箱船航海日誌 2011年06月

日々雑感、出来事などを思いつきに任せて綴っていこう

過去の日誌コンテンツ

’11/06/30 (木)

ある物体


 アルミ黒色アルマイト仕上げ、66mmW×48mmH×58mmD、368g。この物体は、先日友達からもらったものである。光学機器を構成するパーツの一部ではないかと思われる。

 この形を見て、「これは使える」と思う自作派オーディオマニアは多いンじゃあるまいか。僕もそのうちの一人である。ホーントゥイーターの置き台に最適の形状なのだ。サイズからして、大型トゥイーターには不向き。FOSTEX T-90A、或いは往年の限定名機FT-96HGくらいがちょうど良い加減である。

 その用途には同寸法のものがもう1個必要になる。友達からは同様形状のものを4個もらったけれども、残念ながらすべて寸法が違う。と言っても、僕にとっては何ら問題はない。トゥイーター置き台として使うつもりはないからである。

 僕はこれを、ケーブル支持器として使う。前々から実験しようと考えている部分があるのだ。それには寸法が不揃いでもまったく問題はない(揃っていないほうがよい、とも言える)し、4個あれば充分である。

 こんなものを一から作ったら、費用は相当嵩むだろう。実際、似たようなものが高価なオーディオアクセサリーとして売られていたりもする。元手ほとんどゼロの廃物利用で音が良くなるのならば、これほど痛快なことはないのである。但し、友達には随分骨を折ってもらった。ある意味、極めて貴重な「元手」である。ありがとうございます。

 お金かけずに手間かけて、ハイCPを実現する。

’11/06/29 (水)

あと一歩


 在ハンガリーのレコードショップから、最新のリストが送られてきた。このお店、A級盤の含有率がかなり高く、しかもヒジョーに安い。A級盤最低価格記録(2USD)を出したのも、ここである。

 早速チェックする。なんとなんと、ERATOの「L'EUROPE JOYEUSE」発見。エラいこっちゃ。価格は送料別で50USDである。この店としては高めだが、相場を考えると非常に安いと言える。これを買わんで何とする。

 大急ぎで注文を出し、返信を待った。が、残念。既に売り切れであった。みんなよく知ってるなあ。案内メールを受信後間もなくに注文して、この結果。クヤシイけれど、まあ、仕方がないのである。これまで通り諦めずにいれば、きっといつかは入手できるだろう。ちゅうわけで、上の写真である。

 「ハナ差」ということで。

’11/06/28 (火)

恐るべき透明感


 「STEPHEN PAULUS / Symphony in Three Movements ( Soliloquy)、LIBBY LARSEN / Symphony : Water Music」(米nonesuch 9 79147-1)は、長岡先生の評にいささかも違わぬ凄い録音であった。

 A面 STEPHEN PAULUS、B面 LIBBY LARSEN。僕が気に入ったのは、A面である。これほどの透明感と繊細感を併せ持った音は、滅多にない。歪み感や埃っぽさは、真実皆無である。誤解を恐れずに言えば、CDでは絶対に聴けない音だと思う。

 Dレンジが圧倒的に広く、音場感抜群、遥か彼方の隅々まで見通せてしまう。リアルの極致である。ひょっとしたら生で聴くよりも透明感が高いンじゃないか。オーディオではどうやっても再生できない生音があるのは、動かし様のない事実である。しかし一方で、生を超えるオーディオ再生も可能であると、僕は考える。

 無理矢理弱点を挙げるとすれば、圧倒的大音量で聴かずには居られなくなること、だろうか。もちろん、常識的な音量でも素晴らしい録音だし、良さは充分に伝わってくる。けれども、あまりにも歪み感がなく透明度が高いものだから、大音量再生しないともったいなく感じるのである。

 素晴らしいレコードだ。大々満足。

’11/06/27 (月)

異例の速さ


 18日に載せたレコードが届いた。注文が確定した日から起算して、ちょうど1週間である。比較的、発送・到着がスムーズなアメリカ発とはいえ、この速さは異例だ。輸送方法は「FIRST CLASS INTERNATIONAL SHIPPING」とあり、送料が特に嵩んだということもない。どうもよくワカラン。いずれにしても、速いのはいいことだ。

