箱船航海日誌 2009年06月

日々雑感、出来事などを思いつきに任せて綴っていこう

過去の日誌コンテンツ

’09/06/30 (火)

松の数珠


 天気予報は大当たり、10時ごろからポツポツ降り始めた雨は、午後に至って本降りとなった。夜になってもわりと景気よく降っている。アジサイも稲もさぞ喜んでいることだろう。

 午前中、オツトメを一つ終えて、今日は雨模様で草刈もできず。先日切れてしまった数珠の修繕をしようと思い立った。

 一見何の変哲もない、木製のタマでできた数珠だ。材は、松である。この材の数珠はたいへん珍しい。一般的には、松脂が出て不向きなのだ。但しそれはフツーの松なら、というお話。この松材はイワク付きなのである。

 数年前、近隣のお寺が築100年以上という庫裏の大修理を行った。できる得る限り古材を再利用しての修理であった。しかし、どうしても使い切れない端材が出る。ご住職さんは考えた。永きにわたって庫裏を支えてきたものを、端材と言えども打ち捨てるのは忍びない。再利用の道はあるまいか。

 そこで思いついたのが、松の端材を数珠に仕立てることであった。これを落慶のお祝いで皆に配れば、何とも良い記念品になるではないか。再び永く使ってももらえる。古材も本望であろう、と。とても良い考えだと思う。

 100年以上にわたって寝かされたきたような松材である。脂はまったく出ません。けれども適度には脂が残っていて、風合いはヒジョーによろしい。カラカラに乾いているから、超軽量でハンドリング最高。事実そのおかげで、数珠紐はずいぶんな長持ちであった。

 そういうイワレのある数珠だからして、紐が切れれば修繕し、これからも永く使い続けねばならんのである。

 オリジナルは茶色の紐であった。今度は何色にしようかと、考えている。今、手許には金茶、水色、紫、わさび色の四色あり。オリジナルに近い金茶にするか、これからは暑くなるから涼しげな水色が良いか、奇を衒ってゴージャスな紫にするか。わさび色は明るくしかも落ち着きがあっていいなあ。

 数珠の修繕、大いに楽しめます。

’09/06/29 (月)

梅雨だというのに


 ここ数日、ガラにもなく技術系のお話を続けて書いてきた。その間の心情を吐露してしまうと、実はヒジョーに苦しかったのである。と同時に、大いに勉強することもできた。凡そ勉強とか学習とかいうモノは、それなりに苦心するのである。そうであってこそ身に付くのだ。ニワトリ頭も少しは賢くなったかしらん。

 今日はちょっと一休みの、季節ネタである。

 梅雨の真っ最中だというのに、抜けるような青空が広がる一日であった。真夏の空とは少々趣を異にするも、僕としては大喜びである。青い空を見上げているだけで、何だか元気が出てきます。ああ、気持ち良い。

 こういう日には何をするか。この季節に必須の、境内草刈である。さすがに全域(4,320uあります)を一気に片付けるまでには至らないけれども、目立つところはやっつけることができた。ヨカッタヨカッタ。

 入梅以来、当地ではまとまった雨がほとんど降っていない。ここまでのカラ梅雨に、庭のアジサイはうなだれているし、たんぼの稲は水を欲しがっている。雑草たちに限っては、とても元気なのだケレドモ。

 来週、本来の梅雨模様になりそうだ。

’09/06/28 (日)

オーバーハング


 24日の日誌で触れた、僕がオーバーハング規定値を軽んじている理由。今日はそれを書いてみたいと思う。

 今でこそ規定値をヘーキで無視しているけれども、ムカシは神経質なまでに厳守していたのだ。ミケンに皺寄せ付属のゲージやテンプレートと針先を睨み、1mm以下の誤差さえ許せなかったのである。

 あるカートリッジ+シェルを当時現用のGT-2000Lに取り付けようとした時のことである。アームはオリジナルS字だった。規定のオーバーハング値に合わせようとすると、カートリッジ位置がひどくシェルの先端になってしまったのだ。シェルの先っちょにどうやら取り付いているようなグワイである。

 シェルとの接触面積最小、という感じ。見た目にもヒジョーに不安定である。けれども、第一命題である規定値を実現するにはその状態しかないわけで、当時の僕としては疑う余地はなかった。

 聴いてみると、何やら冴えない音である。それなりに評価されているカートリッジだったはずだが、こんなものかとガッカリした。と同時に、これは絶対ヘンだ、自分の使い方に問題があるンじゃないか、とも考えた。

 最初からいきなりカートリッジとシェルとの接触面積に目が向いたワケではない。そこへ至るまでには紆余曲折あり、話が長くなるから省略する。ともかく、ダメモトでオーバーハングを無視し、接触面積を増やしてガッチリ取り付けるという方法に出たのだった。

 明らか音が良くなった。このことだけは鮮明に覚えている。水中でボコボコ鳴っていた音が、突然目の前に飛び出してきたような、明確な変化だったからだろう。これに味をしめ、他のカートリッジでも実験したみたのである。結果は、取付強度を優先したほうがベター、と出た。それ以来である。オーバーハング規定値遵守は二の次、まずは接触面積、取付強度優先でセッティングするようになったのは。

 現用カートリッジは、すべてそのように取り付けてある。それでもEPA-100MkIIオーバーハング(15mm)の±3mm程度には収まっているから、まあ問題ないのである。実際、音に何ら不グワイはないし、冷静沈着な第三者から「むむっ、これはオーバーハングが狂っておる音であるっ」と指摘されたこともない。大方大丈夫なのだろう。

