箱船航海日誌 2007年10月

日々雑感、出来事などを思いつきに任せて綴っていこう

過去の日誌コンテンツ

’07/10/31 (水)

秋日随想

 「良い音」とは、自分が聴いていて心地よいと感じる音、好きだと思える音である。ということは、ここで何度も書いている。その考えは今も変わらない。僕は自分のシステムの音をそのような(好きな)音にしようとしているし、また実際、今の音が好きである。

 僕が好きな音とは、どんなものか。まずは、カッタルい音はキライである。出始め1発で目が覚めるような音がいい。馬力のない音も、聴いていると生きるエネルギーを吸い取られるようで気色悪い。鳴らすだけでヒトもシステムも元気になるような、生気溢れる音が聴きたいと思う。

 大音量は大好きである。だが、ヤミクモにデカいだけで歪みだらけの音は御免被りたい。トランペットスピーカーで鳴っている運動会の大音量BGMは、雰囲気は好きだが音としてはキライだ。

 平面的な音もつまらないと思う。音源を包んでいる空間、演奏者たちの間にある空気、録音現場の規模なども再現されるような、彫りの深い音が好きである。イワユル、音場感豊かな音。でも、音場感ゼロの録音(ロック、ポップに多い)もよく聴くから、この辺りはわりといい加減なのである。

 上記のように、浸透力があり馬力があり、生気に溢れていて歪みが少なく、しかも音場感豊かな音、が、簡単に実現できるのか。多くの意味において、それは極めて困難である。しかし不可能ではないと、思うからこそ何十年も飽きずにオーディオしているわけだ。

 オーディオファン、皆それぞれ自分の好きな音があり、そこへ到達しようと躍起になっている。時には上手く行かず、どうすればよいのかと苦悩することもある。頭を抱えて悩む姿は、ある意味では美しいのだ。己が好む音さえ、明確化できていれば。

 などと徒然に思う、秋の一日。

’07/10/30 (火)

モノクロ恐るべし


 ADネタばかりが続くことをご勘弁願いたい。

 「JACOB DRUCKMAN / ANIMUS III, synapse, VALENTINE」(米nonesuch H-71253)。外盤A級セレクション第1集73番に収録されているタイトルである。

 昨日載せたADと同じ、nonesuchの現代音楽シリーズの内の1枚である。ディザインは共通していて、ただ、写真と文章の位置が逆になっている。今日のADのように「左に写真、右に文章」という配置のほうが基本のようだ。「Makrokosmos III」の「左文章右写真」配置は、少数派なのである。ナニを基準に入れ替えているのか、それはワカリマセン。

 外セレに載せてあるジャケット写真はモノクロで、配色がわからない。しかも黒くつぶれ気味なものだから、元々ゴチャゴチャした感じの写真は、ナニが何だか判然としなくなっている。実物カラー写真を初めて見たとき、しばらくはこれがそのレコードだとは気がつかなかったくらいである。

 「JACOB DRUCKMAN」の文字を見て「そういえばそんなような作曲家のレコードが外セレにあったようななかったような」とぼんやり考えながら、念のため調べてみてようやくそれだと分かった。いい加減な話である。

 レコード検索名人の友達曰く、このタイトルは比較的入手が容易だそうである。されば僕は、これまでにも発見しながらそれとは気付かず見過ごしていた可能性が高い。遺憾である。

 未聴。「モノクロ写真恐るべし」と、ジャケットを眺めるのに忙しいのである。

’07/10/29 (月)

特徴か、特長か


 今日はもう11月になってしまっているのである。なのに10月29日の日誌を書いているという、またぞろ"夏休みの日記"みたいなことに、なってしまっているのだった。もうしわけございません。諸事情により更新が遅れております。どうかご勘弁ください。

 「珍しく3枚とも未開封新盤であった」うちの、3枚目は上のタイトルである。コレをネタにするのは、たぶん3回目か4回目になると思う。「GEORGE CRUMB / Music for a Summer Evening」(米nonesuch H-71311)。A級セレクション盤の中でも、僕が特に好きなタイトルである。

 初めて買ったのは'88年11月18日、神戸の元町にあるレコードショップだった。未開封新盤。その後、別のショップで中古盤を2枚発見して買い、今回は4枚目にして2枚目の未開封盤である。20年近くにわたって買い続けているわけで、よくもまあ飽きないものです。

 上の写真で見えるかどうか、ジャケット右上にパンチ穴が開いている。いわゆるカットアウト盤なのである。僕にとってはカットアウトだろうか何だろうが一向に構わない。中身が新盤であれば万々歳なのだ。