 早く聴きたい、が、残念今夜は時間がない。長岡先生をして「LSIなみに重水で洗ったような、チリひとつ、くもりひとつない透明感」と言わしめた音とは、どのようなものか。

 とても楽しみである。

’11/06/26 (日)

現在4回目


 Melodia盤MUSICA IUCUNDA、白レーベルの接写をご覧に入れる。紙が薄くムラがあり、文字印刷が掠れているのをお分かりいただけるだろうか。東欧共産圏製品のニオイ芬々、である。

 それはともかくとして。プチプチノイズ嵐を少しでも改善すべく、パックを3回実施し、再度試聴した。やはりそれなりの効果はあり、かなり静かになる。僅かではあるものの、音そのものにも向上(回復、と言うべきか)が認められた。傷に起因するノイズはどうしようもないけれども、汚れはまだ残っているのだ。

 只今4回目を実施中である。これまで、1面に実施したパック回数の最高記録は10回。馬鹿げたことと思し召されましょうが、決して無駄にはならないのであります。このレコードも、それと同等程度のパックを行ってみようと考えている。

 またまたパック液を増産せねば。

’11/06/25 (土)

こちらは優秀盤


 こちらの盤は、白に比べると基本的な盤質が良く、傷も少ない。但し、新盤同様、とは行かず。見た目G+、聴いてみてGくらい。プチプチノイズはやや多めである。おそらく、パック1回では取り切れない細かでしつこいゴミが、主な原因だと思う。

 内容は、白とまったく同一(もちろんHISPAVOX盤とも)である。音は違う。艶、切れ、輝き、伸び、透明感、そのほかの点すべてでピンクの圧勝。HISPAVOX盤に少しも劣らない、良い音である。うるさいことを言えば、ホンの僅か高域が荒れる、ような気もするけれど、あまり重箱の隅を突ついてみても仕方がないのである。僕としては大いに気に入った。優秀盤とするに充分な音だ。

 同じレーベル同じレコードでありながら、随分違うものである。盤質、プレス、マスター、マスタリングなど、音が変わる要素は無数にあって、僕のような者に何が原因かなど分ろうはずもない。ただ、面白いものだなあと、感心したり驚いたり。

 イロイロあるけれども、白・ピンクとも、僕にとっては大切なレコードになった。どちらかと言えば珍盤の類。実に楽しいのである。あとはERATO盤(『L'EUROPE JOYEUSE』 STU71098・EFM18047)が手に入れば、言うことなし、なのだが。

 例によって、諦めずに探し続けましょう。

’11/06/24 (金)

傷、発覚


 レコパックもどき完了。まずはセンターレーベル白(昨日の写真・右)から試聴する。

 パック膜を剥してみて、細かな傷が極めて多いことが発覚。埃と汚れの下に隠れていたのである。肉眼でもはっきりと確認できるが、試しにDigi-Scopeで拡大視したものの一部が上の写真である。音溝と音溝の間、山の部分が潰れ、溝を変形させている。これはヒジョーに良くない状況ではないのか。

 そのとおり。盛大なプチプチノイズの嵐である。針飛びこそ起きないけれども、たいへん耳障りで楽曲に集中できないほどだ。盤質G+からP-へ大幅格下げ。

 肝心の音である。HISPAVOX盤と比較すると、カッティングレベルがやや低い。切れが悪く薄いベールを被ったような印象は否めない。レンジが狭めで、音に伸びがない。傷に起因するノイズの影響を差し引いても、少々埃っぽく艶と輝きが失われている感じだ。とんでもなくヒドイ音、ではないものの、ちょっと残念である。

 ただ、元の音をいじって変形させている、ふうには聴こえない。傷以外に、元々の盤質もあまり良くないようだし、プレスの影響もあるように思える。ノイズ嵐の原因が100%傷によるものと断定できない部分もあるし、今後複数回パックを実施し、再試聴したい。

 次は、センターレーベルピンクの試聴へ移る。さて、どうなるでしょうか。

’11/06/23 (木)

モスクワから


 7日の話題にしたレコードが、モスクワから届いた。梱包は厳重丁寧だった。信頼のおけるショップだと思う。

 ジャケットは違うが内容は同じ、アトリウム・ムジケの「MUSICA IUCUNDA」である。レコード番号C10-09899。ランアウトグルーブにあるマトリクスナンバーはC10-09899/4-1(A面)、C10-09900/4-1(B面)と、これらも同一である。右の盤には(C)1980の表示があるが、左は表記なし。

