箱船航海日誌 2004年01月

日々雑感、出来事などを思いつきに任せて綴っていこう

過去の日誌コンテンツ

’04/01/31 (土)

今は昔GTシリーズ


 18日に再始動させたヤマハGT-CD1。直後は健全だと思ったものが、やはり少々グワイが悪いようである。トラックを大きくスキップさせる(1→最終トラック、或いはその逆)と、「カカカッ」とと何かが引っかかったような異音が出る。明らかに異常だ。再生音そのものは至って正常である。

 以前にもこの不グワイは一度あった。修理に出したところが、ピックアップ送りのベルト伸びが原因だった。このプレーヤーはPUドライブがリニアモーターではなく、ベルト駆動なのである。たぶん今回も同じ不グワイだろうと思う。早速ヤマハに問い合わせると、まだ修理可能だそうだ。メインシステムへの復帰は二度とない。しかし、サブとしては永く使いたいのである。修理に出そう。

 ディザインは、発表から13年経ってなお先進的に見える。音はさすがに古くなってしまったが、ルックスに驚く人は今も多い。CD1(1991年)、CD2(1992年)と、2機種だけでこのシリーズが終わってしまったのは残念。これらがヤマハ最後の高級CDプレーヤーになった感じである。

 ルックスと共に筐体構造は超強力である。上半分、ウッドベース部分だけでも7kgある。大変な凝り様。お金かけ過ぎたか。これを元にディスクドライブを見直し最新のDACを積めば、さぞ音の良いプレーヤーが出来上がるはず。今だからこそ是非やって欲しいと思う。が、未来永劫こんなものは出ないだろう。

 ヤマハGTシリーズ、今は昔である。

’04/01/30 (金)

カットされた瞬間芸


 昨年9月10日に載せたCDの続編である。「The Sheffield Lab DRUM & Track Disc」(米LIM XR005)。原盤は、もちろんシェフィールドのダイレクト盤である。「Drum Record」(LAB14/1980年)、「Track Record」(LAB20/1982年)の2タイトルを1枚にまとめたCDである。こだわりにこだわったXrcd24仕様。AD時代のこの2タイトルは、どちらも長岡先生の「外盤ジャーナル」に取り上げられ、評価も高かった。実際に今聴いても優秀録音盤である。

 前作(XR004)は、ADに比べもう一息の感があった。これは当然である。相手はダイレクト盤なのだから。バックアップテープをマスターにしたであろうCDが、音に劣るのは致し方ないのである。

 だから今日紹介するCDにもあまり大きな期待はしていなかったわけだ。まあまあそこそこのものだろう、くらい。ところがどっこい。これがなかなかデキルのである。004に比較しても、かなり劣化が少なくダイレクト盤に肉迫する。これはちょっと驚いた。

 Xrcdシリーズは、初代の「Xrcd」時代から幾枚か聴いている。こだわって作られただけあって、どれもしなやかで綺麗である。しかし、何処かしら生気が抜け、ピチピチした生きの良さが感じられない音だという印象だった。低域の力感が殺がれた感じもあった。それがこのXR005には、無いのである。

 中高域の美しさ、しなやかさはそのままに、中低域の密度感が濃く力がある。これまでに僕が聴いたXrcdシリーズの中では最高の出来だと思う。なるほど、こういう音も実現できるわけだ。

 スピード感、壮絶な切れ、恐怖感などの点では、まだ原盤に譲る。当然だろう。だが、CDフォーマットでここまでオリジナルに迫れるのならば、まだまだ捨てたものではないのである。やればできる。

 個人的にはトラック1、ジム・ケルトナー(故ジョージ・ハリソンやエリック・クラプトンのバックを務めた名ドラマー)の即興演奏(7分06秒)が好きである。この演奏、最後に一発スネアを「スタン!」と叩いた後、「エッヘン!」と咳払いして終わる。その咳払いが極めてリアルなのだが、どうしたことかこのCDではカットされている。

 1990年代にリリースされたシェフィールドからのCD(CD-14/20)には、咳払いもちゃんと入っている。バックアップテープ段階でカットされたものではない? 今回のXrcd24化では、邪魔なノイズとして切り捨てられたのかしらん。

 瞬間芸だが、惜しい。

’04/01/29 (木)

新設

 文章を書くことの難しさを、改めて味わっている。記述不足にならず、しかし冗長にもならず、わかりやすく楽しく、読んでいて不愉快にならないような文章。そんなものが書ける筈もない。どうやっても、というより、どうすることもできない程度の能力なのだから仕方がない。

 今後、皆さんからのご叱正に応じて細かい手直しをして行くこととしたい。その辺りをどうかお察しの上で、ご一読ください。

 「初訪問の方々へ」「箱船前夜」。よろしくお願い致します。

’04/01/28 (水)

近日新設

 拙webサイトの構成で、永らく気になっていることがある。それは、リスニング・ルーム「箱船」の建設前夜についてのことである。着工から完成までの経緯は「箱船への道」で詳しく書いた。しかし、着工に至るまでの道のりには、何ら触れていない。この建設前夜には、僕の勤めにかかわる方々からの多大な理解と協力、そして努力とがあったのだ。僕はそのことを決して忘れてはならないのである。

 これまでには、まるで僕一人が苦労して実現したような印象を与える記述があったかもしれない。それは僕の軽率さと文章力不足の為せる業である。決して本意ではない。そんなことを思ったことは毛頭もないのである。建設費用の問題、土地の問題など、実現にあたっての最重要案件をクリアできたのは、すべて上記のような方々のおかげさまである。

 加えて、「箱船」という建物がどのようなモノなのか、初めて拙webサイトを訪れてくださった方には、極めて不明瞭であるということも気になっていた。「道」をご覧いただけばワカル、とは如何にも不親切であろう。何の前振りもなくいきなり工事が始まっているわけだから、これは明らかに舌足らずである。

 斯くの如く己が配慮の足りなさを猛省し、近日中に「初訪問の方々へ」「箱船誕生前夜」ページを新設したいと考えている。これらのページによって、ご覧いただいている方々に僕の本意がよりよく伝わることを期待したい。

 よろしくお願いしたいのである。

’04/01/27 (火)

除雪とは


 このようなことを言うのであります。確かに音の粒さんがお住まいの地方では、おそらく一生目にすることのない光景だと思う。僕の実家だってこんなことはゼッタイにないのである。ないほうがいいケド。

 普段、箱船の周りを歩き回るのは僕一人なので、わざわざ除雪機を入れるほどのことはない。母屋の裏口から歩くのに充分なだけ雪をドケればいいのである。手作業で充分。それに具するのが写真に写る、除雪専用シャベルである。

