箱船航海日誌 2008年09月

日々雑感、出来事などを思いつきに任せて綴っていこう

過去の日誌コンテンツ

’08/09/30 (火)

堂々たる風格あり


 9月も今日で終りである。2008年も残すところあと3ヶ月。光陰矢の如し、というほかないのである。

 昨日までに比べ、今日はやや暖かい日であった。夜になってもさほど冷え込まない。こうなると正直なもので、箱船入り口の外灯に集まる夜の虫が、増えるのだった。

 夏場には時々クワガタやカブトムシがやってくる。ほとんどは小さな蛾やユスリカのようなもの、それを狙うカエルやヤモリと、非常にニギヤカである。

 今夜は極めて珍しいお客様があり、少々驚いた。上の写真に見える如く、超大型の蛾である。羽の差し渡しは優に15cmを超える。斑紋も鮮やかに美しく(ある意味毒々しく)、実に立派な蛾である。

 ヤママユガである。鱗翅目カイコガ上科ヤママユガ科。学名Antheraea yamamai。絹糸を採るお蚕さんのご親戚さんである。北海道〜九州にかけて分布、クヌギ、コナラ、クリ、カシなどを食樹とし、雑木林のある所ならさほど珍しくはない、そうだ。成虫の口は完全に退化していて、羽化後は何も食べない。ただ、子孫を遺すことだけで、命を終える。

 お蚕さんのご親類であるだけに、この蛾の繭からも糸が採れる。別名「天蚕(てんさん)」とも言われる所以である。繭は美しい緑色で、得られる糸の質は極めて高い。長野県では、この蛾を飼育している地方もあると聞く。

 さほど珍しくはない、とは言えども、いつでもどこでも見られるわけでもなく。特に、ここまで美しい個体に出会ったのは、僕も初めてである。おそらく、羽化直後の個体だろうと思う。大概は、羽がボロボロになった痛々しい姿なのである。

 僕は格別に蛾が好きなわけではなく、どちらかと言えばニガテなほうだ。けれども、この蛾には、暫し見惚れてしまった。堂々たる風格である。

 ヤママユガ一族はおしなべて大型で、八重山諸島だけに分布する世界最大の蛾「ヨナグニサン」もその仲間である。その所為かどうかヤママユガマニアも多く、個人的に飼育している人もいるそうだ。ニガテだが、ワカランでもない、ような気もする。

 しっかり子孫を遺せるようにと願いながら、そっと扉の脇へお移りいただいた。

’08/09/29 (月)

初暖房


 一昨日、27日から冷え込みが著しい。今日の最高気温はとうとう20℃を下回り、17℃にとどまった。はっきり言って、寒いのである。

 夜はなお寒く、箱船2階ではついに暖房を入れてしまった。10月の声を聴く前に暖房したのは、ひょっとしたら初めてかもしれない。

 先日、お参りでお邪魔した京都市内にお住まいの方が、こんなことを仰っていた。

 「以前は冷房〜冷暖房なし〜暖房と、徐々に切り替えたものですが、昨今は冷房からいきなり暖房に変えねばならなくなりました。夏から一足飛びに冬へ替わるようです」

 季節の1ビット(二季)化、という話は、この日誌で何度か書いたことがある。真実そういう傾向があるのかどうかは別にして、そのように感じる人がいらっしゃるのは確かなようだ。

 今秋は、殊更にその傾向が強いと感じている。寒さがニガテな僕としては、悲しいことこの上なし。こうなったらとっとと冬になって、早く次の夏が来ればよいのに。言ってることがムチャクチャです。

 気象庁の長期予報に曰く「今冬は暖冬」。ホンマかいな。

’08/09/28 (日)

寄り道


 今月10日に載せたADを買ったお店の在所は、東大阪市である。26日、僕はその東大阪市へ出かけていたわけで、帰り道、ついでにちょっと寄り道してきた。

 国内中古盤中心の品揃えである。ジャンルは、クラシック、ロック、ジャズ、歌謡曲、民謡、演歌、アニソン、その他諸々と、多岐にわたっている。何でもござれ、っちゅう感じだ。数は少ないながらも中古外盤もあり、僕としてはそちら方面を探索することになる。

 結果、見つけて買ってきたのが上のADである。「THIN LIZZY / NIGHT LIFE」(英VERTIGO PRICE31)。オリジナルは1974年リリース、このADは(P)1983の再発盤だ。このお店の中では、ちょっと高めの価格設定で1,700円。充分良心的である。

 晩年は「メタル・ロックの雄」として高く評価されていたTHIN LIZZYだが、この頃の彼らは正統派ハードロック・グループである。個人的にはこの「NIGHT LIFE」が最も好きなアルバムだ。これまではディジタル・リマスター版CDしか持っていなくて、ずっとADを探していたのである。

 曲が良いのは言うまでもない、が、音はイマイチ。ロックだから致し方なし。と、CDだけを聴いていた時点では思っていた。だが、ADを聴くとそうでもないから面白い。CDに比べて中高域の歪み感が少なく、低域の締りが良い。それなりに解像度もあって、ゴチャゴチャした感じ少ない。スッキリしていて、聴きやすい音なのである。