 モノとしても同じかというと、そうでもない。まず、センターレーベルの色、質感が違う。右は白で、紙の質感が安っぽく、印字がかすれている。左は艶のあるピンク色、印字は鮮明でしっかりしている。デザイン、レイアウトも左のほうが高級感がある。

 盤自体にも明らかな違いがある。右はやや薄めで軟らかく、125g。左は厚めで硬く、133g。実際には、数字で見る以上に差を感じる。形状は、左のほうがエッジ部分の盛り上がりが少なく、全体的にフラットである。ソリも少ないようだ。

 状態は、G+くらいか。中古盤としては平均的なレベルだと思う。両者とも傷は少ないが汚れは多めである。レコパックもどきは必須だ。只今実施中。

 さすがソヴィエット時代のレコード、と感じたのはジャケットである。「ジャケット」というよりは「封筒」と言ったほうがよいだろう。ペナペナのヒラヒラである。特に右のほうは薄くて、コピー用紙を少し厚くした程度の紙である。背にあたる部分が裂け、一部印刷がハゲている。無駄なところには金をかけない共産主義、なのである。

 パック完了次第、試聴する。ヒジョーに楽しみである。

’11/06/22 (水)

安心感、極大


 工作名人謹製カップクランパーを使い、レコパックもどきを作ってみる。

 カップの固定は極めて確実強固で、長時間の攪拌にもビクともしない。安心感は極大である。写真には鉛インゴットが見えるが、これは後方(支柱側)に偏っているドリルスタンドの重心を補正するための、単なる重石である。カップ固定には寄与していない。

 クランパーをドリルスタンド支柱に固定するためのアタッチメント(リング状の金具)も、名人の作品である。スルッと嵌ってガタなし、ロックネジを手で軽く締めるだけでカチッと固定される。大掛かりな専用工作機器もなしに、こーゆーモノを自作してしまわれるのだから、やはり名人である。

 僕には極めて有用なツールである。関心のない人の目には、随分と大仰なものに映るだろうと思う。そこが、また、良いのだ。

 レコパックもどきを製造すること自体、すでに趣味なのだから。

’11/06/21 (火)

クランパー


 工作名人の友達から、実にグワイの好いものが届いた。レコパックもどき製造時に使う、カップクランパーである。

 従来は、カップを鉛インゴットで挟みつけるという、極めて原始的な固定方法を採っていた。一つ間違えばとんでもないことになる、いい加減なものである。実際、インゴットの置き方をテキトーにやり過ぎ、エラい目に遭ったこともある。馬鹿者である。

 このクランパーは、僕のドリルスタンドで快適に使えるよう、友達の手によってカスタマイズされている。ただし、最終型に非ず。今後、さらに機能性を高めるため、細部の追い込みが為される予定だ。僕としては現状のままで何ら文句はない。大満足だ。鉛インゴット方式なんかとは比べ物にならない(比較するのも失礼である)、確実な固定が可能である。

 ドリルの振動でカップが踊り出す危惧もなく、僕はとても嬉しくなってしまった。ので、早速レコパックもどきの追加分を作ろう。

 健全な工作は、健全な道具により実現される。

’11/06/20 (月)

安いもの好き


 昔、結構な値で買ったLPが、異様に安くで売られていたりすると、何だかとてもクヤシイのである。高かろうが安かろうが、既に持っているのだからそれでよい。と言い聞かせながらも、どこか仇を討つような気持ちで安値のほうも買ってしまうのだった。アホ丸出し。

 そのようなもののうちの一つが、外盤A級セレクション第2集109番「1er.LIVRE D'ORGUE / PIERRE DE MAGE / LOUIS NICOLAS CLERAMBAVLT」(仏ASTREE AS20)だ。6日に載せたほうは数年前、神戸の中古レコード店で手に入れたもので、4,800円。当時としては高価なほう、今ならさほどではない。

 つい最近、8USDで売られているのを発見。円換算で約660円である。激安。ASTREEレーベルのLPを、このような安値で買えることは極めて稀である。それが上の写真。盤、ジャケット、ともに状態は良く、何ら問題はない。特に盤は、極美品であった。何故に安いのか、ゼンゼン分りません。