 取っ手は普通のプラスチック、柄はラワン丸棒、シャベル部分はポリカーボネート製である。これが除雪に欠かせないスグレモノなのである。

 大昔は当然ポリカなどなく、鉄製シャベルだった。今も蔵の隅でふてくされているが、コイツは使えない。重いのである。ヒジョーに重い。そもそもこの辺に降る雪自体が重いのに、こんなもの使った日にゃ30分でダウンである。超低能率。

 その次に出てきたのがアルミ製。これはなかなか軽くて良かったがポリカの敵ではない。最大の欠点は、雪離れ(音離れ、ではナイ)が悪いこと。金属は一旦冷えるとトコトン冷え、シャベル部分に雪が凍り付いて離れなくなるのである。ガバッとすくいブンと放り投げ、たはずが雪がくっついて離れない時のイラ立ち、バツの悪さは筆舌に尽し難く(大袈裟な)。これも今となっては使えない。

 軽く、雪離れがよく、しかも丈夫で安価。さすがエンジニアリング・プラスチックの旗手である。とは言え、低気温時に降った雪では滑りが悪くなる。それなればと、これをさらに進化させようじゃないか。表面をフッ素樹脂加工すればどうかと思う。が、そんなのは見たことがない。僕が知らないだけで実在するのかしらん? アルミにフッ素加工したものはあったような気もするが。

 ポリカにアルミにテフロン。どこかで聞いたようなマテリアルですこと。

’04/01/26 (月)

幸せな奴

 晩ゴハン(新鮮な牡蠣をいただいたので牡蠣ご飯にしました)を美味しく食べ、シアワセな気持ちでコタツにもぐりこみ、ウンと一つ伸びをしたら、スイッチ切れました。はうっ、と気が付いたら居間にはワタクシ一人だけ、トドのようなオヤジを放置し、家族はみんな寝てしまっていたのである。午後11時。幸せな奴なのである。

 完全にエネルギー切れ、寝たキリでネタギレである。つまらんシャレだけかまして、今晩はこれで寝ます。これで更新とは、まったくに仕方ないのである。

 明日はまた雪掻きだっ。

’04/01/25 (日)

板を聴く


 写真のほうはすっかりネタ切れである。苦し紛れの1枚でございます。

 さて、トゥイーターの下に敷いたSUS板の効果や如何に。の、前に昨日の表記訂正を。SUS板の厚みを「10mm」としたが、何だかヘンだと測ってみたら実は15mmだった。なんちゅういい加減な話であることか。お詫びして訂正致します。

 AD、CD、SACD、ジャンルは色々聴いてみた。やはり効果はそれなりにあるようで、輪郭の滲みが減りスムースになる傾向である。但し、以前コーリアン板を入れた時ほどの改善はないように聴こえる。イマイチ音に冴えがないのである。歪み感は少なくなり、確かに綺麗な音になってはいるのだが、凄み、浸透力、抜けの良さはやや後退した感じ。

 何故だかわからないままに、僕の独断と偏見に満ちた見解をノベてみれば。

 材料に問題がありそうな気はしている。SUSは非常に硬い金属である。そのわりには粘りが強いと聞く。SUS製ADスタビライザーもそうだったが、材料としての粘りが音に出る感じなのである。抜けの良さ、冴え冴えとした切れの良さには欠ける点があった。今回もその辺りが引っかかっているのかもしれない。

 もう一点は厚みの問題。15mmは明らかに厚過ぎると思う。重量を稼げるのは結構である。だが、ただでさえ音源分散が気になる上に、フルレンジとの距離をさらに広げることになっているわけである。厚みは必要にして充分な範囲に抑えるべきだ。昨日も書いた通り8mmくらいが良いところだろう。但し、板の横幅サイズと載せるものの重量如何では、たわみの問題が出てくる。最低270mm幅は必要、21.9kgが載ることを考えれば8mmではやや薄いという危惧もある。

 で、今回の実験から導かれた恣意的結論。

 厚みは8〜9mm、最大でも10mmまで。材料は真鍮、砲金あたりが無難か。ひょっとすると超々ジュラルミン板なんかが良さそうである。ジュラルミンは軽金属だが、板で重量を稼ぐ必要は無いと思う。硬く粘りがないというメリットが、軽量のデメリットを上回るのではないか。たわみが少ないのは良いことである。(こーゆー金属、『ヤング率が高い』って言うんでしたっけ、M85さん?)

 以上はたった1日聴いての印象と結論である。もうしばらくはこの状態を保持しようと考えている。何もしないよりは良くなっている部分もあるのだから。それに、板と天板の接触面が適度に擦り合わされれば、音が違ってくる可能性もある。それでもダメだったらば、その時また考えるにしよう。

 下手なテッポも数撃ちゃ当たる。

’04/01/24 (土)

板を敷く


 毎度お馴染み、というより「またか」と言いたくなるトゥイーターの画である。ネタ振り上致し方ないのをご勘弁願いたいのである。

 JA-0506IIGM1発からT-300A+JA-0506IIGMに変更して以来ずっと気になっていたのは、Sネッシー天板に直接トゥイーターを置かざるを得なくなったことである。昨年7月から使っていたコーリアン板は寸足らずで使えない。何とかせねばと思いながら後手後手に廻り、ようやく今ちょっと対策を打ってみたわけだ。

 とりあえずは実験、ということで、以前友達から「何か役に立つかしらん」と貰った10mm厚ステンレス(SUS)板を使ってみる。280mm×150mm×10mm。約5kgある。このために作ったものではないが幅、奥行きともたまたまピッタリ、但し10mm厚はやや厚すぎる感じ。8mmくらいがちょうどよいかもしれない。

 セッティングの状況は写真の通り。ついさっきできたばかりで、まだマトモに音は聴いていない。ルックスは良くなった、のか、悪くなったのか、これは微妙である。アンバランスなようにも見えるし、はたまた安定感が増したように見えなくもない。頭に描いたイメージでは、もっとスマートになる予定だったのに。

 ハタと気が付いたのは、このSUS板を含むトゥイーター部が非常に重いこと。総重量はどれくらいあるのだろうか。

 SUS板5kg、左右の鉛ブロック全部で10kg、T-300A9.7kg、0506IIGM2.2kg。合計26.9kg。この部分だけでちょっとしたスピーカーシステム1本分くらいあるわけだ。常軌を逸した話である。重ければ振動に強いというのが常識、しかし一旦震え出したら止まらないという説もある。SUS板の追加でどっちに転ぶか。

 コーリアンを敷いた時は良い結果が得られた。今回は如何に。SUS製ADスタビライザーの伝で行けば、ちょっとツマラナイ音になる可能性もある。

 明日は、聴きます。

’04/01/23 (金)

