箱船航海日誌 2010年01月

日々雑感、出来事などを思いつきに任せて綴っていこう

過去の日誌コンテンツ

’10/01/31 (日)


 数年ぶりに訪れた、我が修行の場「海清寺」は、昔と変わらぬ凛とした空気を境内に湛えていた。

 写真は、山門をくぐって正面に見える庫裏である。この庫裏は、1995年の阪神淡路大震災後に新築されたものである。僕がいた頃にあった旧庫裏は、震災で全壊したのだ。

 この寺のロケーションは、およそ修業道場らしくない。西宮市の正に中心部に位置し、通りを挟んだお向かいさんには市役所があり、山門から50mのところを阪神電鉄が走る。裏門を出て北へ1分歩けば国道2号線、5分歩けば国道171号線。南へ3分歩いて国道43号線。名神高速、阪神高速、いずれも10分以内で乗ることができる。

 お寺、殊に「修業道場」などと言えば、人里離れた山に抱かれ、如何にも欝蒼とした環境をイメージされるムキが多いと思う。それとはまったく正反対、市街地ド真ん中という立地環境なのだ。

 にもかかわらず、境内に一歩足を踏み入れれば、冒頭に書いたとおり空気が一変する。恰も結界が張られているようだ。何かしらのチカラが、働いているのだろう。

 このままずっと変わらずであって欲しいと、願うのである。

’10/01/30 (土)

懐かしい街


 明日はオツトメ出張版で、西宮市まで出かける予定である。西宮は、かつて修行時代を過ごした街だ。ある意味、最も思い出深いところとも言える。

 写真は1986年、我が盟友徳さんと一緒に写る、雲水時代の一枚である。12月にある最も厳しい修行期間を終えた記念に撮ったものだと思う。二人ともいささかやつれてはいるけれど、何だか嬉しそうだ。ヒジョーに懐かしいのである。

 道場を辞してからでも、師匠のご存命中は出向くことが多かった。1998年に亡くなって以来は、足が遠のいている。明日のオツトメ先は道場からさほど遠くはないから、久しぶりに訪ねてみようかと思う。尤も、今や既知は一人もいないのだが。それもそのはず、入門から数えて27年も経っているのである。

 昭和は遠くなりにけり。

’10/01/29 (金)

もうすぐ10歳


 今年の5月が来ると、満10歳になる愚猫1号ラクである。人間で言えば60〜70歳くらいになるそうだ。

 ネコ年齢をヒト年齢に換算するのはあまり意味のないこととも思える。ここは話のネタとして。本当に70歳相当かどうかは別として、老いは彼女の体に確実にしのび寄っている。

 まず、跳躍力が目立って低下した。以前なら容易に跳び乗ったお気に入りの場所へ、あまり行かなくなった。見かけ上犬歯が伸びたようなグワイ、実は歯茎が痩せているのだ。体毛に白いものが目立つようになった。ヒトで言えば、白髪である。毛並みの艶も鈍くなっている。

 病気もせず、大変元気に過ごしてはいるけれど、今後はさらに老いて弱って行くだろう。長くてもあと5年か、6年か。

 クロネコが20年(25年だったかな)以上生きると、シッポが二又にわかれて「ネコマタ」という妖怪に変化(へんげ)すると聞く。そうなることを、僕は本気で期待しているのだが。

 ネコマタにならなくてもいいから、長生きしておくれ。

’10/01/28 (木)

戯言中の戯言


 DL-103SL+CS-1のルックスは、なかなか美しい。と個人的には思う。見様によっては、あまり面白くないとも言えるわけだが。

 ここに至っても、やはり僕はリード線のまとめ方に文句があるのだった。クドいのである。もう少し長めのものを使い、余裕を持たせれば少しは格好良くなるかもしれない。けれども僕は、MR-1Rhを使いたいのだ。クドい上にワガママである。

 今日は、いつもにも増してヒドイ戯言に、なってしまいました。多謝。

’10/01/27 (水)

ポンプユニット劣化


 修理依頼が遅れたり、手配に手違いがあったりして、ようやく修理が始まった2階のエアコンである。業務機ということで、街の電気屋さんでは手に負えないらしく、メーカーから直接技術者がやってきてくれた。

 問題は、室外機にあった。熱交換ガスを循環させているポンプユニットが経年劣化で腐食し、液漏れを起こしていたのである。僕も実際に確認させてもらった。素人目にもはっきりわかるほど、サビサビのボロボロである。

