箱船航海日誌 2009年03月
日々雑感、出来事などを思いつきに任せて綴っていこう
やっと聴けました
やっと聴けました。神保さん最新ソロアルバム「JIMBOMBA」(日キングレコード
ELECTRIC BIRD KICJ-554)。(P)2009。2008年10月29日〜11月5日、米ロサンゼルスのキャッスル・オークレコーディングスタジオで録音。ミックスダウン、マスタリング作業を除く、実質的な録音は10月29日〜30日で完了したそうだ。2日間で9曲。ほとんどスタジオ・ライブである。 ドラム、ベース、キーボード、ギターのシンプルな構成、楽曲はわりとオーソドックスなフュージョンである。演奏は極めてハイレベル、まあ、アタリマエだ。ちょっと面白いと思ったのはギタリストである。名をマイケル・ランドゥーという。どこかで聞いたことがある。と思ったら、シェフィールド・ラボのD2D「TRACK RECORD」(LAB-20)のギタリストと同一人物である。 サウンドマニアの僕には、少々物足りない音である。ちょっと線が細い感じ。低域の締まり、中域の輝き、高域の切れ、いずれももう一息。但し、全体的に歪み感が少なく、やかましい感じはない。どちらかと言えば女性的な録音と聴いた。神保さんは2007年から3年連続、毎年ソロアルバムを発表している。その中では、2007年の「Four Colors」(日キングレコード ELECTRIC BIRD KICJ-518)が最良だと思う。 それよりも何よりも、神保さんはライブを観てナンボ、のドラマーである。CDでは、本当の魅力の半分も感じられないように思われる。良いアルバムだと思うけれども、ナマ神保には、負ける。 当然か。 |
今日も聴けず
終日、ニガテ作業にかかり切り。気が付けば午前様である。今日も神保さんニューアルバム聴けず。いやもうホントに、我が事ながら手際の悪さには嫌気が差してしまうのである。 サインを貰ったジャケット表紙裏を自慢げに披露し、今日の日誌を誤魔化すのである。これじゃまるでサインコレクターだ。 ヤッパリ、来月1日が終わらんとダメかな。 |
事務はニガテ
今日の話題は、神保さんの最新ソロアルバムにしよう。と考えていたのだが、オツトメと年度末事務処理に忙しく、聴くヒマがなかった。明日、事務処理が順調に捗れば、ちゃんと聴いて話題にしたいと思う。 毎年この時期、僕にとってはツラいのである。 |
追っかけ
中国地方に住む旧い友達から連絡あり。4月21日に予定されている神保さんの広島ライブを観に行くという。そりゃあいい、ゼッタイ楽しめるぞと、返事をしてから3秒考えた。 永く会っていない友達である。再会の機を持ちたいとは思えども、昼夜を分かたずの仕事に就いているから、ヤツが当地へ出かけて来ることには期待できない。ならば、これを機会に僕が広島まで出かけてみようかと。神保さんのライブなら、何度観たって良いのだから。 ウチから広島まで、一般道〜播但自動車道〜山陽自動車道を走って5時間から6時間、というところだろう。ムチャクチャに遠いわけではない。あとは僕の予定次第だが、何とか行けそう、か、な。 ヤツに会うのも、再び神保さんを観られるのも、ヒジョーに楽しみである。 |
寒い
26日の当地は本当に寒く、朝方は3cmほどの積雪を見た。日中は少し晴れて、雪はあっという間に消えてしまったけれども、気温は上がらず9℃止まり。今日は10℃、明日も10℃の予報が出ている。 こんなに寒い3月末も珍しい、と、よく考えてみれば昨年のこの時期も、ひどい寒の戻りがあったのである。4月に入って6日頃から一気に暖かくなったようだから、今年もそうなるかな。 寒くて鬱陶しい日は、そろそろ終りにして欲しいと、心から思う。 |
緩衝材一生分