坂に雪


 猛烈な降りである。バケツ(に入れた小麦粉)をひっくり返したような降り方である。あっという間に30cm、窓から外を見ていると積もって行くのが目に見えるほど。こりゃどーも参ったのである。明日の朝が思い遣られる。

 写真は町道から境内へ通じる急坂を登ったところにある地蔵堂である。ご覧の通り、小さな祠が設えてあるので、お地蔵様に直接雪が積もる心配はない。ウチでは笠かけ地蔵の民話は生まれないのである。

 雪が積もって一番の曲者がこの坂である。町道と境内地の高低差は約8mほど、それを短い距離で登らねばならないわけだから、坂は自ずから急なものになる。4輪スタッドレスタイヤを履いていても、F/R車なら3cmでアウト。F/F車で10cm、4WD車だと20cmくらいまでは何とか登れるかどうか。いずれにしても積雪30cm以上では一般的な乗用車は歯が立たない。

 一冬に一台は途中で動けなくなる車が出るのである。さすがに土手から町道へ落ちた車は無い(あったらタイヘンだ)が、側溝へ脱輪したヒトは多い。困ったものである。

 ので、10cmを超える積雪があれば、イの一番にこの坂から除雪しなければ遺憾。毎日上り下りする僕や愚妻はさほどではないけれど、慣れない人は非常に急峻で怖い坂と感じるらしい。雪のない時期に来た友達の一人は「この坂、雪が降ったらどーすんの?」と言った。ハイ、ご心配なく。雪をどかして登るのでございます。昨年は2回だけだった除雪機出動、今年は明日が2回目になるだろう。

 あと何回出るかな?

’04/01/22 (木)

悠長な話


 「ぷあさんのお召しにより...」と掲示板に書いたエンクロジャーの仕上げ方法。些か舌足らずの感があり、卒爾ながらここに補足したいと思う。

 塗装前の段階で下地をできる限りきれいに上げておくのは必須である。パテ、プライマーなどを使い接合部の隙間を埋めておくのはもちろん、木肌の目を止めておくことも重要である。木目を生かしたクリア仕上げではなく、写真のような単色に仕上げたいバヤイ、特に徹底すべきである。如何に合板とは言え、木は時々刻々伸縮する。下地が不充分だと、どんなに厚く塗っても経時と共に表面が荒れ、ひびが入ったり目が浮いたりするのである。

 輪島塗などの本ウルシ塗りの行程では、木の表面に寒冷沙という目が粗く薄い布を膠で固着させ、割れや歪み、不要な目浮きを防いでいる。経時変化を布と膠で固定するわけである。アマチュアレベルではとてもそこまで徹底できない。ので、ハケで塗れるカシューパテを厚く塗り、充分に乾燥させた後#600〜#800くらいのドライリューブ(目詰まりしにくい空研ぎ用サンドペーパー)で仕上げておけば、かなりきれいな下地が実現できる。パテを削り飛ばさないようにするのがコツである。

 下地が整えば本塗装に入るわけだ。ここでのコツはただ一つ。焦らないこと。1回塗り終わり、次を塗るまでには最低24時間は乾燥させるべし。塗料の種類にもよるが、カシュー、ラッカーなら絶対24時間以上は必要になる。気温の低い時期なら48時間乾燥が安全である。特にカシューは「乾燥」というより「固化」という感じだ。エポキシ塗料と似ている。塗膜が「固まる」のを待つ感じ。

 完全な固化を待たずに次を塗るとどうなるか。これはオソロシイことになるのである。上から塗った塗料の溶剤が生乾きの塗膜を溶かし、ズルズルのゲル状になって刷毛にまとわり付くのである。こうなったら打つ手はない。そのまま乾くのを待ち、醜くビロビロになった塗膜を削り飛ばし最初からやり直すしかないのである。急いては事をし損じる。急がば回れ。

 と言うようなことを50回も60回も繰り返すわけだから、こりゃもうよほど気が長くないとやってられねえのである。D-55では塗装面の広さに辟易し、Sスワンでは凸凹(ヘッド周り、スロートとボディの接合部など)の多さに疲労困憊した。その所為で、片方は未だに中途で止まったまま(写真奥に見えてます)である。

 ホワイトピアノ仕上げを狙ったSスワン。写真で見る限りではイイ線行ってる、ように見えなくもない。しかし子細に点検すれば、辛抱し切れず功を焦ったようなところがあり、あまり感心できないのである。ホワイトピアノ「風」ということで。我流ではこの辺りが限界である。

 もう片方、何時になったら仕上がるんでしょうか。

’04/01/21 (水)

今年も早く


 久しぶりのネイチャーネタである。

 毎年お馴染み、箱船裏庭のフキノトウである。載せるのももう4回目になる。昨年も同じ日に取り上げているが、今年の顔出しは随分早くからだった。正月過ぎから。これは極めて早いというべきだ。写真のものは食用に具せるギリギリのところにあるが、日当たりの良いところにあるヤツは、既に呆けてフキノハナになってしまっている。早い早い。

 年を追うごとにどんどん早くなっている感じ。この調子で行けば、ついには年が明ける前に、いやいや11月中に出るようになるのである。ならんか。

 秋のカメムシが多かったわりに、積雪は今のところ大したことがない。写真に写っている雪は、先日の残雪である。元々の量が30cmほど、これくらいならまったく問題にならない。尤も、雪の本番はこれからである。今週末が最初の山、そのあと春の節分頃にも山があるはず。それらを無事に過ごせれば、凡そ雪も終わりである。

 日本海側の冬は日照時間が短い。雪も寒いのもキライだが、何よりも厭なのは天気の悪さである。ドンヨリと曇る日がヒジョーに多い。ただ、今年は比較的好天の日が多いようで、それがフキノトウにも影響を与えているのだろう。例年に比べて憂鬱な気分になりにくいのも、そのおかげである。

 フキノトウもニンゲンも、大差ないのである。

’04/01/20 (火)

間一髪

 でコンピューターウィルスの感染を免れた。W32.Beagle.A@mm。最新のワームウィルスである。

 夕方、メールチェックをしようとPCを起動すると、すぐにノートン・アンチ・ウィルスの自動ライブアップデートが始まった。これは特に珍しいことではない。新しいウィルス定義ファイルがあればそうなることになっているわけだから。

 終わってメールチェック、途端に1個目のウィルスが網にかかった。続いて2個目。どちらも同じウィルスだった。アンチ・ウィルスを使い始めて1年半、まともに引っかかったのは初めてである。ちょっと狼狽した。即座に検疫隔離し、活動ログを確認してファイルを完全に削除する。

