箱船航海日誌 2011年08月

日々雑感、出来事などを思いつきに任せて綴っていこう

過去の日誌コンテンツ

’11/08/31 (水)

最短記録


 26日の話題にしたレコードが、早くも届いてしまった。発送完了の知らせがあった日から5日、これは到着所要日数の最短記録である。こんなに早くに届くのならば、国内購入と少しも変わらないのである。

 発送元はパリ、送料12ユーロ、日本円換算で1,300円〜1,400円くらい。特別に高いわけではない。国際優先便での発送だが、同じ方法でも、もっと遅いこともある。遠い国からやってくるわけだから、色々な事情があるのだろう。もちろん、ショップの対応が特に優れているということも、ある。それがいちばんの理由かもしれない。

 ジャケット、盤の状態は、並程度。素晴らしく良いとは言えないけれども、中古盤としては平均的なものだ。個人的には、全く文句ございません。このレコードが買えたことだけで、僕はとてもうれしいのである。

 例によって、只今レコパックもどき中。試聴が楽しみである。

’11/08/30 (火)

巡り合わせ


 滅多に見つからないレコードを発見し、この機を逃してなるものかと飛びついた途端、同じものが別のショップに安くで出ている。よくあることだ。巡り合わせの妙、とでも言うべきか。人生を誰かに編まれているような気もする。

 写真のレコードは、そーゆーパターンにはまった典型例である。外盤A級セレクション第3集246番「Julie Kabat / ON THE EDGE」(米LEONARDA LPI119)。後に発見したほうは、先に発見したものの1/16という超安値であった。通常、1枚あればそれでよいわけで、けれども安いものを見逃すのも何だかクヤシイ。それも買ってしまった。

 状態はどちらも極上である。ジャケットはピンピンだし、盤には再生した形跡がほとんど認められない。新盤同様である。何故だろう。

 「楽譜を超越した歌」「わけはわからなくても不思議な魅力」。長岡先生の評である。既にこのタイトルを持っている友達は「メレディス・モンクに似てます」という。

 状態の良さは、このような内容のおかげだった、のか。

’11/08/29 (月)

貧すれば鈍す


 外盤A級セレクション第2集133番「J.S.BACH / DIE KUNST DER FUGE BWV1080」(仏ERATO STU71121)。未入手タイトルのうちの1枚(2枚組だケド)である。

 在欧ショップのカタログに「あったあー」と、大喜びして注文、しかけてレコード番号をよく見たら、「71121」ではなくて「70121」だった。如何にジャケット写真が挙っていなかったとは言え、タイトルをよく読めばすぐにわかるはず。溺れる者は藁をも掴む。貧すれば鈍す。欲に目が眩んでいるのだ。

 ハズレであったことと、それ以上に自分の愚行にガッカリしてしまった。注文を確定させる前に気付いたのが、せめてもの救いか。

 こーゆーこと、実は初めてではありません。アホか。

’11/08/28 (日)

苦慮

 いささかヤヤコシイ問題が身辺に発生し、対応に苦慮している。オーディオとは全く無関係、言うなれば人間関係に起因する問題である。

 人付き合いは、難しい。若い頃はさほどに思わなかったことだが、40代以降、それを痛感させられる場面が多くなったように感じている。何故だろう。

 ああもう、メンドクサイなあ。

’11/08/27 (土)

大聖不動明王


 我が村の水源は、ウチから程近い山中にある。そこにはご覧の通りの小さな滝があり、下流の貯水池には常に満々と水を湛えている。生活廃水とは無縁の水源であり、水質はかなり良い。

 滝の脇には不動明王が祠ってある。今日はそのお祭りで、お召しによりオツトメしてきたのである。昔は、粗末で小さな厨子に納められたご本尊様が、岩の上にひっそりと祠られているに過ぎなかった。「これじゃあんまりだ」と、地元石材店の社長が総御影石造りの立派なお堂を自費で建立し、今に至っている。