 いいレコードが安く手に入って大喜びである。近くならば頻繁に通いたいお店なのだが、ちょっと遠いかな。

 レコードショップ独特の匂い。なかなか良いものです。

’08/09/27 (土)

単純明快


 先日、ターミナル締め直しをした時に撮った、スーパーネッシーMkII内部写真である。パイプ折り返し点(スピーカーの底部)にデジカメを上向きに置き、セルフタイマー撮影した。写真の奥に見えているのは、箱船1階の天井である。普段は見ることができないところだから、興味本位で写してみたわけだ。

 こうしてみると、共鳴管スピーカーが如何にシンプルな構造であるか、よく分かるのである。「箱」と言うよりは正に「管」であって、極めて単純明快。逆説的に言えば、だからこそエンクロージャーの強度、材質などが音へ与える影響は大きいのではないか。と、僕は思う。

 通常見えないところと言えども、山越木工房さんの施工に手抜きやゴマカシは一切ない。外装と少しも変わらぬ美しさである。違いは塗装の有無だけだ。木工職人としての強い矜持を感じるのだった。

 その山越木工房さん、10月4日〜5日に損保会館(千代田区神田淡路町2-9)で開催される「第14回 真空管オーディオフェア」に、今年も出展されるとお聞きした。2006年から3年連続のご出展である。

 いつもお知らせをいただきながら、未だ一度も行けず。新作オリジナルスピーカーの展示もあるそうだから、今年こそはと、オツトメ予定日程を睨みながら考えている。

 行きたいなあ。

’08/09/26 (金)

大阪風


 25日〜26日は、毎秋彼岸恒例のオツトメ出張版で、京阪方面へ出かけてきた。今年は珍しく天気が悪く、特に26日の午前中は猛烈な豪雨に降られて大弱りであった。あとで聞けば、大雨洪水警報が出ていたそうだ。

 最終地、東大阪市からの帰途は例によって阪神高速(首都高の関西バージョンみたいなモンです)を走る。上の写真はその道中、大阪市中央区付近に見える風景である。ビルの横っ腹を高速道が貫通している。

 僕はここを通るたび、いつも思う。如何にも大阪だなあ、と。ナンデこんなことになったか知らないけれど、勝手な想像をするに、「ルートはここしかないし、ま、ビルの中、通したらええやんか」と、いい加減にやっちまったンじゃあるまいか。面白いからいいケド。

 普段、イナカ道ばかり走っているワタクシ儀、少々疲れました。

’08/09/25 (木)

お彼岸明けには


 ネジ頭の凹みをネリゴムで埋めた後のルックス、個人的にはケッコウ気に入っている。わずかなことだけれども、黒とカーキ色の組み合わせからは、なかなか精悍な印象を受けるのだった。

 腰を据えてじっくり聴きたい、とは思えども、24日から26日まではオツトメ少々繁忙である。もしかしたらこういう細かな対策にもエージングというヤツがあるかもしれないから、お彼岸明けに改めて聴く、のも意味がある、かと、これは自分勝手なイイワケである。

 お彼岸過ぎれば季節は秋本番である。今日の最高気温24℃。ずいぶん涼しくなったもので、夜ともなれば肌寒いくらいだ。愚猫1号2号は、膝で丸くなるようになりました。

 秋の夜長は、オーディオで。

’08/09/24 (水)

対策実行


 23日のお彼岸供養会は非常な好天に恵まれ、厳かな裡にも和やかに終わることができ、大いに喜んでいる。お話は、相も変わらず下手くそだったケレドモ。お参りの皆さん、ありがとうございました。

 さて、また一つ行事が終わり、少なからず気が楽になったらしい。夜になっても比較的元気である。ので、先日から引っ張っている対策を実行した。

 写真にご覧の通りである。先ずは「伊研のネリゴム」から、使ってみた。ユニットを取り付けているM6キャップスクリューの凹部、6角レンチが嵌る部分をネリゴムで充填してみたわけである。このやり方が最良なのかどうか、僕には分からない。ただ、これより使用量を増やすとネリゴムが盛り上がりダンゴみたいになって、メリットよりもデメリットが出てくるンじゃなかろうかと、これは僕の勝手な考えである。

 ネジ1本あたりの使用量は僅かで、作業は極めて容易である。ハナクソ(例えがキタナイね、どうも)みたいに丸めて押し込むだけ。両チャンネル48本すべて充填しても、30分とかからない。

 この程度のことで音に好影響が出るンだろうか、僕のタコ耳で違いが聴き分けられるンだろうかと、半ば心配、半ば疑いながら試聴してみると。

 これが案に相違して、結構な効果があるのである。音が出た瞬間、対策以前とは違うことが明らかに分かる。音の陰影が明確になり、音像の立体感、実在感が増す。中高域のトゲトゲしさが抑え込まれ、スムーズで艶のある音になる。細かい情報の再現性が高まり、Dレンジが広くなったように聴こえる。悪影響は、感じられない。

 なるほど、これは面白いのである。費用と手間は少なく、効果は大。この対策を思いついた人は、偉い。僕は、嬉しくなってしまいました。

 少しの間このまま試聴を続け、然る後「ひっつき虫」へ移行してみたいと考えている。現用「ネリゴム」よりも好結果が期待できるというから、これまた大いに楽しみなのである。

