箱船航海日誌 2010年10月

日々雑感、出来事などを思いつきに任せて綴っていこう

過去の日誌コンテンツ

’10/10/31 (日)

ピンホールだらけ


 24日の話題にした部品の全貌は、上のようなものである。某社トーンアームの、カウンターウエイトでした。某社、などと勿体ぶっても、既に正体はバレバレだろうと思う。ようやく傷取り磨きが終わり、綺麗になった。ように見えて、実はあまり上手くないのである。

 研磨を終わった面にはメッキ層を穿つ細かな穴が点々と現れ、地金が覗いている。傷を削り取って初めて分ったことである。

 元々このウエイトは酷く錆びていたのだろう。おそらくは、メッキ層を腐食するほどに。その錆を前オーナーさんが目の粗い何かで研磨した。結果、錆は取れたが傷が付いた。その傷を僕が研磨したら、錆によって腐食されたメッキ層のピンホールが顕わになってしまったと、まあ、こういったグワイなのではないか。

 これはもう、どうしようもないのである。遠目にはそれほど汚くもないし、実用上はまったく問題ない。今後の使用者である僕が、そのようなものであると承知し手入れを怠らなければ、おおかた大丈夫であろう。

 さて、これでこのアームが使用可能になったか、というと、そうでもないのである。本体のほうにも些かの問題があり、解決せねばならない。

 この先のメンテナンスは、然るべきプロに依頼する予定である。

’10/10/30 (土)

鬱々


 ここ数日、寒い雨が降り続いている。寒いのも雨も大嫌いな僕としては、気分鬱々として高揚しない。特に今日は、さっぱりダメダメである。何もしたくない感じ。とは言うものの、やらねばならんことはあるわけで、如何にも苦しい日であった。

 この天候が回復するのは、来月2日ごろからになるという。時節柄、ある程度寒いのは仕方ないとして、せめて抜けの良い青空が見たい。日本海側特有の、暗い暗い冬型天候となるには、未だ少々早いのだ。

 この季節、弱いなあ、もう。

’10/10/29 (金)

中古盤の友


 レコパックもどき完了後の、盤面接写である。もちろん、一昨日の写真と同じ部分だ。拭き残し様の痕跡は、綺麗に消えている。盤全体を眺めても、曇りが失せ艶が増した。

 こうしてみると、パック方式のレコードクリーニングは、メリットが大きいように改めて感じるのである。盤面にクリーナー液を塗布する、という点では他の方式と変わらない。最も大きな違いは、それを「拭き取る」或いは「吸い取る」プロセスが入らないことだ。代わりに「乾燥させて剥ぎ取る」わけである。

 一般的な環境においては、クリーニング後の盤面残留物が最も少ない方法ではないかと、個人的には考える。実際、一昨日のような状態のままで再生すると、スタイラスの先には黒い汚れが付着するし、ノイズも多い。パック後なら、どちらもほとんど問題ないレベルまで改善されるのである。

 中古盤に、レコパックもどきは不可欠である。

’10/10/28 (木)

穏やかな芳香


 昨日話題にしたレコードに、レコパックもどきを実施する。パック自体はこれまでに日誌でクサるほど話題にしてきたから、珍しくも何ともないわけだ。

 先日は、オーストラリア製RECORD REVIRGINIZER(以下、RR)の、強烈な悪臭にキゼツしそうになった。それに比べてレコパックもどきの穏やかなこと。塗布直後はアルコール臭が目立つものの、10分も経てば飛んでしまいあとは僅かな石鹸様の臭いが残るだけ。RRは悪臭だが、レコパックもどきは芳香と言ってよいと思う。

 レコパックもどきなら、仮に一般的住宅のリビングルームで実施しても、ご家族から文句が出ることは、まずないだろう。RRでそんなことをしたら、エラいことになる。間違いなく追い出されます。ひょっとしたら、今後二度と部屋に入れてもらえないかもしれない。イヤ、逆に家族みんな逃げ出して、家庭崩壊を招くおそれもある。

 レコパックもどきは良く出来ているなあと、妙なところで感心頻りである。

’10/10/27 (水)

拭き残し


 大昔から付き合いのあるレコードショップから、久しぶりに連絡をもらった。僕が好みそうなタイトルが入荷した、という。それなればと、早速2枚ほど購入した。中古盤である。ジャケットはやや古びているけれども、盤の状態は非常に良い。

 但し。何故か全体的に白っぽいのである。曇りを拭き切れていない窓ガラス、のようなイメージである。写真は盤面の一部(最内周部分)を接写したものだが、言わんとするところをお分りいただけるだろうか。まさに、汚れた液体を拭き残した跡が見えるのだ。

 これが何に因るものか。ここであからさまに書くと差し障りがありそうなので控えておく。おそらく、分る人には分ると思う。そーゆーことなのであります。

 このショップで買ったレコードは全てこうなっているから、今更驚きもしないし文句をつけるつもりもない。ショップとしてはサービスのつもりでやっていることなのである。事実、仕入れたそのままの状態よりは綺麗になっているはずだ。

