箱船航海日誌 2011年04月
日々雑感、出来事などを思いつきに任せて綴っていこう
企画倒れ
fo.Qシートでの改善策は、見事に企画倒れとなりました。接触面積が小さいため、貼ってしばらくすると剥がれてくるのである。上から別のテープ類で押えればよいかもしれないが、ルックスはますます悪くなる。というわけで、さっさと見切りをつけて撤退する。 結局当初の予定通り、熱収縮チューブを被せる方法に決定。指掛けを一旦外し、適当な長さに切ったチューブを被せて熱処理後、元に戻す。ヒジョーにラクチン。テープを巻き付けるよりずっと簡単で、しかもきれいに仕上がるのである。 問題の滑りは充分に抑えられ、危機感なく盤に針を降ろせるようになった。ちょっとしたことだが、随分と違うものだ。音は、僅かに静かさが増し、解像度が上がった、ように感じないでもない。少なくとも悪くはなっていないようだし、使い勝手は良くなったわけだから、この対策は成功。と、いうことにしておこう。 指掛けネタは、これにてひとまず終了。するつもりであります。 |
fo.Qシート小片
またぞろHS-5指掛け改造の話題である。クドいのである。ここはひとつ、馬鹿でスケベな輩の戯言と、お許し願いたいのである。 音もルックスも良くなったと、独りで悦に入っている。しかし、滑りやすい。その改善策を色々考えていて思いついたのが、fo.Qシートである。 ADP1号・2号で現用しているfo.Qのターンテーブルシート RS-912には、0.5mm厚の粘着剤付き調整テープが付属されている。写真右端に見えるものがそれである。カートリッジやヘッドシェル、アームなどに貼り付けて使うように推奨されている。 質感は、天然ゴムとブチルゴムを足して2で割った、みたいな感じ。これの小片を指掛けの端に巻きつけ、滑り止めと鳴き止めの一石二鳥を狙う。そんなに上手く行くのかな。 対策後はご覧の通り、である。テープの類を巻くのは却下しながら、fo.Qならどうかとやってみたが、うーむ。やはり見た目は微妙だ。ルックス的にはないほうが良いと思う。けれども、折角巻いたンだから、ともかくは使ってみましょう。 グワイが良ければそれで吉、NGだったら別の対策を考えるべし。 |
巡り合わせ
今年の外盤A級集めは、何故か比較的順調である。何年かに一度は、こういうことがあるのだ。巡り合わせとは不思議なものだと思う。 上の写真は昨日、新しく手に入ったタイトルである。「PIERRE BOULEZ / TROIS SONATES pour piano / CLAUDE HELFER」(仏ASTREE AS60)。第2集114番収録。ジャケットに緑色のシールが貼ってあったり、センターレーベルには書き込みがあったりと、大変立派な中古盤である。盤質に問題はなかった。 このレコード、個人的には因縁深いものである。A級盤集めを始めて間もない頃、最初に買ったのはCD化されたものだった。ASTREE・AUVIDISとして「E」で始まるCDカタログ番号を使っていた時代だから、かれこれ20数年前である。 CDでも充分に良さが分る、けれども、やはりADが欲しい。ある時僕は、大阪のレコードショップでAD新盤を発見した。当然、買い。のはずが、何を思ったか買い逃したのである。 CDジャケットはADのデザインをそのまま縮小したものである。その所為で僕は、「既に持っている」と勘違いしたのだった。帰宅後、何となく不安だったのだろう、調べてガクゼンとした覚えがある。なんちゅうマヌケなことか、と。爾来、新盤はもちろん中古盤とすら出会うことなく、年を経ること幾星霜。 今、ようやく手にできて、大いに喜んでいる。いや、安堵感のほうが大きいかもしれない。何だか妙な感じである。20年以上経って、「機」が巡ってきたのだろう。気の長いお話である。 早速聴いてみたら、ムカシのCDを遥かに上回る良い音であった。 |
必要悪、ならば
