箱船航海日誌 2008年12月
日々雑感、出来事などを思いつきに任せて綴っていこう
回顧と御礼
カートリッジに呆けているうち、2008年の大晦日が来てしまった。例年に倣い、この1年をふり返ってみたい。 まず、オーディオである。ハードには昨年からまったく変更なし。だが、音は変わった。スーパーネッシーMkIIのこなれグワイが進み、トゲトゲしさが減ってずいぶんスムーズになった。かなりいいところまで来たと思う。と言って、未だ完璧ではないだろう。今後も音は変わって行くはず。ともかくは悪い方向へは行っていないことを、素直に喜びたい。 今年は、アクセサリー関係の実験が多かった。年頭はケーブルの試聴に忙しかったし、初夏からはレコパックもどき実験に専らとなった。どちらも僕にとっては大きな実益あり。これまでにやったスカタンな実験とは違って、ヒジョーに有意義なものだったと感じている。 秋遅くになって始まったアルミナプレート実験。これまた大成功。喜びすぎて勢いづいて、保有カートリッジ総まくり、みたいになってしまったのは、今月の日誌にご覧の通り。これは来年になってもしばらく続きそうなグワイである。AD再生の面白さ、難しさ、楽しさを、改めて発見できた実験であった。 それもこれも、得難いご縁を結べた友達からの強力な支援があったればこそ、実現できたものである。有体に言ってしまえば、僕はほとんど何もしていない感じ。まったく以っておかげさまである。ご縁の有難さに、しみじみと感じ入るのだった。ありがとうございました。 2008年のわがwebページは、いささか情けない状況であった。「(日誌だけ)毎日更新」の看板を掲げながら、年間休載数は48回にのぼった。休載率13%強。過去最多にして最悪である。これでは遺憾と反省頻り、2006年を思い起こし、2009年は365日皆勤を目指したいと考えている。 それでもなお、17万件以上という沢山のご閲覧をいただけたことに、心から感謝申し上げねばならない。本当にありがとうございました。 例によって、愚の如く継続するばかりではございますが、来たる2009年も「船長の戯言」を、何卒よろしくお願い申し上げます。 良きお正月を、お迎えください。 |
大拍手
お見事である。何年かぶりに聴くこのカートリッジの音は、実に素晴らしいものだった。 方向性は、正しくMC-L1000に同じ。高分解能ハイスピードタイプである。ほんの僅か、音の輝きと解像度に甘さがあるようにも聴こえるけれど、劣る、というほどのものではない。針の直近にコイルを置いた「ダイレクト・カップル方式」の良さは充分すぎるほど感じられ、これほどの鮮度とリアル感を出すカートリッジは、今でも容易には見つからないのではないかと思う。 何を聴いても活き活きと、朗々と鳴り、実に爽快痛快である。古ぼけた感じは皆無、僕は聴いていて元気が出てきました。太古の製品だが、音は極めて若々しいのである。余計なことかと思いつつも書いてしまおう。状態の良い中古があれば、絶対買い、だ。 以前に聴いた時には、こんな感じはなかったような気がする。やはりシステムの違いによるものか、或いは、今回もアルミナプレートが大きな効果を発揮しているのかもしれない。いずれにしても、これほどの音で鳴るとは、大いに予想外であった。 今夜はMC-L10に、大拍手である。 |
前身
MC-L1000の音に感激して、このモデルも聴きたくなった。MC-L10である。ビクターが開発した「ダイレクト・カップル方式」カートリッジMC-1に続く第二作目にして、MC-L1000の前身である。 写真はアルミナプレートとともにAT-LH13へ取り付けたところ。ネジは例によってSUSキャップビスを使う。長さは10mm。L10はわりと大型で、後方のネジ穴を使ってもシェルからハミ出してしまう。いささか不本意ではあるけれども、致し方なし。実測重量27.01g。アルミナプレートの使用を前提としたバヤイ、LH13より重いシェルでは厳しいと思う。 以前、AT-LH18との組み合わせ(アルミナプレートなし)で聴いた時の印象では、L1000と同じ方向性を持ってはいるものの、情報量がやや少なく、華麗に散乱する感じが抑えられているように感じた。今回はどのように聴こえるのか、とても楽しみである。尤も、他の装置もずいぶんと変わっているから、単純に同列比較できないことは、重々承知の上である。 12月の日誌は、アナログフェアみたいになってしまいました。 |
余人を以って代え難し
音が出た瞬間、あっと叫んでしまったMC-L1000である。「余人を以って代え難い」という慣用句そのまま、このバヤイだと「余カートリッジを以って代え難い」とでも言うべきか。 全域に渡ってトランジェント最高。低域はタイトに締まってしかも色彩感が豊かである。ボーカル帯域の通りと鮮明感、生々しさは比類がない。殊に中高域から高域にかけての高い分解能、スピード感と抜けの良さは、このカートリッジでしか聴けない。空間を切り裂くように音が飛び散るさまは、まさに圧巻である。 音像はカチッとまとまっていて、極めて広く三次元的に再現される見通しの良い音場に、実物大で定位する。リアルさの極致。細かな音の再現性が優れているのだろう。先日から何度も聴いているようなレコードでも、ギョッとさせられる瞬間が何度もあった。 一般的にはサウンドマニア向け最右翼のように言われるけれども、僕はそうは思わない。音楽ファンが聴いても、この音には間違いなく感嘆の声を上げるだろう。本当に凄い音ですから。 良い意味で、非常にエキセントリックなカートリッジである。久しぶりに聴いて、その感を大いに強くしたのだった。天下の大企業ビクターが、このようなモノを作っていたのである。 良い時代だったンだなあ。 |
ヘビー級