 神経質に追い込むべき要素と、いい加減にしておいてもグッドな要素が混在しているLP再生、その辺りの見切りが、なかなかに難しいのである。

 だから面白いのかな。

’09/06/27 (土)

聞くは一時の恥


 「アームの取付位置は付属テンプレートを使えばよいが、前後に5mmぐらいずれてもどうってことはない。10mmずれても大丈夫なはずである」

 今回作ろうとしているADプレーヤーで、アームの取付位置が5mm〜10mmずれたバヤイにはどうなるか。WE-407/23での実際を、測定してみた。

 取付位置が5mm前へ動くと有効長で−1.5mm、10mmで同じく−2.5mmのズレ。5mm後へ動いて有効長で+2mm、10mmで同じく+3.5mmのズレが出た。わりといい加減に測ったから、多少の誤差があるかもしれない。

 この時、オーバーハングを規定値12mmに合わせたカートリッジを取り付けたとすると、ずれた分だけ実効長に長短が出る。友達が作ってくれた「オフセット・トラッキングエラー角計算プログラム」(ものすごく使いやすく有用である)を使い、その状態でのトラッキングエラー角カーブを描かせてみる。

 結果、+方向へ最大5.5度、−方向最大2.2度のエラー角範囲に入ることがわかった。この数字が、実際のLP再生において何ら問題のないものであることは既に明白である。冒頭に挙げた長岡先生の解説根拠は、ここにあったのだ。

 僕は、長岡先生の正しさを証明するためにこのような検証をしたわけではない。何故「ずれてもどうってことはない」のか。単純にその確かな根拠を知りたかっただけである。永いことオーディオやってて、そんなことも知らなかったのか。ハイ、知りませんでした。それほどに僕は、浅学無知なのである。

 だからこそ、学習せねばならないし、学習したくもあるわけである。解らないクセに知ったかぶりするよりも、解らないから教えて欲しい、と言ってしまったほうが、ずいぶん楽だと僕は思う。聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥。

 ここ数日、一連の日誌を書くにあたっては、友達から実に懇切丁寧な教示監修をいただいた。まさに「学習」である。心から御礼申し上げねばならない。

 ありがとうございました。

’09/06/26 (金)

相違なし


 昨日の日誌で触れた、YAMAHA YSA-1とYSA-2の歪み特性グラフである。本来はもっと大きなグラフであるものを、縮小した所為で見づらくなってしまっている。ご容赦願いたいのである。

 破線がYSA-1、実線がYSA-2の、LP外周部トレース時に於ける歪み特性カーブである。昨日も書いたように、トラッキングエラー角はYSA-1で1.7度、YSA-2で10度になる。テストレコードはJVC TRS-1007、カートリッジはYAMAHA MC-1000である。

 両者とも、歪みが観測されている。それが何に由来するものなのか、科学的根拠もある。が、話がヤヤコシくなるだけだから省略。尤も、簡潔に解説しろ、と言われても僕にはできないワケだ。悲しいのである。それはともかく、ここで言いたいことは「歪みの有無」ではない。

 注目すべきは、YSA-1、YSA-2両者の歪み特性カーブに、いささかの違いも無い、という点である。エラー角1.7度でも10度でも、歪み特性に差はないのだ。と、言うことは、である。

 21日から続くお話の落し所が、近づいてきたようだ。

’09/06/25 (木)

恐ろしいアーム、とは


 V字型に描かれたトラッキングエラー角推移カーブ。形だけからしても、このアームがタダモノではないことをお分かりいただけると思う。しかも、である。V字の底が接している横軸が、エラー角「0」ラインなのだ。最外周でのエラー角は+10度、最内周では+12.5度にも達する。

 してこのアームの正体は。YAMAHA GT-2000(L・X)ユーザーであればもうお分かりかもしれない。そのプレーヤーのオプションアームとして市販されていた、YSA-2である。

 YAMAHA YSA-2。オフセット角0度、アーム中心線にカンチレバー、針先が重なるピュア・ストレートアーム。実効長228mm、オーバーハング−20mm。1985年、限定生産品として発売。定価60,000円。

 今を去ること二十数年前、僕はこのアームをGT-2000Lに載せて使っていたことがある。たいへんガッチリとした造りで、アームパイプやケーブルにも工夫が凝らされた、とても良いアームだったことを覚えている。

 LP盤面を走る姿は、見た目だけからでもエラー角が大きいことが分かり、ちょっと気色悪かった。けれども音は極めてマットウ。歪みが多いとか、音像が偏るとか、不グワイは一切ない。少なくとも、GT-2000LのオリジナルS字アームよりずっと音が良かったことだけは確かである。もちろん、トラッキングも非常に安定したものだったし、カートリッジへの悪影響もなかった。

 同じくオプションアームに、シェル部分で20度のオフセット角を付けたストレートアーム、YSA-1があった。YAMAHAはこのアームとYSA-2の歪み特性データを公表している。両者LP最外周での比較である。この条件でのエラー角は、YSA-1が1.7度、YSA-2では10度。グラフを見ると、両者に歪み特性の相違は見られない。

 最大+12.5度のエラー角を出すアームにして、測定値上でも実際の音楽再生でもまったく問題がない。そうであってみれば、最大+5度のエラー角なんぞものの数ではないわけだ。

 では、どのくらいのエラー角までグッドで、どれくらいのエラー角からNGになるのか。僕には分からない。ので、ここは知識経験豊富な友達の言葉を借りよう。曰く「10度では問題ありません。20度でも問題ありません。その先わかりません」と。カートリッジを任意の角度に設定できる「回転ヘッドシェル」を自作し、実践検証された上での言である。やはりこの友達は、凄い。

 エラー角の話題、もう少し続きます。

’09/06/24 (水)

