと思う。

 オーディオ云々以前に、今年はとんでもない天災が起こった年であった。1000年に一度の大災害。特に東北地方の方々には、甚大な悲しみと深い傷跡を残すことになった。このことは、今もまったく変わっていない。おそらく何十年、否、百年単位の長い時間を経ても、容易に癒すことができないほど、傷は深いと思う。

 軽々しく「復興を願う」などと、僕は言えない。ただ、黙して祈るばかりである。

 さて、個人的なオーディオ方面は、これソフト一辺倒の年であった。ハード関係は一切変更なし。強いて言えば、4月にWE-506/30のメンテナンスが完了し、いつでも最良の状態で使えることになったくらい。新しいADプレーヤーを作る、などとエラそうに言いながら、結局何もできなかった。とにかくソフト、特にA級盤収集に血の道を上げたのだった。

 その甲斐あって、残り10タイトルまで追い込むことができたのは、とてもうれしいことである。ここまで来てはもうヤメラレナイ。最後までやり遂げねば男が廃る。来年もレコード検索にヒッシとなるだろう。

 webに関しても、特に大きな変化はない。相変わらずダラダラと駄文を連ねるばかりである。昨年、一昨年はお休みなしで乗り切れたが、今年は15回のお休みをしてしまった。にもかかわらず、たくさんのご閲覧をいただけて、僕は本当にうれしかった。折に触れてのご投稿、メールなども度々いただき、大いなる励みとなりました。心から御礼申し上げます。ありがとうございました。

 11年間も日誌を書き続けていると、ムカシ何を書いたか忘れてしまい、同じような話題を重ねることが頻発する。お恥ずかしい限りである。

 けれどもまあ、それもいいのかもしれない、とも思う。まったく同じ話題で書いたとしても、歳を取った分なにかしらの変化があるはずで、それを記録に留めておくだけでも無意味ではない、と考えるわけだ。歳を取って智慧をつけて、しまいにゃボケて死んじまう。その様子を辿れるならば、それもまた吉。

 正月は 冥土の旅の一里塚 めでたくもあり めでたくもなし

 皆様方、良きお正月をお迎えください。

’11/12/30 (金)

96.66%


 2011年中、最後に入手確定したA級盤である。「Bruno Hoffmann / Der glaserne Klang」(独INTERCORD INT160. 830)。第1集10番に選ばれている。

 ブルーノ・ホフマンのグラス・ハープは、第2集138番にも独FSM盤が入選していて、こちらのほうは比較的容易に入手できる。ところがこのINTERCORD盤は、大変な入手難なのである。少なくとも僕はそう感じている、というより、実際今日まで見つけられなかったのだから。探しても探しても出てこなかったレコードが手に入るのは、やっぱりうれしいのである。

 今年はどうしたことか、A級盤の大鉱脈にぶち当ることができて、随分と数を伸ばせた。何年かに一度はこういうこともあるのは確か、しかしここまでまとまった数で発見できたのは、近年極めて稀であった。

 300タイトル中、290番目の入手になる。残りは、第1集1タイトル、第2集2タイトル、第3集7タイトル、都合10タイトルである。数字だけをみればあとわずか、のようで、実は前途遼遠。今後はこの一年のように、上手くは捗らないと思う。

 来年こそは、コンプリート達成したいと思うけれども、さて。

’11/12/29 (木)

メカメカしく


 2011年も残りあと2日になり、気ぜわしいことこの上なし。オーディオするヒマもない。のだけれども、今日は無理矢理「忙中閑あり」っちゅうことにして、1時間だけトラブル回避成ったチタン-チタンの組み合わせでレコードを聴いた。

 このようなアングルで撮ってみれば、スペーサーを追加しただけのことなのに、ずいぶんとメカメカしく見える。僕としてはたいへん好ましく感じている。デクデクしていてスマートさに欠ける、こんなのイヤダ、というムキもあるだろう。

 先日も書いたとおり、やはり低域の力強さが印象的である。質はやや柔らかめ、しかし深々として重量感のある低域は、実に魅力的だ。微少信号の再現性も高く、余韻や響きといった微妙な音もマスキングされることなく鮮明に再生される。スペーサーのデメリット、音の上ではまったく感じない。

 重量28.26g。WE-407/23では何ら問題なく使える重さである。ただ、EPA-100MkIIでは、いささか苦しい。おそらくゼロバランスは取れるだろうけれども、良い音が聴けるかどうか。この点は明らかなデメリットだと言える。

 尤も、購入以来いろいろ試してみるに、このカートリッジはWE-407/23のほうがマッチンググッドなようだから、無理してEPAで使うこともない。これで、いいのだ。

 年末年始のどたばたが終わったら、腰を据えてゆっくり聴こう。

’11/12/28 (水)

不思議な改造


 ご覧の通り、10mmビスはぴったりとネジ穴に収まった。当り前のことだが、何だかうれしい。ビスの加工と言い名人謹製Tiスペーサーの追加と言い、実に細かなことながら達成感は大きいのである。

 先日webを徘徊していて、ネジ穴がバカ穴へ改造されたPARNASSUS D.C.tの中古品を見かけた。おそらくネジ式シェルに取り付けるため、だろう。思い切りの良さに驚きを持つ一方で、それはそれで困ったことになりゃせんか、とも思った。

 シェル接触面と反対側の取り付け穴開口は、写真に見える通りのビミョーな位置にある。平面ではないのだ。取り付くシェルがバカ穴ネジ穴どちらにしろ、斜面にナット、もしくはビス頭が接するわけだ。ヒジョーにグワイが悪い。

 前オーナーさん、どーやって取り付けていたンだろうか。ちょうどネジ+ネジの取り付け方法を思案していた時期だったから、すごく不思議に思ったのだった。斜面に合わせた特殊形状ナットを自作していた?