 しかし、クリーニングマニア、レコパック(もどき)ヘビーユーザーの僕としては、ちょっと困るのである。目に見える汚れを抱えたまま再生するのは、シキタリに反する。

 もちろん、レコパックもどき実施である。

’10/10/26 (火)

ある日突然


 今日の最低気温は10℃。最高気温13℃。前日比で一気に10℃近く下がったことになり、例によって「ある日突然」の、冬である。こりゃもうホントに二季化するつもりらしい。

 大慌てでコタツを出し、ファンヒーターを灯け、フトンに毛布を足す。寒くて寝るところがないと、ニャーニャーうるさかった愚猫二頭は大喜びである。ムクムクの毛皮着てるンだから、少しはガマンしたらどうだ。

 今年もとうとう冬が来てしまった。ああ、悲しいなあ。

’10/10/25 (月)

落し物


 先日は坂の登り口に、カジりかけの柿の実が落ちていた。今度は境内、本堂の真ン前に写真のようなものを発見した。カジりかけの、栗である。

 裏側には牙の跡が生々しく残っている。こりゃもう間違いなく、ツキノワグマの落し物だ。口いっぱいに栗をほおばり、ムグムグしながら歩いていて口の端からこぼれ落ちたものだろう。

 本堂の裏手には比較的大きな栗の木がある。これを見つけた後、木の様子を調べてみた。幹には盛大な爪跡、枝はあちこちポキポキ折られている。ムチャクチャですがな。今年は特に生り年で、クマさん恰好のお食事場所になっているのだ。

 もし、どこかの人間がこんなことをしたのならば、大いに憤慨するところである。けれども相手がクマでは、どーしよーもない。人的被害がなかったことを、喜ぶべきなのだ。

 今夜もどこかで、ポキポキムグムグしてるんだろうなあ。

’10/10/24 (日)

苦肉の策


 打つ手とは、要するに研磨、である。刻まれた傷を、研磨剤で削り飛ばしてしまおうというわけ。

 ではその研磨剤に何を使うか。傷の粗さからすると、ピカールが妥当なところか。手持ちのダイヤモンドペーストでは番手が大きすぎるような気がする。

 上は昨日と同じ部分の、研磨後写真である。闇雲なヘアライン模様が消え、まあまあの鏡面になっている。これくらいなら、許せる範囲ではないかと思う。

 但し、きれいになるからと言って調子に乗っては遺憾。研磨しすぎると、メッキがハゲて地金(おそらく真鍮系金属)が顔を出すのだ。そうなったら傷よりも見苦しい。傷は消えるメッキはハゲない。そーゆー力加減が肝要である。

 しかし冷静になって考えてみれば、どう工夫してみてもメッキ層を削っていることに違いはないわけだ。永い目で見れば、問題を来す可能性は大きい。少なくとも、悪いことはあっても良いことはないだろう。苦肉の策、なのである。

 もう後には引けない。

’10/10/23 (土)

根気勝負


 昨日作った「メラミンスポンジ棒」は、案に相違してケッコウな働き手であった。おかげで停滞気味だった大物掃除に弾みがつき、本体はほぼ完了。しかし安心はできない。最後に、少々難物が残っているのである。

 写真はそのパーツの表面を接写したものだ。本来なら滑らかな輝きを持っているはず。だが、不規則な擦り傷が盛大についている。やや目の細かいサンドペーパーでざりざりと、闇雲に擦ったような感じだ。何をどーしたくてこーなったのか、僕にはまったくわかりません。汚れや錆を落したかったのならば、他にいくらでも方法はあったろうに。汚れは取れたが傷がついた、ではシャレにもならん。

 偏執的研磨マニアの僕としてはガマンならないわけだ。何としてでもこの傷を取り去りたい。それにはまず、敵の正体を知らねばならぬ。実体顕微鏡で検分すると、傷の数は多いが一つ一つの深さは比較的浅く、メッキ層を突き破っていないことがわかった。そうであれば、まだ打つ手があるかもしれない。

 但し、かなり根気の要る作業には、なりそうである。

’10/10/22 (金)

使い物になるか


 またぞろ正体不明の物体をお目にかける。何だ、これは。

 オーディオ機器用自作お掃除道具である。メラミンスポンジを5mm〜7mm角(大きさ極めてテキトー)に切り出し、ツマヨウジに刺してある。ただ刺しただけでは簡単に抜けてしまうから、ツマヨウジの先端にはちょびっとだけ瞬間接着剤を付け固定した。

 「綿棒」ならぬ「メラミンスポンジ棒」である。これに微量のアルコールを染ませ、狭いスキマの奥の汚れや埃をクリーニングしようという魂胆である。あくまでも「魂胆」であって、狙い通りの用を為すかどうかは、今のところわからない。上手く行けば綿棒を上回る効果が期待できる、はず、だが。

