箱船航海日誌 2009年05月

日々雑感、出来事などを思いつきに任せて綴っていこう

過去の日誌コンテンツ

’09/05/31 (日)

悪戯


 写真のように、またぞろワケのワカラン実験をしている。否、こうなると最早実験とは言えず、悪戯悪ふざけのタグイと言ってよい。

 27日に載せたアームスタビライザー。これをクリーニングするに、レコパックを使ったらどーなるンだろう。一旦そう思いついたら、ムズムズして眤としていられなくなった。もししくじっても、あまり問題のなさそうな底面を選んでレコパックを塗る。レコードと同じように剥離紙を乗せ、只今乾燥待機中。

 元々の仕上がりは非常にきれいだし、特に汚れてもいない。劇的効果、というわけには行かないだろうけれど、まあ、話のネタ、くらいのことである。レコパックならぬ、スタパック。イヤ、金属材相手だから金パックか。

 何だか大いなる誤解を生みそうな名前ですな。

’09/05/30 (土)

9回目のご命日


 29日は、長岡先生9回目のご命日であった。感じることは毎年同じである。昨年からまた1年、もう9年も経ってしまったのだなあ、と。

 もし、今もご存命であれば御年83歳となられていたわけで、さすがに現役評論家として第一線でご活躍いただくのは無理だったかもしれない。けれどもファンというものはいつも自分勝手であって、年に一度でもよいから先生のライブ評論が読みたかった、などと考えてしまうのも、事実である。

 長岡先生の思い出は、今も鮮明である。いささかもの色褪せもない。年年歳歳、お元気だった頃は遠くなって行きはしても、僕のオーディオ原動力は、今も長岡先生にあるのだ。

 きっとそれは、これからもずっと変わらないことなのだと、思う。

’09/05/29 (金)

眺めて楽しむべし


 WE-407/23に付属してきた、中量級カートリッジ用カウンターウエイト、W-7Mである。これだけは元箱付きで、ほとんど使われた様子がなく、わりときれいな状態であった。それでも念のためと、おそうじ消しゴムで磨いたらやっぱり一皮剥けて更に美しくなった。

 付属する取説(コレにはありました)によると、シェルを含む適合カートリッジ重量は15g〜25gとある。これが軽量級用ウエイトW-7Lでは6g〜10gとなる。7L、7M、元々付属するウエイト、の3種でアーム全適合範囲(6g〜33.5g)をカバーする、というわけだ。

 してみると、付属ウエイトの適合重量下限はどれくらいなのだろうか。上限33.5gから推測するに、凡そ23g〜25g程度か。もし、そのくらいだとすると、僕にとってはたいへん好都合である。使用カートリッジ+シェル重量が24g〜29gの間にあるからだ。

 写真のW-7Mは現状出番なし、ということになるか。実は、そうでないと困るのだ。本来なら7Mと同梱されているべき中量級用ラテラルバランサーウエイトが、欠品しているのである。前オーナーさん、何処やっちゃったかワカランらしい。

 もちろんそれも承知の上で買ったわけだから、文句を言うつもりはまったくございません。ムクモノ、ヒカリモノが大好きな僕としては、使わず眺めているだけでも充分に楽しいのである。

 最近、斯様なオーディオ製品が、少なくなった。

’09/05/28 (木)

使い様


 上の写真は、おそうじ前のWE-407/23アームベースである。ご覧の通り、茶色い汚れと粉を吹いたような錆に覆われ、お世辞にもきれいとは言えない。24日の写真と見比べていただけば、その差歴然であることがお分かりいただけると思う。

 先日も書いたように、これを新品同様にまでクリーニングできたのは「おそうじ消しゴム」あってこそ、である。水を含ませ汚れを擦り落とすのが本来の使い方だが、今回は相手が金属であり、しかも汚れがひどい、ということで、媒体に無水アルコールを使った。

 これは効果抜群である。明らかに水よりもクリーニング能力が上がるし、揮発性が高いから問題も起きにくい。ただ、揮発性の高さは諸刃の剣である。擦っているうちにどんどん揮発、気が付いたらスポンジがカスカスになっていることも間々ある。

 水ならスポンジにぶっかけて含ませることができるが、高価なアルコールではもったいなくてダメだ。ので、アルコールを注射器に吸い上げ、その針をスポンジに突き刺し適量を注入する、という方法を採っている。