 もしそうだったら、素晴らしいのだが。

’11/12/27 (火)

甘く見ては遺憾


 25日は終日猛烈な雪降りで、とうとう50cmを超えてしまった。今日(26日)になってようやく天候少しく回復、27日朝は除雪不要でイケそうだ。ああ、ヤレヤレ。

 その25日午後、件の坂でトラブル発生。途中まで登りかけた車が、土手を滑り落ちてしまったのである。幸いは「転がり落ちた」のではなかったこと。登りかけそのままの態勢でズルズルと後方へ滑り、坂と町道にまたがるつっかえ棒のようなかたちで、ひっかかってしまったのだ。

 助けを求められ様子を見に行くと、前2輪と後1輪が宙に浮いている。車種はト○タのプリ○スである。この車はFFだから、こうなっては完全にお手上げだ。人力で何とかなるというものでもない。

 近所のおじさんたちが数人集まり、ブロックやテコ棒を挿しこみ救出を図るもびくともしない。当たり前である。シロウトの浅知恵で下手に触っては、事態をさらに悪化させるだけだ。最悪、怪我人が出ることも考えられる。ここはプロに任せるのが最良と判断し、JAFを呼ぶことに決定。会員になっておいて、ヨカッタヨカッタ。

 連絡から約1時間後、レッカー車とクレーン車が連れ立ってやってきた。それからは、文字通り「あっ」という間。写真は救出し終わった直後のものである。運転手のおじさんはJAF非会員で、無料というわけには行かない。しかし、僕が会員であることを告げると、30%OFFにしてくれた。

 坂は通常なら問題なく登れる程度、ほぼ完全に除雪してあった。そのあとにうっすらと積った雪があっただけ。なのに何故こんなふうになってしまったのか。

 運転手さん、スタッドレスタイヤを前2輪だけしか履いていなかったのである。後2輪はノーマルのまま。これでは全然ダメだ。当地のような雪国で、FF2スタッドレスなどという中途半端な装備は、ほとんど自殺行為である。FF4スタッドレス(僕がそうである)でも実は不充分。理想とされる4WD4スタッドレスですら、うっかりすると動けなくなることもあるのだ。雪道を甘く見ていると、とんでもないことになりますよ。

 車体の傷みはごく軽微、駆動系にも問題なく、なによりも怪我人、ヒトジニが出なくてよかった。JAFさん、頼りになります。どうもありがとう。

 おじさん、次はちゃんと4スタッドレスにしてから、登ってね。

’11/12/26 (月)

対策大成功


 24日〜25日にかけてさらなる積雪あり。今や50cmに達しようという勢いで、しかもこれでは終わらんらしい。昨日「車が土手を転がり落ちたり」なんて書いたら、ホンマに類することが起きてしまった。完全に除雪してあったにもかかわらず、である。それについては後日。

 さて、工作名人謹製Tiスペーサーである。実装完了。実測重量28.26gと、きっかり2gの増である。WE-407/23なら、何ら問題のない重さだ。新たにネジ山の一部を削った10mm長βチタン合金ビスもばっちり収まった。

 今回の試聴は、音よりもシェル首元の底打ちトラブルが回避できているかどうかを見るほうが、主である。上の写真は、アームが盤最外周にあるときのものだ。余裕でクリアできている。これだけのギャップを確保できていれば通常時はもちろん、多少反りの大きな盤でも支障は出ない。対策大成功である。

 音にも多少の変化はあるようで、低域の馬力、押し出しが強くなったような印象を受ける。スペーサーの効果か、単純にマスが増大したからか、それはよくワカリマセン。今日は除雪に追われて予定どおりに聴けなかったから、向後時間をかけて聴きたいと思う。

 工作名人のアイディア満載。おかげさまというほか、ないのである。

’11/12/25 (日)

Tiスペーサー到着


 24日朝の積雪は10cm弱、大したことはなかった。この程度なら、町道から境内への急坂も、僕や愚妻はヘーキで上り下りする。けれども、来寺されるお客様のことを思えば除雪は必須である。慣れていないと、簡単に脱輪、ならまだいいけれど、車が土手を転がり落ちたりしたらエラいことなのだ。

 午前中は除雪とオツトメに専一、午後になって工作名人からのチタンスペーサーが届いた。実物は、写真で見るよりもずっと美しい仕上りであった。小さくて軽いものだが、僕にとっては大いに価値あるパーツなのだ。何だかとてもうれしくなってしまいました。

 早速、仮止めしてあったカートリッジを外し、Ti15ANVに重ねてみたところが上の写真である。寸法ばっちり、平面精度抜群。ビスが通る穴は、2.6mmφで開けられたあと、手作業でヤスリがけされ仕上り寸法約2.8mmφ。微に入り細を穿つ、心行き届いた仕事なのである。

 あとはカートリッジを組み付け、試聴するだけ。だが、それは明日のこと。今夜は昨夜よりも冷え込みが強烈で、室温を上げ切れないのである。アナログ再生はキビシイ。ので、明日、充分に部屋を暖めてから、音を聴こう。

 底打ちトラブルを気にせずに。

’11/12/24 (土)