 尤も、同じタイトルをもう1枚買っただけのお話で、別段どうということはないのだ。なのに「どや顔」したくなるのは、安いもの(安物、ではない)好きの大阪人だからか。

 この性分は、治りません。

’11/06/19 (日)

いいえ私は


 いいえ私は蠍座の女。いや、チガウ。私は蟹座の男であります。そんなことはどーでもよろしい。

 夏至が近づく夜、南の空低いところに目を遣れば、蠍座がウネウネとのたうっている。かなり大きな星座であるし、特徴的な形をしているから、とても分りやすい。僕はこの星座が現れ始めると、嬉しくて仕方ないのだった。

 オリオン座が消え去り、北斗七星が天空に昇り、蠍座が南天に横たわるようになれば、夏はもうすぐそこである。夏が来たからと言って別段素晴らしいことが起こるわけでも何でもないけれど、根拠のない期待感で心が晴れるのである。

 早く梅雨が明けないか知らん。

’11/06/18 (土)

未だ枯れず


 外盤A級セレクション第3集260番「STEPHEN PAULUS / Symphony in Three Movements ( Soliloquy)、LIBBY LARSEN / Symphony : Water Music」(米nonesuch 9 79147-1)。米nonesuchリリースのADは入手が比較的容易、なはずが、写真のタイトルはその限りに非ず。一所懸命になって探すが発見できなくて困っていた。

 いろんなキーワードで検索するも、出てくるのはCDの情報ばかり。ADが見つからない。CDは特段に珍しいわけでもないようで、多くのショップがカタログに挙げている。しかし僕は、どーしてもアナログ・ディスクが欲しいのだ。

 その思いが届いたか、或いは僕の強欲さに誰かが呆れたか、意外なところでポロッと発見。しかもかなり安価である。大喜びで飛びついた。どうやら鉱脈は、まだ枯れていなかったらしい。

 やはり、諦めては、遺憾のだなあ。

’11/06/17 (金)

鉱脈探し


 今年のA級盤探索は、どうしたことかたいへん順調である。このようなことは近年極めて稀である。

 A級盤に限らず、レコード探しというものは、ある種宝石や貴金属の鉱脈探しにも似ているような気がする。一発で当てるのは極めて困難だが、一旦当るとしばらくの間は鉱脈沿いにゾロゾロ出てくる。調子に乗ってそのまま行けば、やがて枯渇して何も出なくなる。そうなれば、また新しい鉱脈を探さねばならんわけである。

 現状僕は、鉱脈の中でもA級盤含有率が高い部分にいるらしい。たいへん結構なことである。だが、喜んでばかりも居られないのだ。当れば当っただけ買える、ほどの経済力があれば良いけれども、そんなことはあり得ない。ちょうど好い加減、というところがあるはず。それが、なかなか。

 尤も、即座に買えずとも、そのような現物が未だ存在することが判明するだけでも、充分に楽しめるのだった。ジャケットをカラーで見られれば吉、演奏者情報・解説文の拡大画像などはなおありがたい。次の鉱脈探しに役立つこともあるからだ。

 現鉱脈、そろそろ枯渇しそうな気配だが、さて。

’11/06/16 (木)

第29番作品106から


 このシリーズの録音で、僕が好きなのは、ピアノソナタ第29番作品106「ハンマークラヴィーア」である。ASTREEオリジナルADではAS47、このセットではDisc8になる。そこから聴いてみた。

 使用楽器は、1824年頃に造られたコンラート・グラーフ製のハンマーフリューゲルである。古い楽器であって、時々「ジン」とか「ニャン」とか余分な音が出るが、音はヒジョーに良い。厚く豊かで、しかも立ち上りが良く、生き生きとして美しい。歪み感極少、透明感抜群。

 SNが極めて良く、演奏の背景にある環境雑音が鮮明に聴き取れる。この点、デメリットのようだが実際には生々しさを演出する大きなポイントになっている。個人的には、聴いていてとても楽しいのである。

 現状、Disc8を聴いたのみ、それでもこのxrcd24セットが非常に優秀であることはよくわかる。第14番作品27の2「月光」、第21番作品53「ワルトシュタイン」、第23番作品57「熱情」なども聴かねばならんし、まだまだ楽しみは多いのである。

 アナログ、ディジタルにかかわらず、良いものは良いのだ。

’11/06/15 (水)