 不動明王の梵名(本名、のようなものです)は、アチャラ・ナータという。「アチャラ」は「動かない」、「ナータ」は「守護者」を意味し、「揺るぎなき守護者」と訳される。どのような変事にも微塵も動じることなく、災厄から人を守護する、ありがたい明王様である。

 水源にお不動さんを祠っている例はたくさんある。生活に不可欠な水源を災厄から護ってくださるようにという、人々の願いがそうさせているのだ。迦楼羅焔(火焔)に包まれ憤怒の表情、儀軌は右手に倶利伽羅剣、左手に羂索(縄)を持ち、「衆生守護、救済のためにはここを動かじ」と決意して屹立されるお姿は、実に頼もしい。

 このお祭りが終われば、季節は秋の口である。

’11/08/26 (金)

Elyon EL35016発見


 外盤A級セレクション第3集228番「GUY MORANCON / MUSIQUE PROVENCALE D'ORGUE」(仏Elyon EL35016)。副題に「Dix Noels de Provence traites a l'ancienne interpretes par le compositeur. (古い理論による10のプロヴァンスのノエル)」とある。

 このレコードも、僕にとっては非常な入手難であった。実物はもちろん、カラー写真すら発見できない。そもそも、Elyonというレーベルのレコードを、ほとんど見かけないのである。あっても別のタイトル、しかも出てくる数は極めて少ない。

 半年ほど前、ようやくカラーのジャケット写真だけはwebから入手できた。こんな画、色だったのかと、知ったら余計に欲しくなった。しかし現物はどこにもない。例によって「メゲず腐らず諦めず」の精神で、毎日毎日検索を続けてきたわけだが。

 とうとう見つけた。在フランスのショップが持っていたのである。幸い、日本への発送にも対応してくれるショップで、大急ぎで注文を確定させたのだった。うれしいなあ。

 未入手A級盤残数はまだ多い。引き続き、諦めずに。

’11/08/25 (木)

整理下手


 写真は、1996年8月に音楽之友社から刊行された「輸入盤CD読本」という古いムック本である。A5判215項、当時の定価1,500円。

 前半は音楽評論家各氏による推奨CD記事、後半は「アルファベット順海外レーベルガイド270」となっていて、僕としてはこちらが読みたくて買った本である。

 実はこの本、永い間行方不明だった。日誌を書く上での資料にしたくて、そこら中何度も探し倒したのだがどーやっても見つからない。こりゃあもう不要になった本に紛れて捨ててしまったかと、ほとんど諦めていたわけだ。

 つい先日、オーディオとは全く無関係のものを探していて、偶然に発見した。通常あり得ないようなところに、仕舞い込んであったのだ。そら見つからんわ。いったい僕は何を思ったのだろうか。自分がやったことに違いないながら、さっぱりワケがわからん。

 ともかく、あってよかった。マイナーレーベルの国籍や設立年月、正しい読み方やロゴマークなどを調べるのにたいへん重宝する本である。世にあるレーベル全てを網羅しているわけでは、もちろんないけれども、有用であることに違いはない。

 ところで、そのとき探していた「オーディオとは全く無関係のもの」は、みつかったのか。ダメである。何をやってるンだか。どうせまた、とんでもないところに仕舞い込んでいるのだろうな。

 整理がヘタクソなのは、困ります。

’11/08/24 (水)

不明を恥じ入る


 ARGENTO CL-113について、ぷあさんからご投稿をいただいた。早速にブログを拝読し、我が不明を恥じ入ったのである。

 「CL-113には初期型、後期型がある」と書いた。大ウソである。ぷあさんの記事により、二者は型番も違う、別物であったことが判明。僕が「初期型」(臙脂色ベルベット)と思い込んでいたほうは「CL-113」、「後期型」(紺色)は「CL-113W」であったのだった。

 大急ぎで保管してあった紺色のほうの元箱を確かめると、ちゃんと「CL-113W」とある。うーむ。原典をあたるを懈怠し、分ったようなことを書いてしまったわけだ。極めて遺憾である。ここに、お詫びして訂正し、また、ぷあさんには御礼申し上げます。ありがとうございました。

