箱船航海日誌 2005年10月

日々雑感、出来事などを思いつきに任せて綴っていこう

過去の日誌コンテンツ

’05/10/31 (月)

出番ですよ


 久しぶりにテーブルタップを作ってみよう。と、思い立ったのは、ディジタルBSチューナーとHDDレコーダーを常時使用可能状態にしたことが大きな理由である。

 現在、ディジタル系コンセントは手一杯で空きがない。アナログ系にはまだ余裕があるものの、そこはやはり分けておきたい。同時使用しない他の機器と差し換えて使うのも手ではあるけれど、予約録画したい時にグワイが悪いのである。さすがの不精者も腰を上げざるを得ず。

 全身真鍮の塊、5面8mm厚、底板15mm厚という凄いタップが控えている。ずいぶん前に友達の厚意で作ってもらったものだ。隣のプラスチック製とは貫禄が違うのである。お待たせしました。ようやくの出番です。

 ケーブルは、もちろん2芯ビニルキャブタイヤを使う。現用は5.5sqである。8sqが使えればそうしてみたいところだが、太すぎてコンセントプラグに入らない。たぶんケーブルクランプにも合わないだろうと思う。やはり5.5sqで行くしかないようだ。

 キャブタイヤそのままでも問題はないと思う。しかし、如何せんルックスが良くない。ので、現用でもやっているようにSFチューブを被せることにする。少しはきれいに見えるし、何故かワカランけれど音も良くなるのである。

 給電する相手がチューナーとHDDレコーダーだから、こんなに大げさなものは要らんような気もするわけだが、まあそこは精神衛生上の問題である。少なくとも悪くはないだろう。

 「僅かな向上」を期待する、対策の一つである。

’05/10/30 (日)

ひとあしずつ


 fo.Qワッシャはこのようにして使います。もうネタバレしちゃってます。

 アームボードとアームベースの間にコンプライアンスを持たせることが良いか悪いか、これには諸説あって一概には言えない。以前は外していた時期もあったのだが、どうも箱船の環境ではあったほうが良いような印象を持っている。

 ただ、漫然と付属のゴム製を使い続けることには何となく抵抗があり、他によい素材があれば作り替えてみたいと、考えていたのである。fo.Qシートが最良だという根拠は、まったくないわけで、例えばタングステンシートや薄めのノーソレックスゴム(ハネナイト、とか)なども試してみる価値はあると思う。

 肝心の音である。ビックリしてのけぞる、ような変化は、ない。当然である。これだけのことで激変大幅向上したら大変ダ。多少の変化はある。わずかながらも明瞭感が増し、トゲトゲしさが抑えられる傾向である。情報量がネグられたり、トランジェントが低下したり、ゴム系にありがちなデメリットは感じられない。わずかな向上あり、悪影響はなさそうである。上等、上等。

 対策というもの、これくらいで良いのだと思う。一つ打った対策で得られる向上はわずかでも、それを幾重にも積み重ねてゆくことが、やがて大きな結果となって還ってくるわけだ。その意味では、小さな変化を敏感に捉えられるだけの感性を、日々磨いておくことが大切になるのである。

 と、言うだけなら簡単なことも、実践となるとなかなか。打った対策の結果が良いのか悪いのか、ゼンゼンわからなくて泣きそうになることもしばしばである。

 峠の昇り降りも、みんなほんとうの幸いに近づく、ひとあしずつですから。

’05/10/29 (土)

前振りだけで失礼しまス


 ADプレーヤーを解体したついでに、以前から考えていたことを実行してみる。写真をご覧いただけば、凡その見当はつくと思う。先月9日にも似たような写真を載せているが、お察しの通り今回の対象はトゥイーターではない。トーンアーム周りへの対策である。

 左に見えるゴムワッシャを型紙代わりにし、10cm×10cm、1mm厚のfo.Qシートに形を写し取る。それをカッターで切り抜けば、同じ寸法のfo.Qワッシャができるわけである。当たり前ですな。

 ではこのワッシャ、どこに使うべきものか。EPA-100MkIIをお使いの方ならば、お分かりだろう。と、ネタの出し惜しみをしするそのワケは、本日の業務でヒジョーにクタビレたからであります。

 この続きはまた明日。申しわけないのである。

’05/10/28 (金)

ああ、重かった


 再び重い重いと泣きながら、システムがほぼ復帰したの図。ADプレーヤーだけは未だ解体中。気分を落ち着けて、アトでやるつもりである。

 フォノEQは配置を再考する気になったものの、結局動かさないことにした。プリアンプ、ヘッドアンプとの接続グワイを考えると、現状の配置がベターのようである。ヘッドアンプはご覧の通り、ラックの裏側に置き、裏方に徹してもらう。S字型に曲げて繋いでいたケーブルをU字型にすることができたのは、ちょっとしたメリットである。硬いケーブルだけに、機械的ストレスは少ない方が良いはずだ。馴染むには時間がかかるだろうけれども。

 ディジタルBSチューナーなどを載せたGTラックは、ヘッドアンプの幅分だけ右へ寄せることができた。ずいぶんスッキリした印象、だが、突き出たフロアコンセントのせいで隣りのラックより10cmほど手前へ飛び出している。ブサイクだが、まあ仕方ないのである。

 AC電源の取り方も少しく変更する。これまでよりもさらにアナログ系とディジタル系を厳格に分けた。つもり。そこでいつも悩むのが、ADプレーヤーの電源をどちらに振り分けるか、である。

 アナログプレーヤー電源なのだから、当然アナログ系統である。イヤイヤ、オーディオ信号に関係なくひたすら動力発生機を回すだけで、しかもクォーツ・ロックのヤヤコシイ奴だからディジタル系へ振り分けるべきである。

 考え込んでしまうわけである。両方やってみて、音の良い(悪くならない)ほうに決めるのが無難なのだろうなあ。良し悪しがワカランかったらどーしよー。

 ナニ、深刻になることはない。どっちでも良いのである。

’05/10/27 (木)

ホネが、危ない


 故あってシステム1/3解体中。MCヘッドアンプC-17を移動しようとして、アナログ周りにいささかの不都合を見つけてしまったのである。ラックを動かさねば解決できない部分だったから、ものすごくメンドクサい。そのままでも大きな問題にはならないし、一旦はうっちゃっとくかと、3秒考えて思い直した。今、解決しておこう。

 やり始めてすぐに後悔した。ラックを動かそうと思うと、まずはADプレーヤーのアームボード、プラッタを外さねばならない。これはヒジョーに神経を使うイヤな作業である。さらに御影石、CDプレーヤー、ヤケクソみたいに載っけてある鉛もラックから出す必要がある。そのままでは重くて動かないからだ。

 気は重いし石は重いしやっぱりヤメりゃあよかったと、シクシク泣きながらラックの移動完了。プロジェクターラックの手前に見える丸い穴は、現状不要となっているフロアコンセントを外した跡である。