今夜はMC-L1000の取り付けネジを換え、鳴らすところまで行く、つもりだったものが、何だか段取りが悪くてネジを換えただけで真夜中になってしまった。 ネジ長14mmは、ナットから突出することもなくピッタリだった。締まりグワイはもちろん上々で、これまでよりもずっと強固に取り付けられたと思う。但し、これが良いことか悪いことか、単純には判断できない。力任せに締めりゃア良い、というものでもないのである。 実測総重量27.73g。eminent+PH-L1000に比べてちょうど2g重い。この差は主にカートリッジ自重の違いに拠るものである。eminentの自重は9g、MC-L1000は10.5g。残りの0.5gは、取り付けネジの重量差(eminent 10mm、L1000 14mm)だと思われる。こうしてみるとMC-L1000は、ヘビー級カートリッジなのである。 明晩は、聴いてみよう。 |
未だファン多し
MC-Rohmannのネジ交換に続き、今度はMC-L1000にも手を出すのだった。現状、真鍮マイナスネジで取り付けてある。これを例によって、キャップビスに交換しようというわけだ。アルミナプレートを追加したART2000のバヤイと同じく、14mmがちょうどグワイの好い長さになる。 MC-L1000のベース部、PH-L1000のフィンガーチップ部、共にネジは切られていないタイプだから、ビスだけでなくナットも必要になる。確かM2.6のステンレスナットが備蓄にあったはず。それを使えば問題ない。 改めてMC-L1000のことを考える。初出から23年以上、生産完了してからでも15〜16年経つにもかかわらず、未だこのカートリッジの熱烈ファンは多い。長岡先生の特薦機にして、終生リファレンスとして使われたことも大きな影響を与えているのだろうけれども、人気が衰えない最大の理由はやはり、その音にあると、僕は思う。 驚異的な分解能、恐るべきトランジェントの良さ、渺々たる音場感、圧倒的な生々しさ。ひとたび聴けば二度と忘れ得ない、超ハイスピードHi-Fiサウンドである。超高級機を含めた現在入手可能なカートリッジの中にも、このような音を実現するものは、おそらくないのではないかと思われる。個性突出した、極めて優秀なカートリッジである。 但し、欠点がないわけではない。セッティングには非常に敏感で、いい加減な調整ではマトモな音にならないことがある。具体的には、ある特定の帯域でひどく歪みっぽくなったり、トラッキング能力が著しく低下したり。ソフトを選ぶ傾向も強く、ある意味使いにくいカートリッジでもあるわけだ。 写真のものは、1991年7月に購入した個体である。17年以上経過している。さすがに経年劣化は如何ともし難く、最良セッティングの許容範囲が極めて狭くなってしまっている。それでもなお、上手く嵌ったときの音は凄い。今尚熱烈ファンが多いことを、納得させるに充分な音なのである。 僕自身、終生このカートリッジのファンであり続けるだろう。 |
どんどん聴け
多くのカートリッジを持っていながら、通常使うのはほとんど一つに固定している。例えば、eminentである。音が良いことがその最大の理由である、と同時に、もう一つ。要するに、無精なのである。カートリッジを換えるのがメンドクサイわけだ。 けれども今回、アルミナプレート追加実験で大幅に質が向上したART2000、ネジを交換した勢いで聴いたMC-Rohmann。これらに刺激され、他のカートリッジも聴いてみたくなったのだった。 MC-L10、L1000は久しく鳴らしていないし、写真中1時半の位置にあるオルトフォン Eric Rohmann SIGNATUREなどは、ほとんど聴かないまま沈黙しているのである。ここには写っていないSAEC C-3、エクセル C-3IIも永く聴いていない。 交換が面倒だと言っても、リード線直付けのストレートアームに比べればぐんとラクチン。どんどん換えてどんどん聴くべし。きっと新たな発見が、あるはずだ。 そのための、ユニバーサルアームなのだから。 |
静寂
深い青色のボディに白い刻印。上品なディザインだと、僕は思うがこれも好みの分かれるところ。個人的には気に入っている。何年かぶりに聴いたMC-Rohmannの音には、思うところが多くあって面白かった。 針を盤面に落とし、ボリュームを上げてまず最初に感じるのは、極めて静かであること。スクラッチノイズ極少である。この静かさはeminentをも上回っている。以前から聴き知っているはずだが、改めて驚いてしまった。これほど静かなカートリッジ、他にはちょっと無いンじゃなかろうか。 標準針圧は2.5gと重めである。トラッキング能力は極めて高く、M&Kのオルガンもまったく危なげなく楽々クリアする。ローコンプライアンスタイプの強さか。 非常に上品で雅な音である。切れは良いしスピード感もある。トランジェントも良い。けれども、どこか上品。コイル、リード線は6N銀線、それからするに如何にも華麗に散乱するような音が出そう、であって実は落ち着いた雰囲気を持っている。銀臭さはまったくない。 とは言っても、おさまりかえった面白味のない音ではない。金属打楽器の強烈な打撃音などを再生すると、硬さ鋭さはきちんと出るし、ボーカルは生々しく歌う。超低域までしっかり伸びて、しかも締りがよい。オーケストラを取り巻く空気感がありありと分かり、非常にリアル。オルガンなどは深々朗々と鳴り渡って気持ちが良い。定位は明確、かつ自然。音場は上下前後左右とも極めて広い。特に前後方向の立体感が際立っている。 音の力、エネルギー感、という点では、eminentに一歩、或いは一歩半譲る。羽目を外してバリバリドカン、というような鳴り方ではなく、節操を保っている感じ。この辺りが、独特の上品さにつながるのかもしれない。 個人的な好みからすると、やや優等生的に過ぎる感は、ある。久しぶりに聴いてみて、このモデルが僕の常用カートリッジになり得なかったそのワケを、再認識したのだった。良し悪し、優劣ではない。あくまでも好みの問題である。 しかしこの音、とても魅力的であることに間違いはない。僕が持っている他のカートリッジでは絶対に聴けない、素晴らしく良い音である。 聴きたいレコードは、たくさんある。 |
