箱船航海日誌 2006年07月

日々雑感、出来事などを思いつきに任せて綴っていこう

過去の日誌コンテンツ

’06/07/31 (月)

梅雨明け


 一昨日の雨を最後に、ようやく梅雨が明けたようである。近畿地方は昨年より12日遅く、その分夏が短くなったわけだ。30日の発表だから、8月8日の立秋まで9日間。暦の上では8日から「秋」、ちゅうことは実質8日間だけの夏、ということになる。なんだか悲しいなあ。

 8日間だけでも盛夏があれば良しとすべきなのかもしれない。忘れもしない1993年、この年は、夏が全くなかったのである。箱船工事の年だから特に鮮明に覚えている。気象庁は秋になってから「今年の梅雨明けはなかった」と、宣言を撤回した。滅多にないことだ。お盆の最中に台風がやってきて、大雨大風の棚経になったのもこの年である。道中、強風で傘がぶっ飛ばされて大いに弱った。

 お米も空前の大凶作。タイ米やカリフォルニア米を緊急輸入、ヨソ様から助けてもらっておいてクサいのマズいの硬いのと文句をつけ世界中の顰蹙を買ったのは、贅沢三昧大量消費美徳ボケ日本人のアホさ加減を露呈したようで、面白くも情けなかった。13年経った今、そんなことはすっかり忘却の彼方。愚かさは雪崩的である。そのうちバチが当たるぞ。もう当ってるか。

 そういうムチャクチャな年に比べれば、梅雨前線の消滅を確認でき、短いながらも明確な夏がありそうなのだから、それを素直に喜びましょう。

 明日から8月である。「真夏日」になるという。良い響きです。

’06/07/30 (日)

清浄境内


 お盆前恒例の、境内草刈りが無事終わった。早朝からの作業にもかかわらず、今年も大勢の方々がお手伝い下さって、おかげさまでスキンヘッドのような仕上がりである。写真は境内東側の土手。ご覧の通り、ツルツルである。

 作業してくださった方の中には、草刈りのプロみたいな人もいる。向後の参考にと観察してみた。

 まず、作業が非常に速い。草刈機を自在に操り、見る見るうちに刈り進んで行くのである。無駄な動きが少ないわけだ。しかも刈り跡はとてもキレイで、僕のようなトラ刈りにならない。特筆すべきは、刈った草が乱雑にならないこと。刈った草が見事に一方向へまとまって行くのである。僕がやったらこうは行かない。ただ刈り散らかすばかりで、後の処理に困るのだった。

 写真奥にはかなり急斜面の土手がある。機械ではヒジョーに危険である。ので、長柄鎌での手作業になる。これまた見事なもので、長さ1.5mほどの鎌を使ってサクサク刈り進むのである。携帯式の無水砥石を腰に提げ、切れ味が落ちればスイと一砥ぎ。簡単そうに見えるけれど、ヘボがやったら草の上っ面を滑るばかりでちっとも刈れない。草は切れずに息が切れる。

 如何に人海戦術とは言え、広い境内を2時間足らずで作業終了できるのは、斯く言う手際の良さと、加えて女性陣のこまやかな追い回しがあってこそ。ありがたいことである。

 皆さん、本当にありがとうございました。

’06/07/29 (土)

夏でも重ね着


 29日は雨、しかしヒジョーに蒸し暑い日だった。僕の業務用制服とも言える衣を着ると、これがまた暑い。正確には、重ね着するから暑いのである。

 最低4枚、袈裟を着けると5枚の重ね着になる。もちろんすべて風通しの良い夏物で、見た目にはスケスケ涼しげなものである。だが、重ねてしまってはイケナイ。保温効果が出て暑い暑い。Tシャツでも真夏に5枚重ねて着たら、と考えれば凡そ想像していただけるだろう。

 空気層の大切さを思い知るのである。オーディオルームでも同じことである。断熱、保温、それに遮音を考えれば、重ね着が最も効果が高いわけだ。

 汗をかけばダイエットにもなる、けれど、業務終了後、暑い暑いと素っ裸になってビールをぐびぐび飲んでいたのでは無意味だな。

 もうすぐ梅雨明けです。

’06/07/28 (金)

7年目の羽化


 近畿地方の梅雨明け宣言は未だ出ない。しかし季節はすっかり夏らしく、ウチの庭では今、アブラゼミの羽化が真っ盛りである。写真は、まさに幼虫から成虫へ脱皮した直後のアブラゼミ(♂)の勇姿。体も羽もまだ黒くならず、如何にも瑞々しい青磁色である。

 これから彼はここで眤と夜を明かし、体と羽が固まるのを待つわけである。羽化の最中から飛翔可能になるまでの間が、最も危険な時間帯である。

 今、敵に襲われたら為す術はない。実際、羽化の途中で蟻に襲われるのを目にすることは多い。だからこそ、天敵の活動が比較的静かになる夕方から早朝にかけて羽化するのである。

 アブラゼミ。学名Graptopsaltria nigrofuscata、カメムシ目(半翅目)・ヨコバイ亜目(同翅亜目)・セミ科に分類されるセミの一種である。日本では全土に分布(奄美大島〜沖縄地方には亜種のリュウキュウアブラゼミがいる)する最も身近なセミで、はっきり言って珍しくも何ともない。ただ、全世界に分布するセミから見ると、羽全体が褐色不透明であることは非常に珍しいそうだ。セミの羽は、透明なほうがマジョリティなのである。

 僕は名前の由来を永い間、体全体が油で揚げたような黒褐色だからアブラゼミ、だと思っていたがさに非ず。「油で揚げ物をするような鳴き声」が、正しい由来である。確かにジリジリと暑苦しい声ではある。

 5〜6cmの、さほど大きくないヤツだが、コイツに耳もとで鳴かれたらさあ大変。木陰にいて、だしぬけに近くで鳴かれてビックリすることがある。モノスゴイ高能率である。

 発音筋で発音板を振動させ、その音を腹(ほとんどカラッポである)で共鳴させてゲインを稼いでいるわけだ。メカニズムとしてはスピーカーにそっくり。発音筋がボイスコイル、発音板がコーン、腹の共鳴室は、さしずめBHかFHか。小型だけに低域は出ないけれど、中高域の浸透力は抜群である。

 オーディオマニアがスピーカーを鳴らすのは気楽なものだが、彼等はまさに命がけである。6年間土中にいて、最後の1週間ほどでパートナー♀を獲得せねばならない。大きな声で、しかも長く鳴ける♂の勝ち。能率と耐久性が厳しく問われるサヴァイバルレースなのである。

 今夜羽化した彼は、生き残れるだろうか。

’06/07/27 (木)

夏は短い


 九州・四国・中国地方の梅雨明けが発表された。最後っ屁のように大雨を降らせ、各地に被害を残してのことである。あの雨さえなければと、悲しい思いをしていらっしゃる方も多いはずだ。心からお見舞い申し上げます。自然の前に、人間は無力である。

 昨日今日、当地の空もすっかり夏である。近畿地方の梅雨が明けるのも間近なのだろう。例年に比べ、10日〜2週間程度遅れているという。この調子で行けば、ホンマモンの夏は10日間ほどで終わってしまうことになる。8月8日には、もう立秋が来るのである。夏が続く間は楽しい。でも短い。

 間もなくお盆である。体調管理をしっかりやって、僕は暫く業務専一。

’06/07/26 (水)