 非常に効果の高い「おそうじ消しゴム」だが、相手を選ばないとまずいことになる可能性もあるようだ。殊、相手が樹脂のバヤイには、事前にテストしてからのほうがよいと思う。

 塗料の中では比較的硬い塗膜を作るアクリルラッカー。この塗装膜で試験(媒体はもちろん水)してみたところ、細かな傷が無数に付き、艶が失われてしまった。力加減もあるとは思う。しかし、基本的に樹脂への使用は、避けたほうが無難である。

 どんなに優れた道具も、使い様、である。

’09/05/27 (水)

アームスタビライザー


 WE-407/23を使ってADプレーヤーを組もうという目論見には、いろいろと前準備が必要である。写真のブツも、そのうちの一つである。

 アームスタビライザーである。と言っても、もちろん純正品ではない。SAECからオプションとして「AS-500E」(鉄製)なる製品が用意されていて、今や中古市場では高値を呼んでいる。写真のものはφ59mm×60mmの真鍮製。重さは1,100gある。仕上げも非常に美しく、堂々たる風格である。

 AS-500Eの正確な寸法重量を、僕は不知である。「500E」だから500gかしら。それよりも大きく重いのは間違いないと思う。但し、大型重量級が必ずしも有利、とは限らない。アームボードの裏側(下側)に、このような物体が吊り下がるわけだから、キャビネットの構造をよく考えないと上手く収まらなくなる恐れもある。

 とは言うものの、もともと付属しているロックナットはあまりにも薄く貧弱で、とても使う気にはなれない。EPA-100MkIIのロックリングを砲金製重量級に交換して良い結果を得ているだけに、ここは何とか工夫し、この大型スタビライザーを使いたいと考えている。

 ADプレーヤー周辺パーツってえヤツは、どうしてこうも魅力的なのだろうか。

’09/05/26 (火)

御礼


 昨日の厚かましくも不躾なお願いに、今日早速複数の方々からご連絡をいただいた。どなたもとてもとてもご親切で、僕はもう心の底から大感激してしまったのである。おかげさまで、取説のコピーを送っていただけることとなった。また、メールでインサイドフォースキャンセラーの設定法を詳しくご教示くださった方もいらっしゃって、ただただ感謝申し上げるばかりである。皆さん、本当にありがとうございました。

 おかげさまを以って、実際の使用についての不安は解消された。何と嬉しく、ありがたいことだろうか。そこで件のWE-407/23だが、少々の事情があり、友達のもとへ送ることになった。念のための健康診断である。基本動作には問題ないけれども、他の機構部分にちょっと気になるところが、あったのである。

 さて、今後このアームをどのようにして使うか。只今思案中である。ADプレーヤー製作について思いを巡らせるのは、何年ぶりだろう。実に楽しみである。

 僕は今、とてもワクワクしている。

’09/05/25 (月)

お願い


 WE-407/23のインサイドフォースキャンセラー部である。アーム本体と平行する金属棒が、サポート部上方に取り付けてある。金属棒には赤と黒の溝が7本刻んであり、ここに糸付きオモリを引っ掛け、フックを介して吊り下げる。結果、アームにはLP外周へ向かって引っぱる力が働く、という仕組である。

 根元(アーム前方)の溝へ行くほどキャンセル量が減り、先っちょ(アーム後方)ほど増えるのはテコの原理からして当然である。さて、ここでハタと困った。それぞれの溝に何g分が対応するのか、わからないのである。取説ナシの中古品とは、こういう時にグワイが悪い。

 ムカシムカシ、WE-407/GTを使ったことがあるものの、そんなに細かいことはすっかり忘れている。手放す時、取説をコピーしておけばよかった。と18年も経って考えても詮無いことである。

 そこで、この日誌をご閲覧いただいている方々に、お願いがございます。WE-407/23の取扱説明書をお持ちの方がいらっしゃいましたら、少しの間お借りするか、或いはコピーをお願いできませんでしょうか。もちろん実費、送料は負担いたしますし、御礼もさせていただきます。掲示板、またはメールにて、ご連絡くださいますと幸いに存じます。

 誠に厚かましいお願い、恐縮至極でございます。

’09/05/24 (日)

おそうじ完了


 2日がかりのクリーニングで、ようやくここまできれいになったWE-407/23のサポート周りである。ディーテイルにこだわって観察すると、未だ完全とは言えず、細かな部分には埃と汚れが残っている。けれども、あまり無理をするとサポートを傷めてしまう恐れあり。このあたりをクリーニング撤収の潮時とする。