滑りやすい、というデメリットの改善策は後日に回すとして、SUS303丸棒指掛けへ交換後の、音である。 オリジナル指掛け → LH13用へ交換した時の音は、向上こそすれ差は僅かであった。しかし、今回は違う。かなり明確に、音が良くなっているのだ。 一聴してすぐに分るのは、非常に静かなこと。ザワザワした感じが、驚くほど減っている。雑味が消えて繊細感と透明感が増し、聴感上のDレンジが広くなった。しなやかでスムーズでありながら、切れとスピード感のある、ヒジョーに良い音である。 このような変化を聴いてしまうと、やはりオリジナル状態では指掛けの鳴きが音を歪めていた、と言わざるを得ない。もちろん、拙オーディオ環境においては、という但し書き付きでのお話である。 では、SUS303丸棒が最高なのか。そうではないと思う。もっと良い素材があるだろうし、極論すれば指掛けを取り去ってしまうのがベスト、とも言える。なければ影響はゼロ、なのだから。 けれども僕は、指掛けがないと困るのだ。曰く必要悪だとするならば、「ある」ことを前提にでき得る限り影響の少ないものにしようと、四苦八苦するわけである。そういった、一種無駄な行為に血の道を上げるのも趣味のうち、と考えるのだ。 真鍮丸棒への交換、は、もうよしておきたい、ような、やってみたいような。 |
何が目的だか
ヘッドケースとSUS丸棒指掛けの接合部分は、こんなふうになっている。オリジナル用のざぐり加工部が顕わになり、ちょっと気にならないでは、ない。まあ、仕方ないのである。カートリッジ取付面への出っ張りがなくなったのは、メリットだ。 使用感は、微妙である。剛性がぐんと向上し、撓りがまったくないのは大いにケッコウ。長さもちょうど好い加減だと思う。ただ、やや細い上に素のままの丸棒なので、やはり滑りやすい。これは大きなデメリットである。 解決方法その1。PH-L1000は下側に径1/2程度の削りが入れてあり、実にグワイが好い。これをマネする。ハッキリ言って、シロウト作業では不可能に近い。ヤスリか何かで無理矢理やってできないことはないかも知れないけれど、おそらくヒジョーに不格好な仕上りになるだろう。却下。 その2。先端にテープを巻く。最も簡単だが、ルックスは悪くなる。できれば避けたい方法である。却下。 その3。全体か、或いは一部に樹脂カバーをかける。具体的には、熱収縮チューブなどが考えられる。この方法は、上手くやればルックスを損なわず、しかも鳴きを抑える効果も期待できそうである。やるとすれば、コレか。 何か目的だか、だんだんワカランようになってきたな。 |
ちょっと、アヤシイ
黄銅、SUS、2種の精密ロングねじのうち、どちらを使うか。まずはSUSを選んだ。僅かでも軽いのが、その理由である。 とまれ、無加工のままヘッドケースにねじ込んでみる。M2タップは思ったより深く切ってあり、5mmのネジ部分が余ることなく収まった。これはとてもありがたいことなのだ。ネジ部分を切る、となると、かなりメンドウなことになるからである。 あとは、指掛けとしての長さを決め、切断する。どれくらいが適当か。形状が似ているPH-L1000の指掛けは16mm、深く考えるのはメンドクサイから、それに準じることにする。 切断は金属棒専用強力ニッパーで押し切る形になる。高速グラインダーとか、フライス盤とか、そーゆー優秀な工具はないのだ。したがって、ノコギリで切ったような断面にはならない。切り口の整形処理は必須である。ダイヤモンドヤスリで削り整えたあと、1500、2000番の耐水ペーパーで仕上げておいた。まあまあだと思う。 完成後の様子は上の写真のとおりである。仕上り長さは15.5mm、重量0.47g。ネジを含むLH13の指掛け重量とまったく同じである。偶然とは恐ろしい。 いささか細い、けれども、このバヤイ贅沢は言えない。少なくとも、オリジナル指掛けよりは丈夫で、鳴きも少ないはずだ。ルックスは、一長一短か。良く言えばシンプルでスマート、悪く言えば無骨で殺風景。個人的には、たいへん気に入っています。親の欲目、だな。 使い勝手については、アヤシい感じ、あり。 |
精密ロングねじ