 センターレーベルのディザインからして、この盤は初期盤であるらしい。後期盤(らしきモノ)も持っているけれど、音は初期盤の方が良いようだ。が、問題は盤質である。

 nonesuchは昔から盤質の悪さでは定評があって、特に初期のものは顕著である。これもその例に漏れず。新盤であるクセに、やたらとノイズが多い。見た目、大きなキズは無いのだけれども、おそらくこれはプレスのいい加減さ、品質管理の大雑把さに起因するものだと思う。音は良いのに盤質悪い。残念だが、これがnonesuchの特徴(特長?)なのである。

 レコパックで、少しは静かになるか知らん。

’07/10/28 (日)

アナログ・レコード

 気がついてみれば、今月は結構な枚数のレコードを買っている。CD、SACD、DVDなどのディジタルメディアは1枚もなく、全てアナログレコードである。これを退行オーディオと見るか、はたまた最先端オーディオと見るか。昨今のオーディオ事情を考えると、どちらとも言えるような気がするのだった。

 これまでに幾度も書いてきたことだが、僕は無条件アナログ支持派、ではない。有体に言ってしまえば、音が良ければアナログでもディジタルでも、どっちでもいいのである。現状、箱船のオーディオ環境では、アナログのほうが優れて聴こえるからそっちに偏っているだけで、ある日突然ディジタル支持派に豹変する、かもしれないのである。

 とは言うものの、アナログレコードの魅力は音のみに非ず。美しく存在感のあるジャケット、つやつやと黒光りする盤、個性的なセンターレーベルディザイン、手に持ったときの重量感など、モノとして持つ喜びが、あるわけだ。CDやSACDが逆立ちしても敵わない部分である。

 枚数が増えてゆくのは大変結構、だが、いよいよラックが満杯になってきたのは、ちょっと困るのである。最下段には、今やまったく見ることもなくなってしまったLDが、400枚ほど入っている。これをどこかへ移動させれば、少々余裕が出るンだけどなあ。

 整理しようか知らん。

’07/10/27 (土)

いい加減さも味のうち

 一昨日、昨日の話題にしたレコードともう1枚、今回は3タイトルを同じショップで買い求めた。このお店、中古盤が主の品揃えなのだが、今回は珍しく3枚とも未開封新盤であった。

 UNICORNの「ICONES」はカタログに「Factory sealed」と但し書きが付いていたから承知の上。あとの2枚には「used」とあって、当然開封中古盤のつもりだったものが、届いてみたれば新盤だったという、タナボタ盤である。

 海外ショップにはこういうことが多いのである。中古盤のつもりが新盤だった、なら、嬉しい誤りということになるわけだが、その逆もよくあるから油断できない。新盤表記のわりに安い、こりゃ買いだと飛びついたら、ボロクソの中古盤だったこともしばしばである。

 ウソツキじゃないかと、いちいち怒ってはイケナイ。これもまた海外通販の面白いところだと、僕は思う。海外通販を利用し始めて5年。その間、カタログ記載以上の金額を請求されたとか、お金だけ取られて品物が送られてこないとか、内容がまったく違うとか、そういう類のトラブルは一度もない。ネットの恩恵を、ありがたく感じるばかりである。

 ただ、最近レコードの値が、総じて上がっているのには、少々困っている。

’07/10/26 (金)

静寂は回答


 「蝉」というレコードを、2005年7月12日の日誌に載せたことがある。独KUCKUCK(クックックかクック・クックか、悩むところだ)レーベルからリリースされている、ゲオルグ(チャイタンヤ・ハリ)・ドイターのアルバムである。

 その姉妹盤「SILENCE IS THE ANSWER」(独KUCKUCK 049〜050)を、買った。熱烈、ではないけれど、僕は「CELEBRATION」(同040)を聴いて以来、ドイターさんのファンなのである。今回のアルバムはそのタイトルがとても好きで、1度買い逃してずっと捜していたのだった。

 2枚組、未開封新盤で$25とお買い得、(C)(P)1981の古いレコードだが、ジャケットも盤も非常にきれいである。早速聴いてみた。

 音楽としては、「CELEBRATION」や「蝉」以上にバグワン・シュリ・ラジニーシ師(ドイターさんが傾倒する、インドの思想家、宗教家)の世界観に強く影響されているようで、独善的な印象が強い。難解ではないけれども、イマイチ面白くないのである。