 シマンテックのwebサイトで素性を調べてみた。このウィルス、「1月28日までしか活動しない大量メール送信ワーム」だそうだ。例によってウィルスメールを無差別にバラ撒く、迷惑千万人間関係破壊型ウィルスである。発見は米時間の1月18日、定義ファイル更新は日本時間の1月19日17時前となっていた。ギリギリである。ウィルスメールは今朝方すでにサーバーに着いていたのである。もし僕が僅かでも早くメールチェックしていたら。アンチ・ウィルスをまんまとすり抜けていたことは間違いないのである。

 尤も、添付ファイルの形で送信されているので、漫然と開かない限り即座に感染することはなかったと思う。だが、リスクは大きいのである。ああ、ヨカッタ。

 その後、2度の完全ウィルス・スキャンをかけた。どうやら感染はないようである。但し、PC知識に暗い僕のやること、完璧でない可能性もあるのだ。もし、僕と一度でもメールの遣り取りをしたことのある方で、同じようなウィルス付きメールが届いた方がいらっしゃれば、これは大変なことである。こちらのPCが感染している可能性大。お手数でもご一報下さることをお願いしたい。

 送られてきたメールのヘッダをちゃんと見ておけば良かったと、今些か後悔している。本文を慌てて捨ててしまったのは失敗だった。ドシロウトはこれだから困るのである。次はしっかり確認しよう。って、ウィルスメールなんか二度と欲しくないが。確か件名は2通とも「Hi」になっていたと思う。皆さんも充分ご用心ください。

 と、知ったようなことを書いているが、実はあまりよく分かっていないのが本音である。とんでもない見当外れがあるに違いない。今後のためにも厳しいご指摘を、是非ともお願いしたいのである。

 最新オーディオなら良いけれど、最新ウィルスなんかゼンゼン要らんのである。

’04/01/19 (月)

NHK教育放送


 ウチの愚息はNHK教育の子供向け番組のファンである。さすがに「おかあさんといっしょ」は見なくなったが「天才テレビくん」「忍たま乱太郎」などはよく見ている。「ハッチポッチステーション」もお気に入り。グッチ裕三がパーソナリティのこの番組、'60〜'70年代のロックをネタに軽くパロって見せるコーナーがあり、僕も楽しんでいる。これは完全に親の世代を狙ってやっているとしか思えない。子供にはこの面白さ、ワカランもんなあ。アナログ鉄人M85さんはこれの隠れファンらしいという、極秘情報も得ている。

 「ぴりっとQ」という番組も面白い。「アニマルQ」の縮小版である。いろいろな動物を取り上げ、面白く紹介するものである。主役になった動物には必ず洒落たタイトルのテーマ曲がつく。曰く「クロック・ロックにわとりじゃん」「ライオンのドンファン」「ヘビメタ・スネーク」「イカスミダ・タコスミダ」など。ぼんやり見ていて流れてきた「ニッポンのたぬき」という歌に僕は、ピクッと反応してしまった。

 「たま」の知久寿焼が歌うこの曲、はっきり言って名曲でも何でもないが、何だか妙な雰囲気で一聴して気に入ったのである。曲風に知久のボーカルがばっちりはまっている所為もあるだろう。

 「君は知っているか/たぬきは木にも登るということを/うどんは食べないことを/べつに踊りはしないことを/まして化けたりなどしないことを」。馬鹿げた歌詞である。だが、僕はこういうセンスが好きだ。

 というわけでCDを検索。Amazonで見つけて早速注文したのが昨日、あっという間に今日到着して今BGMに聴いている。「『なんでもQ』歌のアルバム大全集」(日コロムビア COCX-30959〜60)。(P)2000。2枚組みである。DISC1は「むしまるQ」(ムシの紹介番組)から14曲、DISC2が「アニマルQ」から14曲。テーマ曲集である。

 ヒジョーに楽しいCDである。けれど、これは推奨しません。当たり前ですな。あまりにも個人的好みに過ぎるものであるからして。

 これも一種のゲテモノに、なるのかしらん。

’04/01/18 (日)

嬉しげに


 写真を載せてしまうのである。サブシステムD-55ES再始動。って、何度再始動させてるんだか。愚息1号にプリアンプとCDプレーヤーをあてがって以来だから、1年3ヶ月ぶりということになる。

 1階で冷遇されていたGT-CD1は、DP-85導入以来初めての電源再投入である。1年4ヶ月。交換寸前にはいささか調子が悪かった上にこのインターバルである。完全に壊れているかと思ったら、案に相違してヒジョーに元気である。健全そのもの。ちょっと嬉しくなった。

 トゥイーターはもちろん、昨日からDHKしていたGMホーン付きJA-0506IIである。HMA-9500、9500II(写真ではまっくろけでワカランです)も大変お元気でケッコウ。左chのD-55ESは下部のオモリを放り出されたままだが、ともかく鳴らしてみる。

 うむ、なかなかイケる。全てが永く動いていない所為でかなり眠い音ではあるが、しばらく鳴らしっ放しにすれば目が覚めるだろう。さすがFE-208ES、Ver.1とは言え良いユニットである。

 この音を聴いていると、もう少し手をかけたみたくもなる。さしあたってはトゥイーターネットワークのコンデンサーである。現在御老体μΛ0.47μFが入っている。これを先般一山買ったJensenに換えてみたい。ついでにスピーカーケーブルも交換できればとも思う。あとは機器のセッティングだ。

 これまでのテンカイをみていると、どうも僕は周期的にD-55の音が聴きたくなるらしい。メインシステムに共鳴管スピーカーを使っていても、どこかBHの音から離れられない部分があるのである。

 そりゃそーだ。初めて作ったシステムはD-70である。僕はその音にノックアウトされ、自作派になったのだから。

’04/01/17 (土)

三つ子の魂


 やらんとなったら1年でも打っ遣っておくクセに、一度始めたらコレばっかり。バランスが悪いのである。

 1階メインシステムからリタイヤしたGMホーンVer.2を磨き直している。JA-0506IIはあと2本あるので、2階のD-55ESに繋いで使おうという企てである。

 先ずはピカールでくすみを落とす。磨いてみてちょっとびっくり。1年半の酸化は馬鹿にできないのである。随分茶色く変色していた。ピカールが終わったらダイヤモンドペースト(D.P)#15000。前回はイマイチ使い方がヘタクソだったようで、今回のほうが美しく仕上ったと思う。何事も使いこなせるようになるには時間と経験値が重要なのである。

 左手前がD.P済み、右奥はピカールのみが終わった段階である。写真ではあまりよくわからないのが残念。D.P研磨の有無でかなり透明感が違うのである。汚れを綺麗に拭いた鏡が有、曇りの残った鏡が無、という感じだ。