Silent Night


 当地の夜は、非常に静かである。まあ、昼間でもそんなにうるさくはないわけだが。ヘンピなところだから、当然なのである。

 それが今夜は、普段にも増して静かである。クリスマス・イヴのサイレント・ナイト。上手いこと行きすぎてます。この季節の異様な静けさは、いずれよろしくないことが起きている兆候なのだ。

 ご覧の有様である。今冬2回目の雪降り。今も盛大に降り続いている。前回とは違い、ある程度まとまった積雪になりそうな気配である。気温もかなり低い。明朝は除雪必至か。

 この寒さ天候、26日まで続くという。ムチャクチャな大雪にならねばよいが。

’11/12/23 (金)

準備完了


 昨日削った10mm長βチタン合金ビスのグワイをテストする。スペーサー無しでカートリッジを仮止めしてみるわけである。

 ズサンな品質管理の所為でNGになるかと心配したが、問題なく使えるようで安心した。ご覧の通り、いっぱいに締めこんだ状態で、カートリッジねじ穴から約2mm出っ張っている。これでいいのだ。出っ張り分はスペーサーの厚みが吸収し、本番ではねじ穴にきっちり収まる手筈である。

 貫通ねじ穴で、よかったと思う。これがメクラ穴だったら少々厄介なことになるところだった。ビスが長すぎると底当りして締められない。それを恐れて必要以上に短くすると、取り付け強度が落ちる。丁度好い加減な長さに切断調整すればよい。ネジ部分をきれいに切るのは、ヒジョーに気遣いなのである。

 ortofonやGRADO、BENZ MICROなど、海外メーカーのカートリッジにはメクラ穴タイプが多いようだ。欧米ではネジ丸出しがウケないのかな。と、改めて考えてみれば、手持ちのカートリッジはすべてネジ丸出しである。個人的には、そのほうが好きなのだが。ヤバン人なのだ。

 Tiスペーサー受け入れ準備、完了。

’11/12/22 (木)

ネジ山削り2回目


 工作名人謹製Tiスペーサーは、只今日本郵政(株)により輸送中。到着までの間、僕にはやっておかねばならないことがある。

 長尺βチタン合金ビスの、ネジ山削りである。長尺、とは大層な物言いで、長くなるのはスペーサー厚み分だけ、+2mmである。8mmビスから10mmビスになるわけだ。

 上は、削っている最中の画像である。さすがにチタンは硬く、ダイヤモンドヤスリでも容易には捗らない。ただ、SUSに比べると粘りが少ないようで、ヤスリの目詰まりが起きにくい。その分、ヤスリをあてている時の感触は悪くなく、気分的には楽である。

 バカ穴が開けられた2mm厚のスペーサーが挟まりビスが長くなることで、ネジ山を削る寸法を多く取れるようになる。これは何を意味するのか。シェル取り付け穴にビスを通し切ったときの遊び分に、余裕を持たせることができるわけだ。結果、カートリッジ取り付けが、少しばかり楽になる。

 と言って、喜んでバカバカ削っては遺憾。締め付けに支障が出るし、強度も落ちる。削り幅の許容範囲は最小4mm最大6mm。中を取って首下から5mm分を削った。

 1回目が上手く行ったからと言って、今回もOKかどうかは、わからない。なにしろ、ズブのシロウト作業である。品質の安定性は、最低なのだ。

 正常に使えるかどうか。テストは必須である。

’11/12/21 (水)

Ti-Ti-Ti


 昨日の日誌を書き終えたのは、すっかりゴゼン様(死語!)になってからである。それからホストサーバーへ転送するまでの間、僕は考えた。チタン板の裁断など、やはりできっこない。小さなビスのネジ山を削り飛ばすのとはワケが違うのである。

 それからフリーハンドで図面(と呼べるほどのものではない)を書き、工作名人のもとへ製作お願いメールを送った。それが午前2時半過ぎ。今朝(20日)になって「作りましょう」という、ありがたいお返事が届いた。

 と思ったら、まあ、なんということでしょう。夕方「完成しました」と画像付きのメールあり。僕はもうびっくりしてしまいました。昨夜の夢が今日実現してしまったわけである。トランジェント最高、超ハイスピード工作である。感謝の言葉もない。やはり名人は、一味も二味も違うのである。

 2mm厚純チタン、17mm×14mm。実測重量1.95g。純チタン比重(4.5)と形状からの計算値が2.031gだから、ほぼ一致している。-0.081gは、誤差の範囲と見てよいだろう。現状、PARNASSUS D.C.t+Ti15の重さは26.26g、それに1.95gが加わって28.21g。ビス長が8mmから10mmになる重量増分を含めても、28.5g以下には収まるだろう。まったく問題なし。

 それにしても、こちらの手前勝手な注文から日を置かずに作られたものとは思えぬ、素晴らしい出来である。昨日触れたトラブルが、スペーサーの使用で回避できることは、ULS-3Xとの組み合わせで実証されている。これさえあれば、安心してチタン-チタンの音を楽しめるのだ。

 イヤ、正しくは、チタン-チタン-チタンか。

’11/12/20 (火)

多難


 2010年2月13日の日誌に挙げた画像をご覧いただきたい。PARNASSUS D.C.t+ULS-3Xの組み合わせで起きたトラブルである。後日、スペーサーを挟むことで回避できたわけだが。

 それと同じトラブルが、今回の組み合わせでも起こる寸前である。上の画像の通り。現状、ギリギリグッドだが、レコード最外周でNGになる盤もあるし、反りの多い盤では全周NGになる可能性も充分にある。