 どうやら問題は解決できた。ああツカレタ。と言って安心しているバヤイではない。これから復帰させねば遺憾のである。

 箱船ができた頃は、僕も32歳と若かった。多少の重量もヘーキだったわけだ。D-55を1人で2階へ持って上がれたのである。今そんなことをやったら即死である。30kgを超えるとヒジョーに苦しい。「値段が同じなら重いほうを選ぶ」ようなオーディオは、歳を取るにつれキビシくなるのである。いつまで続けられるのか、ワタシャ心配です。

 さて、どうせここまで動かしたのだから、C-17の移動だけじゃもったいない。AE86氏謹製フォノEQの配置も再考してみたい。微小信号を扱うせいか、AD再生の良否は機器レイアウトにも大きく左右されるのである。

 腰のホネが破壊せん程度に、がんばりましょう。

’05/10/26 (水)

猫にも個性


 我が家へやってきて早5ヶ月になろうかという、愚猫2号「ユズ」である。ずいぶん大きくなった。彼女にとっては初めての寒い季節到来、自分を拾ってくれた恩人愚息2号のケツの上で暖を取るのであった。

 成長するにつれ、ラクとの性格の違いがはっきりしてきて、飼い主としてはヒジョーに面白い。

 ラクはイエネコとしては孤高さと野性の目立つ、どちらかと言えば無愛想なヤツである。そのワリにお客様が見えると脱兎(この場合『脱猫』というべきか)の如く玄関へとびだすのはナンデかいなと、思うわけだが。餌が欲しい時に必要最低限度鳴くだけ。呼んだらシッポをピコピコさせる程度で普段はほとんど鳴かない。抱かれるのもイヤなら触られるのもキライである。猫特有のゴロゴロも滅多にない。

 ユズはまったく違う。まず、ヒジョーによく喋る。鳴く、のではなく喋るのである。おなかが減った時はもちろん、名を呼ばれた時、外から帰ってきた時、遊ぶ時、ウンコする時、ウニャウニャゴロゴロと賑やかなこと。抱かれてオナカをわしゃわしゃ触られるのが大好きである。スキあらば人の膝を狙っていて、撫でればすぐにゴロゴロが始まる。個性の違いは明白だ。イエネコ中のイエネコである。

 モノの本によれば、体色によってある程度気性が分類できるそうで、こうなるとなんだか人間の血液型占いみたいである。曰く、ミケネコにはユズのようなタイプが多いと書いてあった。単独飼いでは非常に人なつこく、愛玩猫としては最適であるとも。

 但し、複数飼いとなるとデメリットも出てくるわけで。飼い主への精神的依存度が高い分、同居する他の猫に嫉妬するのである。

 なるほど、思い当たるフシは多い。ラクはユズが構われるのを見ても平気だが、ラクを構うと必ずユズが横から割り込んでくる。ラクが見つけた居心地のよい場所を、ずうずうしく横取りする。時には追いかけまわして駆逐しようとさえ。ラク大迷惑。僕らも少々困っている。

 もう少しオトナになれば、落ち着くだろうかと思ってはいるが、持って生まれた気性は如何ともし難いか。

 他人同士が一つ屋根の下生活する困難さは、ネコもニンゲン様も変わりなし。

’05/10/25 (火)

アカネが来たりて庭を翔ぶ


 今、庭はアキアカネの群れでいっぱいだ。学名Sympetrum frequens、トンボ目トンボ科、体長40mm〜50mmの小型トンボである。いわゆるアカトンボ。ヤゴから羽化するのは6月頃。暑さがニガテなこのトンボ、夏の間は涼しい山の中で過し、秋になると里へと下ってくる。ムシのクセに暑いのがキライだなんて、ヘンなやつである。

 羽化直後の体色は黄色で、赤くなるのは成熟した証拠である。夏、山でこのトンボを見たら、それはアカトンボではなくキトンボだ。クソ暑いさなかに、平地で全身真っ赤のアカトンボを見ることがあるが、それはコイツとは別種の「ナツアカネ」だそうだ。

 彼らはこれから冬になるまでの間に、パートナーを見つけてペアリングし、水溜りや小さな水路に産卵する。卵は乾燥に強く、水のなくなった田んぼでも充分越冬可能。翌年、田んぼに水が張られたら孵化し、6月頃羽化する。寿命は約5ヶ月、昆虫の中では長いほうかしら。

 どういうわけかこのトンボ、警戒心が薄いように感じられる。上の写真も、かなりの接写だがちっとも逃げようとしない。指を立てればヘーキでそれにとまる。無警戒というか愛嬌があるというか、非常にフレンドリーなトンボである。シオカラトンボやオニヤンマならこうは行かない。尤も、オニヤンマみたいな巨大トンボが指にとまったら怖いケド。

 英名を「common skimmer」といって、これを直訳すると「どこにでもいる上澄みをすくう者」となる。この名はおそらく彼らの産卵行動からきたものだと思う。皆さんも一度はご覧になったことがあるだろう。水面の上10cmくらいにお尻を下へ向けてホバリングし、先っちょをチョイチョイと水につける動作をするトンボを。卵を産んでいるのである。あたかも上澄みをすくっているかのように。まさに「skimmer」である。

 彼らの姿が消えれば、里にも冬がやってくる。

’05/10/24 (月)

求ム、情報


 箱船に設置してある2台のADプレーヤー。トーンアームはどちらもテクニクスEPA-100MkIIである。アームケーブルは違っている。一方はオリジナル(付属ケーブル)のまま、もう一方はご覧の通り、オルトフォンの6N銀ケーブルに変えてある。TSW-5000SILVER(R)というヤツである。'98年9月購入、7年経ってすでにディスコンである。

 1.2mで定価80,000円、超高級ケーブルの仲間だと思う。さすがにまともには買えなくて、不要になったバランスケーブルや電源ケーブルを下取りに出し、30,000円くらいで手に入れた。それでもまだ高価ですな。

 これはなかなか優れたケーブルである。明るく散乱する音でありながら、銀線にありがちなギラギラしたクセがない。シャープな切れこみと瑞々しさ、しなやかさ、加えて若々しさのある良いケーブルだと思う。しっとりと落ち着いた音を好む人には不向きだが、明るく抑圧感のない音が好きな僕にはジャストフィット。尤も、初めからそうなると見込んだわけではなく、たまたま当っただけのこと。

 両端RCAピンプラグ(R)仕様があったのも、EPA-100MkIIには好都合だった。このアームに5ピンコネクター(S)(L)仕様では繋げないのである。

 アース線は両端Yラグで出ている。このままではグワイが悪いから一工夫。アーム側のYラグはちょん切ってしまう。ローコストピンプラグを解体、ホット端子(中空パイプ様のもの)を取り出し、それをアース線にハンダ付け、アーム側アース穴に差し込んである。アース穴径とピンプラグのホット端子径はほぼ同じで、少しばかり引っ張っても簡単には抜けない。