MC-Rohmann
ネジにこだわって遊んでいるうち、思い出したことがある。オルトフォン
MC-Rohmannの取り付けネジのグワイについて、である。 12年前に買ったこのカートリッジ、当初からPH-L1000に付けてある。このバヤイ、必要にして充分なネジ長は7-8mm。ところが当時は手許にちょうど好い加減のネジがなく、仕方なしに10mmネジを使ったのだった。 こうすると、ベースネジ穴から下方(写真では上方)に、ネジ部分が約2mm、突出するのである。実用上の問題はないとは思う。けれども、見た目には中途半端でヒジョーに不格好。突出したネジが邪魔して針カバーが正常に装着できなくなるのも、何となく気持ち悪いのである。 18日の日誌に書いたとおり、今なら8mmのキャップビスがある。これを使えばスマートに、しかもさらにガッチリ取り付けることができるわけだ。12年も経ってから気が付くとは、なんともユーチョーというかアホというか。僕らしい間の抜けた話である。こうなったら交換しない手はない。 写真は交換後の様子である。まだホンの少し長いようだが、10mmに比べればずいぶんとスマートになった。締め付けグワイもバッチリである。これくらいなら針カバーも正常にはまるし。理想を言えば7mmネジ、だが、見つけるのが困難(規格にないのかな)、6mmではネジ山の掛かりが少なく心許ない。8mmならまずまず、というべきだろう。 ネジ交換のついでに、音も聴いてみよう。何だかとても久しぶりである。この超高級カートリッジに永年冷飯を食わせるとは、如何にもモッタイナイ。 バチが当るぞ。 |
ネジ交換
ネット上にあるネジ屋さんもいろいろで、それぞれ品揃えが微妙に異なっている。グワイのよい種類、径、長さのものを見つけるには、使い分けが必要だと思う。 今回欲しかったのは、M2.6×14-15mm、SUS製キャップビスである。検索してみると、楽天の中のネジ屋さんにちょうどのものがあった。14mm、15mmとも5本1パックで160円。1本あたり32円と少々高めだが、まあヨシとしよう。オーディオ用として販売されているものよりは、安い。現状使っている真鍮マイナスネジを外し、改めて長さを測ってみると、14mmであった。15mmでも問題なさそうだが、ここは素直に同じ長さで置き換えよう。 ネジ頭の径を実測すると、真鍮ネジ4.0mm、キャップビス4.5mm。キャップビス頭のほうが僅かに大きいわけだ。ART2000にはギリギリで入ったけれども、カートリッジによってはネジ頭が納まるべきざぐり部分につかえ、入らないこともあると思う。 続いて重量を実測。真鍮ネジ1本0.63g、キャップビスは0.69g。後者のほうが1本あたり0.06g重く、2本で0.12gの重量増になる。ネジ交換後の実測総重量26.48g。計算上26.49gになるはずだが、0.01gの違いは秤の誤差範囲だろう。この程度の重量増は、問題ない。 使用感は非常に良く、ガッチリ締まって気持ちが良い。マイナスドライバーでの締め込みは、ドライバーが横滑りしてカンチレバー破壊事故を起こしそうで怖いのである。その点、六角レンチでの締め込みは、絶対事故なし、とは言えないまでも安心感は高い。特に、僕のような粗忽者には。 音はどうか。差はほとんどないようだが、心なしか低域の締りが良くなり、分解能が向上したようにも感じられる。音の屋台骨ががっしりしたような印象である。少なくとも悪い方向への変化ではないから、このまま使うことにする。 締めやすくて嬉しくて、締め過ぎそうになった。危ない危ない。 |
シェイプアップ
約3gの軽量化は効果があり、6.1gの追加オモリを外しても充分バランスが取れるようになった。まずは、よい傾向だと思う。 実際に音を聴いてみる。全体的な印象は変わらず、良い音である。リード線を窮屈に押し込んだデメリットは感じられない。 LH15使用時との違いは、より立ち上がりが軽やかに、より切れが良く鮮明になったこと。音がシェイプアップされ、スタイルが良くなったような印象である。厚み、実在感などは、いささかも殺がれていない。 超低域ハイレベルカッティング盤への対応も問題なし。後半、音溝をコースアウトしてしまったM&Kのオルガンも、無事クリアできた。eminentに比べると、音の崩れがやや多めになるのは致し方なし。カートリッジが元々持つコンプライアンスの違いによる差である。 たった3g、されど3g。1円玉3枚分の差は大きかったわけである。アルミナプレート込みでART2000を使うなら、箱船のAD再生環境ではこの組み合わせがベストのようだ。 次は、取り付けネジを交換してみよう。 |
窮余の一策
つなぐ前のリード線を矯めつ眇めつ、どーやったら上手く行くかと思案して実行した結果が、上の写真である。ヒジョーに窮屈であることを、お分かりいただけるだろうか。 ご覧の通り、リード線にカールを描かせられるだけの充分なスペースが取れない。仕方がないから窮余の一策。コネクターを調整範囲ギリギリまで後退させ、カール部を収納できる最小限の空間を確保する。狭いながらも楽しい我が家、これでなんとかつなぐことができた。ベストとはもちろん言えず、ベターでさえないつなぎ方だとは思えども、これも僕のこだわりだと、自分勝手に納得してしまうのだった。 この状態で、総重量26.37g。LH15使用時(29.35g)から2.98g、ほぼ3gの軽量化が実現したわけだ。26g台前半まで軽くなれば、現状カウンターウエイトのケツに貼ってある6.1g分のタングステンシートが不要になる、はず。これは大きなメリットである。 明日は、LH13での音を聴いてみよう。 |
