箱船航海日誌 2011年03月

日々雑感、出来事などを思いつきに任せて綴っていこう

過去の日誌コンテンツ

’11/03/31 (木)

注文はあれど


 昨日から、さらに幾枚かのADを聴いた。例によってジャンルは雑多、無節操な選択での試聴である。

 何を聴いても、第一印象と変わらぬ良い音である。僕としては文句ございません。これならセラミックスシェルにこだわることもないかもしれない、とも思えてくるのだった。もちろん、同じ音にはならないわけだが。

 音云々とは別に、構造的に注文を付けたいところは、ある。ヘッドケースの全長はもう少し、3mm〜5mm程度短く、取付穴も3対6個くらいでよいような気がする。厚みがやや薄いから、そのほうが強度的に有利になるのではなないかと。

 コネクター(ネック)の強度が、やや不足気味に思える。イモネジの締め付け圧によって、固定部分が僅かに変形しているのだ。シェルとしての総重量、コストを考えると、ここまで純チタン製にするのは苦しいかもしれない。アルミ製でもよいから、もう少しの強度増を望みたいのである。その上で、CS-1のように固定ネジを2本に増やせば、なお良いと思う。

 などと、何も分っちゃいないエンドユーザーは、自分勝手なことを言うのである。現状、HS-5が優秀なシェルであることに間違いはないわけだ。ADを明るく繊細に、しかもハードでシャープに聴きたいというムキには、大いにお薦めできる製品である。

 貴重な存在だと、思う。

’11/03/30 (水)

第一印象


 購入から試聴まで、ずいぶんと手間取ってしまったHS-5である。今日、やっと聴けました。

 ルックスは、たいへんヨロシイ。良く言えば男性的な、悪く言えば素っ気無いデザインはWE-407/23に共通するものがあり、色目とともにマッチングは抜群である。ただ、「HS-5」の赤い字は少々うるさく、せっかくの高級感を殺いでいるのではないか。

 金属シェルにしばしば感じられる、音の粘りは皆無である。立ち上がりが鋭く抜けがよい。スピード感抜群で情報量は大変多く、全域に渡って解像度が非常に高い。反応が速く、実に痛快な音だ。シェルの鳴きによる余分な音の付加は、僕にはほとんど感じられなかった。

 どちらかと言えば高域のエネルギーが強めに出るようで、低域、超低域はややスマートである。けれども、決してハイ上がりではなく、特に派手でもない。全体として骨格明瞭、明るく爽やかな音、というイメージである。やや寒色系寄りで、音の色温度(そんなものはないケド)が高い印象。この辺りは好みが分れるところだと思う。

 硬度が高い純チタン製の為せる業か、アルミシェルよりはセラミックスシェルに近い音と聴いた。これまでに試聴した金属系シェルの中で最高だと思う。フェーズテック CS-1も優秀なシェルだが、現段階ではHS-5に分があるように感じている。

 第一印象としてはこんなところ。さらに試聴を続ける。

’11/03/29 (火)

修正完了


 「第2案」は、一発勝負荒療治のわりに上手く行ったのではないかと、思う。接着剤はそれなりの役割を果たし、ネジを締めて元の轍にはまり込む不グワイを回避できた。

 これくらいの修正グワイで、如何でしょうか。まだビミョーに傾きが残っているような気もするが、この程度は誤差の範囲、ということに、してしまうのである。

 これでようやくフツーに試聴できる状態になったわけだ。えらく手間取ってしまった。これで音が悪かったら、僕は暴れるのである。ナドと言ってみても、仕様がないのだケレドモ。

 図らずも、音を聞く前にこのシェルの構造、仕組みを詳しく知ることになったわけで、個人的にはいろいろ思うところがあった。それに関しては試聴後、改めて総括したいと考えている。

 ああ、しんど。

’11/03/28 (月)

一発勝負


 コネクターを抜き、固定部分を検分する。ヘッドケースは純チタン製だが、コネクターはアルミである。写真に見える通り、イモネジが噛んでいた部分には丸い刻印がくっきりと穿たれている。これが修正を困難にしている元凶なのだ。

 角度修正幅は、わずかである。ネジ穴から覗くと、刻印がほんの少し横へずれる程度だ。そうした状態でネジを締めると、既存の刻印がガイドの役割を果たし、コネクターは元の傾いた位置へ導かれてしまうわけだ。馬車の車輪が轍にはまり込むように。かくして、修正不能となる。