 録音もイマイチである。クレジットを読むと「インドの『バグワン・シュリ・ラジニーシ・アーシャム』で録音したものを、ドイツのスタジオでリマスターした」とあるから、そのあたりも関係しているのかもしれない。やや歪みが多く透明感が低い。音場感はそれなりに感じられるものの、埃っぽくて見通しが良くない。

 しかし、僕としては喜んでいる。同レーベルからは、あと4タイトルほど出ているようだから、できれば全部揃えたいところだ。

 ま、似たり寄ったりの内容だろうけれども。

’07/10/25 (木)

別レーベル盤


 11日の日誌に書いた「長岡ファンならよく知っていて、しかもあまり知られていない」レコードとは、上のタイトルである。「PETER MAXWELL DAVIES / VESALII ICONES」(英UNICORN-KANCHANA KPM-7016)。

 外盤A級セレクション第1集78番に紹介されているレコードと、まったく同内容の別レーベル盤である。まあ、こんなことは別段珍しくもないわけで、特に米nonesuchのタイトルにはこーゆーものが多いのである。「あまり知られていない」なんてえのは僕が世間知らずなだけかもしれない。常識だったら、ゴメンナサイ。

 ただ、この英UNICORN盤は、中古市場でもあまり見かけないような気がする。少なくとも僕は初見である。しかも未開封新盤(ただしカットアウト盤)で、$10(約1,150円)と非常に安かった。以前、同じ店でnonesuch盤を見つけたことがあって、そっちは$40と高価だった。既に手持ちにあったから見送ったけれど、今回は大喜びで「買い」である。値付けの基準が、よーワカラン。

 レーベルが違えば、音も違うのかな。ちょっと楽しみである。

’07/10/24 (水)

お上手でした


 貧弱な知識を頼りに、何とか旧PCの起動に成功した。しかし、ここに至ってはいつ壊れてもおかしくないような気がする。ので、今のうちにと主要ファイルフォルダはすべてバックアップを取り、同時に新PC内への移動を済ませた。ケツに火が点かないと動けない僕は、やっぱり大馬鹿である。

 さて、24日の本山妙心寺行きは、無事に終えることができた。僕はただ引率しただけで、なーんにもしていないのだが、ヒジョーに疲れたのはナゼだろうか。大人数を統率することの難しさを、改めて感じた1日であった。

 ご参加の皆さんも、たいへんお疲れ様。ありがとうございました。

’07/10/23 (火)

えらいこっちゃ

 明日の準備をさっさと済ませ、早く寝ないとシンドイぞ。そういう時に限ってトラブルが起こるのである。

 旧PCが、起動しなくなってしまった。電源投入した直後、「読み込みエラーです。再起動してください」というメッセージが出て、そこからまったく動かない。さあ困った。準備に必要なファイルは旧PC内にあって、しかもバックアップを取っていないのだ。アホ丸出しである。

 どーしよーか。弱ったなあ。

’07/10/22 (月)

また本山へ

 明後日は、またまた60名ほど引き連れて本山出張である。今回は日帰りの予定で、出発は先週より1時間早く、午前5時である。うーむ。まだ暗いだろうな。

 今日と明日はその準備で慌しいのである。これが終わって、来月上旬の研修会が済めば秋の行事もほぼ終了、あとは幹事役の任期満了を待つのみとなる。

 ああ、待ち遠しい。

’07/10/21 (日)

火が入る


 今夜、エアコン暖房ではもの足らず、箱船2階ではファンヒーターを点けた。夜の室内気温が18℃を上回らなくなると、体感的にはかなり寒いのである。僕は特に寒がりだから、電気よりは「火」が燃えているほうが心強いのだった。安全性ではどうかと思うが。

 ランニングコストは、どうだろうか。一昔前なら、圧倒的に灯油のほうが安かった。けれども、ここまで石油が高騰してしまうと、もうどっちだか分からなくなってくるのである。箱船のエアコンは、強力業務用(だからウルサイ)で、効きはよいが電気の食いようは凄い。それでも、今や灯油が圧倒的有利だとは、言えないンじゃないかとも、思う。

 石油元売さんは「原油価格高騰」を錦の御旗に、やりたい放題だ。空前の大増収、だそうだが、安くで買った備蓄分を高値で売れば当然である。濡れ手に泡、とは正にこのこと。

 政治家さん、何とかしてください。

’07/10/20 (土)