BEETHOVEN


 MYUさんから、ベートーヴェン・ピアノフォルテソナタ全集のxrcdセットが届いた。財団法人日本伝統文化振興財団 XRCG-30001〜9。xrcd24の9枚組BOXセットである。税込28,350円。

 音源は、言わずと知れた仏ASTREEによる録音である。昨年5月のクープラン・クラブサン曲全集に続く、ASTREE音源xrcd24復刻第2弾、ということになる。

 オリジナルADは、AS49(第31・32番 このセットではDisc9)、AS74(第19・20・22・23番 同Disc7)が「外盤A級セレクション」に選ばれているし、かつて別冊FMfanに連載されていた「外盤ジャーナル」にもたびたび取り上げられている。クープランのクラブサン曲集ほどではないけれども、現在ADの入手は非常に困難である。全曲まとめてのxrcd24復刻は、快挙だ。

 全66ページのブックレット付き。長岡先生直系であるところのオーディオ評論家、炭山アキラ氏による詳細な音質解説を読めるのは、とてもうれしい。楽曲解説も極めて懇切丁寧で、この方面に真っ暗な僕のような輩には、たいへんありがたいのである。

 早速、試聴する。

’11/06/14 (火)

神々しい


 「GUILLAUME NIVERS / Oeuvres vocales et instrumentales」(仏fy FY122)を聴く。(P)1985。'85年10月13日、16日、イヴリーヌ・ウーダン教会で録音。ルイ・テイリーのオルガン、アンヌ・マリー・マスラのヴィオラ・ダ・ガンバを伴奏に、アンリ・ルドロワ(CT)、ミシェル・ルドロワ(S)が歌う。オルガン独奏もあり。

 全編、響きが美しく音場感抜群。ジャケットデザインから受けるイメージと内容とに、共通するものがある。雰囲気がとても神々しいのである。僕の勝手な想像だが、おそらく日本ではこのような録音は不可能だろう、と。技術や機器云々よりも、宗教観や風土が多分にモノを言っているような気がする。

 個人的には、B面のオルガン独奏(組曲)が気に入った。オフマイクでありながら極めて鮮明で、音に透明感と浸透力がある。神々しく雅で、ある種の憂いと重厚感のあるオルガンはとても魅力的だ。M&K REALTIMEレーベル録音に聴くオルガンのような猛烈圧力はないけれども、これはこれで滅多に聴けない素晴らしい音である。

 今回はADプレーヤー1号での再生に、分があった。

’11/06/13 (月)

fyは難しい


 新着のA級盤である。「GUILLAUME NIVERS / Oeuvres vocales et instrumentales」(仏fy FY122)。第3集232番収録。

 A級盤300タイトル中、fyレーベルは139番、231番、232番の3タイトルが選ばれている。そのどれもが、非常に入手し難いのである。139番は2006年まで発見することができず。232番は今ようやくにして、231番に至っては未だ入手できていない。

 仏レーベルだからと、在フランスのショップやオークションを中心にあたってみるわけだが、空振ることがほとんどである。つい先日、在米ショップでジャケット写真を発見、あったあ、と飛びついたら「過去にはこんなレコードも売りました。」という販売履歴データだった。ガッカリ。

 今回のタイトルは、在ベルギーの中古ショップにあった。送料込み27.19ユーロ。円換算で約3,260円だった。長岡先生をして「超オフマイク録音の傑作」と言わしめたA級盤、しかも稀少盤であるならば、決して高い買い物ではないと思う。

 まずはレコパック。試聴が楽しみである。

’11/06/12 (日)

夏至も近づく


 夏至も近づく今日この頃、日脚が延びて薄暮の時間がとても長くなった。僕はもう、嬉しくて嬉しくて。

 午後7時半、西の空を仰げば写真の如く。色目を強調してあるように見えるかもしれないが、画像サイズを縮小した以外は無調整である。きれいな青空を背景に、紫色の雲が輝き映える。この季節の夕方にしか見られない、美しい光景である。

 ああ、好時節。

’11/06/11 (土)

親切なお店


 Melodia盤「MUSICA IUCUNDA」を注文したモスクワのショップは、とても親切である。注文確定のメールがあった次の日、再び連絡あり。「同じレコードを2枚注文されたようだが、間違いないか? ホントに送ってもよいか」と、確認念押しの内容である。