 予想通りのナンギなテンカイである。して、解決方法は。

 第1案。刻印をヤスリで削り、新しい平面を出して再固定する。最も理に適った方法ではないかと思う。ところがこの方法は、NGである。コネクターを調べるに、どうやらこの部分はパイプ状になっていて、肉厚が薄いようだ。下手に削れば穴が空きそう。そうなったら一巻の終わりである。

 第2案。ヘッドケースと接触する部分に適量の瞬間接着剤を塗布、固着するまでの間に手早く垂直位置を出して固定養生する。然るべき時間をおいた後、ネジを締め込む。接着力を以って強制的に轍から逃れようという寸法である。

 少々荒っぽいけれども、僕としては第2案を採りたい。一旦正常な位置に固定できてしまえば、今後取り外す必要のない部分である。実際、ほとんどのヘッドシェルが完全固定型なのだ。テクニカのLHシリーズは、特例と言える。

 では、一発勝負の作業に、赴かんと欲す。

’11/03/27 (日)

このテンカイは


 コネクター固定用六角イモネジは、サイズ1.27のレンチで緩めることができた。ネジロックなどで接着固定されていなかったのは、幸いである。これで傾きを修正できる。と、思ったらどうも上手く行かない。

 コネクター固定ピンを垂直の位置に修正し、ネジを締め込むと、元の傾いた位置に戻ってしまうのである。リード線の弾性が原因かと疑ったが、そうでもないようだ。ははん、これはこれはと、思い当たるフシあり。

 予想通りのテンカイならば、少々厄介なことになるかもしれない。ともかくはカートリッジ、リード線を一旦すべて外し、コネクターをヘッドケースから抜き去ってみないことには始まらないのである。

 なーんだか、ナンギだなあ。

’11/03/26 (土)

傾いてます


 モノが届き、開封した時から気になっていたのである。アームとつながるコネクター(ネック)部が、ヘッドケース本体に対し傾いて固定されているように見えたのだ。果たして、アームに取り付け正面から見ると、写真の通りである。明らかに右(外周方向)へ傾いている。困るぞHS-5。

 横手から見ても、首をかしげているのがはっきり分るほどだから、相当なものだ。このような状態のままヘーキでレコードを聴ける、ほど僕は度胸が据わっていない。僅かの誤差なら無視できるけれども、さすがにこれはキボチ悪いのである。

 昨日の写真をご覧になれば、お分りいただけるだろうか。コネクターは、ヘッドケース下側から六角イモネジ1本で固定されている。このネジを緩めれば、容易に修正できる、はず。

 それなればさっさとやればよいのだが、残念ながら適合する六角レンチが手元にないのである。サイズ1.27か0.89か、かなり細いレンチが必要になる。明日、近所のホームセンターで物色してこよう。

 試聴は、一旦お預けです。

’11/03/25 (金)

+MC-L1000


 山本音響工芸のヘッドシェル、HS-5に組み合わせるカートリッジは、あれこれ考えた末MC-L1000に決定。いささか古いのが気になるけれども、長岡ファン御用達カートリッジ、ということでご勘弁願いたいのである。

 5対あるネジ穴の、前から3番目(とゆーことは後からも3番目)を使って固定する。この位置がベストかどうかは、わからない。取り付けネジには例によってβチタン合金ビスを具する。8mm長が丁度好い加減であった。ナット固定方式よりもうんと確実に締め付けることができ、これは大きなメリットである。

 素の状態では鳴きの多いシェルだが、カートリッジを取り付けてしまうとほとんど、と言うよりまったく鳴かなくなる。カートリッジベースがシェルをダンプするのだろうか。指掛けの鳴きも、さほど気にならなくなった。

 写真の状態で、実測総重量29.36g。かなりの重量級である。おそらくEPA-100MkIIでは苦しくなるだろうから、試聴はWE-407/23で行う予定。

 余計なバイアスを捨て、できるだけニュートラルな気持ちで試聴したい。

’11/03/24 (木)

HS-5


 4日の日誌で触れた、山本音響工芸の新作ヘッドシェル HS-5である。あのあとすぐに注文し、届いたのは今日の夕方。メーカー品切れで時間がかかったのだ。よく売れているのかしら。