 音が良くなるから磨く、のだと皆さんはお思いでしょう。もちろんその通りである。しかし、実はそれ以上に僕はヒカリモノフェチなのである。ツヤツヤピカピカしたものが大好き。異様な魅力を感じるのだった。SスワンやD-55を鏡面仕上げしたのもそれである。

 子供の頃からそうだったと、親は言う。プラスチック製のオモチャよりも、ピカピカ光った金属製の重いオモチャを好んだそうだ。何故そうなったかわからない。自分でもゼンゼンわからん。ただ、気が付いたらそーゆーものに惹かれる妙な子供になっていたのである。何処かに原初体験があるのか、或いは生まれつきの性質なのか。その辺りが自称DHK総裁の始まりなのだろうなあ。

 三つ子の魂百まで。

’04/01/16 (金)

ファンかマニアかエンスーか


 聴き呆ける、とは正にこのことを言うのだろう。DHK完了の後、大喜びでソフトを聴き倒しているのである。ラックから出したソフトをまた仕舞うのももどかしいくらい、次々に聴きたくなる。結果、中央左隣りのソファはこーゆーことになるわけだ。ソフトウェア様御指定席。明日になればさらに増えているのは間違いないのである。これじゃ最早「椅子」とは呼べないね。

 やっぱり僕はオーディオが大好きだ。音が自分の好みに近づくたび、嬉しくて仕方ない。時々嬉し過ぎて調子に乗り、折角の良い状態をぶっこわしてしまうこともあるほどだから、ほどほどに喜びましょう。

 ウサギは寂しいと死ぬ(迷信である)、サメとマグロは泳ぎ続けていないと溺死する(ホントである)という。僕はオーディオしていないと死ぬのである。

 これ、FanかManiaかEnthusiastか。熱狂的な愛好者がファン、異常に熱中するのがマニア、狂信者がエンスージアスト、という語義からすると、こりゃもうゼンブですという他ない。「ワタクシは健全なファンであって、マニアやエンスーではありません」と言ったってそりゃ通りません。ハタから見れば間違いなく「異常に熱中する狂信者」だろうから仕方ないのである。

 ファンだろうがマニアだろうがエンスーだろうが、それが己独りの裡に完結して喜んでいるのなら健全である。ケッコウなことだ。勢い余って他者を否定したり攻撃したり、自分の好みを押し付けたり、社会性を著しく欠いた行動をとるようになったらそれは危険である。歪んでは遺憾。

 心身ともに健全であり、加えて業務を完遂してこそ、楽しめるのである。

’04/01/15 (木)

ブキミ大好きフックスさん


 DHKが成功裡に終わったれば、シアワセな気持ちで新しいソフトを聴けるのである。7日、11日に届いたものをバンバン聴いている。

 優秀盤、平凡盤、コリャダメ盤、いろいろあった中で、面白かったのは上のCDである。「LIMPE FUCHS/NUR MAR MUS」(米STREAMLINE 1016)。(C)1999。このアーティスト、レーベルは昨年11月30日の日誌でも紹介している(STREAMLINE 1004)。その時の国籍は「独」と書いた。当時はそうだった。その後製造と配給を米の「Anomalous Records」という会社が担当するようになったらしい。ライナーノーツは独語で書かれているので、独のレーベルとしても良いような気はする。

 タイトルの「NUR MAR MUS」っちゅうのんはどーゆー意味だろうか。大体が何語だ、コレ。ゼンゼンわからんのである。タイトルが意味不明なら、内容も聞き様によっては極めて独善的で不可解な音楽(と言えるかどうか)である。ジャケットも妙な雰囲気である。前出作の如く、フックスさんは得意のバラスト・ストリングスと石琴(セッキン?)、ヴァイオリンを演奏する。それにベースとパーカッションが加わり、トリオで禍々しい音楽をブキミにカナデるのである。

 音楽としては万人にお薦めできるようなものではない。但し、音は非常に良い。生気が漲っていてギョッとするような生々しさがある。無音部分も多いわけだが、その間にも「何かやってる」という気配が伝わってきて、なにやらブキミ。音無しの構えで3人の立ち位置が見えてくるような録音である。埃っぽさ、歪み感は極少、立ち上がりも急峻で抜けがよい。1004とも統一感がある。何の情報もなく、前作からの期待感のみで買ったにしては大当たりである。これは掘り出し物だ。

 このレーベルが現在国内で買えるのかどうか、僕は知らない。寡作ながらも新譜は出し続けている。複数タイトルを所有する友達曰く「聴きぐるしい事はないが、聴いても嬉しくはない」というような内容のタイトルもあるそうだ。同時に買ったADタイトルはダルシマーの弾き語りで、α波ミュージック風。穏やかな音楽だった。音は悪くないがちょっとタイクツ。当然当たり外れはあるわけである。

 禍々しい現代曲とブキミな雰囲気を楽しめる人(一般的に変人)には推奨盤、そうでなければ、手を出してはイケナイ。

 僕は、好きです。

’04/01/14 (水)

報われたDHK


 毎日同じような写真で申しわけない。今のところコレしかネタがないので、どうかご勘弁願いたいのである。

 T-300Aの前面にあるはずの「FOSTEX」ロゴが見えないのは、上から黒の植毛シートを貼ったから。DHKの所為で本来の黒い塗装がちょっぴりハゲたのを隠すためと、ロゴの傾きを気にせずセッティングできるようにするため。スペースの関係で、入力端子を縦向き(つまりロゴも縦になってしまう)にせざるを得ないこともあるわけだ。植毛シートは僅か音にも影響あり、か。

 0506IIのホーンは外周純銅内側砲金(イコライザープラグも砲金)製、ちょっと不思議な色合いを見せる。この美しさが長続きすればいいのだが、純銅はヒジョーに酸化し易い。砲金真鍮の比ではないのである。それが欠点だ。錆びたら磨く。これしかないのである。

 P-700もすっかり温まり、さて、試聴開始である。音は見た目通り、というか何と言うか。予想以上の変わり様である。艶と輝きがぐんと増した。スピード感も格段に向上。音の粒子が細かくなり、ハイエンドが随分と伸びたように聴こえる。エージング不足によるものだと思っていた生硬さ、トゲトゲしさ、それがきれいさっぱり消え失せてしまった。

 しなやかで瑞々しく、しかし切れが良い。T-300Aの特徴である解像度の高さはそのままに、余分な雑味だけを取り去ったような感じでもある。楽器の余韻、ホールエコーの消え行く様もよく分解し、自然で美しい。清澄、透明でありながら圧倒的な実体感、実在感。これは何とも言えない良い音だ。今さらの如く「磨く」ことの重要さを思い知らされた格好である。