続・カーブ変化


 昨日のグラフは、オーバーハングが2mm寸足らずになったバヤイのもの、であった。今日は、逆に2mm出っ張ってしまった時のエラー角推移グラフである。少々クドいようでもあるけれど、どうかご容赦願いたいのである。

 規定値12mmに+2mm、オーバーハング14mmでカーブを描かせてある。昨日のカーブとは反対に、エラー角「0」の線から上方へずれている。カーブはとうとう「0」レベルと交わらなくなってしまった。つまり、エラー角「0」になる点はなくなり、LP再生中トラッキングエラー出っ放し、ということになるわけだ。

 とは言うものの、である。もう一度22日のグラフを冷静に見てみると、「0」ポイントは2点だけ、あとはやっぱり外れっ放しである。昨日、今日と、とんでもないグラフのように見えて、実は大差ないとも言えるのだ。

 ずいぶん乱暴なコトを言うじゃないかと、お感じのムキもあるかと思う。ご尤もである。では、実際にオーバーハングが長短にずれた状態で再生したとき、音もメチャクチャになるのだろうか。

 僕のLP再生環境をバラしてしまえば、現用EPA-100MkIIのオーバーハング規定値に合わせてあるカートリッジ+シェルは、ほとんどありません。それでもアラ不思議。まったく問題ないのである。何故に規定値を軽んじているか、その理由は後日に譲るとして、ともかく、オーバーハングずれによる再生音への影響は、極めて小さいものだと思う。そりゃオマエがタコ耳だからだ、と言われると返す言葉がない、わけだが。

 今日のグラフからは、エラー角は外周で最大+5度程度と読める。実は過去に、誤差5度どころではない、見るも恐ろしいほどのエラー角カーブを描くトーンアームが、あったのだ。もちろん立派な市販品にして、好評価を得ていた大メーカー製品である。

 明日は、その「恐ろしい」アームについて。

’09/06/23 (火)

カーブ変化


 オーバーハングが規定値からずれた時、トラッキングエラー角グラフにどのような変化が現れるのだろうか。その一例が、上のグラフである。

 WE-407/23の規定オーバーハングは12mmである。それが2mm短く10mmになってしまったバヤイの推移曲線だ。昨日のグラフと比べてみると、カーブが下方へずれていることがわかる。-2mmの誤差で、何やらグワイの悪いことになってしまった、という印象を持たざるを得ないようなずれ方、であるわけだが。

 やはりオーバーハング規定値は厳守せねばならない、と考えたくなる。ところが、必ずしもそうとは言えないのである。その辺りがLP再生のいい加減なところであり、また面白い部分でもあるのだ。

 続きは、また明日。

’09/06/22 (月)

トラッキングエラー角


 カートリッジの取り付け向きは、常にLP音溝の接線と平行であることが理想である。だが、針先が支持点を中心として円弧軌道を描く型のトーンアームでそれを実現するのは、一般的には不可能である。だからこそ、リニアトラッキングアームがもてはやされた時期があったわけだ。

 音溝の接線と、カートリッジの向きの誤差(角度)を「トラッキングエラー角」という。その誤差をできるだけ小さくするために、通常アームは「オフセット角」を持っている。カートリッジの手前でアームパイプを一定角度(S字、J字状)で曲げる、或いは、パイプは曲げずにカートリッジを斜めに取り付ける、などでオフセット角をつけるわけである。

 上のグラフは、友達が作図してくれたSAEC WE-407/23のトラッキングエラー角推移カーブである。横軸がLP中心から針先までの距離、縦軸がエラー角である。右方向がLP外周、左方向がLP内周になる。右の赤縦線から左の赤縦線までの間が、実際のLP再生領域とほぼ一致する。

 文字が小さく見にくいのは、僕が日誌掲載用に画像を縮小しているからであって、原図はもっと大きく見やすく作ってある。

 このグラフから、WE-407/23は外周部でエラー角最大(約4度)、内周部で最小(ほぼ0度)となるように設計してあることが読み取れる。LP再生の原理上、不利な面が多い内周部に於いて、でき得る限りの安定したトラッキングを狙っての設計であろう。

 専門知識に暗い僕などは、こうして目に見えるように示されると、大いに感心してしまうのである。うーむ、面白い。設計者の意図までが読み取れるのだから、エラいもんである。

 上の推移カーブは、オーバーハングを規定どおり(12mm)に調整したときの形である。それがずれた時、カーブはどうなるのか。僕としてはヒジョーに興味深いところなのだった。

 次回の日誌では、そこを検証してみたいと思う。

’09/06/21 (日)

「知った」だけ


 写真は、stereo誌1987年9月号99項〜104項に掲載された、長岡先生によるADプレーヤー製作記事である。今を去ること22年前。ページの縁が日に焼けて茶色くなっている。知らぬ間にエラい時間が経っているのである。

 ここで紹介されているものが、僕現用キャビネットの原型になっている。使用材、板厚、積層枚数が違うだけで、基本的には同じものと言ってもよい。

 この中で長岡先生は、アームの取り付け位置について次のように書いていらっしゃる。

 「アームの取付位置は付属テンプレートを使えばよいが、前後に5mmぐらいずれてもどうってことはない。10mmずれても大丈夫なはずである」

 先生は何を根拠に「ずれても大丈夫」と書かれたのか。当時の僕にはよく分からなかった。たぶん「大丈夫」だから「大丈夫」だろうと考えたに違いない。実際には、できるだけずれないように取り付けたのだが。

 今ではその根拠がすっかり分かっている。と言えれば格好良い。実は今もあまりよく分かってはいないと思うのである。その辺りの非常にアヤシイ部分を、この度友達が見事に解決してくれた。