 届いた時の状態を思えば、これでもずいぶん美しくなったのである。インサイドフォースキャンセラーのポールとオモリなんぞそりゃあもうマックロケで、クロムメッキだか黒色塗装だかわからんくらいだった。ナイフエッジ部分をシールドするアルミカバー(『SAEC』の刻印がある部分)も茶色く(タバコのヤニ?)変色、初見では絶望的な気分になったのだった。

 こうしてある程度正視できるくらいになれば、ちょっと得したような気分になるから不思議である。ほとんどジャンクに近かったようなものを正常な状態に戻せた、という達成感がある。あとは動作に真実問題がなければオールグリーン、なのだが。

 18年ぶりに見るこのモデル、実に魅力的である。

’09/05/23 (土)

おそうじ専一


 昨日の日誌更新を休んだのには、ワケがある。

 実は先日、写真のブツを入手してしまったのである。往年の名機、SAEC トーンアームWE-407/23である。ナンデ今さら。今を去ること18年前、ノッピキならぬ事情でWE-407/GTを手放して以来、もう一度SAECの407シリーズを使ってみたくて仕方なかったのである。

 今回手に入ったものは、純然たる中古品である。程度は「下の中」くらい。その状態が、昨日の日誌を休んだ因なのだった。

 恐ろしいほどの錆と汚れグワイであった。カウンターウエイトなどのクロムメッキ部分には、黒い錆が点々と無数に浮いているし、アルミ梨地部分は錆と茶色の汚れで如何にも汚い。アームパイプ、ベース、サポート周りも同様である。

 ヒジョーに困った状態だが、サポート部分に不グワイがないのは幸運だった。このアームの心臓部、ダブルナイフエッジに妙なガタや動きの悪さはなく、水平回転を支えるベアリングも健全である。

 さてもこの汚れには弱った。動きがOKならそのまま使ってもよい、わけだが、僕にはガマンできない。部屋が汚いのはヘーキだが、オーディオ機器はピカピカでないと許せないのである。ヘンなヤツ。

 これを存分にクリーニングするには、アレしかない。と取り出したのは、の「おそうじ消しゴム」である。昨夜は夜中までコシコシコシコシ、アームおそうじに専らであって、日誌を休んでしまったというわけだ。

 明日は、おそうじ成ったサポート周りなどを、お目にかけたい。

’09/05/22 (金)

超高効率


 作業効率が飛躍的に向上し、大喜びでレコパックもどきクリーニングしまくっている。かくしてパック液はどんどん減る。減ったらまた作る。作ったら使う。パック液の回転が良くなるのは、ある意味メリットでもある。

 乾燥プレートの後に並んでいるボトルには、昨年の実験開始直後に作った試作パック液が入っている。粘度のゆるいもの、アルコール含有率が低いもの、化学糊の種類が違うもの、などである。最新量産型に比べると、使い勝手がやや悪かったり少々クリーニング能力に劣ったりはするものの、実用に差し支えはない。

 どれも中途半端な量が残っている。この際これらを一気に使い切ることにした。作業効率向上に乗じ、さっさとボトルを空にして最新量産型を満たそうという魂胆である。

 とゆーわけで、乾燥プレート大活躍。今も稼動中である。昨日から数えてLP8枚、都合16面パックしたことになる。24時間強で16面完了、以前からは考えられない超高効率である。

 作る、塗る、乾かす、剥す。全部、楽しい。

’09/05/21 (木)

強制乾燥プレート


 昨日の「フシギなもの」の使い方は、斯様になるわけである。要するに「レコパック強制乾燥プレート」なのであった。

 プレート中央にレコード支持台を固定、レコードを載せてパック液を展開する。2台のファンは外側へ倒せる可動式だから、作業の邪魔にはならない。1枚目が終わったら2段目の支持台を重ね、2枚目に展開。あとはファンを起こしてスイッチ・オン、送風を開始する。

 ファン送風による強制乾燥の威力は目覚しく、15分もすれば生乾きになる。そうなったら1、2段目ともレコードを裏返し、両面パック状態にして、あとは完全乾燥を待つだけである。

 僕はパック液をかなり厚め(1面30〜35ml)に塗るから、15分間の初期乾燥を待って裏返すわけだが、1面25ml程度の通常量なら塗布後すぐに裏返しても液ダレしない、と友達から報告を受けている。