その気


 この1年で、外盤A級セレクション収録のLPは27タイトル増え、現在238/300。入手率79.3%である。昨年10月6日の日誌には「5年間(2001〜2006)で29タイトル増えたことになる」と書いているから、凡そ5倍のペースアップである。

 いつだったか、300タイトルコムプリートにかなり肉薄している友達に「コムプリートは難しいね」という話をしたら「そりゃその気になっていないからだ」と言われたことがある。ナルホド、確かにその通りである。集めることを諦めはしていない。けれども、自分から積極的に打って出るようなことは、なかった。ショップで見つければ買う、といった程度。それでは遅々として捗らないのが当然なのである。

 友達の言葉をきっかけに、ちょっとその気になるかと、思ったわけである。海外通販はもちろん、国内中古ショップもこれまで以上頻繁にチェックし、時にはニガテなオークションにも参加してみようと。その結果が、この1年の入手タイトル数に表れているのだった。

 だからといってそう簡単にコムプリートできるとは、考えられない。残り62タイトルは、ますます難しくなってくるだろう。しかしこれも、一つの夢である。

 「夢は必ず実現する。しかし、時間がかかる」。

’07/10/19 (金)

低能率化

 旅行が無事に終わって一息つける、かと思ったら、そうは行かない。やるべきことは次から次へと出てくるわけである。旅のクタビレも手伝って、夜の踏ん張りがまったく利かず、出力仕事圧レベルは極めて低い。普段にも増して、低能率化しているのである。遺憾です。

 明日は、少々ハードな日に、なりそうである。

’07/10/18 (木)

GT雲板


 正眼寺では、雲水さんから大変ご親切なご案内をいただいた。通常見ることのできない道場の裏側、例えば浴室であるとか、典座(てんぞ:台所のこと)であるとか、そんなところまで見せていただいて、参加者は皆大いに感激したのだった。

 写真は典座に釣ってあった「雲板」(うんぱん)である。雲板とは、ご覧のとおり雲を模った青銅板で、これを木槌で打ち、座禅中の修行僧へ食事の準備が整ったことを知らせる役割が主の、所謂「鳴らし物」である。

 臨済宗修業道場の典座であれば、必ず備えられているものだから、僕らにとっては珍しいものではない。けれども、驚いたのはその巨大さ、である。

 フツーはせいぜい高さ40cm、幅60cm程度、僕が居た道場のものでも、それくらいである。ところが正眼寺の雲板は、高さ幅とも優にその倍以上はある。「GT雲板」だ。携帯で写真を撮っている僕と比較すれば、その大きさをお分かりいただけるだろう。これはもう破格の巨大さなのである。すべての道場を見て回ったわけではないけれど、おそらく「日本一(世界一)巨大な雲板」だと思う。

 どんな音がするのか、ヒジョーに興味をそそられたが、打つべき時以外に打つことは極めて厳格に禁じられているから、残念ながら聴けなかった。きっとドスの利いた荘厳ないい音で鳴るンだろうな。どーしても聴きたければ、住職ヤメて正眼寺へ修行に入ればよい。さすがにそこまでの決心は、できないのである。

 何はともあれ、霧隠軒老大師、ご案内くださった雲水さんには、心から御礼申し上げるのみである。

 ありがとうございました。

’07/10/17 (水)

無事是貴人


 無事に、帰ってまいりました。特に大きな事故もなく。2日間ともお天気に恵まれ、殊に今日の正眼寺参拝は、雲一つない絶好天であった。ヨカッタヨカッタ。

 凡そ10年ぶりくらいに訪れた正眼寺は、境内、伽藍とも近年の大修理が完了し、実に美しく明媚なお寺に生まれ変わっていた。いや、素晴らしい。雲水さんの誠実なご案内、ご接待をいただけたのも、僕はとても嬉しかった。まったく以って、おかげさま、である。

 幹事役の残任期間あと1ヵ月と少々。ホントにまあ、やれやれである。

’07/10/16 (火)

同府内ですが


 旅行の出発は午前6時の予定である。本山とは同じ京都府内の当地だが、どういうわけかたっぷり3時間以上はかかってしまうのである。

 府南部と北部をつなぐ「京都縦貫自動車道」が、せめて宮津から洛西まで開通していれば、おそらく1時間半以内で到着できるようになる、はず。だが、大昔から始まっている工事は、遅々として進まない。全線開通など何時のことになるやら。両隣のO阪府、H庫県とは大違いである。何故だかなー。

 ともかくは、行ってきます。

’07/10/15 (月)