 「間違いない。2枚とも送ってチョーダイ」と返したらばその直後、「では、今日発送する」と返信が届いた。実に丁寧なのである。失敬なお話だが、僕はロシアの人を見直してしまいました。

 ところで、その「同じレコード」だが、確かにレコード番号は同じ、違っているのはジャケットである。中身の盤は、まったく同一のものなのだろうか。一説によるとMelodiaは、同じプレス・内容の盤を一般向けと特権階級向けとで、ジャケットデザインを違えてリリースしていた時期があるそうだ。

 今回のレコードがそれにあたるのかどうかは、わからない。ただ、7日の写真をみると、何となく左のほうが豪華で、右のほうは質素なように思われる。

 実物が届いたら、よーく調べてみるべし。

’11/06/10 (金)

個人的A級盤


 オビを拡大してみると、上のようなグワイである。「ロック・ヴァージョン ピーターと狼」。演奏者は全員ロック畑のミュージシャンで、全編ロックヴァージョンとしてアレンジされた「ピーターと狼」なのである。

 主なミュージシャンの役柄と担当楽器を挙げてみる。

 ピーター:マンフレッド・マン(シンセサイザー)
 狼:ブライアン・イーノ(シンセサイザー)
 アヒル:クリス・スペディング(ギター)
 アヒル:ゲイリー・ムーア(ギター)
 狩人:コージー・パウエル(ドラム)
 狩人:フィル・コリンズ(ドラム)
 狩人:ビル・ブラッフォード(ドラム)
 狩人:ジョン・ハイズマン(ドラム)
 など。

 '70年代ロック黄金期をリアルタイムにご存知の方であれば、如何にも懐かしく感じられる名前だろうと思う。マンフレッド・マンとかジョン・ハイズマンとか、今はどうしているのか。ブライアン・イーノは生きてるンだろうか。クリス・スペディングは「ギター・ジャンボリー」で有名。僕のドラムヒーロー、コージー・パウエルなどは鬼籍に入って久しい。

 高校生時分に兄が持っていたのを聴いたのが初めて、以来、ずっと気になりながら手にできなかったレコードである。たぶん、ちゃんと聴くのは三十数年ぶりくらいだ。

 カッコイイ。特にイントロダクションに続くA-2、コージー・パウエルがドラムを叩く「ピーターのテーマ」は、最高である。切れ味鋭くしかも骨太なグルーブに、彼の全盛期を感じる。いやあ、素晴らしい。このようなレコードになると、録音の良し悪しなんかどーでもヨロシイ。唯、大好きな音楽として大喜びで聴くだけである。

 ADはもちろん廃盤で、中古ショップで入手した。日本盤である。外盤もあるのだろうけれども、検索し切れなかった。CDも出てはいたようだがやはり現在は廃盤。中古盤があってもかなり高価である。ADよりも随分高くてビックリした。

 このレコード、個人的にはA級盤である。

’11/06/09 (木)

ピーターと狼


 写真は、A級盤でも優秀録音盤でも何でもない、もちろん名盤でもなければ特に有名な盤でもない。しかし、僕にとってはとても懐かしく大切なLPである。

 「ピーターと狼」。夙に有名な、プロコフィエフの曲である。但し、この盤にはちょっとした仕掛けがあるのだ。ロックファンの方ならば、すでによくご存知かもしれない。

 詳しくは、また明日。

’11/06/08 (水)

注文確定


 モスクワのレコードショップへ恐る恐る出した注文は、無事に受理されたようである。今日、送料込みの料金を知らせるメールが届いた。

 支払いはUSD建てになるそうで、LP本体9.42$+6.92$に送料21.54$が加わって、総額37.88$となった。PayPalアカウントからの払い出しになる。クレジットカード決済よりは安全確実、かな。日本円換算で3,118円だった。例によってレコードよりも送料のほうが高くついてしまったわけだが、送料込み1枚あたり1,559円なら、まあまあと言うべきだろう。

 Melodia(Melodya、とも)レーベル。ロシア語表記では「Мелодия」。より原語に近い読み方は、「メローディヤ」。「旋律」の意味である。前身は旧ソヴィエット連邦の国営出版公社「メジュナロドナーヤ・クニーガ」のレコード部門であった。舌噛みそうな名前だ。LPの製作は1940年頃から1990年半ばまで、歴史は古い。