新鮮ソフト


 この場で新鮮なタイトルを紹介するのは何時ぶりだろうか。ひょっとしたら初めてかと、疑ってみたくなるほどだ。如何に新しいソフトを聴いていないかを証明するようなものである。お恥ずかしいやら情けないやら。

 それはともかく、今日のCDは2006年4月リリースの、新しいものである。先日MYUタカサキさんからご恵贈いただいた仏HMレーベルのサンプル盤で一部を聴き、大いに気に入って早速MYUさんへ注文しておいたのである。

 「ドヴォルザーク / 弦楽四重奏曲第12番ヘ長調 Op.96 『アメリカ』 ピアノ五重奏曲イ長調 Op.81 / イェルサレム・カルテット シュテファン・ヴラダー(p)」(仏harmonia mundi HMC 901899)。(C)(P)2006。全12トラック65分31秒。2005年6月、ベルリンのテルデックス・スタジオ(スペルは『Teldex Studio』。テルデック・スタジオかな?)で録音。

 イェルサレム・カルテット。クラシック方面にはトンと暗く、寡聞にして不知である。ので、少々調べてみたれば次の如く。1993年、イェルサレムで結成される。グラーツ国際コンクールで認められ、BBC、ブイトーニ・トラストから資金援助を受けつつ、将来を嘱望される新人、であるらしい。この程度でご容赦ください。

 演奏はキビキビしていてリズミカル、カッタルさは微塵もない。明るい曲風とマッチングが良く、聴いていて爽快な気分になる。若さかな。おそらくその分、深みや老獪な上手さ、などには欠けているのだろうと思うが、個人的には大いに好むところである。文句なし。

 音は最高レベルである。これまた文句なし。弦楽器の生音が持つ鋭さ、鮮烈さを保ちながら、しかも決してヒステリックにならない。実に切れが良く、しなやかで輝かしく、厚く豊かな音だ。独特の気品が漂っていて、質感の高さとはこういうものだと言わんばかりの高品位サウンドである。この音、まさに仏HMの独擅場。やっぱりこうでなくっちゃあイケナイ。

 スタジオ録音と言っても、よくあるデッドで無味乾燥な「録音スタジオ」とはずいぶん違うようだ。デッドに過ぎずライブに過ぎず、響きのバランスが大変よい。音場も極めて自然でリアルそのもの。Dレンジが非常に広いのである。デッドなスタジオで演奏者1人1人を別ブースに仕切り、多くのマイクを使って録ったのではこんな音にはならないはずだと、シロウトは感じるのだが、本当のところはどうなのだろうか。

 間違いなく優秀録音である。特薦盤。

’06/07/25 (火)

諦めては遺憾


 このレコードを話題にするのも何回目か、少なくともこれまでに2回は載せていると思う。「The Power and The Glory Volume 1」(米M&K REALTIME RT-114)。(C)(P)1978。一時は恐ろしいほどの値が付いたこともある、超有名なオルガンD2D盤である。

 初めての入手は2003年5月、海外ショップで発見して買った。この時はもう夢じゃかなろかとホントにほっぺたをツネったくらいで、まさに狂喜乱舞したのだった。それほど欲しかったレコードなのである。人間の欲とは恐ろしいもので、1枚手に入れたらもう1枚欲しくなった。

 ちゅうわけでその後も探索の手を緩めず、2003年11月に2枚目を発見。これは当時未入手だった友達に紹介し、無事に買われて行った。半年間で2枚発見できたわけだ。この調子なら3枚目もそう永くはかからないかと、思ったのは、見方が甘かったのである。

 その後プッツリと発見できなくなってしまった。もともとプレス数の多くないD2D盤であるうえに、求める人も多い。冷静に考えればそれが当然なのだ。半年で2枚も見つかったのは稀有の幸いと言うべき。しかし諦めるわけには行かない。僕はどーしても複数枚持っておきたいのである。

 2枚目から2年8ヶ月、ついに3枚目を発見した。しかも未開封新盤である。「BUY NOW」ボタンが押せるところを見るとまだ在庫している可能性が高い。色めき立って注文したら大当たり。それから6日後の今日、手元に届いた。ボカァとってもうれしいです。

 未開封と言っても中には開封盤をリラップしたマガイモノがあったりするわけで、しかし今回のものはヴァージンシールが茶色っぽく変色していたり、所々破れたりしているところを見ると、おそらくホンモノの未開封新盤だろうと思う。実際、盤面は非常に綺麗でキズ一つない。センターホール周辺の探りキズも皆無である。ジャケットもピカピカだ。疑ってばかりいても幸せになれないから、ここは素直に信じましょう。

 これでVol.1、Vol.2とも新盤が入手できたことになる。開封試聴済みの中古盤にいささかの文句はないものの、やはり針が通ったことのない新盤は、ヒジョーにうれしいのである。

 入手困難なレコード探索に、諦めは禁物なのだなあ。

’06/07/24 (月)

稀少乳牛


 8月が近づいてきて、何となく慌しい気分である。昨日は愚妻とお盆の買い出しに出かけ、そのついでに京丹後市久美浜町にある「丹後ジャージー牧場」まで足を伸ばしてきた。行ってみればウチから車で30分、ちっとも遠くないのであった。ここでは国内に珍しく、ジャージー乳牛を飼育、搾乳しているのである。

 日本の乳牛で圧倒的に数が多いのは、ご存知白黒ブチ模様の牛、ホルスタイン種である。全飼育数193万頭のうち99%を占め、残り1%をジャージー種、ブラウンスイス種、ガンジー種が分け合う形になる。後三者ではジャージー種が最も多く、約8,000頭。それでも全体の0.4%と、国内では稀少な乳牛である。

 原産は英仏海峡の島、ジャージー島で、これが名前の由来。フランス産ブルトン種とノルマン種をもとに500〜600年かけて品種改良を重ねられた牛である。乳牛の中では最も小型で、ホルスタイン種よりもかなり小さい。体毛はご覧のとおり茶色、性格は大変おとなしく人に従順である。実家が黒毛和牛を飼育していた愚妻は「目がとても優しい」と言った。

 ジャージー種から搾られる乳は脂肪分が5.2%以上含まれ(ホルスタイン種では3.8%)、カロチン(最近は『カロテン』と言わねば遺憾か)を多く含む優秀な牛乳である。濃厚で甘く、チーズやバターを作っても非常に美味しいものができるのである。良いことばかりのように思えるわけだが。

 生産効率が悪いのである。1頭あたりの年間平均生産量を比較してみると、ホルスタイン種が約8,000kg、ジャージー種は約5,600kg。さらに前者は食肉用に転用することができると来て勝負あり。ホルスタイン種の中には、20,000kg以上採乳できるスーパーカウもいるそうだから驚いてしまう。商業ベースにおいては、効率は最上第一条件なのである。

 とは言え、高品位な牛乳にこだわる生産者もある。丹後ジャージー牧場では現在、搾乳牛育成牛合わせて32頭のジャージー牛を飼育、その様子は常時見学可能で、牛に触ることもできるのである。牧場としては小規模だが、その分管理が行き届いているとも言える。2004年には牧場内に「ミルク工房そら」を開店し、鮮度の高い乳製品を生産販売している。