無事を祈る


 16日からは、70人ほど引き連れての一泊旅行である。これも毎年の恒例行事だ。一昨年、昨年と2年連続で、僕は幹事役でありながら参加できていない。各方面、特に僕を補佐してくれているK和尚様には多大なるご迷惑をおかけしてきたわけである。

 今年はどうやら無事参加できそうで、幹事役としてはこれが最後になることもあり、ちょっと安心している。本山妙心寺へ皆でお参りしたあと、ちょっと足を伸ばして岐阜県美濃加茂市へ。本山開山和尚様の由緒地、正眼寺(しょうげんじ)というお寺へ参拝する予定である。

 一泊とは言え幹事役として最も憂慮するのは、事故である。交通事故はもちろん、参加者の体調などにも気を遣うわけだ。どちらかと言えば全体の平均年齢は高く、何が起きるかわからないのである。実際、6月に受け持った行事では、救急車を呼ばねばならない事態が、起こったのだから。

 何をおいても、旅の無事を祈りたい。

’07/10/14 (日)

寒い


 朝晩に限らず、日中もずいぶんと寒くなってきた。最高気温は20℃そこそこ、特に今日はどろんと曇って肌寒い日である。

 こうなると僕はイケナイ。気分が高揚せず、何やら鬱々としてしまうのだった。寒いのも曇り空も大嫌いだ。冬に向かってはこういう天気が多くなることを思うと、ますます気が滅入ってくるのだった。ああ、イヤダイヤダ。

 つい先日まで冷房していた箱船2階は今日、この秋初めて暖房を入れた。1階はオーディオ装置の輻射熱で、今のところちょうど好い加減に保たれている。しかし、こちらも時間の問題である。

 早く春が来ないかと、冬が始まってもいないうちから思う、秋の一日。

’07/10/13 (土)

シリンジ


 先日、リ・レコパックの移し変えに使ったシリンジは25ccタイプだった。特にトラブルはなかったけれども、手間がかかって困るのである。やはり容量が小さい。と言ってわざわざ買い求めるのもメンドウだ。愚妻に相談してみたら「60ccならあるよ」と言う。

 ご覧のとおり、60ccシリンジはなかなかの迫力である。子供の頃にお医者さんでこんなが出てきたら、跳んで逃げたかも知れん。昔、まだガラス製シリンジが主流だった頃、蒸し器のような煮沸滅菌箱から取り出されるチューシャキは、はっきり言って脅威だった。

 そんなことはどーでもよろしい。ともかく容量が2.4倍になったならば、移し変え作業の手間は半分以下になるわけだ。今後もリ・レコパックを作り続けようとインボウを巡らす僕にとっては、大いにありがたいのである。

 昨日買った精製水と、残っていた「皮」でリ・レコパックを作ったら、また1本分できた。今回はアルコールを若干多めに配合したから、これはこれでテストしてみないと遺憾のである。

 ツマランことのようで、これが意外に面白いのである。

’07/10/12 (金)

精製水


 リ・レコパックがあまりに上手くいったことに気をよくして、精製水をまとめ買いした。といっても10本、1本500cc入り、全部で5リットル。たいした量ではない。近くの薬局で1本200円。同量の一般的なミネラルウォーターと比較して3割増しくらいだから、結構高いと言える。

 精製水とはどんなものか。説明書きには「本品はイオン交換法により精製し、RO膜、UF膜を通した水で、除菌ろ過はしているが、加熱滅菌はしていない」とある。

 RO膜、UF膜とはナニカ。僕にはさっぱりワカランわけだが、それぞれ「逆浸透膜」「限外ろ過膜」という、非常に細かな目(ナノメートルオーダー)のろ過膜だそうだ。そーゆー膜で濾した、不純物含有率の極めて低い水、っちゅうことに、なるらしい。手間を考えれば、ミネラルウォーターより高いのは当然か。

 コンタクトレンズを使っていらっしゃる方なら、洗浄用としてお馴染みだろうと思う。僕は時代遅れのメガネ派だから、今までほとんど縁がなかったのである。この水をどんどん使って、剥がしては溶かし剥がしては溶かし、レコパックがどこまで再利用できるか挑戦してみようと思う。

 調子に乗ってやり過ぎて、レコード傷めりゃ元も子もない、のである。

’07/10/11 (木)

秋になると

 レコードを聴く暇もない、などと言いながらリ・レコパック作りに呆けてみたり、夜な夜な海外レコードショップ巡りしてみたり、これじゃ本末転倒なのである。手段が目的化することを趣味と謂う、のであってみれば、僕は正しく趣味人、ちゅうことになる。我田引水もいいところだ。