 テクニカのシェルは、コネクターの首元をキャップスクリューで固定する構造になっているから、下方への出っ張り分が大きめなのである。取り付け前から良からぬ予感はあったのだ。これはギリギリになるンじゃあるまいか、と。その通りになったわけである。

 これを回避するに、僕のオツムで考えられる方法は2つ。一つは、スペーサーの使用。もう一つは、ホンの少しだけアームを尻上がりに調整すること。後者は緊急避難的、カートリッジへの悪影響も考えられる。あまり気が進まない。やはりスペーサー使用が無難か。

 とすれば、どのようなものを? チタン-チタンの音が聴きたくてヒッシになってきたのだから、ここで息切れするわけに行かない。チタン製スペーサー。と言っても、そんなもんはどこにもないのである。

 ないなら作れ。必要な厚みは1.5mm〜2mm厚程度。材料屋さんからチタン板を仕入れ、自作するしかない。寸法は17mm(シェル幅)×14mm、ビスが通る穴も必要になる。仮に2mm厚で作るとして、僕に切断ができるのだろうか。ジグソーに金属切断用の刃を付け、フリーハンドで切る。そんな無体な。相手はチタンですよ。

 ビスの次はスペーサー。多難です。

’11/12/19 (月)

工夫の甲斐、あり


 実測重量26.26g。SAEC ULS-3X(+セラミックスペーサー)との組み合わせに比べ、5.25g軽くまとまった。良いところだと思う。付属のゴムワッシャーは、先日作った0.26mmφ純銀線Oリングに換えてある。リード線は、My Snonic LabのMR-1Rh。

 チタンチタンとくずてつ靡く。だが僕には、この組み合わせにすれば素晴らしく音が良くなる、という確信があるわけでも何でもない。ただ、こうしたバヤイの音を、聴いてみたかっただけ。スケベ根性と好奇心に突き動かされているわけである。ひょっとしたらクセだらけの、とんでもない音になる可能性もあるのだ。

 PARNASSUS D.C.tは、どちらかと言えば古楽やバロック音楽、小編成のジャズなどの再生に本領を発揮するタイプである。その系のジャンルを中心に、幾枚かのレコードを聴いた。

 一聴して印象的であるのは、非常に静かであること。この点はMC-L1000と組み合わせたバヤイと同じ。カートリッジ、シェル(ヘッドケース)、ビスまでチタンで統一したわりに、クセっぽさはまったく感じられず、余分な音の付加もない。立ち上がりが俊敏、情報量も多く、音がのびのびと晴れやかに散乱する。これはいい音だ。

 ULS-3Xよりも低域が豪快に出る感じで、音に馬力がある。それなればと、試しにロックも聴いてみたら、男性的で骨太、しかも切れ味の鋭い音が飛び出してきて、ちょっと驚いた。チタン同士、だからどうかは分らないけれども、相性はとても良いようだ。

 取り付けに工夫した甲斐は充分過ぎるほどあったと思うし、また、小さなことながら達成感もある。アナログは、如何にも楽しいのである。

 Ti15ANVは、とても良いシェルだ。限定品であるのが、残念。

’11/12/18 (日)

取り付けOK


 AT-Ti15ANV+PARNASSUS D.C.tの組み合わせが、無事実現した。これで、聴いてみたくて仕方がなかったチタン-チタンの音を、ようやく聴けるのである。

 何の問題もなく実装できているが、作業そのものには少々の注意とコツが必要になる。まず、ビスは先にシェルへねじ込んでおく。通常のように、シェルとカートリッジを重ねておいてビスを通す、ということはできないわけだ。

 そうしておいて、ビスをカートリッジベース側にねじ込んでゆく。要注意はこの作業である。ビスに残したネジ山分を通過したあとの遊びは必要最小限にとどめてあるから、2本のビスを少しずつ、均等に締めねばならない。

 片側ばかりをどんどん締めてしまうと、カートリッジが傾いた状態でビスがロックする。文章で説明するとエラいことのようだが、実際にやってみればすぐに理解できることだ。メンドウだと思われるムキもあろうかと思う。個人的には精密機械を扱っているような愉しさを感じた。

 カートリッジベースに傾きなくシェルと均等に接し、両者の正中線が一致していることを注意深く確認したあと、ビスを確実に締め込む。ベースがチタン、ビスも合金とは言え基本チタンである。度を越して締め過ぎると、齧り付きを起こして緩められなくなるおそれもある。その辺は好い加減に。チタンプレップが必要になる、ほどでは、ないと思う。

 シェルとの接触面積は、ベース底面積の60%を超える程度で確保できている。ベストとは言えないが、悪くはないと思う。ルックスはご覧の通りである。チタングレー主体のカラーリングは、なかなか渋い感じ。僕としては、大いに気に入っている。ちょっと、鉄仮面みたいですが。

 次は、待ちに待った試聴である。

’11/12/17 (土)

加工完了


 加工が完了したβチタン合金ビスである。まずは最低必要数、2本だけである。毛を刈り取られたあとのヒツジ、トリミングされたプードル。

 切削面の仕上りが荒れている。そこはシロウト作業のご愛嬌、ということで。ネジ山を削り取った分、ビスとしての強度は明らかに落ちているはず。猛烈なトルクで締め付けるわけではないから、βチタン合金の頑丈さに期待しましょう。