 初期から1960年代にかけては、LPの原料である塩化ビニールの品質が低く、ノイズが多いそうだ。1970年代からはそれが改善され、盤質は飛躍的に良くなった。当時で言うところの「西側諸国陣営」メジャーレーベルと同等の水準に達していたという。

 僕が耳にしたMelodiaの芳しくない評価の原因、それはある程度判明しているそうなのだが、ちょっとここには書けない。一つ言えるのは、1970年代以降にロシア国内向け、欧州各国向けとしてプレスされた盤については、かなりの高品質を期待できるということ。

 「MUSICA IUCUNDA」のHISPAVOX盤は(C)(P)1976である。Melodia盤のプレスはそれ以降と考えるのが自然。それだけで音が決まるわけではないが、少なくとも盤質については問題なさそうである。尤も、これまでの扱いが悪かったなら、元も子もないわけだが。

 益々楽しみになってきました。

’11/06/07 (火)

Melodia盤、発見


 HISPAVOX「MUSICA IUCUNDA」のERATO盤、「L'EUROPE JOYEUSE(陽気なヨーロッパ)」を探しているうち、ちょっと面白いレコードを発見して喜んでいる。

 同タイトルの、ロシアMelodiaレーベル盤である。どうやらジャケットが2種類あるらしい。上の写真がそれである。どちらもタイトルは「MUSICA IUCUNDA」、演奏者も間違いなくATRIUM MUSICAEである。裏ジャケットの写真もあり、曲名・曲順を調べてみたがまったく同一であった。もちろんHISPAVOX盤とも一致している。

 以前からMelodia盤があることは知っていたけれども、どんなジャケットかはまったく不知であったし、あまつさえデザイン違いが存在するとは。何事も、調べてみねばワカランものである。

 さて、このレコード達をカタログに持つショップは、在モスクワである。最初にヒットしたときは全てロシア語記述で、何が何だかサッパリであった。幸い、英記述への切り替えボタン付きだったから良かったものの、原文のままだったら完全にお手上げである。

 左(緑と赤のほう)が245ルーブル(約735円)、右が180ルーブル(約540円)と、非常に安い。送料がどれほどか、今のところはっきりしないのだが、ともかく買ってみる。「Melodiaはあまり音が良くない」とは昔からしばしば耳にする評だが、どんなものだろうか。

 いろんな意味で、楽しみなレコードである。

’11/06/06 (月)

ナンギなASTREE


 外盤A級セレクション第2集109番「1er.LIVRE D'ORGUE / PIERRE DE MAGE / LOUIS NICOLAS CLERAMBAVLT」(仏ASTREE AS20)を聴く。前回聴いたのは何時だったか。あまり上手く鳴らせず、すぐにシッポを巻いて逃げたような記憶がある。

 今、改めて聴けば、長岡先生の評に少しも違わぬ良い音である。力強く、厚く、豊かに朗々と響き渡り、音場感抜群のオルガンである。特にB面、クレランボーの曲が良い。如何にもフランスの作曲家らしい曲風で、気品と重々しさがある。

 以前再生した時は、何が良くなかったのだろうか。どうにも歪みっぽく切れが悪く、霧の向こうで鳴っているような音に聴こえたのだが。おそらく、どこかの一点に問題があった、のではなくて、入口から出口までの総合的なバランスが悪かったのだろうと、今にして思う。

 もちろん、今が最高であるとか、これで完璧だとか、そーゆー不遜なことを述べるつもりはない。以前に比べれば少しはマトモになった、或いは、正常に近づいたと、その程度のことである。

 ASTREEレーベルのタイトルは、おしなべて再生が難しい。その分、上手く決まった時には最高レベルの音が聴ける。オーディオし甲斐があるとも言えるし、反面、なんともナンギなレーベルであるとも、言えるのだ。

 ヒジョーに、魅力的です。

’11/06/05 (日)

食欲、益々旺盛


 屋根の上から巣のある方を心配そうに見守る、イソヒヨドリ♀である。♂よりやや小型でスマート、体色はご覧の通りである。♂とは随分違う。

 ヒナはかなり成長したらしく、ご夫婦は日がな餌運びに奔走(奔飛?)している。食欲益々旺盛、最初は小さ目の蛾やアオムシなどを中心に運んでいたようだが、今はかなりの大物を持って来る。