 修理は可能。但し、ポンプユニット総取り替え、消耗部品交換、技術料、全部合わせると相当な額になるという。「どれくらい?」と尋ねてみたが、販売店へ見積りを出す約束になっているから、と詳しくは教えてくれなかった。

 冬はファンヒーターで誤魔化すことができても、夏にエアコン無し、では困るのである。少々かかりが多くとも、修理せざるを得ないだろう。販売店からの連絡が、ちょっと怖いなあ。

 2階用がこのような状態ならば、1階用も同程度に劣化していると考えるべきだ。今のところ問題なく動いている。しかし、早晩修理が必要になるはず。行けるところまで行って、ダウンしたら修理するしかないのだろう。

 箱船も16年以上経てば、メンテにお金がかかるようになるのである。

’10/01/26 (火)

目覚め


 昨日から、DL-103SLでさらに幾枚かのLPを聴いた。ずいぶんと目が覚めてきたような印象である。レンジも音場もかなり広くなりつつあり、高域の伸び悩み感はあまり気にならなくなってきた。ウォーミングアップは、重要なのである。

 カートリッジを試聴するに必ず具するLP、それが背景に写るタイトルである。既に御馴染みの「MISA ESPIRITUAL」(独harmonia mundi HM-663)。高域の伸び、分解能、解像度、歪みなどを見るに最適のレコードである。

 価格差10倍近い高級機などとゲンミツに比較すれば、劣る部分は確かにある。けれども実に立派な音である。明るくシャープに散乱する音は、非常に魅力的だ。情報量も多い。この音だけを聴いて20年前3万円の、しかもDL-103の派生カートリッジだと見抜く人は、そう多くないような気がする。

 良いカートリッジである。

’10/01/25 (月)

反応速しSL


 ようやくにして試聴までやってきたDL-103SLである。CS-1との組み合わせで、総重量25.70g。ハイマス・ローコンタイプのカートリッジ、ということで、今回はまず、WE-407/23で試聴する。

 ちょっと心配した動作は、極めて正常である。両チャンネルとも何ら問題なく音が出ている。ヨカッタヨカッタ。鳴らし始めの音はずいぶんと生硬い感じで、大丈夫かいなと思った。LP片面を再生し終わる頃にはかなり解れる。

 いい音である。反応が速く、音に生気がある。繊細、というよりは豪快な音、だが、情報量がネグられている感じはない。見た目、かなり大らかなカンチレバーとスタイラスのわりに、細かな音もきちんと再現する。103LCIIよりもツッパリ感がなく、素直な音だと思う。

 どちらかと言えば中〜低域のエネルギーが強めで、個人的な好みからすれば、高域の伸びがもう一息欲しい感じはある。ハイ落ち、というわけでは決してないのだが。僕は、ややドンシャリ気味の音が好きなのである。

 音場は、今のところ「広大」とまでは言えない。たぶん、鳴らし込んで行けば徐々に拡がりが出てくるだろう。なにしろ、軽く10年以上は寝ていたカートリッジなのだ。本格的に目が覚めるには、時間がかかるのである。

 CS-1とのマッチングは、大変良いと感じた。MC-L10での印象と同じく、響きと余韻が非常に美しく、音に濁りがない。接触面積が広いのも、大きなメリットだと思う。アームとの嵌合グワイは、EPA-100MkIIとの組み合わせ以上にガッチリ決まってガタは皆無である。ダブルピンロックのメリット全開、という感じ。この点も、音の良さに無関係ではないだろう。

 103GL、C1も、このシェルで聴き直したくなるのだった。

’10/01/24 (日)

ピン配置


 DL-103SLの再生準備は完了したけれども、試聴する前に僕はヒトコト文句を言いたいのである。

 シェル側の出力ピン配置は固定されているのに、カートリッジ側はどーしてメーカーによってバラバラなのか。「それがアナログのいい加減で良いところです」と言ってしまえばそれまでだが、僕は困るのである。

 このカートリッジのピン配置は、特に厄介である。シェル側から見た時、上下左右すべて逆手になってしまうのだ。右下(赤:R+)→左上、左下(白:L+)→右上、右上(緑:Re)→左下、左上(青:Le)→右下、というグワイ。ご覧の通り、シェルリードはこんがらがったパスタみたいになり、ちっとも美しくない。何だかイヤだなあ。