 ソフトクリームを食べてきた。驚くほど濃厚で、他ではちょっと味わえないものである。無添加無調整、目の前に乳牛を見ながら食べるソフトクリームは、小規模牧場ならではのウルトラダイレクトだ。トランジェント最高。伝送経路が短くて良いのは、オーディオだけではないのである。

 プリンを買って帰ったら、愚息ドモが「ぐわ、すんごくウメエ」と言ってあっという間に食べてしまった。オリジナルチーズ、バター、ジェラートなども販売していて、全品web上で注文購入可能である。チチウシだけにカウのである。是非お試しあれ。

 丹後半島の美味いモノ、魚やカニだけでは、なかったわけだ。

’06/07/23 (日)

撮り逃し


 不鮮明な写真で恐縮である。22日午前1時頃。暗闇ロング撮影、パワー不足のストロボを使い、しかも目いっぱいズームし、それを画像ソフトで明るく見えるようにしたものだから、こんな画になってしまった。

 かくも強引な写真を撮ったのには理由がある。この一瞬前まで、画面中央には立派なイノシシが、いたのである。母屋に帰ろうと箱船を出たところ、どうも何かの気配がする。何かいる。そのまま見に行ったらアブないので、箱船へ戻って2階へ上り、階段室の窓から東側の土手を見下ろせば、そこに大きなヤツが居た。

 体長1.5m以上はあったろうか。鼻先でバフバフ土を掘ったり、辺りの雑草をカジったりしている。僕の存在には気がついていないようだ。これまでにも一瞬姿を見たことはあった。こんなにじっくり見られたのは初めてである。さすが野生動物、家畜やペットにはない迫力がある。2階から見ているから余裕をカマしているが、こんなのと同じ地平でイキナリ出会ったら、鹿より怖いのである。

 何とか写真に撮りたい。デジカメはパソコンの前だ。入り口の引き戸をソオッと開けた瞬間、イノシシ僕に気が付いた。険しい顔つき(に見えた)で眤と睨みつけ、大きな体に似合わぬ素早い動きで写真左奥の暗闇へ姿を消したのである。残念無念、勇姿を画像に残すことは、できなかった。

 写真中央やや下に見える黒い部分。これはイノシシが土手を掘り返した跡である。ここは以前から何度も掘り返されている。何か美味しいものがあるのだろうか。虫か、ミミズか、或いは彼らの舌に合うような植物の根か。まさかトリュフがあるはずは無し。

 この辺りの山に棲む動物で、現在最も数を増やしているのは鹿だと聞く。ハンターさんに言わせれば、野性鹿なんかちっとも珍しくないそうだ。それに比してイノシシはやや少なく、しかしこれも近年は増加傾向で、田んぼや畑をグチャグチャにする被害が多く出ている。

 数が増えればそれに見合っただけの食料が要る。しかし山にある量はほぼ一定、結果的に食糧不足となり、人里にまでお出ましになる、というわけだろう。あれだけの体を維持するには、そりゃあたくさん食べなくちゃなあ。彼らもヒッシなのである。

 次回見かけた時には、なんとしても写真に撮りたいものだ。

’06/07/22 (土)

THE SIX WINDS


 小川洋氏からご恵贈いただいたCDのうちの1タイトルである。「舞浜 / THE SIX WINDS / JAPAN TOUR2002 SUMMER Vol.2」(日Ohrai Records JMCK-8003)。(P)2004。

 「THE SIX WINDS」は、昨日少しばかり触れた梅津和時(As)に加え、マリエット・ルーペ・ヴァン・デル・ヴォート(Ss)、ディース・ラ・デューク(Ss)、アンドリュー・ホワイト(Ts)、アド・ペイネンブルグ(Brs)、クラース・ヘックマン(Bs)の、サキソフォン・セクステットである。梅津氏以外のミュージシャンについてはほとんど不知、お恥ずかしいことだ。

 2002年7月に行われたジャパン・ツアーの記録で、全5トラック43分38秒。全曲ライブ録音である。もちろん小川洋氏の録音だ。曲風としてはフリージャズに近いが、さほど前衛的でもなく取っ付きにくさはない。何となく「WORLD SAXOPHONE QUARTET」を思い出した。

 トラック1、3、4、5は浦安市舞浜の小規模なライブハウス(webでは『ギャラリー&カフェ』となっている)「b-stile」で、トラック2だけが京都市にある老舗ライブハウス「磔磔」での収録。「磔磔」という名は僕にとって非常に懐かしい。ロックバンド「三十三間堂」時代、ここで演奏したことがあるからだ。もう24年も前のことである。

 小川氏の解説によると「定位と音色はあくまでも明快で、かつ全体の空気感をうまく録り込むことを狙い、6人にそれぞれ単一指向性マイクを置いた上で、客席の中に設置したメインマイク(ダミーヘッドマイク)とミックスした」ということだが、その狙いは見事に結実している。

 全体的に薄っぺらさは皆無、バリバリと気持ちよく鳴る。各パートの良さが充分に出ていて、ソプラノ、アルト、テナーは切れよく伸びやかに、バリトン、バスは厚く豊かに、生音の鋭さがよく再現されていながら、やかましくならない。音場も自然で、b-stileと磔磔の違いがきわめて明確にわかる。僕はb-sitleの規模を知らないけれど、音と音場からすると磔磔よりも狭いか。前者はややデッドでドライ、後者は響きが多めで音にも艶が乗る感じである。

 サックスの録音には、薄っぺらくヒステリックで埃っぽいものが多く、なかなか優秀なものには出会えない。個人的には米nonesuchの「WSQ PLAYS DUKE ELLINGTON」(9 79137-2)が最高だと思っている。この「舞浜」は、それに勝るとも劣らないと聴いた。優れたCDだ。梅津氏のサックスも聴けたし、僕は大満足である。

 小川さん、ありがとうございました。

’06/07/21 (金)

どこかでつながっている


 小川洋氏より、CDをご恵贈いただいた。しかもまとめて4タイトルも。すべて小川氏の録音によるものである。ご厚意、ありがとうございました。

 早速聴きたい、ところなのだが少しく繁忙で叶わず。折角のCD、同じ聴くにも居ずまいを正し、集中して聴きたいと思う。となると、気持ちに余裕がないと遺憾わけだ。業務、趣味、どちらも疎かにはできないのである。

 4タイトルそれぞれ興味深い音源だが、その中でも特に期待しているのは、彼の有名なサックスの名手、梅津和時氏の演奏が聴けるCDである。知る人ぞ知るアンダーグラウンド・ジャズ・グループ「生活向上委員会」のメンバーにして、メジャーどころでは「RCサクセション」にも参加した。僕が学生時代、学祭に「生活向上委員会」を招いて以来(25年前である)のファンなのである。

 僕にとっては極めて貴重な音源である。しかもそれが小川氏の録音とは、ご縁の不可思議を感じざるを得ない。人はいつもどこかで繋がっています。

 明日は、聴きたい。

’06/07/20 (木)


 先週の土曜日から降り始めた雨は、一旦小康を見たようである。15日から昨日までの降り様は、そりゃアもう尋常ではなかった。まったく止むことを知らず、特に16、17、18日は滝のような雨が、まさに四六時中降り続いたのである。

 この様子では間違いなく災害になると思っていたら、やはりあちこちムチャクチャになっている。京丹後市間人(たいざ:蟹で有名な丹後半島の街)では大きな被害が出てしまった。当地はどうやら平穏無事であった。が、災害報道を見るにつけ、他人事とは思えない。明日は我が身、かも知れないのである。