HS-5指掛け交換実験の続きである。 ヘッドケース側面に指掛けを固定するためのM2ネジ穴があるのならば、それを利用してもう一息丈夫なものに交換できないだろうか。大雑把に言うと、15mm長くらいのM2ビスをねじ込めば、機能的には立派な指掛けになるわけで、しかしそれではルックスが台無し。 できれば金属丸棒の一端にM2ネジを切ってあるようなものが欲しい。長さは何とか調整できるだろう。何か良さそうなものはないか。ネジはネジ屋、ということで、専門通販サイトWILCOを検索する。 トップページ「形状から探す」の欄、「全ねじ」という項目の中に「精密ロングねじ」なるものがある。両端に5mm幅でネジが切られた丸棒である。材質は黄銅ニッケルメッキとSUS303、それぞれにM2とM2.6サイズがあり、長さは12mm〜40mm(M2は30mm)まで。今のところチタン製はない。残念。 写真はM2×30mmである。右が黄銅ニッケルメッキで0.7g、左はSUS303で0.62g。これはヒジョーにグワイの好いものが見つかったと、思う。ごく簡単な工作で、丈夫な指掛けになりそうだ。 というわけで、早速一工夫。 |
春になれば神保さん
22日の夜は、福知山まで出かけてきた。この時期、恒例となった感のある「神保彰ワンマンオーケストラ
ドラムからくり全国行脚2011」である。 神保さんのドラムセットはご覧の通り、昨年からのYAMAHA YD-9000AJである。1年前よりずっと鳴りが良くなっていると感じた。特に低域の力強さが印象的で、演奏はもちろん、オーディオ的にも多いに楽しめて大喜び。いやー、何度見ても聴いても、神保さんは、凄い。 今年は愚息1号が浜松へ行ってしまったから、2号と二人で見た。1号はと言うと、5月29日の公演を、きっちり押さえてあるそうだ。浜松は正にYAMAHAのお膝元、一味違った盛り上がりがあるのではないかな。 来年も、楽しみである。 |
僅か、良い方向へ
実際にアームへ取り付けた、指掛け交換後のHS-5である。「最初からこの指掛けでした」と言っても充分通るほど、不自然な感じはない。と、僕は思う。 使い勝手は、大きく向上した。撓りがないので、危機感なく盤面に針を降ろせる。ビニールコーティングのおかげで滑りがなく快適である。長さもちょうどよい。 音にも僅かながら違いが感じられた。切れ味はそのまま、音の尖りと突っ張り感が取れ、繊細感が増したように聴こえる。激変ではないけれど、少しでも良い方向へ進んでいるのならばそれで吉。やはりオリジナル指掛けの鳴きは、再生音に影響を与えていたのかもしれない。良し悪しはともかくとして。 実験はこれで終了、しておいてもよいのだが、僕は馬鹿でスケベだから、只今もう一発の実験を準備中である。例によって、成功する目算は、ないに等しい。とまれ、何事もやってみなけりゃ始まらないのだ。 詳しい報告は、また後日。 |
不グワイもあり
指掛け移植は上手く行った、と、喜んでいる。但し、それは無条件ではないことを、付け加えておかねばならない。 写真は、取りつき部分を裏側から見たところである。ヘッドケース側面には、指掛け厚み分とほぼ同等のざぐり加工がしてあり、グワイよく収まる。ところが裏側にはそれがない。したがってご覧の通り、厚み分だけ出っ張ってしまうのである。 今回の条件では、偶々スレスレで上手く収まった。しかし、カートリッジベースの寸法、取り付け位置によっては出っ張り部分とベースが干渉し、最適位置を選べなくなる可能性大。やはりこの移植改造は、あくまでもドシロウトの「ウラ技」なのだ。 無闇にお薦めは、できません。 |
HS-5/13
移植後は、写真のようなグワイとなりました。考えていた以上に違和感なく収まってしまった感じだ。ルックスとしてはたいへんヨロシイ。と、僕は思う。経年によりビニールコーティングが茶色く変色しているのは、ちょっと残念。まあ、仕方ないのである。 あとは実際の使い勝手と、音である。おそらく問題ないだろう。但し、鳴きやすい指掛けも含んでの音作りがしてあるとすれば、その音をぶっ壊してしまうことには、なる。もし、この状態でダメダメだったら、元に戻せばよい。 勝手に「HS-5/13」と命名する。ここだけの話です。 |