 画像をご覧になって、首下部分(キノコの笠と軸の接合部分)がきれいな直角になっていないことに引っかかる方もいらっしゃると思う。削りが甘くテーパー状になっていて、このまま締め込むとシェル平面に頭が密着しない、延いては、確実な固定が実現できないのではないか、と。

 先月19日の写真をご覧いただきたい。少し分りづらいけれども、AT-Ti15ANVの貫通穴上面側には、ネジ穴径よりも僅かに大きく、0.5mmほどの深さでザグリが入っているのである。このザグリがあるおかげで、首下の削り甘さから逃げられるのだ。

 尤も、今回はたまたま幸運に恵まれたに過ぎない。例えば同じネジ穴式チタンヘッドシェル、山本音響工芸HS-5のバヤイ、こう上手くは行かない。ザグリがないからである。首下をきれいに削るには、より精密で切れ味の鋭い工具が必要になり、僕には追い切れないだろう。

 明日は、このビスを使いカートリッジ実装に取りかかる。

’11/12/16 (金)

勘定だけは、合っている


 以前、SUSキャップスクリューの小頭化を図った折、名人からもらったチャッキング治具を使い、手持ちのドリルとダイヤモンドヤスリで加工する。対象となるビスは、例によってβチタン合金製M2.6×8mmである。

 ネジ部8mmのうち、首下約4mm分を削りたい。相手は硬く丈夫なβチタン合金である。ヤスリに切削油を垂らし、ドリル最高速回転でじわじわ削る。その道のプロがちゃんとした工具を使ってやれば、まさに一瞬の作業であろうと思う。そこはドシロウト、しかも急造工具である。回転にヤスリを持って行かれそうになりながら、どうにか完了した。

 AT-Ti15ANVのヘッドケース厚みは、ノギスで測って3.95mm。残ったネジ山がネジ穴を通過したあと、ビスがストレスなくフリーに動くためには少々の遊び分が要る。ので、首下4mm〜4.1mm程度のネジ山を削り飛ばし、先端から3.9mm〜4mm分を残した、つもり。PARNASSUSのネジ受け部厚みが3.8mm〜3.9mmだから、計算の上ではぴったりと収まる、はずなのだが。

 シロウトのいい加減な加工である。上手く行くのだろうか。

’11/12/15 (木)

両者無改造のための加工


 上の図は、シェル、カートリッジ両者取り付け穴がネジ切りタイプになっているバヤイにも、こうすれば両者とも改造なしで取り付けが可能になる、と指し示されたものである。仕組みをお分りいただけるだろうか。

 シェルの厚み分だけ、ビスのネジ山を削り飛ばしてしまうわけだ。そのように加工したビスをシェル上面からねじ込んでゆくと、残されたネジ部を通りすぎたところでビスの動きはフリーになる。そうしておいて、カートリッジベース穴にビスをねじ込めば、めでたく締め込み固定できる、というわけである。

 何と上手い方法だろうか。教えていただいたあとで言えるのは「その手があったか」の一言だけだが、これは逆転の発想。少なくとも僕のアタマでは絶対に思い付けない方法である。機械構造に関する豊富な知識と圧倒的な経験があったればこその、発想である。さすが工作名人。

 さて、この方法を採用するとなれば、まずはビスの加工が必須である。名人からは「加工してあげる」とのありがたいお言葉を頂戴している、のだが、最近朽ち果てているように見えて僕も自作派のハシクレだ。手持ちの道具で遣り繰りし、加工にトライしてみる。

 しくじったら、名人にお縋りしよう。

’11/12/14 (水)

独り膝を大叩き


 オーディオ・テクニカの創立50周年記念チタンヘッドシェル、AT-Ti15ANVの優秀さにイロケが出て、LYRA PARNASSUS D.C.tとの組み合わせを聴きたくなった。何としてもカートリッジボディからヘッドケースまですべてチタン、とゆーのを実現させたいわけである。

 ところがこれは上手く行かない。Ti15の取り付け穴はネジ切りタイプ、PARNASSUSは写真の通り、ベースにネジが切ってあるタイプ。ネジ+ネジ=取り付けNGである。

 ネジネジの組み合わせでも、無理矢理やってできないことはない、とも思う。かなりグワイの悪いことに、なるはずだ。音は出るだろう。けれど、そのような状態でレコードを再生できるほどの度胸を、僕は持ち合わせていない。

 ではどーするか。写真のシェルはSAECのULS-3Xだが、たまたまカーソルプレートをバカ穴改造した中古品があったから、それを使ってある。Ti15も同様にバカ穴改造するか。或いはPARNASSUSを? どちらも気が進まない。復元不可能な改造は、できるだけ避けたいのである。

 血の巡りが悪い頭でナンボ考えても、コトは先行きしない。困った時の神(僕のバヤイ、仏)頼み、工作名人に相談する。

 さすが、である。バカ穴改造も悪くはない、しかし、その前に一度試してみるべき対策あり、と。その実際を聞いて僕は、「なあるほどなあ、この手があったか!」と独り膝をぱんぱん叩いてしまった。

 明日以降、詳しく報告する。

’11/12/13 (火)

痕跡を求めて


 もし、極細リングがテーパー部分に嵌り込んでいる、或いは一部でもテーパーエッジに引っかかっているとするならば、細線表面にその痕跡を見ることができないだろうか。と、考えて撮ってみたのが上の画像である。