LH13用
友達から、新しいアルミナプレートが届いた。AT-LH13用に、奥行きを短くしたものである。幅はLH15用と同じく17mm、奥行きが27mmから22mmへ、5mm短縮されている。1枚あたりの実測重量は3.54g。LH15用が4.58gだったから、1.04g軽くなっているわけだ。 早速にもART2000をLH13に付け替えてみる。今回はレギュラータイプではなく、ブラックタイプを使う。DL-103C1を外したくなかったのと、EPA-100MkIIに挿した時のルックスを考えてのことだ。黒いほうが、格好ヨイのである。 アルミナプレートの寸法精度は、前回同様非常に高い。ご覧の通り、とても上手く収まっている。文句なし。おかげさまである。問題は、カートリッジ出力ピンとコネクターが必要以上に近接してしまって、リード線をつなぐのにタイヘン窮屈なこと。 LH13にはカートリッジを固定するためのネジ穴が2組(4つ)切ってある。間隔は5mm。写真では後方(コネクターに近いほう)のネジ穴で固定している。これより5mm前方にあるネジ穴を使えば、リード線をつなぐのも楽々、であるのは重々承知しているのだが、僕はどーしても後方で固定したいのである。 前方で固定すると、カートリッジベースがシェルの前端から1mm程度、ハミ出すのだった。これは絶対イヤだ。接触面積が小さくなるし、見た目にも安定感を欠いてバランスが悪い。経験上、不格好なものは音も不格好になることが多いと承知している。 カートリッジの位置がここに決まったからには、リード線をスムーズにつなぐ道筋を工夫せねば遺憾。接触面積とルックスにこだわるのは結構だけれども、それがためにつなぎ様がグチャグチャになっていては、どうしようもないのである。 功を焦ってリード線をブチ切ったら悲しい。ここはじっくり考えましょう。 |
ネジ
カートリッジをシェルに取り付けるには、ネジが要る。当然である。否、ある方向の音を狙い、ブチルゴムなどでソフトランディングさせる方もいらっしゃるかもしれないから、当然、とは言えない。 一般的にはネジを使うわけである。径/ピッチはM2.6/ISOに統一されている。長さは、シェルとカートリッジべースの厚みに応じて5mm〜20mmくらいのものを使い分けることになる。非常に小さなパーツながらも、これがケッコウ音を変えるから侮れない。 カートリッジやシェルに付属してくるものの多くは、アルミ製マイナスネジである。軽量、という点では買えるけれども、タイトな締め込みと耐久性は望めない。マイナス溝を潰したり、悪くするとネジ山をナメてしまってシェルやカートリッジを傷めることにもなりかねない。実際僕はLH18を1個ダメにしてしまいました。そこまで締めんでもエエ、っちゅう話もあるわけだが、締めたいのだから仕様がないのである。 写真は、マイソニック・ラボのビス・ナットセットSS-9に含まれている、ステンレス製キャップボルトである。長さ6mm、8mm、10mm各2本ずつ。これはなかなか強力で、かなりガッチリ締めることができる。締め易いからと言って調子に乗れば、不グワイを起こすのはアルミと同。 個人的には気に入っていて、HELIKONとeminentにはこれを使っている。理想的には真鍮製、と言いたいところだが、残念ながら真鍮キャップボルトは市場にないのである。特注すれば作ってくれそう。1本ナンボになるかしらん。 今回のアルミナプレート追加実験にもキャップボルトを使いたかった。ところが、最長サイズの10mmでも足りないのである。ART2000をLHシリーズに着けるには、プレートなしでも12mm、追加後は14mm〜15mmが必要。現状、15mmの真鍮マイナスネジで着けてある。 まったく問題なく、良い音で鳴っている。しかし、これは実験である。できるものならキャップボルトも試してみたい。ので、ネジ専門店で調達することにした。 締め過ぎて、壊さんようにせんとイケマセン。 |
欲
アルミナ付きART2000は、ますます好調である。慣性モーメント増大による不グワイは、完全解消とは行かないまでも、調整することで多少は軽減できたようだ。こうなってくると欲が出るもので、できることならより良い環境を実現したいと、考え始めるのである。 僅かでもシェル部分の総重量を減らし、カウンターウエイトへ追加してある6.1gのオモリを外せないか。それにはAT-LH15より軽いヘッドシェルと、小型化したアルミナプレートが必要になる。 そこで登場、ようやく見つかったAT-LH13、である。これを使うことができれば、ヘッドシェルで2gの軽量化が可能になる。加えて、アルミナプレートも小型化されるから、そこでも僅かながら軽くできるわけだ。上手く行けば、総重量を27g程度に抑えられるかもしれない。よい線だと思う。 もちろん、良いことばかりではないわけで、デメリットもある。リード線の取り回しに、問題が発生するおそれあり。LH13はシェル部分が小さいから、少々窮屈なのである。 詳しくは、また後日。 |
盛衰