移植
指掛けが本体にネジ止めしてあるヘッドシェル、いくらもありそうで実は少数派である。僕が思い当たるのは、オーディオテクニカのAT-LHシリーズくらいだ。このシェルならスペアが幾つかあるし、指掛けの取り外しも極めて容易である。 ウラ技、というほど大袈裟なお話ではないわけで、要するに、AT-LHシリーズの指掛けをHS-5へ移植しようという、魂胆なのだ。写真上がHS-5オリジナル、下はオーディオテクニカのAT-LH13から外したものである。 オリジナルより取り付け角が浅く、やや短い。しかも断面形がわずかにカマボコ型に仕上げてあり、見かけ上の剛性は高い。しなる感じは皆無である。鳴き止めと滑り止めを兼ねたビニールコーティング付き。磁石に反応しないところをみると、おそらくSUS製か。脇役のような小さなパーツだが、さすがアナログのテクニカ、配慮が行き届いている。 上手いグワイに、取り付けネジの径、長さ、ピッチはまったく同一であった。M2ネジである。まるで誂えたみたいだ。オリジナル0.61g(ネジ含む)、LH13用0.47g(同)。0.14gの軽量化は、このバヤイ僅かながらもメリットになると思う。 では、取り付けてみよう。 |
指掛けの感触
山本音響工芸 HS-5の指掛けである。0.5mm厚、金メッキ真鍮製。この部分の長さ、形状、質感については、十人十色の意見があると思う。 個人的には、使用頻度が高いPH-L1000の指掛けが最もしっくり来る感じだ。短めで剛性が高く、まっすぐ横に飛び出した(盤面と水平)形状。これに慣れると、写真のように角度の付いた指掛けは少々使いにくく感じられるのだ。 加えて、やや薄めで長い所為か、持ち上げたときわずかに撓みを感じる。上方に向って板バネのようにしなるわけだ。僕はこの感触がどうも苦手で、針を降ろすのにしくじりそうで怖い。 あくまでも個人的な感じ方であって、だからダメダメ、とは絶対に言えない。使い手によっては、この感触でなくては遺憾、というムキもあるはずだ。僕としては、できれば改善したいと思う。短くちょん切る。イケナイ。そんなことをしてはイケナイ。幸いにもネジ止め取り外し可能なようだから、僕は今、あるウラ技を目論んでいるのだ。 上手く行くかどうかは、まったく定かではありません。 |
桜吹雪
開花から10日目、盛りを過ぎた桜が、早くも散り始めた。今日は冷たい北風が強く、境内参道は桜吹雪で見事な風景であった。明日は雨、というから、これですっかり終わってしまうだろう。 年365日のうち、たった10日間だけの、盛りである。いつまでも咲いていればいいのに、とも思うけれど、それでは遺憾のである。春の初めだけに、短く咲くからこそ、桜の価値があるのだ。年中花満開だったりしたら、ちっともありがたくなくなってしまうに違いない。 また、来年の春まで、ごきげんよう。 |
春の収穫
今日も食べ物の話題である。 昨年は二株ほど採れただけだったタラの芽、今春はご覧の通り、六株ほど収穫できた。これでもまだささやかだけれども、年々増えていることは間違いない。長い冬を耐え、ようやく出した芽を摘み取られるのだから、タラにはたいへん気の毒である。 さっと茹でて酢味噌で食べるか、オーソドックスにてんぷらで行くか。愚妻に相談したら後者がよいと言う。揚げ立てを塩で食べたら、香り・風味・食感すべて最高。ものすごく美味しかった。もうちょっと食べたい、と思うくらいの量は、丁度好い加減であった。 2月はフキノトウ、3月は土筆、4月はタラの芽、5月は山蕗と、箱船の周りは春の山菜がいっぱいである。意図してこうなったわけではないところに、ネウチがあるのだ。などと、独り喜んでいる。 田舎暮しも、悪くない。 |
しずおかコーラ