 ついさっきもショップ巡りをしていて、ちょっと興味深いタイトルを見つけた。後日、改めて話題にしたいから、ここで詳しくは触れない。長岡ファンならよく知っていて、しかもあまり知られていない、何だか禅問答みたいな話だが、そーゆーレコードである。未開封新盤でありながら、どういうわけかヒジョーに安い。ここで買わずば何とする。

 どうも僕は秋になるとレコードが欲しくなるらしい。欲しくなれば検索専一になり、結果面白いタイトルを発見する率が上がる。嬉しくなってまた検索、また見つかってまた検索。これじゃきり無し話である。

 レコードは、聴くためにあるのだよ。

’07/10/10 (水)

ゴミを出さないクリーナー


 リ・レコパックは真実本当に問題ないのか。現時点での最後の確認作業である。クリーニングしたレコードを実際に聴いてみる。

 お見事。最悪レベルと言ってもよいほど汚れの酷かった中古盤が、新盤に近い状態まで回復している。スクラッチノイズ極少。キズもほとんどなく、汚れを取り除いた後の盤質はミントクラスであったことを、リ・レコパックのクリーニングによって知ったくらいだから、これは大成功と言わねばなるまい。「どーでもエエようなレコード」なんて、失敬な話である。

 クリーニング・グッズとしてのリ・レコパックは、間違いなく優秀である。通常、ゴミとして打ち捨てられる剥離膜からのリサイクル、つまり、無用から有用へ見事に変身したわけである。これって上手くやれば、昨今の流行りに乗って大いに売り出せるンじゃなかろうか。

 ハナから再生を考えたパック液に、簡易濾過器、専用溶剤などの再生キットをセットで売るわけだ。「世界初! ゴミを出さず、地球に優しいエコ・レコードクリーナー」。ダメかしら。

 製造段階でキケンな廃棄物が出るようなら、無意味ですな。

’07/10/09 (火)

「リ」の字は幾つまで


 再利用レコパック塗布から1日、ちょっとドキドキしながら盤面を検分すると、案に相違してきれいに乾燥している。オリジナル液が乾燥した状態とまったく変わらない風である。ああ、ヨカッタ。これなら剥離も上手く行きそうだ。

 レコパックを使ったことがある方ならお分かりだろう。剥離の瞬間の快感を。端っこに付けた剥離紙を手がかりに、ピッと持ち上げピリピリ剥がす。膜の下からきれいにクリーニングされた艶やかな盤面が顔を出すと、何とも言えず嬉しくなってしまうのだった。

 ご覧のとおり、大成功である。途中でちぎれることもなく、盤面に残ることもなく、痛快爽快に剥離完了。実験に具したレコードは盛大に汚れていたものだったが、見事にクリーニングされている。これならオリジナルレコパックとなんら変わりはない。いやー、こんなに上手く行くとは、思わなかった。作り方を教えてくれた友達には大感謝である。どうもありがとうございました。

 これを僕は「リ・レコパック」と呼ぶことにしよう。特に汚れがひどい中古盤の、1回目パックにはこれを使い、2回目以降が必要な時だけ正規レコパック液を使う。結果、消費量激減。影でウワサされている再販売まで、備蓄分で引っぱれるかもしれない。こうなると、次の挑戦は「リリ・レコパック」だな。

 頭の「リ」の字はいくつまで増やせるンだろうか。

’07/10/08 (月)

一見、正常


 「レコパックのようなもの」の使用実験開始。ボトルからアプリケーターにデロデロと流し込む、と、完全に溶けきれないダマが、少なからずある。ダマがひどいと、アプリケーターの隙間に詰まってきれいに塗布できないのである。

 爪楊枝で取り除きながら、くるりと一周。オリジナルに比べてわずかに粘度が低く、アルコール臭も少ない。水が多くアルコールが少なかったかな。大丈夫か知らん。レコードのためにはアルコールが少ないほうが良いはずだ、と都合よく考えることにしよう。塗布完了した図が、上の写真である。一見、オリジナルと見分けがつかない。

 さあ、これが正常な乾燥剥離に至るのだろうか。どうにも心配である。

’07/10/07 (日)

の、ようなもの


 思いついた「良い物」とは、何のことはない、シリンジである。別名インジェクター。要するに、チューシャキである。愚妻の業務関係で、ウチにはこれが常備されている。これならロスが少ないし、手も汚さずに移し変えることができる。最も容量の大きいヤツを選んだ。といっても1回の吸い上げで25ccしか取れない。