 ルックスは、ヒジョーにヨロシイ。正しく、チタンの質感と色目である。リード線を外した状態で、実測重量17.85g。SAEC ULS-3Xより重く、テクニカ AT-LH18より軽い。つまり、重量級。だが、使いづらいというほどではないと思う。

 5対10個の取り付け穴はネジが切ってあるタイプで、個人的にはやや不満。数もちょっと多いのではないか。3対6個くらいでもよいと思う。指掛けは0.5mm厚真鍮板に金メッキをかけた豪奢なものだが、やや長めで弾くと鳴きがある。

 指かけをつまんで本体を弾くと、これまた鳴きが多い。ピッチの高い澄んだ音で、アルミよりはセラミックスに近い感じである。この点、周辺環境やリスナーにより、メリットにもデメリットにもなり得るだろう。

 このシェル、拙宅の環境ではどのカートリッジと組み合わせるか。少なくとも、カートリッジベース穴にネジが切ってあるタイプは使えない。eminent、HELIKON、PARNASSUS D.C.t、MC-Rohmannなどは落選だ。新しいところでテクニカ AT-OC9/III、古いところではビクター MC-L1000あたり。DL-103シリーズも使えるけれども、マッチングは良くないような気がする。

 いずれにしても、楽しみである。

’11/03/23 (水)

何事も経験


 合否が判明する2日前の19日、愚息1号は1年間お世話になった予備校寮を退寮した。写真は荷物を引き払ったあとの部屋を、僕が撮ったものである。

 寮を出るとき「記念に写真を撮っておいたらどうだ」と勧めたら、彼は「もう二度と見たくない」と言った。親の目にはいい加減で極楽とんぼ、のように見える1号だが、浪人予備校生活はそれなりに苦しかったらしい。

 この1年で1号が味わった辛さは、将来決して無駄にはならないだろうと思う。教育機関に携わる友達からは「長い人生での1年の回り道はプラス面が大きい、むしろ胸を張って学生生活を謳歌されることを望む」と、とても温かな励ましをもらった。ありがたいことである。

 大阪から帰郷して13日後の4月1日、彼は浜松へ。

’11/03/22 (火)

サクラサク


 愚息1号が、1浪の末ようやくにして大学進学を決めた。昨年の今ごろは、浪人希望の1号×浪人してほしくない僕、とで掴み合いの喧嘩していたことを思えば、夢のようなお話である。ああ、ホントにもう、ヤレヤレだ。

 などと安心しているバヤイではないのである。ここが出発点なのだ。雪の降らない明るく暖かな街の大学でキャンパスライフを謳歌しつつ、大いに勉学に励んでもらわねばならない。

 更なる精進を願うのである。

’11/03/21 (月)

時節来れば


 春のお彼岸行事は、例年にも増して盛会であった。寒い雨降りになったお中日にもかかわらず、多くの方々のお参りをいただけて、住職としてはとても喜んでいる。皆さん、本当にありがとうございました。

 寒いとは言え、春であることは間違いないらしく、箱船北側の土手には土筆が顔を出し始めている。何時になったら雪が消えるのかと、そんな心配は正に杞憂である。時節来れば春来る。

 あとは桜だ。今年は愚息1号にも「サクラサク」か。

’11/03/20 (日)

悲しみの共有

 仙台在住の友達から、「地震から9日」と題した便りをもらった。友達の身は無事ではあったものの、津波の大被害を受けた地域はすぐ近くである。それだけに、悲痛な状況を耳にすることが少なくないという。

 ここに書くのは躊躇われるような、凄惨な話も書かれてあった。マスコミでは、絶対に取り上げられないであろう内容である。友達は言う。

 「息が詰まり、涙が出てくる。相手に対して応答すべき言葉が見つからない。私にできた事は、ただ一緒に泣くことだけだった」

 僕は幸いにも、今回のような大きな惨禍に遭遇したことは、ない。これまでの人生で、最大の悲しみと言えば16年前、生後すぐの三男を亡くしたことである。その時、僕を最も救ってくれたのは、何であったか。共に泣いてくれる人々の涙であった。

 一緒になって嘆き悲しんだところで、亡くなった者が帰ってくるわけではない。状況は何も変わらないのだ。しかし、心の痛みを共有してくれる人が近くにいるだけで、遺族は救われ、深く癒されることを、僕は知った。「悲しいのは自分独りだけでは、なかったのだ」と。