 1面25ml、LP2枚分4面塗布して完全乾燥まで約1時間。僕のように1面30〜35ml塗布しても1時間30分以内で完全乾燥する。但し、室温によって差が出るはずで、冬場だともう少しかかるかもしれない。これはもう驚くべき作業効率であって、レコパックもどきの弱点を大きく補う、極めて優れたツールなのだ。

 強制的に乾燥させて問題はないのか。ないのである。剥離が困難になることも、クリーニング能力を殺ぐことも、まったくない。

 「そんなに急いでどーする、ゆっくりやるのも趣味のうちだ」という見方もあるだろう。ご尤もである。その辺りは、使い分けだと、僕は思う。通常は、今日パックして明日聴こう、でよい。ただ、急ぎ聴きたいバヤイもあるのが本音である。そーゆー時、この乾燥プレートがモノを言うわけだ。2WAY乾燥。イヤ、素晴らしい。友達には大感謝である。ありがとうございます。

 嬉しくなって、どんどんパックしてしまいそうだ。

’09/05/20 (水)

なんだ、これは


 いつも多くの教えを乞うている友達から、フシギなものが届いた。上の写真がそれである。

 420mm×300mmの12mm厚ベニヤ合板にDC12V駆動のパソコン用ファンが2個、対角配置してある。板の中央には意味ありげな円形のガイド線、その周りには3つの金具が取り付けてある。コレは一体、何を目的として作られたモノなのか。

 勿体ぶるつもりはまったくなくて、要するに話題を1回で消費するのが惜しいだけなのである。昨日までのテンカイをご覧になれば、この道具の使い道も凡その見当が付くというものだ。

 何と言おうか、こういうものを自作してしまわれるその心意気、遊び心が実にいい。僕のような者にはとても作れないし、あまつさえ思いつくことすら不可能である。創意工夫とは、まさにこのことである。

 明日は、実際に使ってみたい。

’09/05/19 (火)

採用決定


 上の写真は、昨日と同じレコード同じ部分をクリーニング後に撮ったものである。かなりきれいになっていることをお分かりいただけるだろうか。

 埃はもちろんのこと、盛大に貼り付いていた「掌紋」も、1回のパックで完璧に除去されている。雑な扱いによって付いた大小の傷は、当然のことながら如何ともし難い。けれども、パック1発で汚れがここまで除去できれば、レコードクリーナーとしては完璧に近いと言ってよいと思う。

 従来材料比率によるパック液を上回るクリーニング能力である。アルコールに加えた工夫の所為か、乾燥時間がやや短くなったようだ。性能に加えて使い勝手も向上、さらにローコストとあらば、これを量産型とせずして何とする。難敵を撃破し、文句なく採用決定である。

 ただし、これが最終型になるかどうかは、わからない。これで実験のネタが尽きたわけではないのである。

 レコパックもどき実験は、奥が深いのだった。

’09/05/18 (月)

難敵


 実験に具するレコードは、できるだけ汚れたもののほうが効果を判断しやすい。反面、どんなパック液でもきれいになることには違いがないから正確な実験にはならない、とも言える。まあ、その辺は好い加減にしておくのである。

 実験台にする中古盤、これは生半ではない歴戦の勇者である。内袋も何もない状態、つまり、裸でジャケットに突っ込んであった。全身是埃まみれ。指紋どころか、オスモウさんの色紙よろしく掌紋がべったりと押されている。上の写真はその様子を撮ったつもりだが、イマイチよく分からないのが残念である。

 大昔、ワゴンセール十把一絡げ、超低価格で買った中の1枚である。そーゆーものに、文句を言うつもりはさらさらない。けれども、前オーナーさんはどんな扱いをしたンだろうかと、首を傾げてしまうのも事実。このようなハンドリングで「LPはノイズが多くて駄目」などと言われた日にゃあ、ADも立つ瀬がござんせんよ、と。

 この難敵に、打ち勝つことができるか新組成レコパックもどき。

’09/05/17 (日)

さらにハイCPへ


 レコパックもどきの話題では、いつも同じような写真になってしまって、申しわけ次第もないのである。イマジネイションのヒンコンであります。

 さて、友達からのアドバイスにより、新しい組成でのレコパックもどき作りを開始した。従来材料比率は、PVA洗濯糊3:アトフィスグルー3:アルコール4 CMC(増粘剤)0.5%添加、であった。今回作るものは、PVA洗濯糊4:アトフィスグルー3:アルコール3 CMC0.4%添加、という比率である。