 但し、「理解できた」のではなくて、「知った」ということ、なのだケレドモ。

’09/06/20 (土)

「有効長」と「実効長」


 トーンアームの諸元を見ると、必ず「アーム有効長」、または「アーム実効長」という表記がある。メーカーによってそのどちらか、或いは両者とも書いてあることもある。

 さて、ここで問題。僕の現用アームEPA-100MkIIのバヤイ、アーム支点から針先までの長さが250mm、規定オーバーハング15mmである。このアームの有効長、実効長はそれぞれ何mmになるでしょうか。

 答えは「有効長235mm」「実効長250mm」となる。「実効長」とは、アームの支点から針先までの距離、これから「オーバーハング」を差し引いた長さが「有効長」である。つまり、「有効長」=「実効長」−「オーバーハング」と求められるわけだ。

 こんなことはLP再生にちょっと詳しければ常識だと、思われるかもしれない。ところが、である。両者は存外に混同、或いは誤用、はたまた意識的に言い換えられていたりして、ヤヤコシイことこの上ないのである。

 斯く言う僕も、実は判然としていなかったのだ。エラそうに書いているけれども、上記はほとんど友達からの受け売りである。教えてもらってやっと区別がついた、というような有様なのだった。

 こんなこと知らんでもLPは聴ける。尤もである。だが、しかし。

 規定のオーバーハングを守らなければ実効長が変わり、これが変わるとLPトラック領域に於けるトラッキングエラー角の推移状態が変わる。これが直ちに再生音へ大きく影響する、とは言えないまでも、ADプレーヤーを自作する者ならば、頭に入れておいて決して損はない知識だと、僕は思う。

 知っているようで知らないことは、まだまだ沢山ある。

’09/06/19 (金)

ネジ交換


 WE-407/23本体をアームベースに固定(アーム高さ調整)する部分である。写真ではキャップスクリューになっているが、元々はその右に見えるネジで締めることになっている。ご覧の通り、マイナスネジだ。

 頭が長く、指でも回せるよう周囲にギザギザが刻んである。マイナス溝の幅が広めで深い。たぶんこのアーム用にカスタマイズされたネジであろう。黄銅系合金にクロムメッキしたもの、のように見える。

 このネジがなかなかクセモノなのである。一般的なマイナスネジよりも溝が深いから、ドライバーの引っ掛かりが良く横滑りしにくい、ように見えて実は、ヒジョーに滑りやすいのである。写真でも分かるように、溝の縁がめくれたように傷んでいる。歴代オーナーさんがドライバーを横滑りさせた痕跡である。

 一度こうなってしまうと、滑りグセが付いて尚のこと滑るのだ。これでは締めるにも緩めるにも、危険極まりない。ドライバーがあらぬ方向へ弾かれ、サポート部を傷める恐れもある。考えただけでオソロシイのである。

 どうするか。ネジを交換するしかないのである。オリジナルネジを調べてみると、首下15mm、サイズはM4と分かった。交換ネジとしては、M4×15mm、横滑りリスクを少しでも軽減できるキャップスクリュー、が理想的である。

 僕はネジ屋ではない。けれども、ネジ好きである。いつ使うかワカランようなサイズまで、幾つか買い置きしてあるのだった。持っているだけで安心します。小物入れをかき回して見つけたのが、上に写っているネジである。純チタンM4×15mmキャップスクリュー。

 これがまるで誂えたようにピッタリである。色目のマッチングもヒジョーによろしい。長手の六角レンチを使えば、如何にもグワイよく締められるし緩められる。横滑りの危険はほとんどない。僕は何だか、とても嬉しくなってしまいました。

 たまたまあった純チタン製を使ったけれども、特にそれである必要はない。材は何でも良いと思う。磁性体は避けたほうがよいかもしれない。ただ、せめてキャップスクリューにはしておきたいところだと、感じた。

 留意点が一つ。調子に乗って締め過ぎては、遺憾。

’09/06/18 (木)

これまた正確


 WE-407/23を、一応の臨戦状態にしたついでに、IFC精度を測定してみた。プレーヤーシステムとしての態を為していないだけで、基本的な測定法はEPA-100MkIIと何ら変わらない。今回は針圧1.5g設定で測定する。

 結果は写真にご覧のとおりである。正確に1.5gの10%、0.15gを示している。例によって5回測定して平均値をとる。0.152gであった。文句なしだと思う。WE-407/23のIFCも、極めて正確なのである。

 拙宅では、少なくともEPA-100MkIIとWE-407/23のIFCは極めて正確であることが検証できた。では、このほかのアームはどうなのだろうか。

 測定器を作ったくれた友達は、上記2種以外に3種のアームを測定している。結果はベリーグッドだったそうだ。5社5本のアームを測定し、すべてのIFCが正確であるとなれば、大概のIFCは正確、ということなのかも知れない。よほどいい加減に作ってあるもの以外は。

 安心して、使えるのである。

’09/06/17 (水)

適合


 いつでも使える状態にあるカートリッジ+シェルの中で最も重い組み合わせは、オーディオテクニカ AT33ML/OCC+V24Cさん謹製SiCシェル(ロングタイプ)である。自作指掛けつきで実測30.7g。これでもコネクター固定ネジをβチタン合金製に交換し、軽量化を図ってある。同じ部分にSUSキャップスクリューなどを使えば、32g近くに達するはずである。

 この重量になると、EPA-100MkIIで使うのはヒジョーに苦しい。付加ウエイトをさらに増やせば使えないこともないけれども、以前やってみた感じではメリットよりもデメリットが表出してしまってNGだった。