 レコパックボトル容量は約500ccだから、満杯にするには20回分必要。相手は少なからぬ粘度を持った液体である。なかなかにチカラが要る作業になった。洗浄槽の八分目あった再利用レコパックをボトルに移してみたら、これが結構な量である。2本分と少しになった。

 僕としては大喜び、するのはまだ早い。見てくれだけは「レコパックのようなモノ」が再生産できたものの、実用に堪え得るかどうかは、分からないのだ。正常に乾燥するのか、乾燥したとして、きれいに剥離するのか。友達謹製のものは問題ないそうだが、マヌケな僕のやることだから、同様には考えられない。

 いきなり大切なレコードに使うのは、いくらガサツな僕でもちょっと怖い。ので、どーでもエエようなレコードで実験してみることにした。

 乾燥云々以前に、ちゃんと塗布することができるかどうか。問題である。

’07/10/06 (土)

倣ってリサイクル


 先月20日の話題にしたところの、レコパック再利用液。僕も友達に倣ってヒソカに実験してみた。用意するのは剥離したパック液(以下『皮』)、精製水、無水アルコール(エタノール)、かき混ぜ棒(ワリバシ代用)。友達はステンレス製のコップを容器にしたそうだが、よりよく溶解するだろうと勝手に考えて、超音波洗浄器でやってみる。

 テキトーな分量の精製水を洗浄槽に入れ、超音波振動スイッチオン、剥離紙を取り除いた皮を鋏で細かく切り刻み、かき混ぜながら槽にぶち込む。これまたテキトーな枚数をぶっ込んだら、あとは飽きるまでぐるぐるぐるぐる混ぜる。

 時々休んだり粘りの様子を見ながら2時間くらいぐるぐるし、溶解が進んだところでまたまたテキトーな分量のエタノールを添加して、出来上がり。その時点では細かな気泡が盛大に混入して濁っているから、槽に濡れタオルをかけて1日放置したら、写真のような状態になった。それなりに澄んでいる。ように見える。

 けれども、この再利用液にはレコードから剥ぎ取ったホコリや汚れが多量に混入しているわけで、その分の濁りはどうしようもないのである。それをあまり深く考えると気色悪いからどんどん無視する。最後に粘度調整のエタノールを加え、もうひと混ぜ。これで完成である。

 さて、このままではグワイが悪い。しかるべき容器に移し替えねばならないのである。容器には空になったレコパックのボトルを使うが吉、問題は何を使って移すか、である。

 いろいろ考えた結果、良い物を思いついた。それは、また、明日。

’07/10/05 (金)

短所よりも長所を


 間隙を縫うようにして、1枚だけ聴くことができた。と言っても片面だけだが。「THE VIRTUOSO HARMONICA」(米EVEREST 3172)である。外盤A級セレクション第1集85番収録。

 これが最新着のA級盤である。実物を見るのは初めてで、ジャケットが黄色モノクロだったとは知らなかった。B管オチした三管PJの画、みたいな色だ。所々擦れてハゲている。米EVERESTとくれば、ジャケットがチープなのは仕方がないのである。

 ハーモニカとハープシコードのデュオである。録音は壮絶、でも何でもなくて、飾り気のない極めて質素な音である。超ハイファイでもなく、鬼面人を驚かせるようなところもない。しかしこれが、実に良い音なのだ。何と言うかこの、一種独特の懐かしさを持った音色で、心の奥に諄々と語りかけてくるような印象がある。ちょっとタイクツなレコードか知らん、と思ったら大間違い。聴き入ってしまった。

 長岡先生の選によるレコードの面白さは、実はこういうところにあるンじゃないかと、思う。ただ優秀、なだけではなくて、今日のタイトルのような言うに言われぬ魅力のあるものが、少なからず選ばれているのである。

 成績オール5が万人に認められるのは当然。同時に、一点突出して5、あとは全部1、みたいな成績も、認められて然るべきだという論は、先生ご存命中しばしば書かれていたことだ。レコードの選択にも、そういう考え方が反映されているのかもしれない。

 短所よりも長所を見よ。易しいようで、難しい。

’07/10/04 (木)

聴けず


 まとまった数の優秀録音盤がやってきたのは大変ケッコウ、だが、ここに来てまたぞろオツトメ多忙で、ほとんど聴けずにいる。これじゃまるでレコードコレクターだ。遺憾なあ。