 T-300A、JA-0506II、どちらの変化のほうが大きいのか、それはよくわからない。DHK以前から高域の印象を支配しているのは前者である。プラグを含むホーン全体の表面積も圧倒的に大きいわけで、それを鏡面近くにまで仕上げた効果は小さくないのだろう。加えてGM-Cuハイブリッドホーンの効果も無視できないと思う。

 但しこの音、無色透明色付け無し、万人向けハイファイサウンドかと問われると、答えに躊躇するのも事実である。非常に自己主張の強い音だと思う。僕個人としては「何とも言えない良い音」と感じるものの、「何とも言えない色付きの音」と聴く人もいるだろう。

 さはさり乍ら、単純に磨くだけのことでこんなに音が変るのである。何故だか僕にはゼンゼン判らない。しかし確かに変わる。僕にとってはよい方向へ大きく変わる。理屈はさっぱりだが、上に書いたような音を好むムキには強くお薦めできる対策である。但し、自己責任で実行してください。

 僕の話を聞いた友達は「左様、ホーンを磨くんじゃなくて、音を磨いていたワケね」と言った。なるほど言い得て妙である。磨くのは音。そうであってみれば、辛くて苦しいDHKも大いに報われるというものである。

 今回のDHKは、大成功。

’04/01/13 (火)

DHK完了


 ようやく、である。だが、いつもの作業ペースからすると極めて迅速だったと言うべきである。ナンデ? 答えは簡単、聴きたいソフトが溜まっているからだ。ヒジョーに自分勝手です。

 T-300Aが綺麗になった勢いに乗じ、JA-0506IIGMのほうも少しく変更。1年前から待機中だったGM Ver.3(GM-Cuハイブリッド)ホーンに交換した。「早く聴きたい」などと言いながら1年間放置するのもすさまじくいい加減である。さて、これでどんな変化があるのだろうか。

 P-700電源再投入、充分温まるのを待ち、試聴は明日以降にしたい。実は集中的DHKの所為で、指先はシビれ肩はパンパン、今日はマトモに聴けるだけの体力がないのである。

 音が良くなっていることを願いながら、今晩はひとまず店仕舞い。

’04/01/12 (月)

やっと到着


 webサイトから注文したのが12月1日、「発送した」と送り状が届いたのは12月16日、そのソフトが今日、ようやく届いた。1ヵ月と10日、随分かかったものである。尤も、海外通販ではよくあることだ。特に対応が悪いとは言えない。いつもと違っていたのは送り状だけが早くに届いていたこと。これが却って心配のタネになってしまったわけである。

 着いた荷物の消印(国際航空便である)を見ると12月10日になっている。確かに送り状記載のとおりに発送されたのである。フツーならその日から遅くとも10日後には着くはず。それが1ヵ月もかかったのは何故だろう。ルートによって検査や通関に手間がかかるのかな。アメリカは広いから。

 ともかくも中身は無事で、欠品もなかった。大変ケッコウなことである。国内では滅多に見かけないレーベルのADも手に入ったし、ヨカッタヨカッタ。早速にも聴きたいところだが。

 DHKが終わっていないのである。しばらくはオアズケですな。

’04/01/11 (日)

何とかならんか


 業務の合間にヒマを見つけては磨いている。なかなかに腰を落ち着けて作業できないのである。T-300AのDHKは遅々として捗らない。別段納期があるわけでなし、急ぐ必要はないのだが、音が聴けないのはツライ。早く仕上げてしまわなきゃ。

 炭山さんが見える前、少しは片付いていた部屋がまたぞろご覧の通りである。ぐちゃぐちゃ。だいたいが僕は片付けられないヒトで、整理と作業を同時進行させることがまったくできないのである。イワユル片付けながら仕事をする、というヤツが極めて苦手である。使い終わった道具は出しっぱなし、出たゴミもホッタラカシ、なので写真のようなことになるわけだ。作業完了後はゴミと道具の山。しかもそれをまた放置すると言うのだからどうにも仕様がない。

 なんだか書いていて非常に恥ずかしくなってきた。我が恥の公開日誌か。せめてゴミくらいは捨てようかな。綺麗に散らかしておくのは音に良い影響があるものの、ここまで行くとあるのはデメリットのみである。

 常識的な人が「いやあ、うちは散らかってますから」と言ったバヤイ、それは「キチンと整理してます」という意味の社交辞令。僕が「散らかってます」と言ったら、それは「ホンマに汚ねえ部屋です」という意味。

 これじゃただのリニア馬鹿である。遺憾です。

’04/01/10 (土)

願いを込めて一心に磨け


 分かっちゃいたけどやっぱりデカい。T-300Aのイコライザープラグである。本体が巨大なのだから、これが大きいのも当たり前である。手前は0506IIGMのものだが、妙にかわいく見える。これだって決して小さくはないのだが。

 最大外径φ38mm、根元のネジ部を除いた全長62mm、重さ420gある。0506IIGMのほうは約80gだから5.25倍。T-300A本体9.7kg、JA-0506IIGM本体2.2kg。約4.4倍。この数字で凡その大きさをお分かりいただけるだろうか。

 面積が大きいと当然手間が要る。だが、反面磨き易くもある。しっかりホールドできるし面が平らに近くなるからである。0506IIに比べると随分楽である。写真は作業途中。先端部分はほぼ完了、根元辺りにはまだ切削痕が残っている。これを磨き落とし、できる限り鏡面様に仕上げるわけだ。

 こうなってくると既に本気DHKである。もうやめられない。最後まで行くしかないのである。くすみを取る程度でヤメようと思っていたのに。自分で始めておきながら、今ちょっと後悔している。今朝起きたら肩がパンパンに張っていた。オーディオとは、体力である。

 作業完了後の音を期待して、一心不乱に磨く磨く磨く。DHKの極意である。

’04/01/09 (金)

DHK / T-300A


 9月に友達のところからやって来たT-300A、その時点で既に表面保護の塗装膜は落とされ、きれいに磨いてあった。経年劣化で塗装が傷み、保護膜の用を為さなくなっての措置である。以来5ヶ月弱、表面のくすみが気になりだし、とうとうDHKをぶちかましてしまった。ってコレ、借りモノじゃなかったっけ?