 「ミューズの方舟」の皆さんには、大感謝である。ありがとうございます。

’08/09/23 (火)

お彼岸準備


 今年も境内の土手では、彼岸花が咲き始めた。

 22日は終日お彼岸行事の準備にて、ひっつき虫にもネリゴムにも、手が付けられず。夜になったらやろう、と思っていたが、クタビレてしまって気力減退。如何に道楽とはいえ、オーディオするにもそれなりの精神力が必要なのである。

 23日は、朝からお彼岸供養会である。多数(といっても50人程度だが)のお参りあり。恒例により下手な話をせねばならない。話題は決めてあるものの、そのままでは文字通り「話にならない」から、ある程度の筋道を立てておかねば遺憾。準備はまだ終わっていないのである。

 というわけで、今夜はこれにて失礼をば。

’08/09/22 (月)

締め直し


 やっておかねばならぬスピーカー周りの問題、とは。入力ターミナルのロックナットが、緩んでいたのである。スーパーネッシーMkII完成から1年9ヶ月。当初は極めて厳重に締めてあったものだが、エンクロージャー材の経年による収縮や音による振動が原因で、緩んできたのだろう。よくあることだ。

 これを締め直すには、どうやっても一旦は3番(最下方)ユニットを外す要があるわけだ。ただでさえ気遣いで大儀な作業である。斯くなる上に、ユニット取り付けネジに対策を施してしまえば、ますます億劫になることは火を見るよりも明らか。故に「今やっておかないと後悔することは必定」なのである。

 もし、今もFE208ESを使っていたらば、一人での作業は難しかったかもしれない。エンクロージャーを横倒しにしないまま、重量10.5kgもあるユニットを無事故で取り外す自信が、僕にはない。その点、208ES-Rは6.3kgである。これでも充分重いが、どうやら無事に外すことができた。

 バッフル開口から手を突っ込み、6本のロックナットをスパナで締め直す。手探りの作業になるけれども、開口からターミナルまではすぐそこだから、さほど難しくはなかった。これもユニット3発仕様のメリット(?)である。

 モノはついでと、両チャンネルとも全ユニットを外し、アダプターリング取り付けネジの緩みをチェックした。こういう時でないとなかなかできないことなのである。

 すべて不思議なほどに緩んでおらず、締め直しの要がなかったのには安心したのだった。そう言えば昨年4月、208ESからES-Rに換装したとき、助っ人に来てくれた徳さん憲さんが死に物狂いのチカラで締め上げてくれたっけなあ。おかげさまです。

 ユニット、リング、ターミナル、すべてがっちり締め込み、改めて聴いてみると、やはり効果はあるようだ。立ち上がりが良くなり音に静謐感が出る。「動かざるべきは動かず」。重要なことなのだと、思った。

 次はようやく、「ひっつき虫」「ネリゴム」の出番となる。

’08/09/21 (日)

少々弾みます


 「ひっつき虫」に遅れること1日、「伊研のネリゴム」が届いた。先日書いたとおり、軍隊色のネリゴムである。

 早速端っこをつまんで感触を確かめてみた。「ひっつき虫」に比べるとやや硬く、粘り気が少なめで弾力がある。「ひっつき虫」はパテに近い質感、それよりも「ゴム」に近い感じで、あまりネッチャラクッチャラしない。

 実際に両者を見て触ってすると、ユニットネジの鳴き止め用途としては「ひっつき虫」のほうに分がある、とする評価には頷けるものがある。尤も、どちらも本来の用途から完全に逸脱して使おうとしているわけであって、こんなことで優劣を付けられるのは大迷惑、という話でもあるだろう。オーディオマニアは、仕様がないのである。

 効果のほどはともかく、使い勝手の点では「伊研」のほうが良さそうに思える。質感がドライで、剥離が容易そうである。これは大きなメリットだと思う。

 さて、あとは両者を実験に具するだけ、なわけだが、その前に片付けておかねばならない問題が、スピーカー周りにあることを発見した。これが少々メンドウというか、億劫というか。イノチに別条はないと思う。しかし、今やっておかないと後悔することは必定である。

 明日は、その作業から。

’08/09/20 (土)

ブチルゴムのご親戚さん


 「伊研のネリゴム」に遅れて注文した「コクヨ プリットひっつき虫」のほうが、早く到着してしまった。僕としては、どっちがどっちでも、ゼンゼン構わないわけだが。

 早速中身を確かめてみた。うむ、ナルホド、確かに「粘着剤・パテ」である。質感は、粘度をやや下げたブチルゴム、みたいなものだ。基本的にはそっくりである。パッケージに表示してある原料名には「ポリブチレンおよび無機鉱物充填剤」とある。

 ブチルゴムは、正しくは「ポリイソブチレン」というブテン系重合体だそうで、「ひっつき虫」の主原料ポリブチレンもこの仲間であるらしい。無知の輩がこれ以上詳しいことに触れるのは、ヤケドするからヤメておく。要するに、お互いご親戚さん、みたいなものだろう。実際、よく似ている。タンブ効果は、充分にありそうだ。