 オーディオ・テクニカ、ビクター、ヤマハなどは、左右が交差するだけだからまだよい。マイソニック・ラボ、ライラ、オルトフォン、サエクなどは同極性ピンがきれいに向かい合い、まったく交差せず美しくつなげる。こうでなくっちゃあ、イケナイのだ。

 リード線が固く絡み合うことで振動に強くなり、音質が向上する。そのような考え方があるのは知っている。わざわざ4本に縒りをかけてつなぐ人、糸か何かで縛ってつなぐ人もいるのだ。僕は、リード線がすんなりときれいな円弧形状を描いてつながっていないと、どーしてもイヤなのである。

 と、グダグダ言いながら、試聴へ進む。

’10/01/23 (土)

9.87g


 今日は少々忙しく、DL-103SL(以下、SL)をシェルに取り付けるまでに至れなかった。ので、その前作業として、自重を実測しておく。

 ご覧の通りである。9.87g。取説には9.7gとあるから、+0.17g程度は誤差、或いはバラつきの範囲であろう。オリジナル103の自重カタログ値は8.5g、手持ちにあるカートリッジのうち、最もオリジナルに近いDL-103LCIIも8.5g。参考に実測すると、9.00gだった。

 してみると、SLは重量級ということになる。CS-1との組み合わせでは、総重量25g台後半くらいでまとまるはず。箱船のAD再生環境においては、まずまず好い加減のところだと思う。

 明日は、試聴できる予定。

’10/01/22 (金)

DL-103SL


 このカートリッジもまた、新品で購入しながら今やご老体、というものである。DENON DL-103SL。日本コロムビア創立80周年記念として、1989年に発売された103シリーズの限定モデルである。2,000台限定、手持ちのものには「No.1296」のシリアルが付いている。当時のメーカー希望小売価格は30,000円。

 僕が買ったのはずいぶん後で、1993年である。大阪日本橋のオーディオ店で、ほとんど投売り状態だった。その頃というのはCDが飛ぶ鳥を落す勢いで、アナログ再生機器全般、ゴミかカスかの扱いだったのである。

 アルミストレートパイプのカンチレバーに0.2mm角柱ダイヤ、0.65ミル丸針スタイラス。針圧2.5g、出力0.25mV。この辺はオリジナル103に同様、ある意味古典的な諸元ともいえる。コイルの線材に6N銅を採用、ターン数を減らし磁気回路を強化して出力同等のまま低インピーダンス化を図ってある。オリジナル40Ω、SL14Ω。

 ご覧の通り、真っ白な美しいルックスである。稜線にはRが付けてあり、マックロケでカクカクした無骨なオリジナルとは随分違う。取説には「セラミック系ボディ採用」とあるが、いわゆるアルミナやSiC等とは別種のようだ。一般的なプラスチックモールドタイプよりは、硬く重く丈夫な質感である。

 今は亡き「FMfan」に連載されていた「長岡鉄男のダイナミックテスト」第470回(1990年第4号)に、このカートリッジが取り上げられている。その評に曰く。

 「音は優秀で、粒立ちがよく、艶があり、音場広大で、思わず聴きほれてしまうほど。これは絶対買いだ」

 斯くも高い評価と知りながら、、何故僕は即買いに走らなかったのか。よく憶えていない。たぶん、お金がなかったのだろう。日本橋で格安新品を発見した時は、とても嬉しかった。

 何度か使ってはみたものの、マッチングのよいシェルを見つけることができず、ケースに長く仕舞い込んでいた。それを今回、フェーズテック CS-1と組み合わせて聴いてみようという企てである。確信はないけれども、何となく上手く行きそうな気が、するのである。

 それ以前に、正常動作するだろうか。ちょっと心配では、ある。

’10/01/21 (木)

摩訶不思議


 βチタン合金ビスへ移行する前、カートリッジ取り付けに頻用していたM2.6 SUSキャップスクリューである。今やすっかり主役の座を奪われ、小物入れの片隅でアクビしている。まあ、ウチでの役目は果たし切った、ということで。

 ふと思い立ち、MC-L10から外したものに磁石を近づけてみた。SUS3〇〇と、300番台の番号が付く非磁性ステンレス製(オーステナイト系ステンレス、というンだそうです)と聞いていたから、当然反応しない、はず。ところが然に非ず。くっ付きはしないものの、わずかに引きつけられるのである。