食べ物の類を話題にするのは、随分久しぶりだと、思う。 先日、愚息1号の引越しで浜松へ出向いた折、ちょっと面白い飲み物を見つけて買ってきた。「しずおかコーラ」という。おそらくご当地では有名な、イワユル「地コーラ」なのだろう。しかし、関西人間の目には、とても珍しく映るのだ。 静岡県島田市の「木村飲料株式会社」謹製。検索してみたら、ちゃあんとネット通販可能である。実際に静岡へ行って買ってきたもののほうが、ありがたみがあるような気がする。ナンデかな。 緑茶入り炭酸飲料とはどのようなものかと、半ば訝りながら飲んだ。これが案に相違して、なかなか美味しいのである。コーラというよりは、緑茶風味のサイダー、のような感じだ。基本甘く、僅かにお茶の苦味がある。色から受ける印象ほど、お茶味は立たない。何となく懐かしい、言うなれば「昭和の味」とも表現すべきか。 近頃は「地サイダー」ブームだそうで、同社もしっかり「富士山サイダー」という地サイダーを発売している。「しずおかコーラ」もその仲間といえるだろう。美味しい不味いはともかく、個人的には面白い動きだと思う。 唯一の地場産業であった「丹後ちりめん」(絹織物)が絶滅に瀕し、未曾有の不景気に喘ぐ当地も、このブームに便乗できんものかと、セコいことを考えてしまうのである。 「ちりめんサイダー」「シルクコーラ」。誰かやらんかな。 |
キャビネット発見
写真は20年ほど前、中古SP-10MkIIIを買ったときにオマケで付いてきたプレーヤーキャビネットである。銀色のアームボードは、親しい友達から、これまた大昔に貰ったものだ。 実はこのキャビネット、あることすら忘れ去っていたのである。昨日、オツトメ道具を探しに蔵へ入った折、偶然発見したのだった。そーいえばこんなのがあったンだと、ちょっと嬉しかった。メイプル集成材製、570mm×450mm×70mm、実測重量9.8kg。切り抜きは、SP-10MkIII対応。アーム取り付け穴は、頼りない記憶によれば確かSMEの3012対応ではなかったかな。 アームボードもまた、永い間閑職にあってあくびをしている。いつか使ってやろうと思いながら。非常に勿体無いのである。取り付け穴はEPA-100MkII対応で、φ62mm。銀色に見えるのはクロム鍍金、基材は真鍮である。400mm×100mm×30mm、実測重量9.4kg。 この二つを活用し、ADプレーヤー3号キャビネットを習作しようと考えている。どちらもこのまま無加工では使えないから、少々智慧を絞ることになるわけで、そこで得られたノウハウをもとにして本番製品へ進もう、という魂胆である。 尤も、習作が上手く行けば、しばらく使い続ける可能性、極めて大。ひょっとしたらそのまま本番製品に化けるかもしれない。それが最もハイCPなのだがさて、どのようになりましょうや。 絞れる智慧が、あるか知らん。 |
満開2011
托鉢二日目もヘロヘロになって、しかし無事に終わって帰ってきた。ヤレヤレ。 庭を見渡せば、今、桜は満開である。花付きは昨年並み、なかなかきれいである。おそらく今日あたりがピークだと思う。明日も好天、気温は高めと予報されているから、早くも散り始めるかもしれない。花の命は短くて。 中学生の頃、「桜の花」の英訳は「cherry blossoms」だと習った。もちろん間違いではないのだが、最近は日本名そのまま「SAKURA」と呼ぶ人が多いと聞く。やはり日本の「桜」は「さくら」であって、「cherry blossoms」とは微妙に違うのだろう。 春の青空と桜。僕が最も好きな風景の一つである。 |
回復遅く鈍りは速く
今日は終日、恒例の町内托鉢であった。昨年は、前日に左足首を捻挫して休場。なんともマヌケなお話なのだった。 2年ぶりに歩いたわけだが、これがもう、辛くて辛くて。年に一度、とは言っても、それなりのリズムがあるらしく、やはり休んでは遺憾のである。歳を取ると、疲労回復は遅いクセに体の鈍りは速いのだな。ああ、イヤダイヤダ。 明日も托鉢。こんな調子で、大丈夫なのか知らん。 |
中身はVG++