 企画倒れの可能性、大。

’10/10/21 (木)

ビヨーンと


 15時間後、剥がしにかかる。液と同様、乾燥膜の質感にも大きな違いがある。静置時間からすれば完全に乾燥しているはず、だが、表面はニチャニチャしていて乾き切っていない感じ。何だか不穏な雰囲気だ。

 剥がしてみる。膜はビヨーンと伸びてゴムのよう。レコパック、自作もどきのようにパリッと剥がれる痛快さ、爽快感がない。ヒジョーに切れが悪いのである。写真は途中まで剥がしたところ。膜同士が互いにくっ付きあってグチャグチャである。

 しかし、剥離そのものに問題はない。ちぎれて盤面に残る、などのトラブルもなく、剥がしたあとの盤面は極めて美しい。クリーニング効果は非常に高いと思う。その点だけならレコパック、自作もどきにまったく劣らない。

 やはり最大の難は、臭いである。そんなもん効果が高ければ問題ないだろう、とおっしゃるムキもありましょうが、そーゆーレベルの臭気ではないのだ。乾燥剥離後の今も、部屋はRR臭くて困っている。盤からもその臭いが消えない。

 この液体を作った人(たぶん、オーストラリア人)は、嗅覚が異様に鈍感だったか、或いは特異な臭いが好きだったか。そんな馬鹿げた想像を働かせてしまうほど、この液はクサい。

 残念だが、2回目のパックは、実行できないなあ。

’10/10/20 (水)

クサい


 先日買ったばかりの中古盤があったから、そのクリーニングにRECORD REVIRGINIZER(以下、RR)を使ってみる。

 色はレコパックにそっくりで、やや透明感がない。液の質感、特に粘りグワイがいささか違う。レコパックをハチミツに例えれば、RRは濃い目に作った葛湯のような感じ、と言えばおわかりいただけるだろうか。

 溶剤と実質が一様に混ざっているのではなく、どこか遊離して混ざり切っていないような質感である。ゆるいスライム様、とも言える。その所為かどうか、レコパック用のアプリケーターで盤面に展開するも、均一にひろがりにくく斑になりやすい。

 展開後のアプリケーターは水できれいに洗い流せたから、液が水性であることは確かなようだ。使い勝手についてはそのうち慣れるだろう。それよりも、もっと大きな問題があった。パック液の臭いである。

 何とも独特の刺激臭があるのだ。接着剤+カビ+消毒液+樟脳。そんな感じだ。この臭いは極めて不快で、おそらく「悪臭」の類になると思う。レコパック、自作もどき、どちらにも臭いは当然あるわけだが、このような「悪臭」ではない。

 塗布後はあっという間に部屋いっぱい充満し、さらなる不快感を与えてくれるのである。2階で使ったら、1階入り口付近までRR臭くなってしまった。組成によるものか、或いはそのような香料が添加されているのか、よくわかならい。

 塗ってしまったものはもう仕方がないから、ガマンして乾燥を待つ。最低4時間、できれば12時間。

 それにしても、クサいなあ。

’10/10/19 (火)

RECORD REVIRGINIZER


 永く付き合いのある友達(ダニ入りMC-L1000のオーナーではないから念のため)から、ちょっと面白くてアヤシイものをもらった。写真がそれである。

 ラベルと液体の色をご覧になれば、どのような用途に使うものか凡そお分かりではないかと思う。そう、これはレコパックの一種なのである。

 「RECORD REVIRGINIZER」(レコード・リヴァージナイザー)という。この友達、ケッタイなものを見つける名人で、これまでにも色々と教えてもらっている。本人さんは「妙なものを見つけては闇雲に買い込み、いつも失敗ばかりしている」と言うけれども、そーゆースタンスは、好きです。

 オーストラリア製である。日本国内では販売していない。500ml入りで54.50AUD(現在のレートで約4,360円)と、この手のものとしては高価である。言うまでもなく、自作レコパックもどきを遥かに上回る高級品だ。

 詳しくは当該webページをご覧いただきたい。面白いのはFAQのページで、安全性についての質問に「お薦めできないが、何なら飲んでも構わない」と答えてある。ほとんど正体不明のレコードクリーナーだが、飲んでもよいくらいならレコードにも害はないだろう。と勝手に決め付け、早速に試用してみたいと思う。

 そう言えば、これもお掃除アイテムだな。

’10/10/18 (月)

引き続き、掃除


 カートリッジ掃除に続き、別のオーディオ機器の掃除を進めている。今度はかなりの大物だから、顕微鏡やDIGI SCOPEは不要である。しかし、作業にはたいへん気を遣うこと、下手をすればぶっ壊してしまうこと、などは少しも変わらない。

 僕にでも取り外し・再組み立て可能と思われるパーツはすべて外し、まずはそれらからクリーニングする。写真はその一部である。

 この機器の正体は。使用可能状態となった時に、改めて。

’10/10/17 (日)