 2芯シールド線を2本束ねたような造りで、全体から見ると二重シールド構造になる。厳重である。中心導体は0.26mmΦ6N銀線×7、1芯線あたり0.37sq。8sqだの14sqだのと太いケーブルが好きな僕が、こんなに細いものでいいのか。いいのである。

 大昔のこと。アームコードも太いほうが良いに決まっていると、2.0mmΦFケーブルで自作して使ってみたことがある。はっきり言ってこれは大失敗。低域ボワボワ、中域カンカン、高域ジャリジャリの、とんでもない音になってしまった。何でもかんでも太けりゃヨイっちゅうもんでは、ゼンゼンないのである。微小レベル信号が流れるアームケーブルに、ヤミクモな太さのケーブルは禁忌のようだ。って、そんなことアンタ、常識でしょうに。

 高価なせいで当時は1本しか買えなかった。今になってもう1本欲しいと、思うのだが悲しいかなディスコンである。セカンドハンズでも良いからと捜してみた。残念ながら出てくるのは5ピンコネクター(S)(L)仕様ばかりである。アームケーブル用途で(R)仕様を買った人って、やはり少数派なのだろうなあ。

 TSW-5000SILVER(R)の中古情報をご存知の方、是非ともお知らせください。

’05/10/23 (日)

そこはかとない曖昧さ


 22日は朝からひどい雨降りで、しかもヒジョーに寒い日になった。今秋最高の冷え込みになるという予報は大当たり。昨日まで無縁だった暖房器具、大慌てでスタンバイである。柿の葉が散りきらないうち、一足飛びに冬突入。10日前までツクツクボウシが鳴いていたのに。

 これまでに何度も書いたことだが、近年季節の変わり目が異様にくっきりしているように思えてならない。年々、春と秋がみじかくなっている。冬から突然夏になり、夏から突然冬になる感じだ。やっぱり季節の1ビット化が、進んでいるのかしらん。

 自然の流れか人為的なものか、ものごと全てが二極化しつつあると感じられる。オーディオが超高級機と超普及機の二極に分かれ始めたのは、ずいぶん前のこと。政治も郵政民営化の賛否だけで選挙が行われ、選挙民もそれに流される。ゲーノー(芸能ではナイ)界は面白いか面白くないかだけで生き残りが決まる。マスコミは鬼面人を驚かせる記事をでっち上げられるか否かだけで売れ行きが決まる。人間関係はベタベタと仲が良いか、そうでなければぶち殺す。あるかないか。0か1か。世の中って、こんなに簡単でしたっけ?

 今が悪くて昔は良かった、とは言わないまでも、もう少しそこはかとない曖昧さが、あっても良いンじゃないかと、僕ナドは考えるのでございます。

 いい加減は、何処へ行った。

’05/10/22 (土)

元気なおじさんたち


 BS-hiでKool & the Gangのコンサートを放送していた。'69年結成のファンク・ミュージック・グループ大御所である。熱狂的なファンは多い。僕はこの手の音楽が、どちらかといえばニガテでありまして、レコードもCDも持っていない。名前は知っていても、ほとんど聴いたことがないのである。映像としての興味だけで、録画してみた。

 見てビックリ。メチャクチャかっこいい。映像も然ることながらデビュー以来36年、超ベテランのステージングは圧倒的である。メンバーの平均年齢は50歳を超えているだろうに、おそろしくエネルギッシュでパワフルである。余裕綽々、どっしりと地に足のついた演奏は、若えモンには絶対マネできないものだ。

 この人たち、きっと20年後、70歳になっても変らずにいるンだろうと、何だか嬉しくなってしまった。歳を取ってもこんなに元気に演奏できたら、そりゃあ楽しいだろうなあ。見ていると、一緒に踊りたくなってしまうのだった。

 この映像1本で、僕が彼らの熱狂的ファンになることはないと思うけれど、うむ、それにしてもハッピーなコンサート映像である。

 これは永久保存版、かな。

’05/10/21 (金)

時代は変る


 毎日番組をチェックしては、調子よく録画予約をする、わけだが、そうすれば当然HDD容量はどんどん食われて行くわけである。録画したもの全てがずっと残しておきたいもの、とは限らないから、一度見て納得すれば削除するものも多い。坂本龍一のコンサート映像も、永久保存するにはもう一息。いささか期待外れだった。

 それでも徐々に溜まって行くことは確かだから、いつかは満杯になるのである。現状充分な容量だが、将来残しておきたい映像でHDD満杯になった時はどうしようか。

 最もカンタンで単純な方法は、もう1台、或いは2台、同じレコーダーを買い足すことだろう。BDレコーダーが既にあるのだから、さっさとそれを買え、っちゅう話もあるわけだが、どうもイマイチ購買意欲がわかない。HD-DVD陣営のはずだったワーナーが突然「BDでもソフトを出す」なんて言い始めるし、事態は未だ流動的に過ぎるのである。

 現在HDD残り容量80%。まだまだイケる。残り20%くらいになったら次の手を考えることにして、今は心置きなくハイヴィジョン映像の美しさを楽しみましょう。

 10年前がウソみたい。

’05/10/20 (木)

辛口評価


 このレーベルも中古市場ではあまり見かけなくなった。仏ARIONである。当時、仏盤としては比較的安いほうだった。ジャケットは一応ゲートフォールドタイプ、に見えて実はシングルタイプと変わらないペナペナのものが多く、盤質もH.MやASTREEに比べてやや劣ることが多かったようだ。アメリカレーベルで言えばNONESUCHのような存在か。

 録音も玉石混淆で、当れば凄いがハズレはとんでもないという、買う時にちょっと勇気の要るレーベルだった。その所為で僕の手持ちは少なく、当りとなるとさらに少ないのである。

 上の写真は稀少な当り盤である。「Michel Pignolet de Monteclair / コンセール第4番、カンタータ第3番、第4番」(仏ARION ARN38421)。'77年世界初録音。A級外盤セレクション第1集14番収録。大昔、バーゲンでまとめて買った中にたまたま含まれていたという、いい加減な話なのである。

 長岡先生の評価では「透明度、鮮度、切れこみといった点でイマイチだが、柔らかく美しい、包みこむような肌ざわりのよさは充分A級に入るもの」とある。実際聴いてみると、確かに美しい音である。ボーカルは極めて自然で、再生音量をうまく決めればリアルそのもの。雰囲気抜群である。

 ただ、「透明度、鮮度、切れこみイマイチ」とは感じなかった。僕の耳には充分な透明感と聴こえる。わずかに埃っぽさがあるような気はするけれど、問題にするほどではない。良いレコードだ。

 第1集ということもありかなりの辛口評価なのか、或いは僕の耳がそのレベルまで達していないのか。

 たぶん、後者です。

’05/10/19 (水)