 作業するにあたっては振動系を傷めぬよう充分注意すべし。よってホーンは外さない。イコライザー・プラグは案外スムースに回ったので注意深くそっと外し、先ずは外周の磨きから。

 軽く磨いて迅速に作業完了、するつもりだったが、一度始めてしまうとそうは行かないのが自称DHK総裁たる所以である。もうちょっと、もうちょっとと磨くうち、最後はダイヤモンド・ペーストまで出てくる始末。ホーンが異様に大きく、当然磨くべき面積も広い。0506IIの比ではないのである。さらに重量9.7kgは取り回しが大変である。しんどい疲れる捗が行かんと文句をタレながら、磨き上がったものを見ればやはり大満足である。ご覧の通り、とても綺麗になった。大口径だけに迫力が凄い。

 残りもう1本、同じことを繰り返さねばならないのかと、実は今ゲンナリしているのである。イヤイヤ、やるならやらねば。左右不揃いではどーしようもない。加えて、この頃同じくくすみが気になる0506IIGMも、再研磨すれば全部ピカピカである。気持ちイイだろうなあ。

 綺麗になるのは大変ケッコウ。だが、磨いている間は音が聴けねえ。それが問題である。

 何のためにDHKしてるんでしょうか。

’04/01/08 (木)

中毒


 この歳になると、もはや誰からもお年玉なんかもらえない。専ら差し出す側である。当たり前なんだな。40過ぎてまだもらってたら、それはとても気色ワルイ。

 今日、年末に頼んでおいたソフトがアメリカの店から届いた。これが僕のお年玉みたいなものである。自分のお金で買っておいて「お年玉」もないもんだが。

 最近リリースされたもの、以前から横目に見ながら買えていなかったものなど、いろいろとり混ぜAD7、SACD2、CD1、全部で10タイトル。ADが多く重量が嵩んだせいで、送料はちっとばかり高めだった。

 さて、買ったからにはこれを聴かねばなるまいて。楽しみなのである。どれから聴こうかな。プロコルハルムの「蒼い影」もいいし、ツェッペリンの「BBCセッションズ」も聴きたい。CCRの「グリーン・リバー」は180g盤復刻で、どんなふうに良くなっているか。ロックだけじゃなくてプロプリウスのSACD「カンターテ・ドミノ」も良さそうだ。

 聴く前の期待感は格別である。ひょっとしたら聴いている時よりも楽しいかもしれない。だからソフト買いやめられない。強烈な習慣性アリ。

 これを以って「中毒」と謂うのである。

’04/01/07 (水)

ゲスト効果


 とは、強制的に掃除ができて部屋が綺麗になることである、のはよくわかったからもういい。実はもう一つある。これはわりとマジメな話。

 お客様にまず僕が言うこと。「何から聴きましょうか」。折角来てくださったのだから、先ずはゲストの希望を第一に試聴を始めたいわけである。ホストとしては、はっきりと「これが聴きたい」と言ってもらったほうが気が楽なのである。初めての方なら尚更である。その人の好みも何も分からないまま一発目のタイトルを決めるのは困難。「お任せします」なんて言われた日にゃ、僕は遅疑逡巡してしまうのだった。人も音も第一印象は極めて重要なのである。

 ゲストに選曲の主導を預けてしまえば、後はもうらくちんである。もちろん今回は炭山さんにすべてお任せ。言われるままにどんどん鳴らすだけである。その時、僕が滅多に聴かなくなったタイトルのリクエストがあったりすれば、それが今日のタイトル、最大のゲスト効果なのである。

 大いなる再発見があるわけだ。このタイトル、前に聴いたときはこんなに良くなかった、或いはもっと良かった、そう言えばこんな曲があったっけ、と。これが実に楽しい。誰のソフトを誰のシステムで聴いとるんやと、いささかマヌケな話ではある。しかし、実際に面白いのだから仕方がない。普段自分が聴くタイトルは、意識せずして固定化される傾向にあるようだ。

 今回も然り。そう言ったものの中で、音の良さを改めて再認識したのが上のタイトルである。「THE ENGLISH LUTE SONG/JULIANNE BAIRD (SOPRANO), RONN McFARLANE (LUTE)」(米DORIAN DOR-90109)。(C)(P)1988。今となっては16年前の、古いCDである。確か長岡先生の「ディスク・ホビー」で推奨盤になっていたはず。

 このCDの音は素晴らしい。今さら僕が言うまでもないことだが、いや、それにしてもこの音は特筆すべきものである。ボーカルとリュートのデュオだが、CDらしからぬ艶と潤いを湛えた、瑞々しい輝きのある音だ。ボーカルは明るく伸びがあり鮮明で、しかも柔らかい。リュートの音像と定位は極めて自然、でしゃばりはしないが実在感抜群。音場は渺々として高く深い。エコーはおそろしく美しく、神々しいと言ってもよいほどである。うむ、これは傑作。ムカシはこんなにうまく鳴らなかったような気がする。正に再発見である。

 いつもラックにあるのだから、どんどん聴けばよい、のである。デッドストックにしてどーするか。他にもこんなタイトルがたくさんあるに違いない。モッタイナイオバケが出るぞ。

 炭山さん、今回はホストたるべき僕のほうが大喜びしてしまいました。遺憾です。でも、ヒジョーに楽しい時間でした。ありがとうございました。

 再会を楽しみにしております。

’04/01/06 (火)

2004年初めての


 お客様の正体。この後姿を見てお気づきの方もいらっしゃるだろう。オーディオ誌上でもご活躍中の、炭山アキラ氏である。ご遠方を、ありがとうございます。で、お迎えするにあたっての掃除はどーなったかと言えば、全く半ばに終わってしまった。申しわけないのである。ゴメンナサイ、炭山さん。

 お昼前にご到着後、昼晩ゴハンの時間を除いてほとんど聴きっぱなしである。AD中心。やはりこうなるわけだ。雑然とした箱船で、どれだけ楽しんでいただけたか否か、それは後日、氏のご感想に待ちたい。

 あっという間に時間は過ぎ去り、今日はそろそろ試聴終了である。お疲れさま。明朝はゆっくり休み、気を付けてお帰りいただかねばならない。

 何と言っても、今やオーディオ界に無くてはならぬ大切なお方だから。

’04/01/05 (月)

ソフトより掃除


 5日が今年の仕事始め、という方がほとんどだろうと拝察する。あっという間に正月も終わりである。やって来るまでは「とんでもねえヤロウだ」と毒づきながら、終わってしまうと何だか寂しい、のが正月である。

 仕事が始まる世間様を横目に、明日は久しぶりの友達がやってくる。ほぼ1年ぶりである。前回はWAGCもT-300Aも導入前だった。その辺り、どんなイムプレッションを聞けるのか、ホストである僕のほうが楽しみなのである。

 楽しみはケッコウであるが、僕にはやるべきことがある。言わずと知れた、箱船掃除である。一般的に、新年を迎えてすぐならば綺麗なはず、だが、箱船は一般的でなく浮世離れしているのである。盆も正月なく、ご覧の通り年中雑然としたまんまだ。早い話が、忙しさに託けて掃除を懈怠しているだけ。アホか。