ジャケットはボロボロ、これで盤もボロボロだったらどーしよーかと、気が気ではなかったミサ・エスピリチュアル中古盤である。埃と指紋の汚れが多めで、しかし盤そのものは問題なさそうに見える。ともかくはレコパック、だ。 上はレコパック完了後の状態である。写真では分り難いけれども、かなりきれいになっている。埃はもちろん、指紋も完全除去成功。見た目には新盤同様である。 試聴にも支障はない。非常に静かである。ひょっとしたら、僕手持ちの盤よりも静かかもしれない。B面には少し傷が見えるものの、音にはほとんど出ない。再生音にもまったく問題はなく、正しく「ミサ・エスピリチュアル」の音である。汚れを除けば「盤VG++」は偽りなし。「NM」でも通るくらいだ。 ああ、ヨカッタ。これで少しは申しわけが立とうというものである。念のため、もう一度レコパックし、友達へ渡そうと思う。 ご心配をおかけしました。 |
開花
8日、庭の桜が開花を迎えた。その日の内に撮っておきたかったのだが、生憎の雨であった。上の写真は9日午前中の様子である。既に五分咲き以上になっている。 昨年より8日遅く、一昨年に比べても2日遅い。これまでで最も開花が遅かったのは2005年、その年は4月9日だったから、今年は2番目に遅いことになる。 今冬は雪の量も然ることながら、日照の少なさと寒さは格別であった。特に1月は酷いもので、1日晴れたか晴れないか、というほど。春の訪れ桜の開花が、なお一層いとおしく感じられるのである。 10日は9日以上の好天になるという。お寺への参詣到来もあるし、美しい花をきっと喜んでいただけるだろう。 平穏無事とは、斯くもありがたいものだと、殊更に思う。 |
反省頻り
中古盤はどこまで行っても中古盤であって、時には「看板に偽り有る」ものを掴んでしまうことも、ままある。いつもなら「まあいいや」でオワリなのだが、今回は少々グワイが悪かった。 上の写真は長岡ファンの間では有名な、独HMレーベルの「MISA ESPIRITUAL」だ。ごく最近、友達のために海外オークションで代理落札したものである。 ご覧の通り、見開きジャケットの内側が盛大に傷んでいる。裏表紙には茶色いシミがあり、紙が波打っているところを見ると、おそらく過去に水濡れがあったのだろう。それが乾き切らないうちに無理矢理開いたものだから、くっ付き合っていた内側が互いに剥がれてしまったのだと思う。 商品紹介には「盤VG++、ジャケットVG++」とあり、常識外れに高価ではないけれども、決して安いとは言えない値が提示されていた。内ジャケットが写真のような状態であることが一言も説明されていなかったのは、極めて残念である。 自分のために買ったものなら、問題はない。こーゆーこともある、とオノレが納得すればよいのだから。しかし、友達のことを考えると、これは遺憾と思う。そもそもこれを友達に紹介したのは、僕なのだ。責任重大である。 幸いにも友達は大変寛やかで大らかな人柄であったから、「ゼンゼン問題ないよ」と快く受け容れてくれた。誠に申しわけない。ありがとうございます。救われました。 中古盤は、迂闊に人様へ薦められない。反省すること頻りである。 |
犬も歩けば
レコードの検索方法はいろいろあり、それぞれに独自の手法を使っていらっしゃることと思う。個人的には、自分の足で中古レコードショップを丹念に歩き回るのが最も確実で、最も安く買える方法だと、考えている。 しかし、僕のように辺鄙なところに住んでいると、それは困難なのである。20代、30代の頃はどんどん出かけたものだが、近頃すっかり出不精になってしまった。次善の策として、web検索、通販中心ということに、なるわけである。 webの使い方にもやはりコツがあって、闇雲に検索しても容易にはヒットしない。検索ツールを選び、キーワードを工夫し、手を替え品を替えいろいろやってみるわけだ。時にはヤケクソで、googleの検索窓にレコードタイトルをそのままぶっ込むなど、芸のないこともやってみる。乱暴なのである。 犬も歩けば棒に当る。最近、その方法で発見入手できたのが、上のタイトルである。「DEBUSSY / MELODIES」(仏harmonia mundi HMC 5150)。これもA級盤で、第3集第236番収録。一説によると、結構な稀少盤、らしい。 ヒット数は100万に近く、その中で1件だけ、ドイツ・フランクフルトの中古ショップで買えることがわかった。しかも非常に安い。ごくフツーにレコードを買う、くらいの値である。PayPalアカウントでの決済可、ということも手伝って、大喜びで購入確定させてしまった。 受注・入金の確認、発送完了の連絡がきちんとあり、とても丁寧親切なショップであった。品物は1週間で到着。あまりに速くてびっくりした。盤・ジャケットとも中古としては状態が良く、大満足である。 こういうことも、あるンだなあ。 |