先週火曜日の時点では行方不明だったAT-LH13のレギュラータイプが、やっと見つかった。気になって仕方がなく、一生懸命に探していたのである。 1991年12月発売の、デンオン(現デノン)DL-103C1を着け、そのまま元箱に仕舞い込んであった。発見が難しいのも尤もである。そんなこと、すっかり忘れてました。 探しついでに、自分はDL-103シリーズをいくつ持っているンだろうと再確認してみた。カッコ内は発売年月である。 DL-103LCII(1986年2月) DL-103SL(1989年11月) DL-103GL(1990年12月) DL-103C1(1991年12月) 以上の4モデルがあった。4つも持っていながらオリジナル103(38年間現行品!)がない、というのもマヌケな僕らしい所業である。このうち、レギュラー製品だったのはLCIIだけ、あとの3モデルは限定バージョンである。個人的に好きなモデルは、シャープで繊細なSLと、豪快でソリッドなC1。LCIIはやや生硬く、GLは少々暗く感じられ、僕の好みとは趣を異にするのだった。 と、知ったようなことを言いながら、4モデルともずいぶん永く聴いていない。だからこそ、LH13も発見できなかったわけだ。もったいないお話である。 C1以降、103シリーズの限定版は1993年10月発売のDL-103FLを最後に、終わっている。1986年(LCII)〜1993年(FL)と言えば、少しばかりズレはするけれども、バブル経済の興隆と崩壊に時期を同じくしているようにも見える。これはおそらく、偶然ではないのだろう。「最後のオーディオ黄金期」と言われるのも、その頃である。 オーディオが、あの頃の活力を取り戻す日は、来るのだろうか。 |
ヤジロベエ
現状、カートリッジ(ART2000)、リード線、取り付けネジ、アルミナプレート込みのヘッドシェル総重量は29.35gである。オルトフォンSPU-G並みのヘビー級だ。 現用トーンアームEPA-100MkIIの適合重量は14.5g〜19.5gとなっていて、これはもう完全にローマス・ハイコンプライアンスタイプのカートリッジ向き、と言えるわけだ。それでも音が良いから、無理して使っている。これまでの経験からすると、トラブルなしに無理が利くのは26g程度までで、そこを超えるとイロイロ厳しくなり、30gを上回ると使えない、という感じである。 29.35gはギリギリの線である。すでに25gの追加オモリ(タングステンシート)をカウンターウエイトに巻きつけていて、それでもバランスせず。さらに6.1g、総計31.1gを付加していることになる。このあたりが限界であることは、実際にADを再生してみれば、すぐに分かるのである。 ジャンルにかかわらず、ごく普通のソースを再生する限りにおいては、何ら問題はない。昨日書いたとおり、非常に良い音である。問題は、超低域がハイレベルでカッティングされているようなAD、或いは、ソリのひどい盤などで顕在化するのである。 例えば、M&K REALTIMEの「The Power And The Glory Vol.1」(RT-114)、B-2「The Bells of St.Anne de Beaupre」後半、20Hz以下が猛烈ハイレベルカッティングされている部分。アーム全体が左右に振られ、針先が音溝をコースアウトしてしまうのである。また、ソリが大きい盤では、アームが跳ね上げられて三段跳びみたいになる。 カウンターウエイト、ヘッド部の質量が大きくなったことで慣性モーメントが増大、一旦上下左右に振られると容易には止まらない。制動が効きにくくなっているわけだ。同じようにつり合ったヤジロベエでも、オモリが軽いか重いか、支点からオモリまでの距離が長いか短いか、などで動き方が変わる。単純化して言えば、そういうリクツである。 これを解決するには、アームに適合する重量まで軽量化することだ。それができないから無理しているわけで、現状での解決方法は、基本的には無いと言える。カートリッジの許容範囲内で針圧を重めに設定するとか、インサイドフォースキャンセラーの効きを弱めにするとか、盤とアームの水平度を偏執的に追い込むとか、幾つかの対症療法はあるものの、根本的解決は不可能だと思う。 まあ、それでもゼンゼン構わない。要するに、この環境ではそーゆー厳しいADを再生しなきゃヨイわけだ。総合的な音は確実に向上したのだから、それを素直に喜ぶが吉。有体に言って、ART2000がこんなに良い音だったことに、大変驚いている。アルミナプレートによって、本来の力が発揮されたのである。 これだから、AD再生はヤメラレナイ。 |
効果絶大
アルミナプレート効果は、絶大であった。おそらく良くなる、少なくとも悪くなることはないだろう、程度に考えていたらまったくの予想外。すべての点において、格段の向上を見たのだった。 淡白な印象が消え失せ、音に深い陰影が出て実在感が大幅に増す。音場の見通しが良くなり透明感向上、細かな音まできれいに分解する。音像がくっきり立って立体感抜群。ヒジョーにリアルだ。「オーディオの音」からいきなり「生音」になった感じ。本来の意味でのHi-Fiサウンドである。 カートリッジ周辺でのエネルギーロスが減った所為か、同じボリューム位置でも音量が上がったように聴こえる。それでいて歪み感もなく、喧しくない。尚更にボリュームを上げたくなるのだった。「馬力、瞬発力、実在感などが向上すれば」という希望的観測は、すべて実現された感じである。この実験は、大成功と言ってよいと思う。 部分的な改善、ではなく、総合的なクオリティが大きく向上する。音に関しては文句なしである。だが、物事すべて一長一短。デメリットは皆無、とは行かないところが、オーディオを難しく、また面白くするのである。AD再生を能くされる方なら、今の状態がどのような問題を惹起するのか、既に見抜いていらっしゃるだろう。 明日は、その辺りについて書いてみたい。 |
バランスせず