数年前、友達から大量にもらった荷造り用緩衝材「エコ・タッチ」。発泡スチロール製の繭、みたいなアレである。これはヒジョーに優れた緩衝材だ。かなりの重量物、こわれものでも実に安心して荷造り発送することができる。それがうれしくてどんどん使っていたら、当然なくなってしまうわけである。 いつまでも友達の厚意に甘えるわけには行かない。今回はwebショップで買うことにした。写真の小袋(300mm×200mm)、100個入りが2,000円、200個入りが3,500円。たくさん買ったほうが割安である。しかし、200個は多すぎる感じ。ここは100個入りで充分だろう。 届いた荷姿を見てビックリ。重量は片手で持てるほど軽い(アタリマエである)が、巨大である。φ600mm×1,400mmくらいある。軽いはずなのに送料が700円と結構高い、のはこの所為だったのだ。これでホントに100個入りかと。 請求額は2,000円+送料、間違いはない。お店がこれだと言って送ってきたわけだし、イチイチ数えるのもメンドウなことである。まあいいやと、そのまま受け取ったらば。 後になってお店からメールが届いた。曰く「間違えて200個入りを送ってしまいました。申しわけございません。そのままお使いください」と。 申しわけないのはこちらのほうである。追加料金を払う、と電話したら「当方のミスですからそれは結構です」と言い、頑として受け取らない。払う、結構です、と、レジ前のオバハンみたいなことをやっていても仕方がないので、ここはありがたく使わせてもらうことにした。得をした、というよりも、気の毒な心持ちのほうが勝ってしまうのである。 200個もあれば、緩衝材には一生困らないンじゃないかな。 |
急ブレーキ
先日の陽気で一気に開花寸前まで行ったものの、その後の冷え込みで急ブレーキがかかってしまった桜の蕾である。昨年同時期と比較すれば、明らかに今年のほうが開花に近い姿ではある。が、この天候では今月中の開花は無理だろう。 この冬の雪は、積った回数こそ少なかったけれども、質が大変悪く近年にない重い雪であった。すでに老木であるウチの桜は、ひどく枝が折れてずいぶんと傷んでしまった。それでも健気に開花しようとしている。 毎春、桜の花には勇気づけれらるのである。 |
真冬並み
20日に「暑さ寒さも彼岸まで」などと書いたら、その日以降、今度は異様に寒くなってしまった。24日の最高気温は10℃、風が非常に強く体感温度はさらに低い。真冬並みである。 28日頃にはさらに寒くなり、週間予報では当地に雪マークがついている。要らんのである。お彼岸が終わったらタイヤ交換しようと考えていたけれども、これでは来月まで待ったほうがヨイようだ。 春本番がすぐそこに見えていて、なかなかやって来ないのだった。 |
AD圧勝
「柴田南雄 / 合唱のためのシアター・ピース」ADバージョン(日ビクター
SJX-1164〜5)のレコパックもどきクリーニングも全面完了。少なからぬ期待感を持って聴いた。3年ぶりである。 3年前、友達持参のものを聴かせてもらった時と、まったく同様の印象である。明らかにCDを上回っている。音にツッパリ感がなく非常にスムーズだ。CDではキツさと聴こえる男性ボーカルのfffも、ADでは生声にあるべき鋭さとして聴くことができる。情報量の差も圧倒的で、音場が一回りも二回りも広く深くなる。音の良さが嬉しくて、一気に全4面を聴いてしまった。 やはり拙箱船のオーディオ環境では、AD圧勝である。 |
全国行脚 '09
今年も行ってきました、「神保彰ワンマンオーケストラ ドラムからくり全国行脚2009」、福知山ライブ。2007年から3年連続である。ドラムバカ親子3人で連れ立って。 このツアーは、2月28日に始まり7月12日に終わる。その間、全国90都市99会場でのライブが予定されるという、おそろしくハードなものである。神保さん大丈夫か。「早寝早起き、よく食べよく寝る。これさえ守れば大丈夫です」とは、ご自身のお言葉である。さすが、プロだ。 演奏が素晴らしかったのはもちろん、それに先立って行われた「ドラム・クリニック」がまた良かった。神保さんのドラム観、練習方法、セットの組み方、チューニングのコツ、など、1時間の予定を大幅に超えてアドバイスがあった。実に勉強になりました。 昨年同様、「来年も、必ず来ます」と、力強い約束あり。神保さんが福知山へ来てくれる限り、僕は欠かさず聴きに行こうと、思う。 長いツアー道中の無事を、心から祈りたい。 |
ADバージョン
「柴田南雄 / 合唱のためのシアター・ピース」(日ビクター