 主な目的は、コストダウンである。ただ、ヤミクモに安く上げてパフォーマンスまで低下してしまったのでは本末転倒。アルコール含有率を下げた分、脱脂能力が落ちないような工夫をしてある。それについてはここで詳しく述べることができない。人体、及びレコードに対しての事故防止のためである。

 パック液が出来上がり次第、実際にクリーニングに具してみたい。好結果が得られれば、今後はこの新組成パック液が量産型になるだろう。僕のレコパックもどき消費量はかなり多いから、パフォーマンスが同等ならコストは少しでも低いほうがありがたいのである。

 しかしこの作業、何べんやっても実に楽しい。ナゼだろう。

’09/05/16 (土)

新組成


 友達からの最新情報とアドバイスにより、新組成レコパックもどきを製作しようとしている。「新組成」と言っても基本的な材料に違いはない。変更点は2点。材料の混合比率を少し変えること、溶剤(アルコール)に工夫を加えること、である。

 友達の実験によると、従来組成のパック液に比べても性能や使い勝手に遜色はなく、ある部分では上回っているとも。コストダウンにもなるようだし、これはどーあってもやってみねばなるまいて。

 実験開始から1年、未だに楽しめるレコパックもどきである。

’09/05/15 (金)

松も元気


 藤の花に勢いがある、と思ったら、今年は松も非常に元気である。写真は、前庭にあるクロマツの雌花である。先っちょに赤紫色の原始松毬(まつかさ)を付けた新芽が無数に出ている。こんなに多く雌花が咲くのは、滅多に見ない。

 松族(クロマツ、アカマツなど)は、雌雄同株で雌雄異花である。同じ木の枝に、雄花と雌花が別々に咲くわけだ。雌花はご覧の通り、松毬をイメージできる形をしているからすぐに分かる。目立たないのは雄花である。

 新芽の根元をよく見ると、薄黄色で鱗に覆われたイモムシのような物体が密集している。これが雄花である。熟すると茶色くなって鱗が開き、大量の花粉を飛ばす。それが雌花を受粉させる仕組みになっている。

 花粉を飛ばしたあとの雄花は、カスカスに乾燥して地面へ落下する。役割を終えたら死ぬだけ。受粉した雌花はぐんぐん大きくなり、立派な球果となって子孫を遺す。どうも♂ってえのは、悲しいのである。

 松毬は、俗に「マツボックリ」とも言う。この語源をご存知だろうか。調べてみて、僕は思わず笑ってしまいました。「松陰嚢(マツフグリ)」が転訛してできた語だという。雌花からできるのに「陰嚢」とはコレ如何に。転訛というには少々強引な。きっと、花粉を飛ばしたらスグ死ぬ雄花の呪いだな。そーかー「マツボックリ」とは「マツキンタマ」ってゆー意味だったンだ。

 下ネタ妄言、多謝。

’09/05/14 (木)

ちょっと残念


 レコパックもどきによるクリーニングで、かなりきれいになった、ものの、指紋様の汚れは除去し切れなかった。どうやら皮脂ではなく、何か他のものによる汚れらしい。仕方ないのである。

 聴いてみる。最初の一音で、あっと思った。中高域に強いクセがあり、耳障りで聴きづらい。ボーカルは妙に痩せていて、サ行に歪みが乗る。低域はタマシイが抜けたように影が薄く、力がない。全体的に低域不足、ハイ上がりである。僕の好みからすれば、あまり楽しめる音ではない。

 では、この復刻盤は失敗作なのか。そうではないと思う。拙システムとのマッチングが良くなかっただけのことである。システム、部屋、リスナーが違えば、評価も180°変わる可能性もある。ウチで聴いてダメだったから駄作、などという不遜なことは一切言えない。

 逆もまた真なり。他のシステムでNGだったものが、ウチでは素晴らしい音で鳴ることも間々あるわけで、だからこそオーディオは不可思議であり面白くもあるのだった。十人のオーディオファンがいれば、十色の「良い音」が、あるのである。

 未だ届かないCDの音や、如何に。

’09/05/13 (水)

ジャケットはデラックス


 amazonから「MAGGIE BELL / SUICIDE SAL」180gAD復刻盤(英Lilith Records 900440)が届いた。今月末の発送予定、と知らされていたから、思いの外早い到着に驚いている。

 (C)(P)2008。「Vinyl Lovers」という復刻盤シリーズのうちの1タイトル、であるらしい。「Manufactured in EU」と表記があり、英プレスかどうかは判然としない。写真左は1975年リリースのオリジナル盤、右が今回の復刻盤である。復刻盤のほうはビニールコーティングされたデラックス仕様、発色も鮮やかだ。味があるのはオリジナルかな。