 友達が流した心からの涙は、決して無駄ではない。大いなる救いなのだ。

’11/03/19 (土)

SEPOMEX


 件のレコード、メキシコからの送料は16USDである。約1,360円。海外からの送料としては、安いほうだと思う。但し、到着まで早くて15日、遅ければ20日以上かかるという。まあ、果報は寝て待て、ちゅうことで。

 SEPOMEX(Servisio Postal Mexicano)を利用した発送方法であるらしい。セポメックス、と呼ぶのだろうか。サービシオ・ポスタル・メキシカーノ。如何にもスペイン語である。送料は安く、到着に時間はかかるけれども、追跡番号付きである。

 早速SEPOMEXのwebサイトから検索してみた。上の写真は、結果表示画面の一部である。「Evento」欄は現在の状況、「Destino」欄は目的地を示している。

 最新状況欄(上段)の「Depositado en Valija」を直訳すると「旅行鞄の中に預けられる」。何だか意味不明だが、「荷物を受け付けました」みたいな意味ではないか、と思う。そう思いたい。目的地はちゃんと「JAPAN」になっているから、たぶん大丈夫だろう。

 実際に手にするまでは、チョビっと不安であります。

’11/03/18 (金)

MVSICA IVCVNDA


 ひとまずは、オーディオの話題に戻ろうと思う。

 なかなか思うように進まない、外盤A級セレクション300タイトルコンプリート計画だが、探索だけはしつこく続けている。

 今月初め、ちょっと珍しい(少なくとも僕は初見)レコードを、海外オークションで発見した。上の写真がそのジャケットである。「MVSICA IVCVNDA / Siglos XII al XVII / ATRIVM MVSICAE」(スペインHispavox HHS10-459)。

 タイトルは、古いラテン語表記になっている。大雑把に言えば、古ラテン語の「V」は現代アルファベットの「U」にあたるから、「MUSICA IUCUNDA」と書き換えられる。ムジカ・ユークンダ。直訳すると「喜びの音楽 / 12世紀から17世紀」或いは「うきうきする音楽 / 〜」となる。

 彼の有名なアトリウム・ムジケが演奏する、「喜びの音楽」というタイトルのレコード。どこかで聞いたような。実はこれ、第1集第4番、仏ERATOレーベル「L'EUROPE JOYEUSE」(陽気なヨーロッパ)の原盤なのである。

 長岡先生も記事中でこのことに触れておられる。「日本で入手しやすいほうのレーベル」ということ(それだけではないかもしれない)で、ERATO盤を紹介されたようだ。

 今やERATO盤ですら入手困難を極めている。あっても凄い値段。この機会を逃してなるかと、決死の覚悟で落しにかかり、一昨日、無事落札。安くはないけれども、度を越した高額、というほどでもなかった。

 発送元はメキシコである。ちゃんと届くかしらん。

’11/03/17 (木)

オーディオ大変

 仙台市内在住の友達から、メールがあった。ネット回線が復旧したのである。こんなに早くメールの遣り取りができるようになるとは思いもよらず、いささか驚いている。

 メールには、室内被災後の様子を撮影した写真が添えられていた。当たり前だが、もう、エラいことである。オーディオ、特にスピーカー周りは、有体に言ってムチャクチャだ。震度6の揺れが来ると、こういう惨状になるわけだ。これが拙宅オーディオだったらば、どんなふうになるのだろう。

 スーパーネッシーII、リヤカノンはぶっ倒れ、周囲のアンプを破壊する。背後のレコード・CDラックはすべて崩壊、天井設置のエアコンは落下し、プロジェクターとADプレーヤーを潰す。もしその時僕が部屋にいれば、まず助からないと思う。考えるだに恐ろしい。

 如何にも泥縄式だが、地震対策に本腰を入れる時が、来ているのだ。

’11/03/16 (水)

無事を確認

 安否不明であった宮城県栗原市の友達の無事が、ようやくにして確認された。仙台の友達が携帯から連絡したところ、一瞬つながり声が聞けた、ということだった。そのあとすぐに切れてしまい、詳しい状況まではわからないけれども、無事であることは間違いない、と。

 幸いにして僕の友達の身は、皆無事であった。やれやれよかったと安堵する一方で、猛烈な惨禍に遭遇された方々のことを思えば、素直に喜べない気持ちもある。失われた生命は、あまりも多い。