 一旦締め付けたあと、取り外して撮った0.26mmφ純銀線Oリングの拡大画像だ。写真上方向がアーム側になる。

 期待したほど鮮明ではなかったのが残念。けれども、細線径の1/2やや上くらいの位置に、うっすらとスジ状の傷が付いている、ように見える。おそらくこれは、アーム側コネクター受けのテーパーエッジ部分が細線にめり込んだ痕ではないかと思う。

 この痕跡からすると0.26mmφ細線は、テーパー部に一部が引っかかってはいるものの、すっかりスキマに入り込んでいるわけではないらしい。

 このことについては、工作名人から詳細な報告をもらっている。実験から導かれた結果をもとに、厳密な計算が為されたレポートである。0.2mm、0.26mm、0.28mm、それぞれを使った場合、テーパー部分とどのような位置関係になるのかを図解してあり、たいへん分り易い。

 0.26mmφを使ったバヤイの図を見ると、今日の画像から推測される位置関係にほぼ一致している。「ガタを誤魔化すことなく確実に固定する」のが目的の極細Oリングであるならば、0.26mmφは最良ではないが悪くもない、という感じ。レポートでは「上限0.26mmφ、推奨0.2mmφ」とある。ただ、テーパーの深さ、角度などはアームによってバラつきがあるはずで、最適値はアームの数だけある、っちゅうことになるだろう。

 現状、拙宅ではWE-407/23で実験したのみである。今後はEPA-100MkII、WE-506/30などでも試してみたい。

 小さなことだが、音は、確実に変わります。

’11/12/12 (月)

侮り難し


 0.26mmφ純銀細線Oリングの実装状況である。シェルコネクターとアーム側コネクター受けとのギャップは極めて狭い。リングは辛うじて目視できるが、半分程度テーパー部分に埋まっているようにも見える。もしそうであるならば、狙いは大当りである。この点については後日、改めて報告したいと考えている。

 締め付けグワイは独特で、これまでに使ってきたワッシャ・リング類とは一線を画するものである。従来は、どこまで締めても「本当に締まっているのだろうか」との疑いを拭い去ることができなかった。そのような疑心暗鬼が解消されるような感触だ。ギュムッ、と締まってガッチリ食い付き、もちろんガタはない。「ギュッ」ではなくて「ギュムッ」と。「ムッ」の部分が、重要なのだ。

 この状態での音には、いささかならず驚いた。ヒジョーに良いのである。殊に素晴らしいのは、音の立ち上がりである。モタつきが、まったくない。瞬時にピークまで達する感じだ。濁り、滲みが減り、晴れやかで見通しのよい音場が広がる。極めて細かな音までが鮮明に再生されている印象である。

 地味で細かな部分でありながら、再生音へ与える影響の大きさを、改めて思い知らされた。侮り難し、シェルコネクター。

 この実験、もう少し続けます。

’11/12/11 (日)

極細Oリング


 0.26mmφ純銀線をリングワッシャとして具する。ここまでの細線になると最早リングワッシャとは呼べず、極細Oリングとも言うべきものである。

 例によって7.0mmφドリルビットの根元(刃のない部分)に巻き付け切り離して作った。フィット感は上々、まずはうまく出来たと思う。けれども、実はこの方法、ベストではないのだ。

 微小なテーパー部に滑り込ませるのが目的で、極細線を使っている。であってみれば、Oリングはコネクターに密着していなければならない。わずかでもユルかったりするとテーパー部からハミ出てしまい、上手く収まってくれないのである。

 あらかじめ成形してはめ込むのではなくて、細線を直接コネクターに巻き付け、両端を捻って締め上げるのがベスト。密着度は確実に向上する。但し、この方法だとリングに結び目ができることになる。障害にならないのか。心配ご無用。アーム側コネクター受けにはロックピンのガイド溝があるから、結び目をその位置に持ってくれば、締め付け時の邪魔にはならない。

 捻り式は次回で試すことにして、まずはC型成形タイプを検証する。

’11/12/10 (土)

天体ショウ


 今夜(10日夜半〜11日深更)は、皆既月食が見られる夜である。日本全国で観測できるのは、11年ぶりと聞く。

 今回ほど観測条件の良い皆既月食は稀だそうで、天体マニアさんたちは大喜びしているらしい。僕はというと、冬の日本海側でそんなモンが見られるわきゃねえ、などとふてくされていたのだが、案に相違して今夜は絶好天である。

 皆既食の始まりは10日23時05分、最大食23時31分、11日01時18分の部分食終了を以って、天体ショウは終わる。これを書いている今、11日01時14分。もう終りかと外へ出てみたら、さっきまで絶好天であったものが、全天厚い雲に覆われて雨が降っている。月食の終りを待っていたようで、何だかフシギな感じである。

 上の写真は11日0時09分に撮ったものである。皆既食が終り、日食で言えば「ダイヤモンドリング」の状態になったところだ。安物のデジカメで目一杯ズームして撮った、わりには悪くないと思うが、如何でしょうか。

 赤銅色の月は、実に幻想的である。地球の本影に隠されているはずの月が、真っ黒の新月状態にならず赤く見えるのは何故か。地球によって遮られた太陽光が、大気の影響で屈折散乱し、うっすらと月を照らす。その際、波長の短い光は減衰する。結果赤く見える、というわけだ。

 次に見られるのは、2014年10月8日だそうです。

’11/12/09 (金)

微妙な部分


 まずは上の図をご覧いただきたい。ヘッドシェルコネクターとアーム側コネクター受け部分との関係を、単純化した断面図である。

 そもそも、何故にワッシャーが必要なのか。図では省略されているが、シェルコネクターにはロックピンが、通常上向きに1本備わっている。したがってシェルを引き付ける力が上側に偏り、下側に微妙なスキマが生じる。それがガタの原因になるわけだ。