 小さな板チョコよろしく、切れ目が刻まれている。ただし、どのくらいの量を使うかは自由である。カッターで切るなり、指でちぎるなり、自由自在。さて、どのようにしてユニット取り付けネジにひっつけるか。

 先ずは、復原性をテストしてから本作業に入ろう。

’08/09/19 (金)

レコパックの日


 7月の末に3,000mlの備蓄を見たレコパックもどきであったが、チョーシに乗ってバンバン使ったり、来訪あった友達に差し上げたりで、ちょっとばかり残量が心もとなくなってきた。ので、久しぶりに新規生産することに、したのだった。

 ちょうど2ヶ月ぶりである。5月〜7月にかけては、試作品も含めて3日に上げず作っていたから、製作手順には何の問題もない。

 と思ったら、2ヶ月の間に結構忘れてしまっている。工程作業そのものはちっとも難しくないのだが、手順を違えるとグワイの悪いものが出来上がってしまうのである。「料理のさしすせそ」みたいだな。

 やっているうち、ああそうだったと徐々に思い出し、どうやら無事に800mlの新しいパック液が完成した。この調子だと、月に一度くらいは作っていたほうが安心かもしれない。毎月○日はレコパックの日。

 無くなったら自分で作れるレコパックもどき。ありがたいことである。

’08/09/18 (木)

ひっつき虫


 AE86さんに続き、今日はばっかすさんからもご教示をいただいた。ありがとうございます。

 ネリゴムでのネジ鳴き止め対策は、最早旧きものとなっていたのである。そう言われてみれば、定期的に送られてくる「ミューズの方舟」会報の中に「ひっつき虫」なるものの名を、見たような気もする。ぼんやりしてるから、遺憾のだなあ。

 僕は未だ実物を見たことがない。オフィス用品サイトで調べてみる。写真のようなものであるらしい。「画鋲が使えない壁やガラスへの掲示に最適な粘着タブ。メモの仮止めや、小物の固定などに大変便利」と説明されている。繰り返し使える両面テープ、のようなものか。

 ネリゴムの質感はおおよそ見当が付くけれども、「ひっつき虫」は実際に見て触ってしないとよく分からない。ともかくは買ってみようと思う。

 ちょっと面白いことに、なってきたのである。

’08/09/17 (水)

伊研のネリゴム


 AE86さんより、「ネリケシ」についての貴重なご投稿を、拙掲示板までいただいた。ありがとうございます。

 さすが、強力マニア集団「ミューズの方舟」である。ネリケシ使用にあたっての実験に、抜かりはなかったわけだ。いろんなネリケシ集めて比較試聴したンだろうな。「伊研のネリゴム」が最適、という結論である。それなればと、早速に検索してみる。画材店のカタログにちゃんとあるのだった。

 写真のようなものである。これで見る限り色はダークグリーンというか、カーキ色というか、この色ならユニット取り付けネジの凹部を埋めても目立たない。余談だが、「カーキ」(khaki)とは、ヒンディー語で「埃」という意味だそうだ。知らなかった。

 店によってバラつきはあるが、1個210円〜220円くらいである。112ヶ所を埋めるにはどれくらい必要か。まったく見当がつかないから、とりあえず10個買うことにする。おそらく不足するだろう。事始、ということで、まずはスーパーネッシーMkIIペア48ヶ所が賄えれば、と。

 スーパーネッシー時代、ネジの頭にポンチで打ち抜いたfo.Qシートを貼っていたことがある。効果はあったような、なかったような。個人的には、それより良さそうな気がしている。

 結果は後日、報告したい。

’08/09/16 (火)

ネリケシ


 近くの文房具店へ「練り消しゴム」を買いに行った。グニュグニュした感触の、繊維基材の入らないブチルゴムテープにも似た、アレである。通称「ネリケシ」。

 以前は多くの色、形のものが取り揃えられていて、あれこれ選べたものだが、今は様子が違っていた。「コーラの香り」なんていうオチャラケたヤツ1種類しかないのである。こういうものにも、流行り廃れがあるらしい。本来の用途ではなくて、オーディオ用として使おうと考えているから、「コーラの香り」は、ちょっと困るのである。

 仕方がないから地場調達は諦めて、結局ネットで検索する。文房具つながりで検索するも、イマイチ当たりが悪い。さらに調べてみると、「ネリケシ」とは元々画材であることがわかった。素描やデッサンを描く時に使うものらしい。紙を傷めず消せるのが、大きな利点。

 画材屋さんのサイトへ行けば、フツーに買えるようだ。ただ、あるのは写真のような白いものばかりである。できれば黒系統の色が欲しい。もう少し詳しく探してみたいと思う。まあ、白でもイノチには別条ないからいいンですが。

 して、その用途とは。勿体をつけるほどのことでは、ゼンゼンない。ユニット取り付けネジの鳴き止めとして使ってみたいわけである。もちろん、これは僕が思いついたことではない。ムカシ、「ミューズの方舟」の会員さんがやっているのを見たことがあって、そのマネをしよう、と。たぶん、他にも同じようなことをやっている人は、少なからずいるはずだ。

 何故にネリケシか。それ以外に使えそうな素材としては、ブチルゴム、或いは粘土、パテ、なども考えられる。だが、そのどれもが復原性に問題あり。ペタリとくっつきポロンととれる、とゆーわけで、ネリケシなのである。