 自然の力の前に、人間は無力である。

’11/03/15 (火)

できること

 今回の大地震で甚だしい被害を受けた人々、地域のために、自分にできることは何かと、考えている。

 僕のような者がボランティア活動に参加したところで足手まといの無駄飯食い、タダの邪魔者に終わること間違いなし。さりとて何がしかの救援物資を送ったとしても、これまたほとんど役に立たないだろう。

 いちばん良いのは、やはりお金だと思う。使い道は融通が利くし、いくらあっても困るものではない。既に多くの義援金窓口が設けられている。多くはできないけれど、早いうちに協力したいと思う。

 超宗派で組織されている当地域仏教会では義援金を送ることを検討しているし、同宗派寺院団体も同様である。実行は、できるだけ早いほうがよい。

 したところで、失われた数多の生命は、帰ってこないのだけれども。

’11/03/14 (月)

震度7

 今回の地震での最も強い揺れ、震度7を観測した宮城県栗原市にも、友達がいる。県の北部西側に位置する山間部の市で、津波被害がなかった所為か、報道の表に上がってくる情報は少ない。

 しかし、現実に震度7というムチャクチャな揺れに見舞われたわけだから、タダゴトではない被害が出ているはずだ。

 友達の安否は、未確認である。

’11/03/13 (日)

安否確認

 仙台市内には二人の友達がいる。津波で大きな被害が出た名取川沿いに住んでいて、僕は殊更に心配していたのだ。

 つい先ほど、携帯で直接連絡があった。お二方ともご無事である。ああ、ヨカッタヨカッタ。海岸から10kmほど距離があり、津波の被害はなかったそうだ。揺れによる家屋倒壊も免れた、と。

 安心して、ナミダが出ました。

’11/03/12 (土)

我がこととして

 東北地方在住の友達の安否は、未だ不明である。web上や携帯サイトでの安否情報などもチェックするが、情報は上がってこない。非常に気懸りである。

 各報道を見ていると、現在もかなり強い余震が多発し、広い範囲で誘発地震も発生しているようだ。まったく予断を許さない状況と言える。今のところ当地には無影響だが、これは対岸の火事ではないのだ。丹後地方は、1927年に大きな震災を経験している。

 痛み、悲しみ、苦しみ、如何ばかりか。

’11/03/11 (金)

祈る

 史上最大にして、最悪の天災が発生してしまった。

 夕方から、関東以北在住の友達の安否を確認し続けている。現状、東京、埼玉、千葉、栃木、山形の方々については無事が確認でき、とまれ安心している。

 問題は、福島、宮城、岩手である。連絡が取れない。固定電話も携帯も、まったくつながらない。e-mailを送ったらエラーメールとなって返ってきた。唯々気を揉むのみで、何もできないでいる。

 安寧を、心から祈らずには居られない。

’11/03/10 (木)

PRESENCE


 写真のレコードは、Led Zeppelin「PRESENCE」である。1976年3月発表。例によって複数枚、持っている。

 写真左は1977年、高校1年生の時に買った国内盤。当時2,500円。同中は米Classic Recordsのリマスタリング180g復刻盤。同右は、同社リマスタリング200g復刻盤である。

 国内盤の音は、有体に言ってダメダメである。歪み多くレンジが狭く、聴くに堪えない。しかし当時は、コレを低品位オーディオで圧倒的大音量を以って聴いていたのだから、エラい(?)もんである。それに比して180g、200g盤は、圧倒的高品位と言ってよい。切れと繊細感の180g、厚みと力の200g、という感じだ。

 今、在米レコードショップに、このタイトルの45回転ボックスセットが、ある。正規販売バージョンではなく、Classic Recordsのテストプレス盤である。詳しいことはよく分らないのだが、おそらく片面カッティング、3〜4枚組だと思う。

 どうにもマズいものを見つけてしまった。欲しくて欲しくて我慢できない、が、ヒジョーに高価なのである。どれくらい高価かというと、それはちょっと黙っておくのである。

 彼の名曲「天国への階段」1曲だけを、45回転片面カッティングしたレコードを持っている。これはもう本当に良い音であって、ほぼ同等のクオリティで「PRESENCE」が聴けるのならば、高価なことなど物の数ではない。

 とは、思うけれども。

’11/03/09 (水)