 強磁性ではないけれども、非磁性でもない。弱磁性、という感じだ。何だか変。試しに別の店から購入したものも調べてみたら、こちらはまったくの無反応。本当の非磁性である。ますますワケがワカラン。

 摩訶不思議。

’10/01/20 (水)

4月中旬並み


 昨日に続く絶好天であった。お昼に向かってどんどん暖かくなり、最高気温17℃。今日に限っては室内より戸外の方が暖かである。

 20日は「大寒」だというのに、穏やかな南風が吹いて4月中旬並みの暖かさである。ヒジョーにありがたいことだと喜びつつ、ちょっと気色悪くもある。モドリが怖いのだ。

 庭の雪は、北側と日陰に残るだけでほとんど消えてしまった。このまま全部消えて、さっさと春になってくれれば嬉しい、わけだがそうは行かないようである。

 実は、大寒から節分までの間が、最も大雪になりやすい時期なのだ。それに違わず今週末は、まとまった雪になりそうなグワイである。

 異様に暖かな冬の日は、いつもヌカ喜びに終わるのだ。

’10/01/19 (火)

お日様の恩恵


 今日は本当に好いお天気であった。日中は雲一つなくずっと晴れていて、こんなに日照時間が長かった日は、たぶん今年になってからは初めてではないかと思う。

 あんまり気持ちが良いから、点検も兼ねて境内をぐるぐる歩き回る。ヨソの家でこんなことをやったら完全に不審者だが、手前のお寺だから大丈夫なのである。

 お日様のチカラは誠にありがたく、陽の光を浴びながら散歩すると理屈抜きに気分も晴れるのだった。鬱々とした天候が圧倒的に多い冬場の日本海側だからこそ、尚更に恩恵を感じるのである。

 この好天、残念ながら明日のお昼まで。以後は、またまた雪だそうです。

’10/01/18 (月)

大切に酷使


 写真は新品購入したほうのMC-L10、カンチレバー付近の様子である。少しでも大きく見やすい画をと、昨日よりもカメラを近づけて撮ったら、却ってピンボケてしまった。どうかご容赦願いたいのである。

 昨日の写真と比較すると、プリントコイルもヨークも、埃の集り様が少なく見える。磁気回路、振動系を保護するカバーも、中古品ほどの変色は見られない。やはり新しいだけのことはあるわけだ。

 よく考えてみれば(考えなくても)、この新しい個体も今後の継続使用により、やがては埃まみれになるのである。そうと分かってはいながら、どうしようもないのだ。できることと言えば、レコードをマメにクリーニングし、可能な限り美しい状態で再生するを心がけるくらいである。

 使うと汚れる、汚れると音が悪くなる、だから滅多に使わない。大切に仕舞い込んでおいて、或る日聴いてみたら音が出ませんでした。などというのも、馬鹿馬鹿しいお話。状態が良いうちにバンバン聴いて、ダメになったら寿命と受け容れる。それでいいンじゃないかと、僕は思う。

 「大切に酷使」しよう。

’10/01/17 (日)

音の差はどこから


 新旧二つのMC-L10に聴く音の差は、どこから来るものだろうか。「経年劣化」の一言で終り、という話でもあるわけだが、ここは素人なりに少し考えてみたい。

 まずはスタイラスの磨耗、である。もちろんそれもあると思う。けれども、正しく検証するには深い知識とそれなりの環境(最低でも顕微鏡)が必要になるから、確かなことは言えない。それとは別にもう一点、気になることがある。

 上は、カンチレバー付近の拡大写真である。カンチレバーの後方、スタイラスの直近に見えているのが、超軽量プリントコイルである。コイルはこの位置で磁気ヨークに挟まれている。極めて狭いギャップである。これがダイレクト・カップリング方式だ。

 スタイラスのほぼ真上にコイル、ギャップがある所為で、それらは針先に弾き飛ばされた微細な埃に常時曝されることになる。写真に見えるとおり、コイルには埃が盛大にくっ付いているし、ギャップにも入り込んでいるように窺える。カンチレバーの下方に白く覗いているのは前部ヨークだが、新品状態では黒く見える。永年の埃を被り、白くなっているのだ。

 コイルとヨークは設計に沿ったギリギリの間隙(ギャップ)を保ち非接触でなくてはならない。そこへ埃、おそらく磁性体粉末(多くのバヤイ、鉄の微粉)も含まれているであろう物が入り込めば、どーなるか。