 ぷあさんお手持ちのCL-113は、ボディがピンク色になっている。このタイプは初めて見た。僕のものは「W」と同じ、白である。おそらく、ピンクのほうが旧いのではないかと思う。しかも未使用サラピン。これはかなりの貴重品だ。

 写真中、上はCL-116の箱である。ベルベットの製造国、毛足についての記述はない。使い方が事務的に説明してあるのみ。もちろん、それで何ら問題はないわけだが。

 オーディオファンとしては、何だかちょっと寂しいような気も、する。

’11/08/23 (火)

CL-116


 ドラムとオーディオ、ともども昔から大いにお世話になっている楽器店へ、久しぶりに顔を出した。車で5分くらいの、すぐ近所である。開店して以来20年以上の付き合いで、今では愚息ドモも頻繁に出入している。親子二代で、ご厄介になっているわけである。ありがたいことだ。

 スネアドラムのヘッド(皮)を買いに行ったのだが、ついでに写真のモノも買ってきた。LPレコード用のダスパー、NAGAOKA ARGENTO CL-116である。

 二つ買ったのではない。左は大昔(たぶん20年以上前)に買い置きしておいた、当時はARGENTO CL-113である。現在使用中。確か800円くらいだったと記憶する。イタリア製の高密度ベルベットを張ってあり、非常にグワイが良い。僕はこれの大ファンです。

 実は、113には初期型と後期型がある。写真に見える紺色ベルベットは後期型、初期型は臙脂色だった。初期型はさらにクリーニング能力が高く、おそらく乾式クリーナーでは最高ではなかったかと思う。使いすぎてハゲチョロケになったものが、どこかにあるはず。

 現行商品、116。写真でおわかりいただけるだろうか。113後期型と似た色のベルベットではあるけれども、毛の密度がずいぶん違うのである。比較すると、かなり低密度である。これが直ちに「良くない」ということになるのかどうか、僕にはわからない。ただ、何となく頼りないように感じられるのは、僕だけだろうか。

 とは言うものの、このようなアナログ周辺アクセサリーを、今に至っても現行商品として売り続けるNAGAOKAさんは、エラい。しかも、MADE IN JAPANなのだ。いや、素晴らしい。一瞬、まとめ買いを考えて、すぐ思い直した。

 僕はもう、それほど若くはないのだ。

’11/08/22 (月)

チタン製指かけ、出ました


 音元出版 Audio Accessory誌第142号を読んだ。僕はこの雑誌を第42号(1986年秋号)から購読し始めたから、今号でちょうど100号分、月日にして25年が経つわけである。歳も取るはずです。

 「AA特選アクセサリー」のページに、山本音響工芸からの新製品が掲載されている。写真のものである。ヘッドシェル用指かけ TY-1。純チタン製、指かけとしての長さ20mm+M2ネジ部2.5mm、0.45g。1本1,995円。先端部分に溝が切ってあり、好みに応じてシリコンゴム製Oリングを付けられる仕組みになっている。

 山本音響工芸からリリースされているヘッドシェル5種のうち、HS-2以外の4種(HS-1A、3、4、5)に交換取り付け可能。他社のシェルでも、指かけがM2ビスで固定してあり、ネジ穴の深さが2.5mm以上あるタイプなら取り付けることができる。

 HS-5(純チタン)のユーザーであり、しかもチカラ技で指かけを自作交換している僕としては、ヒジョーに興味を惹かれるのである。これを使えば指掛けまで丸ごとチタンとなるわけで、音の良し悪しはともかくとして、試してみたくなるのであった。

 自作SUS製の自重は0.47gだから、重量的には全く問題ない。ただ、20mmはちょっと長いような気がするし、デザインも個人的にはイマイチな感じ。あとは1,995円という価格をどう考えるか。自作品は204円、1/9.78である。現状より9.78倍、音が良くなるかな。

 ゴチャゴチャ言うとらんで、やってみればよいのだ。

’11/08/21 (日)

行く夏

 まるでスイッチを切ったように、夏が終わってしまった感じ。3日前まで36℃超えの猛暑、明くる日から−10℃、唐突に秋雨モヨウに変わってしまった。今日も少し肌寒いような、鬱陶しい空模様が続いている。