つやつやピカピカ
レコパック完了、早速試聴した。 このタイトルは(C)(P)1976年、35〜36年前の録音である。にもかかわらず、まったく古さを感じさせない鮮烈な音である。音の一つ一つに歪みがなく、つやつやピカピカに輝いている。尤も、このことはATRIUM MUSICAEの録音に共通しているわけで、いまさら驚くほどのことではないのかもしれない。が、その中でも鮮度の高さ、切れの良さでは突出して優秀だと思う。 仏HMレーベル、スエーデンBISレーベルからリリースされている彼らのタイトルと比較すると、間接音がやや少なく、音場の広がりが控えめな感じはある。また、環境雑音が皆無なところからすると、広めで静かな音楽スタジオで録音されたとも考えられる。ちょっと殺風景ではあるがSNが非常に良く、明るく鮮明で繊細。これはとても良いレコードだ。 同じ演奏者、似たような曲風なのに、HMにはフランス、BISにはスエーデン(北欧)、HISPAVOXにはスペインと、それぞれのお国柄が音に出ているように感じられるのは、なかなか面白い。仏ERATO盤「L'EUROPE JOYEUSE」では、どーなっているンだろうかと、余計な好奇心が涌いてくるのだった。 愛聴盤入り、決定。 |
表裏
上の写真は、昨日届いた「MVSICA IVCVNDA」の裏表紙である。見た瞬間、僕はあっと叫んでしまいました。なんだ、そーゆーことだったのか。 HISPAVOX盤の裏表紙が、仏ERATO盤の表ジャケットになっていたとは。いやあ、知らなかったなあ。詳しく見ると、左端に見える風車がERATO盤では消されている。僅かトリミングされてもいるようだし、色温度も少し低いようだ。 表デザインだけを迂闊に見ていると、同じ内容のレコードと気付くのは難しい。そもそも、タイトルからして違うのだから。尤も、このようなケースは珍しくない、とも言える。この辺りがレコード探しの難しく、また面白いところなのだと、僕は思う。 さて、レコパック、もう乾いたかな。 |
無事到着
先月18日に載せたレコードが今日、メキシコから無事に届いた。3月16日発送、4月5日到着。ちょうど20日間かかったわけである。「到着まで、遅ければ20日以上」との但し書きには偽りなし、ということになる。 ジャケットは思ったよりも良好、盤も目視する限りでは問題ないようで、きれい。但し、レコパックは必須だと思う。 永い間探し続けて、やっと入手できた喜びは一入である。A級盤だから、ということもあるけれども、それよりもむしろ、ATRIUM MUSICAE大ファンとしての喜びが大きい。早く聴きたいなあ。 まずは、レコパックから。 |
良い街良い学校
愛車サイファに愚息1号の引越し荷物を満載し、静岡県浜松市まで走ってきた。片道360km、所要時間5時間半を日帰りするのはさすがに辛く、一泊二日の行程である。 彼の新しい住まいは大学まで自転車で約10分、街の高台にある学生アパートである。築15年程度の、質素だが明るい部屋だ。充分である。そこへ生活道具をグイグイ押し込み、あとは知らんぞ自分でやれと言い、大学をちらりと見学して帰ってきた。 愚息1号には勿体無く思えるほどの、立派な学校である。広々として非常に明るく、実に開放的。こりゃあいい。このような学校で学生生活を送れるなんて、僕が若ければもう一度やり直したいくらいだと、馬鹿なことを考えてしまった。 学校も気に入ったが、街の雰囲気がまた、よい。さすが日照時間ランキングベスト10入りする静岡県、当地とは陽の色からしてゼンゼン違う。住み易さ抜群であろうと想像するに難くないのである。良い街良い学校に進めて、本当にヨカッタヨカッタ。 本人さんは、どう思っとるのだろうかな。 |