AD信奉者に非ず


 16日に載せたレコードを聴いた。「録音がすばらしい」という長岡先生の評は間違いない。ホントにすばらしいのである。

 音に曇りや濁りがなく澄み切っている。透明感抜群。これほど清澄で埃っぽさのないライブ録音は聴いたことがない。遠すぎず近すぎず、実に自然な距離感でステージが再現される。リコーダーの独奏曲では、大勢の人が静かに音楽を聴いてるという気配がありありとわかり、非常にリアル。オーディオシステムで聴いていることを忘れ、自分もその場の観客になってしまう感じである。

 もうずっと以前のこと(もう時効だと思うから書いちゃう)、とあるADタイトルの音を「透明感抜群、この清らかさはADでないと出ない」というような表現をしたところ、「CD信奉者」とおっしゃる方からメールをもらった。曰く、

 「スクラッチノイズだらけのADで、CDを超える透明感が実現できるはずがない。ウソを書かれては困る。アンタの耳、もしくはシステムのどこかがおかしいのだ」。

 確かにADにスクラッチノイズはつきものだ。しかし、それと音そのものの透明感、清澄感とはまったく無関係である。如何にノイズの少ないCDでも、ひどく濁った音はいくらもある。「ウソは困る」と言われて困るのは僕のほうである。

 言いたいことは他にもたくさんあった。しかし「CD最高AD最低」と信じて疑わない人に何を言ってもムダだ。なので返信しなかった。僕の耳、システムがおかしいとおっしゃるのならば、それで結構である。アナタに聴かせるためにオーディオやってるンじゃありません。

 では僕は「AD最高CD最低」と考えているのか。決してそうではない。CDにも良いものはたくさんあるし、すべての点でADに劣るとも思っていない。でなければ、DP-85なんて高価なプレーヤーを使ったりはしないのである。ADだろうがCDだろうがSACDだろうがDVD-Aだろうが何だろうが、良いものは良く悪いものは悪い。単純明快である。

 とまれ、現状僕の耳にはADサウンドが最も自然に響くのである。但し、将来はどうだか分からない。ディジタル技術は絶え間なく進化するわけで、いつかはADを超える時が来るだろう。

 その時を、楽しみにしているのである。

’05/10/18 (火)

鮮度抜群


 秋は実りの季節でもあり、とれたてのお米や果物を楽しめるのはシアワセである。マツタケも今年は空前の豊作、と聞く。が、こちらとしてはどこの国の話かっちゅう感じである。別に食べられんでもいいもんね、あんなもん。ビンボー人の負け惜しみである。

 写真はソバの花である。近所に趣味で蕎麦打ちする人がいて、畑でソバから作っているわけだ。花の盛りはすでに過ぎ、1/3くらいは実が成り始めている。1週間ほど前は一面真っ白で、とてもきれいだった。100uくらいの畑だが、どれくらいの蕎麦粉が取れるのかしら。

 趣味の蕎麦打ちと言ってもなかなか気合が入っていて、昔ながらの石臼で粉挽きするという。機械挽きでは遺憾のだそうな。手間はかからないけれど、力任せに挽くせいで熱が発生、粉が煮えてしまって味と香りが著しく悪くなるのである。時間をかけてじっくり挽く。これがキモだそうで。

 さらに重要なファクターは、水である。練る、茹でる、洗う、ダシをとる。すべて水が必要である。ここに水道水を使ってはぜんぶワヤになる。と言ってヨソの「名水」を使ってもイマイチ。そこで庭に専用の井戸を深く掘り「当地の名水」を使う。うむ、ここまでこだわれば立派な「趣味」である。

 こうして打った蕎麦は、確かに美味い。香り凛冽味玄妙。ほかではちょっと味わえないものである。つなぎの多い一般的なヤツとは別物だ。野趣あふれる味というべきか。まあこれも好みがあって、こんなにゴリゴリした蕎麦はイヤダというムキもあるだろうけれど。

 鮮度の高さを求めるか、好みに合わせてアレンジするか。何だかオーディオに似ている部分もある。どちらかが優れているというものでもなし。

 自分の好きなほうを、選べばよいのである。

’05/10/17 (月)

みんな冬仕様


 庭の風景はすっかり秋になった。春、きれいな花を咲かせた桜も黄葉し、葉を落とす。落ちた後の枝を見れば、すでに来春に向けての花芽を用意しているのだった。これで寒い冬を越すのである。当たり前のこととは言え、エラいもんだと思う。

 僕の業務用制服(要するに、衣、である)も、15日から冬物である。その日は天気が悪くちょうど良い加減だったが、16日は少々暑かった。今日は、朝のうちなら冬、昼は夏、夕方から冬、という感じで、なかなか忙しい。

 愚猫ドモの毛皮も冬仕様に変り、2頭とも何だかムクムクである。庭でとれる獲物も少なくなり、昼間は丸くなって寝る時間が増えてきた。

 冬が、来るのである。

’05/10/16 (日)

昔々あるところに


 ここしばらく映像のことを話題にしてきたが、音のほうはというと、ほったらかしにしているわけでも何でもない。相変わらず、ADをチクチク集めて喜んでいるのである。

 神戸の某レコードショップから、レコードが届いた。上のタイトルである。「The Best of Mihalyi Festival / Artistic Director / Daniel Benko」(洪HUNGAROTON SLPD-12589)。(P)1986。A級外盤セレクション第3集238番収録。ライブ録音盤である。これまでの手持ちになく、初めての入手になる。ちょっと、嬉しい。

 ジャケット、盤ともに極めてきれいで、店長さんは「ミントコンディションですが、純然たる中古盤です」と力強く語っていたけれど、これは開封新盤に違いない。中古盤とメキキされた所為か、欧州盤のわりに安かった。お買い得である。ハンガリー盤ということも、あるのかな。

 夕方届いたばかりで、まだ聴いていない。長岡先生の評価には「小品29曲。変化があって楽しめることは確か、録音がすばらしい」とある。こりゃ楽しみだ。

 HUNGAROTON。このレーベルには思い出がある。1990年、関西にもまだまだたくさんのレコード店があった頃の話である。大阪梅田の阪急32番街(の前のコンコースは『ブラック・レイン』のアクションシーンに出てきます)31階に、「D」という店があった。輸入盤専門のかなり大規模なレコード店で、しかもマイナーレーベル中心の品揃え。当時の僕には見たこともないようなレーベルが山のように積んであった。

 その中でも特に大量にあったのが、このHUNGAROTON。そりゃあもう凄い量で、全部見ようと思ったらとても1日では終わりそうもないくらいの在庫であった。しかも激安。1枚800円〜1,000円という、今から思えば夢のような量と値段である。

 時間がなかったのかお金がなかったのか、たぶんその両方だと思うが、その時は上のレコードを見つけることができなかったのである。あれだけ大量にあったのだから、根気よく捜せばあったに違いない。或いは見落としたのかも知れない。今なら、目を血走らせヒッシのパッチで捜しまくるのだが。