危険個所


 磁気ギャップ掃除したり、その練習をしたり、MC-L1000をこれほど詳細に検分するのは滅多にないことである。

 写真は、カンチレバーを真横から拡大視したものである。スタイラスとプリントコイルの結合グワイ、コイルからカンチレバーに沿って後方へ導かれる極細リード線の様子をおわかりいただけると思う。

 スタイラス本体はカンチレバーを下方(実用状態では、上方)へ大きく貫通して接合され、突き出た部分にプリントコイルが直結されている。「ダイレクト・カップリング」の看板に偽りのない構造なのだ。取説の文章で理解できていても、実際に自分の目で確認できると、改めて感じ入ってしまうのである。これはまさに、唯一無二の構造だ。

 斯くの如く特異な構造からくる弱点は多い。プリントコイル劣化はもちろんだが、カンチレバーの根元で空中へ離脱した部分(写真右下)のリード線は、特に危ないところだと思う。

 リード線は極細極薄のシート状で、カンチレバーの動きを妨げない構造になっている。つまり、この部分のリード線は、カンチレバーに同調し撓んだり引っ張られたりしているわけだ。樹脂皮膜で保護されているとはいえ、永い年月を経ての金属疲労もあるだろう。ひょっとしたら、何時断線しても不自然ではない状況なのかもしれない。

 クリーニング作業中、この周辺だけは絶対に触れない。触ってはイケナイのだ。もう僅かでも綺麗にしたい、というスケベ根性をぐっと抑え込み、作業撤退するのである。

 断線させれば、復活の目は、絶対にあり得ない。

’10/10/16 (土)

お稽古


 コイル断線したMC-L1000をダミーとし、DIGI SCOPE拡大画像下での磁気ギャップ掃除作業を試行してみる。

 細部までよく見るためには、最大解像度1600×1200ピクセルに設定するのが最良、に決まっている。けれども、この解像度での作業は極めて困難、というよりも、ほとんど不可能なのだ。

 画質は、たいへん良いと思う。問題は、画像データ量が大きくなり実際の動きに転送速度が追従できなくなることだ。写真は歯ブラシの毛1本をギャップに挿し込んでいるところだが、少し動かしただけで一瞬視界から消えたような感じになるわけだ。これでは危なすぎて作業できない。「慣れる」という範疇を遥かに超えた不都合である。

 そこで解像度を1280×1024ピクセルに落してみる。当然画質はやや劣化する。しかし、転送遅れはかなり改善され、実際の動きに近くなった。リアルタイム、というにはまだディレイがかかった画になるものの、この程度ならば「慣れる」ことも可能か。

 さらにその下、640×480ピクセル、最低解像度320×240ピクセルも試してみた。どちらも転送遅れは感じられない。リアルタイム動画である。だが、如何せん画質が悪い。磁気ギャップに付着した細かな埃、鉄粉などは、つぶれてしまって視認できない。下位2種設定も、使用は却下である。

 現時点での結論。解像度を1280×1024ピクセルに設定し、多少の転送遅れには練習を積むことで対応する。現状、作業を1時間程度続けてみたところ、ブラシの先端が宙をさまようことが減ってきたようだ。

 何事も、お稽古修練が大切なのである。

’10/10/15 (金)

第二次カスタマイズ


 DIGI SCOPE第二次カスタマイズは、ご覧の通りである。支柱にはアーム様に伸びたアルミ製角柱が取り付けられた。手前に見えるのは、φ38mm×4mm厚の真鍮円盤である。

 アルミ角柱は、カートリッジを相手に細かで微妙な作業をするバヤイ、工具の安定を図るガイドになる。ジグ、或いは工具用安定枕、と言ってもよい。支柱への取り付けはネジ固定式だから、任意の位置へ持って行ける。

 手前の真鍮円盤には、M3タップが切られた穴が二つ空いている。一つは円盤の中心に、もう一つは意識的に偏芯させた位置にある。このどちらかにM3×9mmの皿ネジをねじ込み、SUS円盤に空いている三つのφ3.5mmバカ穴いずれかに挿し込めば、自由回転の利く小型ターンテーブルが出来上がる。

 この上に、検査、或いはクリーニングしたいカートリッジを両面テープなどで固定する。円盤は自由に回転するから、カートリッジの安定を保ちながら見たい部分を変えることができる。

 ここで大きな働きをするのが、真鍮円盤の偏芯穴である。中心穴だけでは、視野の範囲がある程度限定されてしまう。偏芯穴を使うことで、視野選択に幅が出るのだ。受けのバカ穴は三つ(この位置が、また絶妙)あるから、さらに自由度は大きくなる。ヒジョーによく考えられているわけだ。

 カスタマイズパーツすべてを取り付け、DIGI SCOPEをセットした時の実測重量は830g。どっしりと安定し、作業の危機感は皆無である。これでカートリッジ専用拡大鏡として具する準備は、完了した。