VICG-40106〜7)。長岡先生によってCD(2枚組である)が紹介されたのは1996年である。FMfan'96年第17号('96年7月24日発売号)ダイナミックソフトに掲載されている。 評価は非常に高い。「まれに見る優秀録音、完ぺきなサラウンド、驚異的に広大な3次元音場、再生は難しい」と。記事を読んだ後、大喜びですぐに買った。 評価に違わず、素晴らしい音場感である。ただし「再生は難しい」という文言はまさにその通りであって、箱船システムがこのソフトの良さを十全に引き出せているかどうかは、極めて疑問であった。それは今も変わらない。 3年前、関東在住の友達が「こんなADがある」と持ってきてくれたのが、上記CDのアナログバージョンであった。恥ずかしながら、同AD(日ビクター SJX-1164〜5)が出ていたとは、寡聞にして不知。その時までまったく知らなかった。 試聴させてもらうと、明らかにCDより音が良い。CDでは、音に一種独特の生硬さが乗る。特にボーカルにおいてその傾向が強く、声をぐーんと張り上げる部分では少々苦しい感じだった。それがADにはないのである。非常にキメが細かく、しなやかでキツさがない。レンジも上下ともに伸びているように聴こえる。音場感もより広く自然である。 これは良いレコードだと、すぐに欲しくなったがとっくの昔に廃盤である。中古を探すもなかなか見つからない。出れば絶対買いだと、狙い続けること3年間。ようやく手に入れることができた。これも友達とのありがたいご縁によるものである。Tさん、Sさん、ありがとうございました。 純然たる中古盤である。状態は、極めて良好だ。盤面、センターホール周辺の様子、内袋の傷みの少なさ、等から推測するに、ほとんど聴かれていない様子。ジャケット傷みも皆無に近く、写真の通りオビも付いている。新盤同様と言ってよいと思う。 盤そのものはキレイだが、埃が多い。ので、先ずは例によって自作レコパックもどきをぶちかまし、クリーニング完了後、3年ぶりのADバージョンを聴いてみたい。 システムに変更があった今、どのように鳴るのだろうか。 |
お彼岸中日
昨日までの3日間、当地の最高気温は24℃〜25℃と、3月としては異様な暖かさであった。「三寒四温」というけれど、こうなると「温」ではなくて「暑」という感じだ。 こんなことが続くわけもなく、今日は一気に寒くなった。最高気温11℃。前日比−14℃である。真冬の11℃よりずっと寒く感じる。その寒さの中、20日は恒例のお彼岸供養会であった。 昨秋の変わらず、50名ほどのお参りをいただき、おかげさまで盛会裏に、無事終えることができた。昨日までのような陽気であったならば、本堂も暖房なしで快適だったに違いない。今日はダルマストーブを2台焚いても、まだ寒かった。広く天井の高い本堂は、暖房効率最低である。まあしかし、暑さ寒さも彼岸まで。これからは、確実に春へ遷って行くだろう。 山にはコブシが咲き、ウグイスも鳴き始めている。 |
漫画大好き
どこかの国のエラい人、ほどではないかもしれないが、僕は漫画が大好きである。但し、週刊誌派である。よほど気に入った作品でない限り、単行本は滅多に買わない。 何年ぶりかにその「よほど気に入った作品」が現れ、単行本の発行を心待ちにして買ったのが、上の写真である。 「侍たちの宴」(原作:山手樹一郎、作画:神江里見 小学館 ISBN978-4-09-182204-8)。小学館の長寿漫画雑誌「ビッグコミック」の増刊である「ビッグコミック 1」に連載されていた作品の単行本である。 オビに曰く「若き侍たちの清冽な生き様を描く、感動の本格時代劇」と。この作品は、泣けます。ご一読を、大いにお薦めしたいのである。ストーリーはもちろんだが、登場する侍たちのセリフ回しが実によい。今やすっかり失われた、美しい日本の話し言葉を堪能できる。 原作者、山手樹一郎の時代小説作品で、最も有名であるのは「桃太郎侍」だろう。最後の見せ場で「ひとつ、人の世の生き血を啜り…」と見得を切る、アレだ。この作家の作品は、いずれも読後の爽快感が抜群である。それは漫画化されてもまったく失われていない。TV版「桃太郎」に見える単純明解な勧善懲悪ストーリーにも堕しておらず、大人の鑑賞に充分堪え得る、優れた漫画だと思う。 残念ながら「ビッグコミック 1」は、今月発売号を以って休刊となってしまった。定期的に読むことは叶わなくなったけれども、来月には第二巻(おそらく、最終巻)が出るそうだから、それを楽しみにしておくのである。 不定期でもいいから、本誌のほうで続けてくれんかなあ。 |