 後に聞いた話では、英CHANDOS、仏OCORA、仏HARMONIA MUNDIの格安超大量放出もあったそうだ。すべて機を逃している。今は昔。あんなことは二度とないのである。口惜しいことこの上なし。

 大量のレコードはもちろん、「D」という店そのものも消え去って久しい。同じフロアにあったもう一店も閉店廃業した。

 店頭に並ぶ大量の新品LPレコード。あの風景が、懐かしい。

’05/10/15 (土)

パッケージソフトの将来は


 BS-hiの「ハイビジョン金曜シネマ」で「メッセージ・イン・ア・ボトル」の放送があった。HDDレコーダーを導入して初めての映画放送である。当然、録画した。

 1999年、米。ケヴィン・コスナー、ロビン・ライト・ペン主演の、ラブストーリー映画である。1999年12月にDVDを買っている。

 個人的にはこの手のストーリーは、ヒジョーに苦手である。主演のケヴィン・コスナーは、俳優として好きになれない。何だかナヨナヨしていてイヤダ。相手役の女優さんも、僕の美的感覚からするとちっとも美人に見えず、感情移入できない。要するに、僕ナドが見てはイケナイ映画なのである。文句つけるくらいなら見なきゃヨイわけだ。

 ならば何故買ったのか。映像が美しいと評判だったからである。当時、長岡先生も「特にクオリティが高く、画質はSクラス」と高い評価をつけていらっしゃった。確かに画は綺麗だった。しかし、僕には余りにもストーリーが苦しく、1時間も持たずに根負け。6年間、最後まで見たことがなかった。ひどい話である。

 で、今回。映画としてはおそらくダメだろうと思いながら、画に関する興味だけで録画してみたわけである。DVDで高評価だったものが、ハイヴィジョンではどんなことになるのか、と。

 圧倒的。色彩、質感、鮮明感、立体感、明暗のDレンジ、フォーカス、透明感などなど、すべての点でハイヴィジョン圧勝である。根本的な映像情報量がまったく違う。次元の差である。6年前には美しいと感じたDVDも見てみたが、言わずもがなである。もうDVD要りません。

 音声は圧縮Bモードステレオである。これも悪くない。風、波、鳥の声、いずれも極めて自然にサラウンドするし、セリフもカンカンしない。DVDに著しく劣ることもなく、映画音声なら必要にして充分である。

 画の素晴らしさに引っぱられ、とうとう最後まで見てしまった。これは快挙である。時々クジけそうになりながらも、改めて映像の支配力を思い知った次第。綺麗な画には魔力があります。

 わずかな投資で、おそろしく高品位な映像を手にすることができるようになったわけで、とりあえずは素直に喜ぶべきだろう。どーする現行DVD。尤も、新作売れ筋の映画をバンバン放送するわけはないから、即座にパッケージソフトが脅かされることはない。だが、将来(たぶんすぐそこまで来ている)はどーゆーことになってしまうのだろうかと、妙な不安に駆られることも確かではある。

 BD、或いはHD-DVDでのハイヴィジョンクオリティ・パッケージソフトが出て来れば、現行DVDソフトはかつてのLDの如く消え去ること必定。要するに、充分役目を果たし終えたと、いうことなのである。

 LDおよそ20年、DVD10年。この伝でいけば、次世代フォーマットは5年か。

’05/10/14 (金)

レイアウト下手


 繋いだり外したり、気の毒だったディジタルBSチューナーの居場所がようやく定まった。ご覧のとおりである。HDDレコーダー導入の恩恵である。一昨日書いたように、永い間冷遇してきたGTラック表舞台へ再登場。如何にもブアイソなラックだこと。写真に撮ったらますますマックロケ。部屋の風景が暗くなるのは好かんのである。

 上段にチューナー、内側にDAT、CD-R、HDDレコーダーを重ねて置いた。一見整理されたようだ、が、よーく見るとGTラックは手前に10cmほど飛び出している。中途半端である。隣りのラックとツライチにしたほうが良いに決まっている。

 これには深いわけがある。別に深くないか。実はGTラックの後方には、床コンセントが出っ張っているのである。それがジャマして後へ下げられない。この位置のコンセントはヒジョーに有用で、撤去することもできず。仕方なしにこういう置き方になっている。不細工である。

 ここに置いた機器はすべて、オーディオ信号をディジタルケーブル1本でDP-85に繋ぐことができる。ちょっとDATを聴きたい時、CD-Rを焼きたい時などはラインケーブルを増やす必要がないから、とても便利である。チューナー音声は光ケーブルで常に繋がっている。そういうこともあっての、この位置なのである。一応考えてはいるわけだ。

 ちょっと引っかかるのは、ディジタル機器の間にMCヘッドアンプが挟まれていること。これはいささか気色悪い。ので、後日移動する予定。AとDは、レイアウトでもできる限り分離しておきたいのである。音に効くかどうかは、よく分からないまでも。精神衛生上の問題である。

 ヘッドアンプを移動すれば、GTラックを左へ寄せることができるから、ルックス的にはやや良くなるかしら。それでも10cmの飛び出しは避けられないわけで、結局不細工だな。

 やっぱり、空間認識能力ないねえ。

’05/10/13 (木)

Rec-POT F


 思案中のはずが、もう届いてしまってびっくりしている。IO DATAのHDDレコーダーHVR-HD250F、いわゆるRec-POT Fである。入荷にはかなり時間がかかるっちゅうハナシだったンだケド。

 思っていたより小さいのに驚いた。280W×204D×35H、重量1.9kg。一般的なオーディオ機器からすれば、容積では1/5くらいの感じ。チューナーやDR-17が大きく見える。フロントパネルは鏡面になっていて、しかし残念ながら高級感はイマイチ。中身はつまっている感じで、わりとがっちりできている印象ではある。家電製品的安っぽさは少ない。

 HDD容量は250GB、地上波ディジタルハイヴィジョン26時間、BSディジタルハイヴィジョン21時間録画可能。リアルハード映像マニアさんイワク「250Gでは足りない」そうだが、僕には必要にして充分な容量である。

 DST-BX500との接続はi.LINKケーブル1本だけで済み、すぐに認識される。僕のような映像機器オンチには最高の使い勝手である。繋いでしまえばチューナーのリモコンで操作可能になるから、これまたラクチン。なんとも便利なことである。

 早速使ってみた。録画予約も異常に簡単、僕が言うのだから間違いない。従来のヴィデオデッキよりもずっと使い易い。当たり前か。ディジタルの恩恵なんだな。DVD-Rドライブなど、余計なものがなく単機能というのもありがたいのである。

 とりあえずはNHKの自然紀行番組を録画してみる。ヒジョーに美しい。劣化していないワケはないのだが、僕の眼ではまったくわからない。明るく高精細でジラジラ感皆無のハイヴィジョン映像が、見事に再現される。コピーワンスも致し方なしかと、妙な納得をしてしまうのである。この画質でマゴヒマゴコピーをどんどん作られたら、コピーライトを持つ側はたまったものではないだろう。