 夜明けは遅くなり、日暮れは早くなった。ついこの間、夏だーと喜んだばかりなのに。僕はもう、悲しくて悲しくて、とてもやり切れない、のである。

 残暑は厳しい、という。いくら暑くとも、もう夏ではないのだ。

’11/08/20 (土)

長岡鉄男七不思議


 外盤A級セレクション第2集196番「Wolfgang Fortner / Prismen, Bluthochzeit Zwischenspiele」(独wergo WER60 077)。このタイトルは入手からずいぶん時が経っている。1989年7月だから、もう22年も前になるわけだ。

 にもかかわらず、僕はほとんど聴いた憶えがないのだった。いい加減なお話である。たぶん、一度か二度かは聴いたはず。けれども、内容がどんなだったかゼンゼンわかりません。そのようなレコードを聴こうという気になったのには、ワケがあります。

 長岡先生の紹介記事と、実際の内容とに食い違いがある、という。友達から聞いた話である。そのことにすら、僕は気が付いていないのだから仕様がないのである。

 紹介記事の一部を掲げる。「プリズム(引用者注:A面)は曲、演奏、録音とも優秀。ライブであり、途中に客席の咳やざわめきも入り、最後は割れるような拍手」とある。ところが実際の内容は、咳もざわめきも、最後の拍手も、まったく入っていないというのである。そんな話を聞けばやはり気になるわけで、早速に確認してみた次第。

 ホントにその通りである。フツーに静かだし、演奏終了後の拍手もない。優秀録音であることは間違いなく、しかしライブではないような気がする。摩訶不思議。

 録音テイクが違う、という可能性は、低いと思う。だとすれば、長岡先生の勘違い、か。この本を書かれた頃の先生は多忙を極めていらっしゃったから、どちらかといえばこの線が強いのではないか。設計した覚えのないスピーカーが知らん間に出来上がっていたり、O出版社へ渡るべき原稿がK出版社へ行き、そのまま記事になってしまったり、かなりトンチンカンな取り違えが起きたこともあるのだ。

 先生がご存命ならば確認もできるけれども、今となっては真相は闇の中。ここはひとつ「長岡鉄男七不思議」として、永く顕彰しましょう。

 同レコードをお持ちの方、是非聴いてみてください。

’11/08/19 (金)

枯渇


 優秀盤含有率が極めて高いレコード鉱脈を発見したのは、3月末頃であった。それから早5ヵ月、さすがに枯渇してきたようなグワイである。

 となれば、新しい鉱脈を発掘せねばならんわけだが、それは決して容易ではないのである。単純にwebで検索、発見したら買う、というような方法だけでは、追い切れないのだ。

 もう一捻り、これまでとは違った手法はないかと、血の巡りが悪い頭で思案している。検索手法を検索してみようかな。世の中には、そのスジの名人が、必ずいるはずだ。

 けれども冷静に考えてみれば、そのような方法を簡単に明かすわけはないのである。門外不出の秘策である。下手にバラせば、ライバルを増やすだけ。

 やはり、自分の頭で考え動き、秘策を編み出すしかないのだろうなあ。

’11/08/18 (木)

KLAVINS


 ドトウのお盆が済んで一息ついて、やっぱり僕はレコード検索を続けている。発見できるできない、買える買えないにかかわらず、情報収集が楽しいのである。

 お盆前、ちょっと珍しいCDを発見した。上の写真である。長岡ファンなら既にご存知、独KLAVINS MUSICのスーパーピアノ、モデル370での演奏を録音したCDである。

 カタログナンバーKM-002、003、007の3タイトル。僕は手持ちがあるけれども、買い逃した友達からの依頼に応じての入手である。002、003は純然たる中古盤で、状態はまあまあ。再生に問題はない。007は未開封新盤である。いずれも極めて常識的な値で買うことができた。