使ってナンボ
カートリッジの話題となると、いつも同じような写真になってしまうことを、どうかご容赦願いたいのである。イマジネイションのヒンコンであります。 磨き終わったターンテーブルプラッタも無事復帰、引き続きMC-L1000を聴いている。先日の聴き始めに比べて、ずいぶんとスムーズでトゲのない音に変わってきたように感じられる。永く休ませていた所為で、当初はサスペンションの動きが悪かったのかもしれない。 古いカートリッジで強烈な音が入っているレコードを再生するのは、ある意味怖くもあり、しかしそれをやらないと目が醒めない、ということもある。カートリッジなんか使ってナンボ、怖がっていつまでも目の醒めない音を聴いているのも馬鹿馬鹿しい。切れたその時がこのMC-L1000の天命だと、オルガンやら打楽器やら叫び声やら、強烈なヤツをガンガン聴く。 今のところいささかの危機感もなく、健全に鳴っている。音も良くなった。いよいよMC-L1000本領発揮、という感じである。 但し、危険なことに変わりはないと思う。僕はこのカートリッジが断線する瞬間を、2度経験している。何の前触れもなく、突然片チャンネルの音が消えた。それっきり、である。そうなる可能性は、かなり高い。 けれども、使って使って使い切って断線したならば、それはそれで結構なことだと思う。普段は大事に神棚へ祀っておいて、いざ聴いてみたら切れていた。そんなのは悲しいのである。 どんどん行きましょう。 |
サクラサク
15日からの曜日表示が誤っており、大変失礼致しました。「とても暖かな日曜日」って、完全にボケております。お詫びして、訂正いたします。 さて、今日は3月17日の火曜日であった。愚息2号にとっては、極めて重要な日だ。6日に受けた公立高等学校入学試験の、合否発表があったのである。 愚息の入試結果を待つのは、2年前の1号に続いて2回目だ。やはりドキドキするのである。午前9時過ぎ、本人から電話がかかる。「受かった」。はうー。ヨカッタヨカッタ。 1号は、自宅から最も近い学校を選んで通っている。自転車で10分。2号は「兄と同じ学校では面白くない」と、隣町の学校を選んだ。汽車(電車、ではナイ)通学になる。それぞれに思うところあって自ずからの選択だから、親としては言うことなし。先ずは、無事合格したことを喜びたい。 これで1号2号とも、高校生となった。ヤレヤレ。と、思う間もなく、来年は1号の大学受験である。光陰矢の如し。時、人を待たず。 歳も取るはずです。 |
春のお約束
寒かった冬も、いよいよ終りに近づいているようだ。今日の最高気温は16℃まで上がり、とても暖かな日であった。 予報では「晴れ」と発表されていたにもかかわらず、実際には写真にご覧のような、曇天である。天気予報大ハズレ。ではない。実はこれでも「晴れ」ている。雲による「曇り」ではなくて、毎春お約束の、黄砂なのである。砂の向こうは晴天です。 当地で3月中にここまで盛大な黄砂現象が起きるのは、稀だと思う。大概は4月になってからのこと。昔とは何かが変わってきているのだろう。 はっきり言って、曇りよりも鬱陶しい。鼻の奥はムズムズするし、車はドロドロ、家の中にまで入ってくるから始末が悪い。「春の風物詩」と愛でるには、最近の黄砂は少々激しすぎるのである。 明日は今日以上に暖かく、最高気温18℃と予想されている。天気は「晴れ」。その通りに、青空と御天道様のご尊顔を拝することができれば、よいのだが。 「黄金」なら欲しいケド、「黄砂」は要りません。 |
カートリッジ脇の