 今朝方、♀が何やらグロテスクなものを咥え、写真と同じ場所にとまっている。よーく観察したら、体長10cmを優に超えようかという、大きなムカデだった。どーやってあんなにキケンなムシを捕まえるのだろうか。嘴で一撃必殺、かな。

 今のところ、♂♀とも愚猫の歯牙にはかかっていない。しかし、油断は禁物。特に愚猫2号ユズは、暇さえあれば(暇しかない、か)バードウォッチングに御執心である。学術的な観察をしているのでは、決してない。邪悪な意思を以って、彼らのスキを狙っているのだ。

 巣立ちまで、あとどれくらいなのかしら。

’11/06/04 (土)

聴けば命の


 もう一息勢いがないけれども、と言ってやたら鬱々としていても仕方がない。ムリにでも動いていれば、そのうち馬力もかかる、と考えておこう。

 と言うわけで、先月21日の話題に具したレコード、「RUDOLF MAROS / Gemma 他」(洪HUNGAROTON SLPX11775)を聴く。史上(私上?)最低価格レコードを保持するレコード(ややこしい)だが、先日も書いたとおり、盤は極めて美しい。レコパックせずとも、深い艶と輝きを見せている。

 ダスパーでのクリーニングのみで再生してみる。これはもう完全に新盤である。ノイズ極少、SN抜群。最も安くして最もきれいなレコード、と言ってよいと思う。

 録音については、既にA級盤として取り上げられているわけだから間違いはない。とても良い音だ。切れと透明感が凄い。しかも一音一音がしなやかで美しい。音場感は「渺々」とまでは行かないけれども、ごく自然で響きもきれい。これはいいレコードだ。

 但し、曲はモロ現代曲である。好みは分れるだろう。どちらかと言えば取っ付きやすいほうで、とんでもなく難解、ではない。個人的には、ジョージ・クラムに似ていると感じた。鬼面人を驚かす、ような要素は少なく、Dレンジを大切にした繊細で美しい曲風である。

 聴けば命の泉湧く。ちょっと、元気が出てきました。

’11/06/03 (金)

少々、弱気

 妙に寒かったり急に暑くなったり、この初夏はいつもにも増して天候不順のように思われる。その所為か、或いはここのところの寝不足の所為か、ここ数日体調イマイチで困っている。

 考えてみれば、10年前と同じようなリズムで生活しているわけで、もうじき50になる身には無理があるのかもしれない。生活パターンを年相応に組み立て直す時期が、来ているのかな。

 などと、少々弱気になってしまうのだった。

’11/06/02 (木)

CDも聴きます


 いつもいつもADばかり再生して喜んでいる、ようで実は、CDも頻繁に聴いている。あまり話題としないのに他意はない。

 プロジェクター天板の上にはご覧の通り、既に聴いたCD、これから聴こうとしているCDが、雑然と積んである。プロジェクターは可哀想に、CD置きテーブルに成り下がってしまった。遺憾なあ。

 CDプレーヤーは2002年以来のDP-85である。ディジタル信号を扱う機器としては、かなり旧いと言わざるを得ない。現状、大きな不満はないけれども、もし、最新のディジタル機器を聴く機会を得たならば、エラいことになりそうな気はする。聴かんほうが身のため、とも言えるかな。

 先代CDプレーヤー(YAMAHA GT-CD1)は10年使った。その周期で行けば、来年が更新の年にあたるわけだ。さあ、どーするか。

 狙っているモデルが、ないことはないのだが。

’11/06/01 (水)

もうすぐ夏至


 ついこの間、寒かった冬が終わりようやく春分がやってきたと思ったら、もう早6月になってしまった。夏至まであと21日。柿の花も咲いた。嬉しいような、ちょっと惜しいような、複雑な心境である。

 冬至から春分までの三月に比べ、春分から夏至までは、なんと日が過ぎるのが速いこと。冬の間だけ、どこかにワームホールを設置してもらいたいものだ。キップ・ソーン博士にお願いせねば。どこでもドア、でもいいな。

 現状、梅雨の鬱陶しいお天気が続いている。しかしこれが明ければ、待ちに待った夏がやってくるのだ。期待感は、年々大きくなるばかり。

 ここまで来れば、梅雨寒もなんのその。