 写真は福知山市天津の国道175号線から由良川を望むものである。19日朝、徳さん撮影のものをお借りした。遠くに橋が見えるが、水位が路面スレスレまで上がってしまっている。この橋に続く道路はすっかり水没、今朝方業務でこの道を通ろうとしたが、午前中は通行止だった。

 つい先日まで、今年はカラ梅雨だと思っていたらこの有様。昨冬の大雪と言い、昨今の天候は「ちょうど好い加減」ということを知らないようだ。降らんとゆーたらまったく降らん、降るとゆーたら箍が外れたように降る。季節だけでなく、気象まで1ビットディジタル化されてしまった感じ。安易に「異常気象」などと知ったようなことは言いたくないけれど、ここ数年のグワイを見ているといささかブキミではある。

 今夜から明日にかけ、前線が再び北上するという。要警戒である。

’06/07/19 (水)

オリジナル盤の価値とは


 海外レコードショップのカタログにライナー指揮シカゴSO「シェエラザード」(米RCA LIVING STEREO LSC-2446)の1960年オリジナル盤が載っていた。$99.99。日本円にして11,600円くらい。オリジナル盤としては比較的安いほうである。一瞬、食指がピクッとしたわけだが。

 この盤は以前、M85さんがお越しになった折にご持参くださって、聴かせていただいたことがある。クラシック・レコーズ復刻盤との比較試聴をしてみたのである。結果は復刻盤の勝利。180g33回転盤、45回転盤、200g33回転盤、いずれもがオリジナル盤を上回っていた。

 名演奏名録音オリジナル盤といえば、マーキュリーレーベルから1954年にリリースされたドラティ指揮ミネアポリスSOの「1812年」(米MERCURY SR90054)を持っている。上の写真がそれである。200万枚以上売れたというから、クラシックとしては超メガヒット盤ということになる。

 このレコードは1995年にリマスターCD(米MERCURY 434 360-2)が出ていて、長岡先生の推奨盤にもなっている。僕はそっちを先に聴いていたのである。これは凄い。カノン砲のつるべ打ち。強烈発射音大炸裂。オケも切れと力があり、とても50年前の録音とは思えないものだ。サウンドマニアには特薦。

 この音がオリジナル盤ではどうなっていたのか。大いに興味があり、数年前に神戸のレコード店で見つけて買ったのである。CDは廉価盤で安かったが、さすがにオリジナル盤は高価で、確か15,000円くらいしたのではなかったかな。

 期待して聴いたが残念。こちらのカノン砲はいささか寂しい。レンジが狭く埃っぽく、かすれたような音である。原録音は、リマスターCDに聴くが如く優秀なものだったに違いない。しかし、当時のカッティング、プレス技術では、録音の良さを生かし切れなかったのである。致し方なしだ。おそらく「シェエラザード」にも同じようなことが言えるのだろう。

 すべてのオリジナル盤がリマスター盤、復刻盤に劣るわけではないと思う。DECCAの「ニーベルングの指環」(ショルティ / WPO)のような例外もある。要するに、目利きが非常に難しいのである。僕のような浅学の輩が、ウカツに手を出すべきものではないのだ。オリジナルの価値は、音だけに非ず。

 というわけで、今回は見送り、と思ったら既に「Sorry, This item is currently out of stock」の表示が。ちゃんと落ち着くべきところへ落ち着くのである。

 歴史的背景も含めて、本当の価値がわかる人のところへ。

’06/07/18 (火)

音つながり


 故あってギターの練習中。イヤ、別に人様の前で演奏を披露しようなどというボウキョに出るわけではゴザイマセン。ちょっと弾いてみたい曲があり、ホンのコード弾きだけやってみようかと。下手の横好きである。

 学生時代はバンドをやっていたこともあって、コードだけくらいなら手元を見ずに弾くこともできた。今はまったくダメダメ。「C」「G」「Am」あたりはまだしも、7th、9th系なんか押え方すら忘れてしまった。ネットで「ギターコード」を検索し、やっとのことで思い出し始めているような有様である。

 久しぶりに弾いてみると、これがなかなか楽しいのである。ギターは昔々のGreco製レスポールカスタムモデル、アンプラグドで弾けば音が小さくて夜の練習にはちょうどよい。愚息1号の仲間が置いているギターアンプがあるから、それにつないでやろうかとも考えたが思い止まった。ヘタなヴァイオリン以上の近所迷惑に、なってしまうのである。ヒソヤカに、楽しみましょう。

 写真をご覧になって、ちょっとヘンだと思われた方もいらっしゃるだろう。弦を押えるのは、通常左手ではないのか。左様、どういうわけか僕は楽器に関してだけ左利きなのである。

 ドラムも昔はレフティーだった。不都合(セッティングが全部逆になる)が多いので、途中からムリヤリ右に矯正したのである。小学生時代、学習発表会でアコーディオンを担当した時は、先生も僕もヒジョーに困った。

 爆裂サウンドマニアの権化、毎日ゲテモノばかり聴いているみたいに思われている僕だけれど、根っこの部分は音楽ファンなのでゴザイマスと、言い訳のようなことを書いておこう。

 音楽、楽器、オーディオ。音つながりであることだけは、間違いない。

’06/07/17 (月)

成功の母


 スーパーネッシーMkIIはFE-208ESを片ch3発使う。2発がダメだから3発、というわけではない。如何に僕が大音量派と言えども、2発なら充分である。ではなぜ3発なのか。

 動機はヒジョーに単純である。208ES×3なんて共鳴管システムはどこにもないから。あれば見てみたい聴いてみたい。ならば自分で設計してしまえ、というわけである。

 3発にするメリットデメリットを思いつくままに挙げてみる。まずメリットから。システムとしての能率が上がる。1発あたりの負荷が軽減される。同じ音量で見た時に混変調歪みが減る。結果、Dレンジが広くなる。振動板面積が増えることで低域が伸びる。水平指向性が広くなる。エンクロージャーの重量、底面積が増えて安定が良くなる。

 デメリット。相互干渉でF特が暴れる。ハイ落ちになる。垂直指向性が狭くなる。最下方のユニットが床に近くなり反射が増える。(3パラの場合)インピーダンスが低くなりアンプの負荷が大きくなる。3発のユニットが協力して効率良く管をドライブするかどうか疑問が残る。管内部の気流が複雑になり振動板の動きを妨げる。結果、歪みが増えDレンジが狭くなる。エンクロージャーが巨大化する。重くなる。

 メリットデメリットはおおよそ表裏一体である。どちらが前面に出てくるのか、それは実際に音を聴いてみるまでわからない。設計段階で、ある程度デメリットへの対策は盛り込んだつもりだが、それが奏功するかどうか。メーカーなら何度も試作品を作って練り上げて行くのだろうけれど、アマチュア設計ではそうもいかない。一発勝負なのである。

 不安と期待が入り混じった感情は、完成するまで消えない。尤も、それがオリジナルスピーカーを自作する最大の楽しみであるとも、言えるわけだ。

 失敗は成功の母である。

’06/07/16 (日)