アルミナプレートの厚みは2.6mm、プレートなしのバヤイよりも、単純に考えて2.6mm長い取り付けビスが必要になるわけである。ちょうどよい長さのビスがあるのかどうか。永く触っていない小物入れを混ぜくり返した結果、長さぴったりしかも真鍮製という、グワイの好いものが見つかった。 プレートを取り付けた様子は、上の画像の通りである。とても自作とは思えない工作精度で、バッチリ決まっている。シェル奥行き方向に、少しばかり大き目と見るムキもあるかもしれない。プレートとシェルの接触面積をできるだけ大きく取り、シェル鳴きを可能な限り抑えたいという狙いで、意識的にこのサイズで作ってもらったのである。吉と出るか凶と出るか、それは聴いてみないとわからない。 プレートを追加した時の実測重量は29.35g、これはかなりの重量級である。eminent+PH-L1000から見て3.62gの増加になる。この増加分を、既にカウンターウエイトへ巻きつけてある付加ウエイト(タングステンシート)分で賄い、バランスさせることができるのか。 案の定、バランスしないのである。カウンターウエイトを最後退させてもゼロバランスが取れない。針圧(ART2000は1.8g標準)を確保するだけならできないこともないけれど、ウエイトが適正範囲を超えて後方に位置するのは好ましくない。針圧OKでも、トラッキング追従性が著しく劣化するのである。 解決方法は、ヘッドシェル側を軽くするか、付加ウエイトを増やすか、のどちらかである。前者を実行するのは無意味、このバヤイは後者を選択することになる。ウエイトの最後端に、様子を見ながらタングステンシートの切れ端を貼る。6.1g分を追加したところで、ちょうどよい感じになった。シェル側増加分約1.7倍の追加になったわけだ。 前振りが長くなってしまった。音については、また明日。 |
オーソドックスサウンド
ART2000を聴くのは何時ぶりだろうか。しばらく考え込まねばならないほど、久しぶりである。確か以前はPH-L1000に着けて聴いたはず。今回はオーディオテクニカ純正組み合わせ、とも言える、AT-LH15での試聴である。写真の状態で実測重量24.61g。eminent+PH-L1000が同25.73gだから、ほぼ1g軽いことになる。それでも充分重量級と言ってよいと思う。 システム構成が変わった今、改めて聴いても以前受けた印象は変わらない。切れ、トランジェントが良く、クセのないオーソドックスサウンドである。ただ、永くeminentに慣らされた耳には、多少の物足りなさを感じることも否めない。 最も差を感じたのは、音、音像の実在感である。ART2000の鳴り方はかなり淡白である。クセがなく涼やかで、ヒジョーに心地よいのだが、ギョッとさせられる瞬間、というものが、ないような気がする。良くも悪くもオーソドックス。バリバリドッカーン、しかも歪み感なし。みたいな鳴り方が好きな僕としては、もう一息食い足りない部分はある。 この音が、アルミナセラミックスプレートを追加することでどのような変化を見せるか。馬力、瞬発力、実在感などが向上すれば、と、これは僕の自分勝手な希望的観測。悪くなることも充分考えられる。やれば必ず良くなる魔法のような対策、なんかありゃしないのだ。 明日は、プレートを挟んで聴く。 |
切り出された小さなプレート
5日の日誌で触れた「いささかならず興味ひかれる実験」の準備が整った。今回もまたまた、友達の厚意によって実現するものである。毎度毎度、ほんとうにお世話になってしまって、僕はもう感謝の仕様もないのである。ありがとうございます。 その友達から今日届いたのは、ヘッドシェルとカートリッジの間に挟んで使う、アルミナセラミックスプレートである。これを使うことで、音にどのような変化が現れるのか。それが今回の実験、というわけである。 写真にご覧の通りの形状。なんとこの物体、大判(10cm×10cm)のアルミナセラミックス板から、友達の手によって切り出されたものである。しかもご丁寧にも、表面は研磨されていてツルツル。17mm×27mm、2.6mm厚。取り付けネジが入る部分もきれいに切り欠いてある。寸法はすべて、AT-LH15専用として特化させたものである。実測重量4.58g 写真だけでは、どうと言うことのないモノに見えるわけだが、アルミナセラミックスをこのように切り出すのは、容易なことではない。ダイヤモンドカッターが指の直近で超高速回転している。しかも、刃が破裂、或いは資材が割れて飛散するおそれが常時付いて回る。極めて困難、極めて危険な作業になるわけだ。僕などにはゼッタイ不可能な工作を、軽々とやっておしまいになるのだから、ただ驚き恐れ入るばかりなのである。 さて、この実験にはAT-LH15のほかに、当然のことながらカートリッジも必要になる。何を使うか。先ずは音の変化を見るのが目的だから、できるだけクセがなく素直で、しかも環境の変化に敏感なものを使いたい。 選んだのは、ヘッドシェルと同じくオーディオ・テクニカの、ART2000である。極めてオーソドックス、特に突出したところはないけれども、全域に渡ってクセが少なく、反応も速いカートリッジだ。手持ちの中では、今回の実験にかなり適しているのではないかと、思う。 明日は、LH15+ART2000での試聴から、報告したい。 |
ULS-3X