 ここは専門知識に明るい友達の言を借りよう。「磁束密度が不均一になり、歪む、クリップする等のトラブルとなる」のである。さらには「磁気ギャップが狭くなったのと等価となり、高域のレスポンスが上昇」する。仮に、埃が磁性を帯びていなかったとしても、コイルとギャップをバイパスしてしまうようなことも起り得るわけで、ヒジョーにグワイが悪いのである。

 上記2点の他、カンチレバーの保持・変位復元のために使われているダンパーの劣化(弾力を失い効果を得られなくなる)も考えられる。斯くの如く複数の要素が絡み合い、音の差となって表れているのだろうと推測するのである。

 現状、僕が実行できるような改善方法は、ない。

’10/01/16 (土)

ご老体ではあるけれど


 最初に試聴したMC-L10は、1991年頃に知り合いから譲ってもらったものである。その時点で立派な中古品、以来18年以上経っているわけだから、相当なご老体だ。

 上の写真、今回試聴する個体は、1993年12月に新品購入したものである。当時でもディスコンとなって久しかったこのモデルが、何故新品で買えたのか。本家方舟へお邪魔した帰りに秋葉原へ寄った折、針交換用としてストックされていた物の放出品を発見したのだった。30,000円。今から思えば、もう1個か2個買っておけばよかった。

 新品であったとは言え、16年以上前のお話である。これまたご老体であることに違いはない。使用時間の多寡にかかわらず、経年劣化は避けられないはずである。

 そうではあっても、新品だったメリットはあるようだ。中古よりも明らかに歪みが少なく、音に張りと瑞々しさがある。特にローレベルでの分解能に差がつく感じ。中古の方だけを聴いている分には何ら文句はなかったが、こうなると勝負あり、である。

 それはともかくとして、やはりCS-1は優秀なヘッドシェルだと、改めて感じるのである。少なくともMC-L10、さらには拙システムとの相性は抜群である。推奨してくれた友達には、大感謝である。ありがとうございました。

 馬鹿でスケベな僕は、他のカートリッジでも試したくなっているのだった。

’10/01/15 (金)

2個目


 MC-L10はもう1個手持ちがあり、これまた窮屈な状態でAT-LH13につけてある。このカートリッジとCS-1の組み合わせが、極めて高いパフォーマンスを示すことを知ったからには、2個目のCS-1を導入せずには居られない。

 昨日の朝注文したら、今日の午後、あっという間に届いてしまった。写真手前が2個目のCS-1+MC-L10である。取り付けビスもリード線も同じだから、ほとんど見分けがつかない。まったく同一の組み合わせを二つ作って、何か意味があるのか。

 僕にとっては、大アリなのである。

’10/01/14 (木)

寒さの底


 昨日からの積雪は10cm程度にとどまり、今朝の除雪は楽であった。但し、とにかく、寒い。マスクをせずに除雪作業すると、5分くらいで鼻の奥がジーンと痛くなってくる。空気が異様に冷たいのである。

 日中も気温は上がらず、最高気温2.2℃。写真は午後5時頃、近所へ出かけた折に撮ったものだが、路面はすでに凍結してツルツルである。日当たりの悪い交差点で漫然とブレーキを踏んだら、思いっきりABSが動作した。急ブレーキでも何でもない。つまり、滑っているのである。

 寒さは今日で底を打ったと、お天気おねいさんは言うのだが。

’10/01/13 (水)

寒中と言えども


 今朝方、20cmほどの積雪を見る。たいしたことはない。けれども、除雪しないわけにも行かず。この程度の雪なら1時間ほどで完了するのである。これくらいで済めばまずまずだ。

 但し、猛烈な寒さである。積雪量は少なめだが気温が極めて低い、というのがこの冬の特徴らしい。午後11時の外気温は、−4℃。

 如何に寒中と言えども、当地でここまで気温が下がるのは滅多にないことだ。今は雪が止んで晴れ渡り、満天の星空である。寒気の到来に加え、放射冷却が起こっているのだろう。

 これから明け方にかけて気温はさらに下がり、少なからぬ降雪ありと予報されている。最も寒くなる時間帯の雪は、高能率で積るからヒジョーに困るのだが。

 14日の朝も、早くからの除雪が必須になりそうである。

’10/01/12 (火)