死蔵品復活


 450×90×9mmの黒檀板が2枚、150×100×5mmのバーズアイメイプル板が5枚。買ったのはいつのことか、たぶん10年くらい前ではないかと思う。どちらも銘木の部類に入る板だが、中途半端なサイズの端材扱いで、非常に安かった。まともなものなら、とんでもなく高価になる材である。

 これを使ってスピーカーに意匠を凝らしてみたい、などと、不精な僕には凡そできそうにもないことを考えて買ったのである。実際、10年経った今も何の役にも立っておらず、完全な死蔵品に成り下がっている。極めていい加減なのである。

 SネッシーMkIIの図面を眺めていて、すっかり忘れていたこの板のことを思い出した。ひょっとして、山越木工房さんなら、新しいスピーカーに活かしてくださるンじゃあるまいか、と。浅慮くずてつ得意の、思い付きである。

 早速連絡すると、「折角の銘木板ですから、何か良い意匠を考えましょう」と、大変快く応じてくださった。いつもながら、感謝するばかりである。相談することしばし、使い道がほぼ決まった。どんなふうになるかは、出来上がってのお楽しみ。ちょっとイイ感じに、なりそうです。

 10年前というと、箱船のメインスピーカーはまだネッシーMkIIだった。それから数えて三代目になり、ようやく当初の目的を達成できるわけだ。買っておいて良かったと言うには、あまりも気の長い話である。

 ともかくは、活かせることを喜びましょう。おかげさまである。

’06/07/15 (土)

はじめてのチュウ


 「はじめてのチュウ」という曲をご存知だろうか。ウチの愚息ドモと同年代('80年代末〜'90年代前半生まれ)のお子様がおいでの方なら、わかっていただけるかもしれない。

 1988年から1996年の8年間にわたり、フジテレビ系で放送された「キテレツ大百科」というアニメがある。藤子不二雄氏の作品である。このアニメのクロージングテーマ曲に使われていたのが、あんしんパパ歌うところの「はじめてのチュウ」だった。

 初めて女の子とキスをした男の子の気持ちを歌ったこの曲が僕はとても好きで、アニメそのものも大人が見ても面白かったが、それ以上にクロージングを楽しみにて見ていた。メロディーラインには独特の優しさ懐かしさがあり、レコードを早回ししたような声で歌うボーカルもチャーミングで良かった。

 近頃バンドにご執心の愚息1号が、どこかで聴いたことのあるような曲をヒッシで聴いている。「この曲何ていうの」とたずねると「ハイスタの『My first kiss』ていう曲」と言う。ハイスタとはナニモノぞや。

 「Hi-STANDARD」というJ-ROCK(正しくはJ-PUNKだそうな)グループである。「My first kiss」。つまり「はじめてのチュウ」である。歌詞を英訳し、テンポを上げてロックンロール風にアレンジしてある。道理で聴いたことがあるはずだ。彼らのマキシCD「Love is a Battlefield」(日PIZZA OF DEATH RECORDS PZCA-2)に収録されている。

 これがなかなかタイトで威勢のよい曲に仕上っている。やはり元々の楽曲が良いということは素晴らしいことなのである。「これって『キテレツ大百科』の歌とチャウのん」というと「そう。みんな懐かしがって、そんでコピーすることにした」と。そうかあ、キミタチが生まれてから5歳までくらいに聴いていた曲だもんなあ、ナルホドなあと、妙に嬉しくなってしまった。

 箱船でも聴いてみた。音はいささか苦しいけれど、パソコンで聴くことを思えば遥かにレンジが広く切れも出る。出すぎてちょっとウルサイ。バスドラムはドスが利いていてなかなかヨイ。これをコピーして演奏するのだな。うーむ、ロックオヤジは羨ましいぞ。試しに「ワシもコピーするから混ぜて。ツインドラムでやらんか」と言ってみたら、即座に「イヤダ」と断られてしまった。

 そらそーだろうな、ヤッパリ。

’06/07/14 (金)

日誌七つ道具


 国語辞典に漢和辞典、禅語辞典と、ついでに英和辞典と和英辞典。僕が日誌を書くために必要欠くべからざる七つ道具である。時に独和辞典や仏和辞典、外来語辞典や反対語辞典なども欲しくなるけれど、さすがにそこまでは手当てできていない。

 多寡が戯言的日誌如きに大げさな。要するに国語力(外国語力は言うに及ばず)の貧困を露呈しているわけである。尤も、いくら辞書を使おうともそれによって国語力が向上するものではなく、しかし少なくともとんでもない誤りだけは避けられるはずだ。

 最近、web上の文章を読んでいると、いささか気になる誤りを見かけることが多い。「以外」と「意外」、「以下に」と「如何に」などの誤用混用、「ふんいき」と「ふいんき」、「なにげなく」と「なにげに」、中には「度外視」を「度返し」(『どがえし』と読むのかな?)と、微妙な間違いだが完全に意味不明の表記があったり。

 しかし僕はこれらの間違いを、他人事と笑うことができない。以前「書き入れ時」を「書き込み時」と誤ったことがある(ありがたいことにご指摘があって気がついた)し、これまでに書き溜まった日誌を精査すれば、「どがえし」に類するような誤りが発見される可能性は高いのである。

 だからこその、七つ道具。今から全日誌を詳しく調べることは不可能に近いが、ただ今の1回分だけなら何とか注意できるかもしれない。などとエラそうなことを言っておいて、今日の文章に妙な間違いがあれば噴飯ものである。

 昨今のクイズ番組に、漢字読み書きの問題が目立って増えているのは、やはり国民的規模での国語力低下が起っていることの証左なのだろうか。次の漢字にふりがなをつけなさい。「屯する」「寓ける」「恙無く」「具に」「堆く」「頗る」「恬らか」。こんなもん読めんでも日常困らない。確かにそうなのだケレドモ。辞書なしで全部読めた方には賞品を差し上げます。

 戯言とは言え、男45にもなれば書いたことに責任を持たねば遺憾。そうであってみれば、でき得る限り稚拙な誤りは、少なくしたいと思うのである。

 今日も、国語辞典漢和辞典にはお世話になりました。

’06/07/13 (木)

仕様決定


 運搬用ハンドルの取り付け依頼を以って、スーパーネッシーMkIIの設計仕様はすべて完了した。これ以上言うことはない。あとは完成を待つばかり、だが、山越木工房さんのほうは、これからが大変なのである。よろしくお願いいたします。

 写真は現用の、同社謹製オールバーチカスタムラックである。早いもので、導入から2年が経とうとしている。ますます快調絶好調、今やこれ無しに僕のオーディオは語れない。史上(私上?)最強のオーディオラックである。

 システムに組み込む前に撮ったものだから、全体がよく見える。木目の美しさが印象的だ。メイプルよりもクッキリした目が、バーチの特長である。ドラムシェルにも頻用されるだけのことはある。機器を置くとほとんどが隠れてしまって、ちょっともったいない感じ。

 SネッシーMkIIは、ラックに同じくオールバーチ仕様である。木目の美しさが存分に味わえるスピーカーになるだろう。音がどうなるかは聴いてみるまでまったくワカランけれど、ルックスは現用に比べて格段に向上、というより次元の違う美しさになることだけは間違いない。比較するのもシツレイっちゅう話である。見た目と音には不思議と相関関係があり、姿が良くなると音も良くなる。スピーカーは顔が命です。