 さっそく聴こう、として盤を出したら、エライ埃である。指紋のような汚れもある。未開封新盤のクセに。まあしかし、こんなことはよくあることで、イチイチ驚いたり怒ったりしてはイケナイ。欧米でのレコードは、消耗品なのだ。レコパックすれば問題なし。

 「REMASTERED」の音は、どうだろうか。

’09/05/12 (火)

3回目完了


 3回目を作り終わってボトルに移し替えるの図、である。100均で買ってきた漏斗を使う。別にコレがなくても作業はできるのだが、あったほうが楽ではある。

 先端がボトルの口に挿し込めるサイズのものを買ったはず。が、実際にやってみるとギリギリで入らなかった。ちゃんと寸法を測って買いに行けばよいものを。馬鹿の目分量は、まったくアテにならない。

 買い直すのもメンドクサイしクヤシイ。先っちょをカッターで削って外径縮小。無理矢理押し込んである。たぶん、レコパックもどき作り以外には使わないだろうから、これでいいのだ。

 あと1回、作らねば。

’09/05/11 (月)

思い出しました


 工程途中で容器から溢れそうになりながらも、無事完成したレコパックもどき450cc、である。

 写真では容器の目盛460ccまであるように見える。その通り、予定総量を10ccオーバーしているわけだが、まあその辺は自作にありがちな誤差、ということで。気泡が完全に抜け切っていない段階での誤差10ccは、許容範囲である。と、勝手に決め付ける。いい加減なのだ。

 忘れていたことが多かった8ヶ月ぶりのレコパックもどき製作だが、1回やって完全に思い出した。2回目以降はまごつかず、スムーズにコトを運べるはず。今回は、最低あと3回(1,350cc分)は作る予定である。

 このあとしばらく作らなかったら、また忘れるんだろうなあ。

’09/05/10 (日)

忘却


 実際にレコパックもどき作りを始めてみると、忘れているのは材料の混合割合だけではないことに、気付かされるのだった。

 出来上がり総量を何ccに設定して作ったろうか。400cc、450ccの二手がメモってある。450では多すぎて溢れそうになり、400にしたのだったかな。イヤ、400では少ないと思って450で作ったか。うーむ、よーワカラン。

 考え込んでいても仕方がないから、ここは思考停止。総量450ccで行くことに決定。先ずは永久ノール(PVA洗濯糊)135ccに2.25gのCMCを加え、攪拌する。写真はその様子である。攪拌が進むにつれて盛大に泡立ち、見かけ上の分量がどんどん増える。450ccはヤッパリ拙かったかな。最終工程、アルコール添加段階で、容器から溢れるかも知れん。

 どーなるンでしょーか。

’09/05/09 (土)

真夏日


 箱船階段室の窓から見える風景は、すっかり緑一色である。9日は予想最高気温を越えて、30℃の真夏日であった。冬物の衣でオツトメしたら、大汗をかいてしまった。

 薫風自南来。この時期の風はまさに「薫風」である。何かしら良い香りを含んでいる。藤の花や新芽の匂い、土の匂い、水の匂いであったりするのだろう。田舎暮らしで不便を感じることも多いけれども、季節の香りを存分に楽しめるのは、とても幸せなことだと思う。

 恰好、である。

’09/05/08 (金)

好時節


 朝のうちに残っていた小雨も昼過ぎには上がり、午後からは爽やかな良いお天気になった。如何にも「皐月」といった感じ。僕は、大好きであります。明日日中の最高気温は、28℃と予報されている。俄然、元気が出てくるのである。

 日の暮れはずいぶんと遅くなった。午後7時頃でもまだまだ明るい。遅い薄暮の空には昇ったばかりのお月様。この取り合わせは、実にきれいである。

 日が長くなると、何やら得したような気分になるのは何故だろう。太古の原人は、夜の闇が最もの脅威、恐怖だったという。暗闇は怖いのである。その本能が今もモノを言うのかどうか、明るい時間が長く続く季節は、気分も高揚するのである。

 今年の夏至まであと43日。嗚呼、好時節。

’09/05/07 (木)

追加生産


 連休の間、毎日法事に勤めていたせいか、曜日感覚が狂っている。今日は木曜日で明日は金曜日なのだな。あっ、最早週末ではないか。えらいこっちゃ。

 そんなことはどーでもよろしい。好い調子で使いまくり、残量が少なくなったレコパックもどきである。久方ぶりに作ることにした。写真はその材料と道具類一式である。理科の実験みたいだ。