プラッタは今日も外されたままである。ADは聴けない。さっさと取り付けろ、っちゅうハナシなのであるが。 このターンテーブルは、プラッタがモーターそのものの一部になっている特殊な構造で、下部のハカマ部分内側にはリング状のマグネットが仕込まれている。ある一定の距離までシャフトに近づくと、自分の意思とは関係なく磁力によって強く引き込まれるのである。ぼんやり作業すれば、シャフトを傷めること必定。それなりの覚悟をしてかからないと遺憾。ので、グズグズしているわけだ。 磨きにかかる前、MC-L1000で「MISA ESPIRITUAL」を聴いた。今日はそのお話である。 「きっと壮絶サウンドが聴けるに違いない」と、10日の日誌に書いた。まさにそのとおり。βチタン合金ビスでPH-L1000に固定したMC-L1000で聴くこのADの音は、筆舌に尽し難く。驚異的分解能と恐るべきトランジェントの良さ、音像の明確さリアルさ、音場の広さ。特に、冒頭で鳴り渡るチューブラーベルズのクールで透明感の極めて高い音は、他ではちょっと聴けない。まさしく、MC-L1000その音である。 今回、改めて強く感じたこと。βチタン合金ビスの最も優れた点は、それぞれのカートリッジの個性、能力を、最大限引き出せるところにある。軽く、小さく、目立たず、一見何でもないようなパーツだが、その影響力は極めて大きい。 カートリッジ脇の力持ち。 |
励めること
年度末に加え、お彼岸も近くなり、いささかオツトメ繁忙である。すべてのお役目を終え、時計を見たら午前様であった。ヤレヤレ。けれども、苦しくはない。元気で励めることは、とても良いことなのだ。 但し、今日のオーディオネタは、まったくありません。昨日磨いたプラッタも、外したママである。まあ、この冬は死ぬほどADを聴いたから、ヨイのである。 明日も、励みましょう。 |
プラッタ磨き
昨年末からADばかり聴いていて、ふと気が付けばターンテーブルプラッタのエッジがずいぶんと汚れている。盤を置く時取る時、気をつけていてもつい触ってしまうのである。 多少汚れていても、音にはほとんど影響なし。たぶんゼンゼン問題ないと思う。けれども、一度気になりだしたらモウダメダ。何年かぶりに、プラッタ外して磨くことにした。滅多にない機会である。エッジだけ磨いて終りにするのも勿体無いから、ピカールで全面研磨する。 汚れは思ったほどしつこくなく、さほどヒッシにならずとも綺麗になった。DHK(大日本偏執的研磨党)自称総裁の名が泣きそうだが、只今指に傷を持つ身としてはこれくらいでちょうど好し。一皮剥けてピカピカになれば、やはり気持ちが良いのである。 これでまた、安心してAD聴けます。 |
年度末
年度末の重要な行事が一つ、無事に終って心の底から安堵している。但し、来月初頭には年度始めの重要行事を控えているから、あまりほっとしているヒマはないのだが。 毎年やることは変わらないわけで、長くやれば少しは段取り良く準備を進められるように、なりそうなものである。ところが然に非ず。何度やってもスマートに行かない。直前になってなお、慌てふためくのが恒例のようになっている。 世の中には、物事の準備を抜かりなく、しかも手際よく進められる人がいる。僕からすれば、羨ましい限りである。あんなふうに出来ればどんなにか良いだろうと、思うけれども僕には無理だ。はっきり言って、これは才能です。 そのように出来ようが出来まいが、得手だろうが不得手だろうが、やるべきことはやらにゃならん。それが僕の義務であり、オツトメなのである。 ここを乗り切った頃には、本物の春がやってくる。 |
往生
昨年の今頃は、長い休載状態の真っ最中だった。早くも1年経ったのか。あの時は、兎にも角にも体調が悪く、気力が著しく減退し、とても苦しかった。20代30代にはまったく無かったことである。僕はもう死ぬかと思いました。 ご覧の通り、どうやら死なずに済んで生きている。あの体験で、老境に至る苦しみが多少なりとも分かったような気がする。体のどこも悪くないのに、何となくシンドイ。気分が高揚しない。憂鬱である。面白くない。老いの悲しみとは、その辺りにあるのではないか、と。 何にでも興味を持ち、好奇心旺盛で面白がり。好きなことなら何でもすぐやる。死ぬ直前までそのようにあって、次の瞬間ポクッと逝く。なんてえ往生を遂げられたら、と思う。 そう思えば、長岡先生はこれに近い去り様であった。亡くなる月の初めまで若え衆と工作に励み、同じ月の末には逝って了われました。 さすがである。 |
速い