ナット交換


 ナットを交換してみたの図である。SAEC ULS-3Xに付属していたナットで、たぶんSUS製だと思うが、詳細は不明。アルミでないことだけは確かである。

 先日、アルミナット使用の状態で「総重量25.08g」と書いた。申しわけございません。この数値は誤りです。うっかり針カバー込みで量ってしまった。正しくは24.57gである。お詫びして訂正いたします。

 SUSナットへ交換後の総重量は、24.77g。0.2gの増である。アルミナットに比べると、かなり強固な締め付けが実現できる。それが直ちに音の向上へつながる、ほど単純ではない。少なくとも締め付け不足よりは良いはずである。精神衛生上、ヒジョーにヨロシイ。

 この状態で、再試聴する。

’10/01/11 (月)

画竜点睛を欠く


 βチタン合金ビスを受けているナットは、CS-1付属のものである。美しい艶のある黒色塗装されたナットで、ルックスは抜群。但し、機能的、音質的にはイマイチかと思う。

 取説には「アルミ製ナット」と書いてある。何故SUS、或いは真鍮製にしなかったのか、ちょっと疑問が残る。しかも滑り止めのギザギザがないから、最後のもう一締めが利かない感じ。ビスにβチタン合金を使いながら、ここがアルミ製では「画竜点睛を欠く」のではないかと、今になって気になり始めている。

 理想的にはナットもβチタン合金にしたいところ、だが、残念ながら市場にないのである。ナンボ探しても最小M3までしか見つからない。ビスにM2.6があるのだから、ナットにも同サイズがあるはずなのに。

 次善の策として、SUSか真鍮製に交換してみましょう。

’10/01/10 (日)

次から次へと


 CS-1を取り付けたEPA-100MkIIの俯瞰図は、こんな感じになる。昨日も書いたとおり、僕としては悪くないルックスだと思っている。けれどもまあ、こーゆーことは好みだから、実際の使い手が気に入ってりゃグッドなのである。

 さらにいろんなソフトを聴いてみた。いずれもたいへん結構である。シャープでクールな音でありながら、ドライなところがない。独特の潤いと艶がある。ゲンミツに言えば「Hi-Fi」ではないのかもしれないけれども、これはこれで実に魅力的な音だと思う。

 次から次へと聴きたいレコードが出てきて、エラいことになっている。

’10/01/09 (土)

極めて優秀


 一般的にはあまり目立たない、どちらかといえば地味な存在であるところのヘッドシェルである。だが、AD再生に於いてその影響は、決して小さいとは言えない。極めて重要なパーツなのである。

 今回のCS-1+MC-L10は、ADプレーヤー1号、EPA-100MkIIと組み合わせて試聴した。ダブルピン仕様はある意味理想的で、アームと強固に結合する。曖昧さがないのは大きなメリットである。

 少々頭でっかちになるかと予想したけれども、実装してみるとヒジョーに格好良い。オーディオは顔が命です。これだけで満足していては、遺憾のである。

 音が出た瞬間、「これはいい」と呟いてしまった。まず感じるのは、響きが多めでとても美しいことだ。楽器の余韻、エコーの尾が長くなる。多少演出されたように感じないでもないけれども、不自然さはない。シェルが鳴いているのとも、違うようだ。

 音に粘り気はなく、たいへん鮮明でレンジが広く、スピード感抜群。ロスが少ない感じで、音に馬力がある。金属系シェルでこれほど抜けの良い音は、初めて聴いた。今のところやや生硬い感じはある。この点は、経時とともに解決されるのではないかと思う。

 指掛けの曲げグワイが絶妙で、とても使いやすくできている。針を降ろすときに僕はリフターを使わないから、これは大変にありがたいのである。

 個人的結論。CS-1は極めて優れたヘッドシェルである。僕にとっては大正解だ。久しぶりに良いシェルと出会えたと、大喜びしている。

 税抜き1個16,000円。この価格をどうみるか。丁寧な造り、仕上げの良さ、音、からして、高価とは思わない。30年近く前、PH-L1000が15,000円、ULS-3Xが12,500円だったことを考えれば、安いと言えるかもしれない。

 1個といわず、あと幾つか欲しくなるヘッドシェルである。

’10/01/08 (金)

MC-L10と


 選んだカートリッジは写真の如くである。ビクター MC-L10。このモデルはかなりの大型で、AT-LHシリーズのいずれと組み合わせても非常に窮屈になる。PH-L1000やULS-3Xともマッチングがイマイチ。さりとて他に良さそうなシェルもなく、少々困っていたのである。