 あとは実際の使用、だが、これにはかなりのお稽古が必要なようで。

’10/10/14 (木)

第一次カスタマイズ


 工作名人の創意工夫による改良パーツを使い、カスタマイズしたDIGI SCOPEである。

 貧弱ですぐにずっこける鉄板台座は、φ93mm×11mm厚、非磁性SUS円盤に交換。実測重量608gと、オリジナル台座の実に10倍の重量、非磁性体で安定感・安心感抜群である。素地のままでは照明光を反射してグワイが悪いから、深緑色のスエード様化粧シートを貼った。

 表示画像が逆転する問題は、本体ホルダーを180度付け変えることで解決する。ついでにローラーを覆っていた部分を一部削り取り、フォーカスと倍率変更操作を容易にしてある。

 写真では分りにくいけれども、支柱固定用金具はロックを確実にする工作が施されたものに、ロックナットは径の大きな真鍮円盤に、それぞれ交換してある。

 結果、オリジナル状態とは比べ物にならない実用的な(但し、カートリッジを触る、という目的で)装置に変身したのである。

 以上でDIGI SCOPEカスタマイズ完了。ではない。この上にもう一捻り、さらなる工作名人謹製のパーツが、用意されているのだ。

 この話題、続きます。

’10/10/13 (水)

文句が多い


 オリジナル状態に組み立てたDIGI SCOPEは、ご覧の通りである。一見、何の問題もなさそうで、実は非常にグワイが悪いのである。

 不グワイの1。スタンドの台座が貧弱で、すぐにずっこけてしまう。2mm厚の鉄板で、実測重量60g。軽すぎてまったくダメダメである。しかも磁性体ときているから、この上にカートリッジを置いたらどーなるか。言わずもがなである。スタイラスを上向きに置いたバヤイならまだしも、横向き置いたりしたら、勝手にクルリと裏返ってカンチレバーをぶち折ること間違いなし。恐ろしいのである。

 不グワイの2。オリジナル状態では、パソコンに映し出される画像が、実像と逆向きになる。このツールを使いカートリッジを触ろうとする者にとって、致命的な不グワイである。実際に逆転画像下でツマヨウジを動かしてみたけれども、ノウミソがネジ切れそうになった。こんなんではカートリッジ掃除なんか絶対不可能だ。

 不グワイの3。本体に黒く見えている部分が、倍率とフォーカスを決めるローラーである。これにスタンドホルダーが大きく覆い被さっているので、たいへん回しにくい。しかもこのローラー、元々スムーズさに欠けている。クルクルではなくガクガク回るのである。

 不グワイの4。支柱固定金具のロックが甘く、チカラいっぱい締めてもグラグラする。下手するとカートリッジの上に本体が滑り落ちてくるかもしれない。ああ、こわ。さらに、本体の向き、角度を決めてロックするナットの径が小さく、たいへん回しにくい。ので、がっちりとロックできない。

 文句ばかり書いてしまったけれども、拡大画像はわりと綺麗だし、不グワイを改善し作業訓練を積めば、実体顕微鏡に代わる拡大鏡として充分使えそうである。なにしろ6,500円なのだ。贅沢を言っては遺憾のである。

 というわけで、改善パーツを使う方面へ、進む。

’10/10/12 (火)

DIGI SCOPE


 9日に載せた謎のパーツ、それらを使いカスタマイズされるべき装置が、今日届いた。写真のものである。

 「CHRONOS」というメーカー(たぶんそうだと思う)の、USB2.0 DIGI SCOPE なるものである。秋月電子通商で購入。6,500円だった。台湾製である。

 200万画素、10倍〜230倍の拡大視画像をリアルタイムでパソコン画面表示可能。もちろんデジタルカメラとして画像保存もできる。実体顕微鏡に代わるカートリッジ各種作業用拡大鏡、兼、高画質接写カメラとして使おうという、魂胆である。

 最大のメリットは、作業する手元と拡大像を同時に視認できること。これに尽きる。実体顕微鏡での作業にもかなり慣れてきた、とは言え、実像と接眼レンズを交互に見ながらの細かい作業は、かなりの緊張を強いられるのだ。

 工作名人の手による詳細な使用感レポートをもらっていて、オリジナル状態には幾つかの不都合があると指摘されている。それらを改善するために用意されたパーツ群だったわけである。こうして対象となる装置を手にしてみると、実によく考えられた、極めて有用なパーツであることを実感できる。

 明日からは、使用感などを書いてみたい。

’10/10/11 (月)

秋の象徴


 午前中は雨が残っていた11日、午後からすっかり晴れ、とても良い日になった。気温は25℃くらいまで上がっていただろう。色付き始めた柿の葉と抜けの良い青空、湿気の少ない風は秋の象徴のようだ。