SAEC / ULS-3Xである。先日からしばしば話題にしているアルミナセラミックス、このヘッドシェルはまさに、その素材そのものである。色、質感、ともにほとんど同一だ。 上の写真は、1990年に中古で入手したものである。元箱も取説も付属品もなーんにもナシ、ついでに指掛けもない。有体に言って、ジャンク寸前である。けれども、カートリッジは正常に取り付けられるし、トーンアームへの装着も問題ない。いくらで譲ってもらったか明確な記憶がないのだが、ずいぶん安かったような気がする。 取説がないから正確な諸元がわからない。web上で調べてみた限りでは、自重18g、定価12,500円、だったそうだ。ビクターPH-L1000の自重は公称16gだから、このシェルはヘビー級と言ってよいと思う。 例によって実測する。カートリッジ固定用のアルミ(ジュラルミン?)プレートは2枚あり、重いほう(秤の手前にあるのが軽いほう)を使って計測した。ご覧の通り、秤は16.18gを表示している。通常はこれにステンレス製の指掛けが加わるわけだから、公称18gはほぼ正確な値と見るべきだろう。 このシェルの音だが、なかなか特徴的である。見通しが良く鮮明で、極めて開放的。非常に明るい音になる。個人的には嫌いな音ではない。が、キャラクターは強い。今風に言えば「キャラが立ちすぎ」ているわけだ。アルミナセラミックスは、超硬質のうえに超均質。それだけに、ヒジョーによく鳴るのである。一時期、MC-L1000を着けて鳴らしていたこともあったけれども、少々派手に過ぎて結局PH-L1000に戻してしまった。使い様によっては、たいへん面白く魅力的なシェルだと思う。 今や、こんなに美しいルックスのヘッドシェルはどこにもないし、ましてや同素材で一から作って売るとなると、いったんぜんたい幾らになることやら。おそらく、気が遠くなるような値段になるはずだ。 このモデルのほかにも、PH-L1000、ソニーSH-500など、昔はセラミックス系の優れたヘッドシェルがいろいろあった。当時20代前半だった僕にとって、1個1万円を超えるシェルなど高嶺の花。今となっては、借金してでも買い溜めしておけばよかったと、思うが時すでに遅し。すべて跡形もなく消え去ってしまった。 いつまでも、あると思うなヘッドシェル。 |
冷暖自知
オーディオ・テクニカのヘッドシェル、AT-LHシリーズである。写真右から、LH18、LH15と、左端はちょっと珍しい、LH13のブラックタイプである。レギュラータイプも確かあったはずだが、どこへやったか見つからない。公称重量、それぞれ13g、15g、18g。型番が自重を表しているわけだ。 LH13のみヘッド部が小さく、LH18、15のヘッド部は同サイズである。3gの重量差は、アームとつながるネック部にある。18はステンレス製、15はアルミ製。ネック部だけを実測してみると、18ネックが7.80g、15ネックは3.73g、実際には4.07gの差があった。 ついでに両者のヘッド部も実測すると、18ヘッド11.16g、15ヘッド11.02gだった。完成品としての総重量は、それぞれ18.96g、14.75gとなる。LH15の公称値−0.25gは誤差の範囲かと思えるけれども、LH18の公称値+0.96gはいささか差が大きいように感じる。感度の高いトーンアームから見ると、約1gの違いは大きい。実際には「LH19」とすべきか。 尤も、たった1個だけ調べた値をすべての個体に適用して考えるのは、あまりにも短絡的である。サンプル数の少ない統計調査ほどアテにならないものはない。マスコミが大好きな、下らん世論調査じゃあるまいし。少なくとも100個、理想的には10000個くらいを実測し、平均値を見られれば信憑性が上がる。わけだが、そんなことはゼッタイ不可能だし、あまり意味のあることとも思えないのである。 個人的には非常に有意義な測定だった。今、取りかかろうとしている実験の、一つの指標となるからである。カタログ上の数値は大いに参考になる。それだけに止まらず、時には自分で実測してみることも大切だと思い知るのだった。 「証の得否は修せんものおのずからしらんこと、用水の人の冷暖をみづからわきまふるがごとし」(道元禅師 正法眼蔵弁道話) 冷暖自知。 |
亀の甲より
イキナリ大雪、になったわけではない。上の画像は2006年1月1日に撮ったものである。凡そ3年前になるわけだ。 2005年末から2006年初頭にかけての雪は、本当に恐ろしかった。ご覧の通り、元旦の時点でも相当な積り様だが、本当のピークはこのあとやってきたのだった。とんでもない話である。 先日「カメムシが少なかったからこの冬は少雪デアル」などといい気になってノベていたら、村の古老から「台風が来んかったから、大雪になるぞ」と聞かされてゲッソリしている。そういえば、2005年の秋も台風が少なく、穏やかだったなあ。亀の甲より年の功。古老の意見は信憑性高し。 どうか、写真みたいなことに、なりませんように。 |
太平洋側は、蒼天
どうなることかと思った峠道、凍結防止剤(CaCl2)と融雪散水のおかげで、ノーマルタイヤのまま無事に往復することができた。ヨカッタヨカッタ。と、安心しているバヤイではないのである。考えてみれば、すでに12月も中旬だ。今すぐにでもスタッドレスタイヤに交換しておかねばならない。 それにしても、冬型気圧配置となった太平洋側の好天には、改めて羨望を強くするのだった。寒いには寒いけれども、空は抜けるような蒼天である。空気はカラカラ、ジケジケした感じは微塵もない。ああ、ウラヤマシイ。 陽の光のありがたさを、ヒシヒシと感じたのだった。 |
寒気襲来
今日はずいぶんと寒い日であった。天気予報どおりの積雪はなかったものの、小雪が舞って日中でも10℃に届かない冷え込みである。 明日の朝はさらに冷えるという。京都市内まで出かけてのオツトメがあるのだが、峠道は大丈夫だろうか。実は、無精して未だノーマルタイヤのままなのである。 エラいこっちゃ。 |
出番です