 国内では入手困難で、あっても凡そ高価である。プレス枚数、販売期間ともにある程度限られていた所為だろうか。買いそびれた人は少なくないように仄聞する。

 惜しいことだと思う。サウンドマニアだけでなく、プロのピアニストをして目を輝かせるに至る、オーディオ的にも音楽的にも素晴らしいCDなのだから、もっとメジャーになって欲しいものだが、なかなかそうは行かないらしい。

 本当に欲しいものが手に入れられない。ナンデかなあ。

’11/08/17 (水)

イノチがけのSA


 14〜15日は、止むを得ずの三重県出張であった。まさにお盆の真っ最中であり、この時期の遠出は通常あり得ない。渋滞状況がどんなものか心配でならなかったが、上手いグワイに往路帰路ともラッシュの逆手を取る形になり、比較的スムーズであったのは幸いであった。

 写真は、道中通った名阪国道(西名阪自動車道と東名阪自動車道を直結する自動車専用道路:国道25号線)下り線にある、高峰SAから撮った大和平野である。実際には素晴らしい眺めなのだが、この写真はダメダメです。

 景色はたいへんけっこう、しかしこの高峰SA、「日本一危険なSA」として有名なのだ。何が危ないのか。

 本線からSAへの減速分流車線、SAから本線への加速合流車線が、異常に短いのである。しかも、本線は6%以上の急な下り坂で、入るときには急減速、出るときには急加速が必要。

 さらに、これまた悪名高き「Ωカーブ」の入りっぱなに位置していて、急加速して本線へ合流した途端、イキナリ右急カーブへ突入する。「下り坂右カーブ」が極めて危険であることはご存知の通り、実際、このSA近辺での事故はヒジョーに多いのである。

 今回、初めて寄り道してみたわけだが、有体に言って二度と出入したくないと思った。入るのも出るのもイノチがけである。特に出るバヤイはほんとうに恐ろしくて、興味本意で立ち寄ったことを後悔したほどである。

 こんなSAに、誰がした。

’11/08/16 (火)

怒涛の如く

 7日間のお休みをいただきました。

 今年のお盆は、恒例行事に加え火急のオツトメが複数出来し、本当にもうテンヤワンヤ(死語である)であった。日誌更新せねばと気ばかり焦り、けれどもとても手が回る状況ではなかったわけである。

 いつかはこのようなお盆があるンじゃないか、あったらエラいことになるだろうなあと、昔から恐れていたものが、とうとうホンマにそうなってしまったのである。いろんな意味で、かなりツラい日々でありました。

 幸いに、体調を悪くすることも事故もなく、どうやら無事に今日16日を迎えられた。心の底から安堵している。ご理解、ご協力いただけたご同業には、心からの御礼を申し上げる。ありがとうございました。

 嵐が過ぎて気が付けば、秋の虫が鳴き始めている。

’11/08/08 (月)

仮想のコンサート


 「Concert imaginaire」(仏INA-GRM INA C 1000)。長岡先生により紹介されて以来、21年も経ってしまった、如何にも旧聞なCDである。収録されている音源はさらに古く、40年くらい前のものだ。しかし、今聴いても音は極めて強烈である。はっきり言ってゲテモノの類、サウンドマニアにはたいへん面白く、音楽ファンには雑音かゴミ、といったCDだ。

 入手難のタイトルである。最近、海外オークションで発見し、ごく常識的な値で落札できた。これを永く探し続けている親しい友達のためである。

 このCDのADバージョンは、僕が知る限りでは存在しない。ただ、ここに含まれる作曲家一人一人の作品集としてのADは、全てではないものの過去にリリースがあったようで、時々オークションにも出ている。

 僕としては、大いに食指が動くのだが、INA-GRMのADはおしなべて高価で、容易には手を出せないでいる。ゲテモノ平気の僕でも、凡そ聴けないような壮絶ゲテモノの可能性もあるし。

 などと言いつつ、怖いもの見たさで、欲しくなるのであった。

’11/08/07 (日)