βチタン合金ビスに換装したMC-L1000の音は、一頭地を抜く凄みのあるものだった。総合的にはEminentやHELIKONに劣るかもしれないけれども、それらにはない大きな魅力があるのも事実である。 基本的には昨年12月28日の日誌に書いた通りの音である。それに加え、さらにスピード感が上がったように聴こえる。もうこれ以上速い音はないンじゃなかろうかと、思えるほど。かと言ってギスギスと痩せているわけではない。明らかにSUSキャップビスを上回る音である。 今回もβチタン合金ビスは、ベリー・グッドと出た。この音を聴いて、他のビスを使うことは考えられない。MC-L1000も、コレで決まり、である。 今のところ、LPレコードを2枚ほど聴いただけ。3日に載せたレコードは未聴である。きっと壮絶サウンドが聴けるに違いない。ワクワクするのである。 サウンドマニアの本性丸出し。 |
眤と眺めて
友達から、またまたアルミナセラミックスブロックをもらった。今回のものは、115mm×90mm×45mmの直方体の中央に、65mm×40mm×45mmの穴がくりぬかれた「ロ」の字型ブロックである。実測重量1,360g。ずっしりと、重い。 すべての稜線が細く面取りしてあり、欠けもなくとても美しい。元々の用途は、例によって不明。タダモノではなさそうな、一種独特の高級感が漂っている。 これを何に使うか。今のところまったく思いつかない。けれどもこの形、如何にも有用そうに見えるのである。眤と眺めていれば、そのうちきっと良いアイデアが出てくるはず。 ムクマニアの僕には、ヒジョーに魅力的なものである。 |
プロセス
どうやら傷口はくっついて、少し痛みはあるもののドライバーくらいなら回せるようになった。ので、先日から気になっていたMC-L1000の取り付けネジのβチタン合金ビス交換を実施した。 これまでの実験では、好ましからぬ方向へ変化したケースはなかった。ベリー・グッドである。そうでなくとも僕は馬鹿でスケベだから、当然今回の交換にも大いに期待するわけである。 だが、冷静に考えれば、やってみないことには何もわからないのだ。期待通りの良き変化があるかもしれず、ひょっとしたらバランスが崩れてとんでもない音になるかもしれない。 いずれにしても何らかの違いは現れるはずで、そこを知るのも期待のうち、ということになるのである。オーディオの楽しみは良い音を聴くことのみに非ず。そこへ到達するプロセスそのものもまた、大きな楽しみだと、僕は考える。 メンドクサイ億劫だ手間がかかる、などと文句を言いながら、思えば僕は二十数年にわたってプロセスを楽しんでいるのである。 気の長い話だと、思う。 |
本来の用途
レコパックもどきの溶剤用、或いは接点や金属研磨後の洗浄用として常備している、エタノールである。それがここ数日は、ケガの消毒用として活躍している。本来の用途に立ち戻ったわけだ。 殺菌力はなかなかのものである。例えばウチにはネコがいる。うっかり引っ掻かれた時でも、すぐにこれで消毒しておけばほとんど腫れず、もちろん化膿もなく治ってしまう。ネコの爪はバイキンだらけだから、放置するとひどいことになるのである。 SUS板で負ったケガも、痛いのをガマンしてキズを押し開きエタノールを流し込んで洗浄、バンソーコウを貼りかえるたびに洗浄、おかげで直りが早そうである。 自作派に工具類は必須、同時にバンソーコウと消毒薬も常備しておくべきだと、思う。ケガしないように注意するのが最善の策だが、なかなかそうも行かないから、次善の策として。エタノールとバンソウーコウで治る程度のケガで済んだなら、幸いと言うべきだ。 作業再開までは、もう少し時間がかかりそうだが。 |
ケガする人
自作指掛け第三作目にかかろうとして、作業が止まっている。イヤになってしまった、わけではゼンゼンなくて、やりたくてもやれないのである。 実は、ケガしました。やっちまったなあ。右手人差し指の先っちょを、SUS板のエッジで切ってしまった。自分は粗忽者だから功を焦るとケガするぞ気をつけろと、言い聞かせながら、気が付いたらすっぱりやってしまいました。アホ丸出しである。 指先は神経が集中しているのか、ヒジョーに痛い。大したキズでもないわりに出血が多く、止まりにくい。残念。しばらくは作業中断やむなし、だ。 工作中の負傷履歴はけっこうある。ハンダゴテ使用中に手元が狂い手の甲に押し付け、大ヤケドした。融けたハンダを掌で受けたら焼けた。ヤスリで手を削った。カナヅチで指打った。カッターで切った。ベニヤ板を足の上に落とした。ケーブル引っ掛けてコケた。木ネジ踏んだ。クギ踏んだ。ネコ踏んだ。鉛蹴ってドジ踏んだ。でも、死なずに生きている。 これだけやって、なおケガするのだから、よほどの馬鹿である。これを最後にもうしないか。たぶん、またやります。 同じようなこと、何時かも書いたなあ。 |