 長期予報によれば、向後来たる冬は厳冬大雪になるという。そう言えば、高いところに登ろうとする♀カマキリさんが多いような、気がする。2005-2006の秋〜冬がそうだったように。予報は的中するかもしれない。

 不調気味の除雪機、今のうちに整備しとかんと遺憾なあ。

’10/10/10 (日)

テスト継続


 ダンパー補修MC-L1000のテストは続く。33回転レギュラー盤、180g盤、200g盤などに関しては、現状問題なく再生できている。次にテストするのは、45回転180g盤である。補修前、致命的損傷を受けたのが、このタイプの盤であった。

 重量盤は厚みが大きい。この点は、アームの高さを調整することで吸収できる。もう一点、トラブルを惹起する大きな原因があった。

 33回転のバヤイに比べ、回転速度が速くなるため、スタイラスを前(回転方向)へ引っ張る力が大きくなる。そうすると、カンチレバーの沈み込みが僅かに多くなるのである。健全なカートリッジならばまったく問題にならない程度だ。しかし、ダンパー劣化で青息吐息、絶命寸前のMC-L1000には致命的であった。

 それまで既にギリギリのクリアランスしかなかったものが、完全に底打ち状態となってしまった。しかも困ったことに、沈み込んだカンチレバーがその位置から元に戻らなくなってしまったのだ。おじゃんである。以来、お蔵入りとなっていたわけだ。

 いささかの不安を抱えながら、45回転180g盤に針を落とす。外周部が最も危険、ここをクリアできればまず大丈夫なのだが。

 33回転盤に比べると、クリアランスが僅かに小さくなるけれども、底打ちはない。写真は盤半ばまで進んだ時のもの。1mm程度を確保している。まあ、これならグッドと言ってよいだろう。

 45回転盤を3枚程度再生したあと、33回転レギュラー盤で再度様子を見る。カンチレバーは完全に復位している。目的外使用の弾性エポキシ接着剤が、現状それなりの仕事をしているらしい。たいへんケッコウである。

 残るは壮絶優秀録音盤への対応だが、テストするかせざるか。

’10/10/09 (土)

謎のパーツ


 工作名人の友達から、写真のようなパーツ類が届いた。これだけをご覧になっても、何のことだかさっぱり、っちゅうお話だと思う。

 φ93mm×11mm厚、実測重量608gの非磁性SUS円盤、あとはネジ類に樹脂製ホルダー様のものなど、合計6点セットである。すべて自作、或いは独自の改良が加えられていて、如何にも意味ありげな感じ。

 実はコレ、ある装置を、特定の用途にカスタマイズさせるためのパーツなのだ。工作名人がご自分用に工夫されたものを、僕にも作ってくださった、というわけ。何ともありがたいことである。

 して、対象となる装置、それはまた後日。

’10/10/08 (金)

やはり来ている


 クマを話題にした翌朝、境内に上がる坂の登り口で、カジりかけの柿の実とフンを発見した。やはり、すぐ近くまで来ているのだ。昨日の日誌、読んだかな。

 フンには柿の種子、大小のドングリ、栗の実と思しきもの、などが大量に混じっている。いわゆるツキノワグマの好物とされるものばかりである。このような、さして高カロリーとも思えぬものを食べながら、しかも100kgになんなんとする体を、彼らは維持して行かねばならんわけだ。そりゃあ大量に要るだろう。

 この時期のクマは、ほとんど寝ずに四六時中食べているという。越冬のための準備をしているのである。僕がこうして日誌を書いている夜中も、どこかで柿か何かをカジっているのだろう。彼らもヒッシなのである。

 と、窓の外にケダモノの気配あり。そっと覗いたら、タヌキであった。

’10/10/07 (木)

クマ、頻出


 シカの出没とともに、今年はツキノワグマの出没が極めて頻繁になっている。一昨年は写真に見えるとおり、箱船脇の柿の木までやってきて、爪痕を残していった。今のところ拙宅近くには来ていないようだが、村内では住宅直近での目撃例が相次いでいる。

 シカやタヌキ、イタチやテンはまだよい。イノシシ、キツネくらいまでなら何とか許そう。しかし、クマは遺憾。夜、母屋から箱船への移動が、ヒジョーに怖いのである。

 村のハンターさんに話を聞くと、つい先日も120kg級の♂が罠にかかったそうだ。滅多にない大物である。捕獲しても「絶滅のおそれのある地域個体群」指定、ということで、即時殺処分にはできない。獣医を呼び麻酔で一時的に眠らせ、特徴を測定記録し個体識別タグを付けた上で、リリースするという。

 ただしリリースするのは二度まで。同一個体が三度目の罠にかかったバヤイは「常習的に里へ出没、人に仇為す害獣」と認定され、獣医立会いのもと殺処分となる。そのための識別タグなのだ。

 保護獣か害獣か。いずれにしても、人間様のご都合なのである。

’10/10/06 (水)