 と言って明日からバリバリ聴けるわけでもなし、これはもう致し方ないのであって、時間に余裕ができるまで我慢することにしましょう。今のところの予定では、来月中旬くらいからは少しゆっくりできる、はず。こんなこと、前にも書いたような気もするのだが。

 ともかくは、オツトメ専一である。

’07/10/03 (水)

七周年

 おかげさまで拙webページ「船長の戯言」も、今日で七周年を迎えることができた。過ぎてしまえばあっという間の7年間、しかし決して短い時間とは言えない。始めた時に生まれた子供たちは、もう小学校1年生になっているのである。そのわりにオノレはちっとも成長しておらず、徒に歳だけ喰ったような現状は、お恥ずかしくもあるわけだが。

 7年、2,555日間にはいろんなことがあった。お励ましをいただいたり、時には腹に据えかねるような罵詈雑言をチョーダイして、もうヤメようかとヘコんだこともある。しかし冷静に考えてみればこれは当然のことであって、ある個人がweb上にほぼ毎日何かしら書き連ねて公開していれば、お褒めもありお叱りもありワルクチもあるわけだ。賞賛の嵐、だったりしたらそれこそ気色ワルイのである。

 ポジもネガも、すべてをありがたいご意見と謙虚に受け止め、今後も続けて行こうと、思う。7年前も今も思うことは同じである。「継続は力なり」。

 心より、御礼申し上げます。ありがとうございます。

’07/10/02 (火)

圧勝


 「antiphone blues」ADは、素晴らしい音であった。水準以上だと思っていたSACDバージョンが、これを聴いた後ではひどく色褪せてしまうほどだ。

 このタイトルの内容は、パイプオルガンとサキソフォンのデュオである。特にサックスの音が、まるで違ってきこえるのだった。浸透力、透明感、切れ、伸び、実在感、力感、質感、そのほかすべての点でAD圧勝。陳腐な表現であることを承知で言ってしまえば、水面下で鳴っていたものが突然面の前に飛び出してきた、まさにそんな印象である。優秀録音盤。

 惜しむらくは、超低域がカットされていること。環境ノイズ(空調か?)による超低域が、ほとんど聴こえないのである。SACDでは明瞭に、と言うよりも怖いくらいのレベルで入っているから、たぶんこの点についてはSACDのほうがオリジナルマスターに近いのだろうと思う。ADでは、安全なトレースを確保するために、ローカットフィルターを入れたのだろう。カウボーイ・ジャンキーズ「トリニティ・セッション」のADとCDの関係に、ちょっと似ている。

 雰囲気作りに一役買っている暗騒音がなくなっているのはいささか残念だが、だからと言ってこのADの価値が下がるわけでもなんでもない。こんな音はめったにないし、ADでしか聴けない音であることも確かだ。良いレコードが手に入り、僕は大喜び。

 今月は何故かニューカマーADが多くあって、しかも優秀盤の含有率が高い。ナイ時はぜんぜん無くて、アル時はドッと来る。

 なんだか昨今の気象状況みたいだ。

’07/10/01 (月)

嬉し忙し


 早10月である。お彼岸明けまで猛暑が続き、今年の秋はどーなるンだろうと、思ったけれどもよくできている。今や当地は晩秋の風情さえ感じられるのである。朝晩が寒くて寒くて。毎年10月10日は「くずてつ家コタツの日」と決まっている。今年も結局はそのとおりになりそうだ。

 今日の画像は、先月19日に載せた「antiphone blues」のADバージョン(瑞proprius PROP 7744)である。注文からほぼ2週間、今日無事に届いた。

 SACDとは違い、ほとんどモノクロの無愛想なジャケットだ。紙質もペナペナで高級感はない。尤も、プロプリウスは大概こんなものなのだが。中古盤のジャケットととしては、中の下くらいの状態である。シワ、折り目がついているし、シミや汚れもある。が、個人的にはまったく気にしない。

 肝心の中身、盤は比較的きれいだった。少なくともキズは見当たらないし、センターホールの探り痕もない。しかし、汚れは多め。ダスパーでクリーニングしただけで針を通すのは、少々勇気が要る感じである。ので、例によって只今得意技のレコパック実施中。今夜聴くには乾燥が間に合わない。早く聴きたいンだけどなあ。

 昨日載せた「ロバの祭り」SCR復刻盤も聴かなきゃ遺憾し、なかなかに嬉し忙しいのであった。

 アナログレコード収集、げに楽しきものナリ。