1986年でした
2日の日誌で触れたオーディオ・テクニカのPC-OCCシェルリード、AT6101の正しい初出はいつだったか。どうも僕は、こういうツマランことが気になって仕方がない性分なのである。別件で探し物があったついでに、発売当時のカタログを見つけて調べてみた。 発売年月日の記載はないけれども、カタログ裏の末尾に「このカタログの掲載内容は1986年6月現在のものです」とある。1987年ごろ、と思っていたら、少なくとも1986年6月には発売されていたのである。23年前! 当時の価格は1,000円。今も変わらない。23年間、値上げされていないのだ。これは凄いことだと、思う。オーディオ・テクニカだからこそ、可能なのではないか。 一緒に掲載されているPC-OCCピンケーブルAT6110、スピーカーケーブルAT6120、AL-OCC(PC-OCCのアルミ版)シェルリードAT6100、これらはディスコンとなって久しい。生き残ったのはAT6110だけである。 AT6100以外、当時のPC-OCCケーブルは使ったことがある。ピンケーブルもスピーカーケーブルも、高域に独特のキャラクターがあって、個人的にはイマイチ。長続きしなかった。AT6101にはそれがなく、23年経った今もファンである。 カタログには下記のようなくだりがある。 「1本の伝送ケーブルが音の次元を変える。それはもう、不思議なことではないのです」 時代ですなあ。 |
本当に欲しいもの
βチタン合金ビスを求めるに利用している、ネジ専門店WiLCOのカタログである。初めて利用したのは2004年7月、純チタンM5キャップスクリューを買った時だった。 写真のカタログはその時にもらったものである。2003年版となっている。ここにはβチタン合金ネジの記載はない。誰もが容易に買える一般的な製品としては、まだ世に出ていなかったのである。いつカタログアップされたのか、僕は寡聞にして不知だが、少なくとも5年前には入手不可能なネジだったわけである。 樹脂系ネジも、今はずいぶんと種類が増えているようだ。ネジの世界も常に進化し続けている。しかも、かなり特殊なタイプまで容易に入手できる時代である。スピーカー自作を始めた二十数年前、一般人には鉄製キャップスクリューすら特別なものだった。当地ではまったく買えず、大阪日本橋のネジ専門店「ナニワネジ」まで買出しに行ったことが懐かしく思われるのである。 現在、非常に充実しているカタログだが、その一方でどうしても手に入らないものも、あるのだ。長さ15mmを超えるβチタン合金製M2.6+ナベネジ。同じく、M2.6キャップスクリュー。同じく、M2.6六角ナット。WiLCOに限らず、これらの製品がどうやっても見つからない。 M2.6ビスがあるのだから、ナットもありそうなもの。ところが、ありません。ほとんどのバヤイ、M3までか、或いはM2.6を飛び越してM2以下になってしまう。需要が少ないこと、M2.6ネジがJIS規格から外れていること、などが主な因だと聞く。けれども、ビスがあるンだったらナットも作ってくださいよと、言いたくなるのである。 本当に欲しいものを手に入れるのは、いつも難しい。 |
テストレコード