 来客がある度にこればっかり。お客様をお迎えするために掃除するのか、強制的に掃除するためにお客様を迎えているのか、なんとも礼を失した話である。

 ソフトの充実、なんて格好つけてないで、今年はそーじしろそーじ。

’04/01/04 (日)

アッシにゃあ


 何のことやらサッパリわかりやせんぜ、ダンナ。

 2日の朝、突然始まった接続障害の正体である。全くwebに繋がらないわけだから、サイトの閲覧はもちろん、メールダメ、FTP転送ダメ、ぜーんぶダメである。

 箱船と母屋のPCはちゃんと繋がっている。イワユル一つの「イントラネット」は生きているわけだ。内側OK、外側NG。ちゅうことはルーターの問題ではない? いよいよ以ってわからん。こういうトラブルは初めてである。

 PC再起動、ルーター再起動。ダメ。最早ここで手詰まりになってしまうのが初心者の悲しいところである。ADSLモデムにまで注意が至らない。ああもう遺憾と、半ばヤケクソになったところでようやく気が付くのである。モデムの電源入れ直したらどーなるんだろう、と。アホ丸出し。

 一発解消。なんやねんな、これ。ズルイやんか。犯人はオマエか。こんなことがあるのならば、最初にゆーてくださいよ。「モデムは時々おかしくなります。そういう時ンバ、電源引っこ抜いて入れ直しなさい」と。

 いやいや、安易にヒトを頼ってはイケナイ。こうして冷暖自知することに意義があるのだ。自分で解決方法を見つければ、二度と忘れないだろう。感謝こそすれ、遺恨などあろうはずもない。

 と、怒りに任せてPCを張り倒しルーターを蹴っ飛ばし、モデムを踏ン付けた人格者たるくずてつは観ずるのである。

 お騒がせ致しました。

’04/01/03 (土)

古いことはいいことだ


 元旦が終わってお客様がすべて引き切ったあとの客間である。昨年10月の一大行事に合わせ、この部屋(8畳×2)も畳を新調し襖を張り替えた。これだけの変更で部屋の雰囲気は一変。さらにそれを画像にして見ると、なんちゅう良い部屋に見えることであるか。実際には築80年に近く、かなり古い庫裏だが、その古さがいい味をカモシ出している、ように見える。写真のマジックです。

 に、してもきれいになったものだとヒジョーに感謝している。左手に見える障子を張り替え、正月の花を立て、赤毛氈を敷くという一連の準備も、やっていて気持ちが良かった。

 建物にもエージングはある。この庫裏は最早それも通り越し、既に老化(正にエージングである)の域に入っているとは思う。が、この雰囲気は1年や2年では出ないものなのだろう。以前(たぶん'86年か?)、イギリスのアビーロードスタジオを訪問された長岡先生は「エージングが行き届いた良いスタジオだと感じた」とおっしゃった。新しいものには無い良さが、古いものにはあるのである。

 箱船は今年で11年目、完成当初から見れば建物としてのトゲトゲしさが随分少なくなったような気がしている。部屋としての音も、大きく変わったのだろうと思う。だが、10年余りではまだまだと言うべき。予定ではあと15年、どうやっても元気に生きて使い倒さねばモトが取れない仕組み(何故だ?)になっているので、今後もエージングは進んで行くのである。何だかよくわからん理屈である。

 上手く「古き良き箱船」に育てられればいいのだケレドモ。

’04/01/02 (金)

ウェルカム

 僕の年末年始は今日(元日)が終わって一段落である。昨夜の睡眠時間は1時間。脱力。だが、この達成感はなかなかのものである。悪くない。無事終わって良かった。

 このお正月は昨年一昨年にくらべて穏やかな天気で推移するようだ。雪なし。ヒジョーにありがたいのである。正月休みの友達から来訪の打診を受けているが、これならどうやらお受けできそうである。3日〜5日の3日間、これが僕の正月休みになりそうだ。尤も、一瞬にして吹っ飛んでしまう可能性は常にあるわけだが。

 昨年は比較的お客様の少ない年だった。いくつかの打診はあった。どうにも休みのタイミングが合わないことが多かったのである。全部僕の所為だ。休日リバース野郎は困るのダ。

 気心の知れた友達はもちろん、僕は初めての方でもお迎えするにヤブサカではない。決して自信を持ってお聴かせできるような音ではないけれど、オーディオ仲間として何かしらの結び目になれればとも思う。明るく開放的にオーディオを楽しむ人なら何方でも。

 自己主張と思い込みの激しいヒト、リアルハードな音楽マニアさんには少々困ってしまう。「私は長岡教の教徒(!)です」と憚らず言えるヒトもちょっと怖い。その逆も然り。僕は決して長岡派(あまり使いたくない言葉である)の権化では、ないのんである。

 自分以外の誰かをオピニオン・リーダーと崇めるヒトも苦手。そういう人は優劣をつけたがるからだ。オーディオに勝ち負け優劣などない。趣味なのである。みんな同列の仲間だ。「オーディオ他流試合希望!」などと言ってくるヒトもいるが、残念ながら僕にはそういう趣味がない。武者修行じゃないんだから。他をあたってください。

 僕はただ「あれもある、これもある、そんなのもある、どんなのもある、いっぱいある。ヨカッタヨカッタ」と、お互いの間口を広く取って楽しみたいだけである。不幸せで暗い、妙に力んだオーディオは絶対にイヤダ。

 ともあれ、箱船は基本的にウェルカムである。今年もみんなで明るく楽しいオーディオしましょ。

’04/01/01 (木)

年頭御挨拶


 明けましておめでとうございます。除夜の鐘も無事撞き終り、昨年のボンノウはきれいに落とした(つもり)。皆さんも良いお正月をお迎えのことと存じます。

 さて、昨年元旦の日誌には「今年(2003年)は新しいSW用パワーアンプとスクリーンが欲しい」などと書いてある。例によってウソツキでいい加減である。どちらも実現できなかった。が、それ以上に音は良くなったと思うので、良しとしよう。

 さて、今年の今後はどうなるのだろうか。ハード関係は今のところ全く白紙状態である。どちらかと言うと昨年同様、ソフトの充実に力を入れたいと思っている。

 特にAD、SACD。ADは今後さらに選択の範囲が狭まって行くだろう。急がねばならない。SACDは前途洋々、だが、タイトル数を増やすために今入手しておかないと将来買えなくなるものが出てくる可能性あり。こちらも違う意味で急ぐべきだ。

 というわけで、2004年オーディオ始めは、祝砲の意味を込めて復刻盤「日本の自衛隊」を大音量でドカンと一発。この音の勢いと同じくらい、オーディオ景気も良くなってくれることを心から願って。

 今年もよろしくお願い致します。