 その不グワイを根本的に解決するには、ロックピンを上下2本にすること、いわゆるダブルロックピン方式である。実際にそうなっている市販品も、少数派ながら存在する。だが、これはこれでデメリットあり。精度が悪いとロックリングが締められなくなる。或いは、ロックリングの内側に切られた旋条を削り取ってしまう。仮に、シェル側の精度が担保されていたとしても、アーム側に問題があればたちまちNG。汎用性を著しく欠くのである。

 それでは商品として成り立ち難い。仕方なしにシングルピン仕様とし、ガタはワッシャーでごまかしているのが、多くの場合なのだ。ごまかす、という点においてはゴムだろうと金属だろうと変わりはないわけで、根本的解決には至らない。ワッシャーは、必要悪なのだ。

 そこで、上の図である。コネクター受けの内周エッジ部分は、ほんの僅かにテーパーが付けられている。少なくとも手持ちのアームはすべてそうなっている。ワッシャーに使う金属線の径を細くし、このテーパー部分に滑り込ませ、全周においてガタなく固定しようという狙いである。

 では、どの程度の線径が最適なのか。テーパー部はごく僅か、しかもアームによって異なる可能性もあるから、実際に試してみねば何とも言えない。つまり、現物合せでカットアンドトライするしかないのだ。

 昨日載せた0.26mmφ、0.28mmφのワイヤーが適当であるのか、或いはもっと細いほうがよいのか。また、細くなればそれなりに使い方が難しくなることもあるだろう。狙いどおりにうまく行くかどうか。

 などと、知った風なことを書いている。すべて工作名人の発想、提案なのだ。僕は金属細線、オマケに図まで送ってもらい、ラクチンに実験するだけ。ありがたいことなのである。

 如何にも微妙な部分だが、試行する価値は、大いにあると思う。

’11/12/08 (木)

細いのにはワケがある


 工作名人の友達から、写真の如くのものをもらった。細い金属線である。左は0.26mmφ純銀線、右は0.28mmφSUS線である。

 用途は今さら説明するまでもない。先日から実験しているところの、シェルコネクターリングワッシャである。それにしては随分細いじゃないか。これにはちゃんとワケがある。さすが工作名人、僕などよりもずっと考察が深いのだ。一味違う。

 詳しくは明日以降に。

’11/12/07 (水)

KM-001


 7日は随分とオツトメが立て込んでしまい、早朝出発夜更けの帰宅になった。少々疲れたけれども、無事に勤められて安堵している。ヨカッタヨカッタ。

 帰ってみれば、写真のCDがフランスから届いていた。「Michael Ponti live on Klavins Mod. 370 / M.Mussorgskij F.Chopin F.Liszt」(独KLAVINS MUSIC KM-001)。友達の依頼により、入手したものである。

 発見が難しいKLAVINSのCD、特にこのKM-001は滅多に出ない。今回は、完全な出会い頭である。価格もたいへんリーズナブル。中古CDとしてごくフツーの値段である。このタイトルとしては極めて安いと言える。よほど行いが良いのだろう。もちろん、僕の、ではなくて、友達の、である。

 検盤を兼ねて一通り試聴した。久しぶりに聴くスーパーピアノ、モデル370の音は、やはり凄い。長岡先生の推奨盤としては、KM-008(ベートーヴェンのピアノソナタ集)のほうが有名だが、個人的にはKM-001のほうが好きである。

 古いCDだが、良いものは時を越えて、良いのだ。

’11/12/06 (火)

そんなに作ってどーする


 6〜7mmφの丸棒をジグにすれば、もっときれいでジャストフィットの輪ッカが作れるはず。と踏んでホームセンターへ物色に行く。

 ところが、適当な径の丸棒が、ないのである。あったのは細い手で6mm、その上は10mm。いちばん肝心なところが跳んでいるのだ。「いつも本当に欲しいものが手に入れられない」などと、佐野元春みたいなことを呟きながらドリルビット売り場の前まで行った時、ハッと気がついた。

 1mmφから10mmφまで、0.5mm刻みのドリルビットセットが手元にあるではないか。それを使えばいいのだ。帰ってみれば、作業しているすぐ横に、置いてあった。ナンデ気が付かんかなあ。

 画像に写っているのは、7mmφビットである。ご覧の通り、銅線をコイル状にクルクル巻き付け、1周分ごとに切り離せば、歪み少なくコネクターにぴったり嵌るリングが、簡単に量産できる。6.5mmφ、7.5mmφでも試したが、7mmφがベターだった。

 面白くなってどんどん巻いてどんどんちょん切ったら、あっという間に10個以上できてしまった。そんなに作ってどーする。これじゃまるで落語「牛の丸薬」だ。これ持って売り歩いたら、少しは懐が温かくなるかな。

 そら温(ぬ)くなるやろ。元はコイルやがな。

’11/12/05 (月)

純金リングへのイロケ


 自作リングワッシャを実装した様子は、上の写真の如くである。別段どうと言うこともなく、ごくフツーにおさまっている感じ。もちろんガタは一切なく、何らの不グワイもない。元々がキャブタイヤケーブルの芯線であったとは、なかなかに痛快である。

 再生音の変化、僕には判別できない。何となく締りが良くなった、ような気がしないでもない。が、何も変えずに付け外しするだけでも音に違いが出たりするのが、この部分の常である。つまり、何の問題もない、ばかりか、たいへん優秀でもあるわけだ。