 スーパーネッシーMkIIペアで48ヶ所、SWペアが32ヶ所、リヤカノンLペア32ヶ所、合計112ヶ所。くっつけるべきところがこれだけあれば、多少なりとも効果はある、かしら。

 ここは一つ、やってみるに及くは無し。

’08/09/15 (月)

半農


 今日の画像は、知り合いがお米を作っているたんぼの風景である。彼は僕と同年代、100%ファーマーではなくて、普段はごく一般的な勤め人である。半農半勤、とでも言うのだろうか。本業を持ちながら、一方で祖先伝来のデンバタを大切に守っているのである。

 この写真は9月9日に撮ったもので、今では既に稲刈りを終えている。でっかい自脱型コンバイン(刈る、扱く、脱穀する、までやってしまう稲刈り機)でバリバリ刈っている風景を見た。あとで聞いたら、レンタルだそうである。「コンバイン1台、買ったらン百万円。ウチみたいな中途半端な農家では、そんな設備投資はできない」と言う。なるほどなあ。

 今年の作柄は、悪くないそうだ。

’08/09/14 (日)

期待感を持って


 スーパーネッシーMkIIを話題にするときは、いつも同じような写真になってしまうことをご勘弁願いたいのである。

 箱船乗船からちょうど1年9ヶ月が経った。使用ユニットをFE208ES-Rに換装してからは1年5ヵ月。当初に感じた生硬さはすっかり影を潜め、今やFE208ESを大きく上回る音で鳴っている。どうやらこのユニットは、フォステクスの限定版20cmフルレンジユニットシリーズ中、最もエージングに時間がかかり、しかも最も変化の度合いが大きいのではないかと、個人的には益々強く感じ始めている。

 思えば僕はこんなことを、これまでに何度も書いているような気がするのだった。けれども、その時々でわりと素直にそう感じているのである。随分と良くなったなあ、と。その時点から数ヵ月先、或いは1年先に鳴っているであろう音を的確に予測できるほど僕はキャリアを積んでいないから、しばらく経つとまたぞろ同じような感想を書くことになるわけである。

 尤も、斯くあればこそ、オーディオは面白いのかもしれない。先は見えない、けれども何かしら期待感を持ち続けることができる。言わば、閉塞感がないのである。昭和30年代〜第一次オイルショック(昭和48年)までの、ニッポン国みたいなものかしら。

 オーディオとは違って現実は厳しい。しかし、趣味の世界くらいは、いつも期待感を持って楽しみたいと、僕は思うのである。

 昨日より今日、今日より明日、きっと良くなる、と。

’08/09/13 (土)

ダテじゃない


 踏んでみました、DW-9000PB。動きは素晴らしくスムーズで、複雑な構造にもかかわらず、摺動ノイズは皆無である。フットボード(『dw9000』の刻印が見える部分)の横揺れもない。組み立てに曖昧さがない上、可動部という可動部はすべて精度の高いボールベアリングで連結されている所為だろう。

 フットボードとチェーンで繋がっているカム、それを支える横方向の金属バー。通常、バーとカムは一体化されていて、共に回転するわけだが、9000ペダルはここに大きな工夫がある。バーとカムの結合部にもベアリングが嵌め込んであり、カムだけが独立して回転可能な構造になっている。「FREE-FLOATING ROTOR DRIVE SYSTEM」と言うンだそうです。

 このほかにも刮目に値する工夫は随所にあって、それをイチイチ下手くそな文章で説明していたら夜が明けるからヤメておく。ともかく、非常に優れたモノであることに間違いない。

 極めて軽い踏み心地である。ストレスは一切なし。しかもただ軽いのではなくて、踏み込んだあとの返りに適度な粘りがあるから、まさに「足の裏に吸い付く」感じだ。自分の脚とフットボードが一体化したような感覚は、ハイハットスタンドDW-9500に同。これまでのBDペダルにはなかったことだ。速いパッセージ、1/16音符も楽々踏める。イキナリ上手くなったような気分にさせられてしまうのだった。もちろん、気分だけ。

 踏み込みエネルギーのロスが少ないのか、軽く踏んだつもりでも、充分な音量が得られる。音そのものも、よりアタックが強くタイトな音色になるようだ。まさに「踏ん張りの利いた」音が出るわけである。ただし、これはメリットともデメリットとも言えると思う。

 これまで15年間使ってきたペダルとは感触がゼンゼン違うから、現状おっかなびっくり、みたいなところもある。慣れるには少し時間がかかりそうだ。馴染んでしまえば、かなり厳しいリズムパターンもこなせそうな、そういう期待を感じさせる、BDペダルである。

 「宇宙一」は、ダテじゃない。

’08/09/12 (金)

DW-9000PB到着


 新しいバスドラム・ペダル、DW-9000PBが届いた。同じメーカーの下位モデル、DW-5000は以前一度だけ踏んだことがあるけれども、9000PBは実物を見るのも触るのも踏むのも、まったくの初めてである。

 ものすごくガッチリした造りである。総重量はこれまで使っていたものの倍くらいありそう。これも楽器の一部、と言うべきものだが、見てくれは精密機械のようである。オーディオで言うなれば、トーンアームのような存在か。