 ここまで来たらアレコレ心配していても始まらない。楽観的、かつ前向きに使いこなしの策を練るだけである。我に秘策あり。ンなはずはないのであって、初鳴らしからしばらくの間はどーしたもんかとトホウに暮れること明白。だが、焦る必要はまったくない。

 そこからが、オーディオの最も美味しいところとも、言えるわけだから。

’06/07/12 (水)

松無古今色


 松に古今の色無し。常緑の松は、お釈迦様の教えの普遍性を象徴するとして、お寺の境内に欠かせない樹である。

 ウチにも以前はアカマツが4本、クロマツが3本ほどあったが、ご存知のとおり近年は松大受難の時代である。凶悪大害虫、マツノザイセンチュウの所為とも、酸性雨が原因とも言われるが、確定するには至っていない。山の松(特にアカマツ)は、ほとんど全滅状態である。マツタケが激減するのも当然の成り行きだ。

 南向きの土手縁にあったアカマツとクロマツは、20年ほど前に全滅。前庭中央の最も立派(樹高8m超)だったクロマツは数年前、どうも様子がおかしいと思ってから1週間、あっという間に枯れてしまった。伐ったあと幹を調べたら、ミミズを小さくしたような虫がウジャウジャいてキボチ悪かった。これは間違いなくマツノザイセンチュウによる枯死だったと思う。

 最後に残ったのが、写真のクロマツである。樹高3mほどの小さな樹だが、どうやら生き延びている。もちろん無策ではない。上記の松に前後して葉の先が真っ赤になり、瀕死の状況になったこともある。枯死を覚悟で幹に直接薬剤を注入したり、周囲の土壌を改善したりしてようやく持ち直し今日に至る。ここ数年は緑も鮮やかに大変元気である。

 今日から手入れが始まった。この松を、ずっと看続けてくださっているA氏の手によるものである。命の恩人だ。繁りすぎた葉を摘み余分な小枝を落とす。「幹回りは順調に太っているし、葉も青く瑞々しい。元気です」とはA氏の弁である。

 松の木は残った。大切にせねば遺憾。

’06/07/11 (火)

みんな元気


 台風3号の影響か、モノスゴイむし暑さである。外は生暖かい南風がビュービュー吹いている。山に囲まれた当地にしては珍しい、今夜は熱帯夜になりそうだ。

 不快感絶大でも寝苦しくとも、僕は寒いのより暑いほうが好きだ。低気温で固まったようになって寝るより、暑い暑いとノビて寝るのがよい。

 オーディオも暑い時期のほうが音が良いと思う。もちろん度を越えて高温なのは問題外、しかし総じて冬場より開放的で伸びのある音が聴ける。キカイも人間と同じく、冬は寒さに固まっているのである。

 暑い時期になって困るのは、いろんな生き物も活発に動き出すことである。セミやトンボ、ツバメが元気に飛び回るのは夏の風物詩で大変結構。中には不意に出会って肝を冷やす生き物もいる。

 先日も、箱船入り口のドアを開けた瞬間、首筋に冷たい物体がぺたりと落ちてきた。ふんぎゃー、と叫んで払いのけたら、それはつぶらな瞳をしたヤモリ君だった。外灯に集まる虫を狙っていたのだろう、そこをイキナリ邪魔されて飛び退いた先が、僕の首筋だったわけだ。僕も驚いたが、彼(彼女?)はもっと怖かったに違いない。

 基本的に爬虫類は嫌いではないけれど、やはり突然首にくっつかれるとキボチ悪いわけで。彼らはヒジョーにチベタイのである。まあしかし、ヤモリは「守宮」とも書くくらいで、これがいる家に悪いことは起らないというから、良しとしよう。

 生き物も元気、オーディオも元気。やっぱり僕は、夏が好きなのである。

’06/07/10 (月)

優秀録音目白押し


 MYUタカサキさんからまたまたCDをご恵贈いただいた。仏harmonia mundiレーベルの最新サンプル盤「hm news / 2006 new releases january-june」(SP 088)である。

 今年1月から6月までにリリースされた新譜27タイトルから1曲ずつ、27トラック収録。トータルタイム79分59秒と、まさにてんこ盛りである。以前はヒッシになって買ったHMだが、最近とんとご無沙汰。最新録音をまとめて聴くのは久しぶりである。ちょっと、楽しみ。

 27トラックすべて聴いた。タイトルによって多少の差はあるものの、全編正しくHMサウンドである。ADからCDに移行した一時期、かつての艶、輝き、厚み、瑞々しさなどが失われてガッカリしたこともあったが、今や完全に復活したようだ。どこから聴いても音が出た瞬間、理屈抜きに「あっ、いい音!」と言わずに居られない。やっぱりHMは凄いなあ。

 トラック1、モーツァルト「皇帝ティートの慈悲 序曲」(CD:HMC 901923.24 / SACD:HMC 801923.24)。これは特に素晴らしい。27トラック中最高だ。やはりトップバッターは重要なのである。人と同じく、第一印象は大切です。

 繊細で美しく響く弦楽器、ソリッドで実在感のある打楽器、自然な余韻、渺々として広大な音場、リアルな音像と定位、文句なしの優秀録音である。ホールの空気感もよく再現される。音に深い艶と厚み、独特のしなやかさがあり、ひょっとしたら以前のHMを上回っているかもしれない。音色が明るいのもモーツァルトの曲風とマッチしてヒジョーによい。ため息が出るほどの良い音、である。

 他、トラック12(バッハ / ゴールドベルグ変奏曲 CD:HMC 907425.26)、15(テレマン / リコーダーコンチェルト CD:HMC 901917)、21(ブルックナー / 交響曲第4番 CD:HMC 901921)、27(ドヴォルザーク / 弦楽四重奏曲第12番「アメリカ」 CD:HMC 901899)も大変優秀。ここは一丁買わねば遺憾のである。

 という気にさせるのは、このサンプル盤が非常に上手く作ってある証左だろう。今やすっかりメジャーレーベル化した感のあるHMだが、録音の質と企業努力のこまやかさは、いささかも失われていない。これは稀有で、しかも立派なことである。

 MYUさん、大変質の高いサンプル盤を、ありがとうございました。

’06/07/09 (日)

NY CATS


 紹介しようと何度も考えながら、躊躇しているうちに買ってから2年も経ってしまった。「JOHN TROPEA / NY CATS DIRECT」(米dmp GOLD-9003)。(P)(C)1995。9トラック62分48秒。

 長岡先生の推奨盤「TRICYCLE」(同 GOLD-9000)と同じシリーズの4タイトル目、といっても9004以降がリリースされたとは聞かない。192-24やDSDなど、高規格フォーマットが常識化した今、役目は終わっちゃったかな。

 原録音は1985年9月4〜5日、三菱のディジタル・レコーダーX-80(サンプリング周波数50.4kHz)を使用。dmpレーベル得意の、2トラック一発録音である。それを20BITリマスターし、金蒸着CDに仕立ててある。

 「20BITリマスター」という作業が如何なるものか、知識浅薄な僕にはよくわからない。「TRICYCLE」で通常盤とリマスター盤を聴き比べた限りに於いては、レンジが拡がり、切れ、伸び、透明感、瞬発力、スピード感など、多くの点で大幅に改善されるようだ。

 ジョン・トロペイに関しては、ご存知の方も多いと思う。わりと有名なフュージョン系ギタリストである。アンソニー・ジャクソン(B)、スティーブ・ガッド(Ds)らと組んだ「ジョン・トロペイ・バンド」で来日もしている。