 数種類の材料を決まった割合で混ぜ合わせるわけだが、ここでハタと困った。どんな割合だったかな。永らく作らないでいると、忘れてしまうのである。なにしろ、ニワトリ頭ですから。

 昨年やった実験の経緯が、パソコンにメモってあったはず。ファイルを探したら、ありました。ちゃんと割合も書き残してある。尤も、そうでなきゃ困るわけだ。ヨカッタヨカッタ。

 メモによると、現用の量産(?)型レコパックもどきは「タイプ5」であるらしい。糊の種類、溶剤との割合、粘度調整、攪拌方法など、いろいろと試行した跡が見える。その過程では多くのことを学習できたし、思えばずいぶん楽しい実験だったのだなあ。

 教えを乞うた多くの友達に感謝しながら、レコパックもどきを作る。

’09/05/06 (水)

琴線の共振周波数


 オーディオのことナドを話題にしようと思えども、それほどのことを何もやっていないから困るのである。中古で手に入れたレコードをせっせとレコパックもどきでクリーニングし、聴いては喜んだりガッカリしたりしているくらいのものだ。

 斯くして、レコパックもどきはどんどん減るのであった。あっという間にボトル2本、約1,000mlを消費した。以前なら、気が気でなかったはずだ。底をついたらどーしよう、と。今はまったくヘーキである。なくなりゃ作ればよいのだ。

 知識経験豊かな友達から多くの教えを受けながら、レコパックもどき自作実験を始めたのは昨年の5月である。もう早1年経ってしまった。以来、「もどき」ばかりを使っている。使用感、クリーニング効果とも抜群。膜の強靭さなどは、正規品を上回っているかもしれない。溶剤であるところのアルコールによる盤への悪影響も、今のところ皆無である。

 僕にとっては、最高最良のレコードクリーナーである。ただし、これはあくまでも僕の個人的使用感であって、何方にでもお薦めできるものではない、とも、思う。

 友達から聞いた話によると、乾燥膜を剥がした直後の美しい盤面に、大きな歓声が上がったことがあるそうだ。しかしそれでもなお、アルコールの使用を懸念する人は多いという。

 その気持ちは、非常によく理解できる。「この対策はよく効くからやってみろ」と言われても、何だか気持ち悪くてイヤダ、というようなケースは僕にだってあるのだ。高い効果があること、実害はないことをよく承知していても、である。

 良きにせよ悪しきにせよ、琴線の共振周波数は、人それぞれなのである。

’09/05/05 (火)

二名様、ご案内


 所用で近所まで出かけた折、信号待ちしていたら隣の車線にいた車のドライバーから道を尋ねられた。「天橋立へはどう行けばいいですか?」と。

 車は、真逆を向いている。「もと来た道を戻れ」だけでは再び迷ってしまわれそうだし、第一不親切である。交差点の角地がちょうど駐車場になっていたから、そこへ一緒に入ってもらって道順を説明しておいた。訊けば和歌山市からお出かけのご夫婦だという。遠路はるばる、ようこそいらっしゃいました。

 どうしたことか、僕は道を尋ねられることが多い。以前、愛媛県松山市へ初めて行った時、ホテルの近所を街見に散歩していたら「坊ちゃん列車に乗るにはどこへ行けばいいですか?」と尋ねられ、大いに弱ったことがある。よほど人が好さそうに見えるのか、或いは知ったような顔をして歩いていたのかもしれない。

 カーナビの普及率が上がり(一説には47%とも)、目的地への到着が容易になった、とは言え、迷った時の最終手段は「人に訊け」ということか。

 何だか僕は、安心したのだった。

’09/05/04 (月)

咲き年


 今年はどういう塩梅か、藤の花がとても美しく咲く年である。村を取り巻く山のあちこちで紫色の花を見ることができる。こんなグワイなら、隣の小学校にある藤もさぞきれいだろうと、見に行ったらご覧の通り。やはり近年になくよく咲いていた。

 この藤の木、今から7年前、2002年4月の日誌にも載せたことがある。その時に比べると、よく咲いているとは言え迫力がないのである。2003年、当時の校長の心無い指示によって無闇に伐られて以来、勢いが衰えてしまったのだ。