 この成功に気を良くして、僕は純金線リングワッシャへのイロケが強まってしまった。結果はどうあれ、何だかムショーにやってみたい。0.5mmφ×10cmの純金線は2,258円。リング1個にはおよそ2.5cm必要だから、10cmから4個取れて@564.5円の勘定になる。

 現自作品からすれば、恐ろしくローCPっちゅうことに、なります。

’11/12/04 (日)

0.04g


 折角作ったのだから、やっぱり実際に試用してみたくなる銅線リングワッシャである。

 PH-L1000のものとの違いは、おそらく金メッキの有無だけだろう。ゲンミツにいえば、フツーの銅とかOFCとか、そーゆー差異があるのかもしれないが、まあその辺はいい加減に。重さを量ってみたら、どちらも0.03〜0.04gくらいと出た。ほとんど差はない。針圧への影響は、ないと見てよいと思う。

 この交換で、音が変わるのだろうか。変わらんだろうなあ。仮令変わったとしても、僕の耳で聴き分ける自信はまったくない。それでも構わないのだ。そこに自分の手が入っているというだけで、満足感と達成感が得られるのだから。

 僅か0.04gの小さなものながら、自作は楽しい。

’11/12/03 (土)

リングワッシャを作ってみる


 掲示板にいただいた疚しげさんからのご投稿に倣い、僕もリングワッシャを作ってみた。

 材料に使ったのは、8sqキャブタイヤの芯線である。0.45mmφ。PH-L1000の付属リングが0.5mmφだから、それに近いところで作ってみよう、と。

 手順そのものは極めて簡単である。シェルコネクターに巻き付け、形が取れたところで切り離せばよいだけ。なのだが、実際やってみると、きれいなリング型にするのがけっこう難しいのである。イビツになったり捩れたり、ブカブカになったり。

 コネクターの径は8mmである。これに巻き付けるのではなく、別に6〜7mmφの丸棒を用意しジグとして作ったほうが、うまく行きそうな気がする。あらかじめやや小さめに作っておき、コネクターに付けてぴったり、という線を狙いたいわけだ。次からはそうしよう。

 いずれにしてもこれはグッドアイディアである。この発想で、線の材料を変えてみても面白いかもしれない。調べてみると、0.5mmφ程度の純金線、純銀線なども入手可能なようだ。純金は銅よりも軟らかいから、この用途には向いているのではないかと、思ったり。

 金、銀、銅リング。オリンピックじゃないケレドモ。

’11/12/02 (金)

過去の遺物


 今日も電球の話題であります。

 断線した2灯と、切れる寸前の1灯、結局都合3灯の電球交換になった。すっかり忘れていたのだが、3本すべてシリカ(ナス?)球だった。4年ぶりの交換、どころじゃないかも知れない。いつから使っていたのだろうか。

 写真左と中央の2本が断線球、右が疲労困憊球である。切れた2本は薄黒く煤けている。長期間の使用で、昇華したタングステン(フィラメント)が付着しているのである。特に中央の電球は、マックロケ。フィラメントは導入線・アンカーから完全に脱落し、振るとカラカラ音がする。アナタはがんばった。

 新しい電球は、カタログ上の寿命が2000時間、ということになっている。次の交換は、また4年以上あとになるのだろう。

 しかし、である。経済産業省は、2012年までに白熱電球の生産を全面的に中止とする方針を打ち出していると、仄聞する。実際に東芝、三菱などは口金E26タイプの白熱電球(ボール球を含む)の生産中止を決めているらしいし、パナソニックは2012年までに電球型蛍光灯タイプの割合を70%にまで引き上げると表明している。

 次の交換時期には、おそらく白熱球を使おうにも手に入らないだろう。となれば、電球型蛍光灯か、LED電球か。或いは、今のうちに白熱球を大量に買い溜めしておくか。いつまで生きるつもりだ。

 箱船は、照明までが前時代的になりつつある。

’11/12/01 (木)

プレ大掃除


 また早くも12月がやってきた。恐ろしい天災と、数多の悲しみ痛みを忘れる間もなく、2011年が暮れてゆく。

 写真の白くて丸い物体は何か。オーディオ機器の一つ、ではない。イヤ、広義に解釈すればそうと言えなくもないか。箱船1階のランプシェードである。

 ガラス製、正確ではないが直径は30cmくらいだろうか。写真では上下が逆さまになっている。下側(使用状態では上側)に丸く口が開いていて、そこからソケット(電球)が入りフタをしてネジで固定する、という構造である。

 先日、7灯あるうちの1灯が断線した、と思ったら、その隣りも続けて断線。同じような時期に交換していたから、切れるのも同じような時期になったわけだ。寿命は正直です。

 ので、久しぶりに、おそらくは4年ぶりくらいになるだろう、電球交換をした。最近の白熱電球は、おそろしく長寿命なのである。こんなので商売になるのだろうかと心配するほどに。交換のついでにシェードを掃除する。1階は生活空間ではなく、しかも禁煙である。しかし4年ともなると、上面はさすがに埃が溜まっている。密封状態の内側は大丈夫かと思ったらさに非ず。何故か知らんがうす汚れていた。

 電球照度は従来と同様、しかし随分と明るくなった。新品電球とシェード掃除の相乗効果である。現在、照度が著しく落ちている1灯がある。断線寸前なのだろう。切れる前に手を打っておこうかな。

 プレ大掃除のつもりで。