 十数年前、アナログハイヴィジョン時代がウソのようである。夢のような時代が、本当にやってきたという感を強くするのだった。この機械は、楽しめます。

 僕が如き片手間映像ファンには、充分すぎるクオリティだ。良い時代である。

’05/10/12 (水)

できるだけ少なく


 ラックからはみ出てしまっているのは、D-07A、DR-17、それにディジタルBSチューナーである。ここに今思案中のHDDレコーダーが加われば、はみ出しはさらに増えることになる。音に良くないことはもちろん、何よりも見てくれがヒジョーに悪い。なんとかせんと遺憾のである。

 DATもCD-Rも、滅多に使わないのだから片付けてしまえばよい、のは分かっている。が、「滅多に使わない」ということは時々使うわけで、「ゼンゼン使わない」のとはだいぶんとチガウのである。僕は非常な不精だから、倉庫へ仕舞っておいて使うときだけ出す、終わったらまた仕舞う、なんてメンドクサイことはできない。

 ので、ここはやはりラックを1台増やしましょう。ともかく整理できればよいのだから、大掛かりなものは要らない。4台あるGTラックのうち、2台はほとんど遊んでいる。それを引っぱって来ようかしらん。ちっとは格好がつくかな。

 ルックス、音、使い勝手、すべてを満たす機器レイアウトは、なかなかに困難である。あっちが立てばこっちが立たず。空間認識能力に著しく劣る僕にとっては、とても苦手な作業になるのである。セッティング・インストーラーさんなんていう人がいたら、雇いたいくらいだ。

 ともかく、これ以上機器を増やしては遺憾と、思う。収拾がつかなくなる恐れあり。マルチアンプシステムなんて、考えただけで卒倒しそうだ。音の面でもレイアウトの面でも、僕の手には負えません。

 できる限りシンプルに。僕にはそれが分相応である。

’05/10/11 (火)

故きを温ねる


 先月22日のネタにした、アルミ製TTプレートAT-677。あの時はカタログが見つからず、それがずっと気になっていた。絶対どこかにあるはず。だが出てこない。こういう時は捜すのをやめ、知らん顔しておけば向こうから出てくるものである。

 大当たり。他の探し物をしていたら、ナンデ見つからなかったンだろうと思うようなところにあった。これもマーフィーの法則かな。「audio-technica AT製品総合カタログ '86.6」。19年前の、古文書的カタログである。

 載っていました、AT-677。定価20,000円。「超硬質サファイア結晶成長被膜テクニハード材を採用、オモリ式スタビライザーの併用でレコードを密着させ、限りなくカッティング時に近い音質をひきだします」と説明されている。直径289mm、外周7mm厚、内周4.5mm厚、重量980g。外から内に向かってテーパー加工してあるわけだ。

 詳細が判明し、やっとスッキリした。ついでにいろいろ見てみると、同じページには他に3つのTTプレートが紹介されている。

 AT-676は、677のテクニハード処理無し版で15,000円。直径、厚み、重量はまったく同一である。今思えばこちらほうがハイCPだったかもしれない。DHKもできそうだし。

 AT-665BXは吸着式TTプレートである。定価30,000円。オモリ式スタビライザー様のポンプで空気を抜き、レコードを吸着させるタイプ。反りの酷いレコードには絶大な効果を発揮する。が、音にクセがつくとか、プレイ中徐々に空気が入って盤がせり上がってくるとか、盤の裏面に埃が食い込んでしまうとか、何かと使いにくいものではある。実はコレも持ってます。今も使えるはず。ゴムパッキンが危ないかな。

 AT666EXは、665BXのポンプ別ユニット版である。レコードを載せ、プレートの側面にある穴にポンプからのパイプを繋ぎ、空気を抜いて吸着させる。大掛かりなのである。定価40,000円。メリットデメリットは665BXに同じ。使い勝手はさらに悪い。

 全22ページのこのカタログ、今となっては読み物としてもなかなか面白い。すでにCDは世に出ていたが、まだまだAD関連製品ががんばっている。カートリッジ27、交換針41、MCトランス5、ヘッドシェル13、トーンアーム3と、多くの機種が紹介されているのである。当時の同社MCカートリッジ最高峰、AT-1000も載っている。何時かはきっとと、憧れたものだがとうとう買えなかった。

 カタログも古くなると、価値が出てくるものだ。温故知新。

’05/10/10 (月)

考える


 どんどんとDHKに進む予定だったが、なかなかそうも行かない。重要な業務発生。何といってもこちらがプライオリティ最上位である。

 実際にとりかかることはできなくても、頭の中であれこれ考えるのもまた楽し。今の音に大きな不満があるわけではないけれど、まったくの無問題かというとそうでもないのである。

 スピーカーケーブルを交換しなければ遺憾と、考えている。Sネッシー用8sqキャブタイヤ、SW用14sqキャブタイヤ、共に交換時期がきているのである。リヤスピーカー用は、昨年11月のラック新調に伴って交換したから問題なし。トゥイーター用もまだ大丈夫だろう。

 電力用途2芯ビニルキャブタイヤは、安価である。恐ろしいほど安いといってよいだろう。電気工事を請け負う店で買えば、8sqで200〜300円/mくらい、14sqでも400円/m以下である。これがオーディオ用ケーブルを扱う店ではぐんと高くなるからフシギである。需要と供給の差かしら。今回の交換を機に、安物キャブタイヤをヤメて純粋高級オーディオ用ケーブルに全面刷新する。

 なんてことはあり得ないのである。新しいキャブタイヤケーブルに換えるだけ。何故か。理由は決まっている。音が良いから。単純明快である。くずてつはケチでビンボーだから、貧相なケーブルしか使えない。それも間違いでは、ないわけだが。

 尤も、僕の耳には良い音に聴こえていても、人によってはとんでもない音と感じられることもあるはずだ。当然である。それでこそ趣味のオーディオなのであって、皆が同じものを褒め称え同じものを貶すのであったら、それはとても気色悪いことである。オーディオはファシズムじゃないンだから。一方には絶賛があり、もう一方には酷評がある。こうでなくちゃあ面白くない。

 TTプレートをDHKし、ケーブルを交換し、後は接点のクリーニングなど。実行はいつのことになるやら。

 しかし、楽しいのである。

’05/10/09 (日)

勢い


 T-300Aがきれいになれば、次に気になりだしたのは砲金TTプレートである。こちらも近頃DHKとご無沙汰だ。前回は'04年2月2日だったから、1年8ヶ月以上経っているわけである。いささかならず曇りが目立つようになってきた。やはり年に1度は磨きたいのである。