 ご覧の通り、たいへんグワイ良く収まっている。シェルからボディがハミ出さず、リード線が窮屈にヒン曲がることもない。見た目のバランスも良好だと思う。

 シェルリードは、付属のリッツ線を使わずマイソニックラボのMR-1Rhに交換した。個人的にリッツ線は好まないのである。

 リード線交換時に、ちょっとトラブル発生。実はこのシェル、コネクターピンが一般的なシェルより太いのだ。通常はカートリッジ出力ピンよりも少し細くなっているものだが、あっ、なんということだ、同じ太さではないか。

 これによってどーゆーことが起こるのか。リード線のチップが挿し込めなくなるのである。まあしかし、大騒ぎするほどのことではない。少し拡げてやれば、問題なく挿し込めるのだから。ただ、ピンがこんなに太いシェルは初めてで、いささか驚いた。繋ぎにくさはともかく、音質面では、かなりのメリットになるのではないか。

 固定ビスは、例によってβチタン合金製を使う。12mm長がベストマッチングだった。ビスの通し方向を指掛け側からにするかカートリッジ側からにするかで、音に多少の違いが出る。今回はカートリッジ側から通すことにした。実測重量25.08g。ヒジョーにグワイの良いところだと思う。

 試聴が楽しみである。

’10/01/07 (木)

CS-1


 フェーズテック CS-1が届いた。実物は、カタログで見るよりもずっと美しく高級感がある。写真うつりの悪さでずいぶんと損をしている感じだ。表面は、鏡面仕上げの金属ともセラミックとも違う独特の深い艶があり、思わず見惚れてしまうほどである。DLC特有のものなのだろうか。

 取り付けビス、リード線を除いた本体(写真の状態)の実測重量は12.75g。それに黒色塗装されたSUS製指掛け1.44gが付くと、合計14.19g。重さとしては、わりと使いやすいところにあると思う。ただ、先日も書いたように大型であるから、ベースが小さいカートリッジには不向きと言えないではない。

 リッツ線仕様のリード線、キャップスクリュービス6本(M2.6×6、×10、×12 各2本)、ナット2個、六角レンチ1本が付属する。ビスの材質については記載がない。磁石に反応しないことと、実測重量(10mm長で1本0.53g)からして、おそらく非磁性SUS製だと思われる。すべて黒色塗装されていて、これはちょっと珍しい。

 本体に穿たれたカートリッジ取り付け穴は、ネジを切らない3mm×13mmの長穴タイプ、指掛けにもネジは切られていないから、汎用性は高い。但し、ベース穴にネジを切っていない型のカートリッジを取付けるには、ナットが必要となる。

 このようなヘッドシェルに組み合わせるカートリッジは、何を選ぶか。実は、買う前から決めている。現状、AT-LH13に取り付けていて、いささか窮屈で困っているカートリッジである。

 詳しくは、明日に。

’10/01/06 (水)

小寒


 昨日1月5日は二十四節季の一、2010年の「小寒」であった。「寒の入り」である。小寒から大寒(1月20日)を経て立春(2月4日)に至るの1ヵ月間を、イワユル「寒中」という。1年で最も寒さの厳しい季節になるわけだ。

 このような暦はあながち馬鹿にできないもので、昨日からは強烈な冷え込みである。北西の季節風が強く、天候は例によって雪降りだ。一昨日は生暖かい南風が吹き、とても暖かだったのに。古人曰く「冬の南(風)は雪連れる」と。ムカシの人はよく知ってます。

 少なくとも今週いっぱいは、このような天候が続くという。

’10/01/05 (火)

居眠りオーディオ


 5日は元日の夜と同様、早くにスイッチが落ちてしまった。日誌を書く前にちょっとレコード、と写真のタイトルを聴いたら、知らん間に居眠りぶっこいておりました。幸せなのである。

 聴いていて眠くなるオーディオ。喜んで、良いのか悪いのか。

’10/01/04 (月)

気になるヘッドシェル


 前々から気になって仕方がないヘッドシェルがある。それが上の写真、フェーズテック CS-1である。

 本体はジュラルミン削り出し、自重16.2g。但し、この数値はシェルリード線、取り付けネジ、ナットを含んだものだから、それらを除いた正確な重量はわからない。おおよそ14gくらいか。指掛けはステンレス製である。