カートリッジヘッドシェル、オーディオ・テクニカAT-LH15/OCCである。かつては多種多様なものが打ち揃っていたこのアクセサリーも、各社撤退に次ぐ撤退ですっかり寂しい状況になっている。斯くある中で、本モデルはLH13、LH18と並んで最早「ヘッドシェルのクラシック」といった感が強い。超ロングラン製品である。もちろん、立派な現行商品。比較的安価で、音も優秀なハイCPヘッドシェルである。 箱船にあってはここ数年出番がなく、カートリッジも取り付けられずに大アクビをコイている。もったいないお話である。けれども腐るものでもなく、持っていればいつかはまた使うこともあるだろう。 と思っていたら、その通り。出番が来たようだ。いささかならず興味ひかれる実験を、このモデルでやってみたい。重さ、サイズ、形状、素材。他のシェルと比較して、多くの点で予定している実験に最適と考えられるのである。 詳しい実験内容は、後日改めて報告したい。 |
復元は一苦労
C-280V掃除のために一旦外したケーブルを元に戻すのは、一苦労であった。フツーのケーブルならどうということのない作業である。しかし相手はWAGC302なのである。重くて硬くて、無理をすれば装置のジャックを破壊する恐れあり。つながったシリから支持台を置いてゆかずばこれまたジャックが危ない。ちょっとでも足や手をひっかけようものなら、即破壊。ほとんど苦行である。 汗をカキカキどうやら復元するまでに、2時間弱もかかってしまった。ご覧の通り、あちこち支持台だらけである。友達から譲り受けたアルミナセラミックスを主に、砲金やステンレスの円盤、fo.Qシート、人工石英円柱、コーリアン板、友達謹製支持器などを取り混ぜて使ってある。 明確な狙いがあっての素材組み合わせ、だったらオーディオ名人みたいで格好良い。そんなことはゼンゼンないのである。ちょうど好い加減の高さを得ようとしたらば、こういうことになっただけ。音云々よりも、機械的にしっかり支えることのほうが、このケーブルには重要なのである。 斯くの如くの使いにくさ、以上の魅力が、WAGC302にはあるわけです。 |
掃除
使用年数17年3ヵ月になんなんとする、C-280Vである。すっかりご老体。箱船ではいまだバリバリの現役だ。ディザインはさすがにクラシックとなった感じ、だが、薄汚れてはいない。 はずだった。ところが昨日、パネルに艶がなくなっていることに気が付いたのである。ボリュームノブ、セレクターノブも何だかキタナイ。そーいえば最近、掃除を疎かにしていたような気がする。これは遺憾。古くてもきれいだったら奥ゆかしいが、古くて汚いのはどうにもいただけない。お掃除すべし。 最初はパネルだけを掃除して終わるつもりが、やり出したら止まらなくなる。繋がっているケーブルをすべて外し、鉛の重石を下ろしてラックからひっぱり出す。キャビネットの埃は、まずブロワーで吹き飛ばしてから、水に浸して固く絞ったハイテククロスで拭く。通気メッシュから覗くと、当然ながら内部にも埃が集っている。この際だからとウッドケースも外し、可能な範囲で内部も掃除した。リヤパネルのピンジャック、キャノンジャックはすべてアルコールでクリーニングする。 ちょっとした掃除のつもりが、滅多にやらない大掃除になってしまった。ここまでやったのは、たぶん数年ぶりだと思う。上の画像は掃除完了してシステムに復帰させたところである。ヘタな写真では判然としないけれども、生で見るとずいぶんきれいになっている。見た目は、新品同様である。 ジャックをクリーニングしたおかげで、音も良くなったようだ。見た目と同様、くもりが晴れて見通しが良くなった感じ。ヤッパリ定期的に掃除せんと遺憾のである。 装置を磨く、とは、音を磨くと同義か。 |
正式採用決定
お正月へ向けての準備作業しながら、オーディオも、否、アルミナセラミックスを楽しんでいる。先月30日の日誌で触れた、φ145mm×7mm円盤をキッチンへ持ち込み、解凍プレートとしての実験を行ったのである。 台所カンケイは愚妻に聞け。「解凍しにくいモノは何か」と尋ねると「冷凍ミカン」と答えが返ってきた。芯までムラなく、水っぽくならないように解凍するのがヒジョーに難しいそうだ。半解凍シャーベット状がオイシイという人も多いと思うが、彼女はそれが許せないらしい。好みの違いです。 それなればと、早速実験にかかる。写真の如く、普通の陶器製お皿とセラミックス円盤にカチンカチンの冷凍ミカンを同時に置き、完全解凍までの時間を見る。お皿も円盤も常温、室温(20〜22℃くらい)下での比較である。どちらも時々裏返したり横にしたり、条件はできるだけ揃えたつもり。 お皿のほうは完全解凍まで約1時間。しかも盛大に汗をかき、ずいぶんと脱水しているようだ。皮をむくと、芯はまだわずかに凍っていた。食べてみる。水っぽくてあまり美味しくない。まあ、こんなもんか。 セラミック円盤、これはヒジョーに興味深かった。お皿の半分以下、約25分で完全解凍に至る。ほとんど汗をかかず、脱水は極少。芯までしっかり融けている。水っぽさはなく、味が濃厚でとても美味しい。 解凍時間が短縮されるだけでなく、食品としての質も上がる。正しくは、劣化が少ないというべきか。普段は僕がやらかすこーゆーことに無関心な愚妻も、「これ、良い」と言う。ので、晴れてキッチン用品として正式採用決定。おめでとうございます。 台所まで進出するとは、恐るべし、使用済みアルミナセラミックス。 |
年末準備開始
12月である。2008年も、あっという間に過ぎ去ってしまった感が強い。夏の暑さを楽しんでいたのは、ついこの間、みたいな気がするのだが。ああ、人生は短い。 昨年は年末近くに風邪をひき、お正月準備が順調に進まずヒジョーに苦しかった。ので、今年は一つ、早めの準備完了を目指そうと思う。25日くらいまでに完了できれば、よいのだケレドモ。 勇ましいのは掛け声ばかり、にならぬよう、今月はがんばりましょう。 |