 WE-407/23の適合カートリッジ重量上限は、シェル込み33gである。上記組み合わせも、守備範囲に入るわけだ。そうと分かれば実際に確かめてみたくなるのである。

 諸元にウソはない。正確にゼロバランスするし、針圧も正常にかけることができるのだった。ただ、カウンターウエイト位置はかなり後方になる。実際の再生時には、アームがどのような振る舞いをするか注意深く観察する必要があると思う。慣性が大きくなっている分、超低域の大振幅、ソリの大きなLP、などへの追従性が悪くなる恐れがあるからだ。

 そういうこととはまったく無関係に、この組み合わせのルックスは最高である。メチャクチャ格好良い。EPA-100MkIIとの組み合わせでは、何やら頭デッカチになって不安定、シェルだけが浮いて見えたものが、WE-407/23ならベストコーディネイトである。質実剛健、とはまさにこのことだ。筋骨隆々として極めて男性的。矢でもテッポでも持って来い、ちゅう感じである。

 早くキャビネット作らなきゃ。

’09/06/16 (火)

極めて正確


 さて、実際のアウトサイドフォースを測定する。アームをゼロバランス(針圧ゼロ)状態とし、IFCだけをかける。リフターをフリーにし、レコード最外周辺りまでアームを持って行き手を離すと、外へ向かって動き出す。この時の力(荷重?)を測定しようというわけだ。

 測定器を写真のようにセット、指掛け先端が天板の前縁中央から20mmくらいの位置に来るようにする。天秤の荷重測定素子センターが、この辺りにあるからだ。針先位置と指掛け先端ではアーム支点からの距離が違うから、厳密に言えば誤差が生じる。けれども、これくらいは許容範囲だと勝手に決めてどんどん先へ進む。

 結果をできるだけわかり易くするため、IFC目盛を2.0に合わせて測定した。針圧2.0gの設定である。標準的アウトサイドフォースはその10%、測定器が0.20g(或いはその近似値)を表示すれば、EPA-100MkIIのIFCは信頼するに足るもの、ということになるわけである。

 結果はご覧の通りである。見事、測定器は「0.20g」を表示している。5回測定して得られた平均値は0.196gであった。モノはついでと、現用HELIKONの針圧である1.7g設定でも測定したところ、5回平均値0.166gと出た。このアームのIFCは「非常に正確」と言えるだろう。

 この結果を見て、僕には二つの驚きがあった。一つには、「オートマチックな感じに納得が行かん」などとケチをつけたEPA-100MkIIのIFCが、とても正確であったこと。もう一つは、かなり無理矢理な感じの測定器が、非常にグワイ好く働いたこと。何事も、机上の空論では役に立たない。実践によって知ることが大切なのだ。友達には、大感謝である。

 而して、アウトサイドフォースを測定確認し、それが何かの役に立つのか。わからない。それよりも僕にとって重要であるのは、「自分の目で確認した」という事実である。その事実が、オーディオをさらに豊かなものとすると、僕は信じている。

 いずれはWE-407/23のIFCも、測定してみたい。

’09/06/15 (月)

アウトサイドフォース測定器


 正解は、ご覧の通りでした。このキカイは、インサイドフォースをキャンセルするためアームにかけられた、アウトサイドフォースを測定するものだったのである。

 アームの機能として付いているインサイドフォースキャンセラー(以下、IFC)には、針圧に応じたキャンセル量の目盛が刻んであり、それに合わせておけばOK、ということに、なっている。針圧2.0gなら、IFC目盛も2.0にセットすればよいわけだ。

 それをナンデわざわざ測定せねばならんのか。僕は馬鹿でスケベで疑り深いから、「目盛に合わせればOK」というオートマチックな感じに、納得が行かないのだ。ホンマにちゃんと所定のキャンセル量になっているのか。そう思うと気になって気になって、木に生ってしまいそうなのである。

 「所定のキャンセル量」とは、どれくらいのものなのか。一般的には、針圧の10%、と言われている。これにはきちんとした力学的根拠がある、そうだが、例によって僕には解説できません。ともかく、針圧2.0gなら、0.2gが適当なキャンセル量となるわけだ。IFCを目盛2.0にあわせた時、アームは真実本当に0.2gの力で外側へ引っぱられているのか。そのことを数値として、自分の目で確認したかったのである。

 現用アーム、EPA-100MkIIのIFCはダイヤル式になっていて、使い勝手がたいへん良い。印加、リリースは極めて容易である。だからこそ、余計に測定してみたくなるのだった。

 測定結果や、如何に。

’09/06/14 (日)

水平方向荷重


 このキカイの正体を推測していただくための第一ヒントが昨日の日誌、今日は第二ヒントである。「ナニモノかを固定するらしき機構」部分には、上の写真の通り、ディジタル秤が固定されるのであった。

 通常の使い方からすると90度、横倒しに固定してある。要するにこのキカイは、水平方向に働く荷重を測定する狙いを以って、作られているわけである。

 ご覧になった方が持たれる第一の疑問は、おそらく以下のようなものだろうと思う。秤を横倒しにして正確な測定が可能なのか。実は僕もそう考えた。なんと、製作者自身も同様だったと聞く。だが実際には、可能なのである。一見無駄とも思えるほどの頑丈堅牢さは、横倒しにしても測定可能とするためなのだ。

 これを作ってくれた友達によると、台座やスライド機構がフニャフニャだったり、秤の固定が甘かったり(例えば両面テープで貼り付ける、など)すると、秤のゼロバランスが安定せず正確な測定は望めないそうだ。

 そこで、秤を受け止める機構の強度を上げ、固定を確実にしてみたところ、ゼロバランスの揺らぎを抑え込むことに成功した、と。これにはちゃんとした理由があるのだが、よくわかる説明ができるほどの知識が僕にはないから省略する。申しわけないのである。