夏の節分


 絶好天の施餓鬼会であった。暑い中、お手伝いいただいたお当番諸氏、お参りいただいた方々には、心から御礼申し上げねばならない。ありがとうございました。

 暦の上では、本日を以って夏は終わりである。明日は、立秋。つまり今日は、夏の節分なのだ。梅雨明けからの31日間は、なんとも速く過ぎ去ってしまった感が強い。

 尤も、実質的にはまだまだ夏である。9日からは僕の大好きな棚経が始まる。今年は天候に大きな崩れはなさそうで、大いに喜んでいる。一昨年みたいな天候では、本当に困るのである。

 明日はちょっとお休みして、明後日からがんばりましょう。

’11/08/06 (土)

青空と百日紅


 先月半ばの台風6号接近以来、イマイチ夏らしくない切れの悪い天気が続いていた。ここに来て、夏、再始動である。

 青空と百日紅が美しくなれば、例によって施餓鬼会がやってくるのである。明日も終日好天の予報が出ているから、きっと暑くなるだろう。

 施餓鬼会は、暑くなけりゃ遺憾のである。

’11/08/05 (金)

みんなが欲しがるワケ


 昨日到着したレコードを聴く。

 A-1、BWV1009の第一楽章が流れ始めた瞬間、このレコードに人気が集まるワケを、心の底から納得した。ものすごくいい音。ものすごく良い演奏。こりゃあみんな欲しがるわ。なるほど、そうだったのね。

 こんなに切れと締りが良く、しかも豊かで輝かしく艶やかなチェロの録音を聴いたのは、初めてである。本当に「実際以上に生々しい」のだ。情報量が圧倒的に多く、演奏されているチェロの音を、細大洩らさずすべて記録してしまった、という感じの音。

 音像はやや大きめに出るけれども、不自然さは感じられず。これが実物大、なのかもしれない。録音ロケーションについて長岡先生の記事には、「スタジオなのか教会なのかわからない」とある。曲間に小鳥のさえずりが聴こえる部分があるからして、教会、或いはそれに準ずるオープンエアな場所での録音ではないか。少なくとも、厳重に防音処理されたデッドなスタジオではないと思う。エコーは短めだが、ちゃんと聴けて雰囲気もある。

 時節柄、時間的制限により今のところA面を聴いたのみ、しかしこのレコードの素晴らしさはよーくわかった。ああ、聴けてヨカッタ。僕は幸せだ。

 B面は、一息ついてからゆっくり聴こう。

’11/08/04 (木)

ジャケットの謎


 「J. S. BACH / SUITES POUR VIOLONCELLE 3 ET 4, BWV 1009 ET 1010 / Andre NAVARRA」(仏CALLIOPE CAL1642)が到着した。

 ジャケットは少々ヘタり気味(calliopeは元々ヘタり気味、とも言える)だが、盤はたいへん綺麗であった。ショップの自己評価「Near Mint. Nice and glossy and clean, no hairlines etc. a very nice copy. 」にウソはなかったわけだ。

 ちょっと嬉しかったのは、内袋にNAGAOKAのNo.102が具してあったこと。海外中古盤でこのケースは非常に珍しい。シワがほとんどなく、サラピンおろし立てのようだから、おそらくショップのサービスではないかと思う。No.102、海外でも買えるンだ。

 ジャケットはご覧の通り、鮮やかな赤、である。確か、長岡先生の紹介記事には「白地に黒とブラウン」とあったはず。僕も以前、茶色バージョンを見たことがある。ついでにもう一つ、同内容のモノクロジャケットバージョンもあって、何だかよくわかりません。

 プレスエディションで違うのだろうか。このタイトルはCAL1641〜43の組物もあるから、単売かセット売りかで分けてあるのかもしれない。僕としては、中身が同じであれば何の文句もないのである。

 「実際以上に生々しいサウンド」。楽しみである。

’11/08/03 (水)