 真鍮に比べると、砲金は酸化しにくいようである。輝きが長持ちする印象。だからこそ「砲金(つつがね)」なのかしらん。船舶の金属部品に頻用されるのも頷けるのである。

 ついこの間から使い始めたような気持ちでいたら、とっくに3年を過ぎている。すっかりシステムの一部となり、完全に一体化した感じである。Fo.Qシートのメリットをうまく引き出せたのも、これあってこそ。もう二度と外せない。

 これにはピンチヒッターもスペアもないから、さっさと作業を進めねば遺憾。T-300Aを磨いた勢いで、どんどん行きましょう。

 次はきっと、JA-0506IIのGM-Cuホーンが気になり始めるンだろうな。

’05/10/08 (土)

意欲再燃


 今日は重要な業務で、京都市内にある本山へ出かけてきた。70名弱の方々とともに、とある発表大会に参加したのである。結果は大成功。参加6,000人以上の中でも、トップクラスの成績を収められたのではないか。日頃厳しいお稽古を重ねてこられた賜物である。

 さて、WROMさんのご来訪で、映像方面にいたく刺激を受けたくずてつである。そうあって、これからナニをしようというのか。まずは、ハイヴィジョン録画を可能にする環境の構築である。

 ハイヴィジョンは美しい。当たり前である。では、放送を楽しみにして毎晩見るかと言えば、そうでもないのである。見たい番組がどうしても見られない時間帯の放送であったり、仮に視聴可能であっても、録画できない口惜しさが先立って意欲が萎えてしまったり。レヴューができないのなら見ないほうがマシ。何だか理屈に合わない物言いだが、これが本音なのである。

 しからば記録できる機器を導入すればよい。ところが、映像方面に真っ暗な僕には、何を選べばよいのか、皆目見当がつかないのだった。数年前からBD(ブルーレイ・ディスク)レコーダーに期待しているわけだが、HD-DVD陣営とのヤヤコシいケンカがおっ始まり、この先どーなるか不安である。テープメディアも何だかイマイチ。明確なコンキョは、ないのだが。

 と、考えていたところにWROMさんが持参してくれたのは、HDDレコーダーである。DVD-Rも何もくっつかない、単機能タイプだ。これに記録したハイヴィジョン映像を見せてもらう。

 絶句。ディジタル・ハイヴィジョン万歳。これが録画映像か。Vを極めていらっしゃる方々には常識なのだろうけれど、映像原始人の僕にはまったくの驚きである。しかもi.LINK(=IEEE1394=FireWire、だったなんてゼンゼン知りませんでした)ケーブル1本で簡単に録画できるという。ディジタルの恩恵である。コリャ楽しい。グッド・タイミング。

 今後どのような展開があるのか極めて不透明な映像環境にあって、比較的永く使える可能性もあると聞いた。しかもローコストである。根がケチな僕としては、大いに食指をそそられるのである。

 とゆーわけで僕は、IO DATAのwebサイトへ突撃するのであった。

’05/10/07 (金)

あっという間の2日間


 3年ぶりのWROMさんご到着の図。今回は初めて愛車を駆ってのご来訪であった。帰途もご無事だったようで、安心した。お疲れさまでした。

 2日間はあっという間である。お互い業務が忙しく、しかし忙中閑あり、こういう時間がまた明日からの活力に、なるのである。遊んでばかりじゃ困るンだケド。

 彼との付き合いは10年を超え、気心は知れている。3年間の変化はどう響いたか、それは後日のご感想に待ちたい。僕としてはV(ヴィジュアル)方面で大いに勉強になった。今様の映像再生については、iだのpだの720だの1125だのとさっぱりワカラン。原始人並みである。すっかり嫌気が差していたわけだが、氏の助言で今後の方向性が明確になったのである。この辺りの件は、おいおい日誌に書いて行きたい。書けるのかな。

 映像についてのこだわりと知識は、僕の遠く及ぶところではない。いくら本を読み販売店で話を聞いても曖昧模糊として分からなかったことが、彼のアドヴァイスですっかり理解できたのは、大いなる福音である。友達とは、ありがたいものだ。感謝感謝。

 さて、明日からは日常に戻って業務専一である。再会を楽しみにして、お互いがんばりましょう。

 WROMさん、ありがとうございました。

’05/10/06 (木)

キリなし話


 「あっ、やっちゃった!」。なんてことにならないようによーく気をつけながら、どうにか2本とも磨き終えてシステム復帰である。ピカピカになったT-300Aは、見ているだけでも音が良さそう。ルックスと音は、深い関係で結ばれているのである。

 実際良い音である。透明、清澄、高解像度。音が力強く前に出てくる。明らかに先日入手したものを上回っている。エージング(酷使、とも言う)、研磨、さらにこの300Aは、友達の手によって少々カスタマイズされていることも、オリジナルを超える要因だろうと思う。これで安心してお客様をお迎えできるのである。

 問題もある。磨き終わった直後から、すぐに表面の酸化が始まるのである。ミクロスター手袋をはめて扱っても、知らぬ間に曇りがついてしまう。拭き取っても、筋のような跡がつきそこから錆が出るのだった。磨いたら錆びる、錆びたら磨く。また錆びる、また磨く。これじゃキリなし話である。

 前回のDHKから1年9ヶ月、ちょっとナマケ過ぎたようだ。少なくとも年に一度くらいのインターバルで磨かねば遺憾。酷く錆びないうちにやれば、作業も楽なのである。

 分かっちゃいるケド、億劫なンだな、これが。

’05/10/05 (水)

一皮剥けて


 「やるぞ」と書いたのは8月末である。それからひとつき以上、結局実行は今になってしまった。なーにやってんでしょうか。新しく入手したT-300Aの調子が良いものだから音が聴けない飢餓感もなく、ついつい日ばかりが過ぎてしまった。オーディオマニアの風上にも置けねえ輩である。

 しかし、間もなくお客様ご来訪。ゲンミツには、やはりDHKカマしたT-300Aのほうが良いわけで、僕としてはその音を聴いていただきたいのである。何かきっかけがないと動けないなんて、これじゃあ部屋の掃除と同じではないか。情けねえ。

 ようやく重い腰を上げダイヤモンドペースト#15000で磨く。ホーン内面は、やはり怖い。デリケートな振動板を突き破る、のは言語道断、ちょっとでも触ったら一巻の終りである。

 仕上ればご覧の通り、一皮剥けて非常に美しいのである。前面の植毛シートも貼り替えて面目一新。こうなると「やっぱり磨かなくちゃあな」なんて勝手なことを思うわけである。グズグズしていたのはダレだ。

 もう1本。神経使うけれど、がんばりましょう。

’05/10/04 (火)

ロングセラー


 ADファン御用達、MILTY ZEROSTAT3である。引鉄部分のハゲグワイをご覧になれば、これが新しくないものであるとこをお分かりいただけるだろう。'97年10月4日購入。今日でちょうど8年である。

 今さら説明の要はないと思う。静電気除去器である。僕が子供の頃から存在する超ロングラン製品だ。ただ、初代製品の色は、真っ白だったと記憶する。写真は「3」だから、当然「2」があるはずで、しかし残念ながらそれはぼくの記憶にない。何色だったのかしらん。