頻度高し


 3月も中旬にかかろうとしているのに、今夜はケッコウな雪降りである。こうなることは充分予測できた、と言っても、実際に降ると気分が滅入るのである。

 10日の朝までに20cmくらい積る。キショーチョーの予報である。その通りならば、約40日ぶりの早朝除雪、ということになるわけだが、さて。

 過去の日誌を調べてみれば、3月10日前後の積雪は2001、2004、2006、2010、それに今年、の5回ある。10年間で5回となると、警戒すべき時期、と言ってよいと思う。まあ、分っていたってどーしよーもないのだけれど。黙って除雪するだけである。

 ああ、イヤダイヤダ。

’11/03/08 (火)

保管環境


 昨年10月に中古で入手したSAEC WE-506/30のサポート部には、クモの巣が張っていた。上はWE-407/23だが、写真の部分、ダブルナイフエッジ台座とアーム本体のスキマに、である。

 そのような状態のものは滅多にないだろうと、思っていたら然に非ず。web(そういえばこれもクモの巣だ)上の情報をあたってみれば、同様の、或いはさらにひどいクモの巣被害例を発見し、驚いている。

 中古で入手したWE-407/23、明らかに感度低下を起こしていて、動作がおかしい。詳しく調べてみたら件の場所にクモの巣びっしり、それが原因だった、という例。感度の低下を惹起させるほど、密に張っていたのだ。恐ろしいお話である。

 モノがトーンアームだから、まだ解決策がありそうだが、これがカートリッジだったら、おそらく復帰不可能だろう。尤も、どこかに「ダニ入りMC-L1000」なんちゅう話もあったケレドモ。

 これらは極端な例だと、思う。しかし、オーディオ機器を永くきれいに保管することの難しさを、一面示しているような気もするのだ。定温定湿ダストフリー、もちろん虫なし。こういった保存状況を実現するのは、容易ではない。せめて定湿防塵環境を、というわけで、僕は友達恵贈のデシケーターを重宝している。

 おかげさまで今のところ、クモの巣被害は出ていない。

’11/03/07 (月)

盤道


 2008年の5月頃から実験を始めたレコパックもどきである。手元には、実験の過程で出来た試作タイプが幾つかあり、中途半端な量が残っている。

 写真右は試作第1号、左が最終型である。1号から最終型までの間に、幾つの試作品があったのかは、あまり憶えていない。基材となるPVA糊だけでも、オーグルー、100均糊、アラビックヤマト、アトフィスグルーと、4種類を試している。

 試作第1号は、オーグルー(フエキのPVA糊)+PVA洗濯糊、それにエタノールを25%(だったかな?)加えただけの簡易型である。CMCは添加していないから、エタノール濃度が低い割にかなりユルい。このまま棄ててしまうのもモッタイナイから、久しぶりに使ってみた。

 分っていたことながら、やはりクリーニング効果イマイチ。指紋はほとんど除去できず、プチプチノイズも取り切れない。最終型でやり直すと、両者一発解消。試聴する前、乾燥膜を剥した時点で盤面の艶がまったく違う。なるほど、実験を重ねて改良しただけのことはあるのだと、改めて感心してしまった。

 アナログレコードのクリーニングには、人それぞれの作法、シキタリがあるようだ。それらはかなりゲンミツに様式化されていて、最早儀式、と言ってもよいかもしれない。盤のクリーニングから始まり針を落して音を聴くまで、一連の動作を様式化体系化し、総合芸術として完成させる。「盤道」である。

 何方か「お家元」に、なりませんか。

’11/03/06 (日)

春の走り


 写真は、1月30日に撮ったものである。本堂正面屋根の雨樋から垂れ下がっている導水鎖が、パキョパキョに凍り付いている。この頃の寒さは、そりゃあもう強烈であった。

 昨日の土曜日は、気温が15℃以上にまで上がり、とても暖かな日であった。今日もそれほどではないものの暖かくなる、と、いう予報は大ハズレ。どんより曇って非常に寒かった。雪こそ降らぬも真冬並みである。

 とは言っても、写真の頃に比べれば雲泥の差。雪はすっかり消えたし、日脚はぐんと長い。気温は同じくらいでも寒さの質は根本的に違うようで、シャープでクール(正に!)な感じがない。季節は、春の走りなのだ。

 いろいろ多忙だが、ヤッパリ春は、いいなあ。

’11/03/05 (土)