 2人は本作にも参加しているが、「NY CATS」はパーマネントなグループではないようだ。この録音のためだけに集まったセッション・グループなのだろう。他の有名どころとしては、リチャード・ティー(Kbd)、ルー・マリーニ(Sax)、アラン・シュワルツバーグ(Ds)なども参加している。

 楽曲は正しくフュージョンで、好きな人なら大喜び、興味のない人にはタイクツ極まりない音楽だ。おそらく長岡先生なら紹介されないと思う。「TRICYCLE」は例外なのである。それだけ音が良かったということか。

 僕はこのCDが好きだ。ただ、スティーブ・ガッドが叩いている曲はイマイチ。僕は昔からこの人のドラムがニガテなのである。

 1曲目「Free Lunch」、冒頭からどかーんと豪快な一撃で始まる。痛快である。音に力があり低域の押し出しが凄い。切れと浸透力のあるサウンドはなかなかのものだ。ただ、質感、殊にしなやかさ、繊細感はイマイチ。歪み感も少ないとは言えない。全体的に音が乾いた感じなのである。この辺りが「TRICYCLE」との大きな差だ。音の頭が抑えられているような印象もあり、スカッと伸び切らないふうでもある。フュージョンとしてはよくできた録音だが、優秀というにはもう一息。

 とまれ、フュージョンファン、トロペイファンにはお薦めである。

’06/07/08 (土)

七夕


 「ではみなさんは、そういうふうに川だと云われたり、乳の流れたあとだと云われたりしていたこのぼんやりと 白いものがほんとうは何かご承知ですか。」 先生は、黒板に吊した大きな黒い星座の図の、上から下へ白くけぶった銀河帯のようなところを指しながら、みんな に問をかけました。

 宮沢賢治の名作「銀河鉄道の夜」の冒頭である。童話というにはあまりにも難解で、あまりにも深いこの小説が、僕は大好きである。初めて読んだのは小学生高学年の頃か。随分幻想的で抽象的で、本当のところは理解できていなかったに違いないのだが、何ともいえない独特の雰囲気に魅せられてしまった。

 大人になってからも、幾度となく読み返し、アニメ映画も見た。僕はこの人の宗教観に同感するところが多い。キーワードは「無常観」だろう。と、わかったようなことを言いながら、実はすべてを理解するにはほど遠いわけだが。

 生きるものの命が随分と軽んじられるこの時代にこそ、読まれて然るべき作品だと、僕は思う。現代人はこんなスローテンポで静かなモンは、読まんし見ないか。悲しいなあ。

 曇天の七夕、「乳の流れたあと」のような天の川は見えない。

’06/07/07 (金)

飛び立てヘロン


 裏山に営巣するグレイ・ヘロン、和名アオサギである。只今子育ての真っ最中、毎日せっせと餌を運ぶ。川で獲った魚か、池で獲れたキンギョかコイか。食糧が届くと、雛たちはエラい騒ぎである。あの鳴き声は、何度聴いてもバケモンとしか思えない。夜中に「グエエエエエ」とやられると、わかっていてもギョッとする。

 一昨日の朝、一羽の親鳥が本堂の屋根に超然と佇んでいる。これは非常に珍しいことである。上空を横切るのはしばしばだが、屋根に降りることはこれまでになかったことだ。どーしたのかしらん。

 ソォっと近づいて見上げれば、如何にも立派な鳥である。さすが、サギの仲間では国内最大種とされるだけのことはある。黄色いクチバシ、白い顔に黒い帽子、しばらく空を眤と見つめていたが、僕の気配を察知すると、慌てる様子もなく悠然と飛び立った。

 昔は猛烈に繁殖し、森の枯死など糞害が問題になった時代もあったと聞く。害鳥として駆除されたりもしたのである。だが、今は違う。こんなに立派な鳥を育て得るだけの、豊かな自然に恵まれていることを、感謝すべきだろう。

 飛び立て、ヘロン。

’06/07/06 (木)

オーディオが元気だった頃


 ベテランオーディオファンの友達から、古いオーディオ雑誌をまとめてどっさりもらった。1976年ごろから1990年くらいまでのものである。僕も持っているものも含まれているが、そうでないものも多い。特に「ステレオ芸術」(ラジオ技術社刊)なんて、僕は一度も買ったことのない雑誌である。現在は廃刊(休刊?)になっている。

 写真はその増刊号「ベスト・ステレオ・コンポ '81」(1980年12月25日発行)にあった、パイオニアのMCヘッドアンプ H-Z1の記事である。長岡先生による評論文がついている。

 この写真と記事は、僕にとって大いに価値のあるものだ。1980年当時、僕はビンボー大学生で、しかもロックに呆けていたから、その存在さえ知らなかったし、況してや評価など読むはずもない。仮に知っていたとしても、単体では何の役にも立たない230,000円のMCヘッドアンプなんて、買えないわけだケレドモ。凄い機器だと知り、実際に手にするのは1992年頃のことである。

 おそらく長岡先生もこの時点では音を聴いてはおられなかったのだろう。評論はコンストラクションとパーツの紹介のみにとどまっている。

 「(前略)電源トランスひとつにしても、本体はもちろん、充填剤からシールドケースまで、選びぬかれたものが使われている。シールドケースは炭化ケイ素セラミック(焼物)というオーディオには初めて使われる素材で、1個づつサイズが多少ちがうので、充填も取り付けも手作りになる。その他、コンデンサー、抵抗等の部品はすべて新開発、電磁シールド用には輸入品の電波吸収体発泡ウレタンを使用、ヒューズまで銅キャップの新開発品。とにかく手間とひまと金がかかっている」

 天板を外し、パーツのカットモデルを置いた写真とともに、この記事を読んで僕は大喜びしてしまった。こういう凄いものを大メーカーが作っていて、しかもそれが商売として成り立っていた時代。なんと素晴らしい。

 この「オーディオ黄金期」は1987年頃まで続き、後は一気に衰退するわけである。もちろんH-Z1のような怪物ヘッドアンプは、これが最後である。夢よもう一度、とは思わないけれど、オーディオ界の現状に寂しさを禁じ得ないのも事実である。

 今は昔。

’06/07/05 (水)

詠まれた「蝉」は


 7月も5日になれば、そろそろニイニイゼミが鳴き始めるのではないかと、思うが当地ではまだ声を聞けない。昨年はやや遅めで、7月12日だったと日誌に書いてある。

 ニイニイゼミ。学名Platypleura kaempferi 。昆虫半翅目セミ科、体長33〜38mmの小型セミである。本土では6月末から7月初めにかけて現れ、8月中下旬まで鳴く(のは♂だけ)、最も普通に見られるセミである。沖縄方面にはクロイワニイニイ、ミヤコニイニイなどの近縁種がいる。

 世界的に見てもニイニイゼミ属は最も分布域が広い属だそうで、ルーツは南アフリカにあると聞く。ただし、現在南アフリカには分布しない。

 体色(というか、羽の模様)は決して綺麗とは言えないマダラ模様で、しかしあの色で柿の木などに止まっていると、すぐ近くにいても気がつかない。見事な隠蔽色になっているわけだ。声はすれども姿は見えず。しかも彼らの鳴き声(正確には横隔膜振動の共鳴音)は、どーゆーわけか鳴いている位置を特定し難い音なのである。