 さて、である。AD再生において、最も頻用する測定器といえば、おそらく針圧計ではないかと思う。これは、下向き垂直方向に働く荷重を測定するキカイである。それに対し、水平方向の荷重を測定する、とは。一体何をハカリに掛けようというのだ。

 もうお分かりだと思う。以下、明日へ続く。

’09/06/13 (土)

さらに正体不明


 さて、このキカイが何であるか、お分かりだろうか。先月も、友達謹製レコパックもどき乾燥台で同じようなことを書いたけれども、今回はさらに正体不明かもしれない。

 サシガネを置いてみたので、凡そのサイズはお分かりいただけると思う。全身是金属の塊、どこを叩いてもコチコチで鳴きはまったくない。実測重量646g。

 10mm厚アルミ板の台座に、ナニモノかを固定するらしき機構が取り付けてある。この部分は、手前に見えるツマを回すことで垂直方向へスライドが可能。この動きは極めて精緻でスムーズである。ガタやぐらつき、ひっかかりは一切ない。もちろん、ロック機能付き。

 ツマミを回す時、手に感じる独特の抵抗感が気持ちよくて、意味もなく上下させて喜んでいる。よくできたアンプのボリュームノブにある粘っこい抵抗感を、想像してみてください。

 この写真だけで用途を看破した方がいらっしゃったなら、その方は相当なAD再生マニアと言える。つまりこれは、AD再生関連用途の、キカイなのである。

 スライド機構部分のみは他用途機器からの流用だが、それをAD周辺機器に作り変えてしまったのは、例によって創意工夫大魔王(失敬!)であるところの、友達である。何と言うかこの、僕はもう参ってしまうわけである。まったくに、恐れ入りました。

 正体は、また明日。

’09/06/12 (金)

聴く


 ここ数日、ほとんどシステムを鳴らせずにいる。そろそろ禁断症状がでてきたようだから、今夜は少し聴こうと思う。

 一日のオツトメを終えて、自由になる時間をどのように使うか。工作するのも面白いし、日誌を書くのも楽しい。けれども、やはりオーディオマニアとしては音を聴かないことには何も始まらないのである。

 というワケで、今夜は箱船1階方面へ、去ります。

’09/06/11 (木)

深々の謝意を表しつつ


 上の写真は、これまでSP-10MkIIAが取り付けられていたキャビネット(モーターボード、と言ったほうがよいかもしれない)である。550mm×450mm×30mm厚の鉄板である。モーター、アーム取り付け穴を開けたこの状態で、実測重量35kg。なかなかに強力なのである。

 これから取り付け寸法を実測採寸する。わけだが、作業を始めてみると、これがなかなか容易ではないのであった。

 四角い(正確には八角形)切抜き部分はまだしも、周囲5ヵ所のネジ穴位置を正確に採寸するのは、ヒジョーに困難である。穴の中心精度が出ない。これがずれるとどーゆーことになるか。キャビネット完成後にモーターが取り付けられないという、恐ろしい事態となるのである。

 いい加減に考えてどんどん進むか。いけない。そんなことをしてはいけない。うーむ困ったと、頭を抱えていたら、そこへ救世主登場。先日、WE-407/23取説の件でお世話になった方からご連絡をいただいた。「昨日の日誌を読みました。お節介ながら、SP-10MkIIの取り付け図をお送りしましょうか」と。

 お節介、とはとんでもないことである。地獄に仏とはまさにこのこと。深々の謝意を表しつつ、謹んでご厚意をお受けすることにした。

 それにしても、友達、仲間とのご縁とは、本当にありがたいものだと、痛切に感じるのである。WE-407/23の件、今回のありがたくもご親切なお心遣い。そもそもこのSP-10MkIIAにしても、友達から「如何様にでも使っていいよ」と、半永久的にお借りしているものなのだ。

 僕はもう、ナミダが出そうです。本当に、ありがとうございます。

’09/06/10 (水)

前時代的方眼紙


 相変わらずパソコン音痴の僕である。例によって、図面を書くのは得意の方眼紙。前時代的なのである。

 アームの位置が決まったから、積層キャビネットの板取にかかった。18mm厚サブロクシナベニヤ1枚を、ほぼ使い切って作る。まずはアームボード下部のくりぬき部分を考える。使う予定のアームスタビライザーがかなりの大型だから、よく考えないとつっかえてグワイの悪いことになる恐れがある。

 あとはSP-10MkIIAの取り付け穴寸法である。付属の取り付け図があれば便利なのだが、残念ながら手持ちがない。ので、従来のキャビネットから採寸する。

 SP-10MkIIIの取り付け穴は円形だから、ある意味切り抜きやすい。バッフル抜き穴と同じ感覚で工作できるわけだ。MkIIAは、正方形に近い八角形の穴を開けなければならず、これは図面を書くにも実際に切り抜くにも、少々メンドクサイ形なのである。

 尤も、工作にかかる前から文句を言っていても仕方がないから、このままどんどん設計を進めることにする。熟慮熟考は大切である。しかし時には思考停止することも必要だ。もちろん、ずっと停止したままではヒジョーに困るわけだが。

 久しぶりの工作に、トキメイております。

’09/06/09 (火)

産卵処


 我が盟友、徳さんから、素晴らしい写真をもらった。上がそれである。グロテスク、とご覧になるムキもございましょうが、個人的には大好きである。徳さん、どうもありがとう。