 永い時間が育ててきたものを、ぶっ壊すのは実に簡単である。しかし、壊してしまったものを元の姿に戻すのは、容易ならざること、或いは不可能である。そのことを彼は、知っていたのだろうか。

 残念である。けれども藤は、何も言わずに咲いている。

’09/05/03 (日)

昔懐かしAD


 先日の広島行で、友達から幾枚かのADをもらった。彼のオーディオ環境ではADを聴くことができないから、僕のほうで何とか工夫をしてみよう、というわけである。

 写真、手前に写っているAD、昔々「イギリスのジャニス・ジョプリン」とも言われていた、マギー・ベルという女性ロックシンガーの1stアルバムである。僕にとってはヒジョーに懐かしいレコードだ。CD化されているンだろうかと調べてみたら、ちゃーんとありました。

 2ndアルバム「SUICIDE SAL」もCD化されているし、ついでにAD復刻盤(180g)も発見して、驚いたり喜んだり。1974〜1975年発表と非常に旧く、しかもかなりマイナーな人だと思っていたら、それなりに評価されている、のだなあ。

 このレコードをくれた友達とは、マギー・ベルの曲をコピーして演っていた。それとてかれこれ27年前のことである。

 また、一緒にやろうよ。

’09/05/02 (土)

モリアオガエル


 若葉が芽吹けば、このカエルが鳴きだすのである。日本固有種、比較的レアな、モリアオガエルである。隣の小学校にあるプールの周囲で、まだ数は少ないけれど、そろそろ聞こえ始めている。

 トノサマガエルやアマガエルとはまったく違う声だから、すぐに分かる。ケロケロ、ゲコゲコ、とは鳴かないのだ。何とも文章には表し難い声である。無理に表現するとしたら、凹凸のある厚い貝殻(アカガイなどがヨロシイ)を2枚背中合わせにして強く擦りつけたような音、とでも言うべきか。

 先月15日に載せたトノサマガエルとは、同じカエル族と言えどもずいぶん体つきが違う。水中生活に適応したトノサマガエルは、目が頭の上方に突出して付いている。体は水中にあっても、目だけを水面から出せるようになっているわけだ。体型はズングリして立体的。後肢(特にフトモモ)の筋肉が発達していて、もちろん水カキ付き。泳ぎが上手いのである。指先の吸盤はなく、陸上での歩行はヘタクソ。だが、跳躍は得意である。

 モリアオガエルはその名の通り、森で暮らす陸生のカエルである。目は前方の視野をワイドに確保できるような位置に付いている。かなり扁平な体型で、じっとしていると木の葉と同化して目立ち難い。実際、樹上にいるこのカエルを発見するのは非常に困難である。後肢は華奢で、水カキはない。その代わり、指先の吸盤が異様に発達している。泳ぎの能力を捨て、樹上生活によく適応しているわけだ。うっかり水に落ちたらさあ大変。ほとんど泳げない。運が悪いとそのまま溺死することもあるという。アンタそれでもほんまにカエルですか。

 近年、生息地の環境変化などが原因で、ずいぶんと数が減っていると聞く。幸いにして当地では、まだまだたくさんいるようだが、将来はわからない。

 何かしら、愛おしいカエルである。大切にしたいと、思う。

’09/05/01 (金)

タラの木


 新緑の季節は、何度味わっても格別である。僕は5月が大好きだ。

 箱船脇の柿の木の横に、数年前からタラの木が生えている。知らぬ間にどこからかタネが飛んできたのだろう。高さ1.5mくらい、太さは3cmほどで、まだまだ若く小さな木である。幹と枝はトゲトゲだらけ、養殖タラの木にはトゲがないそうなので、たぶん野生タラだと思う。

 実はコレ、2代目なのである。初代はもっと大きく太く育っていて、そろそろ芽が採れてオイシイてんぷらが食べられそうだと、楽しみにしていた矢先、境内草刈の折に雑草もろとも刈られてしまった。しまった目印の囲いをしておくべきだったと、悔やんだが後の祭り。

 残念がっていたら翌年の春、ちょん切られた幹の根元から2代目が芽を出した。それがスクスクと成長し、今やご覧の通りである。タラの生命力、侮り難し。

 今度はちゃんと囲いをして、「刈るべからず」と札を付けておかねばならん。できるだけ大きく育てて(といってもコヤシなどやらんが)、僕はどーしても庭で採れた「タラの芽」のてんぷらを、食べたいのである。

 オマエに喰われるために生えてるンじゃない。ご尤もです。