 全体としては重く頑丈に、しかし、動くべき部分は徹底的に動きやすくなるよう、随所に工夫が盛り込まれている。取り付ける前にあちこち確認しながら、軽く動かすにはこういう手があったかなるほどなあと、大いに感心したのだった。踏みグワイを加減する調整箇所も多くあって、自分の脚に合わせたカスタマイズが可能である。

 一通り眺めて触って調整方法を理解し、バスドラムに実装する。写真はその様子。9000ペダルが3つ並んだ光景は壮観である。ハイハットはパイステ・サウンドエッジだし、スネアはラディックだし、装備だけはプロ並みである。装備だけ。これでウデもプロ並み、だったら格好良いわけだが、そーは行かないところがちょっと悲しい。

 実装完了すれば、すぐにでも踏みたいところ、だが、残念ながら明日までオアズケだ。夜中に箱船2階でこんなもんをガンガンバンバンやったら、間違いなくケーサツ沙汰である。

 早く踏んでみたいなあ。

’08/09/11 (木)

日日比較


 昨日の続きである。国内盤と見本盤を実際に試聴し、先日と同じ曲(A-1『春』アレグロ)のF特をスペアナで採ってみた。

 まずは両者を聴いてみる。少なくとも僕のタコ耳では差、違いを見出す(このバヤイ、聴き出す)ことはできない。どちらも良い音である。ついでに蘭盤も聴いたけれど、やはりほとんど差はない。ブラインドで三者を判定しろ、と言われたら、僕は正解する自信がありません。

 続いてスペアナで測定。写真左「日」が国内盤(もちろん日本プレス)、右「日・見本」が日本プレス見本盤である。さて、どうだろうか。ディーテイルを具に見ると僅かな違いもあるようだが、この程度はスペアナの誤差範囲である。見本盤、蘭盤比較と同様、まったく同じ、と言って差し支えないだろう。

 今回の試聴測定から分かったのは、蘭盤、国内盤、日本プレス見本盤の三者に、明らかな違い、差、優劣はない、ということ。このレコードに関しては、オランダ盤でも日本盤でも、ハズレはないと思う。但し、版が違えば(他国プレス盤、再発盤、など)この限りに非ず。

 一般的に日本国内で使われるレコード用ビニールは、欧米のものより軟らかく、繰り返しのトレースによる劣化の進みグワイが速いと言われている。今回手に入れた国内盤、見本盤は、共に純然たる中古盤である。発売年から考えて、28年以上前のもの。それでもひどく劣化しているようには聴こえないから、さほど気にする要はないのかもしれない。

 一つ、申し添えておきたい。この試聴測定結果は、無知なドシロウトが「箱船」という限られたオーディオ環境で、限られた測定器を以って得たものである。何処へ出しても通用する、といった類のものではないことを、殊更に強調しておきたいのである。

 個人的には、とても興味深い試聴、測定であった。○○だからよい、○○だから悪い、というようなモノの見方が、極めて危険でしかも愚かしい行為であることを、改めて痛感したのである。そういう意味でも、この3枚のレコードは、僕にとっては極めて貴重なものと言えるわけだ。

 良いものは良く、悪いものは悪い。単純明快である。

’08/09/10 (水)

ゴージャス装丁


 7日に中古ショップで発見した、アルパ・ゲレッツ指揮、レ・ソリステ・ロマンド演奏「四季」国内盤が、今日、手許に届いた。送・税込1,140円と、極めて良心的な価格である。

 外盤はシングルジャケットであるのに対して、国内盤はゲートフォールド仕様、いわゆる見開きダブル・ジャケットで、紙質も厚く豪華である。内側には詳しい日本語解説があり、さらに24ページの楽譜ブックレットがついている。ペナペナジャケット1枚の外盤とは大違いのゴージャスな装丁。このあたりが国内盤人気のヒケツなのだろうなあ。

 肝心の盤、である。これまた大変質が良く、キズはほとんど見当たらない。少々埃っぽい感じだが、これはレコパックで解決できる。センターホール周囲の探りキズも皆無である。只今レコパック(もどき)中。

 音を聴く前に、ラン・アウトグルーブ(各面最終曲の終りからセンターレーベル外縁までの無音部分)に刻印された記号番号(マトリックス・ナンバー、というンでしょうか)を調べてみた。下記の如くである。


 A面 : 9500 613 1Y 2 (P)1980  670  1 2   G   04
 B面 : 9500 613 2Y 2 (P)1980  670  1 2       03   2


 次に、日本プレス見本盤(以下、見本盤)に刻印された記号番号を示す。

 A面 : 9500 613 1Y 2 (P)1980  670  1 2       04
 B面 : 9500 613 2Y 2 (P)1980  670  1 2       03   2


 さらに、蘭プレス盤(以下、蘭盤)の刻印。

 A面 : 9500 613 1Y 2 (P)1980  670  111       04
 B面 : 9500 613 2Y 2 (P)1980  670  113       03   2
 (手持ち2枚とも上記の通り)