 モリアオガエル産卵の決定的瞬間である。1匹の♀(写真中央のでっかいヤツ)に、おそらく6匹の♂が群がっている。♀が粘液と一緒に卵を産む、それに♂が精子を混ぜながら後足でコネコネコネコネする、結果、粘液はホイップされて泡となる。卵はその泡の中で熟し、時が満ちればオタマジャクシとなって泡の直下にある池に落下する、というわけである。

 直下の池。そうなのである。このシーンは、徳さんのお寺の境内にある池で撮影されたものなのだ。山門のすぐ脇、決して人通りが少ないとは言えない場所にある池である。この直前、徳さんがオツトメから帰ってくると、山門の真下に♂のモリアオさんが1匹、眤としていたという。目的地は決まっている。信じられん。よほど安心できる雰囲気が、あるンだろうなあ。

 加えて、条件の良さもありそうだ。小さな松の木の枝が、池傍から水面と平行するように張り出している。このカタチは、彼らにとって最高の産卵ロケーションなのである。逆説的には、この状況がないと産卵できないとも言えるわけで、モリアオガエルが爆発的に増えない因の一つなっている。

 ウチの境内にも池があったとしたら、こんな光景を見ることができるのだろうか。だとしたら、池を掘って樹を植えて、「モリアオガエル様御一行産卵処」としてご案内申し上げたいところであるが。

 住んでる人間ドモがやたら騒々しいから、ダメかな。

’09/06/08 (月)

計画始動


 今日から、WE-407/23を使ったADプレーヤー製作に本腰を入れることとした。フォノモーターには、現状サブプレーヤーであるところの、SP-10MkIIAを具する。現用キャビをそのまま流用できれば話は早いわけだが、そうは行かない。

 アームベース取り付け穴がEPA-100MkII(以下、100)用に開いていて、穴径は62mmφある。WE-407/23(以下、407)の推奨取り付け穴径は30mmφだから、これではまったくのNGである。仮に、穴径に問題がなかったとしても、アーム実効長、オーバーハングともに違うから、どちらにしてもNGである。

 100の実効長は250mm、オーバーハング15mmである。モーター回転軸中心から235mmの点を中心として62mmφの穴を開けることになる。407は実効長233mm、オーバーハング12mm。写真は100のテンプレートを流用、221mmのところにマーキングし、方眼紙で作った型紙上でグワイの良い穴位置を探っているところである。

 基本的には現用メインプレーヤーと同じ長岡式とし、まずは18mm厚シナベニヤで積層キャビを試作する。この段階ではグワイの悪い部分が出ること必至、それらを修正した後、本番製品を再設計する。その先は、然るべきプロに製作を依頼したいと考えている。

 アームボードは鉛、但し、純Pb製とPb-Sb(アンチモン)合金製の貼り合わせとする予定。純Pbにありがちな平面性の悪さを合金で補い、合金のデメリットである鳴きの多さを純Pbで抑えようという狙いである。この方法は、既に現用メインプレーヤーで好結果を得ている。

 と、書くだけなら簡単である。実際にやってみないことには、どうなるかゼンゼンわかりません。功を焦って大失敗しても仕方がないから、よーく考えながら進めたいと思う。

 ホンマに出来るンかいな。

’09/06/07 (日)

思い出のWE-506/30


 音元出版の季刊、analog誌のバックナンバーを読んでいて、偶然SAECの特集記事を発見してしまった。Vol.11(2006年春号)誌上である。何を今さら。購入時に間違いなく一度は読んでいるはずだから、こーゆーのは発見とは言わない。ニワトリ頭の僕が、勝手に忘れていただけである。

 18年ぶりにSAECのアームを持った今、改めて読むととても面白かった。記事の最初にWE-407/23の大きな写真が載っている。歴代のダブルナイフエッジアームも紹介されていて、その中でとても懐かしく感じたのは、ロングアームの名機WE-506/30だ。

 このアーム、僕は使ったことがない。けれども、僕が尊敬して止まない友達が、昔使っていたのである。彼と実際に知り合う以前、彼があるオーディオ雑誌の記事に登場したことがあって、その中の写真にWE-506/30が写っていた。

 憧れのダブルナイフエッジ! しかも506/30。すごいなあいいなあ僕も欲しいなあでも買えないなあと、食い入るように記事を読んだことを覚えている。この思いがあって、のちにWE-407/GTを買うことになるのだった。それを何故に手放してしまったのか。まあ、この辺はいろいろあったのである。

 残念ながら、506/30で再生するADの音を聴かせてもらう機会はないままである。何とか僕も手に入れたい、とは思えども、今となっては極めて困難だ。

 analog誌の記事の最後には「SAECトーンアームの復刻を望みたい」とある。僕もまったく同感である。

 サエクコマースさん、何とかお願いします。

’09/06/06 (土)

見事適中


 友達の厚意により、送ってもらった0.6号ナイロンテグスである。インサイドフォースキャンセラー錘に付いている糸と、早速比較してみた。

 まず、見た目。ほとんど差がない。オリジナルのほうは茶色く劣化しているけれども、それ以外はまったく同じもの、のように見える。写真では分かりにくいのが残念である。次に、感触。これまたほとんど同一。硬さ、撓りグワイに違いはない。これはもう「同じもの」と判断してよいのではないか。

 念のため、例によってノギスで測定する。少なくとも手持ちノギスの精度では、違いが出なかった。どちらも0.13mm〜0.14mmφくらいである。

 結論。SAECオリジナル糸と、SUNLINE0.6号ナイロンテグスは、ほぼ同じものである。イヤ、そう言い切ってしまっては遺憾。充分代用可能である、と言い直しておこう。仮に、糸径がわずかに違っていたとしても、古びたオリジナル糸より新しい0.6号ナイロンテグスのほうが良いと思う。

 そうとなれば早速にも交換したいところ、だが、実際の作業には多少の工夫が要りそうだ。これを送ってくれた友達は、創意工夫の大名人である。名人にはとても及ばないにしても、ここは何とか無いチエを絞ってみたいと思うのであった。

 出るかな。

’09/06/05 (金)

鉄槌!