ぶっ飛ばしてます


 「BACH BUSTERS / DON DORSEY」、1994年に買ったCD(米TELARC CD-80123)を聴いてみた。ずいぶんなご無沙汰である。

 とても優秀だと思う。音源は発振器の一種、シンセサイザーだから、いわゆる「生音」は存在しない。すべて人の手によって作られた、人工音なのだ。

 確かに人工的な音なのだが、よくあるイヤミのようなものはまったく感じられない。音がとても素直なのだ。歪み感が少なく、透明感がある。レンジは極めて広く、特に超低域の伸びが凄い。トラック3、イタリア協奏曲 BWV971 第三楽章は殊更にパワフルで痛快である。ぶっ飛ばしてます。バッハさんが聴いたらなんて言うかな。

 音場も、もちろん「作られた」もののわけだが、これがまた独特である。スピーカーマトリクス再生との相性が良く、部屋全体にふわりと拡がって心地よい。

 アコースティック楽器のように、実体が見えてくるような音像定位はなく、一つの音が一つの定位を持っているような感じだ。部屋中に浮かぶ大小無数のシャボン玉、といった情景をイメージしていただけばよろしいかと。実にフシギな鳴り方であると同時に、とても魅力的でもある。

 斯様なCDが、ADではどんなふうに聴こえるのだろうか。

’11/08/02 (火)

バッハをぶっ飛ばせ


 「BACH BUSTERS / DON DORSEY」(米TELARC DG-10123)。バッハの曲をシンセサイザー・ミュージックにアレンジしたタイトルである。編曲、演奏はドン・ドーシー。ディズニーランド・エレクトリカルパレードのテーマ音楽の編曲でも有名な人である。

 (P)(C)1985、録音も1985年と、かなり古い。けれども、音は優秀である。音源がシンセサイザーだから、厳密には「生音」は存在しないわけだが、だからと言ってシンセサイザー・ミュージックのすべてが優秀録音ではない。

 僕は長岡先生の紹介記事によって、1994年にCD(CD-80123)を買っている。初出はAD、当然ながらソチラのほうも探していたけれども、これがなかなか見つからない。偶さか発見できても非常に高価で手を出せず。今日まで入手叶わなかったのである。

 先日、海外オークションで超安値スタートのブツを発見した。そのままの値で終わるとは思えないものの、少しでも安く手に入れば儲け物である。スケベ心丸出しで入札しておいた。

 終わってみてビックリ。入札1件、スタート価格で落ちてしまった。どーゆーこっちゃ。この辺りが、オークションの妙なのだろうなあ。驚いたり、喜んだり。

 尤も、盤がどのような状態であるかは、現物を見るまでわからない。出品者自己評価で「Mint-」ということになってはいるけれども、さて、どうだろうか。ひょっとしたら傷だらけ、の可能性も、ある。

 17年越しのADである。到着が楽しみだ。

’11/08/01 (月)

a lot from a Library


 何だか7月は、あっと言う間に終わってしまった感じ。ほんとにあったのか。と思えるくらいに速くも、今日から8月である。どこかから夏の終わりが聞こえてくるような気がする。もちろん、まだまだ暑いし、今月はお盆が控えているのだ。

 中古盤をせっせと集めていると、盤やジャケットから前オーナーの気配が感じられることがしばしばである。サインがしてあったり、僕がやるのと同様に購入年月日が記されていたり、聴いた感想が書き込んであったり。

 最近買ったレコードのジャケットには、上のようなシールが貼ってあった。「A. Video 3385-26 Ex. B」「RESERVE」。裏面と盤センターレーベルにはバーコードシールも貼ってある。盤もジャケットも非常にきれいで、大切に扱われていたことが知れる。出所は、どこなのだろうか。

 ショップの商品説明に「I bought a lot from a Library」とあった。なるほど、図書館所蔵品の払い下げ、か。シール、バーコードは整理用なのだろう。

 たぶん、珍しいケースではないのだろうと思う。何処の図書館でも最近は、書籍を含めた所蔵品の一部をディジタル化する傾向にあると仄聞するし、きっとこのレコードもそのような経緯で不要になったのだろう。

 状態の良い中古盤が市場へ流出するのは、大歓迎である。僕はAD大好きだがオタクではないから、シールやバーコードなんかゼンゼン気にしない。どんどん出てきて安く買えりゃシアワセなのだ。

 というわけで、今月もAD探し、続けます。