 素材はジュラルミンだが、表面にはダイヤモンドライクカーボン(DLC)処理というものが施してあり、硬度の高いカーボン薄膜で覆われている。写真では分りにくいけれども、実物は深い艶のある鏡面仕上げになっているという。コネクターはダブルピン(ピンが上下に出ている)仕様で、アームとの強固な機械的結合を狙う。

 カートリッジが取り付く部分の寸法は、コネクターを除く長さ54.5mm、幅19.5mm。PH-L1000は48mm、15.5mm、ULS-3Xは48mm、17mmだから、それらと比べてかなりの大型になるわけだ。スマートなルックスのシェルが好きな僕の目には、やや無骨に見える。フェーズテックのカートリッジは概して大型だから、それに適応させてあるのだろう。

 僕の好みとしてはセラミック系シェルを採りたい、ところだが、現行品には存在せず、今や無い物ねだりである。そこへ信頼のおけるスジから「CS-1は優秀である」と聞けば、少なからず食指が動いてしまうのだった。

 試してみるに若くものは無し。

’10/01/03 (日)

黒い音楽CD


 写真は、ご縁ある方からいただいたものである。「2L」というノルウェイのレーベルの、2007年版サンプラーCDだ。ありがとうございました。

 僕は2Lレーベルについて、恥ずかしながら何も知らない。ので、ちょっと調べてみる。と、知らないのは僕だけ、っちゅう感じである。ますます恥ずかしい。

 「2L the Nordic sound」を標榜に、モッテン・リンドベルグという人が主宰するレーベルである。ジャンルを超えたカタログの豊富さと録音の優秀さで、既に定評と高い人気があるそうだ。webページでは、CDを上回る高品位音源を配信してもいる。

 パッケージから出てきたのはマックロケのCDで、いささか驚いた。表(レーベル面)だけが黒いのかと思ったら、ご覧の通り信号面も真っ黒である。ゲームソフトなどでは見かけたことがあるものの、音楽CDでは初めである。

 音はちゃんと出るのか。CDプレーヤーに入れると、これが正常に読めるのである。何だかすごくフシギ。尤も、黒いCDがゲームソフトとして成り立っているのならば、至極当然のお話である。「音楽CDは銀色(或いは金色)」という先入観が、邪魔しているのだ。アナログ人間は、こんなふうだから困るのである。

 17トラック79分36秒。太っ腹なサンプラーである。録音は、概して優秀である。どことなく往年のスエーデンBISや、ノルウェイNKFを思わせるような、透明感と品の良さがある。おおかた3年前のサンプラーだから、現在はさらに充実しているだろう。

 このレーベル、ちょっと買ってみようかな。

’10/01/02 (土)

聴き始めはSACD


 大晦日から元日にかけては、ほぼ徹夜みたいなことになった。その所為か昨夜は、午後8時頃にスイッチが切れてしまった。つい先年までは一晩の徹夜くらいヘーキだったのに。踏ん張りが利かなくなったなあ。

 というわけで、オーディオ事始は今日である。「今年もアナログ」などと書いたクセに、SACDでの聴き始めになった。いい加減さも、相変わらずだ。

 まあしかし、SACDもナカナカに良いわけでありまして。アナログへのこだわりと同等に力を入れれば、おそらくもっと素晴らしい音が聴けるだろう。ディジタルかアナログか、などという論は、無意味だと思う。ただ、馬鹿で不器用なワタクシ儀、両立させることができないのでございます。

 もう少し、器が大きければ良いのだケレドモ。

’10/01/01 (金)

年頭御挨拶


 明けましておめでとうございます。

 今年のお正月も、昨年に続きけっこうな雪となった。例によって除夜の鐘は、カラダに雪が積りました。ああ、さぶかった。けれどもしかし、雪にお化粧されたお正月には風情があって、なかなかにヨロシイものではある。

 一昨年、昨年と、専らアナログ再生にウツツを抜かしてきたわけだがさて、2010年はどうなるのだろうか。おそらく、何も変わらないと思う。やってみたいことはまだあるし、聴いてみたいハードやソフトもたくさんある。

 ナンボやっても興味尽きるところを知らず。アガリも終着点もない。と言って、常に不満を持っているわけでもなく、その時々で僕は、大いに楽しみ喜んでいるのだ。実に、幸せである。

 今年も、何卒よろしくお願い申し上げます。