 斯くの如く、国内盤と見本盤の記号番号はほとんど同一である。さらに言えば、両者と蘭盤との違いも僅かである。見本盤と蘭盤の音、スペアナデータに、明らかな違いが無かったことは先日も書いた通り。このことから推察するに、国内盤と見本盤との音にも、大きな違いは無いのではないか、と。

 レコードの達人なら、この記号番号から多くの盤固有情報を読み取ることができると聞く。恥ずかしながら僕は無知であって、せいぜいカタログナンバーと(P)年くらいしか分からない。この方面に詳しい方がいらっしゃれば、是非ご教示賜りたいと思う。

 明日は、実際の試聴結果を報告したい。

’08/09/09 (火)

落日


 9月も中旬にさしかかろうとすると、目立って日が短くなるのである。写真は8日午後6時過ぎに撮った西の空である。すっかり夕暮れの風景だ。

 夏至から2ヵ月半、秋分まであと2週間。蝉の声はほとんど消え、夜の草むらからは秋の虫のコーラスが聴こえる。桜の樹は早くも葉を落し始め、アキアカネが里へ下ってきた。

 秋がやってくるのである。

’08/09/08 (月)

もう一つの趣味


 オーディオと並ぶ僕のもう一つの趣味。ドラムである。オーディオに比べると、随分いい加減にしてはいるけれども、好きであることに変わりはない。

 ハイハット・シンバルとスタンドを新調したことは、今年2月の日誌に書いた。もちろん、絶好調である。dw社製品の優秀さを、日々強く実感しているのだった。その時から、次の狙いはdw製バスドラム・ペダルと決めている。これまた、凄いヤツがあるンです。

 DW-9000PBという。一般的なもの(写真右に見える如く)とは一線を画する構造を持った、極めて優秀なBDペダルである。ハイハットスタンド同様、あるドラムショップでは「宇宙一のBDペダル」と評価されている。

 現用のものは使い始めて15年。当時としては決して悪くないものである。今も一応は動いているものの、経年劣化は如何ともし難い。あちこちにガタがきて、踏むたびにノイズを出すのである。いよいよ寿命が尽きかかっている感じ。

 そこで今回、現用にはぶっ壊れる前にご引退願って、DW-9000PBに新調する。「ネコに小判」「ブタに真珠」という説もあるが、「ヘボは筆を選ぶ」のである。「宇宙一」と評される踏み心地とはどれほどのものか。

 ヒジョーに楽しみなのである。

’08/09/07 (日)

大当り


 「いずれ、やってみたい」などといい加減なことを書いたものの、やはり気になって仕方がない。アルパ・ゲレッツ指揮、レ・ソリステ・ロマンド演奏「四季」の、見本盤 / 国内正規盤比較試聴である。

 それにはまず、国内正規盤を入手せねばならない。ネット上で検索してみる。キーワードはいろいろ考えられる。が、メンドクサイので、ダメモトで国内盤レコード番号と推測される「25PC-33」をキーワードに検索をかけた。

 一発ヒット、である。自分でやっておきながらびっくりした。やはり「25PC-33」は国内盤の番号であった。在関西の中古レコードショップに、800円でリストアップされている。さっそく在庫確認メールを送った。リストには「2008年9月4日更新分」とあるから、入手できる可能性は低くないと思う。まだ売れてなければいいンだけれど。しかし、800円とは。異様に安いのである。

 リストに記載されたデータに拠ると、国内盤の発売は1980年になっている。発売元は日本フォノグラム。念のため、長岡先生の外盤評価初出をあたってみた。別冊FMfan第26号「長岡鉄男の外盤ジャーナル」、17枚目に掲載されている。26号は1980年夏号(1980年6月発売)だから、時期的にも一致するわけだ。ヒットしたレコードは、同タイトルの国内盤と見て間違いないと思う。

 首尾よく入手できた暁には、スペアナ写真とともに、報告したい。

’08/09/06 (土)

珍盤


 3日の日誌で話題にしたレコードの、センターレーベル写真である。ご覧の通り、ヒジョーに殺風景なものだ。

 「SIDE」の欄には、ボールペンで「A」と手書きしてある。これは最初から書いてあった、のではなくて、前オーナー氏、あるいは前々オーナー氏が書いたもののように思われる。ひょっとしたら前々々オーナー氏かな。ジャケットの「歴戦の勇者」ぶりを見ると、とてもワン・オーナーものとは思えないのだった。

 「NOT FOR SALE」。非売品、のはずのものが、どーして中古盤として流通するのか。答えは一つ。業界関係者から、流出するのである。ムカシムカシ、僕がアマとプロの境目でドラムを叩いていた頃、正にギョーカイ人からいろんなアーティストの見本盤LPを、山のようにもらったことがある。ほとんど友達やら知り合いやらにあげてしまって、手許に残っているのは数枚。このようにして、見本盤は明るみへ出て行くわけである。

 正規盤でない正体不明の見本盤は、面白い。内容や質が少々悪く(今回のものは良質)ても、何だか得したような気分になるから不思議である。

 イワユル「珍盤」である。

’08/09/05 (金)