 ムカシから結構高価(5〜6,000円だったかな)なアクセサリーで、とてもコゾーに買えるようなものではなかった。この「3」も安くはない。'97年当時88,000円で買った。今はちょっと値上がって11,000〜12,000円くらいするようだ。

 使い方は昔から変らない。ヒジョーに簡単。盤面から20〜30cm離して狙いをつけ、引鉄をゆっくり絞ってまたゆっくり戻す。引くのに5秒、2秒間待って戻すのに5秒、というのが一つの目安になる。これだけのことでホントに静電気が除去できているのだろうか。

 確かに盤面の埃は取れ易くなる、ように感じる。が、モノスゴイ効果、というには弱いような気もする。そこで実験。緩衝材に使われる粒状発泡スチロール。静電気で手にまつわりついて困ることがある。ここにゼロスタットを照射(ってゆーのかしら)すれば、効果のほどが目に見えるのではないか、と。

 やってみた。なんと素晴らしい。手にくっついていた粒々が、引いて待って戻すだけでバラバラと落ちるのである。ちゃあんと効いているのダ。こらオモロイ。

 と、すっかり愛用品になってから8年。近頃さすがに効果が弱くなった。寿命については「○○回使用可能」と取説に書いてあったが、どこに片付けたか思い出せない。経年と使用頻度からして、おそらく寿命が尽きかけているのだろう。

 ならば早いうちに新調すべし。ロングセラーといってもAD周辺機器のこと。いつまでもあると思うなナントヤラ。

 高価と言っても、これだけ使えればハイCPである。

’05/10/03 (月)

五周年


 過ぎてしまえばあっという間の5年間であった。今日は「船長の戯言」五周年の日である。写真は公開当初のトップページに使った、箱船完成当時のもの。その時は7年前の写真だったが、今では12年前のものになった。

 毎年申し上げることは同じである。ここまで続けることができたのは、すべてご閲覧いただいている皆さんのおかげなのである。心から御礼申し上げたい。ありがとうございます。

 2005年ここまでの日誌を振り返れば、これまでになく休みが多いのである。特に3月〜5月にかけては惨憺たる状況だ。3月はインフルエンザ、4月はちょっと持ち直したかに見えて5月はまた病気。アレは何だったのか、未だによくわかりません。やはりインフルエンザ特効薬の副作用だったのかしらん。いずれにしても情けないことであった。

 その後はどうやら休み少なく今日まで来ているが、毎日苦し紛れネタばかりで、誠に申しわけないのである。ソフトネタが多いのも、話題に困ってのことだ。ただ、そのために機器を交換できるほど資金が潤沢、なわけはないし、何より現状機器能力を存分に活かし切れているかどうか、常に疑問を抱きながらのオーディオだから、ハード系のネタが少なくなるのも致し方なしなのである。使い切るにはまだまだ前途遼遠。簡単に「アガリ」などとは、とても言えない。

 かかる状況にもかかわらず、この1年で210,000件を超えるご閲覧をいただいた。過去最高である。叱咤激励のお便りも沢山頂戴した。唯々伏して感謝申し上げるばかりである。

 ともあれ、今後もこういう調子で続けて行くことになると、思う。毎年書いていることだが、凡庸な僕にできることは、毎日更新することだけである。不遜を承知で申し上げたい。今後とも、何卒よろしくお願いたします。

 皆さん、本当にありがとうございます。

’05/10/02 (日)

上がったり下がったり


 このタイトルをネタにするのも何度目か。たぶん3回目くらい。またかとお思いでしょうが、よろしくお付き合いください。

 「DAFOS」(米Reference Recordings RR-12)。(C)(P)1983。既に複数枚持っている。但し、正規ジャケットに入ったものは1枚だけ、あとは白ジャケ盤である。'02年の11月に出物を見つけて大喜び、飛びつくようにして買った。これで満足。だが、僕というヤツはよほど欲深くできていて、白ジャケが手に入れば余計にちゃんとしたものが欲しくなるのであった。

 その後、白盤を正規盤と勘違いしてもう1枚入手、これは悔しかった。荷を開けてガッカリ。ジャケット真っ白、である。「貧すれば鈍す」の典型的事例だ。中身は充分足りているわけだし、正規盤が1枚あることだし、もうこれでいいやと思い切った。つもりだった。

 そこへまたもや正規盤(らしきモノ)発見。注意深くインフォメーションを読んでみる。どこにも「white jacket」の表記はなく、開封新盤でさほど高価でもない。見てしまってはもうイケナイ。強欲な僕としては、モチロン買いである。

 注文を確定したあくる日、送り状が届く。それに記載されている内容を見て、フニャフニャとチカラが抜けてしまった。「Unplayed LP, white jacket」。

 なんじゃそりゃ〜。やっぱり白ジャケじゃないか。アンタらはいい加減か。前のはオイラの勘違いだったが、今度はチガウぞ。白なら白と、最初からそう書いてくれ。怒りに任せて取り消そうとしたが思い直した。持っておけば、また欲しいという人もいるだろう。

 今日、届いた。またモノクロ写真を切手みたいに貼ってあるヤツかと、諦め気分で開けてビックリ。正規盤なのである。多少日に焼けてはいるものの、間違いなくオリジナルゲートフォールドジャケットだ。ナニが何だかよくわかりません。ヌカヨロコビさせたりヒョウタンから駒だったり、忙しいことである。

 これで盤が悪かったらまたまたヌカヨロコビだが、大丈夫だった。埃は多めだが傷はなく、新盤に間違いはないようである。安堵安堵。上げたり下げたり、Dレンジの広いレコード店だこと。

 これもご縁のなせる業だと、感謝しましょう。

’05/10/01 (土)

仰冀


 10月である。街を歩けばどこからともなく金木犀の香りが漂ってくる。この花を話題にする季節が、またやってきたのである。

 昨年10月2日の日誌を見れば、それはいささか寂しい内容である。流離いの旅人さんのwebサイト「百万円以下ホームシアター」突如閉鎖を惜しむ日誌である。ああ、そうだった。あれからもう早、1年が経ってしまったのだなあ。

 その後、旅人氏がweb上に登場されることは、全くなくなってしまった。サイトも閉じられたままである。この1年、どうしてもブックマークから消去することができず、淡い期待感を持って週に一度は訪れてみることを続けてきた。しかしいつも「Not Found」が虚しく表示されるのみ。寂寞感募ることこの上なし。

 今、「船長の戯言」が在るのは、氏の力によるところが極めて大きい。あの強力なバックアップがなければ、僕はサイトの立ち上げを断念していたかもしれない。僕にとっては極めて重要なキーパーソンなのである。僕の思いは、1年経ってもいささかの変りもなく。

 「百万円以下ホームシアター」の再開を、冀うばかりである。