不グワイ判明


 音の歪みも針飛びも、すっかり改善された。はずの友達所有MC-L1000であったが、色々なレコードでテスト再生してみたところ、音はともかく、未だ針飛び症状が治まっていないことが判明した。

 頻度は極めて低い。一般的なレコードを再生する分には、まったく問題なし。超低域のレベルが高めに記録されているレコードのバヤイに多いのである。先日、僕がシロウト作業でダンパー補修した個体よりも、明らかに不安定だ。

 やはりこれはダンパー劣化なのではないかと、思う。見た目には健全であったし、カンチレバーに過度の沈み込みは見られず、盤面とのクリアランスも充分に確保できている。しかし実際には、傷んでいるのだろう。

 先日の個体とは、また違った劣化の仕様なのかもしれない。何となく感じるに、グニャグニャになっているのではなくて、萎縮して硬くなっているような気がする。本来あるべきコンプライアンスが失われ、カンチレバーの動きを制御できなくなっているふうである。

 グニャグニャ劣化タイプならば、弾性接着剤で誤魔化すことができても、硬化してしまったものは改善不可能なのではないか。ある意味致命的。仮令先日の方法で改善できるとしても、これ以上手を出すのは控えたい。これまでのシロウト作業が偶々上手く行っているからといって、増長しては遺憾のである。

 友達には「ムチャなレコードさえ再生しなければ問題ないから、そのように使え。それよりも何よりも、レコードクリーニングの徹底、使わない時の保管方法に気を遣って欲しい」と言っておいた。

 多くのことを教えられた、貴重なMC-L1000であった。

’10/10/05 (火)

秋になれば


 MC-L1000に必死で取り組んでいるうちに、気がつけばすっかり秋である。朝晩は10℃近くまで気温が下がり、半袖では過ごせない。冬の予感さえさせるような冷気である。

 そのような季節になると、にわかに山のケダモノの影が濃くなるのだ。写真は一昨日の夜、裏庭にやってきた、お馴染みのニホンシカである。この一瞬前まで草を食べるのに一所懸命だった彼だが、デジカメの微かな動作音に反応しこちらを警戒、そのおかげで正面顔を撮ることができた。

 大きな耳は、周囲の音を細大洩らさず聴き取るためだろう。これだけ大きな耳朶があれば、音だけでなく自分を取り巻く音場の変化にも敏感なはず。いち早く危険を察知するために獲得した、重要なパーツなのだ。

 さらに、ストロボに反応して強烈に光る目が印象的である。これは、夜行性動物の目に備わっているタペータム(輝板)というものに拠る。

 夜間の僅かな光をタペータムで再度網膜へ反射させ、高効率に利用することで暗視可能としているわけだ。ネコの目が光るのと同じ理屈である。高性能スターライトスコープを生まれつき持っているようなものだ。これもまた彼らの生き残り戦略なのである。

 夜中独り、この目で眤と見つめられると、いささかブキミだ。

’10/10/04 (月)

禁断の扉


 MC-L1000のギャップ掃除は、極めて危ない作業であった。結果的には成功しているようだけれども、実際の作業中にはヒヤリとする瞬間が何度もあった。そのたびに一旦手を止め、ハアハアする息を治めてから再開するわけだ。

 そのような作業だったからこそか、今無事にレコードを再生するMC-L1000を聴いていると、何とも言えない達成感がある。自分所有のカートリッジではないにもかかわらず、なにやら得してしまったような。

 では、同じ作業をもう一度やれるか。この問いに対する僕の答えは、非常に複雑である。「あんなに危ないことは二度とやりたくない」気持ちと、もう一方では「もっとやってみたい」という思いもある。それはまさに、禁断の扉を開けてしまったような感覚なのだ。

 とは言うものの、妄りに手を出すべきものではないと考えるのが、冷静な見方であろう。今回は、友達からの強い要望と、あまりの汚れ様を目にして辛抱できず、ある意味暴挙に出たわけである。失敗しなかったことは、きっと稀有の幸運だったのだ。

 これを教訓に、なお一層レコードクリーニングを徹底するべし。

’10/10/03 (日)

成功、だが


 10月3日は、「船長の戯言」の創立記念日である。今年で10周年を迎える。何事にもこらえ性がなく、すぐに放り出してしまうタチの僕がここまで続けられたのは、何を置いてもご閲覧くださっている方々のおかげさまである。心から御礼申し上げたい。本当に、ありがとうございます。

 さて、10年経っても「いつまでも実験レベルを脱却できない」ことに変わりはなく、今日も「ダニが棲んでいた」MC-L1000の話題である。

 スタイラスのクリーニングには、オーディオテクニカ AT-637を使う。これは大変優秀で、相当な針先汚れも魔法のように落とすのだ。但し、クリーニングリキッドは使わないほうが安全である。特に、MC-L1000には絶対厳禁である。