待っている


 この写真を撮ったのは8月11日、棚経3日目である。それからまだひとつきも経っていないのに、僕はもうこの時の日差しと暑さと青空の色が、懐かしくなっている。

 先月末から、中途半端な天候の日が多くなった。暑いンだか寒いンだか、雨が降るンだか晴れるンだか、はっきりしないのである。僕はこーゆー天気が、大嫌いです。今日もそんなグワイで、夏が終わってしまった寂しさも手伝って、気分が鬱々として高揚しない。来週あたり、もう一回夏が来ないかなあ、などと、ムチャなことを思う。

 来年の夏が来るまであと9ヵ月、僕は今から待っている。

’08/09/04 (木)

勢い余って


 ADセットがあまりに良かったものだから、勢い余ってCDまで買ってしまった。LED ZEPPELINのライブ「永遠の詩」(日ワーナーミュージック・ジャパン WPCR-12781〜2)と、ベスト盤「MOTHERSHIP」(同 WPCR-12779〜80)である。

 両者とも、収録曲数、曲順など内容はADとまったく同じ。ADは4枚組だったが、CDは2枚組である。ADに受けたような感激が、CDにもあるかどうか。僕の興味はその一点である。

 以前の音源に比べて大幅に音質改善されているのはADに同じ、だが、やはり僕としてはADにグンバイを挙げたい。決して悪くない。しかし、力感、切れ、透明感、艶、など、言うに言われぬところでもう一息、という印象が否めないのである。うーむ。残念。

 今回買ったのは日本盤CDである。外盤CDも出ているから、さらにそれを聴いてみるのも面白いと思う。

 そこらじゅうLED ZEPPELINだらけに、なりそうだな。

’08/09/03 (水)

日蘭比較


 昨日触れた「ちょっと面白いレコード」とは、昨年11月17日の日誌に載せたタイトルである。外盤A級セレ第2集180番に取り上げられているヴィヴァルディの「四季」だ。

 今回買ったバージョン、ジャケットはオランダプリント、中身は日本プレスの見本盤である。国内盤なのか外盤なのか判然としない、妙なバージョンである。どこかで中身だけ入れ替わったのかと思ったが、ジャケット裏に「SAMPLE RECORD - NOT FOR SALE」と赤字で書いたシールが貼ってあるから、間違いないのだろう。

 盤のセンターレーベルには、レーベル名も曲名も記載されない殺風景なものだ。純然たるサンプル仕様なのである。「25PC-33 / SAMPLE RECORD / NOT FOR SALE / PRESSED IN JAPAN / MANUFACTURED BY VICTOR COMPANY OF JAPAN, LTD.」とだけ、書かれている。

 「25PC-33」は、おそらく日本盤としてのレコード番号だと思われる。日本プレスであると明記されているわけだから、これは国内盤か。イヤイヤ、JVCプレスの外盤も他レーベルに多く存在するから、一概には言えない。

 それはともかくとして、実際に聴いてみた。良い音である。オランダ盤とも比較試聴したけれども、僕の耳では差がワカランのである。ごく僅か、日プレスに弦のキツさを感じないでもない、ような気もする、ような、しないような。そんな程度の違いである。

 そこでスペアナを採ってみる。A-1「春」のアレグロから。上の写真、左が日プレス見本盤、右がオランダプレス盤である。ご覧の通り、まったく違いがございません。全体の形、帯域分布、カッティングレベル、すべて同一である。これはもう「同じレコード」と言って差し支えないと思う。

 尤も、同一マスターを使いながらも、プレス国によって音に違いが出ることは、レコードマニア間では常識でもあるわけだ。蘭プレスDECCAよりも英プレスDECCAのほうに価値を見るという例の通り。しかし今回の盤は、日本プレスといえども音にいささかの遜色もない。

 もし、この「四季」の日本正規盤が見本盤と同一のクオリティであったとしたら、血眼になって外盤を探す必要はない、とも言える。ただし、今回の試聴だけで断定することは、できない。実際に入手して比較試聴すれば、何かが分かるかもしれない。

 いずれ、やってみようかしらん。

’08/09/02 (火)

格安A級盤セット


 長岡A級盤3枚セットを、格安で買った。もちろん中古、ジャケットの状態を見ると「太古」盤という感じである。盤そのものは、汚れがやや多めながらもジャケットから連想されるほどには傷んでいない。きちんとクリーニングすれば、ほとんど問題ない状態まで復帰するだろう。

 というわけで、早速レコパック(もどき)にてお掃除中。先々月、友達が2台のレコード支持台をプレゼントしてくれたおかげさまで、作業は非常に速くてラクチンである。4枚までなら同時進行可能なのである。

 3枚のうち、1枚ちょっと面白いレコードがあった。既に手持ちがあるタイトルであって、少々風変わりなバージョンである。たぶん、珍しいタイプなのではないかと、思う。が、僕が無知なだけかもしれない。

 クリーニングが済み次第、試聴して報告したい。

’08/09/01 (月)

実りの月


 早9月である。去り行く夏を惜しみつつ、田んぼに目を遣ればそこはすでに金色に染まっている。稲穂が、実り始めているのである。いよいよ秋がやって来るのだ。実らんかったらタイヘンだけれども、僕は何だか寂しいのだった。

 残暑は未だ厳しいものの、箱船ではエアコンを稼動させる時間がぐんと短くなった。その意味では、秋はオーディオ向きの季節とも言えるわけである。

 暑かった夏が、終わる。