 面白すぎて、時間が経つのも忘れて一気に読み切ってしまった。気が付けば夜中の1時。エライこっちゃ。

 「鉄槌!」(いしかわじゅん 著 角川文庫 ISBN4-04-179504-4)。漫画家で作家の著者が巻き込まれた、とんでもない訴訟の顛末記である。

 僕はもともと漫画家いしかわじゅんのファンだし、彼の文章も好きである。さらに、この訴訟の起こりになった著者の連載漫画を、僕がリアルタイムで読んでいたことも、本作をより面白く読ませた因だと思う。

 それを割り引いても、ヒジョーに面白い本である。個人的には社会勉強にもなった。ヨノナカには、いろんなヒトがいるのだなあ、と。

 いささか旧作だが、お薦め作品である。

’09/06/04 (木)

0.6号ナイロンテグス


 昨日、錘を吊る糸のことを書いたら、このアームの健康診断をしてくれた友達から早速のメールをもらった。「使えそうな糸あるから送る。詳細は現状のものと比べて判断して欲しい」ということである。ありがたいことだ。

 その糸、とは、SUNLINEというメーカーから出ている「SIGLON BASIC 0.6」というナイロンテグスである。「0.6」とはナンゾヤ。調べてみると、社団法人日本釣用品工業会が定めるテグス糸径規格による号数であって、実際の糸径は0.128mmになるそうだ。なるほど、糸のパッケージにも「標準直径 0.128mm」と表示されている。

 これをウノミにするような友達ではないのであった。マイクロメーターで実測、すると0.135mmあった、と。あくまでも「標準直径」だから、7/1000mmは誤差の範囲なのだろう。

 そこで、錘に元々付いている糸の径を測ってみる。と言ってもマイクロメーターの手持ちがない。この測定工具、ちゃんとしたヤツは非常に高価なのである。仕方がないからノギスを使う。一応は0.05mmまでの分解能があるから、凡そのところは判明するはずだ。

 結果、0.1mmより太く0.15mmより細いが、0.15mm側に寄っている、という感じであった。ちゅーことは、0.128mm〜0.135mmならズバリ適中、なのではないか。

 実物が届いたら、早速にも比較してみたい。

’09/06/03 (水)

錘と糸


 WE-407/23のインサイドフォースキャンセラーは、先日も書いた通り、錘の重量によってアームを外側へ引っぱるアウトサイドフォースを発生させる方式である。写真は、その錘。磁石には反応しないから非磁性体である。非磁性SUSか黄銅系製、と言ったところか。重量と体積から比重を計算すれば凡その見当が付くはずだが、メンドクサイからやらない。

 実測重量は写真の通り。6.04gである。細い糸付きのまま量ったから、端数0.04gは糸の重さかもしれない。

 この方式の欠点。針圧を印加するときには、錘を取り外しておかねばならない。その所為か、錘を紛失するケースが多いと聞いたことがある。尤も、これは方式の欠点ではなくて、使い手の問題とも言える。僕は生来注意散漫で馬鹿でマヌケだから、フツーの人の30倍くらい気を付けていないと本当に失えそうで怖いのだった。

 僕が使うにあたって怖いことがもう一点。糸を切ってしまいそうだ。極めて細い糸の上に、経年劣化で茶色く変色している。できれば切れる前に新調したいところだ。質感からして極細のナイロンテグス、のように見える。入手は可能なのだろうか。

 探してみましょう。

’09/06/02 (火)

オールグリーン


 友達のところで健康診断を受けていたWE-407/23である。基本的には健康体、イノチに別状はないがちょっとグワイの悪いところあり、という診断。不グワイ箇所をしっかり治療し、秘策も練り込んでもらって一昨日帰ってきた。友達には、大変なお手間を取らせてしまったのである。ありがとうございました。

 仕上がりは、完璧である。あんまり嬉しいから、早速スタビライザーを着けてみた。うーむ、実に格好ヨイのである。特に、サポート周りのメカメカしさは、たまらん。

 これでアームは準備完了。オールグリーンである。いつでも使用に具せる状態になった。あとはADプレーヤーとしてシステム化するだけ。実は、ここからがホネの折れるところなのだ。頭の中には青写真が出来上がっている、とは言え、平面的なものを立体化させねばならんわけで、空間認識能力が著しく低い僕にとっては、最も不得手な作業になる。

 ともかくは今あるADプレーヤーを雛形にしながら、じっくり形にして行きたいと思う。功を焦っても、いずれ大きなしくじりをやらかすに決まっているのだ。

 上手く出来上がるか知らん。

’09/06/01 (月)

どうもならん、けれども


 早くも6月である。あっという間だ。冬、あれほど待ち焦がれた夏も、もうすぐそこである。嬉しいような、ちょっと損したような、複雑な思いがするのであった。

 さて、昨日アームスタビライザーに実験、イヤ悪戯した金パックである。どうなったか。どーもならんのである。写真にご覧の通り、フツーに剥離できただけ。剥したあとの面はどうかと言うと、これまた別にどーもなっとらんのだった。心なしか艶が出たようにも見えるけれど、まあ、ほとんど差はない。

 無駄な悪戯、のように見えて、個人的にはそれなりに意味があったと感じている。相手が金属であっても、表面がある程度滑らかに仕上がっていれば剥離に問題はないこと。これが分かっただけでも収穫である。

 いずれ、研磨後のクリーニングに使ってみよう。