 針先はピカピカになった。下部カバー内側も掃除して取り付け完了。ついでに出力ピン、ボディ全体、ついていたシェル(PH-L1000である)も綺麗にし、面目も新たな姿が、上の写真である。なかなか美しくなったと思う。

 同じ試聴するなら、できるだけ手持ちのものと条件を揃えたい。βチタン合金ビス、純チタンナット、リード線も同じものを具し、掃除後第一音を聴く。

 友達が困っていた「ひどい歪み」は、まったく感じられない。たいへん切れが良く、透明感の高い、いわゆるL1000サウンドである。ダニが棲んでいたとは思えない。意地悪く「少しでもグワイが悪いと必ず歪む」レコードも聴いてみたが、まったく問題なし。

 トラッキングも安定している。「何でもないところでも針が飛ぶので、針圧を多めにかけていた」と友達は言うが、それは悪循環ではなかったか。現状、針圧1.5gでオールグリーンである。

 今回の掃除は、成功だったと思う。しかし、手放しで喜ぶわけにも行かない。このL1000は今後友達の元へ帰り、再びその環境下で使われることになるのだ。通常、他人様のオーディオ環境に口を出すような余計なマネは絶対にしないが、今回は別である。手間賃代わりに一言だけ、言上しておこう。

 これからはもうちょっと綺麗に、使いましょうね。

’10/10/02 (土)

何が出るかな


 磁気ギャップの掃除を実行するにあたっては、工作名人の友達から多くの示唆と助言をもらっている。中でも、「掃除に使う道具類は、カートリッジや状況により最適なものを自分で工夫する」というアドバイスは貴重である。臨機応変が重要、ということであろう。

 そこで今回、僕が用意した掃除道具は以下の通り。

  ☆ ツマヨウジの先を細く削り、さらにペンチで平たく潰したもの
  ☆ ツマヨウジの先を二つに割り、歯ブラシの毛を1本挟み込み、
    根元を瞬間接着剤で固定したもの
  ☆ 大昔のテクニカのレコードクリーナーに付属していた
    極細毛のカーボンブラシ
  ☆ ナイスタック(両面テープ)
  ☆ セロテープ
  ☆ 紙片
  ☆ テグス(φ0.128mm)
  ☆ ブロワー

 特殊なものはほとんどない。強いて言えばカーボンブラシくらい。これは最初の段階でおおまかに埃を払うのに使った程度で、特に威力を発揮したのは、どこにでもあるツマヨウジとテープ類である。

 ゴミを掻き出してみて、またまたひっくり返ってしまった。なんと、埃に混じってイエダニの屍骸が出てきたのである。しかも1匹だけではない。なんちゅうことか。やはり再生環境を深く疑ってしまうのである。それにしても、カートリッジからイエダニのミイラとは。恐れ入るのである。棲んでいたのかな。ああ、キボチ悪い。

 ゾロゾロ出てくるゴミと埃と錆に「うえー、きったねえ」と呟きながら顕微鏡を覗き、二夜にわたる作業の末、ようやく掃除を完了した。上は、その様子である。例によって、作業中の写真はありません。

 当初の状況とは比べ物にならないほど、綺麗になったと思う。但し、未だ細かな埃が除去し切れていないし、ヨークに発生した錆の塊が残っている。シロウト作業ではこれ以上取り切れない。スケベ根性で壊してしまっては元も子もないから、この辺りで手を引いておくことにした。

 クリスタルイヤホンで導通検査、問題はない。あとはスタイラスをクリーニングし、下部カバーを被せれば全作業終了である。

 友達が嘆く「歪み」は、改善されるのだろうか。

’10/10/01 (金)

畏れ多くも


 10月である。すっかり秋めいてきた今日この頃、航海日誌は相変わらずである。先月より引き続き、MC-L1000の話題で始めたい。

 写真は、友達から預かっているナンギなMC-L1000の下部カバー内側である。ここも滅多に見られない部分。十字架のように見える切抜きから、カンチレバーとプリントコイルが出っ張る算段だ。

 何故にわざわざ写真に撮ったか。磁気ギャップと同じく、ここもまた通常では考えられないくらいにキタナイからである。

 切り抜きの周りに、糸ゴミやら埃やら鉄粉様のものやら、どう見ても人毛としか思えないようなものまでがどっさりこびりついている。この部分がこんなにババチイL1000は、ちょっとないのではないか。掃除のし甲斐がある、と言えばそのとおりだが。

 それにしてもこの所有者(恥ずかしながら、友達である)は、どんな環境でどのようにしてレコードを再生しているのだろうか。20年以上使っている手持ちのL1000でも、こんな汚れ方はしていない。そりゃあ音も歪みますぜ、ダンナ。名機MC-L1000が、不憫でならない。

 して、肝心の磁気ギャップ掃除は。拡大視下での作業を幾度もお稽古し、七つ道具を打ち揃え、「壊れてもよい」という友達の言を信じ、畏れ多くも挑戦することに決定した。

 復活なるか。