入魂のOH
上の写真は、今回のオーバーホールで交換されたWE-506/30の劣化パーツ、ネジなどである。 大小のネジ43本、ワッシャ類11枚、主要パーツ18個、樹脂パーツ9個、ベアリング2個、合計83点。主要パーツ類については、どの部分にあたるかが凡そ見当が付くものの、小さなパーツ、樹脂パーツになるとよくわからないものがある。ネジ・ワッシャ類に至っては、ほとんど分りません。 最も小さなものは、φ1.65mm×1.65mmのマイナスイモネジである。こんなに小さな専用ネジまで新品がストックされていることになるわけで、なんとも凄いお話だと思う。WE-506/30の発売年は1978年、既に33年も経っているのだ。 2個のベアリングは、水平回転軸に使われていたものである。劣化不良により交換。新しいベアリングは、より精度の高い最新のもの、と説明されている。単純に新替えするのではなく、1000回転/分で6時間エージングした後、交換してある。 ネジ類が入った樹脂トレイの下に見えるカギのような形のものは、ラテラルバランサーである。ウエイト、固定ネジとともに、アッセンブリーで交換。その下は出力5ピンジャック、シェル固定リング、内部配線など。右下には、アーム上部に付くインサイドフォースキャンセラーバーが見える。錆び錆びでボロボロだった。 この他、メインウエイト分解研磨清掃、ダンパー交換、インサイドフォースキャンセラーウエイト研磨、吊り糸交換などがあり、完璧なバランス調整後、十全の動作試験を経て、オーバーホールは完了した。入魂のOH、と言ってよいと思う。 早く音を聴きたいところだが、功を焦っては遺憾。向後、ADプレーヤー3号の構想をじっくりと練り、より良い再生環境を用意したいと考えている。 実に、楽しみである。 |
鍍金全面剥離
輸送用保護金具で適正に固定された、サポート部である。このアームの心臓部になる。写真に見える「上向きコの字型」のパーツ、ダブルナイフエッジ台座になり、非常に重要な部分である。 基本材は鉄である。鍍金してあるとは言え、扱い・保管状態が悪いと錆びを吹くのである。実際、入手した状態では錆が鍍金層を突き破り、多くの赤黒いシミが点々と浮き上がっていた。基材から吹き出たものだから、いくらクリーニングしても取り去ることは不可能であった。 メンテ後の状態は、ご覧の通りである。汚いシミは完璧に取り去られ、新品以上の美しさとなった。修理明細書には次のようにある。 「アームベース(注1)V字溝(注2)破損、その他赤錆各所発生の為化学処理、工程は次の通り。 1)鍍金全面剥離 2)V字溝機械切削後砥石研磨 3)錆び取り全面機械研磨 4)後、銅鍍金 5)後、全面砂打ちホーニング 6)後、クローム鍍金」 注1は台座、注2は下向きナイフエッジを受ける部分を指す。錆だけではなく、エッジ受けも傷んでいたのである。 この部分だけでも、これだけの手間がかかっている。美しくなっただけではなく、性能の上でも大きく改善されているのである。時間がかかるのは当たり前、加えて、これほど丁寧なメンテナンスを今だに実施してもらえること自体が、驚きなのだ。 他、修理改善は極めて多くの部分にわたっている。そのすべてを紹介したいところだが、さすがに困難である。 明日は、その一端をお分りいただける写真をご覧に入れたいと思う。 |
オーバーホール完了
昨年11月14日、然るべきプロフェッショナルへオーバーホール依頼したSAEC
WE-506/30が、すべてのメンテナンスを終え、帰ってきた。 5ヵ月を要したことになるわけだが、僕としてはまったく文句はない。当初から「相当な時間がかかる」と、大変丁寧な説明を聞いていたし、あまつさえ、今に至ってなおメンテナンスを引き受けていただけるだけでも、極めてありがたいことなのである。時間などは、問題にならないのだ。 丁寧な梱包を解き、仕上りを見た時、僕は思わず感嘆の声を上げてしまった。完璧、である。否、そのような言葉では表現し切れないほどの、素晴らしさだ。 明日から、詳しく報告して行きたいと思う。 |