声、未だ聴けず


 箱船周辺の雪も、ようやくにしてきれいに消えてしまった。東側外壁脇の自然発生蕗畑には、フキノトウがたくさん顔を出している。幾つか摘んでフキノトウ味噌を作ったら、とても美味しくてゴハンが進む。春の味である。

 昨年の3月5日は、その春初めてウグイスの声を聴いた日であった。今年はというと、その状況にはまだまだ遠い感じである。「ケキョ」とも鳴きません。こればかりは「鳴かぬなら鳴かせてみよう」というわけには行かないのだ。やはり今年は、寒いのだなあ。

 夜、フクロウさんの声は、聴けたのだけれども。

’11/03/04 (金)

興味津々ヘッドシェル


 Audio Accessory最新号(第140号)誌上で、大いに興味を惹かれるヘッドシェルが紹介されている。山本音響工芸HS-5である。

 記事では「チタン合金」製とあり、山本音響工芸のwebでは「純チタン」製と発表されている。メーカーと出版社の間で、何らかの齟齬があったのかもしれない。いずれにしても、チタン系金属ムクの、質実剛健なシェルであることに変わりはない。

 自重18.4g(付属リード線込み)とあるから、重量級に入ると思う。組み合わせるカートリッジによっては、苦しくなるアームもあるはず。その意味ではユーザーを選ぶ、とも言える。カートリッジ取り付け穴は、5対10個の貫通穴が開けられている。バカ穴かネジ穴か、写真からは判然とせず、webにも説明はない。個人的には、バカ穴のほうが都合が良いのだが。

 ルックスはヒジョーに格好良い。チタン系だからとか、音が良さそうだから、とか言う前に、見た目だけで惚れ込んでしまった。ヒカリモノ、ムクモノには、異様に弱いのだ。遺憾とは思うが好きなンだから仕様がないのである。

 18,000円。このご時世、良心的な価格だと、僕は思う。

’11/03/03 (木)

129g盤


 アール・ワイルド「編曲の芸術」、只今レコパック中。かなりきれいな盤、のように見える。しかし、クリーニングなしではおそらくノイズが多いだろう。と、これは僕の勝手な予測。カートリッジスタイラスのため、また、盤自体のためにも、大事を取っておくのが賢明である。

 特に重量盤プレスではないけれども、少し厚めで硬く感じられる。試しに実測してみると、129gと出た。通常、110〜120gくらいが一般的であることからすれば、やや重めの部類に入る。悪くはない、程度のことである。

 尤も、どーでもエエようなロックLPで140g、音はゼンゼン良くない、などという盤もある。レコードの音を決定付ける要素は無数にある。盤の軽重はそのうちの一つにしか過ぎないわけだ。最も大切なのは、何と言っても録音である。

 前フリばかりで、なかなか聴けません。

’11/03/02 (水)

佳盤


 AS31を聴き、音の良さに感激して手持ちのクープラン / クラブサン曲集を全部聴いた。と言っても、AS27・29・31・32の4枚だけである。

 どれもヒジョーに良い音である。特に、雰囲気がいい。なんちゅうかこの、アナログレコードを聴く喜びが、心の底からこみ上げてくるような。「佳人」とか「佳曲」という表現に倣えば、このレコードは「佳盤」というべきである。人気があるのも当然だ。

 AS21〜33まで全13枚。あと9枚足りない。長岡先生ご推奨、AS29はもちろん、できればすべてを揃えたい。と思いながらwebを徘徊し、国内中古ショップでAS26を発見。大喜びで飛びついたら、タッチの差で売り切れであった。くそー。みんなよく分っているのだ。

 気を長く持って、集めて行きましょう。

’11/03/01 (火)

春への準備


 好天の多かった先月である。山のようにあった境内の雪もすっかり解け、ご近所さんのお庭では白梅が咲き始めている。春への準備が、整いかけているのだ。

 このまま順調に春へ移るのか。そうは行かないと思う。もう1回、ひょっとしたら2回、わりとまとまった雪降りがあるだろう。実際、週間予報では3日〜4日に、大雪マークが付いている。

 仮に降っても3月である。そんなにヒドいことにはならんはず。と、油断して出かけ、帰路、とんでもないことになったのは、もう10年も前になる。今となっては懐かしい出来事だ。

 春、間もなく。