この2ヶ月、これまでにないほど集中的にADを聴いた。試聴ソフトの選び方に、決まりはまったくない。その時々に思いついたものを、手当たり次第聴くだけ。極めて雑駁である。 そうではあっても、これだけは必ず聴く、というものは幾つかある。そのうちの1枚が上の写真。以前にも載せたことがあるタイトル「MISA ESPIRITUAL / AIRTO'S BRAZILIAN MASS」(独harmonia mundi HM663)である。 これはヒジョーに面白いレコードだ。高域の分解能、トランジェント、情報量、伸び、切れ、透明感、明瞭度などを見るに、最適である。同時に、シェルを含めたアーム全体の調整グワイを確かめるにも適している。どこかに僅かでも不グワイがあれば、忽ち高域が歪んでしまうのである。逆に、すべてが上手く決まった時の音、それはもう言葉にできないほど素晴らしい。 βチタン合金ビスを使い始めて、高域の最も違いがよく分かったのはこのレコードである。はっきり言って、最高。キツさが消え去り、打楽器本来の鋭さ、切れの良さだけが浮き上がってくるのである。分解能が大幅に向上し、音場感もぐんと良くなる。リアルの極致である。 但し、音の好みは十人十色、オーディオ環境は千差万別。拙箱船で良い結果が出たからと言って、一概に「βチタン合金ビス最高」とは決められない。このレコードに限らず、ADをソフトでウォームに聴きたい人も、必ずいるのだ。 だからこそ、オーディオは、面白い。 |
安価で高品位
手持ちカートリッジを聴くに、最も多く使ったシェルリードはオーディオ・テクニカのAT6101である。上の写真がそれ。使い古してリタイヤしたものだから、いささかくたびれている。 初出は、たぶん1987年ごろではなかったかと思う。今では珍しくもなくなったPC-OCCのハシリである。現在も立派な現行品、恐るべきロングセラーだ。4本セットで税込1,050円。実際にはそれ以下で買える。 僕は発売当時からこのリード線のファンである。リタイヤしたものも含めると10セット以上あるはず。思えば20年以上も使っていることになる。 音だけで比較するならば、現在これを超えるものはいくらもあるだろう。例えばMy Sonic LabのMR-Rh1などは非常に優秀である。但し、価格は実売でもAT6101の4倍くらいになる。 使ったことはないけれども、もっと高価なものもある。2,500円か、へえ、わりと安いな、と思ってよく見たらゼロを1個見落としていた、とか。これは特例的な高級品だが、今やシェルリードも7,000円8,000円アタリマエ、という感じだ。 そう考えると、AT6101は超ハイCPである。他のものが高価なのではなく、おそらくAT6101が異常に安いのだろうと思う。1,000円以下で、これだけ作りがしっかりしていて、しかも音も良い。こんなリード線は他にありません。 どちらかといえばハード系になるけれども、明瞭で透明感に優れ、雑味が少なくスピード感のある音は僕の好みである。同社のカートリッジとの相性が良いのはもちろん、SAEC C3やビクターMC-L10ともマッチングが良い。安くて質の高いものが次々と絶滅してゆく昨今、この存在は極めて貴重だ。 是非とも生き残って欲しい製品である。 |
二作目
春の声が聞こえ始める3月になった。月が変わっても、やることはちっとも変わらないのである。 SUS板1回の裁断で、見事ずっこけてしまった某国製498円金切鋏にはさっさと見切りをつけ、国産3,000円クラスのものを買い込んだ。これを以って指掛け第二作目に挑戦である。 さすが名のある国内メーカー製、栄光のMADE IN JAPAN。次元の違う切れ味である。裁断後の刃先崩れもまったくなし。本来はこれがアタリマエなのだ。 切れ味が良ければ細かな作業も可能になって、カートリッジ取り付き部と指掛け部の形状をオリジナル相似に切り出すことができた。蔵から探し出したミニ万力のおかげでヤスリがけの精度も上がり、一作目に比較すればややマシなものができた、ように思われる。 写真、上が一作目、中が二作目、下はSAECオリジナルである。一作目、こりゃヒドイ。自分で作っておきながら、思わず笑ってしまいました。なんだこれは、である。 二作目は、まあ、見られなくもない、か。けれどもまだまだである。穴が歪んでいるし、やはりキズが多い。指掛け部の曲げが甘く、シャープさに欠ける。裁断時の歪みも残っている。ヘタクソ自作丸出し。 工作名人の友達から、早速アドバイスがあった。それはもう懇切丁寧、微に入り細を穿つものであって、なるほどそうだったのかと、膝を打つこと頻りの助言である。名人曰く「手持ちの道具をどう活用するかがポイント」と。単一目的のように見える道具も、工夫次第で如何様にも活かせる。この言葉は、深い。 名人の言をしっかり踏まえ、三作目へ進むのである。 |