 実際、声を聞いていると、鳴き始めてしばらくするとピッチが変り、同時に位相まで変っているように聞こえる。エレキギターのエフェクターに、意識的に位相を変化させるフェイズ・シフターというヤツがあるけれど、ちょうどそれをかけたようなふうだ。音の位相は位置特定(オーディオで言うなら定位)に大きく関与しているから、どこにいるかワカランのはその所為かと、勝手に考えている。

 隠蔽色とあの鳴き声。小さなセミだが、生き残り戦略はなかなかのものである。ウチら周辺ではウジャウジャいるが、東京都心では激減している。1975年頃から急激に減り始めたそうだ。場所にもよるが年に数回鳴き声を聞くか聞かないか、という有様。さすがの戦略もニンゲン様には通用しない。

 「閑さや 岩にしみいる 蝉の声」と芭蕉が詠んだ「蝉」は、まさに本種だとされている。日本人の宗教観にもかかわる大切な蝉なのだ。将来の絶滅は、避けたいところである。

 彼らの声が聞こえれば、季節は夏である。

’06/07/04 (火)

これまたフェイルセーフ


 SネッシーMkII計画は順調に進んでいる。ディーテイルの変更については、山越木工房さんから大変理解あるお言葉をいただいている。ありがたいことだ。

 先日、信頼のおける友達に最終図面をFAXし、相談に乗ってもらった。いつも的確なアドバイスをしてくれるのである。

 いろいろな指摘をいただいた。中でもありがたかったのは「運搬用のハンドルが必要じゃあるまいか」というアドバイスである。

 言われてみれば確かにそのとおりである。オールバーチ仕様、3m超のエンクロージャーは、軽く100kgを超える。複数人で搬入するとしても、手掛かりがあるかないかでは、安全性が大きく違ってくるはずだ。運搬トチューで落っことしたりしたら、人も物もタダゴトでは済まない。

 さっそく相談する。で、提案があったのが上の写真。長さ300mm、幅80mm、盛り上がりの高さ85mm、板厚は15mmの、バーチ製パーツである。これの幅を少し狭め、本体裏側に4〜6個取り付けてはどうかと。

 ご提案、ありがたくお受けすることにする。尤も、こちらから相談する以前に、転倒防止用のフックとして利用するべく、同様のパーツの取り付けをお薦めするつもりだったとおっしゃる。さすが、友達にしても山越木工房さんにしても、考えが深い。その点僕は、如何にも浅慮甚だしいのである。

 「MkII作るっ」と叫んだだけで、僕は何もしていないなあと、思うのだった。

’06/07/03 (月)

フェイルセーフ


 草刈機の刃にチップソーを使ったときのメリットは、何と言ってもよく切れること、である。円盤に四角い刃を4〜6枚埋め込んだ歯車型(今は主流ではない)とは、切れ味、その持続性とも段違いだ。

 当然デメリットもある。刃が細かく小さいため、欠け易い。硬いもの(石やコンクリート)には、まさに「歯(刃)が立たない」のである。欠けた刃はどうなるかといえば、小さな破片となって四方八方へ飛散するわけである。ヒジョーに危険である。

 草刈機には回転刃の手前に飛散防止のガードがついているから、使用者のほうへぶっ飛んでくることはほとんどない。ないけれど、絶対安全、とも言えないから、暑くても厚手の作業服(僕はツナギを着る)、ナガグツ、軍手、帽子、それに写真の防護ゴーグル。これらは絶対必要になる。

 眼鏡の上からゴーグルを着けると、ヒジョーにグワイが悪い。蒸れて曇るのである。通気孔は空けてあるけれど、ほとんど役に立たない。ゴーグル曇り眼鏡も曇る。ああ鬱陶しい。

 ので、防護シールドつきヘルメットを買うことに決定。機動隊員さんがかぶっているようなヤツだ。あれなら曇らず快適、仕事も捗るだろう。ちょっとタイソウに見えるが、シロウトは二重三重のフェイルセーフをかけておいたほうが安全なのである。

 転ばぬ先の杖、ということで。

’06/07/02 (日)

ワガママな依頼者


 現状、Sネッシーの内部配線(ターミナルからユニット端子まで)には、オーディオクラフトのQLX-100というケーブルを使っている。4N、6N銅ハイブリッド、4芯ケーブルである。

 このケーブル、見た目はやや頼りない印象だが、なかなかに音が良い。パワーアンプ→トゥイーター間にも使っていて、個人的にはヒジョーに気に入っている。

 今回、スピーカー新調にあたっても、このケーブルを使うことに一旦決定、したものの、もう少しでも太めで重いものにしたらどーなるンだろうかと、思いついたのが上の写真に見えるケーブルである。

 アクロテック(現・アクロリンク)6N-S1100。現状、リヤスピーカーに使用中の、単芯(単線ではない)ケーブルである。これなら被覆は重めだし、芯線も太い。単芯だから長さは倍必要になるわけだが、先年30mまとめ買いしてあるから大丈夫。音もよい。ヨシ、一丁コレで行ったろうかと、考えたわけだが。

 残念ながら太すぎてNG。ユニット側の端子にからげるにはいささかならず苦しい。やってやれないことはなさそうだが、ゴテゴテのダンゴ状態になってしまうだろう。精神衛生上、ヒジョーによろしくないし、おそらく音にも良くないだろう。エンクロージャー側の端子でも同様だ。過ぎたるは及ばざるが如し。というわけで、この計画は却下。当初の予定通り、内部配線はQLX-100で行くことにする。

 完成前から、長く使うことが決定しているスピーカーだけに、可能な限り良いものにしたいと思う。内部配線以外にも、いろいろと細かい仕様変更をお願いしたりして、なんとも製作者泣かせの依頼者なのである。

 そのワガママに、いつも快く応じてくださる山越木工房さんには、ただただ感謝するばかり。これが本物の「プロ意識」というものであろう。

 「実るほど 頭を垂れる 稲穂かな」。

’06/07/01 (土)

行き先、決まる


 7月である。2006年もすでに半分を終わったわけである。なーんだかおそろしく速くて、この調子で行ったら人生なんか短いもんだと、こういうことを考え始めるのは、「中年」の証だそうだ。

 などと、黄昏たような話はどーでもヨロシイ。

 先月29日に書いた現用Sネッシーの処遇だが、なんと驚いたことに、引き取ってやろうという方が、いらっしゃったのである。現状、名を伏せさせていただくが、旧知の方である。今日、メールをいただいた。

 それにしてもよくぞ名乗りを上げてくださったものだと、思う。ムシが入っていても、僕のいい加減な工作によるモノでも、一向に構わないと、誠にありがたいお申し出である。僕としては拝みたいような気持ちだ。とてもうれしいです。ありがとうございます。

 そうと決まれば、ユニットを外した後はちょっと気合を入れてキクイムシの駆除にかかろう。工作の拙さは今さら如何ともし難いわけだが、害虫駆除は完璧に達せずとも打てる対策はある。先様のお宅でキクイムシが蔓延したりしては、申し訳が立たないのである。

 箱船で9年間働いたSネッシー、それが新しい活躍の場を得られるならば、これに勝る喜びはない。新オーナー氏の下で、如何様にもカスタマイズしていただければと思う。

 最大の問題は、やはり発送運搬なんだな。